Aは、BがCから窃取したC所有の腕時計を、これが盗品であることを知りながら自己のものにしようと考えて、B宅に忍び込 んで無断で持ち去った。この場合、もともとBの占有が不法なので、窃盗罪は成立しないとするのが判例である。

Aは、Aとは別居している祖父 Bがその友人Cから依頼されてCが所有する宝石を預かっていることを知ったことから、 その宝石をBから窃取した。AとCとの間には親族関係がな い。この場合、Aは窃盗罪による刑が免除される。

相対的親告罪とは、被害者と加害者が親族関係にあるなど一定の関係がある場合に、起訴をするために告訴が必要になる犯罪のことで、親族相盗例がそれにあたる。

甲は、乙所有の土地を甲が乙から買い受けた事実がないのに、乙に内緒で、登記申請に必要な書類を偽造して登記官に提出し、当該土地につき乙から甲への所有権移転登記をさせた。この場合、不動産の占有が甲に移ったといえるから、甲に詐欺罪が成立する。

長年恨んでいた知人を殺害するため、深夜、同人が一人暮らしをするアパートの一室に忍び込んで、寝ている同人の首を絞めて殺害し、死亡を確認した直後、枕元に同人の財布が置いてあるのが目に入り、急にこれを持ち去って逃走資金にしようと思い立ち、そのまま実行した場合、持ち主である知人は死亡していても、占有離脱物横領罪ではなく、窃盗罪が成立する。

銀行預金口座の金銭は、通常銀行に占有があるとされており、無権限者が預金口座から金銭を引き出す行為は、銀行との関係で窃盗罪又は詐欺罪が成立する。

盗品有償処分あっせんとは、有償の法律上の処分を媒介・周旋する行為を言うが、その成立のためには、あっせん行為自体も有償である必要がある。

窃取してきた他人の自転車を窃盗犯人が損壊した行為は、器物損壊罪を構成しない。

保管を約束しただけで、実際に盗品を受け取っていない場合は、盗品等保管罪は成立しない。

甲が、 盗品等であるとの認識の下に、 乙から有償で譲り受ける約束をして、現金を支払ったが、盗品を受け取る前に乙が警察に逮捕された場合、 甲には、 盗品等有償譲受け罪が成立する。

被害者に返還する目的で、盗品であることを知りながらこれを買い取った場合でも、盗品等に関する罪が成立する。

Aは、Bと共謀して、Bが占有するC所有の自動車を横領し、その後、Aが、これを買い受けた。Aには、盗品等有償譲受け罪が成立する。

スリが、人混みの中において、すりをする相手方を物色するために、他人のポケット等に手を触れ、金品の存在を確かめるいわゆる 「当たり行為」をした場合、それだけでは窃盗罪の実行の着手は認められない。

甲は、乙を教唆して丙占有の自動車を盗むことを決意させ、乙にこれを実行させた後、乙から頼まれて、同自動車を預かり保管した。この場合、甲には、窃盗教唆罪及び盗品等保管罪が成立し、これらは牽連犯となる。

甲は、乙から、乙が海中に落とした腕時計の引き揚げを依頼され、その腕時計が落ちた場所の大体の位置を指示された。甲が、乙から指示された海中付近を探索した結果、 同腕時計を発見したが、 それを乙に知らせることなく、同腕時計を引き揚げて自己のものとした場合、窃盗罪が成立する。

盗品等に関する罪の客体にいう盗品等とは、財産犯により取得した物であるところ、14歳未満の者が財物を窃取した場合には犯罪は成立しないので、当該財物は本罪の客体に当たらない。

盗品等有償譲受け罪は、 有償の約束で盗品等の引渡しを受ければ成立し、実際に代金の支払がなされたか否かを問わない。

「盗品等有償処分あっせん」とは、 盗品等の売買・交換・入質等、 有償の処分行為を媒介 周旋する行為をいうが、処分あっせんを行うために保管してこれらの行為を行った場合には、盗品等保管罪と盗品等有償処分あっせん罪の両方が成立する。

甲が、乙が丙から脅し取った現金で購入した自転車であるこことを知りながら、時価の半額で買い取った場合、盗品等に関する罪が成立する。

甲が、 友人が盗んできたバイクを、 それとは知らずに預かり保管していたが、 後日、 友人から当該バイクが盗品であることを明かされたにもかかわらず、 そのまま保管し続けた場合、甲は盗品等保管罪の刑責を負う。

暴走族のリーダー甲は、 対立する暴走族のAが不良仲間から腕時計を喝取したことを知り、 これを脅し取ろうと考え、 「お前の持っている腕時計は恐喝した物であることは分かっている。 警察に捕まりたくなければ黙って出せ。」 とAを脅して交付させた。甲には、恐喝罪、 盗品等無償譲受け罪が成立する。

甲は、 友人乙と共にA方に盗みに入ることを共謀し、甲が予定どおり見張りをし、その間に乙がA方に侵入して現金・貴金属を盗み、 これを路上で山分けした。 この場合、 甲には盗品等に関する罪が成立する。

郵便集配人が、配達中の信書を開けて在中の有価証券を取り出して取得した場合、窃盗罪は成立しない。

まったく意思能力を欠く精神障害者に欺罔的手段を施して、その人の財物を自分のものにするのは窃盗罪である。

①不動産侵奪罪、②電子計算機使用詐欺罪、③恐喝罪、④業務上横領罪、⑤遺失物等横領罪、のうち、親族相盗例の適用除外になる罪は1つである。

盗品有償処分あっせんとは、売買、交換、質入れ等の有償の法律上の処分を媒介・周旋する行為のことを言うが、その処分については、本犯の名義で行うか行為者の名義で行うかは問わない。

一時使用の目的で他人の自転車を持ち去った場合、使用する時間が短くても、乗り捨てるつもりであったときは、不法領得の意思が認められるので、窃盗罪が成立する。

Aは、Bが窃取した宝石であることを知りながら、Bからこれを譲り受け、Cは、当該宝石がBが窃取した盗品であることを知りながら、Aから頼まれて、これを自動車で運搬した。この場合において、AとCとの間に婚姻関係があり、BとCとの間には刑法第257条第1項所定の関係がないときは、Cには、盗品等運搬罪が成立するが、その刑が免除される。

賄賂として収受された現金は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」 に当たる。

会社が多額の費用を出して研究開発をしたコンピュータシステムに関する機密資料を、研究開発に従事した技術者が、複写して他社に売却するために会社に無断で社外に持ち出し、複写をした後、元の場所に戻した行為は窃盗罪であり、業務上横領罪ではない。

勤務先で宿直中、同僚が事務室内の金庫から現金を盗み出しているところを発見したが、後で口止料をもらう意図の下に気付かぬふりをして何らの措置もとらないまま見逃した場合には窃盗罪の正犯が成立する。

家屋の賃借人が賃貸借期間満了後、賃貸人から立ち退きを要求されたのにそれを無視して居座った場合、不動産侵奪罪が成立する。

本犯の利益のために、盗品の返還を条件に、被害者から多額の金員を得ようと被害者宅に盗品を運ぶ行為については、盗品運搬罪は成立しない。

壊す目的・隠匿する目的・報復する目的で窃取した場合には、窃盗罪とはならない。

甲は、乙からビデオカメラを盗品とは知らずに預っていたが、それが盗品であることを知った後も、その保管を継続した。この場合、盗品保管罪は成立しない。

建築資材置場として土地を貸借中、賃貸借契約が解除され、賃貸人から立退きを強く要求されたのに、これを拒否して建築資材をそのまま放置した場合でも不動産侵奪罪は成立しない。

密輸品であるとの情を知りながら、これを買い取った場合、盗品等有償譲受け罪が成立する。

他人に窃盗を教唆し、その結果窃盗を行った者を欺き、その窃取した財物を騙取した場合には、窃盗教唆罪のほかに詐欺罪が成立する。

郵便貯金通帳を窃取した上、これを利用して通帳の名義人になりすまし、郵便局員を欺いて貯金払戻し名下に金員を受け取った場合には、窃盗罪のほかに詐欺罪が成立する。

Aは、性欲を満たすため、隣家に住む女性がベランダに干していた 下着を持ち去り、自宅に保管していた。この場合、不法領得の意思が認められないので、窃盗罪は成立しない。

まったく意思能力を欠く精神障害者に欺罔的手段を施して、その人の財物を自分のものにするのは窃盗罪である。

窃取した小切手を銀行で換金した事案について、小切手の換金行為は別途詐欺罪を構成する。

①不動産侵奪罪、②電子計算機使用詐欺罪、③恐喝罪、④業務上横領罪、⑤遺失物等横領罪、のうち、親族相盗例の適用除外になる罪は1つである。

計画的にまずある商店で洋品類を窃取し、これをその店の経営者方に持参しら正当に買い入れた品物と偽って返品の形で金員を詐取したときは、窃盗罪の他に詐欺罪が成立する。

顧客を装い商品の衣類を試着したまま便所に行くと偽って逃走した後、その衣類を損壊した場合には窃盗罪のみが成立する。

窃盗等の被害者を相手方として盗品等の有償の処分のあっせんをする場合と盗品等処分あっせん罪は、 窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても成立する。

自転車置場から盗んできた自転車を使用中、被害者にされて返還を求められた際、自転車店で買ったものだと増を言って返還を免れた。詐欺罪が成立する。

被害者が民事上の返還請求権を失った場合、その後に盗品等に関する罪は成立することはない。

盗品を売却して得た金銭や盗品である金銭によって購入した物は、盗品譲受け罪の盗品には該当しない。

公衆浴場で他人が遺留した指輪を発見し、これを領得する意思で、一時浴室内の他人が容易に発見することができないすき間に隠匿したところで、不審に思った他の客に発見された場合、窃盗罪は既遂になっていると言える。

甲は、実父Aが自宅書斎に置いている手提げ金庫の中から、父親の現金ならば盗んでもいいだろうと思って現金10万円を窃取した。ところが、 甲がA個人の所有物だと思って盗んだ現金は、Aが経営する会社所有の現金であった。この場合、甲は親族間の犯罪に関する特例の適用を受けない。