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Ⅳ　高年齢者雇用

Aiko Kobayashi

問題数 17 • 6/25/2025

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定年年齢は何歳以上か？

60歳以上

65歳までの雇用確保措置の内容は？

老齢年金支給開始が65歳に引き上げられたこともあり、希望者全員を65歳まで雇用することを使用者に義務付け

継続雇用制度とは？

現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度

定年……の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するための措置３つ

一　当該定年の引上げ二　継続雇用制度（現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。）の導入三　当該定年の定めの廃止（第2項以下略）

高年齢者雇用安定法における使用者の義務は？

「雇用確保措置」を講じること

高年齢者雇用安定法に私法上の効力は認められるか？

認められない高年齢者雇用安定法そのものは公法であるから行政指導による解決

9条の規定に従った継続雇用制度があるのに、定年時に再雇用をしてもらえなかった場合はどうなる？労働契約法19条「一定の条件を満たす場合に、使用者が雇止めをすることが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは、雇止めを認めない」は適用できるか？

無期雇用→有期雇用なので、19条はストレートに適用できない→類推適用？　→正社員契約の無期雇用と大きく労働条件の異なる再雇用有期契約には連続性がないので類推適用の基盤を欠くという考え方も→期待権侵害の損害賠償にとどまるか。

定年後再雇用後に契約更新がされなかった場合、雇い止め法理（有期労働契約の雇止めに関する規定で、一定の条件を満たす場合に、使用者が雇止めをすることが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは、雇止めを認めない）は適用できるか？

直接適用できる制度があることは労働者の期待の合理性を高める方向に働く

○ トヨタ自動車事件・名古屋高判平成28・9・28 ＜事実＞・事務職として働いてきた労働者Xが、定年時に提示された再雇用の労働条件が悪すぎる（賃金はさほど下がらないが、誰にでもできるような業務内容になった）としてそれを拒否し、定年退職となった。 →このような労働条件の提示が不法行為になるか。どのような場合に不法行為と判断されるか？

不法行為となるのは（60～64歳までの）無年金の期間を防ぐという趣旨に照らして低額な賃金水準であったり、② 社会通念上到底受けいれ難いような職務内容を提示した場合・明らかに別の職種の場合連続性がないから継続雇用の実質を欠く →慰謝料を認容

九州惣菜事件（#63）＜事実＞・フルタイムの正社員として労働者Xが、定年時に提示された再雇用条件がパートタイムであり、定年前賃金の25％しか得られないことからそれを拒否した結果、定年退職となった。 →このような労働条件の提示が不法行為になるか。不法行為になる行為と再雇用の際には何が必要か？

不法行為になる行為：高年齢者が到底受け入れ難いような労働条件を提示再雇用の際に必要なもの：労働条件の継続性・連続性。変更のためにはそれを正当化する合理的な理由が必要

障害者の法定雇用率制度とは？

障害者の雇用の促進のために、一定規模以上の使用者に、一定率（民間企業で2.5％）の障害者雇用を義務付ける制度

同一労働同一賃金とは？

ある時点において同じ仕事を行っている者は、年齢や勤続年数、雇用形態等にかかわらず同じ賃金

日本ではヨーロッパ型の同一労働同一賃金は現実として採用が困難である理由

ヨーロッパ型の同一労働同一賃金は「職務給」（遂行している職務によって賃金が決定されるしくみ）を前提として成り立っているが、日本における非典型雇用労働者＝有期雇用労働者・パートタイム労働者は「職務給」の処遇を受けているものの、正社員はその「能力」（≒当該企業における経験・勤続）によって賃金額が決定され、またその職業生活中、多数の職務に配置転換される（職能資格制度）。 ←賃金が決定される仕組みが正社員と非正社員とで異なる配置転換・管理職への昇進等がある正社員の賃金が高いことも普通であるから。

正社員と非典型労働者の間の「均衡待遇」の理念が生まれた理由

契約自由・「同一労働同一賃金」法理採用の困難を理由にこれを放置することは不正義であるから職務内容等の違いを踏まえても「不合理」といえるレベルまで差がある場合、これを修正するべき

（不合理な待遇の禁止）第8条　事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度（以下、「職務の内容」という。）、当該業務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。この条文の比較対象、考慮要素、判断方法、および違反した場合の効果は？

比較対象：パート・有期雇用労働者×「通常の労働者」＝フルタイム・無期雇用労働者（2）考慮要素 ①「職務の内容」②「職務の内容及び配置の変更の範囲←正社員とどれくらい違うか？」③「その他の事情（労使での協議の有無／定年後再雇用であること）」（3）判断方法待遇のそれぞれについて（各労働条件のそれぞれについて）当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して不合理と認められる相違（4）法違反の効果・当該労働条件が「無効」となる→一般的には、通常の労働者との差額（一部または全部）について不法行為による損害賠償

ハマキョウレックス事件（#71）＜事実・判旨の概要＞　※旧労働契約法20条適用事件（以下同じ）１　比較対象・正社員（無期）×契約社員（有期）２　考慮要素（1）職務の内容・違いなし（2）変更の範囲・無期……全国規模の広域異動／中核を担う人材への登用あり・有期……なし（3）その他の事情・特になし住宅手当、皆勤手当を正社員にのみ支払うのは不合理か？

正社員については，転居を伴う配転が予定されているため，契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得るため不合理ではない皆勤手当は不合理←上告人の乗務員については，契約社員と正社員の職務の内容は異ならないから，出勤する者を確保することの必要性については，職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない

日本郵便事件（#73）＜事実・判旨の概要＞１　比較対象・正社員（無期）×時給制契約社員（有期）２　考慮要素（1）職務の内容・郵便業務に従事する場合、特に違いなし（2）変更の範囲・無期……多様な業務に従事し、昇格・配転が予定されていた・有期……なし（3）その他の事情・特になし年末年始勤務手当および有給の病気休暇を正社員のみに支払うのは不合理か？

・年末年始勤務手当……性質は、職務の内容にかかわらず「年末年始の」業務に従事したことに対する対価→相違は「不合理」。・有給の病気休暇……目的は「継続的な雇用の確保」→有期雇用であっても相応に継続的な勤務が見込まれる時給制契約社員と有給と無給という相違を設けることは「不合理」。

Ⅳ 高年齢者雇用

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