記憶度
5問
14問
0問
0問
0問
アカウント登録して、解答結果を保存しよう
問題一覧
1
学籍番号及び氏名は、大学が個人識別等を行うための単純な情報であって、秘置されるべき必要性が必ずしも高いものではなく、自己が欲しない他者にはみだりにこれらの個人情報を開示されないことへの期待は、尊重に値するものではあるものの、法的に保護されるとまではいえないから、学籍番号及び氏名はプライバシーに係る情報として法的保護の対象とはならない
判例は、大学が講演会の主催者として学生から参加者を募る際に収集した参加申込者の学籍番号、氏名、住所及び電話番号に係る情報は、参加申込者のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるとしている(最判平15年9月12日/早稲田大学北沢民講演会事件)。 したがって、本肢は全般に誤りである。
2
聞きたくない音を聞かない自由は、人格的利益として現代社会において重要なものであり、憲法第13条により保障され、かつ、精神的自由権の一つとして憲法上優越的地位を有するものであるから、商業宣伝放送を行うという経済的自由権によって当該自由が制約されている場合は、厳格な基準によってその合憲性を判断しなければならない。
判例は、本肢のような自由について、人格的利益は認めていない(最判昭63年12月20日大阪市営地下鉄車内放送事件)。なお、一部の少数意見では本肢のような自由の重要性を説いたものもあるが、それとも合致しない。したがって、本肢は全般に誤りである。
3
憲法第14条第1項は、合理的理由のない区別を禁止する趣旨であるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる区別は許されるが、憲法第14条第1項後段に列挙された事国による区別は例外なく許されない。
判例は、14条1項に列挙された事由は例示的なものであって、必ずしそれに限るものではないが、同項は国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱いをすることは否定されないとしている(最大判昭39年5月27日)。したがって、本記述の、「憲法14条後段に列挙された事由による区別は例外なく許されない」の部分が誤りである。
4
憲法第14条第1項の「社会的身分」とは、自己の意思をもってしては離れることのできない固定した地位というように狭く解されており、高齢であることは「社会的身分」には当たらない。
判例は、憲法第14条1項の「社会的身分」とは、人が社会において占める継続的な地位をいうから、高齢であるということはそれに当たらないとしている(最大判昭39年5月27日)。したがって、本記述の「自己の意思をもってしては離れることのできない固定した地位というように狭く解されており」の部分が誤りである。
5
旧所得税法が必要経費の控除について事業所得者等と給与所得者との間に設けた区別は、所得の性質の違い等を理由としており、その立法目的は正当なものであるが、当該立法において採用された給与所得に係る必要経費につき実額控除を排し、代わりに概算控除の制度を設けた区別の態様は著しく不合理であることが明らかなため、憲法に違反して無効であるとした。
租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様が右目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、憲法14条1項に違反するものということはできないとするのが判例の立場である。そして、給与所得者の職務上必要な養袋は使用者が負担するのが通例であり、給与所得者において自ら負担する必要経費の額が一般に旧所得税法所定の給与所得控除の額を明らかに上回るものと認めることは困難であり、給与所得控除の額は給与所得に係る必要経費の額との対比において相当性を欠くことが明らかであるということはできないと判断をしている(最大判60年3月27日 サラリーマン税金訴訟)。 したがって、「著しく不合理であることが明らかなため、憲法に違反して無効であるとした」の部分が誤りである。
6
謝罪広告を強制執行することは、それが単に事態の真相を告白し陳謝の意を表するにとどまる程度のものであっても、当人の人格を無視し著しくその名誉を毀損し意思決定の自由ないし良心の自由を不当に制限することになるため、憲法第19条に違反するとするのが判例である。
判例は、単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、これを強制したとしても、憲法19条に反するものではないとした(最大判昭31年7月4日)。したがって、本記述の「憲法19条に違反する」の部分が誤りである。
7
憲法第19条が保障する「思想」と「良心」の保障範囲は異なり、思想の自由とは、世界観、人生観、主義、主張などの個人の人格的な内面的精神作用を意味し、良心の自由とは、内心における信仰の自由を意味する。
誤り。思想と良心の関係につきいかに解すべきかについて、両者を厳格に区別する必要はないと解されている。したがって、本記述の、「憲法第19条が保障する「思想」と「良心」の保障範囲は異なり」の部分が誤りである。なお後段記述は正しい。
8
思想・良心の自由の保障は、国家権力が、個人の内心の思想に基づいて不利益を課したり、特定の思想を抱くことを禁止することが許されないことのみならず、個人が内心において抱いている思想について、直接又は間接に尋ねることが許されないことをも意味する。
正しい。憲法19条に規定されている思想・良心の保障内容は、①個人の内心の領域にとどまる限りにおいては、国家権力が不利益を課すことを禁止、②国家権力が、特定の思想を抱くことを禁止することはなしえないこと、③沈黙の自由の3つをその内容としている。なお、沈黙の自由とは、国民がいかなる思想を抱いているかについて、国家権力が直接または間接に訪ねることを禁止するというものであり、思想とは関係のない単なる事実の不知については及ばない。
9
地方公共団体が定める条例において、集団行進等の集団行動を一般的な許可制を定めて事前に抑制することは憲法第21条第1項に反し許されない。
妥当である。判例(最大判昭29年11月24日 新潟県公安条例事件)は、集団行動の事前規制につき、単なる届出制を定めることは格別、一般的な許可制を定めて事前に抑制することは許されないとしている。なお、特定の場所または方法につき合理的かつ明確な基準のもとでの許可制は許されるとしている。
10
特定の団体への加入を強制する法律は、団体に加入しないといった結社の自由を侵害するものであるから、憲法第21条第1項に反する。
弁護士会等一定の職業団体については、専門性・公共性の維持、職業倫理・技術の向上等の理由から、法律によって強制設立・強制加入とすることが認められている団体もある。したがって、「団体に加入しない~憲法第21条第1項に反する」の部分が誤りである。なお、これまでのところ強制加入団体の合憲性を結社の自由の観点から論じたものはないが、弁護士会への強制加入制度が憲法22条の職業選択の自由に反するかが争われた判例(最判平4年7月9日)では、「弁護士に関する規制は、公共の福祉のため必要なものというべきであって、憲法22条に違反しない」としている。
11
美観風致の維持及び公衆に対する危害防止の目的のために、屋外広告物の表示の場所・方法及び屋外広告物を掲出する物件の設置・維持について必要な規制をすることは、それが営利と関係のないものも含めて規制の対象としていたとしても、公共の福祉のため、表現の自由に対して許された必要かつ合理的な制限であるといえる。
妥当である。判例は、都市の美観風致を維持することは、公共の福祉を保持するゆえんであるから、電柱等への非営利的ビラの貼り付けを禁止の対象に含む規定も、必要かつ合理的な制限といえるとしている(最大判昭43年12月18日 屋外広告物条例違反事件)。
12
表現の自由を規制する法律の規定について、その解釈により規制の対象となるものとそうでないものとを明確に区別することができず、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることを明らかにすることができない場合であっても、一般国民の理解において具体的場合に該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめる基準をその規定から読み取ることができるものであれば、当該法律の規定について限定解釈をすることが許される。
判例は、「表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない」としている(最判昭59年9月18日)。よって、「その解釈により~できない場合であっても」とする部分が誤りである。
13
ある条例がその文言どおりに適用されることになると、規制の対象が広範囲に及び、憲法第21条第1項及び第31条との関係で問題がある場合に、当該条例を限定解釈によって合憲と判断することができるかどうかの判断に当たっては、当該条例の規定それ自体から、通常人の判断能力をもって限定解釈をすることができる可能性等を考慮すべきであり、当該条例の委任規則である施行規則の規定までも考慮することは許されない。
判例は、条例の委任規則である施行規則の規定を、条例に違反する者に対する中止命令等を発するか否かの判断基準とすることについて、「条例の全体から読み取ることができる趣旨だけでなく条例施行規則の規定等を総合」勘案して限定解釈をすることができるとしている (最判平19年9月18日)。よって、「通常人の判断能力をもって~考慮することは許されない」とする部分が誤りである。
14
戸別訪問を禁止する公職選挙法の規定は選挙の自由と公正を確保することを目的としているところ、当該目的は正当であり、戸別訪問の一律禁止と禁止目的との間には合理的な関連性がある。また、戸別訪問の禁止によって失われる利益は、当該規定の萎縮効果により戸別訪問以外の手段方法による意見表明の自由が制約されるおそれがあることであるが、禁止により得られる利益は、民主主義の根幹を成す選挙の自由と公正の確保であるから、得られる利益は失われる利益に比して大きいということができ、当該規定は意法第21条に違反しない。
前半は正しい(最判昭56年6月15日)。しかし、戸別訪問の禁止によって失われる利益について、同判例は、「戸別訪問という手段方法による意見表明の自由が制約されることではあるが、それは、もとより戸別訪問以外の手段方法による意見表明の自由を制約するものではなく、単に手段方法の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない」としている。よって、「該規定の縮効果により~制約されるおそれがある」とする部分が誤りである。
15
表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず、個人によるその政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができるところ、ビラの配布のために、「人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入った行為につき、刑法第130条前段の罪に問う場合には、表現内容そのものの規制として憲法適合性を検討する必要がある。
判例は、「本件では、表現そのものを処罰することの意法適合性が問われているのではない、表現の手段すなわちビラの配付のために「人の看守する邸宅』に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われている」(最判平20年4月11日)とした。したがって、「表現内容そのものの規制として憲法適合性を検討する必要がある」の部分が誤りである。 ※ 刑法 130条前段の罪…住居侵入罪
16
道路、公園、広場などの一般公来が自由に出入りできる場所は、表現のための場として役立つことも少なくないから、このような場所が表現の場所として用いられるときは、所有権や、本来の利用目的のための管理権に基づく制約を受けざるを得ないとしても、その機能に鑑み、表現の自由の保障に可能な限り配慮する必要がある。
妥当である。駅構内のビラ貼りの違法性が問われた事件(最判昭59年12月18日)において、伊藤正己裁判官が、次のように述べている。「一般公衆が自由に出入りできる場所は、それぞれの本来の利用目的を備えているが、それは同時に、表現のための場として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを「パブリック・フォーラム』と呼ぶことができよう。このパブリック・フォーラムが表現の場所として用いられるときには、所有権や、本来の利用目的のための管理権に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる」(パブリック・フォーラム論)。
17
営利広告も表現の自由の保障に含まれ、その制約に関しては、厳格な基準が適用されるべきであるから、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第7条第1項の定める広告制限は、憲法第21条の趣旨に反し許されないと解されている。
営利広告も国民が消費者として広告を通じて様々な情報を受領することの重要性にかんがみ、表現の自由の保障に含まれる。しかし、営利広告には表現の価値の一つである自己統治の価値は含まれないため、その制約に関しては、政治的言論の自由よりも緩やかな基準で合意性を判断すべきと考えられている。実際判例も、「一定事項以外の広告を禁止することは、国民の保健衛生上の見地から、公共の福祉を維持するためやむをえない措置として是認されなければならない」(最大判昭36年2月15日あんま師等法事件)とし、緩やかな基準を採用したうえで、広告制限を合意とした。したがって、「その制約に関しては、厳格な基準が適用されるべきである」の部分と、「憲法21条の趣旨に反し許されないと解されている」の部分が誤りである。
18
一般的に、表現の内容に着目した規制は(①)、表現の内容に関係ない表現の手段・方法等に対する規制は(②)といわれる。 ( ①)の例としては、(③)に対する規制が挙げられる。 他方で、(② )には、表現活動の規制を直接の目的とする場合と、何らかの弊害をもたらす行為を規制した結果、付随的に表現活動も規制されることになり得る場合とを区別して考える見解もある。 前者の例としては、(④)が挙げられる。ここでは、ビラ配布という表現行為を一定の範囲で規制することが目的となっているからである。 他方で、後者の例としては、(⑤)などが挙げられる。 【語句群】 ア 内容規制 イ 内容中立規制 ウわいせつ表現や名誉毀損表現 エビラ配布 オ特定の時間帯や場所でのビラ配布を規制する場合や交通の重大な妨害となる態様でのビラ配布の規制 カビラ配布のために他人の管理する建物などに立ち入った者を建造物侵入罪により処罰する場合
①、②に入るのはア、イのどちらかの可能性が高く、①については1行目「表現の内容に着目した規制」とあることからこちらにはアが、また1行目「表現の内容に関係ない表現の手段・方法に対する規制」とあることから、②にはイが入るとわかる。 次に③にはウ、エのどちらかが入る可能性が高く、③には①の例が入る。①に入る内容規制とは、表現内容そのものの規制であるため、この③にはウが入るとわかる。なお、エのビラ配布は、表現そのものの規制ではなく、表現の方法、つまりある表現をする際にビラ配布による表現を規制するといった、内容中立規制の例である。 最後に④、⑤にはオ、カのどちらかが入る可能性が高く、④については4行目「表現活動の規制を直接の目的とする場合」が入るためこちらにはオが、また4行目「何らかの弊害をもたらす行為を規制した結果、付随的に表現活動も規制されることになり得る場合」とあることから、⑤にはカが入るとわかる。なぜならカの目的は建造物侵入の規制であり、それに伴いビラ配布という表現活動が付随的に規制されているためである。 以上により①ーア、②ーイ、③ーウ、④ーオ、⑤一カが入るので、正答は4.である。
19
公共の福祉には内在的制約と外在的制約の2種類があり、いずれの原理が妥当するかは基本的人権の性質によるものとされるが、精神的自由権は外在的制約に服し、経済的自由権は外在的制約に加えて内在的制約に服すると一般に解されている。
公共の福祉は、人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質公平の原理であり、全ての人権に内在していると一般に解されている(一元的内在制約説)。したがって、本記述の「精神的自由権は外在的制約に服し、~解されている」の部分が誤りである。なお、一元的内在制約 説においても精神的自由権と経済的自由権を全くの同列とするのではなく、経済的自由権においては精神的自由権に比べ、福祉国家理念の実現のため、より広範な人権制約が認められるとされる。
20
本人は司法書士の資格がなくても登記の申請ができるのに、行政書士が本人から依頼されても登記申請を代理することが許されないのは合理性を欠くことから、司法書士以外の者が他人の嘱託を受けて登記に関する手続について代理する業務及び登記申請書類を作成する業務を行うことを禁止し、これに違反した者を処罰する司法書士法の規定は、憲法第22条第1項に違反するとするのが判例である。
判例は、司法書士法の各規定は、登記制度が国民の権利義務等社会生活上の利益に重大な影響を及ぼすものであることなどにかんがみ、法律に別段の定めがある場合を除き、司法書士及び公共嘱託登記司法書士協会以外の者が、他人の嘱託を受けて、登記に関する手続について代理する業務及び登記申請書類を作成する業務を行うことを禁止し、これに違反した者を処罰することにしたものであって、右規制が公共の福祉に合致した合理的なもので憲法22条1項に違反するものでない(最判平12年2月8日)としている。したがって、本記述の「憲法22条第1項に違反するとするのが判例である」の部分が誤りである。
21
憲法第22条第2項の外国に移住する自由には外国へ一時旅行する自由が含まれ、また、旅券法が旅券発給を拒否することができる場合として、「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」と規定したのは、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のために合理的な制限を定めたもので、同条項に違反しないとするのが判例である。
妥当である。判例は本記述のように述べ、旅券法の規定が漠然たる基準を示す無効のものであるということはできない(最判昭33年9月10日帆足計事件)としている。
22
憲法第29条第3項にいう「正当な補償」とは、その当時の経済状態において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な額をいうのであり、必ずしも常に当該価格と完全に一致することを要するものではなく、この趣旨に従うと、収用する土地の補償金の額の算定について定めた土地収用法第71条の規定には十分な合理性があり、同条は憲法第29条第3項に違反しないとするのが判例である。
妥当である。判例は本記述のように述べ、土地収用法71条が補償金の額については、十分な合理性があり、これにより、被収用者は、収用の前後を通じて被収用者の有する財産価値を等しくさせるような補償を受けられるものというべきであることから、土地収用法71条の規定は憲法29条3項に違反するものではない(最判平14年6月11日)としている。
23
旧薬事法による薬局開設の許可制の採用及び許可条件としての薬局の適正配置規制は、国民の生命及び健康に対する危険の防止という消極的・警察的目的の規制であり、同法の立法目的である不良医薬品の供給の防止等のために必要かつ合理的な規制とはいえないから、憲法第22条第1項に違反する
判例は、「不良医薬品の供給から国民の健康と安全とを守るために、業務の内容の規制のみならず、供給業者を一定の資格要件を具備する者に限定し、それ以外の者による開業を禁止する許可制を採用したことは、それ自体としては公共の福祉に適合する目的のための必要かつ合理的措置として背認することができる」としている。よって、許可制の採用までをも違憲とする本は誤りである(最大判昭50年4月30日)
24
酒税法による酒類販売業の免許制は、専ら、零細経営者が多く経済的基盤の弱い酒類販売業者を保護するための積極的・政策的規制と解されるから、当該規制が著しく不合理であることが明日でない限り、憲法第22条第1項に違反しない。
判例は、「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、右の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、これを憲法22条1項の規定に違反するものということはできない」としている(最判平4年12月15日)。よって、積極的・政策的規制と解されるから」とする部分が誤りである。
25
たばこ事業法による製造たばこの小売販売業の許可制は、公共の福祉に適合する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置ということができ、また、同法による製造たばこの小売販売業に対する適正配置規制は、当該目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであって、著しく不合理であることが明白であるとは認め難く、憲法第22条第1項に違反しない。
妥当である。判例は本肢の通りに判示している(最判平5年6月25日)。
26
自家用自動車を有償運送の用に供することを禁止している道路運送法の規定は、自家用自動車の有償運送行為が無免許営業に発展する危険性の多いものとは認められず、公共の福祉の確保のために必要な制限と解することができないため、憲法に違反するとした。
判例は、自家用自動車の有償運送行為は無免許営業に発展する危険性の多いものであるから、これを放任するときは無免許営業に対する取締りの実行を期しがたく、免許制度は崩れ去るおそれがあることから、道路運送法の規定が自家用自動車を有償運送の用に供することを禁止しているのもまた公共の福祉の確保のために必要な制限としている(最大判昭38年12月4日)したがって、本肢の「無免許営業に発展する危険性の多いものとは認められず~憲法に違反するとした」とする部分が誤りである。
27
小売商業調整特別措置法の小売市場の開設許可規制は、小売商の共倒れから小売商を保護するためにとられた措置であると認められるが、その目的、規制の手段及び態様において著しく不合理であることが明白であり、憲法に違反するとした。
判例は、小売商業調整特別措置法の小売市場の開設許可規制は、小売商の共倒れから小売商を保護するためにとられた措置であるが(積極的規制)、その規制の手段、態様においても、それが著しく不合理であることが明白であると認められないとしている(最大判昭47年 11月22日)。したがって、本肢の「その目的、~するとした。」とする部分が誤りである。
28
薬事法の薬局の適正配置規制は、国民の生命及び健康に対する危険の防止という消極的、警察的目的のための措置ではなく、薬局の経営の保護という社会政策的目的のものであるが、薬局の偏在に伴う過当競争による不良医薬品の供給の危険は、観念上の想定にすぎず、公共の利益のために必要かつ合理的な規制を定めたものということができないから、憲法に違反し、無効であるとした。
薬局の開設に関する適正配置規制は、主として国民の生命及び健康に対する危険の防止という消極的、警察的目的のための規制措置であり、薬局等の経営の保護というような社会政策的ないし経済政策目的は適正配置規制の意図するところではないとしている(最大判昭50年4月30日)。したがって、本肢前半の「薬事法の薬局の適正配置規制は~薬局の経営の保護という社会政策的目的のものであるが」とする部分が誤りである。
29
平成元年の公衆浴場法による公衆浴場の適正配置規制に関する判決では、該規制は公衆浴場業者が経営の困難から廃業や転業をすることを防止し、国民の保健福祉を維持するという積極的、社会経済政策的な規制目的を有するが、その手段としての必要性と合理性を有していると認められず、憲法に違反し、無効であるとした。
判例は、公衆浴場法による適正配置規制は、公衆浴場業者の廃転業を防止し、健全で安定した経営を行えるようにして国民の保健福祉を維持しようとするものであるから、積極的、社会経済政策的な規制目的に出た立法であっても、立法府のとった手段がその裁量権を逸脱し、著しく不合理であることが明白でない限り、憲法に違反しないとする(最判平元年1月20日)。したがって、本肢後半の「その手段としての必要性と~憲法に違反し、無効であるとした」とする部分が誤りである。
30
憲法第 37条第1項は、「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」と規定しているが、個々の刑事事件について、審理の著しい遅延の結果、被告人の迅速な裁判を受ける権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であっても、裁判所は、これに対処すべき具体的規定がなければ、その審理を打ち切るという非常救済手段を用いることはできないとするのが判例である。
判例は、「憲法37条1項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定である」としている(最大判昭47年12月20日 高田事件)。したがって、「裁判所は、・・用いることはできない」の部分が誤りである。
31
旧所得税法に定める検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることを一般的要件としていないところ、検査の性質が刑事責任の追及を目的とするものではなく、所得税の公平確実な賦課徴収を図るという公益上の目的を現するため不可のものであるとしても、強制的に行われ、検査の結果として刑事責任の追及につながる可能性があることから、憲法に定める令状主義に反するとするのが判例である。
判例は、憲法35条1項は、対象となる手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理曲のみで保障の枠外にあると判断することは相当でないとしつつも、旧所得税法に定める検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、憲法35条の法意に反するものではないとする(最大判昭47年11月22日 川崎民商事件)。したがって、「憲法に定める令状主義に反する」の部分が誤りである。
32
憲法の定める法定手続の保障は、手続が法律で定められることだけでなく、その法律で定められた手続が適正でなければならないこと、実体もまた法律で定められなければならないことを意味するが、法律で定められた実体規定も適正でなければならないことまで要求するものではない。
適正手続を定める憲法31条は、「法律の定める手続き」の内容として、①手続が法律で定められなければならない(手続の法定)、②法律で定められた手続が適正でなければならない(手続の適正)、③実体規定もまた法律で定めなければならない(実体の法定)、④法律で定められた実体規定もまた適正でなければならない(実体の適正)の4つが挙げられる。したがって、本肢の「法律で定められた実体規定も適正でなければならないことまで要求するものではない」とする部分が誤りである。
33
何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなけれしば、抑留又は拘禁されず、また、何人も、正当な理由がなければ、抑留されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
憲法34条後段は、「何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず」と「拘禁」について理由の開示請求権を保障している。したがって、本の「何人も、正当な理由がなければ、抑留されず」とする部分が誤りである。なお、「拘禁」も「抑留」のいずれも、身体の自由を拘束することをいうが、日本国憲法は両者を区別しており、「抑留」は一時的な身体の自由の拘束をさし、「拘禁」は継続的な自由の拘束をさすと解されている。
34
何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利が保障されており、住居の捜索や所持品の押収については裁判官が発した令状によりこれを行う必要があるので、令状逮捕の場合以外に住居の捜索や所持品の押収を行うことは許されない。
憲法35条1項は、住居等の不可侵を保障しているが、「第33条の場合を除いては」と、逮捕にともなう捜索差押えとして、逮捕の現場において令状なく捜索差押えを行うことも認めている(令状主義の例外)。そして、「33条の場合」とは、通常逮捕と現行犯逮捕の区別なく両者を含むものと解される。したがって、本肢の「令状逮捕の場合以外に・・許されない」とする部分が誤りである。
35
最高裁判所の判例では、憲法の定める法定手続の保障が、行政手続に及ぶと解すべき場合であっても、一般に行政手続は刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を常に必ず与えることを必要とするものではないとした。
妥当である。憲法の定める法定手続の保障が、行政手続に及ぶかという点に関して、成田新法事件では、本肢の結論を述べている。
関連する問題集
憲法 精神の自由
人身の自由
参政権 裁判を受ける権利
国会
内閣
裁判所
財政・地方自治
憲法改正・条約
権利・行為能力
法律行為・意思行為、代理
無効・取消し、条件・期間・期限、時効
物権
占有権〜
担保物権
債権の性質・債務不履行、債権者代位・詐害行為取消権
連帯債務・保証債務、債権譲渡・債務引受、債権の消滅
契約法
事務管理・不当利得・不法行為
親族・相続
総論・組織・命令規則・行為
行政強制・行政罰・行政調査、行政計画、行政契約、行政指導、行政手続
行政不服申立て・行政審判、国家賠償法・損失補償
行政事件訴訟法
地方自治、情報公開・個人情報保護法、公物・公務員
国際政治
明治時代
日本経済
国際政治と日本経済
財政・厚生
労働・文部科学
環境・社会問題
平安時代・鎌倉時代
室町〜戦国時代、織豊時代
江戸
明治維新、政策、自由民権運動
明治期の議会、明治外交
大正〜終戦まで
現代日本
近代〜第一次世界大戦前
第一次世界大戦〜現代
地球環境、気候・植生
世界の土壌・農牧業・林業・水産業
鉱物とエネルギー資源・世界の工業
民族・言語・宗教、人口と都市・環境問題
アジアの国々
ヨーロッパ
アフリカ・アメリカ・カナダ、中南米の国々
オーストラリア等の国々、日本
成文法・不文法、法解釈、人権共有主体性、新しい人権、法の下の平等、表現の自由、自由権、社会権、罪刑法定主義
国会・内閣・裁判所
司法改革、刑法、民法、選挙の原則、選挙制度
国際政治
市場構造の区分と企業、市場機構
市場の失敗、GDP、経済成長率と景気循環、国民所得決定論、IS・LM分析
財政の機能、予算制度、財政投融資・租税、公債
地方財政、通貨制度・金融、中央銀行と金融政策、物価の変動
失業と雇用、金融と金融政策、近年の経済政策、国際収支
国際収支と貿易、外国為替のルール、為替相場決定要因と影響
日本の経済推移の指標、主な経済学説
憲法2
1
2
3
4
5
1
2
憲法level1
憲法level1その2
憲法level1その3
憲法level1その4
民法level1
民法level1その2
民法level1その3
民法level1その4
民法level1その5
民法level1その6
行政法level1その1
行政法level1その2
行政法level1その3
その1
その2
行政法level1その4
その3
行政法level1その5
その4
その5
その6
その7
その8
その1
その2
マクロ経済学
マクロ経済学2
ミクロ経済学
その1
その2
その3
その1
憲法
その2
行政法
そのI
その3
文化史
政治学 一問一答
近代ヨーロッパの誕生
16〜18世紀のヨーロッパ
市民社会の成長
ウィーン体制と19世紀の欧米諸国
米ソ冷戦
第二次世界大戦後のアジア
第一次世界大戦からの中東
農作物
エネルギー資源
地形
東アジア
南アジアと西アジア
アフリカ
アングロアメリカ
ラテンアメリカ
オセアニア
財政理論の基礎
日本の財政制度・事情
政党
予算過程
立法過程、政策過程
官僚制
権力分立
財政投融資
租税
公債
古代政治思想・近代政治思想
戦後の日本財政
地方財政
財政事情の国際比較
社会契約論
保守主義・功利主義・自由民主主義
現代政治学・政治システム論・現代政治思想
アメリカ行政学形成から正統派政治学まで
正統派政治学の批判から能率まで
科学的管理法と古典的組織論
人間関係論・現代組織論・
生体の構造
日本の行政組織
行政改革
生体内の代謝
日本の行政改革の流れ
官僚制論
公務員制度
刺激の受容と反応
国際会議
法律そのI
法律その2
経済財政・通商・環境、男女共同参画、白書
観光・防衛・厚生労働・防災、白書
高齢社会・消費者・警察・情報通信、白書
1
アメリカ大統領選・中国・パレスチナ・中東情勢
2
ウクライナ戦争・BRICS・NATO・台湾情勢
韓国情勢・IPEFの発行・ヨーロッパでの選挙
政治学
体内環境の恒常性と調節
政策決定