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第２１回　第16章　募集株式の発行等（続き）

Aiko Kobayashi

問題数 24 • 12/20/2024

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仮装払込とは、何でしょうか？213条の２第１項をみてください。

実際には会社が経営のために用いることができるような財産が増えたとはいえないにもかかわらず、あたかも増えたかのように見せるべく出資の払込み（ないし現物出資財産の交付）の形式を整える行為

仮装払込が行われた場合、その対象となった株式について、権利を行使することはできるでしょうか？209条２項・３項をみてください。

出資の履行を仮装した株式については株主の権利をできない、と規定　⇔当該株式を譲り受けた者が善意無重過失の場合、権利は行使可能になる（3項）

210条をみてください。株主は、どのような場合に、株式会社に対して株式の発行や自己株式の処分をやめるよう請求できますか？

210条各号に定める事由がある場合に、株主が不利益を受ける恐れがあるとき

210条をみてください。株式会社に対して株式の発行や自己株式の処分をやめるよう請求できる差止事由２つ

　①法令・定款違反（１号） …これには、内容の違反・手続の違反の双方が含まれる（例：発行限度を超える違反、通知・公告のない発行など）　②著しく不公正な方法による募集株式の発行等（２号）

著しく不公正な方法により、募集株式が発行された場合、株主が不利益を受ける恐れがある時、当該株式処分を差し止めることができるが、どのような場合に著しく不公正な方法とするか？

事例の状況から新株発行等の主要な目的は何であるかを分析し、正当な目的ではなく支配権維持目的が主要であると推認される場合に「不公正」とする

ベルシステム２４の経営陣と、ベルシステム24の株式39．2%を保持するCSKの経営陣が対立したため、ベルシステム２４の経営陣がソフトバンクに新株を発行し、CSKの持ち株比率を下げたため、この株式の発行を差止請求した事例この株式発行は、著しく不公正な方法と言えるか？

支配権維持の意図がなかったとはいえないとしながらも、発行に至るまでの過程を詳細に検討し、資金調達目的と比較して支配権維持目的が主要であるとまではいえない、とする

経営支配権について争いのある状況のもとで、日本版ESOP（Employee Stock Option Program）実施のために従業員持株会支援会に新株発行を行ったことは著しく不公正否方法と言えるか？

言えない士気の向上やコーポレートガバナンスの向上を目的としたものであることを理由に、差止めを認めなかった

主要な目的が支配権維持目的であったとしても、濫用的な買収者から企業価値を防衛するためには新株発行は許容されるか？

許容される。

株主総会が判断すれば、買収防衛のための新株発行は認められるか？

緊急性がある場合には認められる場合がある。

株式の発行や自己株式の処分が効力を発生した後、その効力を争いたい株主は、どのような方法で争う必要があるでしょうか？また、いつまでに主張する必要がありますか？

828条1項2号・3号＝新株発行・自己株式の処分の効力発生後は、訴えをもってのみ無効主張可能、とする（法的安定性のため…認容判決は対世効をもつ：838）（提訴期間：効力が生じた日から６ヶ月（非公開会社では1年））

Y社が取締役に対して士気の向上を目的として、新株予約権を付与した。しかし、この新株予約権には行使条件がついており、Y社が株式を上場した後、６か月を経過するまでは行使してはならないという条件がついていたが、なかなか上場しないため、痺れを切らした取締役のために、株主総会の承諾を得ずに取締役会がこの行使条件を廃止し、新株予約権の発行を認めた。この変更決議に対して、株主が異議を唱えた事例この新株発行は有効か？

無効

新株発行・自己株式処分が無効となった場合、効力はどうなるのか？

新株発行等は将来に向かって効力を失う（839条）

募集株式の発行に瑕疵があった場合の、引受人に責任が発生する場合２つと、その責任は？

212条１項1号＝取締役と通謀して著しく不公正な価額で株式を引き受けた場合同項2号＝現物出資財産の価額が199条１項3号の価額に著しく不足する場合 213条の2第１項＝仮装払込（給付）の際の不足価額の支払義務

募集株式の発行に瑕疵があった場合で、取締役が責任を負う場合と、その責任

213条１項＝現物出資財産の価額不足の場合 213条の３第１項＝仮装払込（給付）の際の不足価額の支払義務

新株予約権の内容（つまり、その新株予約権がどのような権利なのか）として定めるべき事項は、236条１項に定められています。どのような事項が権利の内容とされていますか？ざっと眺めてみてください。

１号〜５号：新株予約権の行使によって得られる株式の数など、「引換条件」に相当する６号・７号：株式の権利の内容（107条）と同様、特別な権利内容を定めることができる（譲渡制限、取得条項）　８号　　　：合併等の組織再編行為に際しての取扱いを定めることができる　９号　　　：行使時の端数の切り捨て（これを定めない場合、283条により金銭処理）　10号・11号：新株予約権証券を発行することもできる（なお、取締役の報酬等として発行する場合につき、改正後３項にも規定がある）

新株予約権の内容は、いつ、決定しますか？238条１項をみてください。

新株予約権の募集事項を定めるとき

238条1項が定める事項（「募集事項」）を決定するのは、どの機関ですか？238条2項と、240条1項をみてください。

原則は株主総会だが、公開会社では（有利発行の場合を除いて）取締役会で決定できる

新株予約権を発行する場合の「特に有利な価額」は、どのように定められているでしょうか？238条３項をみてください。

・有償発行の際の新株予約権の発行価額（払込金額）が特に有利な場合（238条３項2号）のほか、無償で発行することが特に有利な条件である場合も含む（238条３項1号）

新株予約権の割当てを受けた人が新株予約権者になるのは、いつですか？245条1項をみてください。

割当日（238条1項4号）に、自動的に新株予約権者になる

新株予約権無償割当てとは、何でしょうか？277条をみてください。

株式会社が、株主に対して新たに払込みをさせないで、当該株式会社の新株予約権を割り当てること

新株予約権無償割り当ての目的２つ

　①ライツ・オファリング＝新株の株主割当に応じられない株主の経済的損失防止 ②買収防衛策としての新株予約権の発行

236条１項の６号と10号をみてください。 ①新株予約権は自由に譲渡できるのが原則でしょうか？それとも譲渡制限がかかっているのが原則でしょうか？（なお254条１項も参照）

　①自由に譲渡できるのが原則で、譲渡制限をかける場合にはその旨決定する　　　※ただし、新株予約権付社債の新株予約権と社債を切り離して譲渡できない（254条2項・3項）

236条１項の６号と10号をみてください。 ②新株予約権には、新株予約権証券を発行するのが原則でしょうか？それとも発行しないのが原則でしょうか？

②新株予約権証券は発行しないのが原則で、発行するときはその旨決定する

譲渡制限新株予約権の譲渡承認手続譲渡制限株式の譲渡承認手続と類似の制度が、262条以下に定められています。さて、譲渡制限株式の場合と異なる点はありますか？特に264条を138条とくらべると、その違いがわかると思います。

手続きの基本は譲渡制限株式の譲渡承認の場合と同じですが、譲渡を承認しない場合の買受人指定請求権はない（264条にその旨の規定がない）

第２１回 第16章 募集株式の発行等（続き）

第２１回　第16章　募集株式の発行等（続き）