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第 11講 代理Ⅲ(表見代理)

第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
44問 • 2年前
  • Aiko Kobayashi
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    問題一覧

  • 1

    表見代理とは?

    無権代理ではあるが、代理権があるかのような事情が存在する場合に、そのような事情から代理権が あると信頼して取引関係に入った相手方を保護するために、当該無権代理行為の効果を本人に帰属させ る制度

  • 2

    表見代理が成立する場合5つ

    ① 代理権授与の表示による表見代理(109 条 1 項) ② 権限外の行為の表見代理(110 条) ③ 代理権消滅後の表見代理(112 条 1 項) ④ ①と②を組み合わせた場合(109 条 2 項) ⑤ ②と③を組み合わせた場合(112 条 2 項)

  • 3

    表見代理の効果は?

    表見代理が成立する場合には、有権代理の場合と同様に、無権代理行為の効果が本人に帰属する

  • 4

    表見代理における無権代理人の責任は?

    表見代理が成立する場合においても、相手方は、選択的に無権代理人の責任(117 条)を追及するこ とができる。相手方の催告権(114 条)や取消権(115 条)も認められる。

  • 5

    表見代理制度が如何なる原理によって基礎付けられるかに関する考え方2つ

    1 取引安全・代理制度の信用維持説 2 権利外観法理説

  • 6

    取引安全・代理制度の信用維持説

    「たまたま代理権がないために、契約の効力を主張することができないとすることは、 代理人と取引をする者の地位を著しく危険にし、取引の安全に反する」や「相手方は、代理権の有無という本人・代理人間の内部関係を容易に知りえず、表見代理を認めなければ、代理制度それ自体の信用が失われる」との理由から、表見代理制度を基礎づける考え方

  • 7

    権利外観法理説とは?

    ①代理権が存在するかのような外観の作出について本人に帰責性があり、かつ、②相手方がその外観を正当に信頼した場合には、無権代理行為の本人への効果帰属を認めてよいとする考え方

  • 8

    109 条 1 項の表見代理の成立を主張する相手方の側が主張・立証しなければならない事実の要件3つ

    ① 自称代理人と相手方との間で代理行為がされたこと(顕名を含む。) ② ①の行為に先立って、本人が相手方に対して代理権授与表示をしたこと ③ ①の行為が、②の代理権授与表示の範囲内であること

  • 9

    109 条 1 項の表見代理の成立を妨げるための本人側の阻却要件2つ

    ①代理権の不存在 ②①について、相手方の悪意、または過失があったとの評価を根拠づける事実

  • 10

    【設例 3】C は、A の委任状および実印を所持し、A の代理人と自称する B から、A が所有する甲土地 を買わないかと持ちかけられ、5000 万円で買うことにした。しかしながら、契約締結後、A が B に代 理権を授与した事実はなく、委任状は B が偽造したものであり、実印も B が A のもとから盗み出した ものであることが判明した。 Aは行為意識を有しているか?

    外部に対して何らかの行為をするという本人の意識(行為意識)が存在しなければ、代理権授与表示 の成立を認めることができない。設例 3 の A は、そのような意識を、およそ有していない。

  • 11

    主観的要素の欠如によって代理権授与表示の成立が否定される場合2つ

    行為意識の不存在と表示意識必要説の考えによる表示意識の存在

  • 12

    【設例 4】A は、B に対して、印鑑証明交付申請手続を代行してくれるように依頼し、白紙委任状およ び実印を B に交付した。B は、これらを提示して A の代理人であると偽り、C から 1000 万円を借り受 けたうえ、その担保として、A が所有する甲土地に抵当権を設定し、登記を経由した。 代理権授与表示は成立するか?

    設例 4 において、印鑑証明書の交付申請は、行政に対する行為であって、私法上の法律関係を形成す る行為(法律行為)ではない。したがって、A は、外部的な行為をするという意識は有しているとして も、何らかの法律行為をすることになるという意識(表示意識)を全く有していない。通説によれば、 この場合にも代理権授与表示が成立しうる(表示意識不要説)。これに対して、表示意識必要説に立つな らば、この場合に代理権授与表示は成立しない。

  • 13

    白紙委任状とは?

    代理人名や委任事項など記載されるべき事項の一部が空欄になっている委任状

  • 14

    【設例 6】A は、ゴルフ場会員権を B に譲渡し、その際、会員証のほかに、名義変更を行うために必要 な委任状として、白紙に実印を押した委任状 1 通を B に交付した。 B は、この手続を行わずに、会員権 をさらに C に譲渡した。C は、前記委任状に A の氏名・委任事項(名義書換)などを記載して、A の代 理人として名義変更の手続きをした。 どうなるか?

    設例 6 の事案において、A は、通常、実際に名義書換をするのは誰であっても構わないという意思を もって、白紙委任状を交付しているものと考えられる。このように、それを正当に取得した者であれば 誰が代理権を行使しても差し支えないという趣旨で、白紙委任状が交付される場合がある。この場合に は、本人が白紙委任状の取得者に対して代理権を授与しているため、有権代理

  • 15

    非輾転予定型とは?

    本人が輾転を予定することなく白紙委任状を交付し、それを取得した者が、白紙委任状を濫用 して無権代理行為をする場合のこと

  • 16

    非転輾予定型の直接型と間接型とは?

    直接型:本人から直接に交付を受けた者が白紙委任状を濫用する場合 間接型:転得者がこれを流用する場合

  • 17

    【設例 7】A は、B から融資を受けるにあたり、担保として A 所有の甲不動産に抵当権を設定することを約し、その登記手続を B に委託して、甲の登記識別情報 10・白紙委任状・印鑑証明書を交付した。B は、これらを利用して、自身が C に対して有する債務の担保として甲に抵当権を設定する旨の契約を締 結し、登記を経由した。

    ア)109 条 1 項構成 C に呈示された委任状などの書類から、 B の代理行為に対応する A による代理権授与表示が認定され るならば、109 条 1 項を適用することができる。 イ)110 条構成 A から登記手続についての代理権を与えられた B が、その代理権の範囲を超えて、 C との間で抵当権 設定契約を締結している。このような場合には、110 条を適用することができる。

  • 18

    【設例 7】A は、B から融資を受けるにあたり、担保として A 所有の甲不動産に抵当権を設定することを約し、その登記手続を B に委託して、甲の登記識別情報 10・白紙委任状・印鑑証明書を交付した。B は、これらを利用して、自身が C に対して有する債務の担保として甲に抵当権を設定する旨の契約を締 結し、登記を経由した。【設例 7-2】設例 7 において、B の代理人である D が、A から白紙委任状などの書類を受けとった。D は、これらの書類を利用して、A の代理人と称して C に甲を売却してしまった。

    本人から代理権を与えられていないが白紙委任状を交付された者が、それを濫用して無権代 理行為をすることがありうる。この場合は、端的に 109 条 1 項の問題として処理される。

  • 19

    (1) 委任事項欄非濫用型 【設例 8】A は、C から、C が B を通じて他から融資を得る際に保証して欲しいと依頼され、これに承 諾した。そこで、A は、保証人となることなどについて、B または B の委任する第三者に代理権を与え る目的で、白紙委任状および印鑑証明書などを B に交付した。しかしながら、 B を通じての融資が失敗 に終わったので、C が、A へ返却するために、B からこれらの書類の返還を受けた。ところが、C は、 D から金銭を借り受けるため、D にこれらの書類を呈示し、A の代理人と自称して、自己の債務の担保 のために連帯保証契約を締結した

    第一に、単に代理人欄ないし相手方欄の空白が濫用されたにとどまり、委任事項欄の濫用は、たとえ あっても顕著ではない場合がある。設例 8 では、本人 A が意図していた委任事項(保証)と無権代理行 為(連帯保証)とが、基本的に一致している。このような事案では、表見代理の成立を認めたとしても、 本人の負担が、当人が覚悟していた負担に比して、それほど大きくならない。判例は、このような事案 において、109 条 1 項の適用による相手方 D の保護を肯定している。

  • 20

    110 条の意義

    たとえ代理人であっても、本人から与えられた代理権の範囲外の代理行為をすれば、無権代理である。 もっとも、代理人がどの範囲で代理権を与えられているかは、相手方から見て、必ずしも明確ではない。 そこで、110 条は、代理人が代理権の範囲外の行為をし、相手方が、その行為につき代理権があるもの と正当に信じた場合に、表見代理の成立を認めている。

  • 21

    権利外の行為の表見代理の成立を求めるものが主張・立証すべき事実3つ

    ① 自称代理人と相手方との間で代理行為がされたこと ② ①の行為の際に、当該行為以外の特定事項について、代理人が代理権を有していたこと(=「権限」) ③ 相手方が①の行為について自称代理人に代理権があると信じたこと、および、その信頼につき正当 な理由があったとの評価を根拠づける事実(=「正当な理由」)

  • 22

    基本代理権説(判例)の原則と例外

    原則 110 条にいう「権限」を、原則として法律行為をする代理権(基本代理権)でなければならないとする考え方 例外 判例は、公法上の行為である登記申請行為の代理権について、一定の場合に基本代理権た ることを認めている。

  • 23

    基本権限説とは?

    110 条にいう「権限」とは、法律行為であるか事実行為であるかを問わず、対外的に重要な行為をす る権限であれば足りる、とする説

  • 24

    110条の第3者とは?

    無権代理行為の直接の相手方のみを指し、無権代理行為の目的物の転得者を含まない

  • 25

    110条の正当な理由の意味

    「正当な理由」は、代理権があると信じたこと(善意)につき過失がなかったことを意味

  • 26

    正当な理由の判断枠組み3つ

    ア)代理権の存在を推測させる中核的事情の存在 イ)不審事由がある場合 ウ)相手方の調査・確認義務

  • 27

    本人が与えた代理権の内容と実際の行為内容とが著しく乖離する場合には、本人保護のために何条が類推適用されるか?

    95条(錯誤)

  • 28

    1 制限行為能力者の法定代理 【設例 14】未成年者 A には、後見人 B と後見監督人 Z が選任されていた。B は、A 所有の甲土地を A の代理人として C に売却したが、この契約について Z の同意を得ていなかった。 1-1 問題の所在 未成年の後見人は、後見監督人がいる場合、未成年者に代わって 13 条 1 項各号所定の行為をするに あたり、後見監督人の同意を得なければならない(864 条)。不動産の処分は、13 条 1 項 3 号に該当す る行為であり、同意を得ないでした場合には、無権代理行為となる。それでは、設例 14 において、 C は、110 条の表見代理の成立を主張することができるか。

    (1) 適用肯定説(判例) 表見代理を取引安全のための制度だとする見解からは、相手方に正当な理由があれば、本人が代理権 を与えたわけではない法定代理の場合にも、110 条を適用してよいとされている。 (2) 適用否定説 表見代理の趣旨を権利外観法理に求める現在の有力説からは、本人が代理権授与に関与していない法 定代理の場合には、本人の帰責性が欠けており、110 条を適用することができないとされる。

  • 29

    代理権消滅後の表見代理 【設例 17】甲不動産の所有者である X は、自らが取締役をしている H ホテルに、甲を賃貸していた。 そうこうするうちに、H ホテルは赤字経営に陥り、その経験・才覚により他から融資を得ることを期待 された A が、代表取締役に就任した。同時に、A は、X から、第三者に売却することなど広く甲に関す る権限を委ねられ、甲の登記識別情報も知らされた。その後、A に広範な権限を委ねておくことに不安 を覚えた X は、この委任関係を解消する旨を A に通知した。しかしながら、その 2 日後、A は、H ホ テルの資金を調達するために、X のためにすることを示して、金融業者 Y との間で、甲を 5000 万円で 売り渡す旨の契約を締結した。当時、Y は、A に代理権がないことを知らなかった 112 条 1 項の意義とは?

    本人 X と代理人 A の間の委任関係が終了し、代理権が消滅すれば、A がその後に行った代理行為は 無権代理となる。しかしながら、 X への効果帰属が認められないと、代理権の存在を信じて A と取引関 係に入った相手方 Y は、不測の損害を被るおそれがある。そこで、112 条 1 項は、代理権消滅後に代理 行為が行われたが、相手方が代理権の消滅を知らなかった場合にも、表見代理の成立を認めている。

  • 30

    112条1項の表見代理の成立を主張する相手方が主張・立証しなければならない事実4つ

    ① 自称代理人が、かつて代理権を有していたこと ② ①の代理権の範囲内において、自称代理人と相手方との間で代理行為がされたこと ③ ②の代理行為時に、①の代理権が消滅していたこと ④ 相手方が代理権消滅の事実を知らなかったこと

  • 31

    112条1項の表見代理の成立を求める相手方に対する本人側の阻却要件1つ

    ⑤ 代理権消滅の事実を知らなかったことについて、相手方に過失があったとの評価を根拠づける事実

  • 32

    112条1項は法定代理に適用可能か?

    112 条 1 項が「他人に代理権を与えた者は」と規定していることから、適用できない

  • 33

    【設例 17-2】設例 17 において、X は、A に対して、H ホテルのために融資を得た場合に、甲に抵当 権を設定する権限を与え、白紙委任状・実印・登記識別情報を交付した。その後、X は、この委任関係 を解消する旨を A に伝達し、上記委任状等の返還を要求した。しかしながら、その 2 日後、 A は、 H ホ テルの資金を調達するために、上記委任状等を呈示して、X のためにすることを示して、金融業者 Y と の間で、甲を 5000 万円で売り渡す旨の契約を締結し、登記を経由した。 表見代理は成立するのか?

    X には、A との委任関係を終了したにもかかわらず、白紙委任状などを適切に回収し なかった帰責性がある。他方で、 Y は、このような場合にも A に代理権ありと正当に信じる可能性があ る。そこで、このような場合にも、代理権が存在するものと正当に信頼した相手方を保護するために、 表見代理の成立が認められている

  • 34

    112 条 2 項の表見代理の成立を主張する相手方が主張・立証すべき事実4つ

    ① 自称代理人が、かつて代理権を有していたこと ② ④の代理行為時に、①の代理権が消滅していたこと ③ 相手方が代理権消滅の事実を知らなかったこと(善意) ④自称代理人と相手方との間で、①の代理権の範囲を超える代理行為がされたこと ⑤ ④の行為について、自称代理人に代理権があると信じたこと、および、そう信ずべき正当な理由があ ったとの評価を根拠づける事実

  • 35

    112 条 2 項の表見代理の成立を主張する相手方に対し、本人側の阻却要件2つ

    ①代理権消滅の事実を知らなかったことについて、相手方に過失があったとの評価を根拠づける事実 ②正当な理由があったとの評価を妨げる事実

  • 36

    Ⅱ 代理権授与表示と権限踰越の競合(109 条 2 項) 【設例 18】Y は、A に対して山林甲を売却し、所有権移転登記手続を A に委ねるべく、A の代理人 B に対して、A に渡してもらう趣旨で、印鑑証明書・売渡証書・白紙委任状等を交付した。これらの書類 を受領した A は、それらを改めて B に交付し、A の代理人として、X との間で、甲と X が所有する山 林乙との交換に当たらせた。ところが、B は、X に対して A の代理人であるとは告げず、Y から交付さ れた上記各書類を呈示して Y の代理人の如く装い、X・Y 間での甲乙交換契約を締結した。そこで、X は、Y に対して、甲の所有権移転登記手続を請求した 109 条 2 項の意義とは?

    1 109 条 2 項の意義 設例 18 のような場合には、109 条 1 項の表見代理も 110 条の表見代理も成立しない。B が呈示した 書類の中に売渡証書が含まれていることから、X に対してされた代理権授与表示は、甲売却に関する B への代理権授与を示すものであるといえる。これに対して、実際に B がした代理行為は、交換契約であ るため、代理権授与表示の範囲内での無権代理行為がされたわけではない。ゆえに、109 条 1 項の表見 代理は成立しない。また、B は、Y から何らかの基本代理権を与えられていたわけではない。したがっ て、110 条の表見代理も成立しない。 しかしながら、Y には、所持人が代理人であると見られるような書類を交付した点で帰責性がある。 そこで、この場合にも、代理権の存在を正当に信頼した相手方を保護するために、表見代理の成立が認 められている

  • 37

    109 条 2 項の表見代理の成立を主張する相手方が主張・立証しなければならない事実3つ

    ① ②の行為に先立って、本人が相手方に対して代理権授与表示をしたこと ② 自称代理人と相手方との間で、①の代理権授与表示の範囲を超える代理行為がされたこと ③ ②の行為について自称代理人に代理権があると信じたこと、および、そう信ずべき正当な理由があ ったこと

  • 38

    109 条 2 項の表見代理の成立を争う本人の側が主張・立証しなければならないいずれかの事実2つ

    ①代理権授与表示に対応する代理権の不存在について、相手方の悪意または過失があったとの評価を 根拠づける事実 ②正当な理由があったとの評価を妨げる事実

  • 39

    109 条 1 項の法理の拡張――本人名義の使用許諾 【設例 5】東京地方裁判所厚生部は、戦時中から同裁判所職員の福利厚生をはかるため、生活物資の購 入活動を続けてきた組織であり、自然と一般に「厚生部」と呼ばれるようになったものであり、専ら同 裁判所の職員が運営にあたっていた。その後、東京地方裁判所事務局総務課に「厚生係」がおかれるこ とになり、同裁判所は、それまで「厚生部」の事業に携わっていた職員Aらを「厚生係」に充てたが、 同時に、従来どおり「厚生部」の事業を継続処理することも認めていた。Aらは、厚生係室に充てられ 「事務局総務課厚生係」の表札を掲げた部屋において、「東京地方裁判所厚生部」の名義で取引をし、そ の際に、発注書・支払証明書といった官庁の取引類似の様式を用い、発注書には「東地裁総厚第 号」 と記載し、支払証明書には裁判所の庁印を使用するなどしていた。 繊維製品などの販売業者である X は、「東京地方裁判所厚生部」から繊維製品の注文を受け、商品の 引渡しを先履行とする売買契約を締結した。しかしながら、 X が商品を引き渡したにもかかわらず、「厚 生部」から代金の支払がされなかったため、 X は、 Y(東京地方裁判所=国)に対して、売買代金の支払 を請求した(最判昭和 35・10・21 民集 14‐12‐2661[百選Ⅰ-27]、東京地裁厚生部事件)。 1 問題の所在 設例 5 において、 X は、「東京地方裁判所厚生部」という名義から、この組織が東京地方裁判所の一部 局であると信じて――すなわち、厚生部=東京地裁と信じて――、取引に入ったものと考えられる。こ のとき、 X は、 「厚生部」を東京地裁の代理人と信じていたわけではないから、表見代理の規定を直接適用することはできない 7。それでは、X の信頼は、いかにして保護されるのか。

    およそ、一般に、他人に自己の名称、商号等の使用を許し、もしくはその者が自己 のために取引をする権限ある旨を表示し、もってその他人のする取引が自己の取引なるかの如く見える 外形を作り出した者は、この外形を信頼して取引した第三者に対し、自ら責に任ずべきであ(る) 」と述 べ、「東京地方裁判所当局が、『厚生部』の事業の継続処理を認めた以上、これにより、東京地方裁判所 は、『厚生部』のする取引が自己の取引なるかの如く見える外形を作り出したものと認めるべきであり、 若し、『厚生部』の取引の相手方である上告人(X)が善意無過失でその外形を信頼したものとすれば、 同裁判所は上告人に対し本件取引につき自ら責に任ずべきものと解するのが相当である ここでは、「他人に対して自己の名で行為することを許諾した者は、それに基づいて当該他人が自己 の名で行為し、相手方が自己への効果帰属を信頼した場合に、相手方の信頼を保護するために、当該行 為の効果を負担しなければならない。」という 109 条 1 項の趣旨が、実際の行為者と行為者が使った名 称が示す者とが同一であると相手方が信じた場合に拡張されている。

  • 40

    (2) 委任事項欄濫用型 【設例 9】A は、B から 1200 万円を借り受けるにあたり、担保として自己が所有する甲不動産に抵当 権を設定することとし、登記手続を委託する趣旨で、甲の登記識別情報・白紙委任状・印鑑証明書を B に交付した。しかしながら、B は、抵当権設定登記手続をすることなく、これらの情報・書類を C に交 付した。C は、それらを用いて、A の代理人であると偽り、D との間で、甲につき極度額 1 億円とする 根抵当権設定契約および停止条件付代物弁済契約を締結した(最判昭和 39・ 5・ 23 民集 18‐4‐621 [百 選Ⅰ-26]をもとにした事案)。 委任事項欄の空白も相当程度に濫用された場合、すなわち、委任状交付に際して本人が意図 した委任内容と、転得者が代理人として相手方と取引した内容とが、大きく食い違う場合がある。この 場合には、本人が当初の予測を大きく上回る不利益を被る危険性があるため、本人の帰責性を考慮に入 れたとしても、何らかの保護を考える必要がある。

    (A) 代理権授与表示否定説 11 最高裁裁判例には、このような場合に代理権授与表示が成立しないとしたものがある。それによると、 不動産登記手続に要する書類は、輾転流通することを常態とするものではないため、本人がとくに誰が 行使しても差し支えない趣旨で交付した場合は別として、転得者が濫用した場合にまで、本人が契約の 効果を甘受しなければならないものではない。ここでは、転得者によって表示が行われるということを 本人が認識していたような場合でなければ、転得者による表示を本人に帰責することができない――本 人による表示であるということはできない――、という判断がされている。

  • 41

    基本代理権説の正当化根拠2つ

    (1) 静的安全と取引安全の調和 18 第一に、110 条が取引安全を図る制度であるとの理解をもとに、相手方の動的安全に対して、本人の 静的安全を保護するための最小限の要件として、基本代理権が要求される、とする見解 (2) 表示意識必要説 19 第二に、表示意識を意思表示の成立要件とすることを前提に、110 条の表見代理についても、本人に 法律行為をするという意識がなければ、本人に帰責することができないとの主張がされている。この見 解によれば、公法上の行為を委任したにすぎない者や、対外的な事実行為を委任したにすぎない者は、 法律行為をするという認識を有していないため、これらの者に法律行為責任を負わせることはできない。 ただし、登記申請が法律行為を原因として行われる場合、登記が されれば債務の弁済とその受領という私法上の効果が生じるため、この登記申請の委託を、法律行為に よる法律関係形成に準じるものとみることができ、基本代理権性を肯定してよいとする。

  • 42

    代理人の権限 【設例 10】A 社の代表取締役である B は、X 社から、A の X に対する電気製品の継続的取引上の債務 につき、連帯保証人を立てるように要求された。B は、Y から、A が他から社員寮を賃借するにあたり 保証人となることの承諾を得、保証契約締結の権限を与えられ、実印の交付を受けていた。そこで、B は、この権限を超えて、A の X に対する債務につき、Y の名で連帯根保証契約を締結した。後日、A が 倒産したため、X は、Y に対して債務の弁済を求めた(最判昭和 51・6・25 民集 30‐6‐665[百選Ⅰ -29])。 【設例 11】Y は、Z 金融会社の勧誘員であったが、健康上の理由から自ら勧誘業務にあたることができ ず、実際には長男 A を勧誘にあたらせていた。A は、X の勧誘に成功し、X から Z に対して 30 万円の 貸付けがされた。その際、A は、X から Y が連帯保証人となるよう求められたため、Y の印鑑を無断で 使用して、Z の X に対する債務につき、連帯保証契約を締結した。後日、Y は、X から保証債務の履行 を求められた(最判昭和 35・2・19 民集 14‐2‐250[百選Ⅰ-28])。 【設例 12】 X は、 A に対して実印を交付し、印鑑証明書下付申請手続一切を依頼した。当時営業不振に より困窮していた A は、この実印および下付された印鑑証明書を悪用し、 Y との間で、 Y が A に商品を 供給し、その担保として X が所有する土地家屋に抵当権を設定する旨の契約を締結し、登記を経由し た。これを知った X は、Y に対して、抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた(最判昭和 39・4・2 民 集 18‐4‐497)。 【設例 13】Y は、A に対して自己所有の土地一筆を贈与した。その際、Y は、同土地の所有権移転登記 手続を A に委ね、実印・印鑑証明書・権利証 16を A に交付した。 A は、これらを利用して、Y の承諾を 受けることなく、A の X に対する債務を担保するために、X・Y 間の連帯保証契約を締結した(最判昭 和 46・6・3 民集 25‐4‐455)。 基本代理権説で考えると基本代理権に当たるもの、当たらないものはそれぞれどれか?

    設例 10 では、保証契約締結についての代理権が与えられているため、B に基本代理権が 存在する 17。これに対して、設例 11 においては、A に勧誘という事実行為の代行しか委ねられていな いため、基本代理権があるとはいえない。また、設例 12 についても、印鑑証明書下付申請手続は公法 上の行為に過ぎないため、その代理権は基本代理権にあたらない。設例 13 のような事案において、「単なる公法上の行為についての代理権は民法 110 条の規定による表見代理の成立の要件たる基本代理権にあたらないと解すべきであるとしても、その行為が特定の私法上の取引行為の一環としてなされるものであるときは、右規定の適用に関しても、その行為の私法上の作用を看過することはできない」として、契約の履行として行われる登記申請行為の代理権が基本代理権たりうることを認めた。

  • 43

    代理人の権限 【設例 10】A 社の代表取締役である B は、X 社から、A の X に対する電気製品の継続的取引上の債務 につき、連帯保証人を立てるように要求された。B は、Y から、A が他から社員寮を賃借するにあたり 保証人となることの承諾を得、保証契約締結の権限を与えられ、実印の交付を受けていた。そこで、B は、この権限を超えて、A の X に対する債務につき、Y の名で連帯根保証契約を締結した。後日、A が 倒産したため、X は、Y に対して債務の弁済を求めた(最判昭和 51・6・25 民集 30‐6‐665[百選Ⅰ -29])。 【設例 11】Y は、Z 金融会社の勧誘員であったが、健康上の理由から自ら勧誘業務にあたることができ ず、実際には長男 A を勧誘にあたらせていた。A は、X の勧誘に成功し、X から Z に対して 30 万円の 貸付けがされた。その際、A は、X から Y が連帯保証人となるよう求められたため、Y の印鑑を無断で 使用して、Z の X に対する債務につき、連帯保証契約を締結した。後日、Y は、X から保証債務の履行 を求められた(最判昭和 35・2・19 民集 14‐2‐250[百選Ⅰ-28])。 【設例 12】 X は、 A に対して実印を交付し、印鑑証明書下付申請手続一切を依頼した。当時営業不振に より困窮していた A は、この実印および下付された印鑑証明書を悪用し、 Y との間で、 Y が A に商品を 供給し、その担保として X が所有する土地家屋に抵当権を設定する旨の契約を締結し、登記を経由し た。これを知った X は、Y に対して、抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた(最判昭和 39・4・2 民 集 18‐4‐497)。 【設例 13】Y は、A に対して自己所有の土地一筆を贈与した。その際、Y は、同土地の所有権移転登記 手続を A に委ね、実印・印鑑証明書・権利証 16を A に交付した。 A は、これらを利用して、Y の承諾を 受けることなく、A の X に対する債務を担保するために、X・Y 間の連帯保証契約を締結した(最判昭 和 46・6・3 民集 25‐4‐455)。 基本権限説によれば表見代理が成立する設例はどれか?

    設例 10 や 13 のほか、設例 11 の場合についても、110 条の表見代理が成立する可能性がある

  • 44

    基本権限説の正当化根拠2つ

    (1) 本人の帰責性=外観作出への関与 (2) 法律行為と事実行為という区別の不当性 事実行為の中にも対外的に重要な意味を有するものがあるのに対して(多額の投資取引の勧誘など)、 法律行為の中にもごく些細な取引が含まれる(数百円の文具購入など)。そうすると、上記の意味での帰 責性があるか否かを判断するうえで、法律行為か事実行為かという区別は不当

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    第4回

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    問題一覧

  • 1

    表見代理とは?

    無権代理ではあるが、代理権があるかのような事情が存在する場合に、そのような事情から代理権が あると信頼して取引関係に入った相手方を保護するために、当該無権代理行為の効果を本人に帰属させ る制度

  • 2

    表見代理が成立する場合5つ

    ① 代理権授与の表示による表見代理(109 条 1 項) ② 権限外の行為の表見代理(110 条) ③ 代理権消滅後の表見代理(112 条 1 項) ④ ①と②を組み合わせた場合(109 条 2 項) ⑤ ②と③を組み合わせた場合(112 条 2 項)

  • 3

    表見代理の効果は?

    表見代理が成立する場合には、有権代理の場合と同様に、無権代理行為の効果が本人に帰属する

  • 4

    表見代理における無権代理人の責任は?

    表見代理が成立する場合においても、相手方は、選択的に無権代理人の責任(117 条)を追及するこ とができる。相手方の催告権(114 条)や取消権(115 条)も認められる。

  • 5

    表見代理制度が如何なる原理によって基礎付けられるかに関する考え方2つ

    1 取引安全・代理制度の信用維持説 2 権利外観法理説

  • 6

    取引安全・代理制度の信用維持説

    「たまたま代理権がないために、契約の効力を主張することができないとすることは、 代理人と取引をする者の地位を著しく危険にし、取引の安全に反する」や「相手方は、代理権の有無という本人・代理人間の内部関係を容易に知りえず、表見代理を認めなければ、代理制度それ自体の信用が失われる」との理由から、表見代理制度を基礎づける考え方

  • 7

    権利外観法理説とは?

    ①代理権が存在するかのような外観の作出について本人に帰責性があり、かつ、②相手方がその外観を正当に信頼した場合には、無権代理行為の本人への効果帰属を認めてよいとする考え方

  • 8

    109 条 1 項の表見代理の成立を主張する相手方の側が主張・立証しなければならない事実の要件3つ

    ① 自称代理人と相手方との間で代理行為がされたこと(顕名を含む。) ② ①の行為に先立って、本人が相手方に対して代理権授与表示をしたこと ③ ①の行為が、②の代理権授与表示の範囲内であること

  • 9

    109 条 1 項の表見代理の成立を妨げるための本人側の阻却要件2つ

    ①代理権の不存在 ②①について、相手方の悪意、または過失があったとの評価を根拠づける事実

  • 10

    【設例 3】C は、A の委任状および実印を所持し、A の代理人と自称する B から、A が所有する甲土地 を買わないかと持ちかけられ、5000 万円で買うことにした。しかしながら、契約締結後、A が B に代 理権を授与した事実はなく、委任状は B が偽造したものであり、実印も B が A のもとから盗み出した ものであることが判明した。 Aは行為意識を有しているか?

    外部に対して何らかの行為をするという本人の意識(行為意識)が存在しなければ、代理権授与表示 の成立を認めることができない。設例 3 の A は、そのような意識を、およそ有していない。

  • 11

    主観的要素の欠如によって代理権授与表示の成立が否定される場合2つ

    行為意識の不存在と表示意識必要説の考えによる表示意識の存在

  • 12

    【設例 4】A は、B に対して、印鑑証明交付申請手続を代行してくれるように依頼し、白紙委任状およ び実印を B に交付した。B は、これらを提示して A の代理人であると偽り、C から 1000 万円を借り受 けたうえ、その担保として、A が所有する甲土地に抵当権を設定し、登記を経由した。 代理権授与表示は成立するか?

    設例 4 において、印鑑証明書の交付申請は、行政に対する行為であって、私法上の法律関係を形成す る行為(法律行為)ではない。したがって、A は、外部的な行為をするという意識は有しているとして も、何らかの法律行為をすることになるという意識(表示意識)を全く有していない。通説によれば、 この場合にも代理権授与表示が成立しうる(表示意識不要説)。これに対して、表示意識必要説に立つな らば、この場合に代理権授与表示は成立しない。

  • 13

    白紙委任状とは?

    代理人名や委任事項など記載されるべき事項の一部が空欄になっている委任状

  • 14

    【設例 6】A は、ゴルフ場会員権を B に譲渡し、その際、会員証のほかに、名義変更を行うために必要 な委任状として、白紙に実印を押した委任状 1 通を B に交付した。 B は、この手続を行わずに、会員権 をさらに C に譲渡した。C は、前記委任状に A の氏名・委任事項(名義書換)などを記載して、A の代 理人として名義変更の手続きをした。 どうなるか?

    設例 6 の事案において、A は、通常、実際に名義書換をするのは誰であっても構わないという意思を もって、白紙委任状を交付しているものと考えられる。このように、それを正当に取得した者であれば 誰が代理権を行使しても差し支えないという趣旨で、白紙委任状が交付される場合がある。この場合に は、本人が白紙委任状の取得者に対して代理権を授与しているため、有権代理

  • 15

    非輾転予定型とは?

    本人が輾転を予定することなく白紙委任状を交付し、それを取得した者が、白紙委任状を濫用 して無権代理行為をする場合のこと

  • 16

    非転輾予定型の直接型と間接型とは?

    直接型:本人から直接に交付を受けた者が白紙委任状を濫用する場合 間接型:転得者がこれを流用する場合

  • 17

    【設例 7】A は、B から融資を受けるにあたり、担保として A 所有の甲不動産に抵当権を設定することを約し、その登記手続を B に委託して、甲の登記識別情報 10・白紙委任状・印鑑証明書を交付した。B は、これらを利用して、自身が C に対して有する債務の担保として甲に抵当権を設定する旨の契約を締 結し、登記を経由した。

    ア)109 条 1 項構成 C に呈示された委任状などの書類から、 B の代理行為に対応する A による代理権授与表示が認定され るならば、109 条 1 項を適用することができる。 イ)110 条構成 A から登記手続についての代理権を与えられた B が、その代理権の範囲を超えて、 C との間で抵当権 設定契約を締結している。このような場合には、110 条を適用することができる。

  • 18

    【設例 7】A は、B から融資を受けるにあたり、担保として A 所有の甲不動産に抵当権を設定することを約し、その登記手続を B に委託して、甲の登記識別情報 10・白紙委任状・印鑑証明書を交付した。B は、これらを利用して、自身が C に対して有する債務の担保として甲に抵当権を設定する旨の契約を締 結し、登記を経由した。【設例 7-2】設例 7 において、B の代理人である D が、A から白紙委任状などの書類を受けとった。D は、これらの書類を利用して、A の代理人と称して C に甲を売却してしまった。

    本人から代理権を与えられていないが白紙委任状を交付された者が、それを濫用して無権代 理行為をすることがありうる。この場合は、端的に 109 条 1 項の問題として処理される。

  • 19

    (1) 委任事項欄非濫用型 【設例 8】A は、C から、C が B を通じて他から融資を得る際に保証して欲しいと依頼され、これに承 諾した。そこで、A は、保証人となることなどについて、B または B の委任する第三者に代理権を与え る目的で、白紙委任状および印鑑証明書などを B に交付した。しかしながら、 B を通じての融資が失敗 に終わったので、C が、A へ返却するために、B からこれらの書類の返還を受けた。ところが、C は、 D から金銭を借り受けるため、D にこれらの書類を呈示し、A の代理人と自称して、自己の債務の担保 のために連帯保証契約を締結した

    第一に、単に代理人欄ないし相手方欄の空白が濫用されたにとどまり、委任事項欄の濫用は、たとえ あっても顕著ではない場合がある。設例 8 では、本人 A が意図していた委任事項(保証)と無権代理行 為(連帯保証)とが、基本的に一致している。このような事案では、表見代理の成立を認めたとしても、 本人の負担が、当人が覚悟していた負担に比して、それほど大きくならない。判例は、このような事案 において、109 条 1 項の適用による相手方 D の保護を肯定している。

  • 20

    110 条の意義

    たとえ代理人であっても、本人から与えられた代理権の範囲外の代理行為をすれば、無権代理である。 もっとも、代理人がどの範囲で代理権を与えられているかは、相手方から見て、必ずしも明確ではない。 そこで、110 条は、代理人が代理権の範囲外の行為をし、相手方が、その行為につき代理権があるもの と正当に信じた場合に、表見代理の成立を認めている。

  • 21

    権利外の行為の表見代理の成立を求めるものが主張・立証すべき事実3つ

    ① 自称代理人と相手方との間で代理行為がされたこと ② ①の行為の際に、当該行為以外の特定事項について、代理人が代理権を有していたこと(=「権限」) ③ 相手方が①の行為について自称代理人に代理権があると信じたこと、および、その信頼につき正当 な理由があったとの評価を根拠づける事実(=「正当な理由」)

  • 22

    基本代理権説(判例)の原則と例外

    原則 110 条にいう「権限」を、原則として法律行為をする代理権(基本代理権)でなければならないとする考え方 例外 判例は、公法上の行為である登記申請行為の代理権について、一定の場合に基本代理権た ることを認めている。

  • 23

    基本権限説とは?

    110 条にいう「権限」とは、法律行為であるか事実行為であるかを問わず、対外的に重要な行為をす る権限であれば足りる、とする説

  • 24

    110条の第3者とは?

    無権代理行為の直接の相手方のみを指し、無権代理行為の目的物の転得者を含まない

  • 25

    110条の正当な理由の意味

    「正当な理由」は、代理権があると信じたこと(善意)につき過失がなかったことを意味

  • 26

    正当な理由の判断枠組み3つ

    ア)代理権の存在を推測させる中核的事情の存在 イ)不審事由がある場合 ウ)相手方の調査・確認義務

  • 27

    本人が与えた代理権の内容と実際の行為内容とが著しく乖離する場合には、本人保護のために何条が類推適用されるか?

    95条(錯誤)

  • 28

    1 制限行為能力者の法定代理 【設例 14】未成年者 A には、後見人 B と後見監督人 Z が選任されていた。B は、A 所有の甲土地を A の代理人として C に売却したが、この契約について Z の同意を得ていなかった。 1-1 問題の所在 未成年の後見人は、後見監督人がいる場合、未成年者に代わって 13 条 1 項各号所定の行為をするに あたり、後見監督人の同意を得なければならない(864 条)。不動産の処分は、13 条 1 項 3 号に該当す る行為であり、同意を得ないでした場合には、無権代理行為となる。それでは、設例 14 において、 C は、110 条の表見代理の成立を主張することができるか。

    (1) 適用肯定説(判例) 表見代理を取引安全のための制度だとする見解からは、相手方に正当な理由があれば、本人が代理権 を与えたわけではない法定代理の場合にも、110 条を適用してよいとされている。 (2) 適用否定説 表見代理の趣旨を権利外観法理に求める現在の有力説からは、本人が代理権授与に関与していない法 定代理の場合には、本人の帰責性が欠けており、110 条を適用することができないとされる。

  • 29

    代理権消滅後の表見代理 【設例 17】甲不動産の所有者である X は、自らが取締役をしている H ホテルに、甲を賃貸していた。 そうこうするうちに、H ホテルは赤字経営に陥り、その経験・才覚により他から融資を得ることを期待 された A が、代表取締役に就任した。同時に、A は、X から、第三者に売却することなど広く甲に関す る権限を委ねられ、甲の登記識別情報も知らされた。その後、A に広範な権限を委ねておくことに不安 を覚えた X は、この委任関係を解消する旨を A に通知した。しかしながら、その 2 日後、A は、H ホ テルの資金を調達するために、X のためにすることを示して、金融業者 Y との間で、甲を 5000 万円で 売り渡す旨の契約を締結した。当時、Y は、A に代理権がないことを知らなかった 112 条 1 項の意義とは?

    本人 X と代理人 A の間の委任関係が終了し、代理権が消滅すれば、A がその後に行った代理行為は 無権代理となる。しかしながら、 X への効果帰属が認められないと、代理権の存在を信じて A と取引関 係に入った相手方 Y は、不測の損害を被るおそれがある。そこで、112 条 1 項は、代理権消滅後に代理 行為が行われたが、相手方が代理権の消滅を知らなかった場合にも、表見代理の成立を認めている。

  • 30

    112条1項の表見代理の成立を主張する相手方が主張・立証しなければならない事実4つ

    ① 自称代理人が、かつて代理権を有していたこと ② ①の代理権の範囲内において、自称代理人と相手方との間で代理行為がされたこと ③ ②の代理行為時に、①の代理権が消滅していたこと ④ 相手方が代理権消滅の事実を知らなかったこと

  • 31

    112条1項の表見代理の成立を求める相手方に対する本人側の阻却要件1つ

    ⑤ 代理権消滅の事実を知らなかったことについて、相手方に過失があったとの評価を根拠づける事実

  • 32

    112条1項は法定代理に適用可能か?

    112 条 1 項が「他人に代理権を与えた者は」と規定していることから、適用できない

  • 33

    【設例 17-2】設例 17 において、X は、A に対して、H ホテルのために融資を得た場合に、甲に抵当 権を設定する権限を与え、白紙委任状・実印・登記識別情報を交付した。その後、X は、この委任関係 を解消する旨を A に伝達し、上記委任状等の返還を要求した。しかしながら、その 2 日後、 A は、 H ホ テルの資金を調達するために、上記委任状等を呈示して、X のためにすることを示して、金融業者 Y と の間で、甲を 5000 万円で売り渡す旨の契約を締結し、登記を経由した。 表見代理は成立するのか?

    X には、A との委任関係を終了したにもかかわらず、白紙委任状などを適切に回収し なかった帰責性がある。他方で、 Y は、このような場合にも A に代理権ありと正当に信じる可能性があ る。そこで、このような場合にも、代理権が存在するものと正当に信頼した相手方を保護するために、 表見代理の成立が認められている

  • 34

    112 条 2 項の表見代理の成立を主張する相手方が主張・立証すべき事実4つ

    ① 自称代理人が、かつて代理権を有していたこと ② ④の代理行為時に、①の代理権が消滅していたこと ③ 相手方が代理権消滅の事実を知らなかったこと(善意) ④自称代理人と相手方との間で、①の代理権の範囲を超える代理行為がされたこと ⑤ ④の行為について、自称代理人に代理権があると信じたこと、および、そう信ずべき正当な理由があ ったとの評価を根拠づける事実

  • 35

    112 条 2 項の表見代理の成立を主張する相手方に対し、本人側の阻却要件2つ

    ①代理権消滅の事実を知らなかったことについて、相手方に過失があったとの評価を根拠づける事実 ②正当な理由があったとの評価を妨げる事実

  • 36

    Ⅱ 代理権授与表示と権限踰越の競合(109 条 2 項) 【設例 18】Y は、A に対して山林甲を売却し、所有権移転登記手続を A に委ねるべく、A の代理人 B に対して、A に渡してもらう趣旨で、印鑑証明書・売渡証書・白紙委任状等を交付した。これらの書類 を受領した A は、それらを改めて B に交付し、A の代理人として、X との間で、甲と X が所有する山 林乙との交換に当たらせた。ところが、B は、X に対して A の代理人であるとは告げず、Y から交付さ れた上記各書類を呈示して Y の代理人の如く装い、X・Y 間での甲乙交換契約を締結した。そこで、X は、Y に対して、甲の所有権移転登記手続を請求した 109 条 2 項の意義とは?

    1 109 条 2 項の意義 設例 18 のような場合には、109 条 1 項の表見代理も 110 条の表見代理も成立しない。B が呈示した 書類の中に売渡証書が含まれていることから、X に対してされた代理権授与表示は、甲売却に関する B への代理権授与を示すものであるといえる。これに対して、実際に B がした代理行為は、交換契約であ るため、代理権授与表示の範囲内での無権代理行為がされたわけではない。ゆえに、109 条 1 項の表見 代理は成立しない。また、B は、Y から何らかの基本代理権を与えられていたわけではない。したがっ て、110 条の表見代理も成立しない。 しかしながら、Y には、所持人が代理人であると見られるような書類を交付した点で帰責性がある。 そこで、この場合にも、代理権の存在を正当に信頼した相手方を保護するために、表見代理の成立が認 められている

  • 37

    109 条 2 項の表見代理の成立を主張する相手方が主張・立証しなければならない事実3つ

    ① ②の行為に先立って、本人が相手方に対して代理権授与表示をしたこと ② 自称代理人と相手方との間で、①の代理権授与表示の範囲を超える代理行為がされたこと ③ ②の行為について自称代理人に代理権があると信じたこと、および、そう信ずべき正当な理由があ ったこと

  • 38

    109 条 2 項の表見代理の成立を争う本人の側が主張・立証しなければならないいずれかの事実2つ

    ①代理権授与表示に対応する代理権の不存在について、相手方の悪意または過失があったとの評価を 根拠づける事実 ②正当な理由があったとの評価を妨げる事実

  • 39

    109 条 1 項の法理の拡張――本人名義の使用許諾 【設例 5】東京地方裁判所厚生部は、戦時中から同裁判所職員の福利厚生をはかるため、生活物資の購 入活動を続けてきた組織であり、自然と一般に「厚生部」と呼ばれるようになったものであり、専ら同 裁判所の職員が運営にあたっていた。その後、東京地方裁判所事務局総務課に「厚生係」がおかれるこ とになり、同裁判所は、それまで「厚生部」の事業に携わっていた職員Aらを「厚生係」に充てたが、 同時に、従来どおり「厚生部」の事業を継続処理することも認めていた。Aらは、厚生係室に充てられ 「事務局総務課厚生係」の表札を掲げた部屋において、「東京地方裁判所厚生部」の名義で取引をし、そ の際に、発注書・支払証明書といった官庁の取引類似の様式を用い、発注書には「東地裁総厚第 号」 と記載し、支払証明書には裁判所の庁印を使用するなどしていた。 繊維製品などの販売業者である X は、「東京地方裁判所厚生部」から繊維製品の注文を受け、商品の 引渡しを先履行とする売買契約を締結した。しかしながら、 X が商品を引き渡したにもかかわらず、「厚 生部」から代金の支払がされなかったため、 X は、 Y(東京地方裁判所=国)に対して、売買代金の支払 を請求した(最判昭和 35・10・21 民集 14‐12‐2661[百選Ⅰ-27]、東京地裁厚生部事件)。 1 問題の所在 設例 5 において、 X は、「東京地方裁判所厚生部」という名義から、この組織が東京地方裁判所の一部 局であると信じて――すなわち、厚生部=東京地裁と信じて――、取引に入ったものと考えられる。こ のとき、 X は、 「厚生部」を東京地裁の代理人と信じていたわけではないから、表見代理の規定を直接適用することはできない 7。それでは、X の信頼は、いかにして保護されるのか。

    およそ、一般に、他人に自己の名称、商号等の使用を許し、もしくはその者が自己 のために取引をする権限ある旨を表示し、もってその他人のする取引が自己の取引なるかの如く見える 外形を作り出した者は、この外形を信頼して取引した第三者に対し、自ら責に任ずべきであ(る) 」と述 べ、「東京地方裁判所当局が、『厚生部』の事業の継続処理を認めた以上、これにより、東京地方裁判所 は、『厚生部』のする取引が自己の取引なるかの如く見える外形を作り出したものと認めるべきであり、 若し、『厚生部』の取引の相手方である上告人(X)が善意無過失でその外形を信頼したものとすれば、 同裁判所は上告人に対し本件取引につき自ら責に任ずべきものと解するのが相当である ここでは、「他人に対して自己の名で行為することを許諾した者は、それに基づいて当該他人が自己 の名で行為し、相手方が自己への効果帰属を信頼した場合に、相手方の信頼を保護するために、当該行 為の効果を負担しなければならない。」という 109 条 1 項の趣旨が、実際の行為者と行為者が使った名 称が示す者とが同一であると相手方が信じた場合に拡張されている。

  • 40

    (2) 委任事項欄濫用型 【設例 9】A は、B から 1200 万円を借り受けるにあたり、担保として自己が所有する甲不動産に抵当 権を設定することとし、登記手続を委託する趣旨で、甲の登記識別情報・白紙委任状・印鑑証明書を B に交付した。しかしながら、B は、抵当権設定登記手続をすることなく、これらの情報・書類を C に交 付した。C は、それらを用いて、A の代理人であると偽り、D との間で、甲につき極度額 1 億円とする 根抵当権設定契約および停止条件付代物弁済契約を締結した(最判昭和 39・ 5・ 23 民集 18‐4‐621 [百 選Ⅰ-26]をもとにした事案)。 委任事項欄の空白も相当程度に濫用された場合、すなわち、委任状交付に際して本人が意図 した委任内容と、転得者が代理人として相手方と取引した内容とが、大きく食い違う場合がある。この 場合には、本人が当初の予測を大きく上回る不利益を被る危険性があるため、本人の帰責性を考慮に入 れたとしても、何らかの保護を考える必要がある。

    (A) 代理権授与表示否定説 11 最高裁裁判例には、このような場合に代理権授与表示が成立しないとしたものがある。それによると、 不動産登記手続に要する書類は、輾転流通することを常態とするものではないため、本人がとくに誰が 行使しても差し支えない趣旨で交付した場合は別として、転得者が濫用した場合にまで、本人が契約の 効果を甘受しなければならないものではない。ここでは、転得者によって表示が行われるということを 本人が認識していたような場合でなければ、転得者による表示を本人に帰責することができない――本 人による表示であるということはできない――、という判断がされている。

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    基本代理権説の正当化根拠2つ

    (1) 静的安全と取引安全の調和 18 第一に、110 条が取引安全を図る制度であるとの理解をもとに、相手方の動的安全に対して、本人の 静的安全を保護するための最小限の要件として、基本代理権が要求される、とする見解 (2) 表示意識必要説 19 第二に、表示意識を意思表示の成立要件とすることを前提に、110 条の表見代理についても、本人に 法律行為をするという意識がなければ、本人に帰責することができないとの主張がされている。この見 解によれば、公法上の行為を委任したにすぎない者や、対外的な事実行為を委任したにすぎない者は、 法律行為をするという認識を有していないため、これらの者に法律行為責任を負わせることはできない。 ただし、登記申請が法律行為を原因として行われる場合、登記が されれば債務の弁済とその受領という私法上の効果が生じるため、この登記申請の委託を、法律行為に よる法律関係形成に準じるものとみることができ、基本代理権性を肯定してよいとする。

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    代理人の権限 【設例 10】A 社の代表取締役である B は、X 社から、A の X に対する電気製品の継続的取引上の債務 につき、連帯保証人を立てるように要求された。B は、Y から、A が他から社員寮を賃借するにあたり 保証人となることの承諾を得、保証契約締結の権限を与えられ、実印の交付を受けていた。そこで、B は、この権限を超えて、A の X に対する債務につき、Y の名で連帯根保証契約を締結した。後日、A が 倒産したため、X は、Y に対して債務の弁済を求めた(最判昭和 51・6・25 民集 30‐6‐665[百選Ⅰ -29])。 【設例 11】Y は、Z 金融会社の勧誘員であったが、健康上の理由から自ら勧誘業務にあたることができ ず、実際には長男 A を勧誘にあたらせていた。A は、X の勧誘に成功し、X から Z に対して 30 万円の 貸付けがされた。その際、A は、X から Y が連帯保証人となるよう求められたため、Y の印鑑を無断で 使用して、Z の X に対する債務につき、連帯保証契約を締結した。後日、Y は、X から保証債務の履行 を求められた(最判昭和 35・2・19 民集 14‐2‐250[百選Ⅰ-28])。 【設例 12】 X は、 A に対して実印を交付し、印鑑証明書下付申請手続一切を依頼した。当時営業不振に より困窮していた A は、この実印および下付された印鑑証明書を悪用し、 Y との間で、 Y が A に商品を 供給し、その担保として X が所有する土地家屋に抵当権を設定する旨の契約を締結し、登記を経由し た。これを知った X は、Y に対して、抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた(最判昭和 39・4・2 民 集 18‐4‐497)。 【設例 13】Y は、A に対して自己所有の土地一筆を贈与した。その際、Y は、同土地の所有権移転登記 手続を A に委ね、実印・印鑑証明書・権利証 16を A に交付した。 A は、これらを利用して、Y の承諾を 受けることなく、A の X に対する債務を担保するために、X・Y 間の連帯保証契約を締結した(最判昭 和 46・6・3 民集 25‐4‐455)。 基本代理権説で考えると基本代理権に当たるもの、当たらないものはそれぞれどれか?

    設例 10 では、保証契約締結についての代理権が与えられているため、B に基本代理権が 存在する 17。これに対して、設例 11 においては、A に勧誘という事実行為の代行しか委ねられていな いため、基本代理権があるとはいえない。また、設例 12 についても、印鑑証明書下付申請手続は公法 上の行為に過ぎないため、その代理権は基本代理権にあたらない。設例 13 のような事案において、「単なる公法上の行為についての代理権は民法 110 条の規定による表見代理の成立の要件たる基本代理権にあたらないと解すべきであるとしても、その行為が特定の私法上の取引行為の一環としてなされるものであるときは、右規定の適用に関しても、その行為の私法上の作用を看過することはできない」として、契約の履行として行われる登記申請行為の代理権が基本代理権たりうることを認めた。

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    代理人の権限 【設例 10】A 社の代表取締役である B は、X 社から、A の X に対する電気製品の継続的取引上の債務 につき、連帯保証人を立てるように要求された。B は、Y から、A が他から社員寮を賃借するにあたり 保証人となることの承諾を得、保証契約締結の権限を与えられ、実印の交付を受けていた。そこで、B は、この権限を超えて、A の X に対する債務につき、Y の名で連帯根保証契約を締結した。後日、A が 倒産したため、X は、Y に対して債務の弁済を求めた(最判昭和 51・6・25 民集 30‐6‐665[百選Ⅰ -29])。 【設例 11】Y は、Z 金融会社の勧誘員であったが、健康上の理由から自ら勧誘業務にあたることができ ず、実際には長男 A を勧誘にあたらせていた。A は、X の勧誘に成功し、X から Z に対して 30 万円の 貸付けがされた。その際、A は、X から Y が連帯保証人となるよう求められたため、Y の印鑑を無断で 使用して、Z の X に対する債務につき、連帯保証契約を締結した。後日、Y は、X から保証債務の履行 を求められた(最判昭和 35・2・19 民集 14‐2‐250[百選Ⅰ-28])。 【設例 12】 X は、 A に対して実印を交付し、印鑑証明書下付申請手続一切を依頼した。当時営業不振に より困窮していた A は、この実印および下付された印鑑証明書を悪用し、 Y との間で、 Y が A に商品を 供給し、その担保として X が所有する土地家屋に抵当権を設定する旨の契約を締結し、登記を経由し た。これを知った X は、Y に対して、抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた(最判昭和 39・4・2 民 集 18‐4‐497)。 【設例 13】Y は、A に対して自己所有の土地一筆を贈与した。その際、Y は、同土地の所有権移転登記 手続を A に委ね、実印・印鑑証明書・権利証 16を A に交付した。 A は、これらを利用して、Y の承諾を 受けることなく、A の X に対する債務を担保するために、X・Y 間の連帯保証契約を締結した(最判昭 和 46・6・3 民集 25‐4‐455)。 基本権限説によれば表見代理が成立する設例はどれか?

    設例 10 や 13 のほか、設例 11 の場合についても、110 条の表見代理が成立する可能性がある

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    基本権限説の正当化根拠2つ

    (1) 本人の帰責性=外観作出への関与 (2) 法律行為と事実行為という区別の不当性 事実行為の中にも対外的に重要な意味を有するものがあるのに対して(多額の投資取引の勧誘など)、 法律行為の中にもごく些細な取引が含まれる(数百円の文具購入など)。そうすると、上記の意味での帰 責性があるか否かを判断するうえで、法律行為か事実行為かという区別は不当