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第１８回　　多数当事者の債権関係（３）―各種の保証（596―621頁）

Aiko Kobayashi

問題数 21 • 12/9/2024

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連帯保証とは？

主たる債務者Ｓと連帯して債務を負担する保証（458条）

単純保証と比べた時の連帯保証の特徴３つ

（１）補充性がない連帯保証人は、催告・検索の抗弁権を持たない（454条）（２）連帯債務の規定が準用されるため（458条）、連帯保証人に生じた事由主たる債務者に及ぶ場合がある（３）分別（ぶんべつ）の利益がないこと連帯保証人が数人の場合（Ａ・Ｂ）、債務は分割されず、各連帯保証人が全部（20万円）の弁済をする義務を負う

連帯債務と比べた時の、連帯保証の特徴３つ

① 保証には付従性がある ② 主たる債務者に生じた事由の効力（457条）は、保証人にも効力を生じる ③保証人には負担部分がないので求償されない

共同保証とは

同一の主たる債務について、数人が保証債務を負担すること

Case２：SはGから20万円を借りる際に、A・Ｂの2人にお願いして、20万円の貸金債務について保証人になってもらうことになった。Ａ・Ｂが単純保証人の場合に債権者Gが請求できる金額は？

Ａ・Ｂにそれぞれ10万円ずつ

Case２：SはGから20万円を借りる際に、A・Ｂの2人にお願いして、20万円の貸金債務について保証人になってもらうことになった。Ａ・Ｂがそれぞれ連帯保証人の場合、債権者Gが請求できる金額は？

Ａ・Ｂに20万円について履行請求

連帯保証人は、催告・検索の抗弁権を持つか？

持たない

共同保証人の1人が弁済など債務の消滅行為をした場合、求償権はどうなるか？

主たる債務者に対し求償権を持つ（459条・459条の２・462条）と同時に他の共同保証人に対しても求償権を持つ（465条）

根保証とは

継続的な関係から生じる不特定の債務についてされる保証（465条の２第1項）

根保証の類型３つ

信用保証、身元保証、不動産賃借人の債務の保証

個人根保証契約においての、履行責任は？

主たる債務の元本、利息、損害賠償等のすべてを含む額に係る極度額を限度として履行責任を負う（465条の２第1項）

個人根保証契約は、何を定める必要があるか？

極度額

極度額の定めは何を必要とするか？

書面に記載

根保証において、元本が確定するとどうなるか？

その後に発生した主たる債務の元本について保証債務を負わない

根保証契約において、元本が確定するのはいつか？

元本期日の定めがある場合には（保証契約締結の日から5年以内）、期日の到来により元本が確定し、定めがなければ保証契約締結の日から3年を経過する日に期日が到来（465条の3第2項）

根保証契約において、元本確定事由が発生する場合３つ

・債権者が、保証人の財産について、金銭債権についての強制執行または担保権実行の申立てをしたとき・保証人が破産手続開始決定を受けたとき・主たる債務者または保証人が死亡したとき（465条の４第1項）

根保証契約を保証人が解約したい場合

　①特段の事情がない限り、相当の理由（Ex.信頼関係の破壊、長期間が経過）があれば保証契約を解約できる(最判昭和39・12・18民集18巻10号2179頁) ②主債務者の資産状態の悪化などの著しい事情の変化があるときは保証契約を直ちに解約できる（特別解約権。大判昭和9・2・27民集13巻215頁）

事業に係る債務についての個人保証の特徴は？

事業に係る債務は高額になる可能性が高く、主たる債務者の事業が破綻すると、個人の保証人も破綻しかねない

事業に関わる債務について個人が保証する際の、保証人保護のための方策２つは？

①保証意思宣誓公正証書の作成義務（465条の6以下） ②主たる債務者の情報提供義務（465条の10）

保証意思宣誓公正証書の作成が義務の対象となる保証契約は？

個人が保証人となる「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約」と、「主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約」（465条の６第1項、第3項）

【事案】平成19年6月29日に、A社は、B社に8億円を貸し付けた（①）。弁済期は平成20年6月5日とされた。平成19年6月29日に、Ｙは、金銭消費貸借契約取引等によって生ずるＢのＡに対する債務を、極度額48億3000万円、保証期間を契約日から5年間として連帯保証をする根保証契約をＡとの間に締結した。Ａは、平成20年8月25日、Ｂに対して、合計7億9990万円を貸し付けた（②）弁済期は平成２１年８月５日とされた。根保証契約の保証期間中である平成２０年９月２６日に、Ａは、上記②による債権をＣ会社に譲渡し、ＣはこれをＸに譲渡した。Ｘは、Ｙに対して、保証債務として②の貸付による債権のうち1000万円の支払を求めた。原審は、被保証債務が譲渡された場合について、譲渡が元本確定前であっても、保証人に対する保証債権が随伴して移転するとしてＸの請求を認容した。

【判旨】「根保証契約を締結した当事者は，通常，主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し，当該債務の弁済期が到来すれば、当該根保証契約に定める元本確定期日（本件根保証契約のように，保証期間の定めがある場合には，保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。）前であっても，保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し，被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。そうすると，被保証債権を譲り受けた者は，その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても，当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り，保証人に対し，保証債務の履行を求めることができるというべきである。　本件根保証契約の当事者間においては上記別段の合意があることはうかがわれないから，Xは，Yに対し，保証債務の履行を求めることができる。」 ←本判決は、通常の根保証契約が、保証期間中に生じる個々の主たる債務を保証するという理解のもとで、根保証契約における当事者の意思を解釈することにより、元本確定期日前の保証人に対する履行請求および根保証の随伴性を肯定した。

第１８回 多数当事者の債権関係（３）―各種の保証（596―621頁）

第１８回　　多数当事者の債権関係（３）―各種の保証（596―621頁）