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第3講　離婚

Aiko Kobayashi

問題数 31 • 5/5/2025

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問題一覧

婚姻の解消原因２つ

夫婦の一方の死亡と離婚

離婚の種類６つ

協議離婚、裁判離婚、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚

協議離婚の、形式的要件と実質的要件は？

形式的要件＝届出実質的要件＝離婚意思

離婚の届出がなされなかった場合、どうなるか？

通説によれば不成立

離婚意思がない離婚は？

無効

離婚意思が詐欺・強迫によるものである場合は？

取り消し

離婚の届出方法は？

当事者双方および成年の証人 2 人以上が、署名した書面または口頭で行う

離婚の届出を受けた戸籍事務担当者には、どのような権限があるか？

形式的審査権

離婚届出受理の要件３つ

ア）法令の規定に違反しないこと 739 条 2 項その他の法令の規定（主として戸籍法の規定）に違反しないこと（正式な届出を行っていること）イ）親権者に関する事項 ① 親権者の定めがされていること（765 条 1 項 1 号） ② 親権者の指定を求める家事審判または家事調停の申し立てがされていること（同 2 号）。

離婚意思を欠く協議離婚を無効とする旨の規定は存在しないが、どの条文により無効とされるか？

（742 条 1 号（婚姻意思がない婚姻は無効）類推により、離婚意思は離婚の有効要件とされている

【設例 1】A と B は、法律上の夫婦であったが、次の①または②の理由から、協議離婚の届出をした。もっとも、両者は、その後も夫婦としての共同生活関係を継続している。 ① A は、事業の失敗により多額の債務を抱えた。そこで、 B と協議し、離婚に伴う財産分与によって強制執行を免れるために、離婚届を提出した。 ② A は、病気で収入を得ることが困難になり、生活保護を受給することとなったが、 B の収入分だけ支給額が減らされることのないよう、B と協議のうえ、離婚というかたちをとることにした。判例によればこれらの離婚意思は有効か？

有効「法律上の婚姻関係を解消する意思」の合致に基づいて離婚の届出がされたのであれば、離婚を無効とすることはできない

離婚意思の基準時は？

届出時

協議によって作成された届書が一方によって提出され、受理されたところ、その時点で他方が翻意していた場合、有効か？

無効

【設例 2】X と Y は、法律上婚姻関係にあったが、全くの別居状態にあり、事実上夫婦生活を営んでいなかった。Y は、X に無断で、協議離婚の届出をした。その後、両者の間で調停が成立し、X が当該届出による協議離婚を認める代わりに、 Y が X に離婚慰謝料を支払う旨の合意がされた。ところが、 X は、 Y に対し離婚無効の確認を求めて提訴した（最判昭和 42・12・8 家月 20‐3‐55）。無効な協議離婚の追認は認められるか？

認められる追認の効果は、届出時に遡って生ずる

裁判離婚の離婚原因４つ

①不貞行為、②悪意の遺棄、③3 年以上の生死不明、 ④その他婚姻を継続し難い重大な事由

裁判所は具体的離婚原因がある場合であってもどうすることができるか？

一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる（770 条 2 項）。

離婚原因の定め方に関する二つの主義は？

有責主義と破綻主義

有責主義とは？

相手方配偶者に婚姻から生じる義務の違反（有責行為）があった場合に離婚請求を認める考え方

破綻主義とは？

相手方配偶者の有責行為の有無にかかわらず、婚姻関係が破綻していると客観的に見て評価できる場合に離婚請求を認める考え方

現行法は破綻主義と有責主義のどちらを採用しているか？

破綻主義

①不貞行為と②悪意の遺棄の位置づけに関する学説である一元説とは？

770 条は、一般的に破綻主義を採用した規定であり、同条 1 項 1～3 号は、破綻主義的な意味での 4 号「婚姻を継続し難い重大な事由」（＝回復の見込みのない破綻）の例示に過ぎないとする考え方具体的離婚原因が認められる場合でも、さらに「婚姻を継続し難い重大な事由」の要件に該当しなければ、離婚請求は認められない。

①不貞行為と②悪意の遺棄の位置づけについての学説である、多元説とは？

770 条 1 項の各号は、それぞれ独立した離婚原因であるとし、 1～3 号に対する受け皿規定として 4 号を位置づける考え方

不貞行為とは

配偶者ある者が自由意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わない

悪意の遺棄とは？

各義務の不履行により婚姻関係を破綻させようという積極的な意図、または、これにより破綻に至ることを認容する態度で同居・協力・扶助義務（752 条）あるいは婚姻費用分担義務（760 条）を履行しないこと

離婚判決の確定後に、相手方がそれより前に死亡していたことが判明した場合、いつ婚姻が終了するか？

離婚は無効となり、相手方死亡時に婚姻が終了

婚姻を継続し難い重大な事由とは？

婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態を指す（通説）

【設例 3】 X と Y は婚姻関係にあり、両者の間には 3 歳の子 A がいた。ところが X は、 Z と不貞関係となり、家を出て Z と同居するようになった。これに対し Y は、再三にわたり X に同居を求めたが、 X がこれに応じることはなかった。Y との別居から 10 年が経過し、その間に X と Z の間には、子 B および C が誕生した。X が、770 条 1 項 4 号に基づき、Y に対し離婚を求めて提訴した。前述のように、770 条は破綻主義を基礎としており、同条 1 項 4 号はこれを体現した規定である。破綻主義を貫徹するならば、自ら婚姻破綻の原因を作出した配偶者（有責配偶者）であっても、婚姻関係が回復の見込みなく破綻していれば、離婚を請求することができる。しかしながら、離婚が認められれば、相手方配偶者が精神的苦痛を受け、さらには経済的・社会的に困難な状況に置かれるおそれもあるところ、有責配偶者による離婚請求を認めてよいのだろうか。

旧判例は有責配偶者からの離婚請求を否定

消極的破綻主義とは？

破綻主義を取りつつ、有責配偶者からの離婚請求を認めない考え方

消極的破綻主義の内容３つ

① 婚姻関係の破綻についてもっぱらまたは主として責任のある当事者は、自らその事由を理由に離婚の請求をすることをえない ② 婚姻の破綻につき、X よりも Y に多くの落ち度があった場合 15、または、両者の有責性が同程度である場合には、離婚請求を認容することができる。 ③ X に有責行為があったとしても、婚姻関係の破綻との間に因果関係がない場合には、離婚請求を排斥すべき理由とはならない

【設例 4】X と Y は、昭和 12 年 2 月 1 日に婚姻届を提出して夫婦となったが、子が生まれなかったため、同 23 年に A の子 B₁・B₂と養子縁組をした。昭和 24 年頃、 X と A の不貞関係が発覚したのを契機として、X と Y は不仲となり、同年 8 月頃には、X は Y と別居し、A と同棲するようになった。 X は、昭和 26 年頃、Y との離婚を求める訴えを提起したが、有責配偶者からの請求に該当するとして、棄却され、同判決は確定した。 X は、昭和 58 年 12 月頃、Y を突然訪ね、離婚に同意する求めたが、拒絶され、さらに離婚調停の申立をしたが、これも成立しなかったので、あらためて離婚の訴えを提起した（最大判昭和 62・9・2 民集 41‐6‐1423［百選Ⅲ－15］）。判例変更が行われた内容は？

4 号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら責任のある一方の当事者からされた場合において、当該請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断するに当たっては、①有責配偶者の責任の態様・程度を考慮すべきであるが、②相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情、③離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び④夫婦間の子、殊に未成熟の子の監護・数育・福祉の状況、⑤別居後に形成された生活関係、たとえば夫婦の一方又は双方が既に内縁関係を形成している場合にはその相手方や子らの状況等が斟酌されなければならず、⑥時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮されなければならない有責配偶者からされた離婚請求であっても、❶夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、❷その間に未成熟の子が存在しない場合には、❸相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできないものと解するのが相当もはや 4 号所定の事由に係る責任、相手方配偶者の離婚による精神的・社会的状態等は殊更に重視されるべきものでなく、また、相手方配偶者が離婚により被る経済的不利益は、本来、離婚と同時又は離婚後において請求することが認められている財産分与又は慰藉料により解決されるべき

離婚の効果３つ

婚姻関係の終了財産分与（第 2 節）子に関する効果（第 3 節）

第3講 離婚

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