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第 8講相続法総論・相続人

Aiko Kobayashi

問題数 30 • 6/18/2025

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問題一覧

相続とは？

自然人の死を原因としてその財産上の権利義務を承継させること

推定相続人とは？

現在生存している人が死亡した場合に、その相続資格を有する人

相続による財産承継の特徴２つ

１包括承継主義２当然承継主義

包括承継主義とは？

ある人の権利義務が一括して・包括的に他者に承継されること

当然承継主義とは？

相続開始時（被相続人の死亡時）に当然に、すなわち、積極財産（経済的利益のあるもの）と消極財産（債務）とで清算されることなく、ともに相続人に承継されること

法定相続と遺言相続の関係については、どちらを原則と見るのかについての学説二つ

遺言相続原則論法定相続原則論

遺言相続原則論とは？

遺言相続を原則とし、法定相続については、遺言による被相続人の意思が明らかでない場合に、被相続人の意思を推定する補充的な制度にすぎないものとする考え方←死後の財産処分についても、被相続人の自由な意思が尊重されるべきであるから

法定相続原則論とは？

法が独自の価値判断の下に一定の者に死者の財産の承継を認め、その権利を相続権として保障した制度として、法定相続を原則とする考え方

相続開始の原因は？

被相続人の死亡

相続開始の場所は？

被相続人の住所

相続人の資格の要件２つ

法定された相続人であること同時存在原則：相続人は、被相続人の死亡時に権利主体として存在していなければならない

【設例 1】A には、妻 B、B との間の子 C、母 D があった。A は、C と一緒に登山に行ったが、遭難し、後日 C と共に死亡しているのが発見された。A と C の死亡の先後は、不明である。相続関係を生じうる数人の者が死亡した場合には、そのどちらが先に死亡したのかで、相続関係が異なりうる。そこで、死亡の先後が不明な場合をどのように処理すべきか、が問題

数人の死亡者について死亡の先後関係が不明なときは、同時に死亡したものと推定

【設例 1】A には、妻 B、B との間の子 C、母 D があった。A は、C と一緒に登山に行ったが、遭難し、後日 C と共に死亡しているのが発見された。A と C の死亡の先後は、不明である。同時死亡の推定を行った場合の相続の帰結は？４つ

数人の死亡者について死亡の先後関係が不明なときは、同時に死亡したものと推定することとしている（32 条の 2） ① 同時存在原則により、同時に死亡したものと推定される者の間では相続関係が発生しない。設例 1 では、A は C の相続人とならないし、C も A の相続人とならない。． ② 代襲相続は可能である。887 条 2 項は、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき」としている。例えば、C に子 E がいれば、E は A の相続人となる。． ③「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない」（994 条 1 項）。したがって、同時死亡推定者の間では、遺贈関係も生じない。 ④ 32 条の 2 は推定規定に留まるので、異時死亡を証明することで推定を覆すことができる。

相続について胎児の出生擬制の理由

父の死亡時に子が胎児であった場合、胎児には権利能力がないため（3条 1 項）、その子が後に出生しても、父の相続人にはなりえないというような不都合を回避するため

血族相続人の第１順位〜第３順位

(1) 第 1 順位：子 (2) 第 2 順位：直系尊属被相続人に子（およびその代襲者・再代襲者）がおらず、または、その相続権が失われた場合には、被相続人の直系尊属が相続人となる。 (3) 第 3 順位：兄弟姉妹被相続人の直系尊属も相続人とならない場合

被相続人の配偶者は相続人となるか？

常に相続人

【設例 3】A は、妻 B との間に子 C と D がいたが、婚姻外の女性との間に嫡出でない子 F を儲けた。 A と B は、未成年の F を養子とした（795 条本文）。 ① A が死亡した。 ② A と B が死亡した後に、C が死亡した。 (1) 嫡出でない子を養子とした場合（設例 3）自己の嫡出でない子を養子とし、嫡出子の身分を与えた場合（809 条）、嫡出でない子としての地位と嫡出子としての地位が両立されるが、どちらの資格で相続権が認められるか？

嫡出子としての地位 ① F は、 A の嫡出子として C・ D と共に、 A の相続人となる。 C・ D・ F の法定相続分は、相等しい（900条 4 号本文）3。 ② D と F が C の相続人となるところ、F が半血兄弟としての身分しか有しなければ、F の相続分は、 D の半分となる（900 条 4 号ただし書）。しかしながら、F は、養子縁組により全血兄弟の身分を取得しており、これと両立しない半血兄弟の身分を喪失している。したがって、D と F の相続分は、相等しい（同号本文）。

(2) 孫を養子とした場合（設例 4）【設例 4】A には子 B と C がおり、B には子 D（A の孫）がいたが、A は、D を養子とした。 ① B が死亡した。 ② B の死亡後、A も死亡した。孫DにはBの子としての身分とAの養子としての身分がある。これらの身分は両立可能か？

可能 ① D は、B の子として第 1 順位の相続権を有するとともに、B の兄弟として第 3 順位の相続権を有することになるが、先順位の相続権のみを主張することができる。 ② D は、A の相続につき、A の養子として第 1 順位の相続権を有するとともに、B の代襲者としても第 1 順位の相続権を有する（887 条 2 項）。2 つの相続権に基づく相続分が合算され、D の相続分は、 C の相続分の 2 倍となる。

【設例 5】A と B の夫妻には、実子 C と D がいたが、E を養子に迎えた。その後、C と E は、婚姻した。A と B が死亡した後、C が死亡した。 (3) 実子と養子が婚姻した場合（設例 5） E は、 C の配偶者であると共に、 C の兄弟姉妹の地位も有する。これらの地位は両立するか？

両立する E は、C の相続につき、これら 2 つの地位に基づく相続権を有するが、両者は同順位であるところ、どちらも主張し、相続分を合算することができる。

代襲相続とは？

本来相続人となるべき人が相続開始前に死亡したり、相続権を失った場合に、その子や孫などが代わりに相続する

代襲相続が認められる場面２つ

被相続人の子に代襲原因が生じた場合被相続人の兄弟姉妹について代襲原因が生じた場合

代襲相続の効果２つ

１固有の相続権：代襲者は、固有の相続権を取得（被代襲者の相続権を承継したり、これを代位行使したりするのではない。）２代襲相続人の相続分：代襲相続人の相続分は、被代襲者が受けるべきであったものと同じ

代襲相続の要件２つ

被代襲者に代襲原因があること代襲者であること

代襲原因３つ

①被代襲者が相続開始以前に死亡したこと ②被代襲者が欠格事由（891 条）に該当すること ③被代襲者が廃除されたこと

被代襲者が相続放棄をした場合、代襲相続は認められるか？

認められない自己の系統に相続させないというのが、相続放棄者の意思

代襲者であることの要件３つ

(1) 被代襲者の子であること (2) 被相続人の直系卑属であること (3) 代襲相続人が相続開始時に存在すること

被代襲者の配偶者は、代襲相続人となることができるか？

できない

代襲者自身が、被相続人との関係で欠格事由を有し、または、廃除された場合代襲相続は認められるか？

認められない

代襲者と被代襲者との関係において、欠格事由・廃除があった場合、代襲相続は妨げられるか？

妨げられない

【設例 9】A には、実子 B がいたが、さらに血縁関係のない C を養子とした。C には、A との縁組前から子 D がいたが、縁組後に子 E を儲けた。C の死後、さらに次の事態が生じた。 ① A が死亡した。 ② A の死亡後に、B も死亡した。 DとEは代襲相続人となることができるか？

① A の相続につき、E は第 1 順位の代襲相続人となることができるが、D は代襲相続人となることができない。 ② B の相続につき、E は第 3 順位の代襲相続人となることができるが、D は代襲相続人となることができない。

第 8講 相続法総論・相続人

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