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第１回

Aiko Kobayashi

問題数 46 • 4/18/2025

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問題一覧

家族法とは？

親族法と相続法の総称

民法が家族法を定める理由は？

人の一生に関わる生活関係が、私人（法人を除く。）に共通する一般的な関係であるから

家族法の二つの性格

(1) 個人の自由と平等を基底とする法としての家族法家族関係における個人の平等を確保し、個人の自由を保護・支援すること (2) 国家制度（公序）としての家族法家族法は、当事者の自己決定に委ねられない国家の制度としての側面国家の（経済的な面に限られない）存立基盤である国民共同体の再生産に関わることが、今日の国家が家族関係に関心を寄せる最たる理由一面において家族関係の形成における個人の自由を制約するものといえるが、他面において、法的な枠組みを前提とした国家による家族関係の承認を当事者自身が望んでいること

親族法とは？

夫婦関係と親子関係を中心に、親族関係の成立と解消、および、それらによって発生する権利義務を規定

相続法とは？

人が死亡した場合における財産上の権利義務の承継を規律

身分権とは？

家族法上の権利

身分行為とは？

身分法上の法律効果をもたらす法律行為のこと

家族法学における旧通説の考え方である「身分法（行為）の独自性」とは？

身分法と財産法と差異を強調し、身分行為についても、財産法上の法律行為を念頭においた民法総則の規定が適用されないものとする考え方

家族法の旧通説を提唱した中川善之助の理論（中川理論）の要点３つ

①財産関係が、便宜的・目的的な、人格の一面的な結合であるのに対し、身分関係は、人が有機体として本質上必然的に結び合わされた全人格的・自己目的的な関係であること ② 財産的行為意思が、経済的目的に基づく合理的な意思であるのに対し、身分行為意思には、そのような合理性がなく、むしろ習俗に支配されて動く非合理的な意思。したがって、真意を欠く身分行為はおよそ無効であり、民法 93 条～96 条の規定は適用されない。 ③対応する身分的生活事実が存在しなければ、身分行為は無効

独自性理論に対する批判２つ

① 家督相続制度が廃止され、相続法が財産法的性格を強めた戦後家族法の下では、家族法全体を貫く独自性理論は妥当しにくい。 ② 身分行為という概念からの演繹は、きめ細やかな解釈論を展開するうえで、さして有用ではない。結局のところ、個々の身分行為やそれに関する民法の規定・その適用場面ごとに、評価・利益衡量の在り方を丹念に検討していく必要がある。

戦前の家族法の特徴

家制度を中核とし、家族の長である戸主に、強い権限が与えられていた。

家制度を中核とする明治民法の家族法が全面改正された理由

日本国憲法の掲げる「個人の尊厳と両性の本質的平等」（憲法 24 条 2 項）と相容れないから

家事紛争の特質２つ

１当事者の感情・納得の重要性法的な権利義務に基づく司法的判断よりも、当事者が感情的に納得したうえでの合意をベースとした紛争解決が望ましい２家族秩序への影響婚姻・離婚・親子関係などに関する家事紛争は、人の公的な身分関係を左右するものであり、紛争当事者だけでなく、世の中に広く影響を与える。そのため、紛争解決を当事者の主張や合意のみに委ねることができない。

家事審判とは？

家事 39 条以下に基づいて家庭裁判所がする本案についての終局的な判断をする裁判

(2) 家事審判の特徴２つ

ア）非公開性家事事件の手続は、個人や家庭のプライバシーを保護するために、非公開とされている（家事 33 条）。イ）職権探知主義裁判所は、裁判の基礎となる資料を、自ら積極的に収集しなければならない。

家事審判の対象となる事項２つ

(1) 別表第一事項成年後見の開始・養子縁組の許可・相続の限定承認や放棄など、公益に関係し、裁判所が後見的な立場から判断すべき事項 (2) 別表第二事項婚姻費用の分担・親権者の指定または変更・遺産分割など、当事者間の紛争としての性格が強い事項

家事調停の種類３つ

(1) 別表第二調停別表第二に掲げられている審判事項に関する調停。調停が成立すれば、その記録は、確定した審判と同一の効力を有する（家事 268 条 1 項）。 (2) 特殊調停人事訴訟事件に関する調停 (3) 一般調停内縁の解消・婚約不履行・遺留分侵害額請求など一般の民事訴訟の対象となる事件、また、審判・訴訟の対象とならないその他の家庭に関する事件

人事訴訟とは?

身分関係の形成または存否の確認を目的とする訴え（「人事に関する訴え」）に係る訴訟

人事訴訟の手続のルール３つ

(1) 調停前置主義人事に関する訴えを提起しようとする者は、まず家事調停を申し立てなければならない（家事 257 条 1 項）。 (2) 職権探知主義・非公開 (3) 判決の対世効第三者に対してもその効力を有するものとされている（人訴 24 条 1 項）。

氏名の機能２つ

１個人識別機能個人を他人から識別し特定する機能２人格象徴機能人が個人として尊重される基礎となる機能

人が初めて取得する氏についてのルール４つ

① 嫡出である子は、父母の氏を称する（790 条 1 項本文、親子同氏原則）。 ② 嫡出子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する（同項ただし書）。 ③ 嫡出でない子は、母の氏を称する（790 条 2 項）。 ④ 父母ともに不明な棄児については、市町村長が氏名を付ける（戸籍 57 条 2 項）。

氏の変動とは

婚姻や離婚といった身分変動を原因として、法律上当然に、別の氏に変わり、または、元の氏に復さなければならないこと

氏の変動原因４つ

① 婚姻（750 条、夫婦同氏原則 16）：配偶者の一方につき、婚姻前の氏→他方配偶者の氏。 ② 養子縁組（810 条）：養子につき、縁組前の氏→養親の氏。 ③ 離婚・婚姻の取消しによる復氏（767 条 1 項・749 条） ④ 離縁・縁組の取消しによる復氏（816 条 1 項・808 条 2 項）

氏の変更が認められる場合６つ

① 生存配偶者の復氏（751 条 1 項） ② 離婚・婚姻の取消し後の婚氏続称（767 条 2 項・749 条） ③ 離縁・縁組の取消し後の縁氏続称（816 条 2 項・808 条 2 項） ④ 子の氏の変更（791 条） ⑤ やむを得ない事由による変更（戸籍 107 条 1 項）：珍奇・難読な氏である場合など ⑥ 外国人と婚姻した者の氏の配偶者の氏への変更（戸籍 107 条 2 項）

氏の変動・変更の民法上の効果

何ら重要な法律効果を伴わない

氏の変動・変更の戸籍法上の効果

戸籍法において同氏同籍原則（戸籍 6 条、後述）が採られていることとの関係で、氏が変わることに伴い、戸籍が変更される。

氏の性質２つ

(1) 個人の呼称としての性質 (2) 身分関係を示す制度的呼称としての性質他方で氏は、基本的に身分関係に即して法的に定まるものであり、一定の身分関係にある者が共通して称する呼称である。

「命名行為」とは？

子に名を付ける行為

命名権者は誰か？

民法には明文の規定がない

命名権の制限２つ

1) 使用文字・読み方の制限 (2) 命名権の濫用「難解、卑猥（ひわい）使用の著しい不便、特定（識別）の困難などの名は命名することができない」「親権（命名権）の濫用に亙（わた）るような場合や社会通念上明らかに名として不適当と見られるとき、一般の常識から著しく逸脱しているとき、または、名の持つ本来の機能を著しく損なうような場合」には、命名権が制限

戸籍編製の基本原則２つ

(1) 同氏同籍の原則氏を同じくする者が同一の戸籍に入る。逆に氏が変わった場合には、それに応じて戸籍も変わる。例えば、婚姻により配偶者の氏を称していた者が、離婚によって婚姻前の氏に復した場合には、原則として婚姻前の戸籍に入る（復氏復籍の原則）。 (2) 家族単位の原則戸籍は、夫婦およびこれと氏を同じくする子ごとに編製する（戸籍 6 条本文）

戸籍編製の派生原則３つ

(1) 夫婦同籍の原則婚姻の届出があったときは、原則として夫婦について新戸籍が編製される（戸籍 16 条 1 項本文）。 (2) 親子同氏同籍の原則父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入るが、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る（戸籍 18 条）。 (3) 三世代戸籍禁止の原則三世代の者が同一の戸籍に入ることはない。戸籍筆頭者およびその配偶者以外の者が、これと同一の氏を称する子を有するに至ったときは、その者と子とで新戸籍を編製する（戸籍 17 条）。

身分関係の変動の届出の種類２つ

(1) 創設的届出婚姻（739 条 1 項）・協議離婚（764 条）・任意認知（781 条 1 項）・養子縁組（799 条）・離縁（812条）など、届出によって身分関係の発生・変更・消滅の効力を生ずる場合 (2) 報告的届出出生・死亡・裁判離婚・強制認知など、既成の事実や裁判・調停などによって身分関係の変動が既に生じており、その旨を報告する届出

親族の範囲

① 6 親等内の血族 ② 配偶者 ③ 3 親等内の姻族

血族とは

法的親子関係を基礎として、自然的または擬制的に血縁関係にあると認められる者

血族の種類２つ

(1) 自然血族実親子関係を基にする血族。772 条以下の規定に従って認められる法的な実親子関係を基礎とするものであって、遺伝的な意味での「血の繋がり」があるかは、決定的でない。 (2) 法定血族養子縁組によって発生する血族関係。養子の血族と養親側との間には、親族関係が生じない。

姻族とは？

①自己の配偶者の血族および②自己の血族の配偶者

(1) 直系とは？

自己または配偶者との間で、親と子・祖父母と孫のように、直接的な祖先と子孫の関係にある親族

(2) 傍系とは？

兄弟姉妹・叔父叔母・いとこなど、共通の祖先から分岐した親族関係

尊属と卑属とは？

自己よりも上の世代を「尊属」といい、下の世代を「卑属」。同世代は、尊属にも卑属にも当たらない。

親等とは

親族関係の親疎・遠近を表す指標

親等の計算方法２つ

① 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。 ② 傍系親族の親等を定めるには、その 1 人またはその配偶者から同一の祖先に遡り、その祖先から他の 1 人に下るまでの世代数による。

配偶者との間の親等

０親等

親族関係の効果

親族間の扶け合い 730 条は、「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」と規定している。もっとも、同条は、道徳的・倫理的な意味の訓示規定であり、法的な扶助の義務を生じさせるものではないとされている（通説）。

血族関係の終了原因3つ

(1) 死亡 (2) 離縁・縁組の取消し (3) 特別養子縁組特別養子縁組の成立により、養子と実方との血族関係が終了する（817 条の 9）

姻族関係の終了要因２つ

(1) 離婚・婚姻の取消し (2) 配偶者の死亡夫婦の一方が死亡しても、姻族関係は当然には消滅しない。生存配偶者が姻族関係を終了させるには、その旨の意思表示が必要である