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第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し

第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
56問 • 2年前
  • Aiko Kobayashi
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    問題一覧

  • 1

    法律行為の解釈作業3つ

    狭義の解釈、法律行為の補充、法律行為の修正

  • 2

    狭義の解釈とは?

    当事者が実際に行った法律行為(意思表示)の内容を確定する作業

  • 3

    当事者が実際に決めた契約内容 をどのように確定すればよいのかに関する説2つ

    客観的解釈説と付与意味基準説

  • 4

    客観的解釈説とは?

    狭義の契約解釈を表示行為が有する社会的意味を明らかにすることであるとする

  • 5

    付与意味基準説とは?

    狭義の契約解釈を当事者が表示に現実に付与した意味に即して契約内容を確定する作業であるとする説

  • 6

    狭義の契約解釈の方法・基準2つ

    一般的解釈と個別的解釈

  • 7

    一般的解釈の方法

    の言葉が通常どのような意味で使用されているかに即して、意味確定を行うこと

  • 8

    一般的解釈の基準

    任意規定による解釈と慣習

  • 9

    個別的解釈とは?

    特殊な言語使用について当事者間に共通了解があるならば、私的自治の尊重という観点からは、そのような用法に即した意味確定を行うべきである。

  • 10

    【設例 4】A は、B から、時価の 3 分の 1 の賃料で、乙建物を賃借した。両当事者の交わした契約書に は、「通常の修理費」は A が負担する旨が記載されていた。その後、乙に雨漏りが生じたため、A は B に修繕を要求した。 どうなるか?

    「通常の修理費」という言葉の一般的な意味は、「賃借人が通常の用法で建物を使用 していて生じる損耗の修理費用」といったものであり、建物の構造にかかわる修繕は、そこに含まれな いと考えられる。しかしながら、賃料が廉価であるという文脈から、建物の構造にかかわる修繕につい ても賃借人の負担とすべきであるとの趣旨を、「通常の修理費」という言葉に読み込む余地がある

  • 11

    強行規定とは?

    当事者が異なる内容の合意(特約)をすることを認めない法規定

  • 12

    任意規定とは?

    特約による排除を認める法規定

  • 13

    契約の補充方法2つ

    法による補充、補充的契約解釈

  • 14

    任意規定と慣習、どちらが優先されるか?

    任意規定と異なる慣習がある場合において、当事者がその慣習に従う意思を有していたと認められる ときは、慣習が任意規定に優先する(92 条)

  • 15

    法による補充3つ

    任意規定、慣習、信義則

  • 16

    補充的契約解釈とは?

    当該契約の趣旨に即した契約補充

  • 17

    【設例 4】A は、B から、時価の 3 分の 1 の賃料で、乙建物を賃借した。両当事者の交わした契約書に は、「通常の修理費」は A が負担する旨が記載されていた。その後、乙に雨漏りが生じたため、A は B に修繕を要求した。 【設例 4-2】設例 4 において、A と B が交わした契約書には、修理費の負担について明示的な記載は なかった。

    A と B が低廉な賃料を合意した趣旨が、「A が修繕を負担する代わりに、賃料を 廉価にする」というものであると評価することができるのであれば、補充的契約解釈により、 B は、 606条 1 項本文に基づく修繕義務を負わないことになる。

  • 18

    修正的解釈とは?

    約文言を字義どおりに解釈したのでは不当な内容となってしまう場合に、これを合理的な内容のも のとして解釈すること

  • 19

    修正的解釈方法2つ

    例文解釈と制限解釈

  • 20

    例文解釈とは?

    ある契約条項がおよそ法的効力を有しないものとする解釈

  • 21

    【設例 5】A は、B から、共同住宅の1室を賃借し、その際に敷金 30 万円を B に交付した。その後、 火災による当該住宅の滅失により、契約は終了した。そこで、A が B に対して、敷金の返還を請求した ところ、B は、賃借物件が火災等の災害により使用できなくなった場合には敷金を返還しない旨の契約 条項の存在を主張した 例文解釈の観点から

    当該特約の拘束力を認めることは賃借人の合理的意思に反しており、特約の記載は例文にすぎない、との判断をしている

  • 22

    制限解釈とは?

    ある契約条項を文言どおりに解釈・適用すると不当な結果が生じる場合に、当該条項を狭く解釈すること

  • 23

    【設例 6】宝石・貴金属の販売を業とする X 社の代表取締役である A は、約 2500 万円相当の宝飾品の 入ったバッグ甲を持参して、Y 社の経営する乙ホテルに赴いた。A は、フロントで宿泊手続きを済ませ た後、ベルボーイ B に対し、在中品の内容を告げることなく甲を客室まで運搬することを依頼し、客室 へ向かった。ところが、 B は、甲を何者かに盗まれた。そこで、 X は、 Y に対し損害賠償を請求した (715条を参照)。乙の宿泊約款には、「宿泊客が当ホテル内にお持込みになった物品又は現金並びに貴重品であって、フロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルは、その損害を賠償します。ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15 万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。」とい う条項があった どうなるか?

    最高裁は、ホテル側に故意または重過失がある場合には当該条項が適用されないものとした

  • 24

    無効とは?

    法律行為が解釈によって確定された内容に従った法律効果を生じないこと

  • 25

    具体的な無効2つ

    履行請求の拒絶と、原状回復義務の発生

  • 26

    原状回復義務の原則

    無効な法律行為に基づく給付は、原則として、その全部が返還されなければならない。たとえ返還の 対象となる原物が滅失した場合においても、その物の価額を返還する義務を負う

  • 27

    【設例 7】 X は、 Y に対して、トラクター甲を 100 万円で売り渡し、代金と引き換えに甲を引き渡した。その後、X は、錯誤を理由に契約を取り消し(95 条)、Y に対して甲の返還を求めた。ところが、甲は、大規模な土砂崩れに巻き込まれ、既に滅失してしまっていた。 原状回復義務の原則にもとづくとどうなるか? 

    X は Y に対して代金 100 万円を返還しなければならない一方、Y も X に対して甲の客観的価値相当額の金銭 を返還しなければならない。

  • 28

    原状回復義務の例外2つ

    無償行為の場合と給付受領者の特別な保護が要請される場合

  • 29

    無償行為の場合の原状回復義務

    贈与など無償契約に基づいて給付を受けた者は、給付を受けた当時、当該契約が無効または取消可能 であることを知らなかったときは、現に利益を受けている限度で返還義務を負う

  • 30

    【設例 8】A は、1 本 1 万円のワイン 10 本を B に贈与し、これを引き渡した。その後、A は、錯誤を 理由に贈与を取り消し、B に対してワインの返還を求めた。しかしながら、B は、3 本のワインを落下 事故により喪失してしまっており、現在 7 本しか保有していない。

    設例 8 において A が B に対してワインの返還請求訴訟を提起した場合、B は、抗弁(反論)としてワイン 3 本分の利益が消滅したことを主張・立証することで、その分の返還請求を拒絶することができる

  • 31

    意思無能力による無効あるいは制限行為能力者による取消しの場合、制限行為能力者・意思無能力者の返還義務はどうなるか?

    現存利益に制限

  • 32

    絶対的無効とは?

    何人の主張もまたずに、当然に、かつ絶対的に効力がないものであるとする無効

  • 33

    相対的無効とは?

    限られた者しか主張することができない無効

  • 34

    無効行為が追認された場合

    無効な法律行為は、当事者が有効であるとの意思表示(追認)をすることによって、初めから有効で あったとすることができない(119 条)。 追認がされたときは、同一内容の新たな法律行為がされたもの とみなされる(同条ただし書)。

  • 35

    契約の中心部分に無効原因が存在し、明文の規定がない場合

    対価等が過大であるが、それを縮減すればなお当事者に契約を維持する利益がある場合には、契約の 一部無効に留まる

  • 36

    契約の中心部分に無効原因が存在し、契約全部無効をもたらす場合3つ

    (1) 当事者に契約を維持する利益がない場合 (2) 禁止目的の達成に必要な場合 (3) 制裁として契約全部無効が正当化される場合

  • 37

    【設例 13】X は、Y に対して、金 40,000 円を貸し付けた。その弁済については、Y の娘 A(当時 16 歳未満)が、 X の妻 B が経営する料理屋において酌婦として働き、この給金の半額をもって充てること とされた。しかしながら、 A が X のもとを逃げ出すなどしたため、 X は Y に対して貸付金の返還を請求 した どうなるか?

    設例 13 のような契約(芸娼妓契約)のうち、A を酌婦として稼働させる部分に関しては、人身売買 にあたり、公序良俗違反(90 条)により無効となることについて問題はない。このとき、金銭消費貸借 の部分は有効であるとするならば、Y は、当該金銭を弁済しなければならず、資力がない以上、事実上 A を働かせ続けるしかないことになり、人身売買を禁止する法の目的が達成されない。それゆえ、金銭 消費貸借の部分を含めた全部無効が要請される。

  • 38

    付随的な契約条項に無効原因が存し、条項一部無効に留まる場合

    原則として無効原因の除去に必要な限りでのみ無効とすべき

  • 39

    付随的な契約条項に無効原因が存在し、条項全部向こうが要請される場合

    事業者の故意または重過失による債務不履行に基づく損害賠償責任の一部を免除する条項を、無効とする

  • 40

    消費者契約など一方当事者が契約条項を一方的に作成している場合について、条項全体を無効とするべきとされる考慮点2つ

    不当条項の抑止と制裁

  • 41

    無効行為の転換とは?

    無効な法律行為が他の法律行為の要件を充たす場合に、他の法律行為として有効と認めること

  • 42

    無効行為の転換の要件2つ

    ①無効な法律行為が他の法律行為の要件を充たしていること、 ②当事者が当初の法律行為の無効を認識していたならば、他の法律行為としての効果を欲しただろうこ と

  • 43

    取消しとは?

    ひとまず有効に存在している意思表示(法律行為)を、取消権者の取消しの意思表示によって無効とする単独行為

  • 44

    取消しの方法

    相手方に対する取消しの意思表示

  • 45

    取消し原因3つ

    ① 行為者の行為能力制限違反(5 条以下) ② 瑕疵ある意思表示:錯誤・詐欺または強迫による意思表示(95・96 条) ③ 消費者の誤認もしくは困惑による意思表示、または過量契約の意思表示(消費者契約法 4 条)

  • 46

    行為能力制限違反を理由とする取消しの場合の取消権者4つ

    制限行為能力者本人、代理人、承継人、同意権者

  • 47

    錯誤・詐欺・強迫を理由とする取消しの場合の取消権者3つ

    瑕疵ある意思表示をした者、代理人、承継人

  • 48

    消費者契約法上の取消権者1つ

    消費者

  • 49

    取消し可能な行為が有効確定される事由3つ

    追認、法定追認、取消権行使期間の経過

  • 50

    追認の効果

    取消可能な法律行為は、取消権者が追認した場合に、それ以後取り消すことができなくなり、有効が 確定する

  • 51

    追認の方法

    追認は、取消しと同様に、相手方に対する一方的な意思表示によって行われる単独行為である(123 条)。追認権を有するのは、取消権を有する者である(122 条)

  • 52

    原則としての追認の要件

    取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後に行われること

  • 53

    追認の要件の例外であり、取消しの原因となっていた状況が消滅した後に追認が行われなければならないという要件を必要としない場合2つ

    ① 法定代理人または制限行為能力者の保佐人もしくは補助人が追認をするとき ② 成年被後見人を除く制限行為能力者が法定代理人、保佐人または補助人の同意を得て追認をする とき

  • 54

    追認をすることができる時以後に、異議をとどめない限り取消し可能な行為が追認されたものとみなされる事実6つ

    全部または一部の履行、履行の請求、更改、担保の供与、取消し可能な行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡、強制執行

  • 55

    取消権行使期間 短期行使期間と長期行使期間はいつからいつまでか

    追認可能となった時点から 5 年 法律行為をした時から 20 年

  • 56

    消費者契約法上の取消権の行使期間

    追認可能時から 1 年、当該消費者契約の締結時から 5 年

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    問題一覧

  • 1

    法律行為の解釈作業3つ

    狭義の解釈、法律行為の補充、法律行為の修正

  • 2

    狭義の解釈とは?

    当事者が実際に行った法律行為(意思表示)の内容を確定する作業

  • 3

    当事者が実際に決めた契約内容 をどのように確定すればよいのかに関する説2つ

    客観的解釈説と付与意味基準説

  • 4

    客観的解釈説とは?

    狭義の契約解釈を表示行為が有する社会的意味を明らかにすることであるとする

  • 5

    付与意味基準説とは?

    狭義の契約解釈を当事者が表示に現実に付与した意味に即して契約内容を確定する作業であるとする説

  • 6

    狭義の契約解釈の方法・基準2つ

    一般的解釈と個別的解釈

  • 7

    一般的解釈の方法

    の言葉が通常どのような意味で使用されているかに即して、意味確定を行うこと

  • 8

    一般的解釈の基準

    任意規定による解釈と慣習

  • 9

    個別的解釈とは?

    特殊な言語使用について当事者間に共通了解があるならば、私的自治の尊重という観点からは、そのような用法に即した意味確定を行うべきである。

  • 10

    【設例 4】A は、B から、時価の 3 分の 1 の賃料で、乙建物を賃借した。両当事者の交わした契約書に は、「通常の修理費」は A が負担する旨が記載されていた。その後、乙に雨漏りが生じたため、A は B に修繕を要求した。 どうなるか?

    「通常の修理費」という言葉の一般的な意味は、「賃借人が通常の用法で建物を使用 していて生じる損耗の修理費用」といったものであり、建物の構造にかかわる修繕は、そこに含まれな いと考えられる。しかしながら、賃料が廉価であるという文脈から、建物の構造にかかわる修繕につい ても賃借人の負担とすべきであるとの趣旨を、「通常の修理費」という言葉に読み込む余地がある

  • 11

    強行規定とは?

    当事者が異なる内容の合意(特約)をすることを認めない法規定

  • 12

    任意規定とは?

    特約による排除を認める法規定

  • 13

    契約の補充方法2つ

    法による補充、補充的契約解釈

  • 14

    任意規定と慣習、どちらが優先されるか?

    任意規定と異なる慣習がある場合において、当事者がその慣習に従う意思を有していたと認められる ときは、慣習が任意規定に優先する(92 条)

  • 15

    法による補充3つ

    任意規定、慣習、信義則

  • 16

    補充的契約解釈とは?

    当該契約の趣旨に即した契約補充

  • 17

    【設例 4】A は、B から、時価の 3 分の 1 の賃料で、乙建物を賃借した。両当事者の交わした契約書に は、「通常の修理費」は A が負担する旨が記載されていた。その後、乙に雨漏りが生じたため、A は B に修繕を要求した。 【設例 4-2】設例 4 において、A と B が交わした契約書には、修理費の負担について明示的な記載は なかった。

    A と B が低廉な賃料を合意した趣旨が、「A が修繕を負担する代わりに、賃料を 廉価にする」というものであると評価することができるのであれば、補充的契約解釈により、 B は、 606条 1 項本文に基づく修繕義務を負わないことになる。

  • 18

    修正的解釈とは?

    約文言を字義どおりに解釈したのでは不当な内容となってしまう場合に、これを合理的な内容のも のとして解釈すること

  • 19

    修正的解釈方法2つ

    例文解釈と制限解釈

  • 20

    例文解釈とは?

    ある契約条項がおよそ法的効力を有しないものとする解釈

  • 21

    【設例 5】A は、B から、共同住宅の1室を賃借し、その際に敷金 30 万円を B に交付した。その後、 火災による当該住宅の滅失により、契約は終了した。そこで、A が B に対して、敷金の返還を請求した ところ、B は、賃借物件が火災等の災害により使用できなくなった場合には敷金を返還しない旨の契約 条項の存在を主張した 例文解釈の観点から

    当該特約の拘束力を認めることは賃借人の合理的意思に反しており、特約の記載は例文にすぎない、との判断をしている

  • 22

    制限解釈とは?

    ある契約条項を文言どおりに解釈・適用すると不当な結果が生じる場合に、当該条項を狭く解釈すること

  • 23

    【設例 6】宝石・貴金属の販売を業とする X 社の代表取締役である A は、約 2500 万円相当の宝飾品の 入ったバッグ甲を持参して、Y 社の経営する乙ホテルに赴いた。A は、フロントで宿泊手続きを済ませ た後、ベルボーイ B に対し、在中品の内容を告げることなく甲を客室まで運搬することを依頼し、客室 へ向かった。ところが、 B は、甲を何者かに盗まれた。そこで、 X は、 Y に対し損害賠償を請求した (715条を参照)。乙の宿泊約款には、「宿泊客が当ホテル内にお持込みになった物品又は現金並びに貴重品であって、フロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルは、その損害を賠償します。ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15 万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。」とい う条項があった どうなるか?

    最高裁は、ホテル側に故意または重過失がある場合には当該条項が適用されないものとした

  • 24

    無効とは?

    法律行為が解釈によって確定された内容に従った法律効果を生じないこと

  • 25

    具体的な無効2つ

    履行請求の拒絶と、原状回復義務の発生

  • 26

    原状回復義務の原則

    無効な法律行為に基づく給付は、原則として、その全部が返還されなければならない。たとえ返還の 対象となる原物が滅失した場合においても、その物の価額を返還する義務を負う

  • 27

    【設例 7】 X は、 Y に対して、トラクター甲を 100 万円で売り渡し、代金と引き換えに甲を引き渡した。その後、X は、錯誤を理由に契約を取り消し(95 条)、Y に対して甲の返還を求めた。ところが、甲は、大規模な土砂崩れに巻き込まれ、既に滅失してしまっていた。 原状回復義務の原則にもとづくとどうなるか? 

    X は Y に対して代金 100 万円を返還しなければならない一方、Y も X に対して甲の客観的価値相当額の金銭 を返還しなければならない。

  • 28

    原状回復義務の例外2つ

    無償行為の場合と給付受領者の特別な保護が要請される場合

  • 29

    無償行為の場合の原状回復義務

    贈与など無償契約に基づいて給付を受けた者は、給付を受けた当時、当該契約が無効または取消可能 であることを知らなかったときは、現に利益を受けている限度で返還義務を負う

  • 30

    【設例 8】A は、1 本 1 万円のワイン 10 本を B に贈与し、これを引き渡した。その後、A は、錯誤を 理由に贈与を取り消し、B に対してワインの返還を求めた。しかしながら、B は、3 本のワインを落下 事故により喪失してしまっており、現在 7 本しか保有していない。

    設例 8 において A が B に対してワインの返還請求訴訟を提起した場合、B は、抗弁(反論)としてワイン 3 本分の利益が消滅したことを主張・立証することで、その分の返還請求を拒絶することができる

  • 31

    意思無能力による無効あるいは制限行為能力者による取消しの場合、制限行為能力者・意思無能力者の返還義務はどうなるか?

    現存利益に制限

  • 32

    絶対的無効とは?

    何人の主張もまたずに、当然に、かつ絶対的に効力がないものであるとする無効

  • 33

    相対的無効とは?

    限られた者しか主張することができない無効

  • 34

    無効行為が追認された場合

    無効な法律行為は、当事者が有効であるとの意思表示(追認)をすることによって、初めから有効で あったとすることができない(119 条)。 追認がされたときは、同一内容の新たな法律行為がされたもの とみなされる(同条ただし書)。

  • 35

    契約の中心部分に無効原因が存在し、明文の規定がない場合

    対価等が過大であるが、それを縮減すればなお当事者に契約を維持する利益がある場合には、契約の 一部無効に留まる

  • 36

    契約の中心部分に無効原因が存在し、契約全部無効をもたらす場合3つ

    (1) 当事者に契約を維持する利益がない場合 (2) 禁止目的の達成に必要な場合 (3) 制裁として契約全部無効が正当化される場合

  • 37

    【設例 13】X は、Y に対して、金 40,000 円を貸し付けた。その弁済については、Y の娘 A(当時 16 歳未満)が、 X の妻 B が経営する料理屋において酌婦として働き、この給金の半額をもって充てること とされた。しかしながら、 A が X のもとを逃げ出すなどしたため、 X は Y に対して貸付金の返還を請求 した どうなるか?

    設例 13 のような契約(芸娼妓契約)のうち、A を酌婦として稼働させる部分に関しては、人身売買 にあたり、公序良俗違反(90 条)により無効となることについて問題はない。このとき、金銭消費貸借 の部分は有効であるとするならば、Y は、当該金銭を弁済しなければならず、資力がない以上、事実上 A を働かせ続けるしかないことになり、人身売買を禁止する法の目的が達成されない。それゆえ、金銭 消費貸借の部分を含めた全部無効が要請される。

  • 38

    付随的な契約条項に無効原因が存し、条項一部無効に留まる場合

    原則として無効原因の除去に必要な限りでのみ無効とすべき

  • 39

    付随的な契約条項に無効原因が存在し、条項全部向こうが要請される場合

    事業者の故意または重過失による債務不履行に基づく損害賠償責任の一部を免除する条項を、無効とする

  • 40

    消費者契約など一方当事者が契約条項を一方的に作成している場合について、条項全体を無効とするべきとされる考慮点2つ

    不当条項の抑止と制裁

  • 41

    無効行為の転換とは?

    無効な法律行為が他の法律行為の要件を充たす場合に、他の法律行為として有効と認めること

  • 42

    無効行為の転換の要件2つ

    ①無効な法律行為が他の法律行為の要件を充たしていること、 ②当事者が当初の法律行為の無効を認識していたならば、他の法律行為としての効果を欲しただろうこ と

  • 43

    取消しとは?

    ひとまず有効に存在している意思表示(法律行為)を、取消権者の取消しの意思表示によって無効とする単独行為

  • 44

    取消しの方法

    相手方に対する取消しの意思表示

  • 45

    取消し原因3つ

    ① 行為者の行為能力制限違反(5 条以下) ② 瑕疵ある意思表示:錯誤・詐欺または強迫による意思表示(95・96 条) ③ 消費者の誤認もしくは困惑による意思表示、または過量契約の意思表示(消費者契約法 4 条)

  • 46

    行為能力制限違反を理由とする取消しの場合の取消権者4つ

    制限行為能力者本人、代理人、承継人、同意権者

  • 47

    錯誤・詐欺・強迫を理由とする取消しの場合の取消権者3つ

    瑕疵ある意思表示をした者、代理人、承継人

  • 48

    消費者契約法上の取消権者1つ

    消費者

  • 49

    取消し可能な行為が有効確定される事由3つ

    追認、法定追認、取消権行使期間の経過

  • 50

    追認の効果

    取消可能な法律行為は、取消権者が追認した場合に、それ以後取り消すことができなくなり、有効が 確定する

  • 51

    追認の方法

    追認は、取消しと同様に、相手方に対する一方的な意思表示によって行われる単独行為である(123 条)。追認権を有するのは、取消権を有する者である(122 条)

  • 52

    原則としての追認の要件

    取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後に行われること

  • 53

    追認の要件の例外であり、取消しの原因となっていた状況が消滅した後に追認が行われなければならないという要件を必要としない場合2つ

    ① 法定代理人または制限行為能力者の保佐人もしくは補助人が追認をするとき ② 成年被後見人を除く制限行為能力者が法定代理人、保佐人または補助人の同意を得て追認をする とき

  • 54

    追認をすることができる時以後に、異議をとどめない限り取消し可能な行為が追認されたものとみなされる事実6つ

    全部または一部の履行、履行の請求、更改、担保の供与、取消し可能な行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡、強制執行

  • 55

    取消権行使期間 短期行使期間と長期行使期間はいつからいつまでか

    追認可能となった時点から 5 年 法律行為をした時から 20 年

  • 56

    消費者契約法上の取消権の行使期間

    追認可能時から 1 年、当該消費者契約の締結時から 5 年