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第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)

第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
44問 • 2年前
  • Aiko Kobayashi
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    問題一覧

  • 1

    法人とは?

    自然人以外で権利能力(法人格)を認められるもの

  • 2

    法人制度が必要とされる理由3つ

    1権利・義務の帰属点の創設 2 団体財産と個人財産の分離  (1) 個人債務と団体財産の分離  (2) 団体債務と個人財産の分離

  • 3

    有限責任とは?

    団体が負った債務については、団体財産のみが責任財産となり、構成員の財産は強制執行されないとすること

  • 4

    無限責任とは?

    団体財産の確保が十分でなく、団体債権者の保護が十分に図られない場合には、構成員の個人財産に対する強制執行が認められること

  • 5

    法人擬制説とは?

    権利義務の主体は、本来自然人に限られるべきであり、法が特別に自然人に擬して権利能力を認めた ものが、法人であるとする説

  • 6

    法人擬制説の法人と代表者の関係は? (1)法律行為 (2)不法行為

    (1) 法律行為 法律行為においては、代表者が法人を代理するということになる。 (2) 不法行為 代表者という別人格がした不法行為による責任を、法人が引き受けるということになる。

  • 7

    法人実在説とは?

    法人は、法が擬制したものではなく、社会的に実在するものであり、そうした実在に権利能力が認められたものであるとする 説

  • 8

    法人実在説の法人と代表者との関係は? (1)法律行為 (2)不法行為

    (1) 法律行為 代表者が法人を代表してした法律行為は、法人自身の行為ということになる。 (2) 不法行為 代表者のした不法行為は、法人自身による不法行為ということになる。

  • 9

    社団法人とは?

    人の団体に権利能力を認めた法人

  • 10

    財団法人とは?

    財産の集合に権利能力を認めた法人

  • 11

    営利法人とは?

    法人が、事業によって得た利益を社員に分配する事を目的とする法人

  • 12

    公益法人とは?

    学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人

  • 13

    無限責任とは?

    社員個人の財産が法人債権者の債権の引当てとなること

  • 14

    有限責任とは?

    法人債権者の債権の引当てとなるのが法人の財産だけであること

  • 15

    法人法定主義とは?

    いかなる団体に法人格を付与するかは法律(国家)の決定すべき事項であるとする考え

  • 16

    法人法定主義は団体設立自由の原則を限定するものか?

    団体設立自由の原則は、設立された団体が法人格を有することまで保障するものではないが、団体の設立自体が制約されるわけではない

  • 17

    法人の設立に国家がどの程度関与するかについてのいくつかの立法主義6つ

    特許主義 許可主義 認可主義 認証主義 準則主義 当然設立

  • 18

    定款とは?

    当該法人の基本的規則およびその内容を記載した書面または電磁的記録

  • 19

    一般社団法人の設立時、社員は何人必要か?

    2人以上必要

  • 20

    定款の記載事項種類4つ

    必要的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項・無益的記載事項

  • 21

    必要的記載事項とは?

    必ず定款に記載しなければならない事項

  • 22

    相対的記載事項とは?

    一般社団・財団法人法の規定により「定款の定めがなければその効力を生じない事項」

  • 23

    任意規定事項とは?

    必要的記載事項・相対的記載事項以外の事項で、一般社団・財団法人法の規定に違反しないもの

  • 24

    無益的記載事項とは?

    定款に記載しても、効力を有しない事項

  • 25

    定款がその効力を生じるためには何が必要か?

    公証人の認証

  • 26

    一般財団法人に特有の相対的記載事項は?

    基本財産の定め

  • 27

    法人の権利能力の制限2つ

    法人の性質上、法人に帰属しえない権利義務や法的地位 法令による制限

  • 28

    法人の権利能力は?

    法人は、「定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において」権利を有し、義務を負う(34 条)

  • 29

    イギリス法におけるウルトラ・ヴァイレス理論とは?

    「会社は定款によって明示的または黙示的に認められた目的の範囲内においてのみ行為することができ、この目的の範囲を越えてした行為は、会社の能力外(ultra vires)の行為で無効である」という考え方

  • 30

    権利能力制限説(判例)とは?

    「法人の目的の範囲」による制限を、権利能力の範囲を制限したものと解し、法人は、目的の範囲外の行為について、およそ権利義務を取得しえず、一切の責任を負わないという考え方

  • 31

    法人の権利能力制限説の問題点2つ

    債務不履行責任や不法行為責任の説明困難 ウルトラ・ヴァイレス理論の不当性

  • 32

    代理権権限説(通説)とは?

    目的の範囲による制限を代表者の代理権の制限とする見解

  • 33

    ある行為が目的の範囲内であるか否かを判断する判例の基準2つ

    (1) 目的遂行に必要な行為 (2) 必要性の客観的・抽象的判断

  • 34

    営利法人に目的遂行に必要だと認められている行為3つ

    (1) 目的を遂行するのに通常役立つ行為 (2) 法人を維持するのに役立つ行為 (3) 法人に社会通念上期待される行為

  • 35

    員外貸付 【設例 3】農業協同組合 X は、定款により、組合資金貸付の対象を組合員に限定し、非組合員に対する 貸し付けを禁止していた。Y₁は、X の代表者として、組合員ではない Y₂らに対して、250 万円を貸し 付けた。 Y₁は、この不当貸付の責任を追及され、組合代表者を辞任するとともに、内金 240 万円につき、Y₂のため X に対して保証した。X が、Y₁・Y₂らに対して、各々の債務の弁済を求めたところ、Y らは、貸付は目的の範囲外であり無効であると主張した

    農協 X の資金貸付事業は、定款により、組合員を対象とするものに限定されている――設立根拠法で ある農業協同組合法において既に制限されている。相手方 Y₂らも、通常、このことを認識しているはずである。したがって、非組合員である Y₂らへの貸付は、明らかに目的の範囲に属さないものであり、無効である。もっとも、契約が無効とされても、 X は、 Y₂らに対して、不当利得の返還を請求することができる 。また、Y₁の保証債務が不当利得返還債務にまで及ぶ可能性についても、否定されない。

  • 36

    【設例 6】X は、労働金庫 A から、架空の会員名義で金銭を借用し、自己所有の不動産に抵当権を設定 した。この抵当権が実行され、Y が当該不動産を競落した。これに対して、X は、A による貸付は金庫 の目的の範囲外の員外貸付として無効であり、したがって抵当権も無効である、などと主張して、所有 権移転登記の抹消登記手続きを求めた

    このような労働金庫による会員外への貸付も、無効とされる。しかしながら、判例は、次のような理 由から、X の無効主張を信義則違反であるとしている。 ① X 自ら虚偽の会員名義で貸付を受け、当該金銭を利用したのであるから、貸付行為が無効であっ ても、X は不当利得返還債務を負っている。本件抵当権も、経済的には、この不当利得返還債務を担保する趣旨を有すると見られる。よって、X が債務を弁済せずに、抵当権の無効を主張することは、信義 則上許されない。 ② 既に抵当権実行手続きが終了した後で、競落人の所有権を否定しうるとすることは、善意の第三 者の権利を自己の非を理由に否定する結果を容認するに等しく、信義則に反する。

  • 37

    【設例 5】中小企業等協同組合法に基づき設立された信用協同組合 Y は、法定の制限に反して、株式会 社 X から預金を受け入れた。預金契約に基づき、X が預金の払い戻しを求めたのに対して、Y は、当該 取引が目的の範囲外であるなどと主張した

    このような事例においても、判例は、契約を締結した組合役員が罰則を受けることはあっても、預金 契約自体が、組合本来の事業遂行に不適当なものとはいえず、公序良俗に反すると認められず、目的の 範囲外とはいえないとする。ここでも、預金の受入れが組合の経営にとって不利益をもたらすものでは ないことが、考慮されている――しかしながら、この場合には、他の金融業者の利益が害されていない かも考える必要があり、組合の利益だけから目的の範囲を判断することについては、疑問が残る。――。

  • 38

    【設例 4】 農業協同組合 X は、その経済的基礎を確立するため、非組合員 Y からリンゴの販売委託を受 けて手数料を得ることを計画し、リンゴの買付資金として、Y に多額の金銭を貸し付けた。しかしなが ら、 Y が、集荷したリンゴのほとんどを X への販売委託に回さなかったことから、多額の貸越が生じた。X が貸金の返還を求めたのに対して、Y は、目的の範囲外であるとして貸付の無効を主張した

    このような貸付は、組合の経済的基礎を確立するためのものとして、目的の範囲内と判断された。こ こでは、組合にとって実際に有益な取引であるか否か、が考慮されている。

  • 39

    【設例 8】税理士会 Y は、税理士法改正運動に要する特別資金として、各会員から特別会費 5000 円を 徴収し、 政治資金規正法上の政治団体 A に寄附する旨の決議を行った。 Y の会員である税理士 X は、こ の決議に反対であり、特別会費を納入しなかった。これを理由に、Y は、役員選挙における X の選挙権 および被選挙権を停止し、役員選挙を実施した。これに対して、X は、本件決議は無効であり、Y の措 置は不法行為であるとして、特別会費の納入義務の不存在確認、損害賠償などを求めて提訴した

    判例は、会社の場合(前掲最大判昭和 45 年)と異なり、設例 8 のような税理士会の政治献金を、目 的の範囲外と判断している。その際に、次のような理由を示している。 (A) 税理士会の公的性格 税理士会は、税理士の義務の遵守および税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導、連絡及び 監督に関する事務を行うことを目的として(現税理士法 49 条 6 項)、法が、予め税理士にその設立を義 務付け、その結果設立された法人である。したがって、 会社とは、その法的性格を異にする法人であり、 その目的の範囲についても、これを会社のように広範なものと解するならば、法の要請する公的な目的 の達成を阻害して法の趣旨を没却する結果となる。 (B) 強制加入団体 法が税理士会を強制加入の法人としている以上、会員には、様々の思想・信条及び主義・主張を有す る者が存在することが当然に予定されている。したがって、税理士会が多数決原理により決定した意思 に基づいてする活動にも、そのために会員に要請される協力義務にも、自ずから限界がある。

  • 40

    イ)災害復興支援のための寄附 【設例 9】司法書士会 Y は、阪神・淡路大震災により被災した司法書士会 A に 3000 万円の復興支援拠 出金を寄附することとし、その資金の一部として、各会員から登記申請事件 1 件当たり 50 円の特別負 担金を徴収する旨の総会決議をした。これに対して、Y の会員である X らは、①本件拠出金の寄附は Y の目的の範囲外の行為であること、②強制加入団体である Y は本件拠出金を調達するため会員に負担を 強制することはできないことなどを理由に、決議は無効であり、会員に負担金の支払義務はないと主張 して、債務不存在の確認を求めた

    設例 9 のような事案において、判例は、次のような理由から、寄附を目的の範囲内としている。 (A) 司法書士会の活動範囲 司法書士会は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関 する事務を行うことを目的とするものであるが(現司法書士法 52 条 2 項)、 その目的を遂行する上で直 接又は間接に必要な範囲で、他の司法書士会との間で業務その他について提携、協力、援助等をするこ ともその活動範囲に含まれるというべきである。 (B) 拠出金の趣旨・金額 本件拠出金は、被災者の相談活動等を行う A ないしこれに従事する司法書士への経済的支援を通じて 司法書士の業務の円滑な遂行による公的機能の回復に資することを目的とする趣旨のものであった。ま た、3000 万円という本件拠出金の額については、それがやや多額にすぎるのではないかという見方が あり得るとしても、阪神・淡路大震災が甚大な被害を生じさせた大災害であり、早急な支援を行う必要 があったことなどの事情を考慮すると、その金額の大きさをもって直ちに本件拠出金の寄付が Y の目的 の範囲を逸脱するものとまでいうことはできない。 (C) 強制加入団体 Y がいわゆる強制加入団体であることを考慮しても、本件負担金の徴収は、会員の政治的又は宗教的 立場や思想信条の自由を害するものではなく、また、本件負担金の額も、会員に社会通念上過大な負担 を課するものではないのであるから、本件負担金の徴収について、公序良俗に反するなど会員の協力義 務を否定すべき特段の事情があるとは認められない。

  • 41

    1 権利・義務の帰属点の創設 【設例 1】 A・B・C の 3 名は、コンピュータ・ソフトウェアの開発・販売事業を共同で営むことになり、「X ソフトウェア株式会社」を設立した。そして、営業所として、Y が所有するオフィスビル甲の 1 区画を賃借することにした。 法人制度の利点について

    X に権利能力が認められないとしても、A・B・C の 3 名を賃借人として、甲の賃貸借契約を締結することは可能である。さらに、誰か 1 名を他の代理人として、契約を締結することもできる。しかしながら、A・B・C のうちの誰かが共同事業から離脱した場合や、逆に D が新たに共同事業に加わろうとした場合など、複雑な問題が生じかねない。これに対して、X に権利能力が認められれば、X・Y 間で賃貸借契約を締結することが可能になり、法律関係を単純化することができる

  • 42

    【設例 1】 A・B・C の 3 名は、コンピュータ・ソフトウェアの開発・販売事業を共同で営むことになり、「X ソフトウェア株式会社」を設立した。そして、営業所として、Y が所有するオフィスビル甲の 1 区画を賃借することにした。 (1) 個人債務と団体財産の分離 【設例 1-2】設例 1 において、A 個人が、G に対して多額の債務を負うことになった。

    仮に、X に権利能力が認められなければ、団体の財産は、A・B・C の共有ということになる。したが って、A の債権者 G には、この事業体の財産に対して強制執行をかける可能性がある。 これに対して、X に権利能力が認められれば、事業体の財産は、X の財産ということになり、A 個人 の責任財産から切り離す余地が生まれる。そうすることで、A という構成員個人の財産状況に左右され ずに、事業体の財産が維持されることになり、団体活動が保障され、取引相手方も安心して団体と取引 することができる。

  • 43

    (3) 法人に社会通念上期待される行為――政治献金 【設例 2】 A 株式会社の代表取締役であった Y らは、同社を代表して、自由民主党に対して政治資金 350万円の寄付を行った。これに対して、A 社の株主である X は、会社の目的に属さない行為によって A 社に 350 万円の損害を与えたとして、その賠償を求める代表訴訟を提起した(最大判昭和 45・6・24 民集 24‐6‐625、「八幡製鉄政治献金事件」 )。 政治献金は会社の目的の範囲内であるか?

    判例は、以下のような理由から、政治献金についても会社の目的の範囲内であるとしている。 ① 会社も、社会の構成単位たる社会的実在である以上、それとしての社会的作用を負担せざるを得 ない。 ② 会社にとっても、そのような社会的作用に属する活動をすることは、企業体としての円滑な発展 を図るうえで、相当の価値と効果を認めることができる。 ③ 会社がその社会的役割を果たすために相当な程度の出捐をすることは、社会通念上、会社として むしろ当然のことに属するので、株主その他の会社の構成員の予測に反するものではない。

  • 44

    【設例 7】病院を経営する財団法人 X は、寄附行為に定める目的の範囲外の事業を行うために、病院の 敷地・建物の全部と備品器具等を Y₁に売却した(本件売買)。X は、その 1 年 4 カ月後に、新事業のた めの寄附行為変更の認可を受けた。その後、Y₁から売買物件買戻しの申し出があったが、X は、その資 金も病院経営の意思もないとして、この申出を拒絶した。そこで、Y₁は、当該物件を Y₂に売り渡し、 以後 Y₂が病院の経営にあたっていた。また、X より譲り受けて以来、病院の施設・設備は、 Y らによっ て拡充されてきた。これらの事情の下で、X は、本件売買から 7 年 10 カ月余を経て、目的の範囲外の 行為であったとして、本件売買の無効を主張した(最判昭和 51・4・23 民集 30‐3‐306)。 Xの主張は許されるか?

    判例は、X の主張を信義則上許されないものとしている

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    問題一覧

  • 1

    法人とは?

    自然人以外で権利能力(法人格)を認められるもの

  • 2

    法人制度が必要とされる理由3つ

    1権利・義務の帰属点の創設 2 団体財産と個人財産の分離  (1) 個人債務と団体財産の分離  (2) 団体債務と個人財産の分離

  • 3

    有限責任とは?

    団体が負った債務については、団体財産のみが責任財産となり、構成員の財産は強制執行されないとすること

  • 4

    無限責任とは?

    団体財産の確保が十分でなく、団体債権者の保護が十分に図られない場合には、構成員の個人財産に対する強制執行が認められること

  • 5

    法人擬制説とは?

    権利義務の主体は、本来自然人に限られるべきであり、法が特別に自然人に擬して権利能力を認めた ものが、法人であるとする説

  • 6

    法人擬制説の法人と代表者の関係は? (1)法律行為 (2)不法行為

    (1) 法律行為 法律行為においては、代表者が法人を代理するということになる。 (2) 不法行為 代表者という別人格がした不法行為による責任を、法人が引き受けるということになる。

  • 7

    法人実在説とは?

    法人は、法が擬制したものではなく、社会的に実在するものであり、そうした実在に権利能力が認められたものであるとする 説

  • 8

    法人実在説の法人と代表者との関係は? (1)法律行為 (2)不法行為

    (1) 法律行為 代表者が法人を代表してした法律行為は、法人自身の行為ということになる。 (2) 不法行為 代表者のした不法行為は、法人自身による不法行為ということになる。

  • 9

    社団法人とは?

    人の団体に権利能力を認めた法人

  • 10

    財団法人とは?

    財産の集合に権利能力を認めた法人

  • 11

    営利法人とは?

    法人が、事業によって得た利益を社員に分配する事を目的とする法人

  • 12

    公益法人とは?

    学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人

  • 13

    無限責任とは?

    社員個人の財産が法人債権者の債権の引当てとなること

  • 14

    有限責任とは?

    法人債権者の債権の引当てとなるのが法人の財産だけであること

  • 15

    法人法定主義とは?

    いかなる団体に法人格を付与するかは法律(国家)の決定すべき事項であるとする考え

  • 16

    法人法定主義は団体設立自由の原則を限定するものか?

    団体設立自由の原則は、設立された団体が法人格を有することまで保障するものではないが、団体の設立自体が制約されるわけではない

  • 17

    法人の設立に国家がどの程度関与するかについてのいくつかの立法主義6つ

    特許主義 許可主義 認可主義 認証主義 準則主義 当然設立

  • 18

    定款とは?

    当該法人の基本的規則およびその内容を記載した書面または電磁的記録

  • 19

    一般社団法人の設立時、社員は何人必要か?

    2人以上必要

  • 20

    定款の記載事項種類4つ

    必要的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項・無益的記載事項

  • 21

    必要的記載事項とは?

    必ず定款に記載しなければならない事項

  • 22

    相対的記載事項とは?

    一般社団・財団法人法の規定により「定款の定めがなければその効力を生じない事項」

  • 23

    任意規定事項とは?

    必要的記載事項・相対的記載事項以外の事項で、一般社団・財団法人法の規定に違反しないもの

  • 24

    無益的記載事項とは?

    定款に記載しても、効力を有しない事項

  • 25

    定款がその効力を生じるためには何が必要か?

    公証人の認証

  • 26

    一般財団法人に特有の相対的記載事項は?

    基本財産の定め

  • 27

    法人の権利能力の制限2つ

    法人の性質上、法人に帰属しえない権利義務や法的地位 法令による制限

  • 28

    法人の権利能力は?

    法人は、「定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において」権利を有し、義務を負う(34 条)

  • 29

    イギリス法におけるウルトラ・ヴァイレス理論とは?

    「会社は定款によって明示的または黙示的に認められた目的の範囲内においてのみ行為することができ、この目的の範囲を越えてした行為は、会社の能力外(ultra vires)の行為で無効である」という考え方

  • 30

    権利能力制限説(判例)とは?

    「法人の目的の範囲」による制限を、権利能力の範囲を制限したものと解し、法人は、目的の範囲外の行為について、およそ権利義務を取得しえず、一切の責任を負わないという考え方

  • 31

    法人の権利能力制限説の問題点2つ

    債務不履行責任や不法行為責任の説明困難 ウルトラ・ヴァイレス理論の不当性

  • 32

    代理権権限説(通説)とは?

    目的の範囲による制限を代表者の代理権の制限とする見解

  • 33

    ある行為が目的の範囲内であるか否かを判断する判例の基準2つ

    (1) 目的遂行に必要な行為 (2) 必要性の客観的・抽象的判断

  • 34

    営利法人に目的遂行に必要だと認められている行為3つ

    (1) 目的を遂行するのに通常役立つ行為 (2) 法人を維持するのに役立つ行為 (3) 法人に社会通念上期待される行為

  • 35

    員外貸付 【設例 3】農業協同組合 X は、定款により、組合資金貸付の対象を組合員に限定し、非組合員に対する 貸し付けを禁止していた。Y₁は、X の代表者として、組合員ではない Y₂らに対して、250 万円を貸し 付けた。 Y₁は、この不当貸付の責任を追及され、組合代表者を辞任するとともに、内金 240 万円につき、Y₂のため X に対して保証した。X が、Y₁・Y₂らに対して、各々の債務の弁済を求めたところ、Y らは、貸付は目的の範囲外であり無効であると主張した

    農協 X の資金貸付事業は、定款により、組合員を対象とするものに限定されている――設立根拠法で ある農業協同組合法において既に制限されている。相手方 Y₂らも、通常、このことを認識しているはずである。したがって、非組合員である Y₂らへの貸付は、明らかに目的の範囲に属さないものであり、無効である。もっとも、契約が無効とされても、 X は、 Y₂らに対して、不当利得の返還を請求することができる 。また、Y₁の保証債務が不当利得返還債務にまで及ぶ可能性についても、否定されない。

  • 36

    【設例 6】X は、労働金庫 A から、架空の会員名義で金銭を借用し、自己所有の不動産に抵当権を設定 した。この抵当権が実行され、Y が当該不動産を競落した。これに対して、X は、A による貸付は金庫 の目的の範囲外の員外貸付として無効であり、したがって抵当権も無効である、などと主張して、所有 権移転登記の抹消登記手続きを求めた

    このような労働金庫による会員外への貸付も、無効とされる。しかしながら、判例は、次のような理 由から、X の無効主張を信義則違反であるとしている。 ① X 自ら虚偽の会員名義で貸付を受け、当該金銭を利用したのであるから、貸付行為が無効であっ ても、X は不当利得返還債務を負っている。本件抵当権も、経済的には、この不当利得返還債務を担保する趣旨を有すると見られる。よって、X が債務を弁済せずに、抵当権の無効を主張することは、信義 則上許されない。 ② 既に抵当権実行手続きが終了した後で、競落人の所有権を否定しうるとすることは、善意の第三 者の権利を自己の非を理由に否定する結果を容認するに等しく、信義則に反する。

  • 37

    【設例 5】中小企業等協同組合法に基づき設立された信用協同組合 Y は、法定の制限に反して、株式会 社 X から預金を受け入れた。預金契約に基づき、X が預金の払い戻しを求めたのに対して、Y は、当該 取引が目的の範囲外であるなどと主張した

    このような事例においても、判例は、契約を締結した組合役員が罰則を受けることはあっても、預金 契約自体が、組合本来の事業遂行に不適当なものとはいえず、公序良俗に反すると認められず、目的の 範囲外とはいえないとする。ここでも、預金の受入れが組合の経営にとって不利益をもたらすものでは ないことが、考慮されている――しかしながら、この場合には、他の金融業者の利益が害されていない かも考える必要があり、組合の利益だけから目的の範囲を判断することについては、疑問が残る。――。

  • 38

    【設例 4】 農業協同組合 X は、その経済的基礎を確立するため、非組合員 Y からリンゴの販売委託を受 けて手数料を得ることを計画し、リンゴの買付資金として、Y に多額の金銭を貸し付けた。しかしなが ら、 Y が、集荷したリンゴのほとんどを X への販売委託に回さなかったことから、多額の貸越が生じた。X が貸金の返還を求めたのに対して、Y は、目的の範囲外であるとして貸付の無効を主張した

    このような貸付は、組合の経済的基礎を確立するためのものとして、目的の範囲内と判断された。こ こでは、組合にとって実際に有益な取引であるか否か、が考慮されている。

  • 39

    【設例 8】税理士会 Y は、税理士法改正運動に要する特別資金として、各会員から特別会費 5000 円を 徴収し、 政治資金規正法上の政治団体 A に寄附する旨の決議を行った。 Y の会員である税理士 X は、こ の決議に反対であり、特別会費を納入しなかった。これを理由に、Y は、役員選挙における X の選挙権 および被選挙権を停止し、役員選挙を実施した。これに対して、X は、本件決議は無効であり、Y の措 置は不法行為であるとして、特別会費の納入義務の不存在確認、損害賠償などを求めて提訴した

    判例は、会社の場合(前掲最大判昭和 45 年)と異なり、設例 8 のような税理士会の政治献金を、目 的の範囲外と判断している。その際に、次のような理由を示している。 (A) 税理士会の公的性格 税理士会は、税理士の義務の遵守および税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導、連絡及び 監督に関する事務を行うことを目的として(現税理士法 49 条 6 項)、法が、予め税理士にその設立を義 務付け、その結果設立された法人である。したがって、 会社とは、その法的性格を異にする法人であり、 その目的の範囲についても、これを会社のように広範なものと解するならば、法の要請する公的な目的 の達成を阻害して法の趣旨を没却する結果となる。 (B) 強制加入団体 法が税理士会を強制加入の法人としている以上、会員には、様々の思想・信条及び主義・主張を有す る者が存在することが当然に予定されている。したがって、税理士会が多数決原理により決定した意思 に基づいてする活動にも、そのために会員に要請される協力義務にも、自ずから限界がある。

  • 40

    イ)災害復興支援のための寄附 【設例 9】司法書士会 Y は、阪神・淡路大震災により被災した司法書士会 A に 3000 万円の復興支援拠 出金を寄附することとし、その資金の一部として、各会員から登記申請事件 1 件当たり 50 円の特別負 担金を徴収する旨の総会決議をした。これに対して、Y の会員である X らは、①本件拠出金の寄附は Y の目的の範囲外の行為であること、②強制加入団体である Y は本件拠出金を調達するため会員に負担を 強制することはできないことなどを理由に、決議は無効であり、会員に負担金の支払義務はないと主張 して、債務不存在の確認を求めた

    設例 9 のような事案において、判例は、次のような理由から、寄附を目的の範囲内としている。 (A) 司法書士会の活動範囲 司法書士会は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関 する事務を行うことを目的とするものであるが(現司法書士法 52 条 2 項)、 その目的を遂行する上で直 接又は間接に必要な範囲で、他の司法書士会との間で業務その他について提携、協力、援助等をするこ ともその活動範囲に含まれるというべきである。 (B) 拠出金の趣旨・金額 本件拠出金は、被災者の相談活動等を行う A ないしこれに従事する司法書士への経済的支援を通じて 司法書士の業務の円滑な遂行による公的機能の回復に資することを目的とする趣旨のものであった。ま た、3000 万円という本件拠出金の額については、それがやや多額にすぎるのではないかという見方が あり得るとしても、阪神・淡路大震災が甚大な被害を生じさせた大災害であり、早急な支援を行う必要 があったことなどの事情を考慮すると、その金額の大きさをもって直ちに本件拠出金の寄付が Y の目的 の範囲を逸脱するものとまでいうことはできない。 (C) 強制加入団体 Y がいわゆる強制加入団体であることを考慮しても、本件負担金の徴収は、会員の政治的又は宗教的 立場や思想信条の自由を害するものではなく、また、本件負担金の額も、会員に社会通念上過大な負担 を課するものではないのであるから、本件負担金の徴収について、公序良俗に反するなど会員の協力義 務を否定すべき特段の事情があるとは認められない。

  • 41

    1 権利・義務の帰属点の創設 【設例 1】 A・B・C の 3 名は、コンピュータ・ソフトウェアの開発・販売事業を共同で営むことになり、「X ソフトウェア株式会社」を設立した。そして、営業所として、Y が所有するオフィスビル甲の 1 区画を賃借することにした。 法人制度の利点について

    X に権利能力が認められないとしても、A・B・C の 3 名を賃借人として、甲の賃貸借契約を締結することは可能である。さらに、誰か 1 名を他の代理人として、契約を締結することもできる。しかしながら、A・B・C のうちの誰かが共同事業から離脱した場合や、逆に D が新たに共同事業に加わろうとした場合など、複雑な問題が生じかねない。これに対して、X に権利能力が認められれば、X・Y 間で賃貸借契約を締結することが可能になり、法律関係を単純化することができる

  • 42

    【設例 1】 A・B・C の 3 名は、コンピュータ・ソフトウェアの開発・販売事業を共同で営むことになり、「X ソフトウェア株式会社」を設立した。そして、営業所として、Y が所有するオフィスビル甲の 1 区画を賃借することにした。 (1) 個人債務と団体財産の分離 【設例 1-2】設例 1 において、A 個人が、G に対して多額の債務を負うことになった。

    仮に、X に権利能力が認められなければ、団体の財産は、A・B・C の共有ということになる。したが って、A の債権者 G には、この事業体の財産に対して強制執行をかける可能性がある。 これに対して、X に権利能力が認められれば、事業体の財産は、X の財産ということになり、A 個人 の責任財産から切り離す余地が生まれる。そうすることで、A という構成員個人の財産状況に左右され ずに、事業体の財産が維持されることになり、団体活動が保障され、取引相手方も安心して団体と取引 することができる。

  • 43

    (3) 法人に社会通念上期待される行為――政治献金 【設例 2】 A 株式会社の代表取締役であった Y らは、同社を代表して、自由民主党に対して政治資金 350万円の寄付を行った。これに対して、A 社の株主である X は、会社の目的に属さない行為によって A 社に 350 万円の損害を与えたとして、その賠償を求める代表訴訟を提起した(最大判昭和 45・6・24 民集 24‐6‐625、「八幡製鉄政治献金事件」 )。 政治献金は会社の目的の範囲内であるか?

    判例は、以下のような理由から、政治献金についても会社の目的の範囲内であるとしている。 ① 会社も、社会の構成単位たる社会的実在である以上、それとしての社会的作用を負担せざるを得 ない。 ② 会社にとっても、そのような社会的作用に属する活動をすることは、企業体としての円滑な発展 を図るうえで、相当の価値と効果を認めることができる。 ③ 会社がその社会的役割を果たすために相当な程度の出捐をすることは、社会通念上、会社として むしろ当然のことに属するので、株主その他の会社の構成員の予測に反するものではない。

  • 44

    【設例 7】病院を経営する財団法人 X は、寄附行為に定める目的の範囲外の事業を行うために、病院の 敷地・建物の全部と備品器具等を Y₁に売却した(本件売買)。X は、その 1 年 4 カ月後に、新事業のた めの寄附行為変更の認可を受けた。その後、Y₁から売買物件買戻しの申し出があったが、X は、その資 金も病院経営の意思もないとして、この申出を拒絶した。そこで、Y₁は、当該物件を Y₂に売り渡し、 以後 Y₂が病院の経営にあたっていた。また、X より譲り受けて以来、病院の施設・設備は、 Y らによっ て拡充されてきた。これらの事情の下で、X は、本件売買から 7 年 10 カ月余を経て、目的の範囲外の 行為であったとして、本件売買の無効を主張した(最判昭和 51・4・23 民集 30‐3‐306)。 Xの主張は許されるか?

    判例は、X の主張を信義則上許されないものとしている