代金の一部だけを支払った段階で目的物についての契約不適合が明らかになり、損害賠償請求が認められる場合には、買主は、残代金の支払について、損害賠償との同時履行の抗弁権を主張することができる。

民法上の正当防衛とは、他人の不法行為に対し、自己または第三者の権利または法律上保護される利益を防衛するためやむを得ずした加害行為をいい、緊急避難とは、他人の物から生じた急迫の危険を避けるめその物を損傷することをいう。

財産的損害のうち、積極的損害とは、治療費や修理費等の現実に出費された金銭等の損害をいい、消極的損害とは、休業損害等の収入として見込まれたものが得られなかった場合の損害をいう。

書面でする有利子の消費貸借は双務契約である。

組合員は、その過半数の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。

組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務についても弁済する責任を負う。

受任者が委任者の許諾を得ず、また、やむをえない事由が存在しないにもかかわらず受託業務を再委任した場合には、受託業務を当該第三者が、たとえ業務内容としては問題なく処理していたとしても、受任者の債務不履行となる。

委任の受任者は、自らの帰責性がないときに限り、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

受任者の利益をも目的とする委任については、委任の解除をすることができない。

解約手付については、買主が代金の支払いのために借り入れを申し込んだ時点で、着手があったことになる。

請負契約の報酬は、原則として仕事が完成した後に支払われるが、仕事の目的物が引渡しを必 要とする場合は、引渡しと同時に報酬が支払われる。

判例の趣旨に照らすと、共同相続人の１人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と相続人との間において、当該建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。

民法第716条は、注文者が請負人が第三者に加えた損害を賠償する責任を負わないことを規定しているが、これはこの規定がないと、民法第715条の使用者責任の規定が注文者に適用されてしまう可能性があるからである。

夫婦の一方が認知症により責任を弁識する能力を有しないときは、同居する配偶者は、民法714条第1項所定の法定の監督義務者に当たる。

不法行為をした未成年者が責任を弁識する知能を備えている場合であっても、その未成年者の監督義務者が監督義務を果たさなかったことと損害との間に相当因果関係が認められるときは、監督義務者は民法714条第1項に基づく責任を負う。

法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けて、その者が当該責任無能力者の監督を現に行い、その態様が単なる事実上の監督を超えているなど、その監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視して、その者に対し、本条に基づく損害賠償責任を問うことができる、とするのが判例である。

責任を弁識する能力のない未成年者の行為により火災が発生した場合、失火責任法にいう重過失の有無は、未成年者の監督義務者の監督について考慮され、監督義務者は、その監督について重過失がなかったときは、火災により生じた損害を賠償する責任を免れる。

父母を貸主とし、子を借主として成立した返還時期の定めがない土地の使用貸借であって、使用の目的は建物を所有して会社の経営をし、併せて会社経営から生ずる収益により老父母を扶養する内容のものである場合において、借主がさしたる理由もなしに老父母に対する扶養をやめ兄弟とも往来を断ち使用貸借当事者間における信頼関係が失われるに至った等の事実関係があるときは、民法第597条第2項但書を類推適用して貸主は借主に対し使用貸借を解約できる、というのが判例である。 民法第597条の2 借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。

判例の趣旨に照らすと、新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において、当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど、社会通念上、 建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには、建物の買主がこれに住んでいたという利益については、当該買主からの工事施工者等に対する建替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできない。

報酬支払についての特約がある場合において、委任者の責めに帰すること ができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき は、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することはできない。

受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができないが、期間によって報酬を定めたときは、その期間を経過した後に、請求することができる。

A社とB社との間で、A社の広告用パンフレットの印刷をB社に依頼するという内容の請負契約が締結された。 B社は当該パンフレッ トの印刷を完成し、B社の倉庫で保管していたが、A社、B社双方の帰責事由によらずに当該パンフレットが焼失した。この場合、B社が再度パンフレットの印刷を完成させることが可能であったとし ても、民法上、B社がA社に対して負うパンフレットの印刷の完成義務および引渡義務は消滅する。

組合契約を利用した合弁事業のメリットは、簡易迅速に合弁事業 を開始できるという点と、どのような運営方法をとるか、利益配分をどうするかは、組合契約の中で自由に定めることができる柔軟性にある。

不法占拠により日々発生する損害については、加害行為がやんだ時から消滅時効が進行するのではなく、それぞれの損害を知 った時から別個に消滅時効が進行する。

雇用契約において期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。

請負契約において、請負人は、具体的な報酬額の定めがなければ報酬を請求することができない。

準委任契約の受任者は、委託事務を履行する前に報酬を請求することができる旨の特約がある場合であっても、委任事務を履行しない限り、委任者に報酬を請求することができない。

受寄者は、特約がなくて も、報酬を請求することができる。

使用貸借では、借主が貸主に無断で第三者に借用物を引き渡して使用させたときは、貸主は、借主に対して、催告をしなければ、契約を解除することができない。

事業の執行について不法行為を行った被用者が損害を賠償する責任を負うときであっても、その被用者を雇用する法人の代表 者は、被用者の選任又は監督を現実に担当していなければ、被用者の不法行為について、代理監督者として損害を賠償する責 任を負わない。

受寄者が寄託された宝石を適法に第三者に保管させたときは、その第三者は寄託者に対して保管費用の償還を請求することができる。

義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、 その事務管理が本人の意思に反するものであるときは、本人のために有益な費用を支出したとしても、本人に対し、その償還を請求することができない。

組合員の債権者は、組合員の組合財産上の持分を差し押さえることができない。

組合員の債権者は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。

路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。

不法行為につき、法律上の明文の根拠がなくても差止請求が認められる場合がある。

責任無能力者の監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者は、その義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、損害賠償責任を免れる。

強行法規に違反してされた給付であっても、不法原因給付に該当しないことがある。

本人のために有益な債務を負担した場合において、その債務が弁済期にあるときは、本人に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。

甲の乙に対する債権を担保するため、丙所有の不動産に抵当権が設定されている場合において、甲は、丙に債権を有する丁に、抵当権の譲渡をすることができる。

債権者A、債務者Bの債権で、Bが第三債務者Cに対して自然債務である債権を有する場合で、他の要件は全て満たしているときでも、AはBの自然債務に債権者代位権を行使することはできない。

結納金は贈与にあたるが、判例は、婚姻が成立しなかった場合、結納金を受領した者は、不当利得として返還すべき義務を負うとしている。

他人の不法行為により子が重い傷害を受けたために、当該子が死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛をその両親が受けた場合でも、被害者本人は生存しており本人に慰謝料請求権が認められるので、両親には固有の慰謝料請求権は認められていない。

判例の趣旨によると、退職年金の受給者が不法行為によって死亡した場合に、その相続人が被害者の死亡を原因として、袍の規定に基づく遺族年金の受給権を取得したときは、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、これを加害者の賠償すべき損害額から控除すべきである。

Aの家に1羽の小鳥(セキセイインコ)が迷い込んできたので、Aがこれを捕らえたところ、この鳥は簡単な言葉を話すことができた。Aは、セキセイインコを捕獲した直後に、 近所のBが所有者であり、飼育が面倒になってわざと空に放したものであることを知ったが、Bに引き渡しても世話をしないだろうと考え、飼育し続けた。この場合、AはBに対し、 飼育に要した費用を請求することができる。

買戻しの特約は、売買契約と同時にしなければならないので、売買契約を締結した後に、「売主は、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買契約を解除することができる。」との合意をしたとしても、その合意は効力を有しない。

担保責任を免除する特約を結ぶことはできるが、その場合も、目的物について売主が自分で第三者のために設定した権利があったときは、売主は、責任を免れない。

違約罰として手付が交付された場合に、買主に債務不履行があるときは、売主は、手付を没収することができ、さらに損害があれば、買主にその損害の賠償を請求することができる。

受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができるが、この委任者の損害賠償責任は、委任者の故意・過失を必要としない一種の無過失責任である。