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現代紛争論 Week7反政府武装勢力の統治・民兵

Aiko Kobayashi

問題数 24 • 7/20/2025

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反政府勢力がコロナウイルス中に公共サービスを提供した事例は？

シリア内戦におけるHTSの救済政府

コロナウイルスへの武装勢力の対応として多かった行動は？

市民への情報提供や社会的集まりに対する外出制限

反武装勢力が公共サービスを提供するときはどのような時か？

政府が統治を提供するのを怠った時

反政府武装勢力の統治（Rebel governance）とは？

• 「非戦闘員の社会的、政治的、経済的生活を規制するために反乱軍が行う行動」（Kasfir 2015 ; Huang 2016） • 「市民の社会的・政治的生活を、武装勢力により規則づけるためのルールの制度と実践の発展」（Mampilly 2013

Rebel governanceの要件３つ（Weinstein 2007）

①反政府武装勢力が領土を支配していること ②市民との関係を扱うために制度を設立していること ③これらの制度が、意思決定の階級や税のシステムを定義する幾つかの公式・非公式のルールを設けていること

反政府武装勢力はどのようなときに効果的に統治に従事するのか？場合３つ

a) ある地域において暴力を独占しており、その地域に居住している人々に対して警察活動を行う強制力を発展させることができるとき（他の武装勢力や政府勢力を排除しているとき） b) 公式な司法構造もしくは暫定的なシステムを通して紛争解決メカニズムを発展させるとき←紛争解決メカニズムが整備されることで、住民は反政府勢力を「統治主体」として認識するようになる c) 治安を超えて、他の公共財を提供する能力を示せるとき（学校、病院、インフラ、食糧配給、税制など、治安以外の分野のサービス）

何故武装勢力は公共財や公共サービスを提供するのか？

パワー、正統性、コミュニティへの影響力を得られる

外部支援（外国政府・組織・ディアスポラなど）が反政府勢力の統治に与える影響は？

①Mutual Dependence Argument（相互依存論）：外部支援が安定的かつ潤沢に入ってくる場合、反政府勢力は「地元住民の支持」にあまり依存しなくなり、サービスを提供するインセンティブがなくなる ②Capacity Argument（能力論）：外部支援により統治の物理的能力を獲得し、サービスが提供しやすくなる

何故武装勢力はサービスを包括的に提供するのか？（Stewart 2018）

正統性と信頼性を獲得するため

Rebel service provision（反政府武装勢力によるサービス提供）が交渉に与える影響

サービスを提供することにより、組織やコミュニティの中の、スポイラー（Spoiler：和平の妨害者）を脅すことができるサービスが、スポイラーを脅したり懐柔する道具となる →より交渉に従事しやすくなる

Rebel service provisionが軍事能力に与える影響（Stewart 2019）の仮説は？

市民から資源を得やすくなり、市民をリクルートしやすくなるため軍事的に強くなる

「Rebel service provision（反政府武装勢力による公共サービス提供）」が、なぜ実際は軍事能力に負の影響を与えるのか？

① 組織資源の分散（組織の“多任務化”）教育・医療・インフラなどのサービス提供には、人材・財源・管理機構が必要。 ② 内部の目標・優先順位の不一致統治部門と軍事部門で組織内の目的がズレる可能性がある。例：軍部は戦闘継続や暴力を望むが、行政部門は安定と住民支援を重視。 ③ 戦闘員の士気・規律の低下戦闘員が警察・インフラ整備・医療支援などの「非戦闘任務」に投入されると、 → 戦闘員のモチベーションが下がり、軍事的専門性が失われる。

反政府武装勢力はなぜ選挙を行うのか？

選挙により地方レベルでの正統性と国際的正統性を得られるため

民兵が投入された事例

スリランカ： • Liberation Tigers of Tamil Eelam （LTTE)と戦うため、また、北部と東部のタミル人口を巡回するために、スリランカ政府が民兵を作るアフガニスタン： • 対反乱作戦の一貫として、米国は2006年以降、民兵の設立の努力を支援 → Kunduzにおける米国に支援された民兵は地元の人々に保護を提供 → しかし、2014年の米軍減少の後、いくらかの民兵はタリバン側についた（Dirkx 2018)

民兵とは？

通常の政府軍と警察力の指揮構造の外で活動する集団

親政府派民兵（Pro-government militias: PGM）とは？

①国によってスポンサーされた、もしくは親政府派の ②通常の公安部隊の一部ではない ③武装した ④いくらかの組織のレベルを所持している集団

**親政府派民兵（pro-government militias, PGM）**の動員が、国家にとって「両刃の剣」となる理由

脆弱な国家（fragile or weak states）では、治安維持能力が限られるため、政府はコストの安い治安維持手段として、**非正規の民兵（PGM）**を動員するが、民兵が市民へ暴力を働いたり、政府の統制下から外れてしまうため

親政府派民兵の存在は、市民に対する暴力のリスクを高めるのか？

高める民兵は正規軍のような明確な指揮命令系統に従わず、政府としても民兵が勝手にやったこととして市民への暴力の責任をは回避できるため

親政府派民兵は、**「Veto Player（拒否権プレイヤー）」**として紛争の終結や平和構築を妨げる可能性があるか？

ある ① 民兵の存在理由は「戦争の継続」そのものにある←平和が成立すると自らの存在意義や利権が消滅するリスク ② 民兵には独自の利害や利益ネットワークがある民兵は武器・資源・影響力・非公式経済（密輸・徴税・土地支配など）に依存して活動しており、　→ 戦時経済が平時化すれば、その利益を失うことになる

①政府が勝利した場合 ②反政府武装勢力が勝利した場合 ③政府の勝利でない場合（紛争が継続、または停戦状態の場合）それぞれ親政府派民兵の解散はどうなるか？

①政府は民兵を統合、解散、または国家正規軍や警察組織に吸収←一部の民兵は政治的・経済的利権を持っているため、完全な解散は難しいこともある ②親政府派民兵は敵対勢力となり、多くの場合解散どころか壊滅させられる←再武装、新たな武装組織へ参加 ③紛争の不確実な状況や停戦では、政府が民兵を解散できず、民兵の武装解除や統合は非常に困難←民兵は自らの安全保障や利権維持のために活動を続け、和平プロセスを妨害することもある

内戦後の民兵の２つの帰結

1. De facto integration（事実上の統合）民兵が正式な国家軍や安全保障組織に統合されること。 2. Disintegration（分解）民兵の動員解除（DDR：Disarmament, Demobilization, and Reintegration）や強制的な解散。

民兵帰結に影響を与える要因２つ

民族の影響：民族間の結束力やアイデンティティが強い民兵ほど、組織的に維持されやすい軍事組織能力の影響：軍事的に組織化され能力が高い民兵は、統合されるか、逆に強制解散が難しい

民兵が内戦の再発の要因となる理由３つ

①和平合意のOutside spoilerとしての親政府派民兵 ②武装解除の難しさ ③Government bonus（政府が自らの交渉力や秩序維持の道具として民兵を手放さない）

軍事介入が行われた場合、親政府派民兵はどうなるか？ ①外国軍が介入した場合 ②外国軍が撤退し、反政府勢力が勝利した場合

①外国軍により使用される民兵もあれば、外国軍を占領者とみなし、敵対する ②民兵は報復の対象となる