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第2回: 国際協力の理論的枠組み

Aiko Kobayashi

問題数 28 • 7/2/2025

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問い：なぜ国際市場はあまり開放的でないのか？論文の著者の主張、エビデンス

主張：（囚人のジレンマではなく）安全保障の外部性が原因←貿易開放により自国の国家所得が増えるが、敵国の所得も増えてしまう（正しいとしたら）観察可能な含意： (a) 政治的軍事的同盟国の間では自由貿易が起こりやすい; (b) 特に二極構造下(例：米ソ冷戦)で同盟国は自由貿易しやすい - エビデンス：1905-85年のデータを用いた分析。同盟国間ほど貿易量が多い。さらに二極構造の場合は多極構造よりこの傾向が顕著である。

なぜ国際市場はあまり開放的でないのか？この問いに隠されている前提は？

「自由貿易が望ましいはず」という前提

絶対優位とは？

他国よりも少ない資源や労働で、より多くの財を生産できる能力

比較優位とは？

他国に比べて、より低い機会費用で生産できる財に特化すべきという考え方。

自由貿易が望ましい理由は？３つ

① 比較優位に基づく利益の最大化各国が自国にとって得意な分野に特化することで、世界全体の生産性が向上。結果として、消費者はより安価で多様な商品を享受できる。 ② 資源の効率的配分貿易によって、各国の資源（労働力・資本・技術）を最も効率よく使える分野に投入できる。 ③ 規模の経済の実現国際市場を視野に入れることで、大量生産が可能になりコストが下がる。

国 / 財　　　布　　　　ワインイギリス　1反 = 1時間　1本 = 2時間ポルトガル 1反 = 2時間　1本 = 1時間比較優位の比較優位の求め方は？

① 機会費用を計算：【イギリス】布1反を作る → 2時間かかるワイン1本を諦める → 布の機会費用 = ワイン1本ワイン1本を作る → 布1反を諦める → ワインの機会費用 = 布1反【ポルトガル】布1反を作る → ワイン2本分（2時間）を諦める → 布の機会費用 = ワイン2本ワイン1本を作る → 布0.5反（1時間）を諦める → ワインの機会費用 = 布0.5反イギリスワイン1本布1反布（機会費用が低い）ポルトガルワイン2本布0.5反ワイン（機会費用が低い） ←機会費用が低ければ低いほど、片方の財を選んだ時のコストが低いということだから、片方の財の生産に特化した方が良い

二国の中で、一方の国が２財に関して絶対優位を持つ場合、自由貿易は望ましいか？

望ましい

最適関税理論とは？

ある国が国際市場における価格決定力（＝市場支配力）を持つ場合に、関税を導入することで自国の厚生（経済的利益）を最大化できるという理論

positive-sumとは？

協力する者の間で誰も損害を被ることなく、少なくとも誰か一人にとって利益をもたらす状況

ゼロサム状況 (zero-sum)とは？

一方が利益を得ると他方が損害を被る状況

囚人のジレンマとは？

お互いに協力した方が全体としては利益が大きいにもかかわらず、個々の利己的判断によって非協力的な結果に陥ってしまう状況

囚人のジレンマの解決策２つ

①繰り返しゲーム（repeated game）「1回限りのやり取り（one-shot game）」では裏切りが合理的になることが多い。しかし、同じ相手と何度も取引・交渉を繰り返す（繰り返しゲーム）と、将来の利益を考えて協力を選ぶ可能性が高まる。 ②未来の影（shadow of the future）将来における関係の重要性が大きければ（＝「影」が長ければ）、目先の得よりも将来の信頼や利益を大事にするようになる。

繰り返しゲームにおける戦略は？

トリガー戦略：相手の裏切りを引き金(trigger)として裏切る戦略

トリガー戦略の種類２つ

① Grim戦略（永久報復）最初は協力するが、相手が一度でも裏切れば以後ずっと報復し続ける（非協力を貫く） ② Tit-for-Tat戦略（しっぺ返し）最初は協力相手が前回裏切ったら、自分も次回は裏切る（1回限りの報復）協力には協力で返す、裏切りには裏切りで返す「公平な戦略」

制度によって未来の影を大きくする方法は？

コミットメントを信憑性のあるものにする(credible commitment)

国際機関の主な役割は？

コミットメントを信憑性のあるものにする

世界貿易機構(WTO)の役割４つ

- 互恵性原則 (reciprocity)・最恵国待遇(MFN)などルールの明確化 - 交渉機会の場の提供（取引費用の低下） - 貿易障壁のモニタリング（ズルを防ぐ） - 紛争解決制度 (dispute settlement mechanism)

貿易が安全保障に与える影響 (「安全保障の外部性」は？

- 貿易開放により国家所得が増えると、その分軍事力が増しうる - 敵対国との貿易は社会的損失を、同盟国との貿易は社会的利益を生む

貿易開放によって敵対国の軍事力が増す分の損失を補うために国はどのようなことを行うか？

関税をかけること

「無政府状態(anarchy)の国際システムにおいては、国家は同盟国および（潜在的）敵対国の軍事力を重視する理由は？

「国家超越的な権力が存在しない環境下では、国家はいつでも軍事力に訴えることができるから

自由貿易は個人レベルでは不利益となる恐れがあるが、国家レベルでは合理的とされる理由は？

個人レベル関税で物価が上がる、選択肢が減る → 不利益国家レベル特定産業の保護、戦略的利益、雇用確保 → 長期的に有利

現実主義のアクター、目的、国家の性質、国際システムは？

主なアクター：国家目的：パワー、安全保障、生存国家の性質：一様で合理的なアクター国際システム：無政府状態、パワーの均衡

リベラリズムのアクター、目的、国家の性質、国際システムは？

アクター：国家、国際機関、非政府組織目的：経済的福祉国家の性質：多元的・多様な内部利益国際システム：相互依存、国際制度の重要性

構成主義のアクター、目的、国家の性質、国際システムは？

アクター：国家、国際機関、非政府組織目的：アイデンティティ、規範、信念国家の性質：社会的構築国際システム：規範とアイデアによって構築

現実主義における、国際協力、国際関係、国際機関・制度、変化の要因は？

国際協力：困難、相対的利益に焦点国際関係：ゼロサム下での取引、強制手段国際機関・制度：結局大国の利益変化の要因：パワーの分布化

リベラリズムにおける、国際協力、国際関係、国際機関・制度、変化の要因は？

国際協力：可能、絶対的利益に焦点国際関係：強力の可能性の追求国際関係・制度：国際協力の基盤、国内制度も影響変化の要因：経済発展、技術革新

構成主義における、国際協力、国際関係、国際機関・制度、変化の要因は？

国際協力：規範共有により可能国際関係：社会化国際機関・制度：アイデンティティと規範の共有の場変化の要因：規範やアイデアの変化

安全保障上の同盟国どうしで貿易が多い理由には何が考えられるか？４つ

①安全保障の外部性：一国の安全保障行動が他国の安全保障や経済的利益に直接的な影響を及ぼすこと ←安全保障で協力している国同士は相互にリスクを減少させ、経済関係（特に貿易）が拡大しやすい ②国内要因：国民がFTAの相手先として同盟国を好む ③国際制度：外交の機会が多い？ ④国内制度：民主主義国どうしであることが多いから