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第８回典型契約総論/売買（１）

Aiko Kobayashi

問題数 33 • 7/18/2024

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契約内容決定の自由には当事者が契約の性質を決定する自由は含まれるか？

含まれない例：A とB の合意内容が甲と５００万円を交換である場合（①）、A とB が「この契約は『贈与』だ」と性質決定することは認められない（②）。

典型契約の機能３つ

（１）契約の解釈・補充機能個々の事項についての合意内容が不明確なとき、典型契約に関する規定は解釈の基準となり、個々の事項についての合意がされていないときは、典型契約に関する規定によって補充される。（２）準拠枠設定機能現実に生じた契約問題を処理する際に、典型契約という視点から類型的に思考をするための枠組みが与えられることの意義。（３）契約正義による契約矯正機能典型契約に関する規定には、契約内容の合理性・公正さが定められている。

典型契約の分類４つ

「財産権移転型契約」（財産権を終局的に相手方に移転する契約）売買、交換、贈与「貸借型契約」（財貨又は価値を一定の期間相手方に利用させる契約）消費貸借、使用貸借、賃貸借「役務型契約」（役務（人のサービス）を提供する契約）請負、委任、雇用、寄託「その他の契約」組合、和解、終身定期金

売買とは？

当事者の一方が相手方に財産権（金銭の所有権以外の財産権）を移転し、相手方がこれに対して代金を支払うことを内容とする契約

売買契約はどのような契約か？

合意のみで成立する契約（諾成契約）

売買契約においてどのような合意が必要か？

財産権の移転及び代金の支払いについての当事者の合意（終局的確定的合意）（５５５条）。

売買契約の目的物は、売主の所有物に限られるか？

限られない他人の権利（他人物）の契約も有効に成立

売買の予約の種類２つ

（１）予約完結権型民法に定められた予約（５５６条）は、当事者に予約完結権（一方的な意思表示によって本契約である売買契約を成立させる権利）を与えるもの。（２）義務型形成権としての予約完結権を与えず、将来の本契約の締結を約する契約。本契約成立のためには、申込みに対する承諾が必要

手付の種類３つ

（a）証約手付契約が成立したことの証拠という趣旨で交付されるもの（b）解約手付手付金相当額だけの損失を覚悟すれば、契約を解除できるという趣旨で交付されるもの（c）違約手付契約上の債務不履行があった場合において、損害賠償（４１５条）とは別に没収されるという趣旨で交付されるもの

手付は何を推定するか？

解約手付としての意味をもつとの推定

手付解除の成立要件３つ

（a-1）契約の際に手付が交付されたこと（a-2）手付倍返し・手付放棄（a-3）解除の意思表示

手付解除の阻却要件（５５７条１項ただし書）

「相手方」による履行の着手履行に着手した当事者が不足の損害を蒙ることを防止するため。

売買契約における売主の義務３つ

財産権移転義務（５５５条）（１）権利を移転する義務（権利を移転し、また、完全な権利の移転のために必要となる行為をする義務）（２）対抗要件を具備させる義務（３）引渡しをする義務

売主が現に所有する物（特定物）の場合、物の所有権はどのように移転されるか？

「物権行為の独自性」が否定されているため、売買契約の対象が売主の現に所有する特定物である場合には、売買契約が締結されれば、（それ以外に売主が別の行為（物権行為）をしなくても、）物の所有権は買主に移転する（１７６条）。

他人物の場合、所有権はどのように移転されるか？

売主はその権利を取得して、買主に移転する義務を負う（５６１条）

売買契約における買主の義務は？

代金支払義務

不完全履行とは？

債務内容にしたがっていない（契約内容に適合しない）物の引渡しや権利の移転

法定責任説とは？

特定物の売買契約において、瑕疵のある特定物を引き渡しても、特定物を引き渡したのであれば、それは完全な履行であり、買主は売主に対して債務不履行に基づく責任を追求することができないという考え方。買主の不利益に対しての処理瑕疵のある特定物の引き渡しが完全な履行であることを認めた上で、買主の不利益を救済するため、売主には法定の責任である担保責任が課せられる。

契約責任説（有力）とは？

「瑕疵」とは、契約内容（債務内容）とされた性質が欠けていることであり、「瑕疵」のある物の引渡しは債務不履行であって、担保責任の法的性質は「債務不履行責任」であるとする考え方。

契約不適合責任とは？

売買における契約不適合の場面の特性に応じ、一般の債務不履行責任の特則として定められた責任

債務不履行の判断方法

①債務内容の確定、②実際になされた給付の確定（ないしは何も給付がされなかったことの確定）⇒③債務内容にしたがった給付がされたかどうかを判断

契約不適合の判断方法

①契約解釈によって契約内容（債務内容）を確定し、②現実に引き渡された物ないし移転された権利の状態を確定し、③②が①に適合しているかどうかを評価

種類・品質に関する不適合とは？

「種類」に関する契約不適合とは、契約で予定されていた物と異種の物が引き渡された場合。「品質」に関する契約不適合とは、契約で予定されていた品質・性能を欠いた物が引き渡された場合

数量に関する不適合とは？

契約で予定されていた数量と異なる数量の物が引き渡された場合

数量指示売買とは？

①当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、②その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あることを売主が契約において表示し、かつ、③この数量を基礎として代金額が定められた売買

種類・品質・数量に関する不適合が認められた場合の効果２つ

追完請求（５６２条）代金減額請求（５６３条）

売買契約における追完請求権の原則と例外

原則引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しないものである場合、原則として認められる（５６２条１項）。例外追完不能、買主の責めに帰すべき事由

追完請求権の効果２つ

買主の選択権追完の具体的な方法について、まずは買主に選択権が認められている（５６２条１項本文）。売主による選択「買主に不相当な負担を課するものでないとき買主が請求した方法と異なる方法で履行の追完をすることができる」（同条１項ただし書）。

代金減額請求権とは？

代金と目的物との間の等価交換関係を維持するために、不適合の程度に応じて代金を減額するもの

代金減額請求権と追完請求権はどちらが優位か

追完請求権売主に対する履行の追完をする機会の付与

債務不履行による損害賠償（４１５条１項ただし書）と代金減額請求権の違い

代金減額請求権は売買契約における等価交換関係を維持するためのもの。「債務者の責めに帰することができない事由」によるかどうかは問題とならない。

代金減額請求権の行使方法

一方的な意思表示によって効果が生じる。

代金減額請求権の効果

「不適合の程度に応じて」代金が減額

第８回 典型契約総論/売買（１）

第８回典型契約総論/売買（１）