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第１３回　行政の実効性確保（2）行政上の強制執行

Aiko Kobayashi

問題数 24 • 2/2/2025

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行政上の強制執行とは？

行政上の義務履行を直接強制する手段

代替的作為義務に対する強制執行の方法

代執行

代替的不作為義務に対する強制執行の方法

なし

不代替的作為義務、不代替的不作為義務に対する強制執行の方法２つ

執行罰、直接強制

金銭債権に対する強制執行の方法

強制徴収

強制執行の方法のうち一般法の規定があるのは？

代執行、強制徴収

判例によれば行政上の強制執行手段がある場合にも民事上の強制執行は認められるか？

判例は認められない学説は認められるとする

判例によれば行政上の強制執行手段がない場合、民事上の強制執行は認められるか？

特別の規定がない限り、認められない。

農業共済組合の農作物共済掛金、賦課金および共済掛け金の徴収について、民事訴訟法による強制執行は許されるか？

許されない農業共済組合が組合員に対して有するこれら債権について、法が一般私法上の債権にみられない特別の取扱いを認めているのは、農業災害に関する共済事業の公共性に鑑み、その事業遂行上必要な財源を確保するためには、農業共済組合が強制加入制のもとにこれに加入する多数の組合員から収納するこれらの金円につき、租税に準ずる簡易迅速な行政上の強制徴収の手段によらしめることが、もつとも適切かつ妥当であるとしたから。農業共済組合が、法律上特にかような独自の強制徴収の手段を与えられながら、この手段によることなく、一般私法上の債権と同様、訴えを提起し、民訴法上の強制執行の手段によつてこれら債権の実現を図ることは、前示立法の趣旨に反し、公共性の強い農業共済組合の権能行使の適正を欠くものとして、許されない

宝塚市Ｘの条例に「パチンコ店等の建築物を建築するためには市長の同意を必要とし、この規定に違反して建築しようとする者に対し、市長は建築の中止、原状回復その他必要な措置を講じるよう命じることができる」旨の規定があった。宝塚市長は、上記規定に違反してパチンコ店を建築しようとするＹに対して、その建築工事の中止を命じた。しかし、Ｙがこれに従わなかったため、宝塚市Ｘは、Ｙに対して、建築工事の続行禁止を求める民事訴訟を提起した。国または地方公共団体が行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は適法か？

不適法行政事件を含む民事事件において裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。そうだとすると、国又は地方公共団体が提起した訴訟であって、財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には、法律上の争訟に当たるというべき。しかし、国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許されるものと解される。そして、行政代執行法は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、同法の定めるところによるものと規定して（１条）、同法が行政上の義務の履行に関する一般法であることを明らかにした上で、その具体的な方法としては、同法２条の規定による代執行のみを認めている。したがって、国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、裁判所法３条１項にいう法律上の争訟に当たらず、これを認める特別の規定もないから、不適法というべきである。

代執行とは？

代替的作為義務の不履行に対し，行政庁等がこれを履行し，費用を義務者から徴収する制度

第執行の法的根拠２つ

行政代執行法＋個別法

代替的作為義務とはどのような義務か？２つ

(1)法律によって直接命じられた義務（火薬22条等） (2)法律に基づき行政庁によって命じられた義務（建基法９条1項等）

代執行の要件３つ

• 代替的作為義務の不履行 • 他の手段による履行確保が困難であること • 不履行の放置が著しく公益に反すること

漁港管理者である町が漁港水域内の不法設置に係るヨット係留杭を法規に基づかずに強制撤去する費用を支出したことは違法か？

違法ではない緊急の事態に対処するためのやむを得ない措置に係る支出であるから

東京都が都道である通路に動く歩道を設置するため，通路上に起居する路上生活者に対して自主的に退去するよう説得して退去させた後，通路上に残された段ボール小屋等を撤去することなどを内容とする環境整備工事東京都による動く歩道の設置に伴う環境整備工事に威力業務妨害罪としての要保護性は認められるか？

認められる同工事が公共目的に基づくものであるのに対し，路上生活者は通路を不法に占拠していた者であり，行政代執行の手続を採ってもその実効性が期し難かった。したがって、威力業務妨害罪として保護を行った

執行罰とは？

義務の不履行の場合に，過料の威嚇効果により，間接的に履行を促す方法

執行罰と行政罰の違い２つ

執行罰は (1)二重処罰禁止法理の適用なし →履行されるまでは，繰り返すことができる (2)執行罰は将来の義務履行を図るもの・秩序罰は過去の行為に対する制裁

直接強制とは？

身体・財産に直接実力を加え，義務の内容を実現させること

直接強制は例外的な手段に当たるが、どのような場合に認められるか２つ

①代執行・執行罰で目的を達成できない場合 ②急迫事情のある場合

直接強制と代執行の違い２つ

直接強制は (1)直接義務者に実力を加える (2)手段が強引となりうる

即時強制とは？

目前急迫の障害排除のため義務を命ずるいとまのない場合／その性質上，義務を命ずることでは目的を達し難い場合に直接，人の身体，財産に実力を加える作用

即時強制と、直接強制の違い

命令なしに，抜き打ち的に実力行使

強制徴収とは？

金銭的義務の不履行に対し，行政庁が強制手段により履行と同じ結果を実現

第１３回 行政の実効性確保（2）行政上の強制執行

第１３回　行政の実効性確保（2）行政上の強制執行