第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
問題一覧
1
違法性阻却事由の不存在の認識、行為が違法であることの認識
2
事例1:Xは、AがBに襲われていると思って、Bを攻撃したが、AとBはいちゃついていただけだった。 客観的には正当防衛に該当しないが、Xは、正当防衛に該当する事実を誤信して攻撃 →違法性阻却事由が存在しないことを認識していないことが問題(違法性阻却事由の錯誤(誤想防衛)) 事例2:Xは、法学部の友人から、放置自転車を勝手に使っても罪に問われないと聞かされて、それを実行した。 事例3:Xは、Aからの侵害を確実に予期した上で36条の趣旨から許容されない状況で対抗行為を行ったが、正当防衛の要件に該当すると誤解して無罪だと思っていた。 自分のやっている行為が法的に許されると勘違いしていた。 →行為が違法だという認識がないことが問題(法律の錯誤、違法性の意識の要否の問題)
3
自己の行為が法的に許されないものであることの認識
4
1違法性の意識(とその可能性)不要説 行為者が自分の行為の違法性を認識できなくても責任は阻却されない よってXに殺人罪成立 2厳格故意説 故意が認められる為には現実の違法性の意識が必要とする考え方 Xには現実の違法性の意識が存在しない為殺人罪の故意は認められず、過失致死罪が成立 しかし、確信犯(悪いことを悪いと思っていない)について故意犯の成立が認められなくなる可能性がある。 3制限故意説 違法性の意識はその可能性で足りるとし、それは故意の要素であるとする説 Xには現実の違法性の意識はなくてもその可能性があるので殺人罪が成立 批判:違法性の意識の可能性という過失的要素を故意概念の中に入れるのは故意と過失の混同であって不当 4責任説(通説) 違法性の意識の可能性は故意の要素ではなく、故意犯と過失犯に共通の責任要素であるとする考え方 Xには人を殺しているという認識があるので殺人の故意が認められ、また現実の違法性の意識はなくてもその可能性はあるので責任もあり、殺人罪が成立 違法性の意識あり=違法性の錯誤なし:完全な責任非難 違法性の意識の可能性あり=違法性の錯誤に相当の理由なし:刑法38Ⅲ但により減軽 違法性の意識の可能性なし=違法性の錯誤に相当の理由あり:責任阻却
5
構成要件該当事実を認識しているが、自己の行為が法的に許されるものであると誤信していた場合
6
ある場合→責任故意阻却 ない場合→責任と故意が認められる
7
①行為者に違法性について調査・照会を行うための「契機」があったか、②調査・照会をすれば違法性の認識が獲得できたかを判断し、錯誤が回避不可能であった(違法性の意識の欠如に相当の理由がある)と判断されれば違法性の意識の可能性がない
8
(ア)法律の不知 (イ)あてはめの錯誤(刑罰法規の解釈についての錯誤)
9
(ⅰ)判決(判例)を信頼した場合 (ⅱ)公的機関の見解を信頼した場合。
10
(ⅲ)私人の判断を信頼した場合
11
客観的には違法性阻却事由に該当しないにも関わらず、違法性阻却事由を基礎づける事実があると誤信している場合(正当防衛、緊急避難、誤想防衛など)
12
①肯定 ②否定 行為当時すでに同種事案の判例変更があったことを理由に、結論的には違法性の意識の可能性肯定
13
①認める ②黙認に該当しないとして相当の理由を否定 ③肯定
14
正当防衛を基礎づける事実が存在しないのに、その事実があると誤信すること
15
ⅰ)狭義の誤想防衛 急迫不正の侵害が存在しないのに存在すると誤想した場合 事例:暗闇でAが友人の Xを驚かそうとして棒を振り翳したのを、Xは棒で殴られると誤想して、近くに落ちていた棒を使ってAに傷害を負わせた。 (ⅱ)防衛行為の誤想 急迫不正の侵害は現実に存在したが、これに対して必要かつ相当な防衛行為をするつもりで、誤って客観的には防衛の限度を超えた行為をした場合 事例:XはAに棒で殴りかかられたので、近くにあった棒でAに反撃をしたがその棒の先端には釘が刺さっていた為、これがAの頭に刺さり、Aは死亡した。(Xは棒の先端に釘が刺さっていることを認識していなかった) (ⅲ)誤想過剰防衛 急迫不正の侵害が存在しないのに存在すると誤想し、かつ、これに対して必要かつ相当な防衛行為をするつもりで、誤って防衛の程度を超えた行為をした場合 事例:暗闇でAが友人のXを驚かそうとして棒を振り翳したのをXは棒で殴られると誤想して、近くに落ちていた棒を使ってAに反撃したが、その棒の先端には釘が刺さっていた為、これがAの頭に刺さり、Aは死亡した(Xは棒の先端に釘が刺さっていることを認識していなかった)
16
事実の錯誤説(通説) 故意の認識対象を構成要件該当事実及び正当化事由不存在の事実であると考え、誤想防衛の場合には、違法性の意識を喚起するような違法性を基礎付ける事実の認識がないとして責任を阻却する説 例えば、正当防衛による殺人をしていると認識している誤想防衛者が、「殺人の故意」はあっても「殺人罪の故意」はないのであり、38条1項にいう「罪を犯す意思」で行動したのではないと考える。 この説は錯誤に過失があれば過失犯が成立し、錯誤に過失もなければ不可罰になる。 法律の錯誤説=厳格責任説(少数) 故意を構成要件該当事実の認識に限定し、正当化事由の錯誤を違法性の錯誤に含めて考え、錯誤は故意の成否とは無関係であって、錯誤が避けられない場合には責任の段階で違法性の意識の可能性がなく責任が阻却されるが、錯誤が避けられる場合には故意犯が成立するとする考え方。 正当防衛説(少数) 錯誤が一般人にとって回避不能であれば、正当防衛として違法性を阻却
17
故意犯の成立との関係では、行為者の認識事実が正当防衛の各要件を充足しているか否か(正当防衛の客観的要件も行為者の認識に置き換えて判断)だけが決定的。 (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)は事実の錯誤として故意犯は不成立。 (ⅳ)のみ行為者は過剰防衛に該当する事実(=構成要件に該当し違法性阻却されない事実)を認識しているので、故意犯成立。
18
(ⅰ):防衛の程度を超えた行為がないので36条2項の適用はない →過失犯成立の場合、刑の任意的減免はない。 (ⅱ):防衛の程度を超えた行為があるので36条2項は当然適用 →過失犯成立の場合、刑の任意的減免あり(過失の過剰防衛)
19
適用される 刑の減軽を認めた (ⅳ)故意の誤想過剰防衛 に該当 客観的には急迫不正の侵害がないのに、急迫不正の侵害を基礎づける事実の存在を誤信して、誤信した事実を前提にすれば相当ではない過剰な行為をした場合(急迫不正の侵害がなく、過剰防衛にあたることを認識していた場合)
20
責任減少説:緊急状態下における心理的圧迫のため責任が減少 →誤想過剰防衛の場合も、行為者が急迫不正の侵害を認識して行動しているという意味では、通常の過剰防衛と同じ心理状態のはずなので、適用・準用を認める。 B.違法減少説:急迫不正の侵害に対する行為なので違法性が減少する →急迫不正の侵害がない以上、減免は否定(従来の理解) →違法減少の事実(急迫不正の侵害)を認識している以上、責任主義の見地からは、その認識に対応した責任しか認められない以上は減免は肯定されるべき(最近有力)
21
Xの行為は器物損壊罪に該当し、もしAがいきなりAの所有する花瓶で殴りかかってきたところ、Xの防衛行為によりAの花瓶を割ってしまったのであればXには正当防衛が成立するところがXの防衛行為により第三者Bの所有する花瓶を割っている。そこで第三者Bの法益は正当なものである以上、Xの行為により正対正の利益衝突状況が生じたので緊急避難の問題となる(緊急避難説) しかし、通説の正当防衛説からはBの花瓶がXに当たることそれ自体が不正の侵害と評価できるので正当防衛の成立を肯定する
22
Xは器物損壊罪の構成要件に該当する。Bの花瓶はXの反撃行為の手段として使われ、それによって正当なBの法益が侵害されたことになるが、XとBは正対正の関係にあるので正当防衛は成立しない。したがって緊急避難の問題となる。 XがBの花瓶を使用する以外に防衛手段が存在したり、現場から退避することが可能であった時は、補充性の要件を欠くので緊急避難が成立せず、Xには器物損壊罪が成立
23
被害者はAとBの2名存在するので、被害者ごとに犯罪の成否を検討 Aとの関係では、XはAに向けてピストルを発砲し、その弾丸がAには当たらなかったので、殺人未遂罪の構成要件に該当。XはAが日本刀で切り掛かると言う急迫不正の侵害が存在する中で、不正の侵害者Aに対して防衛のためにやむを得ずピストルを発砲したのであるから正当防衛が成立し、違法性が阻却され犯罪は成立しない。 Bとの関係では、構成要件的故意を認め具体的事実の錯誤を構成要件段階で検討する通説の立場を前提とすると、何罪の構成要件に該当するかをまず検討する必要がある。 行為者の認識事実と発生事実が同一構成要件に属する具体的事実の錯誤の場合は故意を阻却っしないとする法定的符号説(判例)によれば、A殺害の故意のあるXにB殺害の結果について故意責任を負わせることは可能であるから、殺人罪の構成要件に該当 具体的事実の錯誤において方法の錯誤は故意を阻却するとする具体的符号説によれば、A殺害の故意のあるXにB殺害の結果について故意責任を負わせることはできないので重過失致死罪の構成要件に該当 次に第三者Bの法益を侵害したXの構成要件該当行為は違法性が阻却されるか? 正当防衛説によれば、第三者に対する法益侵害も不正の侵害者に対する防衛行為から生じている以上、正当防衛を認めるべきだとする。しかし、正当防衛が緊急行為として正当化されるのは、防衛行為が反撃行為として不正の侵害者に向けられるからであって、付随的とはいえ、第三者の正当な法益の侵害をも正当防衛に含めることは妥当でない。 そこで緊急避難説をとると、第三者の危険を転嫁したことによって危難を回避したことを根拠に緊急避難を成立可能性を認める見解が有力 ただ、緊急避難が成立するためには、補充性の原則を満たす必要があり、Xが危難を回避するために第三者Bの法益を犠牲にする以外に方法がないと言う状況が存在しなければならない。しかし、Bの法益を侵害しなくてもXの危難を回避することは可能な場合が多いであろうから、緊急避難の成立が認められる場合は多くないと考えられる。また、緊急避難は避難行為者と危難を転嫁される第三者との間に利益衝突状況が存在することが前提となるが、XとBの間にはこのような関係が認められないため緊急避難の成立が困難である。 緊急避難の成立を否定した場合、Xの第三者Bの法益を侵害する行為は違法となり、問題の解決は責任の段階で図られるべきことになる。 具体的符号説に立って重過失致死罪の構成要件該当性を認めた場合はこれが成立。 これに対し、法定的符号説に立て殺人罪の構成要件該当性を肯定した場合、厳格責任説によれば殺人罪が成立する可能性がある。また、判例・通説によれば、誤想防衛の一種として責任故意が阻却され、過失があれば重過失罪が成立する(誤想防衛説) Xの認識事実は正当防衛に当たる事実であり、発生事実は(正当防衛の要件を満たさない)法益侵害であり、両者に齟齬があるから、典型的な誤想防衛に類似した構造を持つと言える。そこで責任故意を阻却し、過失が認められる場合には、重過失致死罪が成立することになる。
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第十回 過失
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45問 • 1年前第十五回 緊急避難
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26問 • 1年前第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
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43問 • 1年前第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
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56問 • 1年前第4回
第4回
Aiko Kobayashi · 31問 · 1年前第4回
第4回
31問 • 1年前問題一覧
1
違法性阻却事由の不存在の認識、行為が違法であることの認識
2
事例1:Xは、AがBに襲われていると思って、Bを攻撃したが、AとBはいちゃついていただけだった。 客観的には正当防衛に該当しないが、Xは、正当防衛に該当する事実を誤信して攻撃 →違法性阻却事由が存在しないことを認識していないことが問題(違法性阻却事由の錯誤(誤想防衛)) 事例2:Xは、法学部の友人から、放置自転車を勝手に使っても罪に問われないと聞かされて、それを実行した。 事例3:Xは、Aからの侵害を確実に予期した上で36条の趣旨から許容されない状況で対抗行為を行ったが、正当防衛の要件に該当すると誤解して無罪だと思っていた。 自分のやっている行為が法的に許されると勘違いしていた。 →行為が違法だという認識がないことが問題(法律の錯誤、違法性の意識の要否の問題)
3
自己の行為が法的に許されないものであることの認識
4
1違法性の意識(とその可能性)不要説 行為者が自分の行為の違法性を認識できなくても責任は阻却されない よってXに殺人罪成立 2厳格故意説 故意が認められる為には現実の違法性の意識が必要とする考え方 Xには現実の違法性の意識が存在しない為殺人罪の故意は認められず、過失致死罪が成立 しかし、確信犯(悪いことを悪いと思っていない)について故意犯の成立が認められなくなる可能性がある。 3制限故意説 違法性の意識はその可能性で足りるとし、それは故意の要素であるとする説 Xには現実の違法性の意識はなくてもその可能性があるので殺人罪が成立 批判:違法性の意識の可能性という過失的要素を故意概念の中に入れるのは故意と過失の混同であって不当 4責任説(通説) 違法性の意識の可能性は故意の要素ではなく、故意犯と過失犯に共通の責任要素であるとする考え方 Xには人を殺しているという認識があるので殺人の故意が認められ、また現実の違法性の意識はなくてもその可能性はあるので責任もあり、殺人罪が成立 違法性の意識あり=違法性の錯誤なし:完全な責任非難 違法性の意識の可能性あり=違法性の錯誤に相当の理由なし:刑法38Ⅲ但により減軽 違法性の意識の可能性なし=違法性の錯誤に相当の理由あり:責任阻却
5
構成要件該当事実を認識しているが、自己の行為が法的に許されるものであると誤信していた場合
6
ある場合→責任故意阻却 ない場合→責任と故意が認められる
7
①行為者に違法性について調査・照会を行うための「契機」があったか、②調査・照会をすれば違法性の認識が獲得できたかを判断し、錯誤が回避不可能であった(違法性の意識の欠如に相当の理由がある)と判断されれば違法性の意識の可能性がない
8
(ア)法律の不知 (イ)あてはめの錯誤(刑罰法規の解釈についての錯誤)
9
(ⅰ)判決(判例)を信頼した場合 (ⅱ)公的機関の見解を信頼した場合。
10
(ⅲ)私人の判断を信頼した場合
11
客観的には違法性阻却事由に該当しないにも関わらず、違法性阻却事由を基礎づける事実があると誤信している場合(正当防衛、緊急避難、誤想防衛など)
12
①肯定 ②否定 行為当時すでに同種事案の判例変更があったことを理由に、結論的には違法性の意識の可能性肯定
13
①認める ②黙認に該当しないとして相当の理由を否定 ③肯定
14
正当防衛を基礎づける事実が存在しないのに、その事実があると誤信すること
15
ⅰ)狭義の誤想防衛 急迫不正の侵害が存在しないのに存在すると誤想した場合 事例:暗闇でAが友人の Xを驚かそうとして棒を振り翳したのを、Xは棒で殴られると誤想して、近くに落ちていた棒を使ってAに傷害を負わせた。 (ⅱ)防衛行為の誤想 急迫不正の侵害は現実に存在したが、これに対して必要かつ相当な防衛行為をするつもりで、誤って客観的には防衛の限度を超えた行為をした場合 事例:XはAに棒で殴りかかられたので、近くにあった棒でAに反撃をしたがその棒の先端には釘が刺さっていた為、これがAの頭に刺さり、Aは死亡した。(Xは棒の先端に釘が刺さっていることを認識していなかった) (ⅲ)誤想過剰防衛 急迫不正の侵害が存在しないのに存在すると誤想し、かつ、これに対して必要かつ相当な防衛行為をするつもりで、誤って防衛の程度を超えた行為をした場合 事例:暗闇でAが友人のXを驚かそうとして棒を振り翳したのをXは棒で殴られると誤想して、近くに落ちていた棒を使ってAに反撃したが、その棒の先端には釘が刺さっていた為、これがAの頭に刺さり、Aは死亡した(Xは棒の先端に釘が刺さっていることを認識していなかった)
16
事実の錯誤説(通説) 故意の認識対象を構成要件該当事実及び正当化事由不存在の事実であると考え、誤想防衛の場合には、違法性の意識を喚起するような違法性を基礎付ける事実の認識がないとして責任を阻却する説 例えば、正当防衛による殺人をしていると認識している誤想防衛者が、「殺人の故意」はあっても「殺人罪の故意」はないのであり、38条1項にいう「罪を犯す意思」で行動したのではないと考える。 この説は錯誤に過失があれば過失犯が成立し、錯誤に過失もなければ不可罰になる。 法律の錯誤説=厳格責任説(少数) 故意を構成要件該当事実の認識に限定し、正当化事由の錯誤を違法性の錯誤に含めて考え、錯誤は故意の成否とは無関係であって、錯誤が避けられない場合には責任の段階で違法性の意識の可能性がなく責任が阻却されるが、錯誤が避けられる場合には故意犯が成立するとする考え方。 正当防衛説(少数) 錯誤が一般人にとって回避不能であれば、正当防衛として違法性を阻却
17
故意犯の成立との関係では、行為者の認識事実が正当防衛の各要件を充足しているか否か(正当防衛の客観的要件も行為者の認識に置き換えて判断)だけが決定的。 (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)は事実の錯誤として故意犯は不成立。 (ⅳ)のみ行為者は過剰防衛に該当する事実(=構成要件に該当し違法性阻却されない事実)を認識しているので、故意犯成立。
18
(ⅰ):防衛の程度を超えた行為がないので36条2項の適用はない →過失犯成立の場合、刑の任意的減免はない。 (ⅱ):防衛の程度を超えた行為があるので36条2項は当然適用 →過失犯成立の場合、刑の任意的減免あり(過失の過剰防衛)
19
適用される 刑の減軽を認めた (ⅳ)故意の誤想過剰防衛 に該当 客観的には急迫不正の侵害がないのに、急迫不正の侵害を基礎づける事実の存在を誤信して、誤信した事実を前提にすれば相当ではない過剰な行為をした場合(急迫不正の侵害がなく、過剰防衛にあたることを認識していた場合)
20
責任減少説:緊急状態下における心理的圧迫のため責任が減少 →誤想過剰防衛の場合も、行為者が急迫不正の侵害を認識して行動しているという意味では、通常の過剰防衛と同じ心理状態のはずなので、適用・準用を認める。 B.違法減少説:急迫不正の侵害に対する行為なので違法性が減少する →急迫不正の侵害がない以上、減免は否定(従来の理解) →違法減少の事実(急迫不正の侵害)を認識している以上、責任主義の見地からは、その認識に対応した責任しか認められない以上は減免は肯定されるべき(最近有力)
21
Xの行為は器物損壊罪に該当し、もしAがいきなりAの所有する花瓶で殴りかかってきたところ、Xの防衛行為によりAの花瓶を割ってしまったのであればXには正当防衛が成立するところがXの防衛行為により第三者Bの所有する花瓶を割っている。そこで第三者Bの法益は正当なものである以上、Xの行為により正対正の利益衝突状況が生じたので緊急避難の問題となる(緊急避難説) しかし、通説の正当防衛説からはBの花瓶がXに当たることそれ自体が不正の侵害と評価できるので正当防衛の成立を肯定する
22
Xは器物損壊罪の構成要件に該当する。Bの花瓶はXの反撃行為の手段として使われ、それによって正当なBの法益が侵害されたことになるが、XとBは正対正の関係にあるので正当防衛は成立しない。したがって緊急避難の問題となる。 XがBの花瓶を使用する以外に防衛手段が存在したり、現場から退避することが可能であった時は、補充性の要件を欠くので緊急避難が成立せず、Xには器物損壊罪が成立
23
被害者はAとBの2名存在するので、被害者ごとに犯罪の成否を検討 Aとの関係では、XはAに向けてピストルを発砲し、その弾丸がAには当たらなかったので、殺人未遂罪の構成要件に該当。XはAが日本刀で切り掛かると言う急迫不正の侵害が存在する中で、不正の侵害者Aに対して防衛のためにやむを得ずピストルを発砲したのであるから正当防衛が成立し、違法性が阻却され犯罪は成立しない。 Bとの関係では、構成要件的故意を認め具体的事実の錯誤を構成要件段階で検討する通説の立場を前提とすると、何罪の構成要件に該当するかをまず検討する必要がある。 行為者の認識事実と発生事実が同一構成要件に属する具体的事実の錯誤の場合は故意を阻却っしないとする法定的符号説(判例)によれば、A殺害の故意のあるXにB殺害の結果について故意責任を負わせることは可能であるから、殺人罪の構成要件に該当 具体的事実の錯誤において方法の錯誤は故意を阻却するとする具体的符号説によれば、A殺害の故意のあるXにB殺害の結果について故意責任を負わせることはできないので重過失致死罪の構成要件に該当 次に第三者Bの法益を侵害したXの構成要件該当行為は違法性が阻却されるか? 正当防衛説によれば、第三者に対する法益侵害も不正の侵害者に対する防衛行為から生じている以上、正当防衛を認めるべきだとする。しかし、正当防衛が緊急行為として正当化されるのは、防衛行為が反撃行為として不正の侵害者に向けられるからであって、付随的とはいえ、第三者の正当な法益の侵害をも正当防衛に含めることは妥当でない。 そこで緊急避難説をとると、第三者の危険を転嫁したことによって危難を回避したことを根拠に緊急避難を成立可能性を認める見解が有力 ただ、緊急避難が成立するためには、補充性の原則を満たす必要があり、Xが危難を回避するために第三者Bの法益を犠牲にする以外に方法がないと言う状況が存在しなければならない。しかし、Bの法益を侵害しなくてもXの危難を回避することは可能な場合が多いであろうから、緊急避難の成立が認められる場合は多くないと考えられる。また、緊急避難は避難行為者と危難を転嫁される第三者との間に利益衝突状況が存在することが前提となるが、XとBの間にはこのような関係が認められないため緊急避難の成立が困難である。 緊急避難の成立を否定した場合、Xの第三者Bの法益を侵害する行為は違法となり、問題の解決は責任の段階で図られるべきことになる。 具体的符号説に立って重過失致死罪の構成要件該当性を認めた場合はこれが成立。 これに対し、法定的符号説に立て殺人罪の構成要件該当性を肯定した場合、厳格責任説によれば殺人罪が成立する可能性がある。また、判例・通説によれば、誤想防衛の一種として責任故意が阻却され、過失があれば重過失罪が成立する(誤想防衛説) Xの認識事実は正当防衛に当たる事実であり、発生事実は(正当防衛の要件を満たさない)法益侵害であり、両者に齟齬があるから、典型的な誤想防衛に類似した構造を持つと言える。そこで責任故意を阻却し、過失が認められる場合には、重過失致死罪が成立することになる。