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第3回

第3回
50問 • 1年前
  • Aiko Kobayashi
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    問題一覧

  • 1

    構成要件と違法性の関係は?

    構成要件は違法類型であり、構成要件に該当すれば原則として違法

  • 2

    構成要件と責任との関係

    違法・有責類型説(多数説)  構成要件は違法性のみならず有責性との関連性があるとする考え 責任要素である故意過失を構成要件の類型かに用いることを前提とする(犯罪個別化機能を重視)。 故意・過失を責任要素(故意、過失、無過失は責任の重さに影響)とする理解が前提

  • 3

    客観的構成要件の具体例

    行為、結果、因果関係、客体、主体

  • 4

    主観的構成要件の具体例

    故意又は過失、その他の主観的構成要件要素

  • 5

    実行行為とは?

    構成要件に該当する行為のこと

  • 6

    不作為とは?

    ある(期待された)動作をしないこと

  • 7

    結果犯とは?

    結果を必要とする犯罪

  • 8

    挙動犯とは?

    結果を必要としない犯罪

  • 9

    結果的加重犯とは?

    基本となる犯罪(基本犯)の成立後、一定の重い結果(加重結果)が発生した場合に成立する犯罪

  • 10

    侵害犯とは?

    法益の現実の侵害を要件とする犯罪

  • 11

    危険犯とは?

    法益侵害の危険がある犯罪

  • 12

    具体的危険犯とは?

    法益に対する危険の現実の発生を要件とする犯罪

  • 13

    抽象的危険犯とは?

    危険の現実の発生が要件とされておらず、構成要件に規定した行為のみで原則的に法益に対する危険が認められる犯罪

  • 14

    即成犯とは?

    犯罪が成立すれば直ちに終了しそれと同時に法益自体が消滅(殺人罪など)

  • 15

    状態犯とは?

    犯罪が成立すれば直ちに終了するが法益侵害の状態が残る(窃盗罪など)

  • 16

    継続犯とは?

    犯罪が成立した後も終了せず継続して成立する(監禁罪など)

  • 17

    因果関係とは?

    構成要件上要求される結果(構成要件的結果)と行為の間に必要な一定の関係

  • 18

    保護の客体とは?

    法によって保護されるべき一定の価値ある状態ないし対象、すなわち、保護法益のこと。行為の客体とは必ずしも一致しない

  • 19

    刑法典の犯罪の主体

    自然人のみが予定されているが、法人については、特別の規定がある場合に例外的に処罰(刑法典にはない)

  • 20

    身分犯とは?

    行為者が一定の身分、地位または属性をもつ場合に犯罪の成立が限定されるもの

  • 21

    法人処罰規定の形態をなんというか?

    両罰規定(従業者の違法行為について、従業者本人を処罰するとともに、その業務主である法人をも合わせて処罰する)

  • 22

    両罰規定の処罰根拠は?

    過失推定説 事業主たる人の従業員等の行為に対し、事業主として右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定

  • 23

    故意とは?

    構成要件該当事実の認識(+認容)

  • 24

    目的犯とは?

    一定の犯罪には故意・過失と区別された特別の主観的構成要件要素が必要とされる場合

  • 25

    事例問題の検討順序

    1.構成要件該当性(未遂、共犯もここ) 2.違法性(違法性阻却事由) 3.責任(責任阻却事由) 4.罪数、減免事由 (処断刑の範囲の計算、実際の刑の量定(量刑)は通常対象外)

  • 26

    因果関係の機能は?

    偶然の結果を帰責範囲から排除すること

  • 27

    条件関係(事実的因果関係)とは?

    行為と結果との間の事実的な繋がり。経験科学的判断

  • 28

    犯罪論とは?

    どのような行為が犯罪となり、どのようにして犯罪行為と非犯罪行為を区別していくかを明らかにするもの

  • 29

    犯罪論の意義とは?

    普遍的な解決原理、統一的な判断基準を提供するため

  • 30

    犯罪の成立要件3つ

    ①構成要件に該当する、②違法、かつ③有責な行為

  • 31

    構成要件に該当しない犯罪はどうなるか?

    社会にとって有害な事象であっても、構成要件に該当しないものは全て犯罪から除外

  • 32

    構成要件の修正とは?

    犯罪論は一人で結果を発生させた場合を念頭に置いているため、未遂犯や共犯は構成要件を修正して対応する必要がある。

  • 33

    構成要件の違法推定機能とは?

    構成要件に該当することは、違法行為であることをさすため、構成要件に該当すればそれだけで違法な行為であることが推定されること。

  • 34

    違法性阻却事由とは?

    法益侵害行為でありながら、違法性を否定する事由

  • 35

    有責であるとはどういうことか?

    犯罪者に対する法的な非難の可能性(非難可能性) 成人で精神的に健常であれば原則として有責性が認められる。

  • 36

    一定の事情があることによって刑罰権の発生が妨げられる場合の一定の事情とは何か?

    処罰阻却事由 例:家族間の窃盗

  • 37

    客観的処罰条件とは?

    犯罪は成立するものの、国家が刑罰権を行使する上で、さらに一定の条件を具備することが要求される場合のその条件

  • 38

    親告罪とは?

    犯罪が成立し、刑罰権が発生したとしても、刑事手続上、訴追のための条件として被害者等に「告訴」を要求する犯罪

  • 39

    減免事由の例

    過剰防衛、限定責任能力、自首

  • 40

    行為論とは?

    犯罪は人の行為であるという考え

  • 41

    行為とは?

    意思に基づく身体の静動 身体の静動であることが必要であることから、単なる思想、内心の状態は処罰の対象にならない 意思に基づくことが必要であるから、反射運動などは除外される

  • 42

    首をしめて殺されようとする夢を見て、極度の恐怖感に襲われるまま半覚半醒の意識状態のもとで、相手の首を半ば無意識的にしめるつもりで、傍に寝ていた妻の首をしめ死亡させたという事案では行為は否定されるかどうか?

    判例では、行為を否定している

  • 43

    母親が乳児と添い寝している際に寝返りで乳児を押しつぶして窒息死させた事例では、行為を否定されるか?

    否定される。 睡眠中の寝返りは行為ではないので、それ自体は処罰されないが、眠ってしまう前に取るべきであった措置との関係で過失犯処罰が考えられる。

  • 44

    構成要件の機能4つ

    ①保障機能(罪刑法定主義的機能):どれほど悪質な行為であっても構成要件に該当しない限りは処罰されない。犯罪とそうでない行為を振り分ける機能 ②犯罪個別化機能:ある犯罪と他の犯罪を区別するための機能。構成要件の段階で、その成否が問題となる具体的な犯罪を確定する。  e.g. 窃盗罪(235条)と詐欺罪(246条)、殺人罪(199条)と過失致死罪(210条) ③故意規制機能:故意(犯罪であることを認識していること)の対象となる客観的な事実の範囲を画定する。客観的に故意であるとみなせる事実の範囲を確定する ④違法(・責任)推定機能:構成要件に該当すれば、違法性(及び責任)が原則的に推定され、行為を特別に正当化する事由(犯罪阻却事由)がなければ犯罪が成立

  • 45

    犯罪の構成要件の検討手順

    1構成要件該当性(形式的・類型的な判断) 2違法性(客観的な判断) 3有責性(主観的な判断)

  • 46

    犯罪が成立するか否かの検討手順

    1客観的構成要件要素の有無を検討 2主観的構成要件要素の有無を検討 3違法性阻却事由の存否を確認し、違法性阻却事由が不存在となれば違法性が確定 4責任阻却事由の存否を確認し、責任阻却事由が不存在となれば有責性が確定

  • 47

    事例1 Xは包丁をAの胸に刺して殺した どのように検討すべきか?

    Xの行為は包丁という殺傷力のある凶器でAの身体の枢要部である胸を刺して殺したというもので、①殺人罪の客観的構成要件要素を充足し、②殺人の恋も認められるので主観的構成要件要素も充足するため、殺人罪の構成要件に該当 ③違法性阻却事由もなく、責任阻却事由もないので、殺人罪が確定

  • 48

    事例2 YはBに鉈で襲われたので、正当防衛で包丁をBの胸に刺して殺した。

    Yの行為は、①殺人罪の客観的構成要件要素を充足し、②殺人の故意も認められるので主観的構成要件要素も充足するため、殺人罪の構成要件に該当しかし、③違法性阻却事由のうち正当防衛に該当するので違法性が阻却され、犯罪は成立しない

  • 49

    事例3 Zは心神喪失の状態で包丁をCの胸に刺して殺した。

    Zの行為は、①殺人罪の客観的構成要件要素を充足し、②殺人の故意も認められるため、主観的構成要件要素も充足し、殺人罪の構成要件に該当。③違法性阻却事由もないが④責任阻却事由のうち責任能力の欠如により責任が阻却され犯罪は成立しない

  • 50

    Xは友人Aと飲酒した際、些細なことから互いに殴る蹴るの喧嘩になり、手拳で1回Aの顔を殴ったところ、Aは転倒し頭部を床に打ち付け、収容先の病院で死亡した。Aは日頃から血圧が高く以前に心筋梗塞で倒れたことがあった。なお、Xは行為当時泥酔状態にあった。また、XはAから殴られたと思われる打撲傷のほかナイフ状のものでできたと思われる切り傷を負っていた。 Xの罪責を検討する手順を示しなさい

    第一に構成要件該当性を検討する 構成要件の客観的要素は実行行為、結果、因果関係である。結果はAの死であり、実行行為はXが手拳でAの顔面を殴る行為である。次に因果関係について検討する。Aが死亡したのはXが殴ったことが原因なのか、それともAの心臓疾患が原因なのかを判断する必要がある。 仮に因果関係が認められたとすると、次に検討すべきは構成要件の主観的要素である。手拳で1回Aの顔を殴っただけであるため殺人の故意は否定されるが、暴行の故意は認められる。したがって、Xの行為は傷害致死罪の構成要件に該当することになる。この時点で殺人罪の構成要件該当性や過失致死罪の構成要件該当性は否定された。 第二に、Xは自らの暴行でAの生命という法益を侵害したのであるが、違法性が阻却される余地がないかを検討する。「XはAから殴られたと思われる打撲傷のほかナイフのようなものでできたと思われる切り傷を負っていた」とあるから、AがナイフでXを切付け、それを避けようとしてXがAを殴打した可能性があるので、そうした事実が存在したかどうかをきちんと確認する必要がある。もし急にAがナイフで切り付けてきたのであれば、Xには正当防衛の可能性が出てくる。しかし、Xはやりすぎだということになれば正当防衛が成立しないことになる。 第3に、仮に正当防衛が成立せず違法性が阻却されなかった場合は、責任阻却事由が存在するか否かを検討する。ここでは、Xが泥酔していたので、アルコール影響で責任能力が失われていないかを検討する必要がある。ただ、病的酩酊に至らない単なる泥酔によって責任が阻却されることは原則としてないため、Xには傷害致死罪が成立する可能性が高い。 第4に仮に傷害致死罪が成立した場合にも、泥酔の影響で責任能力が著しき減退していたという事情があれば、心神耗弱により刑が減軽されることになる。また、正当防衛とはならなかった場合でも、防衛行為がやりすぎと評価された場合は過剰防衛として刑が減軽される余地が出てくる。

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    問題一覧

  • 1

    構成要件と違法性の関係は?

    構成要件は違法類型であり、構成要件に該当すれば原則として違法

  • 2

    構成要件と責任との関係

    違法・有責類型説(多数説)  構成要件は違法性のみならず有責性との関連性があるとする考え 責任要素である故意過失を構成要件の類型かに用いることを前提とする(犯罪個別化機能を重視)。 故意・過失を責任要素(故意、過失、無過失は責任の重さに影響)とする理解が前提

  • 3

    客観的構成要件の具体例

    行為、結果、因果関係、客体、主体

  • 4

    主観的構成要件の具体例

    故意又は過失、その他の主観的構成要件要素

  • 5

    実行行為とは?

    構成要件に該当する行為のこと

  • 6

    不作為とは?

    ある(期待された)動作をしないこと

  • 7

    結果犯とは?

    結果を必要とする犯罪

  • 8

    挙動犯とは?

    結果を必要としない犯罪

  • 9

    結果的加重犯とは?

    基本となる犯罪(基本犯)の成立後、一定の重い結果(加重結果)が発生した場合に成立する犯罪

  • 10

    侵害犯とは?

    法益の現実の侵害を要件とする犯罪

  • 11

    危険犯とは?

    法益侵害の危険がある犯罪

  • 12

    具体的危険犯とは?

    法益に対する危険の現実の発生を要件とする犯罪

  • 13

    抽象的危険犯とは?

    危険の現実の発生が要件とされておらず、構成要件に規定した行為のみで原則的に法益に対する危険が認められる犯罪

  • 14

    即成犯とは?

    犯罪が成立すれば直ちに終了しそれと同時に法益自体が消滅(殺人罪など)

  • 15

    状態犯とは?

    犯罪が成立すれば直ちに終了するが法益侵害の状態が残る(窃盗罪など)

  • 16

    継続犯とは?

    犯罪が成立した後も終了せず継続して成立する(監禁罪など)

  • 17

    因果関係とは?

    構成要件上要求される結果(構成要件的結果)と行為の間に必要な一定の関係

  • 18

    保護の客体とは?

    法によって保護されるべき一定の価値ある状態ないし対象、すなわち、保護法益のこと。行為の客体とは必ずしも一致しない

  • 19

    刑法典の犯罪の主体

    自然人のみが予定されているが、法人については、特別の規定がある場合に例外的に処罰(刑法典にはない)

  • 20

    身分犯とは?

    行為者が一定の身分、地位または属性をもつ場合に犯罪の成立が限定されるもの

  • 21

    法人処罰規定の形態をなんというか?

    両罰規定(従業者の違法行為について、従業者本人を処罰するとともに、その業務主である法人をも合わせて処罰する)

  • 22

    両罰規定の処罰根拠は?

    過失推定説 事業主たる人の従業員等の行為に対し、事業主として右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定

  • 23

    故意とは?

    構成要件該当事実の認識(+認容)

  • 24

    目的犯とは?

    一定の犯罪には故意・過失と区別された特別の主観的構成要件要素が必要とされる場合

  • 25

    事例問題の検討順序

    1.構成要件該当性(未遂、共犯もここ) 2.違法性(違法性阻却事由) 3.責任(責任阻却事由) 4.罪数、減免事由 (処断刑の範囲の計算、実際の刑の量定(量刑)は通常対象外)

  • 26

    因果関係の機能は?

    偶然の結果を帰責範囲から排除すること

  • 27

    条件関係(事実的因果関係)とは?

    行為と結果との間の事実的な繋がり。経験科学的判断

  • 28

    犯罪論とは?

    どのような行為が犯罪となり、どのようにして犯罪行為と非犯罪行為を区別していくかを明らかにするもの

  • 29

    犯罪論の意義とは?

    普遍的な解決原理、統一的な判断基準を提供するため

  • 30

    犯罪の成立要件3つ

    ①構成要件に該当する、②違法、かつ③有責な行為

  • 31

    構成要件に該当しない犯罪はどうなるか?

    社会にとって有害な事象であっても、構成要件に該当しないものは全て犯罪から除外

  • 32

    構成要件の修正とは?

    犯罪論は一人で結果を発生させた場合を念頭に置いているため、未遂犯や共犯は構成要件を修正して対応する必要がある。

  • 33

    構成要件の違法推定機能とは?

    構成要件に該当することは、違法行為であることをさすため、構成要件に該当すればそれだけで違法な行為であることが推定されること。

  • 34

    違法性阻却事由とは?

    法益侵害行為でありながら、違法性を否定する事由

  • 35

    有責であるとはどういうことか?

    犯罪者に対する法的な非難の可能性(非難可能性) 成人で精神的に健常であれば原則として有責性が認められる。

  • 36

    一定の事情があることによって刑罰権の発生が妨げられる場合の一定の事情とは何か?

    処罰阻却事由 例:家族間の窃盗

  • 37

    客観的処罰条件とは?

    犯罪は成立するものの、国家が刑罰権を行使する上で、さらに一定の条件を具備することが要求される場合のその条件

  • 38

    親告罪とは?

    犯罪が成立し、刑罰権が発生したとしても、刑事手続上、訴追のための条件として被害者等に「告訴」を要求する犯罪

  • 39

    減免事由の例

    過剰防衛、限定責任能力、自首

  • 40

    行為論とは?

    犯罪は人の行為であるという考え

  • 41

    行為とは?

    意思に基づく身体の静動 身体の静動であることが必要であることから、単なる思想、内心の状態は処罰の対象にならない 意思に基づくことが必要であるから、反射運動などは除外される

  • 42

    首をしめて殺されようとする夢を見て、極度の恐怖感に襲われるまま半覚半醒の意識状態のもとで、相手の首を半ば無意識的にしめるつもりで、傍に寝ていた妻の首をしめ死亡させたという事案では行為は否定されるかどうか?

    判例では、行為を否定している

  • 43

    母親が乳児と添い寝している際に寝返りで乳児を押しつぶして窒息死させた事例では、行為を否定されるか?

    否定される。 睡眠中の寝返りは行為ではないので、それ自体は処罰されないが、眠ってしまう前に取るべきであった措置との関係で過失犯処罰が考えられる。

  • 44

    構成要件の機能4つ

    ①保障機能(罪刑法定主義的機能):どれほど悪質な行為であっても構成要件に該当しない限りは処罰されない。犯罪とそうでない行為を振り分ける機能 ②犯罪個別化機能:ある犯罪と他の犯罪を区別するための機能。構成要件の段階で、その成否が問題となる具体的な犯罪を確定する。  e.g. 窃盗罪(235条)と詐欺罪(246条)、殺人罪(199条)と過失致死罪(210条) ③故意規制機能:故意(犯罪であることを認識していること)の対象となる客観的な事実の範囲を画定する。客観的に故意であるとみなせる事実の範囲を確定する ④違法(・責任)推定機能:構成要件に該当すれば、違法性(及び責任)が原則的に推定され、行為を特別に正当化する事由(犯罪阻却事由)がなければ犯罪が成立

  • 45

    犯罪の構成要件の検討手順

    1構成要件該当性(形式的・類型的な判断) 2違法性(客観的な判断) 3有責性(主観的な判断)

  • 46

    犯罪が成立するか否かの検討手順

    1客観的構成要件要素の有無を検討 2主観的構成要件要素の有無を検討 3違法性阻却事由の存否を確認し、違法性阻却事由が不存在となれば違法性が確定 4責任阻却事由の存否を確認し、責任阻却事由が不存在となれば有責性が確定

  • 47

    事例1 Xは包丁をAの胸に刺して殺した どのように検討すべきか?

    Xの行為は包丁という殺傷力のある凶器でAの身体の枢要部である胸を刺して殺したというもので、①殺人罪の客観的構成要件要素を充足し、②殺人の恋も認められるので主観的構成要件要素も充足するため、殺人罪の構成要件に該当 ③違法性阻却事由もなく、責任阻却事由もないので、殺人罪が確定

  • 48

    事例2 YはBに鉈で襲われたので、正当防衛で包丁をBの胸に刺して殺した。

    Yの行為は、①殺人罪の客観的構成要件要素を充足し、②殺人の故意も認められるので主観的構成要件要素も充足するため、殺人罪の構成要件に該当しかし、③違法性阻却事由のうち正当防衛に該当するので違法性が阻却され、犯罪は成立しない

  • 49

    事例3 Zは心神喪失の状態で包丁をCの胸に刺して殺した。

    Zの行為は、①殺人罪の客観的構成要件要素を充足し、②殺人の故意も認められるため、主観的構成要件要素も充足し、殺人罪の構成要件に該当。③違法性阻却事由もないが④責任阻却事由のうち責任能力の欠如により責任が阻却され犯罪は成立しない

  • 50

    Xは友人Aと飲酒した際、些細なことから互いに殴る蹴るの喧嘩になり、手拳で1回Aの顔を殴ったところ、Aは転倒し頭部を床に打ち付け、収容先の病院で死亡した。Aは日頃から血圧が高く以前に心筋梗塞で倒れたことがあった。なお、Xは行為当時泥酔状態にあった。また、XはAから殴られたと思われる打撲傷のほかナイフ状のものでできたと思われる切り傷を負っていた。 Xの罪責を検討する手順を示しなさい

    第一に構成要件該当性を検討する 構成要件の客観的要素は実行行為、結果、因果関係である。結果はAの死であり、実行行為はXが手拳でAの顔面を殴る行為である。次に因果関係について検討する。Aが死亡したのはXが殴ったことが原因なのか、それともAの心臓疾患が原因なのかを判断する必要がある。 仮に因果関係が認められたとすると、次に検討すべきは構成要件の主観的要素である。手拳で1回Aの顔を殴っただけであるため殺人の故意は否定されるが、暴行の故意は認められる。したがって、Xの行為は傷害致死罪の構成要件に該当することになる。この時点で殺人罪の構成要件該当性や過失致死罪の構成要件該当性は否定された。 第二に、Xは自らの暴行でAの生命という法益を侵害したのであるが、違法性が阻却される余地がないかを検討する。「XはAから殴られたと思われる打撲傷のほかナイフのようなものでできたと思われる切り傷を負っていた」とあるから、AがナイフでXを切付け、それを避けようとしてXがAを殴打した可能性があるので、そうした事実が存在したかどうかをきちんと確認する必要がある。もし急にAがナイフで切り付けてきたのであれば、Xには正当防衛の可能性が出てくる。しかし、Xはやりすぎだということになれば正当防衛が成立しないことになる。 第3に、仮に正当防衛が成立せず違法性が阻却されなかった場合は、責任阻却事由が存在するか否かを検討する。ここでは、Xが泥酔していたので、アルコール影響で責任能力が失われていないかを検討する必要がある。ただ、病的酩酊に至らない単なる泥酔によって責任が阻却されることは原則としてないため、Xには傷害致死罪が成立する可能性が高い。 第4に仮に傷害致死罪が成立した場合にも、泥酔の影響で責任能力が著しき減退していたという事情があれば、心神耗弱により刑が減軽されることになる。また、正当防衛とはならなかった場合でも、防衛行為がやりすぎと評価された場合は過剰防衛として刑が減軽される余地が出てくる。