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第１１回賃貸借（２）（第三者との関係）

Aiko Kobayashi

問題数 23 • 7/26/2024

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問題一覧

絶対権とは？

万人に対して主張することができる権利

所有権は絶対権か？

絶対権

相対権とは？

万人に対して主張できる絶対権とは違い、特定の人に対してしか主張することができない権利

債権の相対性とは？

原則、債権の内容は債務者に対してしか主張することができないこと

売買と賃貸借、どちらが強いか？

売買

【ケース１】 Y は X から、X の所有する土地甲を、資材置き場として利用する目的で、期間５年、賃料月額８０万円の約定で借り受けた。その１年後、X は甲を Z に売却した。Z はY に対し、甲の所有権にもとづき、甲の明渡しを請求した。

Z は Y に対しても、甲の所有権を主張することができる。目的物が第三者に譲渡された場合、賃借人 Y は譲受人 Z との関係では、目的物を権原なく占有していることになる。 Z は、所有者 X との間で売買契約を締結することにより、所有権を取得しているが、所有権の移転（取得）を「第三者」に対抗するためには、対抗要件（不動産については「登記」）を具備しなければならない（１７７条）。判例・通説によれば、不動産賃借人は、１７７条の「第三者」にあたる。所有権にもとづく返還請求を受けた Y は、まず、「Z が対抗要件を具備するまでは、Z が所有権を取得したことを認めない」との反論（「対抗要件の抗弁」）が可能

「売買は賃貸借を破る」の例外―賃借人は賃借権にもとづく占有が正当であると主張することができるか（「占有正権原の抗弁」）

不動産賃借権が登記されている場合（６０５条）

賃借権登記の特徴２つ

賃貸人と賃借人が共同して登記申請をすること売買と異なり、賃貸人に登記申請に協力する義務がないこと

Y は X から、X の所有する土地甲を、建物の所有を目的とし、期間３０年、賃料月額８０万円の約定で借り受けた。Y は土地甲の上に建物乙を建てて所有している。Y は乙について登記を備えている。その後、X は甲を Z に売却した。Z は Y に対し、甲の所有権にもとづき、乙を収去し、甲を明け渡すよう請求した。

Y は、所有する建物乙について自己名義で登記を備えていれば、甲の賃借権を Z に対抗可能（借地借家法１０条１項）

【ケース４】 Y は X から、X の所有する土地甲を、資材置き場として利用する目的で、期間５年、賃料月額８０万円の約定で借り受けた。その１年後、X は甲を Z に売却した。Z はY に対し、賃貸借契約にもとづく賃料（月額８０万円）を Z に対して支払うよう請求した。賃貸人たる地位の移転（XからZ）が可能な場合３つは？

（a）XとZの間に賃貸人たる地位の移転の合意（不動産譲渡についての合意ではない）がある場合（６０５条の３）賃借人の同意は必要ない。６０５条の３の方が５３９条の２の特則であるため優先される（b）不動産賃貸借が対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたとき（c）賃貸借が対抗要件を備えている場合において、譲受人と譲渡人の間で賃貸人たる地位を留保する旨の合意がなされた後、譲受人と譲渡人の賃貸借が終了した場合（６０５条の２第２項）【ケース４―２】 Y は X から、X の所有する土地甲を、資材置き場として利用する目的で、期間５年、賃料月額８０万円の約定で借り受け、賃借権について登記を具備していた。その１年後、X は甲を Z に売却したが、その際、XZ 間で、XY 間の賃貸借契約上の賃貸人の地位は X に留保し、Z が X に甲を賃貸する旨の合意がされた。その半年後、XZ 間の賃貸借が終了した（契約の終了原因は、X の賃料不払いを理由とする契約解除であったものとする）。

借地借家法３１条【ケース３】 Y は X から、X の所有する建物丙を、期間５年、賃料月額２０万円の約定で借り受けた。Y は、丙の引渡しを受け、丙に居住している。その後、X は丙を Z に売却した。Z は Y に対し、丙の所有権にもとづき、丙の明渡しを請求した。

「建物の引渡しがあったとき」（３１条）。Y は、丙の引渡しを受けていれば、丙の賃借権を Z に対抗可能

賃貸人たる地位の移転を主張し、賃料を請求する等、賃貸人としての権利を行使するためには、何が必要か？

賃貸物である不動産について所有権の移転の登記

賃貸人たる地位の移転が認められた場合の効果

譲受人を賃貸人とし、従前の賃貸借契約の内容が承継される

転貸とは？

賃借人が賃貸人との賃貸借関係を維持したまま、賃借物を転借人にまた貸しする行為

転貸における原則とは？

（a）民法上の原則「賃借権の譲渡」も「転貸」も、賃借人が自由に行うことはできず、賃貸人の「承諾」を得なければならないこと（６１２条１項）。ただし、借地借家法１９条１項により、転借をしても不利とならないにも関わらず、賃貸人が承諾をしないときは、裁判所が許可を与えることができる

賃借人による貸借権の譲渡が、賃貸人の承諾を得ずに行われた場合、賃借人と賃借権を新たに取得する者との間で行われた契約はどうなるか？

賃借権の譲渡・転貸を目的とする契約自体は有効に成立。

違法な賃借権の譲渡・転貸の場合（賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借権を譲渡した場合）、賃貸人と賃借権を譲渡された者との間の関係はどうなるか？

賃貸人にとって賃借権を譲渡された者は不法占拠者に当たるため、賃貸人は賃借権を譲渡されたものに対し、所有権に基づく目的物の返還請求が可能

違法な賃借権の譲渡・転貸の場合（賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借権を譲渡した場合）、賃貸人は賃借人に対し、どのようなことができるか？

XY 間の賃貸借契約を解除できる（６１２条２項）。解除権が発生するためには、賃借権の譲渡・転貸を目的とした契約が締結されただけでは足りず、賃借権の譲受人・転借人が現実に使用収益をしたことが必要。

適法な賃借権の譲渡（賃借人が賃貸人の同意を得て賃借権の譲渡を行った婆い）の効果は？

賃貸人（X）と賃借人（Y）の賃貸借関係が、賃貸人（X）と譲受人（Z）に承継される

適法な転貸借における契約関係は？

賃貸人と転借人の間に契約関係は発生せず、契約関係は賃貸人と賃借人、賃借人と転借人のみ。

適法な転貸借において転借人が賃貸人に直接履行すべき義務とは？

（賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、）転貸借に基づく債務を直接履行する義務

【ケース７】 Y は X から、X の所有する土地甲を、資材置き場として利用する目的で、期間５年、賃料月額８０万円の約定で借り受けていた。Y は、X の承諾を得たうえで、甲を月額８５万円で Z に転貸した。（１）その後、Y が X に対して賃料を支払わなくなったため、X は Y との賃貸借契約を解除した。（２）その後、X は Y と相談の上、Y との賃貸借契約を合意解除した。

（b-1）債務不履行を理由とする解除による原賃貸借関係の終了賃借人の債務不履行を理由として原賃貸借契約が解除された場合、賃貸人は、原賃貸借契約が解除によって終了したことを転借人に対抗することができる。転借人 Z は賃貸人 X に転借権を対抗することができなくなり、X は Z に対し、甲の明渡しを求めることができる。転貸借は、賃貸人が転借人に返還請求をした時に、転貸人の転借人に対する債務が履行不能により終了（b-2）合意解除による原賃貸借関係の終了合意解除による終了は転借人に対抗できない（６１３条３項本文）

賃貸借契約の当事者以外の者が目的物の使用収益を妨げる場合、賃借人がその妨害の排除等を請求することができるか。対抗要件を備えている場合と、備えていない場合にに分けて考えよ

対抗要件を備えている場合不動産賃借権について対抗要件を備えた賃借人は、物権を有する者と同等に扱うことが相当であるとし、「第三者」に対する妨害の停止・返還の請求が認められている（６０５条の４）。対抗要件を備えていない場合不法占拠者に対しては、賃借権にもとづく妨害排除等を認める見解が有力。

第１１回 賃貸借（２）（第三者との関係）

第１１回賃貸借（２）（第三者との関係）