第 24講 占有(権)Ⅱ
問題一覧
1
その者が占有を正当化する権利(本権)を有するこ とが推定される(188 条)
2
1 法律上の権利推定説(通説) 一般に、188 条による推定は、「法律上の権利推定」であるとされている――この意味については、 第 17 講において、登記による権利推定の性質に関して説明した。――。したがって、推定を覆そうと する者は、本権の不存在について完全な立証(本証)をしなければならない。 2 事実上の推定説 もっとも、占有を立証することが比較的容易である一方、本権が存在しないことを完全に立証するの は、非常に困難である。というのは、厳密にいえば、ありうる全ての本権発生原因が存在しないこと、 または、何らかの本権消滅原因が存在することを、立証しなければならないからである。 そこで、188 条の推定は事実上の推定に過ぎないとする少数説が、主張されている――事実上の推定 の意味についても、第 17 講を参照せよ。――。この説によれば、推定を覆そうとする者は、裁判官の 確信を動揺させ、本権の存在につき真偽不明の状態に追い込めば足りる(反証)。
3
所有者が占有者の無権原を主張して返還を求める場合、188 条の推定は働かない 1。この場合には、 占有者が本権を有するかが直接的な争点であるところ、占有による本権推定を認めては、推定を覆すこ とが非常に困難であることも相まって、返還請求者にとって不公平だからである。同様のことは、地上 権や賃借権に基づく返還請求についてもいえる。
4
働く。 即時取得の要件として無過失 があるが、前主の占有につき 188 条の推定が働くため、即時取得者は、前主の権利を信じてもよいとさ れ、無過失が推定されることになる
5
設例 2 のような動産に対する不法行為の場合にも、本権の推定が働く
6
188 条によって、登記請求権は基礎づけられない。188 条は、占有の性質上、本権の存在を推定する だけであるのに対して、登記は、権利の取得原因までも記録するものだからである
7
通説によれば、登記がある不動産に対して、188 条は適用されない。この場合には、不動産登記にも 権利推定力が認められるところ(既述)、推定力の基礎にある権利存在の蓋然性の程度において、登記 の方がはるかに高いため、登記の権利推定力が優先する。
8
通説は、未登記不動産に 188 条が適用されるとする(反対説もある。)。引渡しが公示方法とされてい る不動産(建物賃借権につき借地借家 31 条 1 項を参照。)についても、同様に解されている。
9
1 善意占有者の果実収取権 1-1 趣旨 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得することができる(189 条 1 項)。この規定の根拠と しては、次のようなことが挙げられている。 ① 果実は、元物を占有する者が収取して消費するのが通常であるから、自らに果実収取権があると 誤信する占有者に対して、後に本権者からその返還を請求することができるとすると、占有者にとって 過酷である――この理由づけが、最も一般的に挙げられる。――。 ② 本権者は、果実を生じる間、権利の行使を怠っていたのだから、果実を得られなくてもやむを得 ない非難可能性がある。 ③ 果実の産出は、占有者の資本と労力の供給によることが多い。 1-2 効果――収取し得る果実 189 条 1 項により収取が認められる果実は、天然果実と法定果実(設例 6①)とを含む。また、占有 者が自ら物を利用していた場合の使用利益についても、元物の使用価値の取得であるという点で法定果 実(賃料)と同視しうることから、善意占有者は返還を免れる(設例 6②)。
10
果実収取権を包含する本権(所有権・地上権・永小作権・賃借権など) があると信じること
11
悪意の占有者は、「果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実 の代価を償還する義務を負う」(190 条 1 項)。
12
果実収取権を包含する本権があると信じていなかったこと
13
ある利益が、帰属権原を有しない者に帰属しているため、その利益の保持が「法律上の原因」を欠き、 法秩序によって正当化されない場合、つまり他人の財貨を無断で利用して利得した場合
14
イ)189・190 条の優先 他人の物を無断で使用収益した場合の果実・使用利益の返還については、物権法の規定(189・190 条)が不当利得の一般規定(703・704 条)に優先して適用される(特別法と一般法の関係)。したがっ て、設例 6 においては、703 条以下の適用が排除される。
15
ある人からある人に対して給付がされたところ、その原因となった法律関係が存在し ていなかったために、給付利益の保持が「法律上の原因」を欠き、法秩序によって正当化されない場合
16
ア)189・190 条の不適用 121 条の 2 は、無効な有償契約の清算において、利得消滅の抗弁を認めていない。ここでは、一方当 事者が、善意であるからといって、自己の返還義務を免れつつ、相手方に対して返還を求めるのは、不 公平である、との考え方が採られている。これと同様に考えると、この場面では、善意占有者に一方的 に果実・使用利益の返還を免れさせることも適切ではなく、189・190 条を適用すべきではない。 イ)575 条の類推適用可能性 そのうえで、双方が果実・使用利益返還義務を免れることができるよう、575 条を類推適用すること ができるか、が争われている。 (A) 575 条類推適用肯定説 575 条が類推適用され、例えば売買契約の清算であれば、目的物が返還されるまで、売主は代金の利 息を支払わなくてよく、買主も目的物の果実・使用利益を取得することができる、とする。 (B) 575 条類推適用否定説 575 条は、双務契約の履行において、給付と反対給付とが主観的等価関係にあることを前提とする規 定である。しかしながら、契約の無効・取消しが問題となる場合には、給付と反対給付との間に主観的 等価関係があるとはいえない。したがって、 575 条を類推すべきではなく、双方が相手方に対して果実・ 使用利益を返還しなければならない、とする。
17
無効な無償契約の清算においては、善意者に利得消滅の抗弁が認められている(121 条の 2 第 2 項)。 このことを踏まえると、無償契約に基づく善意占有者には、189 条 1 項の果実収取権を認めてもよさそ うである。しかしながら、 121 条の 2 において原状回復の思想を重視する立法がされたことに鑑みると、 利益が現存している限り、善意者であっても果実の返還義務を負うものと考えるべき
18
1 悪意占有者(本文前段) 悪意占有者は、損害全部の賠償義務を負うものとされている。 2 善意占有者 (1) 自主占有者(本文後段) 善意の自主占有者は、占有物の「滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をす る義務を負う」。例えば、占有物を売却して代金を受け取った場合や、占有物を滅失させた第三者から 賠償金を得た場合には、その分の利得を回復者に返還しなければならない。 このような責任軽減の根拠は、次の点にある。すなわち、善意の自主占有者は、物を自己の所有物だ と信じて占有しているところ、他人の物を扱う場合と同様に注意義務を負わせることはできないという 点である。 (2) 他主占有者(ただし書) 他主占有者は、善意であっても損害全部を賠償しなければならない。他主占有者は、たとえ占有権原 を有していたとしても、いずれ物を返還しなければならない立場にあり、返還するまで物の保管につき 善管注意義務を負っている。そのため、自主占有者の場合のような責任軽減は、要請されない。
19
必要費の償還請求権(1 項)と 有益費(2 項)
20
物の修理費や固定資産税(公租公課)など、物の管理・保存に要する費用
21
(1) 原則 原則として、占有者は、回復者に対して、必要費全額の償還を請求することができる(1 項本文)。必 要費の支出によって、回復者は原状を維持した物を回復することができるのだから、その費用は回復者 が負担すべきだからである。 (2) 例外 ただし、果実を取得した占有者は、通常の必要費を負担しなければならない(1 項ただし書)。果実は、 元物に必要費が投下された結果として生じたものと、評価することができるからである。通常の必要費 とは、物を普通に使用していれば生じる修理費や、物の所有に当然に伴う租税負担等である。
22
物の利用・改良のために支出し、物の価値を増加せしめる費用
23
占有者は、回復者に対して、物の返還時に価値増加が現存する場合に限り、償還を請求することがで きる。ただし、回復者は、占有者の支出額と増加額のいずれかを選択することができる(2 項本文) 有益費を支出して物に改良を加えるかは、本来本権者が決めるべきことであるため、占有者が有益費を支 出しても、償還請求可能な範囲が限定
24
占有者が物を返還する時である。ただし、有益費については、悪意占有者に対しては、回復者の請求により、裁判所が相当の期限を許与することができる(2 項ただし書)。
25
占有者は、その占有が侵害された場合やそのおそれがある場合に、占有(権)の効果として、占有の 回復や妨害の予防などを求める権利
26
(1) 本権の保護機能 第一に、本権の立証が困難なため本権に基づく請求が難しい場合に、占有に基づく請求を認めること で、その背後にある本権を保護する機能がある。もっとも、占有・登記の推定力や取得時効などを活用 すれば、本権の立証はさして困難ではない、との指摘がある。 (2) 債権的利用権の保護機能 第二に、賃借権などの債権が第三者によって侵害された場合に、物権的請求権を行使することができ ない賃借人等を保護する機能を有する。とはいえ、 (対抗要件を備えた)不動産賃借人には賃借権に基 づく妨害排除請求権や返還請求権が認められていること (605 条の 4) 、他の利用権者も所有者が有する物権的請求権を代位行使しうることから、占有の訴えが重要となる場面は少ない。 (3) 社会秩序の維持機能 第三に、自力救済を禁止するとともに、事実的支配状態を簡易迅速に保護することで、社会秩序を維 持する機能がある。しかしながら、この機能に対しても、占有の訴えの存在が自力救済の抑止にどの程 度まで寄与するか疑問である、また、簡易迅速な手続が用意されているわけではなく、むしろ本権保護 手段である仮処分制度がこの機能を果たしている、などの指摘がある。
27
各種の占有の訴えを提起することができるのは、占有者である(197 条前段)。ここには、「他人のた めに占有をする者」(占有代理人)も含まれる(同条後段)。これに対し、占有補助者は、占有訴権を有 しない。
28
損害賠償請求を除き、現在の侵害者
29
占有を妨害された占有者が、その妨害の停止および損害賠償を求める訴えであ る。物権的妨害排除請求権に対応する。
30
(以下では、請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする。) ① X による甲の占有 ② Y が占有侵奪以外の方法で甲の占有を妨害していること
31
(以下では、請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする。) ① X による甲の占有 ② Y が占有侵奪以外の方法で甲の占有を妨害していること ③損害の発生とその額 ④妨害と損害との因果関係 ⑤Y の故意または過失
32
妨害停止請求は、「妨害が存する間」のみ 損害賠償請求も、妨害の消滅した後 1年以内に提起しなければならない ただし、工事により占有物に損害を生じた場合、その工事に着手した時から 1 年を経過し、またはそ の工事が完成したときは、訴えを提起することができない(ただし書)。
33
占有者は、妨害の発生を予防する措置を講じること、または、将来妨害が 発生した場合の損害賠償の担保を請求することができる。物権的妨害予防請求権に対応
34
請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする ① X による甲の占有 ② Y が占有を妨害する危険の発生 ③ 妨害予防のために、訴えにおいて求める措置を講じる必要性があること
35
請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする。 ① X による甲の占有 ② Y が占有を妨害する危険の発生 ③妨害が生じた場合に X が被るべき損害額
36
「妨害の危険の存する間」提起することができる(前段)。ただし、工事により占 有物に損害を生ずるおそれがあるときは、占有保持の場合と同様に規律が妥当する(後段)。 (201 条 2 項)
37
占有を奪われた占有者は、物の回収(返還)を求めることができるととも に、物の侵奪によって生じた損害の賠償を求めることができる。物権的返還請求権に対応している。
38
① X が甲を占有していたこと ② Y が甲を占有していること (ただし、Y が侵奪によって甲の占有を取得したのでなければ、請求は否定される。)
39
① X が甲を占有していたこと ② Y が甲を占有していること (ただし、Y が侵奪によって甲の占有を取得したのでなければ、請求は否定される。) ③損害の発生とその額、 ④占有侵奪と損害との因果関係 ⑤Y の故意または過失
40
(3) 特定承継人に対する請求の制限(200 条 2 項) 占有回収の訴えは、占有侵奪者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、承継人が侵 奪の事実を知っていたときは、訴えを提起しうる。
41
(4) 訴えることができる期間の制限(201 条 3 項) 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から 1 年以内に提起しなければならない。
42
(1) 請求肯定説(大審院裁判例、有力説) 大審院裁判例には、このような場合に X による占有回収の訴えを認めたものがある 2。学説の一部も、 X による返還請求を肯定している。 この見解の最大の論拠は、X の請求を認めないと、Y の自力救済を許容することになり、法が自力救 済を排して裁判手続を要求した趣旨が没却される、という点にある。 (2) 請求否定説(多数説) これに対して、学説の多数は、 Y による奪還が、 X による侵奪から 1 年以内 (201 条 3 項) であれば、 X の返還請求を否定することができるとする。その理由としては、①Y による奪還は秩序の回復と認め るべきであり (ある程度の自力救済は許されてよい。) 、他方で X による侵奪は、占有秩序を撹乱するも のとして、Y による奪還よりも多くの非難に値すること、②1 年の期間内であれば、X の占有は、未だ 保護を要するほどに安定したものとはいえないこと、③最終的には Y によって回収されるので、 X の請 求を認めても訴訟不経済であることなどが挙げられる。
43
(1) 旧訴訟物理論(判例・従来の多数説) 旧訴訟物理論からは、占有の訴えと本権の訴えとは別の訴訟物になるとして、一方にて敗訴した場合 にも、他方の訴えを提起することができるとされている。
44
(1) 反訴肯定説(判例・多数説) 判例は、 「民法 202 条 2 項は、占有の訴において本権に関する理由に基づいて裁判することを禁ずる ものであり、従って、占有の訴に対し防禦方法として本権の主張をなすことは許されないけれども、こ れに対し本権に基づく反訴を提起することは、右法条の禁ずるところではない」として、反訴として本 権の訴えを提起することを認めている 学説の多数も判例を支持しているが、その基礎には、現行法上占有の訴えに関する特別の訴訟制度は ないので、この訴えを条文の文言を超えて特別扱いする根拠や意義に乏しい、との見方がある
45
2 所有の意思の推定 所有の意思の存在は、186 条 1 項によって推定される。したがって、取得時効の成立を争う者が、他 主占有であることについての主張・立証責任を負う(既述) 。 3 推定を覆すための事実 そこで、取得時効の成立を争う者は、この推定を覆すために何を立証すればよいのか、 が問題となる。 判例・通説によれば、所有の意思は、占有者の内心の意思によってではなく、占有取得の原因(権原) の性質または占有に関する事情により、外形的・客観的に定まる。このことから、推定を覆すために立 証すべき事実として、次の 2 つが挙げられる 3-1 他主占有権原 第一に、「占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実」が 証明されれば、所有の意思が否定される。例えば、賃貸借・使用貸借・用益物権の設定などが、この意 味での他主占有権原にあたる。 設例 13 においても、「お綱の譲り渡し」によって X が得たのが、本件不動産の所有権に基づかない管理処分権限に過ぎないことが立証されれば、所有の意思が否定される。もっとも、「お綱の譲り渡し」 が贈与であると断定できないことの反面として、他主占有権原であるとも断定できない可能性がある。 3-2 他主占有事情 (1) 他主占有事情とは そこで、第二に、「占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有 者であれば当然とるべき行動に出なかったなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して 占有する意思を有していなかったものと解される事情」(他主占有事情)を主張・立証することによっ ても、所有の意思を否定することができる、とされている。 (2) 他主占有事情の考慮要因 問題は、いかなる具体的事実がある場合に、他主占有事情が認定されるかである。他主占有事情にあ たる事実としてしばしば挙げられるのは、次の 2 つである。 ア)登記手続がされていないこと 不動産の所有権移転登記手続が(請求)されていないことは、他主占有事情に当たるとされる。前掲 最判昭和 58 年は、この事情を所有の意思を否定する事実の一つとして挙げている。 もっとも、その後の判例 6は、所有権移転登記手続を求めなかったとしても、「占有者と登記簿上の所 有名義人との間の人的関係等 7によっては、所有者として異常な態度であるとはいえないこともある」 としており、登記手続の有無が、必ずしも決定的というわけではない。 イ)固定資産税の不負担 占有者が固定資産税を負担していなかったことも、他主占有事情に当たるとされる。 もっとも、判例 8は、この事情についても、「固定資産税の納付義務者は『登記簿に所有者として登記 されている者』であるから、他主占有事情として通常問題となるのは、占有者において登記簿上の所有 名義人に対し固定資産税が賦課されていることを知りながら、自分が負担すると申し出ないことである が、これについても所有権移転登記手続を求めないことと大筋において異なるところはなく、当該不動 産に賦課される税額等の事情によっては、所有者として異常な態度であるとはいえないこともある」と している。 4 他主占有から自主占有への転換(185 条) 以上のようにして他主占有であるとの立証がされた場合でも次の 2 つの事由のいずれかがあれば、 自主占有への転換が認められる。 (1) 所有の意思の表示(前段) 第一の事由は、占有者が、自己に占有させた者に対して、所有の意思があることを表示したことである。この場合には、所有の意思を表示した時点から、占有は自主占有となり、取得時効期間が進行を開 始する。 (2) 新権原(後段) 第二の事由は、占有者が、新たな権原により、さらに所有の意思をもって占有を始めたことである。 例えば、賃借人が賃借物を買い取った場合が、これにあたる。この場合には、新権原による占有開始の 時点から自主占有となり、取得時効期間が進行を開始する。
46
相続による占有(権)の承継 上記のような不都合を回避するために、判例・通説は、「被相続人の事実的支配の中にあった物は、 原則として、当然に、相続人の支配の中に承継されるとみるべきであるから、その結果として、占有権 も承継され(る)」として、相続開始時(被相続人の死亡時)に当然に、相続人に占有(権)が承継さ れるとしている したがって、設例 14 において、B は、A の死亡を知らずとも、また、実際に甲を管理していなくと も、甲に対する占有を有することになる。
47
2 固有占有肯定説(現判例 12・通説) 現在の判例・通説は、相続人にも 187 条による選択的主張を認めている――同条にいう「承継人」に 当たるとする。――。すなわち、相続人は、被相続人の占有(権)を当然に承継するとともに、自ら相 続財産の事実的支配を開始した場合には、これを基礎として、自己固有の占有を取得し、後者のみを主 張することもできる(相続人の占有の二面性)。
48
判例 ① 相続人が、被相続人の占有を承継しただけでなく、新たに占有を開始した場合において、その占 有が所有の意思に基づくものであるときは、被相続人の占有が他主占有であったとしても、相続人は、 独自の占有に基づく取得時効の成立を主張することができる 13 。 ② このとき、相続人の独自の占有が所有の意思に基づくものであるといい得るためには、取得時効 の成立を争う相手方ではなく、相続人自身が、その事実的支配が外形的客観的に見て所有の意思に基づ くものと評価される事情(自主占有事情)を、証明しなければならない。というのは、この場合には、 相続人が新たな事実的支配を開始したことによって、従来の占有の性質が変更されたものであるから、 その変更の事実は取得時効の成立を主張する者において立証すべきであり、また、相続人の所有の意思 の有無を、相続という占有取得原因事実によって決することはできないからである なお、自主占有事情の判断は、他主占有事情の判断の裏返しとなる。すなわち、所有権移転登記手続 を求めたことや、固定資産税を負担していたことなどが、重要なファクターとなるが、当事者間の人的関係等によっては、必ずしもこれらが決定的な事情となるわけではない
民法1
民法1
Aiko Kobayashi · 46問 · 2年前民法1
民法1
46問 • 2年前ニュースでわからなかった英単語
ニュースでわからなかった英単語
Aiko Kobayashi · 61問 · 2年前ニュースでわからなかった英単語
ニュースでわからなかった英単語
61問 • 2年前英単語 2
英単語 2
Aiko Kobayashi · 12問 · 2年前英単語 2
英単語 2
12問 • 2年前第1講 民法総論
第1講 民法総論
Aiko Kobayashi · 39問 · 2年前第1講 民法総論
第1講 民法総論
39問 • 2年前第2講 権利の主体I
第2講 権利の主体I
Aiko Kobayashi · 41問 · 2年前第2講 権利の主体I
第2講 権利の主体I
41問 • 2年前13 国際関係論入門
13 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 11問 · 2年前13 国際関係論入門
13 国際関係論入門
11問 • 2年前1 国際関係論入門
1 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 7問 · 2年前1 国際関係論入門
1 国際関係論入門
7問 • 2年前2 国際関係論入門
2 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 20問 · 2年前2 国際関係論入門
2 国際関係論入門
20問 • 2年前3 国際関係論入門
3 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前3 国際関係論入門
3 国際関係論入門
18問 • 2年前4国際関係論入門
4国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 8問 · 2年前4国際関係論入門
4国際関係論入門
8問 • 2年前5・6 国際関係論入門
5・6 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 21問 · 2年前5・6 国際関係論入門
5・6 国際関係論入門
21問 • 2年前7・8・9 国際関係論入門
7・8・9 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 31問 · 2年前7・8・9 国際関係論入門
7・8・9 国際関係論入門
31問 • 2年前10 国際関係論入門
10 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前10 国際関係論入門
10 国際関係論入門
18問 • 2年前11・12 国際関係論入門
11・12 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 16問 · 2年前11・12 国際関係論入門
11・12 国際関係論入門
16問 • 2年前第3講 法律行為総論・意思表示
第3講 法律行為総論・意思表示
Aiko Kobayashi · 59問 · 2年前第3講 法律行為総論・意思表示
第3講 法律行為総論・意思表示
59問 • 2年前第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
Aiko Kobayashi · 56問 · 2年前第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
56問 • 2年前第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
Aiko Kobayashi · 58問 · 2年前第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
58問 • 2年前第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
Aiko Kobayashi · 53問 · 2年前第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
53問 • 2年前第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
Aiko Kobayashi · 57問 · 2年前第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
57問 • 2年前第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
Aiko Kobayashi · 36問 · 2年前第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
36問 • 2年前第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
Aiko Kobayashi · 87問 · 2年前第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
87問 • 2年前第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
Aiko Kobayashi · 35問 · 2年前第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
35問 • 2年前第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
Aiko Kobayashi · 44問 · 2年前第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
44問 • 2年前第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
Aiko Kobayashi · 44問 · 2年前第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
44問 • 2年前第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
Aiko Kobayashi · 23問 · 2年前第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
23問 • 2年前第 14講 時効Ⅰ
第 14講 時効Ⅰ
Aiko Kobayashi · 41問 · 2年前第 14講 時効Ⅰ
第 14講 時効Ⅰ
41問 • 2年前第 15講 時効Ⅱ
第 15講 時効Ⅱ
Aiko Kobayashi · 32問 · 2年前第 15講 時効Ⅱ
第 15講 時効Ⅱ
32問 • 2年前第 16講 物権法序論・物権変動総論
第 16講 物権法序論・物権変動総論
Aiko Kobayashi · 67問 · 2年前第 16講 物権法序論・物権変動総論
第 16講 物権法序論・物権変動総論
67問 • 2年前第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
Aiko Kobayashi · 63問 · 2年前第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
63問 • 2年前第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
Aiko Kobayashi · 30問 · 2年前第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
30問 • 2年前第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
Aiko Kobayashi · 35問 · 2年前第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
35問 • 2年前第 20講 動産物権変動
第 20講 動産物権変動
Aiko Kobayashi · 31問 · 2年前第 20講 動産物権変動
第 20講 動産物権変動
31問 • 2年前第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
Aiko Kobayashi · 34問 · 2年前第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
34問 • 2年前第 1 講 憲法学への招待
第 1 講 憲法学への招待
Aiko Kobayashi · 12問 · 2年前第 1 講 憲法学への招待
第 1 講 憲法学への招待
12問 • 2年前第 2 講 法の支配と権力分立
第 2 講 法の支配と権力分立
Aiko Kobayashi · 15問 · 2年前第 2 講 法の支配と権力分立
第 2 講 法の支配と権力分立
15問 • 2年前第 3 講 議院内閣制
第 3 講 議院内閣制
Aiko Kobayashi · 15問 · 2年前第 3 講 議院内閣制
第 3 講 議院内閣制
15問 • 2年前第 4 講 象徴天皇制
第 4 講 象徴天皇制
Aiko Kobayashi · 7問 · 2年前第 4 講 象徴天皇制
第 4 講 象徴天皇制
7問 • 2年前第5講 国民代表・政党・選挙
第5講 国民代表・政党・選挙
Aiko Kobayashi · 12問 · 2年前第5講 国民代表・政党・選挙
第5講 国民代表・政党・選挙
12問 • 2年前第 6 講 国会の地位と構造
第 6 講 国会の地位と構造
Aiko Kobayashi · 11問 · 2年前第 6 講 国会の地位と構造
第 6 講 国会の地位と構造
11問 • 2年前第 7 講 内閣の地位と構造
第 7 講 内閣の地位と構造
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前第 7 講 内閣の地位と構造
第 7 講 内閣の地位と構造
18問 • 2年前第8講 立法作用
第8講 立法作用
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前第8講 立法作用
第8講 立法作用
18問 • 2年前第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
Aiko Kobayashi · 30問 · 2年前第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
30問 • 2年前第 11 講 司法権と違憲審査
第 11 講 司法権と違憲審査
Aiko Kobayashi · 32問 · 2年前第 11 講 司法権と違憲審査
第 11 講 司法権と違憲審査
32問 • 2年前第 12 講 司法権の限界
第 12 講 司法権の限界
Aiko Kobayashi · 24問 · 2年前第 12 講 司法権の限界
第 12 講 司法権の限界
24問 • 2年前第 13 講 憲法判断の方法と効果
第 13 講 憲法判断の方法と効果
Aiko Kobayashi · 26問 · 2年前第 13 講 憲法判断の方法と効果
第 13 講 憲法判断の方法と効果
26問 • 2年前第 22講 所有権Ⅱ(共有)
第 22講 所有権Ⅱ(共有)
Aiko Kobayashi · 43問 · 2年前第 22講 所有権Ⅱ(共有)
第 22講 所有権Ⅱ(共有)
43問 • 2年前第 23講 物権的請求権・占有(権)Ⅰ
第 23講 物権的請求権・占有(権)Ⅰ
Aiko Kobayashi · 25問 · 2年前第 23講 物権的請求権・占有(権)Ⅰ
第 23講 物権的請求権・占有(権)Ⅰ
25問 • 2年前第一回「憲法上の権利」の観念
第一回「憲法上の権利」の観念
Aiko Kobayashi · 38問 · 1年前第一回「憲法上の権利」の観念
第一回「憲法上の権利」の観念
38問 • 1年前英単語3
英単語3
Aiko Kobayashi · 23問 · 1年前英単語3
英単語3
23問 • 1年前刑法1
刑法1
Aiko Kobayashi · 36問 · 1年前刑法1
刑法1
36問 • 1年前英単語4
英単語4
Aiko Kobayashi · 27問 · 1年前英単語4
英単語4
27問 • 1年前第1回
第1回
Aiko Kobayashi · 15問 · 1年前第1回
第1回
15問 • 1年前第1回
第1回
Aiko Kobayashi · 10問 · 1年前第1回
第1回
10問 • 1年前英単語5
英単語5
Aiko Kobayashi · 39問 · 1年前英単語5
英単語5
39問 • 1年前第1回
第1回
Aiko Kobayashi · 10問 · 1年前第1回
第1回
10問 • 1年前第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
Aiko Kobayashi · 28問 · 1年前第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
28問 • 1年前第3回 思想・良心の自由
第3回 思想・良心の自由
Aiko Kobayashi · 21問 · 1年前第3回 思想・良心の自由
第3回 思想・良心の自由
21問 • 1年前第2回
第2回
Aiko Kobayashi · 54問 · 1年前第2回
第2回
54問 • 1年前第2回
第2回
Aiko Kobayashi · 31問 · 1年前第2回
第2回
31問 • 1年前第2回
第2回
Aiko Kobayashi · 40問 · 1年前第2回
第2回
40問 • 1年前第3回
第3回
Aiko Kobayashi · 50問 · 1年前第3回
第3回
50問 • 1年前第4回〜7回
第4回〜7回
Aiko Kobayashi · 48問 · 1年前第4回〜7回
第4回〜7回
48問 • 1年前第4回 第5回 因果関係
第4回 第5回 因果関係
Aiko Kobayashi · 41問 · 1年前第4回 第5回 因果関係
第4回 第5回 因果関係
41問 • 1年前英単語6
英単語6
Aiko Kobayashi · 42問 · 1年前英単語6
英単語6
42問 • 1年前教科書の内容
教科書の内容
Aiko Kobayashi · 7問 · 1年前教科書の内容
教科書の内容
7問 • 1年前英単語 7
英単語 7
Aiko Kobayashi · 29問 · 1年前英単語 7
英単語 7
29問 • 1年前英単語 8
英単語 8
Aiko Kobayashi · 28問 · 1年前英単語 8
英単語 8
28問 • 1年前英単語 10
英単語 10
Aiko Kobayashi · 48問 · 1年前英単語 10
英単語 10
48問 • 1年前英単語 11
英単語 11
Aiko Kobayashi · 58問 · 1年前英単語 11
英単語 11
58問 • 1年前英単語12
英単語12
Aiko Kobayashi · 68問 · 1年前英単語12
英単語12
68問 • 1年前英単語13
英単語13
Aiko Kobayashi · 73問 · 1年前英単語13
英単語13
73問 • 1年前英単語 14
英単語 14
Aiko Kobayashi · 63問 · 1年前英単語 14
英単語 14
63問 • 1年前英単語15
英単語15
Aiko Kobayashi · 49問 · 1年前英単語15
英単語15
49問 • 1年前英単語 16
英単語 16
Aiko Kobayashi · 58問 · 1年前英単語 16
英単語 16
58問 • 1年前英単語17
英単語17
Aiko Kobayashi · 69問 · 1年前英単語17
英単語17
69問 • 1年前英単語18
英単語18
Aiko Kobayashi · 53問 · 1年前英単語18
英単語18
53問 • 1年前英単語19
英単語19
Aiko Kobayashi · 54問 · 1年前英単語19
英単語19
54問 • 1年前英単語20
英単語20
Aiko Kobayashi · 63問 · 1年前英単語20
英単語20
63問 • 1年前英単語21
英単語21
Aiko Kobayashi · 63問 · 1年前英単語21
英単語21
63問 • 1年前英単語22
英単語22
Aiko Kobayashi · 72問 · 1年前英単語22
英単語22
72問 • 1年前英単語23
英単語23
Aiko Kobayashi · 100問 · 1年前英単語23
英単語23
100問 • 1年前第4回
第4回
Aiko Kobayashi · 9問 · 1年前第4回
第4回
9問 • 1年前第3回
第3回
Aiko Kobayashi · 33問 · 1年前第3回
第3回
33問 • 1年前第6回 不作為犯
第6回 不作為犯
Aiko Kobayashi · 26問 · 1年前第6回 不作為犯
第6回 不作為犯
26問 • 1年前第七回 故意(構成要件的故意)
第七回 故意(構成要件的故意)
Aiko Kobayashi · 34問 · 1年前第七回 故意(構成要件的故意)
第七回 故意(構成要件的故意)
34問 • 1年前第八回、第九回 事実の錯誤
第八回、第九回 事実の錯誤
Aiko Kobayashi · 27問 · 1年前第八回、第九回 事実の錯誤
第八回、第九回 事実の錯誤
27問 • 1年前第十回 過失
第十回 過失
Aiko Kobayashi · 32問 · 1年前第十回 過失
第十回 過失
32問 • 1年前第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
Aiko Kobayashi · 53問 · 1年前第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
53問 • 1年前第十三回、第十四回 正当防衛
第十三回、第十四回 正当防衛
Aiko Kobayashi · 45問 · 1年前第十三回、第十四回 正当防衛
第十三回、第十四回 正当防衛
45問 • 1年前第十五回 緊急避難
第十五回 緊急避難
Aiko Kobayashi · 26問 · 1年前第十五回 緊急避難
第十五回 緊急避難
26問 • 1年前第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
Aiko Kobayashi · 43問 · 1年前第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
43問 • 1年前第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
Aiko Kobayashi · 23問 · 1年前第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
23問 • 1年前第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
Aiko Kobayashi · 23問 · 1年前第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
23問 • 1年前第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
Aiko Kobayashi · 56問 · 1年前第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
56問 • 1年前第4回
第4回
Aiko Kobayashi · 31問 · 1年前第4回
第4回
31問 • 1年前問題一覧
1
その者が占有を正当化する権利(本権)を有するこ とが推定される(188 条)
2
1 法律上の権利推定説(通説) 一般に、188 条による推定は、「法律上の権利推定」であるとされている――この意味については、 第 17 講において、登記による権利推定の性質に関して説明した。――。したがって、推定を覆そうと する者は、本権の不存在について完全な立証(本証)をしなければならない。 2 事実上の推定説 もっとも、占有を立証することが比較的容易である一方、本権が存在しないことを完全に立証するの は、非常に困難である。というのは、厳密にいえば、ありうる全ての本権発生原因が存在しないこと、 または、何らかの本権消滅原因が存在することを、立証しなければならないからである。 そこで、188 条の推定は事実上の推定に過ぎないとする少数説が、主張されている――事実上の推定 の意味についても、第 17 講を参照せよ。――。この説によれば、推定を覆そうとする者は、裁判官の 確信を動揺させ、本権の存在につき真偽不明の状態に追い込めば足りる(反証)。
3
所有者が占有者の無権原を主張して返還を求める場合、188 条の推定は働かない 1。この場合には、 占有者が本権を有するかが直接的な争点であるところ、占有による本権推定を認めては、推定を覆すこ とが非常に困難であることも相まって、返還請求者にとって不公平だからである。同様のことは、地上 権や賃借権に基づく返還請求についてもいえる。
4
働く。 即時取得の要件として無過失 があるが、前主の占有につき 188 条の推定が働くため、即時取得者は、前主の権利を信じてもよいとさ れ、無過失が推定されることになる
5
設例 2 のような動産に対する不法行為の場合にも、本権の推定が働く
6
188 条によって、登記請求権は基礎づけられない。188 条は、占有の性質上、本権の存在を推定する だけであるのに対して、登記は、権利の取得原因までも記録するものだからである
7
通説によれば、登記がある不動産に対して、188 条は適用されない。この場合には、不動産登記にも 権利推定力が認められるところ(既述)、推定力の基礎にある権利存在の蓋然性の程度において、登記 の方がはるかに高いため、登記の権利推定力が優先する。
8
通説は、未登記不動産に 188 条が適用されるとする(反対説もある。)。引渡しが公示方法とされてい る不動産(建物賃借権につき借地借家 31 条 1 項を参照。)についても、同様に解されている。
9
1 善意占有者の果実収取権 1-1 趣旨 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得することができる(189 条 1 項)。この規定の根拠と しては、次のようなことが挙げられている。 ① 果実は、元物を占有する者が収取して消費するのが通常であるから、自らに果実収取権があると 誤信する占有者に対して、後に本権者からその返還を請求することができるとすると、占有者にとって 過酷である――この理由づけが、最も一般的に挙げられる。――。 ② 本権者は、果実を生じる間、権利の行使を怠っていたのだから、果実を得られなくてもやむを得 ない非難可能性がある。 ③ 果実の産出は、占有者の資本と労力の供給によることが多い。 1-2 効果――収取し得る果実 189 条 1 項により収取が認められる果実は、天然果実と法定果実(設例 6①)とを含む。また、占有 者が自ら物を利用していた場合の使用利益についても、元物の使用価値の取得であるという点で法定果 実(賃料)と同視しうることから、善意占有者は返還を免れる(設例 6②)。
10
果実収取権を包含する本権(所有権・地上権・永小作権・賃借権など) があると信じること
11
悪意の占有者は、「果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実 の代価を償還する義務を負う」(190 条 1 項)。
12
果実収取権を包含する本権があると信じていなかったこと
13
ある利益が、帰属権原を有しない者に帰属しているため、その利益の保持が「法律上の原因」を欠き、 法秩序によって正当化されない場合、つまり他人の財貨を無断で利用して利得した場合
14
イ)189・190 条の優先 他人の物を無断で使用収益した場合の果実・使用利益の返還については、物権法の規定(189・190 条)が不当利得の一般規定(703・704 条)に優先して適用される(特別法と一般法の関係)。したがっ て、設例 6 においては、703 条以下の適用が排除される。
15
ある人からある人に対して給付がされたところ、その原因となった法律関係が存在し ていなかったために、給付利益の保持が「法律上の原因」を欠き、法秩序によって正当化されない場合
16
ア)189・190 条の不適用 121 条の 2 は、無効な有償契約の清算において、利得消滅の抗弁を認めていない。ここでは、一方当 事者が、善意であるからといって、自己の返還義務を免れつつ、相手方に対して返還を求めるのは、不 公平である、との考え方が採られている。これと同様に考えると、この場面では、善意占有者に一方的 に果実・使用利益の返還を免れさせることも適切ではなく、189・190 条を適用すべきではない。 イ)575 条の類推適用可能性 そのうえで、双方が果実・使用利益返還義務を免れることができるよう、575 条を類推適用すること ができるか、が争われている。 (A) 575 条類推適用肯定説 575 条が類推適用され、例えば売買契約の清算であれば、目的物が返還されるまで、売主は代金の利 息を支払わなくてよく、買主も目的物の果実・使用利益を取得することができる、とする。 (B) 575 条類推適用否定説 575 条は、双務契約の履行において、給付と反対給付とが主観的等価関係にあることを前提とする規 定である。しかしながら、契約の無効・取消しが問題となる場合には、給付と反対給付との間に主観的 等価関係があるとはいえない。したがって、 575 条を類推すべきではなく、双方が相手方に対して果実・ 使用利益を返還しなければならない、とする。
17
無効な無償契約の清算においては、善意者に利得消滅の抗弁が認められている(121 条の 2 第 2 項)。 このことを踏まえると、無償契約に基づく善意占有者には、189 条 1 項の果実収取権を認めてもよさそ うである。しかしながら、 121 条の 2 において原状回復の思想を重視する立法がされたことに鑑みると、 利益が現存している限り、善意者であっても果実の返還義務を負うものと考えるべき
18
1 悪意占有者(本文前段) 悪意占有者は、損害全部の賠償義務を負うものとされている。 2 善意占有者 (1) 自主占有者(本文後段) 善意の自主占有者は、占有物の「滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をす る義務を負う」。例えば、占有物を売却して代金を受け取った場合や、占有物を滅失させた第三者から 賠償金を得た場合には、その分の利得を回復者に返還しなければならない。 このような責任軽減の根拠は、次の点にある。すなわち、善意の自主占有者は、物を自己の所有物だ と信じて占有しているところ、他人の物を扱う場合と同様に注意義務を負わせることはできないという 点である。 (2) 他主占有者(ただし書) 他主占有者は、善意であっても損害全部を賠償しなければならない。他主占有者は、たとえ占有権原 を有していたとしても、いずれ物を返還しなければならない立場にあり、返還するまで物の保管につき 善管注意義務を負っている。そのため、自主占有者の場合のような責任軽減は、要請されない。
19
必要費の償還請求権(1 項)と 有益費(2 項)
20
物の修理費や固定資産税(公租公課)など、物の管理・保存に要する費用
21
(1) 原則 原則として、占有者は、回復者に対して、必要費全額の償還を請求することができる(1 項本文)。必 要費の支出によって、回復者は原状を維持した物を回復することができるのだから、その費用は回復者 が負担すべきだからである。 (2) 例外 ただし、果実を取得した占有者は、通常の必要費を負担しなければならない(1 項ただし書)。果実は、 元物に必要費が投下された結果として生じたものと、評価することができるからである。通常の必要費 とは、物を普通に使用していれば生じる修理費や、物の所有に当然に伴う租税負担等である。
22
物の利用・改良のために支出し、物の価値を増加せしめる費用
23
占有者は、回復者に対して、物の返還時に価値増加が現存する場合に限り、償還を請求することがで きる。ただし、回復者は、占有者の支出額と増加額のいずれかを選択することができる(2 項本文) 有益費を支出して物に改良を加えるかは、本来本権者が決めるべきことであるため、占有者が有益費を支 出しても、償還請求可能な範囲が限定
24
占有者が物を返還する時である。ただし、有益費については、悪意占有者に対しては、回復者の請求により、裁判所が相当の期限を許与することができる(2 項ただし書)。
25
占有者は、その占有が侵害された場合やそのおそれがある場合に、占有(権)の効果として、占有の 回復や妨害の予防などを求める権利
26
(1) 本権の保護機能 第一に、本権の立証が困難なため本権に基づく請求が難しい場合に、占有に基づく請求を認めること で、その背後にある本権を保護する機能がある。もっとも、占有・登記の推定力や取得時効などを活用 すれば、本権の立証はさして困難ではない、との指摘がある。 (2) 債権的利用権の保護機能 第二に、賃借権などの債権が第三者によって侵害された場合に、物権的請求権を行使することができ ない賃借人等を保護する機能を有する。とはいえ、 (対抗要件を備えた)不動産賃借人には賃借権に基 づく妨害排除請求権や返還請求権が認められていること (605 条の 4) 、他の利用権者も所有者が有する物権的請求権を代位行使しうることから、占有の訴えが重要となる場面は少ない。 (3) 社会秩序の維持機能 第三に、自力救済を禁止するとともに、事実的支配状態を簡易迅速に保護することで、社会秩序を維 持する機能がある。しかしながら、この機能に対しても、占有の訴えの存在が自力救済の抑止にどの程 度まで寄与するか疑問である、また、簡易迅速な手続が用意されているわけではなく、むしろ本権保護 手段である仮処分制度がこの機能を果たしている、などの指摘がある。
27
各種の占有の訴えを提起することができるのは、占有者である(197 条前段)。ここには、「他人のた めに占有をする者」(占有代理人)も含まれる(同条後段)。これに対し、占有補助者は、占有訴権を有 しない。
28
損害賠償請求を除き、現在の侵害者
29
占有を妨害された占有者が、その妨害の停止および損害賠償を求める訴えであ る。物権的妨害排除請求権に対応する。
30
(以下では、請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする。) ① X による甲の占有 ② Y が占有侵奪以外の方法で甲の占有を妨害していること
31
(以下では、請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする。) ① X による甲の占有 ② Y が占有侵奪以外の方法で甲の占有を妨害していること ③損害の発生とその額 ④妨害と損害との因果関係 ⑤Y の故意または過失
32
妨害停止請求は、「妨害が存する間」のみ 損害賠償請求も、妨害の消滅した後 1年以内に提起しなければならない ただし、工事により占有物に損害を生じた場合、その工事に着手した時から 1 年を経過し、またはそ の工事が完成したときは、訴えを提起することができない(ただし書)。
33
占有者は、妨害の発生を予防する措置を講じること、または、将来妨害が 発生した場合の損害賠償の担保を請求することができる。物権的妨害予防請求権に対応
34
請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする ① X による甲の占有 ② Y が占有を妨害する危険の発生 ③ 妨害予防のために、訴えにおいて求める措置を講じる必要性があること
35
請求者を X、相手方を Y、目的物を甲とする。 ① X による甲の占有 ② Y が占有を妨害する危険の発生 ③妨害が生じた場合に X が被るべき損害額
36
「妨害の危険の存する間」提起することができる(前段)。ただし、工事により占 有物に損害を生ずるおそれがあるときは、占有保持の場合と同様に規律が妥当する(後段)。 (201 条 2 項)
37
占有を奪われた占有者は、物の回収(返還)を求めることができるととも に、物の侵奪によって生じた損害の賠償を求めることができる。物権的返還請求権に対応している。
38
① X が甲を占有していたこと ② Y が甲を占有していること (ただし、Y が侵奪によって甲の占有を取得したのでなければ、請求は否定される。)
39
① X が甲を占有していたこと ② Y が甲を占有していること (ただし、Y が侵奪によって甲の占有を取得したのでなければ、請求は否定される。) ③損害の発生とその額、 ④占有侵奪と損害との因果関係 ⑤Y の故意または過失
40
(3) 特定承継人に対する請求の制限(200 条 2 項) 占有回収の訴えは、占有侵奪者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、承継人が侵 奪の事実を知っていたときは、訴えを提起しうる。
41
(4) 訴えることができる期間の制限(201 条 3 項) 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から 1 年以内に提起しなければならない。
42
(1) 請求肯定説(大審院裁判例、有力説) 大審院裁判例には、このような場合に X による占有回収の訴えを認めたものがある 2。学説の一部も、 X による返還請求を肯定している。 この見解の最大の論拠は、X の請求を認めないと、Y の自力救済を許容することになり、法が自力救 済を排して裁判手続を要求した趣旨が没却される、という点にある。 (2) 請求否定説(多数説) これに対して、学説の多数は、 Y による奪還が、 X による侵奪から 1 年以内 (201 条 3 項) であれば、 X の返還請求を否定することができるとする。その理由としては、①Y による奪還は秩序の回復と認め るべきであり (ある程度の自力救済は許されてよい。) 、他方で X による侵奪は、占有秩序を撹乱するも のとして、Y による奪還よりも多くの非難に値すること、②1 年の期間内であれば、X の占有は、未だ 保護を要するほどに安定したものとはいえないこと、③最終的には Y によって回収されるので、 X の請 求を認めても訴訟不経済であることなどが挙げられる。
43
(1) 旧訴訟物理論(判例・従来の多数説) 旧訴訟物理論からは、占有の訴えと本権の訴えとは別の訴訟物になるとして、一方にて敗訴した場合 にも、他方の訴えを提起することができるとされている。
44
(1) 反訴肯定説(判例・多数説) 判例は、 「民法 202 条 2 項は、占有の訴において本権に関する理由に基づいて裁判することを禁ずる ものであり、従って、占有の訴に対し防禦方法として本権の主張をなすことは許されないけれども、こ れに対し本権に基づく反訴を提起することは、右法条の禁ずるところではない」として、反訴として本 権の訴えを提起することを認めている 学説の多数も判例を支持しているが、その基礎には、現行法上占有の訴えに関する特別の訴訟制度は ないので、この訴えを条文の文言を超えて特別扱いする根拠や意義に乏しい、との見方がある
45
2 所有の意思の推定 所有の意思の存在は、186 条 1 項によって推定される。したがって、取得時効の成立を争う者が、他 主占有であることについての主張・立証責任を負う(既述) 。 3 推定を覆すための事実 そこで、取得時効の成立を争う者は、この推定を覆すために何を立証すればよいのか、 が問題となる。 判例・通説によれば、所有の意思は、占有者の内心の意思によってではなく、占有取得の原因(権原) の性質または占有に関する事情により、外形的・客観的に定まる。このことから、推定を覆すために立 証すべき事実として、次の 2 つが挙げられる 3-1 他主占有権原 第一に、「占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実」が 証明されれば、所有の意思が否定される。例えば、賃貸借・使用貸借・用益物権の設定などが、この意 味での他主占有権原にあたる。 設例 13 においても、「お綱の譲り渡し」によって X が得たのが、本件不動産の所有権に基づかない管理処分権限に過ぎないことが立証されれば、所有の意思が否定される。もっとも、「お綱の譲り渡し」 が贈与であると断定できないことの反面として、他主占有権原であるとも断定できない可能性がある。 3-2 他主占有事情 (1) 他主占有事情とは そこで、第二に、「占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有 者であれば当然とるべき行動に出なかったなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して 占有する意思を有していなかったものと解される事情」(他主占有事情)を主張・立証することによっ ても、所有の意思を否定することができる、とされている。 (2) 他主占有事情の考慮要因 問題は、いかなる具体的事実がある場合に、他主占有事情が認定されるかである。他主占有事情にあ たる事実としてしばしば挙げられるのは、次の 2 つである。 ア)登記手続がされていないこと 不動産の所有権移転登記手続が(請求)されていないことは、他主占有事情に当たるとされる。前掲 最判昭和 58 年は、この事情を所有の意思を否定する事実の一つとして挙げている。 もっとも、その後の判例 6は、所有権移転登記手続を求めなかったとしても、「占有者と登記簿上の所 有名義人との間の人的関係等 7によっては、所有者として異常な態度であるとはいえないこともある」 としており、登記手続の有無が、必ずしも決定的というわけではない。 イ)固定資産税の不負担 占有者が固定資産税を負担していなかったことも、他主占有事情に当たるとされる。 もっとも、判例 8は、この事情についても、「固定資産税の納付義務者は『登記簿に所有者として登記 されている者』であるから、他主占有事情として通常問題となるのは、占有者において登記簿上の所有 名義人に対し固定資産税が賦課されていることを知りながら、自分が負担すると申し出ないことである が、これについても所有権移転登記手続を求めないことと大筋において異なるところはなく、当該不動 産に賦課される税額等の事情によっては、所有者として異常な態度であるとはいえないこともある」と している。 4 他主占有から自主占有への転換(185 条) 以上のようにして他主占有であるとの立証がされた場合でも次の 2 つの事由のいずれかがあれば、 自主占有への転換が認められる。 (1) 所有の意思の表示(前段) 第一の事由は、占有者が、自己に占有させた者に対して、所有の意思があることを表示したことである。この場合には、所有の意思を表示した時点から、占有は自主占有となり、取得時効期間が進行を開 始する。 (2) 新権原(後段) 第二の事由は、占有者が、新たな権原により、さらに所有の意思をもって占有を始めたことである。 例えば、賃借人が賃借物を買い取った場合が、これにあたる。この場合には、新権原による占有開始の 時点から自主占有となり、取得時効期間が進行を開始する。
46
相続による占有(権)の承継 上記のような不都合を回避するために、判例・通説は、「被相続人の事実的支配の中にあった物は、 原則として、当然に、相続人の支配の中に承継されるとみるべきであるから、その結果として、占有権 も承継され(る)」として、相続開始時(被相続人の死亡時)に当然に、相続人に占有(権)が承継さ れるとしている したがって、設例 14 において、B は、A の死亡を知らずとも、また、実際に甲を管理していなくと も、甲に対する占有を有することになる。
47
2 固有占有肯定説(現判例 12・通説) 現在の判例・通説は、相続人にも 187 条による選択的主張を認めている――同条にいう「承継人」に 当たるとする。――。すなわち、相続人は、被相続人の占有(権)を当然に承継するとともに、自ら相 続財産の事実的支配を開始した場合には、これを基礎として、自己固有の占有を取得し、後者のみを主 張することもできる(相続人の占有の二面性)。
48
判例 ① 相続人が、被相続人の占有を承継しただけでなく、新たに占有を開始した場合において、その占 有が所有の意思に基づくものであるときは、被相続人の占有が他主占有であったとしても、相続人は、 独自の占有に基づく取得時効の成立を主張することができる 13 。 ② このとき、相続人の独自の占有が所有の意思に基づくものであるといい得るためには、取得時効 の成立を争う相手方ではなく、相続人自身が、その事実的支配が外形的客観的に見て所有の意思に基づ くものと評価される事情(自主占有事情)を、証明しなければならない。というのは、この場合には、 相続人が新たな事実的支配を開始したことによって、従来の占有の性質が変更されたものであるから、 その変更の事実は取得時効の成立を主張する者において立証すべきであり、また、相続人の所有の意思 の有無を、相続という占有取得原因事実によって決することはできないからである なお、自主占有事情の判断は、他主占有事情の判断の裏返しとなる。すなわち、所有権移転登記手続 を求めたことや、固定資産税を負担していたことなどが、重要なファクターとなるが、当事者間の人的関係等によっては、必ずしもこれらが決定的な事情となるわけではない