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第１５回不法行為法総論/一般不法行為の要件（１）（権利侵害）

Aiko Kobayashi

問題数 16 • 7/27/2024

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不法行為制度とは？

他人の行為等によって権利が侵害された場合、権利侵害によって生じた損害の賠償責任を認めることで、被害者の権利が保護される制度

現に、権利侵害が生じている場合や、将来における権利侵害が予想される場合において、侵害を事前に予防するために、侵害行為を差し止めることができるか。【ケース３】 B は、A 社により、自己の名誉を著しく侵害する記事が掲載されている出版物が発行されようとしていることを知った。B は、この記事の掲載を差し止めたいと考えている。

加害者に対する制裁や、将来の不法行為の抑止は、不法行為法制度の目的としては認められない。不法行為制度の目的は、被害者の権利を保護し、権利侵害によって生じた損害（実際に生じた損害）の塡補をすることであるから

【ケース４】 A は故意に B の財産を侵害し、B に１００万円の損害を発生させた。B は A に対し、制裁のために、２００万円の損害賠償を請求した。

実際に被害者に生じた損害以上の額の賠償責任を認めることはできない。

過失責任の原則とは？

故意又は過失にもとづき結果（権利侵害）を発生させた場合に責任を負うという責任原理。故意とは、結果を認容していたこと。過失とは、結果の予見可能性があることを前提とし、その結果を回避すべき義務に違反すること。

「過失責任の原則」の積極的側面とは？

「過失」があれば（かつ、その他の要件もみたせば）責任を負う。

行動の自由の保障「過失」がない限り責任を負わない。必要な注意を尽くして行動している限り、予見できない結果や回避できない結果が生じてしまっても、責任を課されない。

危険責任・報償責任とは？

特に危険な一定の活動等に対しては、「過失」がなくても責任を負うべき場合

一般不法行為とは？

民法７０９条によって認められる不法行為

特殊不法行為

民法ないしは民法以外の特別法において、特別の責任も設けられており、７０９条の一般不法行為の要件が修正されている不法行為

民法上の特殊不法行為の例

責任無能力者の監督義務者の責任（７１４条）、使用者責任（７１５条）、注文者の責任（７１６条）、工作物責任（７１７条）、動物占有者の責任（７１８条）、共同不法行為責任（７１９条）

不法行為にもとづく損害賠償債権（不法行為にもとづく損害賠償責任）の成立要件５つ

①権利又は法律上保護される利益が侵害されたこと ②故意又は過失が認められること ③②の行為（＝故意行為・過失行為）と①（＝権利又は法律上保護される利益の侵害）の間に因果関係が認められること ④損害が発生したこと ⑤①（＝権利又は法律上保護される利益の侵害）と④（＝損害）の間に因果関係が認められること

不法行為にもとづく損害賠償責任の責任阻却事由

責任無能力（７１２条）、正当防衛・緊急避難（７２０条）等。

不法行為にもとづく損害賠償責任の賠償減額事由は？

過失相殺（７２２条２項）「被害者に過失があった場合」

桃中軒雲右衛門事件（大判大正３年７月４日刑録２０－１３６０） X（レコード会社）が浪曲師（桃中軒雲右衛門）の浪花節の即興的な演奏のレコードを販売していたところ、Y がこのレコードを無断で複製して販売行為を行った事件において、X から Y に対し、損害賠償請求がされた。

大審院は、（当時の著作権法によれば、このような即興的な演奏（「瞬間創作」）には著作権が成立しないとされていたことを前提とし、）著作権法上の権利の侵害が認められない以上、不法行為責任は成立しないと判断。

違法性徴表説とは？

条文上は、「権利」の侵害が要件とされているが、「権利侵害」は、不法行為責任の成立にとって重要な意味をもつわけではなく、（故意又は過失による）「違法行為」によって損害を発生させたことが不法行為責任の成立にとって決定的な意味をもつ。

相関関係論とは？

違法性は、被侵害利益（侵害された利益）の種類と、侵害行為の態様との相関関係によって決まる。被侵害利益における違法性の強弱（「強い」権利が侵害されるほど、違法性も強いものと認められる）と、侵害行為の態様における違法性の強弱とを相関的に判断し、違法性の有無が決定

第１５回 不法行為法総論/一般不法行為の要件（１）（権利侵害）

第１５回不法行為法総論/一般不法行為の要件（１）（権利侵害）