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国家論（国家とは何か／国家はどのように成立・機能し・支配を行うのか）

Aiko Kobayashi

問題数 27 • 6/13/2025

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問題一覧

ルイ＝ボナパルトのブリュメール18日が起こった理由

ブルジョアジー（資本家階級）が当初、自由主義を主張し、民主主義を推進→プロレタリアート（労働者階級）の力が強くなり、労働運動を抑圧→農民に支持された大統領のナポレオン３世が議会に対しクーデターを起こす

虚偽意識とは？

マルクス主義の、被支配者が支配的イデオロギーに取り込まれ、自らの搾取や抑圧を正当化・容認してしまう意識

ボナパルティズムとは？

表面的には民衆の支持を受けた強力な指導者による独裁的統治のように見えるが、実際には既存の支配階級の利益を保護するための体制（支持と機能の分離：農民に支持されたナポレオン３世が政治的には資本家を排除しながらも、労働運動を弾圧し資本家の利益を擁護した）

国家の自律性とは？

国家が単に支配階級（ブルジョアジー）の直接的な道具ではなく、一定の独自の論理や利害によって行動する側面を持つという考え方

伝統的なマルクス主義における国家観は？

支配階級の利益を守るための階級支配の装置国家はブルジョアジーによって支配され、労働者階級を抑圧する機関である

ネオ＝マルクス主義における国家観は？

国家＝階級支配の場＋自律性を持つ装置資本主義社会における階級闘争が展開される「場（アリーナ）」であり、必ずしも一方的に支配階級に従属するわけではない。

オコナー（オコンナー）（J. O’Conner）（1973）『現代国家の財政危機』は何を研究したか？

現代資本主義国における財政赤字の原因を分析

オコナーによる資本主義国家の２つの機能

①蓄積機能産業基盤の整備、インフラ整備など資本蓄積に寄与 ②正統化（正当化）機能福祉政策を通じて貧困や不平等を緩和することで労働者階級の資本主義システムへの不満を解消し、資本主義を安定化・正当化する機能

新左翼が既成左翼を批判する理論的根拠となるのは？

インフレにより貧しい者から特権層へ再配分が行われた場合

新左翼から新自由主義へ移行した理由

新左翼の処方箋は社会主義革命であり現実的でなかったため、新自由主義の処方箋である政府の介入を減らし自由化を進める傾向になった

クラズナー（S. Krasner）（1978）Defending the National Interestはどのような研究を行なったか？

60年間にわたるアメリカ政府による資源外交（1910年代のメキシコ革命への対応から1970年代の石油危機への対応まで）を事例研究により分析

クラズナ〜によればアメリカの政策決定者が長期間にわたり追求してきた３つの目標

• ①経済競争を促進する（それにより価格を抑制する）。 • ②安定した供給を確保する。 • ③広い外交政策上の目的の実現。

クラズナー（S. Krasner）（1978）Defending the National Interestによるアメリカの外交政策における特徴２つ

・国家は社会からは自律的に（民間企業の影響を受けずに）「国益」を追求・政権交代や国際状況が変化しても、政策選好の共通性が存在→共通性が存在

D. イーストンによる政府の捉え方

「政府」を、利益団体や社会運動が政策に影響を及ぼそうとして競い合ったり連携したりする「競技場（アリーナ）」とみなし、政治システムは、社会から政府への「入力（input）」と政府からの「出力（output）」としてとらえた

エヴァンス（P. Evans）／ルーシェマイヤー（D.Rueschemeyer）／スコッチポル（T. Skocpol）eds. （1985）Bringing the State Back In における国家の捉え方は？

国家は自己利益を持ち、それを実現する能力を持つ政治アクター

国家論における２つの見解

国家の自律性を強調する見解国家の制度構造が政策アウトプットを規定する見解

現代国家に対する２つのイメージは？

①「行政国家」行政官僚制によって担われた国家が社会を統制するイメージ国家が社会に一方的に浸透し、社会は国家に依存 ②「多元主義国家」官僚制は多様な行政機関の緩やかな連合体に過ぎず、その行動は社会に多元的に存在する利益集団の意向を反映しているに過ぎないというイメージ社会が国家に一方的に浸透し、国家を動かしている

カッツェンシュタイン（P. Katzenstein）の「半主権国家」とは？

国家と社会が相互に浸透し依存している国家。社会集団（企業集団・労働組合など）が国家機構に多数のアクセスポイントを確保し、政策決定に影響を及ぼし、国家活動が社会集団の同意と協力を得て初めて効果を発揮する国家。

反主権国家において、社会と国家が相互浸透・相互依存する理由

資本主義の高度化→国家によるケインズ政策の導入や福祉政策の必要性の高まり→こうした介入政策に対し反発する社会集団→国家も政策の円滑な実施のため当該社会集団と協調→相互依存へ

カッツェンシュタインによる国家と社会の相互依存・相互浸透の対称性を基準にした政治体制の分類３つ

①「民主コーポラティズム」：国家と社会が均等に相互浸透している政治体制（スウェーデン、西ドイツ） ②「ステーティズム」：国家が社会に浸透する程度が、社会が国家に浸透する程度よりも高い政治体制（フランス、日本） ③「リベラリズム」：社会が国家に浸透する程度が、国家が社会に浸透する程度よりも高い政治体制（アメリカ・イギリス）

国家と社会の関係という観点よりクラズナーによる国家の類型化するための要素３つ

①国家が特定の集団から自立して政策を形成する能力を持っているか ②国家が特定の集団の行動を変える能力を持っているか ③国家が社会の構造を変える能力を持っているか

ジョンソン（C. Johnson）の国家の類型化

「発展志向国家」と「規制志向国家」「発展志向国家」は、国家が社会に浸透する「強い国家」

ザイスマン（John Zysman）の金融制度による国家の類型化２つ

直接金融中心の国と間接金融中心の国

国家の強弱を図る指標として用いられるものは？この指標に対する批判は？

国家そのものの「属性」官僚機構の集権性、官僚の数や質、国有産業や規制立法の数批判：「属性」だけをとらえると強い国家も、「政策ネットワーク」を視野に入れると弱い国家となることがある

属性だけをとらえると強い国家も、「関係」を視野に入れると弱い国家の具体例

オーストリア（強い国家）：国家が社会の多方面にコミットしているため、かえって身動きがとれなくなる。

政策ネットワークとは？

政策の形成・実施の過程で関与する複数のアクター（登場人物）たちの、相互に影響を及ぼし合う関係の構造

「属性」からみると弱い国家であるが、「関係」を視野に入れると強い国家である具体例

スイス（弱い国家）：社会内部とくにビジネス間の対立を解消することを通じて国家は自らの政策を追求できる。