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産業政策（2）産業金融

Aiko Kobayashi

問題数 20 • 7/19/2025

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ザイスマン（John Zysman）（1983）Governments, Markets, and Growth: Financial Systems and Politics of Industrial Changeの主張は？

国家の産業政策は金融制度によって左右される

政府が市場における個別の資金配分に介入することができるのは、直接金融中心の国、間接金融中心の国のどちらか？

間接金融中心の国資本市場が未発達で、資金調達が銀行融資等を中心とする国（フランス・日本：国家主導型）では、利子率等の金融市場統制を通じて介入することが可能だから←産業政策が可能

直接金融中心の国（イギリス・アメリカ）では、企業はどのように資金調達を行うか？

企業は、銀行からは資金繰りのための短期ローンを調達し、長期資金は株式・債券で調達

間接金融中心の国では、企業はどのように資金調達をおこうなか？

銀行融資による

ともに間接金融中心の国であるフランス、日本の産業政策の違いは？

フランスでは、政府が銀行にに特定産業への資金配分を求めたが、日本は求めなかった

ドイツの金融制度の特徴は？

銀行主導型で、金融機関は国家から自律している

大蔵省・日銀王朝論とは？

日本の戦後経済において、大蔵省（現在の財務省）と日本銀行が強大な権限をもち、経済運営を事実上“支配”していたとする見方

大蔵省・日銀王朝論によれば、日本は高度経済成長と何を同時に実現したか？

所得の平等

日本の成長通貨の供給の主要因は何か？

日本銀行貸し出しの増加日本銀行が銀行に潤沢な貸し出しを行い、設備投資に積極的な民間企業に対する、銀行のオーバーローン（貸出額が預金額を上回る。貸出超過）（企業のオーバーボローイング。借入金が自己資本を上回る、借入超過）を可能にした

戦後日本政府は経済成長を促進するために、意図的に低金利政策を実施したが、これによって中小企業に対してどのような影響があったか？

中小地域金融機関が中小企業に貸し出しを行うのに十分な（リスクに見合った）金利を課すことができない

大企業と中小企業はどのようなところから融資を受けるか？

大企業：長期信用銀行、都市銀行中小企業：都市銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合

中小地域金融機関（地域を基盤とし、主に中小企業や個人を対象に金融サービス（融資・預金など）を行う比較的小規模な金融機関）の資金はどこに向かうか？

インターバンク市場を通じて都市銀行へ、金融債を通じて長期信用銀行へ向かう

都市銀行・長期信用銀行は、大企業に貸し出しを集中することでどのようなことが可能になったか？

先端産業部門への資金供給が可能になった ←大企業が先端産業の担い手だったため

保守政党の集票基盤である衰退・後進部門（農業・中小企業）は、どこから資金を得ていたか？

財政から（補助金、政府系金融機関による融資）

自民党を中心とする政治システムが安定し、所得の平等も実現された理由

自民党は、都市部の大企業に対しては**金融政策（大蔵省・日銀ルート）を、地方や中小企業には財政政策（補助金・公的融資）**を通じて支援することにより経済成長と政治的安定を両立させたから

大蔵省・日銀王朝論に対する批判は？

実際に「低金利」であったかどうかについては議論がある。拘束預金を含めれば、実質金利は高かった

カルダー（Kent E. Calder）（1993） Strategic Capitalism: Private Business and Public Purpose in Japanese Industrial Finance （『戦略的資本主義』）はどのようなことを分析したか？

日本が発展指向型国家であるとする命題をテストするため、産業金融の分野における国家と民間企業との関係、すなわち資金配分（信用割り当て）の面で国家がどのような役割を果たしてきたかを分析

戦後日本において国家が成長戦略として産業構造を転換しようとしたものの、それが思うように進まなかった理由4つ

①通産省などの戦略家は、産業構造を転換するため戦略的な資金配分を企図したが金融機関に対する規制権限が欠如していたこと ②規制者（大蔵省・日本銀行）は安定を重視し、産業構造転換の戦略に対しては慎重な態度を保持し、金融機関の経営の安定を優先していたこと ③政府内に対立があるため、通産省の政治的影響力が限定的であったり、政府系金融機関が複雑に分立しているため、現状維持的な政策パターンがとられたこと ④財政投融資と通算賞による設備投資指導の両面において、戦略的な資金配分政策の効果が小さかったこと←企業が本当に投資するかは、将来の需要見通しや収益性に左右されるため、国家の誘導だけでは不十分

産業発展に貢献したのは国家ではなくどのアクターか？

民間銀行の企業に対する優位という構造の下、企業グループの中核を担う都市銀行、総合商社、日本興業銀行などが、長期の産業資金を供給することを通じて産業発展に貢献

民間金融機関の融資の方が産業転換において効果的であった理由

民間金融機関が審査を行って融資を行ったことから、将来性のある産業に資金が配分されたため