第 23講 物権的請求権・占有(権)Ⅰ
問題一覧
1
物権が他人によって侵害され、または侵害されるおそれがある場合に、物権者が その他人に対して侵害や危険の除去を求める権利
2
①返還請求権、②妨害排除請求権、③妨害予防請求権
3
(1) 行為請求権説(判例・従来の通説) 従来の通説的な見解によれば、物権的請求権は、相手方の費用負担での積極的な侵害除去行為を請求 する権利であるとされる。判例も、基本的に、このように考えているものとされている 1。この説の基 礎には、次のような思想がある。 (i) 物権的請求権は、人に対して積極的に請求することができる権利である。 (ii) 侵害の惹起につき不法行為責任を負わない者であっても、侵害の原因を支配していれば、侵害除 去の負担を負うべきである。 (2) 忍容請求権説 とりわけ設例 1 の②や③を念頭に、物権的請求権は、相手方に対して、請求者自身が回復行為をする のを忍容せよと要求する権利に過ぎない、とする。この見解によると、請求者は、自らの費用で回復行 為をした後、侵害を惹起した責任を有する者に対して、不法行為による損害賠償を請求することになる。 この説の基礎には、次のような思想がある。 (i) 物権的請求権は、物権の一作用であり、物に対する追及権であって、人に対して積極的に何かを 求める権利ではない。 (ii) 侵害の惹起につき不法行為責任を負わない者に、侵害除去の負担を負わせるべきではない。 (iii) 設例 1 のような場合には、甲につき A の妨害排除請求権と乙につき B の返還請求権とが、対立 的に存在しているものと考えられる。行為請求権説に立つならば、先に判決を得て執行した方が得をす ることになり、公平に反する。 (3) 責任説 このほか、忍容請求権説に近い見解として、侵害者に不法行為責任要件があれば行為請求権となり、 責任要件がなければ忍容請求権になる、との学説も主張された 2 近時の議論――侵害基準説 (1) 双方侵害の否定 近時の学説においては、忍容請求権説の論者が指摘するような双方侵害は生じていない、との見方が 有力である。設例 1 のような場合には、社会通念に従うと、乙が甲の所有権を侵害していることはあっ ても、甲が乙の所有権を侵害したとは評価されないはずである。B は乙を介して乙の所在地を妨害して いると評価することができるが、A が B の取戻行為を阻止するなど何か積極的な行為に出ないならば、 A が乙を占有していると評価することはできない。したがって、設例 7 においては、A の妨害排除請求 権だけが問題になるとする。 (2) 請求権の内容 そのうえで、近時の学説は、A が有する物権的請求権の内容は行為請求権であるとの見解を踏襲して いる。ここでの問題は、侵害を惹起したことに対する不法行為責任ではなく、継続している侵害を除去 すべき責任であることから、不法行為責任要件を充たさない②・③のような場合にも、B の費用負担が 認められて致し方ないとする。 他方で、 B にも、乙を引き取るための甲への立ち入りを忍容するよう A に要求する権利があるとして いる――このときの A の忍容義務が、信義則ないし相隣関係に基づく義務なのか、物権的請求権の一種 なのかについては争いがある。――。もっとも、A が B の引取り申し出を拒んだ場合には、B にも返還 請求権が認められうるが、この場合にも、A が負う義務は、甲の上にて乙を引き渡すということに留ま り、実際の費用負担は変わらない、とされている。
4
現在の侵害者または侵害のおそれを生じさせている者
5
登記名義人責任説(判例 3) 判例は、次のような理由から、「他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて 所有権取得の登記を経由した場合には、たとい建物を他に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保 有する限り、土地所有者に対し、右譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義 務を免れることはできない」としている。 ① 建物は土地を離れて存立しえず、建物の所有は必然的に土地の占有を伴うものであるから、土地 所有者は、地上建物の所有権の帰属につき重大な利害関係を有する。そうすると、土地所有者が建物譲 渡人に対して所有権に基づき建物収去・土地明渡しを請求する場合の両者の関係は、土地所有者が地上 建物の譲渡による所有権の喪失を否定してその帰属を争う点で、あたかも建物についての物権変動にお ける対抗関係にも似た関係ということができる。したがって、自らの意思で登記を経由した建物所有者 は、登記を保有する以上、土地所有者に対して建物所有権の喪失を主張できないというべきである。 ② 登記にかかわりなく実質的所有者を相手方としなければならないとすると、土地所有者は、その 探求の困難を強いられることになり、また、相手方において、たやすく建物の所有権の移転を主張して 明渡しの義務を免れることが可能になる。 ③ 建物譲渡人が所有権移転登記を行うことは、通常、さほど困難なこととはいえず、不動産取引に 関する社会慣行にも合致する。したがって、登記を自己名義にしておきながら自らの所有権の喪失を主 張し、その建物の収去義務を否定することは、信義にもとり、公平の見地に照らして許されない。
6
(1) 請求否定説(判例 4) 判例によれば、設例 3 のように、未登記建物が譲渡された後に、譲渡人の意思に基づかずに譲渡人名 義の所有権取得登記がされた場合には、譲渡人を請求の相手方とすることはできない。というのは、譲 渡人は、未登記建物の譲渡により確定的に所有権を失うので、その後に自己の意思に基づかない登記が されても、建物所有権の喪失により土地を占有していないことを主張することができるからである
7
判例によれば、建物の所有名義人が、実際に建物を所有したことがなく、単に登記を有するにすぎな い場合にも、この者を相手方とする請求は認められない 6。この場合については、仮装登記につき 177 条の適用が問題とならないことと、パラレルに考えることができる
8
(1) 主観的態様顧慮説 177 条の「第三者」における主観的要件による制限になぞらえて、土地所有者に一定の主観的態様が あれば、登記名義人を相手方とすることができない、とする。 (2) 主観的態様不顧慮説 8 第三者に取引を控えるという選択肢のある不動産二重譲渡の場合と異なり、土地所有者は、物権的請 求権を行使しないわけにはいかず、建物譲渡を認識していても、転譲渡などにより誰が現に実質的所有 者であるか知れない可能性もあるのだから、登記によって相手方の明確化を図るべきであり、原則とし て、土地所有者の主観的態様により相手方となる資格を左右すべきでない、とする。
9
1 社会秩序維持機能 まず、占有制度には、物の事実的支配を一応尊重・保護することによって、社会の秩序を維持する機 能があるとされる。占有の訴え(占有訴権、197 条以下)が、この役割を果たしている。 2 本権表章的機能 次に、 法は、占有に、 本権(所有権など占有の原因となる権利)の存在を表章する機能を認めている。 権利適法の推定(188 条)・即時取得 9(192 条)・動産物権譲渡の対抗要件(178 条)などが、この機 能に関連する。 3 本権取得的機能 さらに、占有に基づいて本権を取得することが認められている。取得時効(162 条)・動物の占有に よる権利の取得(195 条)・無主物先占(239 条)・遺失物拾得(240 条)・留置権の発生(295 条)などが、これにあたる。 4 物の返還に際しての利害調整機能 最後に、民法は、物権的返還請求権によって占有物を返還しなければならなくなった場合について、 占有者の権利義務を規定して、権利者と占有者の利害調整を図っている(189~191・196 条) 。
10
①物の所持 ②自己のためにする意思 (180 条)
11
物が社会通念上ある者の事実的支配に属すると認められる客観的状態
12
物の所持による事実上の利益を自己に帰せしめようとする意思
13
(1) 主観説(通説) 自己のためにする意思が占有の要件である、とする。もっとも、通説的見解によると、この意思の有 無は、純粋に客観的に、物の所持を生じさせた原因(権原)の性質によって決まる。例えば、買主・賃 借人・受寄者などは、物の管理・利用・処分をする者であるから、売買・賃貸借・寄託などの契約は、 自己のためにする意思を基礎付ける権原となる。また、盗人なども、自ら利得する意思を有するのが通 常であるから、窃盗もこの権原となる。
14
代理占有(間接占有)と占有補助者(占有機関)
15
占有権は、代理人によって取得することができる(181 条) 。設例 5 において、甲を直接に所持して いるのは B であるが、 B に占有が認められるだけでなく、 A にも B を介した占有が認められる。この B のように、本人 A に代わって占有する者を「占有代理人」、B を介した A の占有を「代理占有」(間接 占有)といい、これに対して、直接に物を所持する場合の占有を「自己占有」(直接占有)という
16
代理占有においては、占有代理人だけでなく、本人にも占有が認められ、それに基づく権利義務を取 得する。したがって、本人について、取得時効期間の進行・動産物権譲渡の対抗要件具備・即時取得・ 占有訴権などが認められる。
17
代理占有において、占有の平穏・公然・善意・無過失などは、第一次的に占有代理人について判断さ れる。もっとも、第二次的に、本人に悪意などがあるときは、占有代理人が善意であっても、善意占有 者などとしての利益を受けることができないとされる(101 条類推)。
18
(1) 占有代理人の所持 (2) 占有代理関係(所持者が本人に対して物の返還義務を負う関係)の存在 (3) 占有代理人の「本人のためにする意思」 「本人のためにする意思」とは、物の所持による事実上の利益を本人に帰せしめようとする意思 (4) 本人の「代理人によって占有を取得する意思」 この意思について通説は成立要件としていない 法律行為の代理においても、代理関係があれば、本人が代理人の行為によって法律効果を取得する意思は、問題にならないから
19
本人が他人に物を支配させているが、その他人に独立の所持が認められないために、本人だけに占有 が認められる場合がある。このような関係にある他人を、占有補助者(占有機関)という。設例 2 の C や D のほか、店番をしている使用人、法人の代表機関 11などが、その例
20
1 占有(権)の承継可能性 占有権(占有に対する法的保護)は、個々の占有者の物に対する事実的支配に対して認められるとこ ろ、占有の取得態様は、原始取得が原則的である。しかしながら、182 条以下では、占有権が譲渡可能 な権利とされており、占有(権)の承継取得が認められている。
21
(1) 承継前後の占有の同一性 占有(権)の承継取得が認められるということは、前主の占有と後主の占有との間に同一性が認めら れるということである。これにより、取得時効期間の計算において、前主の占有期間と後主の占有期間 の合算および占有瑕疵の承継が認められ(187 条)、また、動産物権譲渡の対抗要件(178 条)や即時取 得の要件(192 条)となる引渡し(占有の移転)が基礎づけられる。 (2) 承継人の占有の二面性 もっとも、承継人の占有は、自己の新たな占有 (原始的占有) としての側面も有している。 それゆえ、 占有承継人は、自己の占有(固有占有)のみを主張することもできる(187 条 1 項)
22
引渡しと相続
23
(1) 占有意思の放棄 第一に、占有意思を放棄すれば、自己占有は消滅する(203 条本文)。占有意思の放棄とは、単に自 己のためにする意思が存在しなくなることではなく、自己のためにする意思をもたないことを積極的に 表示することである。 (2)所持の喪失 第二に、占有物の所持を失った場合にも、自己占有は消滅する(203 条本文)。ただし、占有回収の 訴えを提起し、これに勝訴すれば、消滅しなかったものとして扱われる(同ただし書)。
24
(1) 代理人に占有させる意思の放棄 第一に、本人が、代理人によって占有しないという意思を積極的に表示する場合に、代理占有は消滅 する(204 条 1 項 1 号) 。 (2) 自己または第三者のために所持する意思の表示 第二に、占有代理人が、本人に対して、以後自己または第三者のために占有物を所持する意思を表示 した場合にも、代理占有は消滅する(同 2 号) 。 (3) 所持の喪失 第三に、占有代理人が占有物の所持を失った場合に、代理占有は消滅する(同 3 号) 。
25
代理占有は、「代理権の消滅のみによっては、消滅しない」 (204 条 2 項) 。ここでの「代理権」とは、代理占有の原因となった法律関係(賃貸借や寄託などの権原)のことである。そのような法律関係がなくなったとしても、占有代理人は本人に対する返還義務を免れるわけではない。したがって、占有代理 関係は、依然として存在している。
民法1
民法1
Aiko Kobayashi · 46問 · 2年前民法1
民法1
46問 • 2年前ニュースでわからなかった英単語
ニュースでわからなかった英単語
Aiko Kobayashi · 61問 · 2年前ニュースでわからなかった英単語
ニュースでわからなかった英単語
61問 • 2年前英単語 2
英単語 2
Aiko Kobayashi · 12問 · 2年前英単語 2
英単語 2
12問 • 2年前第1講 民法総論
第1講 民法総論
Aiko Kobayashi · 39問 · 2年前第1講 民法総論
第1講 民法総論
39問 • 2年前第2講 権利の主体I
第2講 権利の主体I
Aiko Kobayashi · 41問 · 2年前第2講 権利の主体I
第2講 権利の主体I
41問 • 2年前13 国際関係論入門
13 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 11問 · 2年前13 国際関係論入門
13 国際関係論入門
11問 • 2年前1 国際関係論入門
1 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 7問 · 2年前1 国際関係論入門
1 国際関係論入門
7問 • 2年前2 国際関係論入門
2 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 20問 · 2年前2 国際関係論入門
2 国際関係論入門
20問 • 2年前3 国際関係論入門
3 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前3 国際関係論入門
3 国際関係論入門
18問 • 2年前4国際関係論入門
4国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 8問 · 2年前4国際関係論入門
4国際関係論入門
8問 • 2年前5・6 国際関係論入門
5・6 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 21問 · 2年前5・6 国際関係論入門
5・6 国際関係論入門
21問 • 2年前7・8・9 国際関係論入門
7・8・9 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 31問 · 2年前7・8・9 国際関係論入門
7・8・9 国際関係論入門
31問 • 2年前10 国際関係論入門
10 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前10 国際関係論入門
10 国際関係論入門
18問 • 2年前11・12 国際関係論入門
11・12 国際関係論入門
Aiko Kobayashi · 16問 · 2年前11・12 国際関係論入門
11・12 国際関係論入門
16問 • 2年前第3講 法律行為総論・意思表示
第3講 法律行為総論・意思表示
Aiko Kobayashi · 59問 · 2年前第3講 法律行為総論・意思表示
第3講 法律行為総論・意思表示
59問 • 2年前第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
Aiko Kobayashi · 56問 · 2年前第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
第 4 講 法律行為の解釈・無効と取消し
56問 • 2年前第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
Aiko Kobayashi · 58問 · 2年前第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
第 5 講 法律行為の効力否定原因Ⅰ
58問 • 2年前第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
Aiko Kobayashi · 53問 · 2年前第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
第 6 講 法律行為の効力否定原因Ⅱ
53問 • 2年前第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
Aiko Kobayashi · 57問 · 2年前第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
第 7 講 法律行為の効力否定原因Ⅲ
57問 • 2年前第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
Aiko Kobayashi · 36問 · 2年前第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
第 8 講 法律行為の効力否定原因Ⅳ
36問 • 2年前第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
Aiko Kobayashi · 87問 · 2年前第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
第 9 講 条件と期限・代理Ⅰ(代理総論・有権代理)
87問 • 2年前第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
Aiko Kobayashi · 35問 · 2年前第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
第 10講 代理Ⅱ(無権代理)
35問 • 2年前第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
Aiko Kobayashi · 44問 · 2年前第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
第 11講 代理Ⅲ(表見代理)
44問 • 2年前第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
Aiko Kobayashi · 44問 · 2年前第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
第 12講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅰ)
44問 • 2年前第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
Aiko Kobayashi · 23問 · 2年前第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
第 13講 権利の主体Ⅱ(法人Ⅱ)
23問 • 2年前第 14講 時効Ⅰ
第 14講 時効Ⅰ
Aiko Kobayashi · 41問 · 2年前第 14講 時効Ⅰ
第 14講 時効Ⅰ
41問 • 2年前第 15講 時効Ⅱ
第 15講 時効Ⅱ
Aiko Kobayashi · 32問 · 2年前第 15講 時効Ⅱ
第 15講 時効Ⅱ
32問 • 2年前第 16講 物権法序論・物権変動総論
第 16講 物権法序論・物権変動総論
Aiko Kobayashi · 67問 · 2年前第 16講 物権法序論・物権変動総論
第 16講 物権法序論・物権変動総論
67問 • 2年前第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
Aiko Kobayashi · 63問 · 2年前第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
第 17講 法律行為を原因とする物権変動・不動産物権変動Ⅰ(不動産登記)
63問 • 2年前第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
Aiko Kobayashi · 30問 · 2年前第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
第 18講 不動産物権変動Ⅱ(177条総論・94 条 2項類推適用)
30問 • 2年前第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
Aiko Kobayashi · 35問 · 2年前第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
第 19講 不動産物権変動Ⅲ(177条各論)
35問 • 2年前第 20講 動産物権変動
第 20講 動産物権変動
Aiko Kobayashi · 31問 · 2年前第 20講 動産物権変動
第 20講 動産物権変動
31問 • 2年前第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
Aiko Kobayashi · 34問 · 2年前第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
第 21講 所有権Ⅰ(総論・添付)
34問 • 2年前第 1 講 憲法学への招待
第 1 講 憲法学への招待
Aiko Kobayashi · 12問 · 2年前第 1 講 憲法学への招待
第 1 講 憲法学への招待
12問 • 2年前第 2 講 法の支配と権力分立
第 2 講 法の支配と権力分立
Aiko Kobayashi · 15問 · 2年前第 2 講 法の支配と権力分立
第 2 講 法の支配と権力分立
15問 • 2年前第 3 講 議院内閣制
第 3 講 議院内閣制
Aiko Kobayashi · 15問 · 2年前第 3 講 議院内閣制
第 3 講 議院内閣制
15問 • 2年前第 4 講 象徴天皇制
第 4 講 象徴天皇制
Aiko Kobayashi · 7問 · 2年前第 4 講 象徴天皇制
第 4 講 象徴天皇制
7問 • 2年前第5講 国民代表・政党・選挙
第5講 国民代表・政党・選挙
Aiko Kobayashi · 12問 · 2年前第5講 国民代表・政党・選挙
第5講 国民代表・政党・選挙
12問 • 2年前第 6 講 国会の地位と構造
第 6 講 国会の地位と構造
Aiko Kobayashi · 11問 · 2年前第 6 講 国会の地位と構造
第 6 講 国会の地位と構造
11問 • 2年前第 7 講 内閣の地位と構造
第 7 講 内閣の地位と構造
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前第 7 講 内閣の地位と構造
第 7 講 内閣の地位と構造
18問 • 2年前第8講 立法作用
第8講 立法作用
Aiko Kobayashi · 18問 · 2年前第8講 立法作用
第8講 立法作用
18問 • 2年前第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
Aiko Kobayashi · 30問 · 2年前第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
第9講 行政作用 第 10 講 戦争の放棄
30問 • 2年前第 11 講 司法権と違憲審査
第 11 講 司法権と違憲審査
Aiko Kobayashi · 32問 · 2年前第 11 講 司法権と違憲審査
第 11 講 司法権と違憲審査
32問 • 2年前第 12 講 司法権の限界
第 12 講 司法権の限界
Aiko Kobayashi · 24問 · 2年前第 12 講 司法権の限界
第 12 講 司法権の限界
24問 • 2年前第 13 講 憲法判断の方法と効果
第 13 講 憲法判断の方法と効果
Aiko Kobayashi · 26問 · 2年前第 13 講 憲法判断の方法と効果
第 13 講 憲法判断の方法と効果
26問 • 2年前第 22講 所有権Ⅱ(共有)
第 22講 所有権Ⅱ(共有)
Aiko Kobayashi · 43問 · 2年前第 22講 所有権Ⅱ(共有)
第 22講 所有権Ⅱ(共有)
43問 • 2年前第 24講 占有(権)Ⅱ
第 24講 占有(権)Ⅱ
Aiko Kobayashi · 48問 · 2年前第 24講 占有(権)Ⅱ
第 24講 占有(権)Ⅱ
48問 • 2年前第一回「憲法上の権利」の観念
第一回「憲法上の権利」の観念
Aiko Kobayashi · 38問 · 1年前第一回「憲法上の権利」の観念
第一回「憲法上の権利」の観念
38問 • 1年前英単語3
英単語3
Aiko Kobayashi · 23問 · 1年前英単語3
英単語3
23問 • 1年前刑法1
刑法1
Aiko Kobayashi · 36問 · 1年前刑法1
刑法1
36問 • 1年前英単語4
英単語4
Aiko Kobayashi · 27問 · 1年前英単語4
英単語4
27問 • 1年前第1回
第1回
Aiko Kobayashi · 15問 · 1年前第1回
第1回
15問 • 1年前第1回
第1回
Aiko Kobayashi · 10問 · 1年前第1回
第1回
10問 • 1年前英単語5
英単語5
Aiko Kobayashi · 39問 · 1年前英単語5
英単語5
39問 • 1年前第1回
第1回
Aiko Kobayashi · 10問 · 1年前第1回
第1回
10問 • 1年前第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
Aiko Kobayashi · 28問 · 1年前第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
第2回 司法審査制と「憲法訴訟」の基礎
28問 • 1年前第3回 思想・良心の自由
第3回 思想・良心の自由
Aiko Kobayashi · 21問 · 1年前第3回 思想・良心の自由
第3回 思想・良心の自由
21問 • 1年前第2回
第2回
Aiko Kobayashi · 54問 · 1年前第2回
第2回
54問 • 1年前第2回
第2回
Aiko Kobayashi · 31問 · 1年前第2回
第2回
31問 • 1年前第2回
第2回
Aiko Kobayashi · 40問 · 1年前第2回
第2回
40問 • 1年前第3回
第3回
Aiko Kobayashi · 50問 · 1年前第3回
第3回
50問 • 1年前第4回〜7回
第4回〜7回
Aiko Kobayashi · 48問 · 1年前第4回〜7回
第4回〜7回
48問 • 1年前第4回 第5回 因果関係
第4回 第5回 因果関係
Aiko Kobayashi · 41問 · 1年前第4回 第5回 因果関係
第4回 第5回 因果関係
41問 • 1年前英単語6
英単語6
Aiko Kobayashi · 42問 · 1年前英単語6
英単語6
42問 • 1年前教科書の内容
教科書の内容
Aiko Kobayashi · 7問 · 1年前教科書の内容
教科書の内容
7問 • 1年前英単語 7
英単語 7
Aiko Kobayashi · 29問 · 1年前英単語 7
英単語 7
29問 • 1年前英単語 8
英単語 8
Aiko Kobayashi · 28問 · 1年前英単語 8
英単語 8
28問 • 1年前英単語 10
英単語 10
Aiko Kobayashi · 48問 · 1年前英単語 10
英単語 10
48問 • 1年前英単語 11
英単語 11
Aiko Kobayashi · 58問 · 1年前英単語 11
英単語 11
58問 • 1年前英単語12
英単語12
Aiko Kobayashi · 68問 · 1年前英単語12
英単語12
68問 • 1年前英単語13
英単語13
Aiko Kobayashi · 73問 · 1年前英単語13
英単語13
73問 • 1年前英単語 14
英単語 14
Aiko Kobayashi · 63問 · 1年前英単語 14
英単語 14
63問 • 1年前英単語15
英単語15
Aiko Kobayashi · 49問 · 1年前英単語15
英単語15
49問 • 1年前英単語 16
英単語 16
Aiko Kobayashi · 58問 · 1年前英単語 16
英単語 16
58問 • 1年前英単語17
英単語17
Aiko Kobayashi · 69問 · 1年前英単語17
英単語17
69問 • 1年前英単語18
英単語18
Aiko Kobayashi · 53問 · 1年前英単語18
英単語18
53問 • 1年前英単語19
英単語19
Aiko Kobayashi · 54問 · 1年前英単語19
英単語19
54問 • 1年前英単語20
英単語20
Aiko Kobayashi · 63問 · 1年前英単語20
英単語20
63問 • 1年前英単語21
英単語21
Aiko Kobayashi · 63問 · 1年前英単語21
英単語21
63問 • 1年前英単語22
英単語22
Aiko Kobayashi · 72問 · 1年前英単語22
英単語22
72問 • 1年前英単語23
英単語23
Aiko Kobayashi · 100問 · 1年前英単語23
英単語23
100問 • 1年前第4回
第4回
Aiko Kobayashi · 9問 · 1年前第4回
第4回
9問 • 1年前第3回
第3回
Aiko Kobayashi · 33問 · 1年前第3回
第3回
33問 • 1年前第6回 不作為犯
第6回 不作為犯
Aiko Kobayashi · 26問 · 1年前第6回 不作為犯
第6回 不作為犯
26問 • 1年前第七回 故意(構成要件的故意)
第七回 故意(構成要件的故意)
Aiko Kobayashi · 34問 · 1年前第七回 故意(構成要件的故意)
第七回 故意(構成要件的故意)
34問 • 1年前第八回、第九回 事実の錯誤
第八回、第九回 事実の錯誤
Aiko Kobayashi · 27問 · 1年前第八回、第九回 事実の錯誤
第八回、第九回 事実の錯誤
27問 • 1年前第十回 過失
第十回 過失
Aiko Kobayashi · 32問 · 1年前第十回 過失
第十回 過失
32問 • 1年前第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
Aiko Kobayashi · 53問 · 1年前第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
第十一回 違法性の本質・正当行為・被害者の承諾(同意)
53問 • 1年前第十三回、第十四回 正当防衛
第十三回、第十四回 正当防衛
Aiko Kobayashi · 45問 · 1年前第十三回、第十四回 正当防衛
第十三回、第十四回 正当防衛
45問 • 1年前第十五回 緊急避難
第十五回 緊急避難
Aiko Kobayashi · 26問 · 1年前第十五回 緊急避難
第十五回 緊急避難
26問 • 1年前第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
Aiko Kobayashi · 43問 · 1年前第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
第十六回 責任の意義・責任能力、原因において自由な行為
43問 • 1年前第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
Aiko Kobayashi · 23問 · 1年前第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
第十七回 正当化事情の錯誤(責任故意)、違法性の意識
23問 • 1年前第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
Aiko Kobayashi · 23問 · 1年前第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
第3回 同時履行の抗弁・不安の抗弁
23問 • 1年前第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
Aiko Kobayashi · 56問 · 1年前第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
第十八回、第十九回 未遂犯の基礎・実行の着手、不能犯
56問 • 1年前第4回
第4回
Aiko Kobayashi · 31問 · 1年前第4回
第4回
31問 • 1年前問題一覧
1
物権が他人によって侵害され、または侵害されるおそれがある場合に、物権者が その他人に対して侵害や危険の除去を求める権利
2
①返還請求権、②妨害排除請求権、③妨害予防請求権
3
(1) 行為請求権説(判例・従来の通説) 従来の通説的な見解によれば、物権的請求権は、相手方の費用負担での積極的な侵害除去行為を請求 する権利であるとされる。判例も、基本的に、このように考えているものとされている 1。この説の基 礎には、次のような思想がある。 (i) 物権的請求権は、人に対して積極的に請求することができる権利である。 (ii) 侵害の惹起につき不法行為責任を負わない者であっても、侵害の原因を支配していれば、侵害除 去の負担を負うべきである。 (2) 忍容請求権説 とりわけ設例 1 の②や③を念頭に、物権的請求権は、相手方に対して、請求者自身が回復行為をする のを忍容せよと要求する権利に過ぎない、とする。この見解によると、請求者は、自らの費用で回復行 為をした後、侵害を惹起した責任を有する者に対して、不法行為による損害賠償を請求することになる。 この説の基礎には、次のような思想がある。 (i) 物権的請求権は、物権の一作用であり、物に対する追及権であって、人に対して積極的に何かを 求める権利ではない。 (ii) 侵害の惹起につき不法行為責任を負わない者に、侵害除去の負担を負わせるべきではない。 (iii) 設例 1 のような場合には、甲につき A の妨害排除請求権と乙につき B の返還請求権とが、対立 的に存在しているものと考えられる。行為請求権説に立つならば、先に判決を得て執行した方が得をす ることになり、公平に反する。 (3) 責任説 このほか、忍容請求権説に近い見解として、侵害者に不法行為責任要件があれば行為請求権となり、 責任要件がなければ忍容請求権になる、との学説も主張された 2 近時の議論――侵害基準説 (1) 双方侵害の否定 近時の学説においては、忍容請求権説の論者が指摘するような双方侵害は生じていない、との見方が 有力である。設例 1 のような場合には、社会通念に従うと、乙が甲の所有権を侵害していることはあっ ても、甲が乙の所有権を侵害したとは評価されないはずである。B は乙を介して乙の所在地を妨害して いると評価することができるが、A が B の取戻行為を阻止するなど何か積極的な行為に出ないならば、 A が乙を占有していると評価することはできない。したがって、設例 7 においては、A の妨害排除請求 権だけが問題になるとする。 (2) 請求権の内容 そのうえで、近時の学説は、A が有する物権的請求権の内容は行為請求権であるとの見解を踏襲して いる。ここでの問題は、侵害を惹起したことに対する不法行為責任ではなく、継続している侵害を除去 すべき責任であることから、不法行為責任要件を充たさない②・③のような場合にも、B の費用負担が 認められて致し方ないとする。 他方で、 B にも、乙を引き取るための甲への立ち入りを忍容するよう A に要求する権利があるとして いる――このときの A の忍容義務が、信義則ないし相隣関係に基づく義務なのか、物権的請求権の一種 なのかについては争いがある。――。もっとも、A が B の引取り申し出を拒んだ場合には、B にも返還 請求権が認められうるが、この場合にも、A が負う義務は、甲の上にて乙を引き渡すということに留ま り、実際の費用負担は変わらない、とされている。
4
現在の侵害者または侵害のおそれを生じさせている者
5
登記名義人責任説(判例 3) 判例は、次のような理由から、「他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて 所有権取得の登記を経由した場合には、たとい建物を他に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保 有する限り、土地所有者に対し、右譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義 務を免れることはできない」としている。 ① 建物は土地を離れて存立しえず、建物の所有は必然的に土地の占有を伴うものであるから、土地 所有者は、地上建物の所有権の帰属につき重大な利害関係を有する。そうすると、土地所有者が建物譲 渡人に対して所有権に基づき建物収去・土地明渡しを請求する場合の両者の関係は、土地所有者が地上 建物の譲渡による所有権の喪失を否定してその帰属を争う点で、あたかも建物についての物権変動にお ける対抗関係にも似た関係ということができる。したがって、自らの意思で登記を経由した建物所有者 は、登記を保有する以上、土地所有者に対して建物所有権の喪失を主張できないというべきである。 ② 登記にかかわりなく実質的所有者を相手方としなければならないとすると、土地所有者は、その 探求の困難を強いられることになり、また、相手方において、たやすく建物の所有権の移転を主張して 明渡しの義務を免れることが可能になる。 ③ 建物譲渡人が所有権移転登記を行うことは、通常、さほど困難なこととはいえず、不動産取引に 関する社会慣行にも合致する。したがって、登記を自己名義にしておきながら自らの所有権の喪失を主 張し、その建物の収去義務を否定することは、信義にもとり、公平の見地に照らして許されない。
6
(1) 請求否定説(判例 4) 判例によれば、設例 3 のように、未登記建物が譲渡された後に、譲渡人の意思に基づかずに譲渡人名 義の所有権取得登記がされた場合には、譲渡人を請求の相手方とすることはできない。というのは、譲 渡人は、未登記建物の譲渡により確定的に所有権を失うので、その後に自己の意思に基づかない登記が されても、建物所有権の喪失により土地を占有していないことを主張することができるからである
7
判例によれば、建物の所有名義人が、実際に建物を所有したことがなく、単に登記を有するにすぎな い場合にも、この者を相手方とする請求は認められない 6。この場合については、仮装登記につき 177 条の適用が問題とならないことと、パラレルに考えることができる
8
(1) 主観的態様顧慮説 177 条の「第三者」における主観的要件による制限になぞらえて、土地所有者に一定の主観的態様が あれば、登記名義人を相手方とすることができない、とする。 (2) 主観的態様不顧慮説 8 第三者に取引を控えるという選択肢のある不動産二重譲渡の場合と異なり、土地所有者は、物権的請 求権を行使しないわけにはいかず、建物譲渡を認識していても、転譲渡などにより誰が現に実質的所有 者であるか知れない可能性もあるのだから、登記によって相手方の明確化を図るべきであり、原則とし て、土地所有者の主観的態様により相手方となる資格を左右すべきでない、とする。
9
1 社会秩序維持機能 まず、占有制度には、物の事実的支配を一応尊重・保護することによって、社会の秩序を維持する機 能があるとされる。占有の訴え(占有訴権、197 条以下)が、この役割を果たしている。 2 本権表章的機能 次に、 法は、占有に、 本権(所有権など占有の原因となる権利)の存在を表章する機能を認めている。 権利適法の推定(188 条)・即時取得 9(192 条)・動産物権譲渡の対抗要件(178 条)などが、この機 能に関連する。 3 本権取得的機能 さらに、占有に基づいて本権を取得することが認められている。取得時効(162 条)・動物の占有に よる権利の取得(195 条)・無主物先占(239 条)・遺失物拾得(240 条)・留置権の発生(295 条)などが、これにあたる。 4 物の返還に際しての利害調整機能 最後に、民法は、物権的返還請求権によって占有物を返還しなければならなくなった場合について、 占有者の権利義務を規定して、権利者と占有者の利害調整を図っている(189~191・196 条) 。
10
①物の所持 ②自己のためにする意思 (180 条)
11
物が社会通念上ある者の事実的支配に属すると認められる客観的状態
12
物の所持による事実上の利益を自己に帰せしめようとする意思
13
(1) 主観説(通説) 自己のためにする意思が占有の要件である、とする。もっとも、通説的見解によると、この意思の有 無は、純粋に客観的に、物の所持を生じさせた原因(権原)の性質によって決まる。例えば、買主・賃 借人・受寄者などは、物の管理・利用・処分をする者であるから、売買・賃貸借・寄託などの契約は、 自己のためにする意思を基礎付ける権原となる。また、盗人なども、自ら利得する意思を有するのが通 常であるから、窃盗もこの権原となる。
14
代理占有(間接占有)と占有補助者(占有機関)
15
占有権は、代理人によって取得することができる(181 条) 。設例 5 において、甲を直接に所持して いるのは B であるが、 B に占有が認められるだけでなく、 A にも B を介した占有が認められる。この B のように、本人 A に代わって占有する者を「占有代理人」、B を介した A の占有を「代理占有」(間接 占有)といい、これに対して、直接に物を所持する場合の占有を「自己占有」(直接占有)という
16
代理占有においては、占有代理人だけでなく、本人にも占有が認められ、それに基づく権利義務を取 得する。したがって、本人について、取得時効期間の進行・動産物権譲渡の対抗要件具備・即時取得・ 占有訴権などが認められる。
17
代理占有において、占有の平穏・公然・善意・無過失などは、第一次的に占有代理人について判断さ れる。もっとも、第二次的に、本人に悪意などがあるときは、占有代理人が善意であっても、善意占有 者などとしての利益を受けることができないとされる(101 条類推)。
18
(1) 占有代理人の所持 (2) 占有代理関係(所持者が本人に対して物の返還義務を負う関係)の存在 (3) 占有代理人の「本人のためにする意思」 「本人のためにする意思」とは、物の所持による事実上の利益を本人に帰せしめようとする意思 (4) 本人の「代理人によって占有を取得する意思」 この意思について通説は成立要件としていない 法律行為の代理においても、代理関係があれば、本人が代理人の行為によって法律効果を取得する意思は、問題にならないから
19
本人が他人に物を支配させているが、その他人に独立の所持が認められないために、本人だけに占有 が認められる場合がある。このような関係にある他人を、占有補助者(占有機関)という。設例 2 の C や D のほか、店番をしている使用人、法人の代表機関 11などが、その例
20
1 占有(権)の承継可能性 占有権(占有に対する法的保護)は、個々の占有者の物に対する事実的支配に対して認められるとこ ろ、占有の取得態様は、原始取得が原則的である。しかしながら、182 条以下では、占有権が譲渡可能 な権利とされており、占有(権)の承継取得が認められている。
21
(1) 承継前後の占有の同一性 占有(権)の承継取得が認められるということは、前主の占有と後主の占有との間に同一性が認めら れるということである。これにより、取得時効期間の計算において、前主の占有期間と後主の占有期間 の合算および占有瑕疵の承継が認められ(187 条)、また、動産物権譲渡の対抗要件(178 条)や即時取 得の要件(192 条)となる引渡し(占有の移転)が基礎づけられる。 (2) 承継人の占有の二面性 もっとも、承継人の占有は、自己の新たな占有 (原始的占有) としての側面も有している。 それゆえ、 占有承継人は、自己の占有(固有占有)のみを主張することもできる(187 条 1 項)
22
引渡しと相続
23
(1) 占有意思の放棄 第一に、占有意思を放棄すれば、自己占有は消滅する(203 条本文)。占有意思の放棄とは、単に自 己のためにする意思が存在しなくなることではなく、自己のためにする意思をもたないことを積極的に 表示することである。 (2)所持の喪失 第二に、占有物の所持を失った場合にも、自己占有は消滅する(203 条本文)。ただし、占有回収の 訴えを提起し、これに勝訴すれば、消滅しなかったものとして扱われる(同ただし書)。
24
(1) 代理人に占有させる意思の放棄 第一に、本人が、代理人によって占有しないという意思を積極的に表示する場合に、代理占有は消滅 する(204 条 1 項 1 号) 。 (2) 自己または第三者のために所持する意思の表示 第二に、占有代理人が、本人に対して、以後自己または第三者のために占有物を所持する意思を表示 した場合にも、代理占有は消滅する(同 2 号) 。 (3) 所持の喪失 第三に、占有代理人が占有物の所持を失った場合に、代理占有は消滅する(同 3 号) 。
25
代理占有は、「代理権の消滅のみによっては、消滅しない」 (204 条 2 項) 。ここでの「代理権」とは、代理占有の原因となった法律関係(賃貸借や寄託などの権原)のことである。そのような法律関係がなくなったとしても、占有代理人は本人に対する返還義務を免れるわけではない。したがって、占有代理 関係は、依然として存在している。