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問題一覧
1
企業にとっての金融の手段には、資本市場を直接的に使う直接金融と間接的に使う間接金融の二つがあり、内部留保資金を使うことは間接金融に分類される。日本企業の資金調達方法の特徴として、資本市場にて社発行による資金調達を行う間接金融があげられる
直接金融とは、株式や社貨を発行して、資本市場を通じて資金調達する方法であり、間接金融とは、銀行などの金融機関から、資金調達する方法である。また、内部留保資金は、直接金融でも間接金融でもない(分類としては自己金融、あるいは内部金融にあたる)。また、社債発行は、間接金融ではなく直接金融である。
2
日本の企業形態のうちの一つである合資会社とは、社員全員が無限責任社員であり、社員になるには出資が必要である。一方、合同会社とは、無限責任をもつ出資者と有限責任をもつ出資者の二つのタイプの社員が存在している企業形態である。
社員全員が無限責任社員であり、社員になるには出資が必要であるのは合名会社である。 また、無限責任をもつ出資者と有限責任をもつ出資者の二つのタイプの社員が存在するのは合資会社である。合同会社は、社員全員が有限責任社員である。
3
委員会設置会社とは、会社の業務執行とその監を分離する制度として導入された企業統治形態であり、監査役を置かず、監査、指名、報酬の三委員会を設置する会社をいう。各委員会は取締役3人以上で構成され、その過半数は社外取締役でなければならないとされている。
妥当である。委員会設置会社は、アメリカ型の経営組織をモデルとし、2003年施行の商法特例法の改正により委員会等設置会社として導入され、2006年施行の会社法において委員会設置会社とよばれることになった。2014年7月現在、上場企業のうち70社程度が委員会設置会社である一方、委員会設置会社から従来の監査役設置会社(委員会設置会社は、監査役を置くことができない)に形態を戻した上場企業が60社程度であった。なお、委員会設置会社は、 2014年の会社法改正により、指名委員会等設置会社になった。
4
P.F.ドラッカーは、日本の経済成長低迷の重要な要因として、日本的経営の三つの特徴を挙げた。具体的には、薬議制度などによる意思決定の遅さ、終身雇用と年功制度による人件費負担割合の上昇や生産性の低下、若手管理者の育成不足の三つをあげ、日本的経営を否定的に評価した。
ドラッカーは、むしろ日本的経営を育定的に評価した。戦後の日本経済が発展した要因として、稟議制(効果的な意思決定)、終身雇用制・年功序列制(雇用保障と生産性の調和)、若手管理者の育成の三つをあげた。
5
コンツェルンは、親会社の支配下に配置された複数の子会社が法人格上の独立的な地位を維持しながら多種多様な産業部門を支配することによって形成される。我が国におけるコンツェルンの典型例としては、戦前に存在した財閥本社とその傘下企業が挙げられる。
当である。コンツェルンに関する記述である。
6
メインバンク・システムとは、資金調達を銀行に依存している企業が、ある特定の銀行と特に強い結合関係を長期的・固定的に持つシステムのことである。我が国においては、1990年代以降に初めて見られるようになり、その後の大企業の直接金融から間接金融への移行などにより、急増の傾向にある。
我が国においてメインバンク・システムが顕著であったのは、バブル経済崩壊以前であり、現在の日本企業(特に大企業)は、金融自由化に伴い、間接金融よりも直接金融で資金を調達する傾向にある。
7
ISO26000とは、ある規模以上の特定の業種の組織を対象とした社会的責任を果たすことを求めるものであり、品質管理のIS 09000シリーズや環境管理のISO 14000シリーズのような認証を目的としたものである。
ISO26000とは、企業が社会的責任を果たすことを求めるものだが、あらゆる組織を対象とし、第三者認定を必要としない手引書として開発されたものである。
8
株主(プリンシパル)が経営者(エージェント)に業務遂行を委ねる契約をすることで、両者の間にエージェンシー関係が成立すると考えられる。両者の間に利益相反がある場合、経営者が株主の利益にならない行動をすることがある。そのため、契約をする際に株主が経営者に対して、株主と経営者の利益を一致させるようなインセンティブ(誘因)を与えることなどが必要であるとされる。
妥当である。エージェンシーの理論に関する記述である。エージェンシーの理論とは、依頼人たるプリンシパルが、代理人たるエージェント(エージェンシー)に対し、自らの利益を生じさせるための行為を委任することであり、たとえば株式会社の場合、プリンシパルが株主、エージェントが株式会社(経営者)にあたる。また、プリンシパルが株式会社(経営者)、エージェントが従業員とみることもできる。ただし、エージェントが必ずプリンシパルの利益のために行動するとは限らないため、プリンシパルには、エージェントを監視するための追加コスト(=エージェンシー・コスト)が必要となる場合がある。なお、エージェントが、プリンシパルの利益に反する行動をとること、あるいはエージェントが、自らの利益のために行動してしまうことをエージェンシー・スラックという。
9
A.A.バーリとG.C.ミーンズは、経営者が発行済株式の過半数を所有している状態を経営者支配と考えた。彼らの調査結果によると、1930年代当時の米国の非金融大企業上位200社のうち、90%以上の企業が経営者支配の状態にあり、所有と経営の分離が全く進行していないことが判明した。
A. A.バーリとG.C.ミーンズは、株式が高度に分散して最大株主の持株比率が20%未満となっており、会社支配権をもっていない経営者が、株主に変わって企業の経営を支配している状況を経営者支配と考えた。また二人のおこなった調査結果によると、1929年当時の米国の非金融大企業上位200社のうち、44%の企業が経営者支配の状態にあり、所有と経営の分離が進行していることが判明した。
10
Aは、環境マネジメントシステム標準化のための国際規格であり、このシステムの継続的な改善によって、環境負荷の低減を図ることを目的とする。」Bは、環境問題に取り組む企業の株式に投資することをいう。
A:「ISO14000シリーズ」が該当する。 「ゼロエミッション」とは、リサイクルなどを通じて、生産活動や消費活動などから生じた廃棄物を0にすることを目的とするシステム・運動のことである。なお、「emission」は排出を意味する。 B:「エコファンド」が該当する。 「グリーンコンシューマー」とは、直訳すれば「緑の消費者」となるが、買い物の際、環境に配慮した商品・製品を購入する消費者のことである。
11
社会的責任投資(SRI)とは、収益性や成長性といった財務面ではなく、社会性や倫理性等、社会貢献度のみを考慮して企業を評価し、投資先を選別することである。
社会的責任投資(SR I:Social Responsibility Investment)とは、収益性や成長性といった財務面のみでなく、社会性や倫理性など、社会的貢献も合わせて考慮して企業を評価し、投資先を選別することである。
12
ステークホルダーとは、企業の経営活動の存続や発展に利害関係を有する主体のことで、具体的には、顧客・消費者、株主、取引先、地域社会等を指すが、従業員や労働組合はこれには含まれない。
ステークホルダーには、従業員や労働組合も含まれる。
13
フィランソロピーとは、業務の有効性・効率性、財務報告の言頼性、事業活動に関わる法令等の遵守及び資産の保全という目的を達成するための体制を整備し、リスクの評価や監視活動を行うことをいう。
本肢は、内部統制に関する記述である。フィランソロピーとは、企業による社会貢献活動、慈善・博愛活動をいう。
14
企業の社会的責任(CSR)の一環として行われる社会貢献を総称して企業メセナといい。 この中で特に文化、芸術等への支援活動を企業フィランソロピーと呼ぶ。なお、現在国際連合においてCSRの規格化・標準化の取組が行われているが、関係団体の多さから調整作業が難航しており、2021年3月時点では完成に至っていない。
15
プロジェクト・チームとは、特定の課題達成のために組織横断的にメンバーを選抜し、編成される常設的組織であるが、タスク・フォースは、特定の課題達成のために編成される臨時的組織である。
16
カンパニー制とは、事業部制組織がさらに発達し、独立性が高まった組織形態であり、カンパニーは、社内資本金制度を導入して、経理上も独立採算をとり、カンパニーごとの財務諸表も作成する。
17
持株会社とは、他の会社を支配、管理することを目的にその会社の株式を保有している会社であり、自らは事業を営まないものを純粋持株会社、自らも事業を営むものを事業持株会社というが、日本では純粋持株会社の設立は独占禁止法により全面的に禁止されている。
18
機能別組織は、事業部制に比べて、専門化による知識・技能の高度化が期待でき、統一的な業績評価基準を得やすいといったメリットが存在する半面、部門間コンフリクトが生じやすく、規模の経済性を受けにくいといったデメリットが存在する
19
カンパニー制とは、事業部の独立性を高めて、一つの独立した企業とみなして運営するものであり、各カンパニーの利益額だけでなく、擬似的に資本金なども配分し、それに対する株主資本利益率(ROE)などの利益率もカンパニーの評価基準になり得るものである。
20
T.バーンズとG.M.ストーカーは、英国において変化の激しい鉄道事業の分野に進出を図った企業を調査した結果、環境の不確実性が増大すると、有機的組織ではうまくいかず、機械的組織の方が必要とされることを見出した。
21
事業部制組織は、トップマネジメントと本社スタッフ部門で成り立っている組織で、各事業部は、製品別や地域別などに独立しており、日常の業務決定について大幅に権限を付与されている。各事業部が独立しているために、二重投資が生じにくい等といった利点がある。
事業部制組織は、トップマネジメント(=経営者層)の下に、特定の製品や地域別に事業部が設置された組織であり、トップマネジメントと本社スタッフ部門、各事業部で成り立っている。また、各事業部に同じような部署が存在するため、二重投資が生じやすい点がある。
22
職能別組織とは、生産や営業といった機能ごとに部門化を行っており、各部門に日常の業務決定について大幅な権限が与えられている分権的な組織である。長所として、部門間の対立が生じにくく、トップマネジメントの負担は小さいことが挙げられる。
職能別組織は、生産や営業といった機能ごとに部門化をおこなっているが、各部門に大幅な権限が与えられているとは限らない(一文目の後半の記述は、事業部制組織の特徴である)。 また、職能別組織は、部門間の対立が生じやすく、トップマネジメントの負担が大きい、という短所がある。
23
マトリックス組織とは、例えば事業部軸と職能軸の二つの軸から成る組織形態で、一人の構成メンバーに二人以上の上司が存在するという特徴がある。そのため、責任の所在が不明確になることや、組織運営上のコストが大きくなること等が欠点として挙げられる。
妥当である。マトリックス組織に関する記述である。マトリックス組織の利点としては、環境の変化に柔軟に対応できること、専門家と総合管理者の育成が可能なこと、経営資源の重複投資が避けられることなどがあげられる。
24
マトリックス組織では、メンバーは機能部門長と事業部長の両方を上司として持つことになる。この組織形態は、機能別の専門性の確保と、製品や地域といった市場ごとの対応の画方を目指したものであるが、機能部門長と事業部長が同等の立場である場合、責任の所在が不明確になるという問題もある。
妥当である。マトリックス組織に関する記述である。
25
ライン・アンド・スタッフ組織とは、スタッフ部門の下位にライン部門を位置付けたものである。この組織形態は専門化の効果を発揮しにくいことから、その欠点を克服するものとしてファンクショナル組織が考案された。
ライン・アンド・スタッフ組織は、命令一化の原則を実現するライン組織と、専門化の原則を実現するファンクショナル組織を組み合わせた組織形態であり、本肢の記述のような、部門間の上下関係はない。また、スタッフ部門は専門化の効果を発揮すべき部門であるため、ライン・アンド・スタッフ組織に本肢のような欠点はない。
26
M.ヴェーバーは、官僚制組織の特徴として、明確な職務規定から生じる逆機能について指摘した。これは、組織メンバーが規則を遵守することで、顧客の個別のニーズへの対応ができず、顧客とのトラブルが増えることから、規則の遵守が更に徹底され、それ自体が目的となり、組織が合理的に機能しないことを指す。
本肢は、R.K.マートンが指摘した、官僚制の逆機能に関する記述である。M.ヴェーバーは、官僚制組織の有効性を指摘した。
27
ウッドワードは、生産システムに用いられる技術を個別受注生産、大量生産、装置生産に分類し、個別受注生産や装置生産には機械的組織が適し、大量生産には有機的組織が適しているとした。
ウッドワードは、生産システムに用いられる技術を小規模バッチおよび単品生産(個別受注生産とする場合もある)、大規模バッチおよび大量生産、装置生産に分類し、小規模バッチおよび単品生産や装置生産には有機的組織が適し、大規模バッチおよび大量生産には機械的組織が適しているとした。
28
ガルブレイスは、組織の分化と統合のパターンと環境特性との関係を研究し、不確実性が高い環境にある組織は、組織の分化の程度が高く、分化した部門を統合するための組織機構が複雑であるとした。
本肢は、ローレンスとローシュの理論に関する記述である。
29
バーンズとストーカーは、環境に応じて組織を有機的組織と機械的組織に分類し、不安定で変化に富む環境のもとでは有機的組織が有効的であるのに対して、安定した環境のもとでは機械的組織が有効的であるとした。
妥当である。バーンズとストーカーの主張に関する記述である。
30
フィードラーは、リーダーシップ論においてコンティンジェンシー理論を提唱し、リーダーの置かれている状況が、有利または不利な状況の場合は、人間関係志向型のリーダーの成果が高く、状況が有利でも不利でもない中程度の場合は、仕事志向型のリーダーの成果が高いとした。
フィードラーは、リーダーの置かれている状況が、有利または不利な状況の場合は仕事志向型のリーダーの成果が高く、状況が有利でも不利でもない中程度の場合は人間関係志向型のリーダーの成果が高いとした。
31
シャインは、「組織文化とリーダーシップ」を著し、組織文化を、技術や言葉など目に見えるものである人工物、価値、当然視され議論もされないものである基本的仮定の3つの層で示した。
妥当である。シャインが提示した組織文化に関する記述である。E.H.シャインは「組織文化とリーダーシップ」を著し、組織文化について「ある特定の集団が外部への適応や内部統合の問題に対処する際に学習した、集団自身によって創られ、発見され、また発展させられた基本的仮定のパターンであり、それはよく機能して有効と認められ、したがって新しい成員にそうした問題に関しての知覚、指向、感覚の正しい方法として教えこまれるもの」と定義しており、組織文化を、①人工物(文物とも)、②価値、③基本的仮定の3つの層で示した。
32
ウッドワードには、「新しい企業組織」の著書があり、英国のサウス・エセックス地域の製造業100社を調査して、技術が組織構造を規定するという命題を生み出し、大量生産には有機的組織が有効であると指摘した。
サウス・エセックス研究について、ウッドワードは、大量生産には機械的組織が有効であると指摘した。
33
ローレンスとローシュには、「組織の条件適応理論」の著書があり、組織の分化と統合のパターンと環境との関係を研究して、不確実性が高い環境に適応している組織は、分化と統合の同時極大化を図っていることを指摘した。
妥当である。ローレンスとローシュの理論に関する記述である。
34
バーンズとストーカーは、エレクトロニクス分野に進出したスコットランドの企業20社を調査し、環境に応じて組織を機械的組織と有機的組織に分類して、技術革新の激しい環境では官僚的な機械的組織が有効であるとした。
バーンズとストーカーは、技術革新の激しい環境では、有機的組織が有効であるとした。
35
コンティンジェンシー理論では、あらゆる環境に対して唯一最善な組織は存在しないという立場をとり、環境条件が異なる場合には有効な組織も異なると考えた。また、組織の有効性は、技術や市場などの環境条件との適合性に依存するという条件性を明確にした。
妥当である。コンティンジェンシー理論は、組織構造の普遍性を追求してきた伝統的な組織構造論と違い、組織がおかれている諸条件が異なれば有効な組織構造も異なるとした。
36
マトリックス組織には、機能部門の専門性を高めて規模の経済性を実現しやすいことや複数の命令系統によって意見調整の迅速化が図られ意思決定が速まるというメリットがあるが、環境変化に対応しにくいというデメリットもある。
マトリックス組織のメリットは、環境の変化への柔軟な対応が可能なこと、専門家と総合管理者の同時育成が可能なことなどが挙げられるが、意思決定が速まることはない。また、デメリットは、管理者の責任の所在があいまいなこと、権力関係や情報の流れが複雑になることなどが挙げられる。さらに、事業部制組織は、マトリックス組織のデメリットを解消するために考案されたものではない。
37
企業組織を製品別又は地域別に編成し、開発、生産、営業などの諸機能を各部門に設ける形態を機能別組織と呼ぶ。この形態を採る会社では、機能ごとに業務の専門化が進むため、機能間の調整が容易になる一方で、部門ごとの成果が明確になるため、各部門長は短期的な成果を追求しがちになり、当該部門全体を続括する経営的視点を持った人材の育成が困難になる。
企業組織を製品別又は地域別に編成し、開発、生産、営業などの諸機能を各部門に設ける形態は、事業部制組織である。機能別組織とは、開発、生産、営業などの機能を担当するさまざまな部門を基礎とした組織であり、この形態を採る会社は、機能ごとに業務の専門化が進むため、部門間の利害が対立するようになるデメリットがある。 また、全体を統括する経営的視点を持った人材の育成が困難になるのは、機能別組織のデメリットであり、各部門長が短期的な成果を追求しがちになるのは、事業部制組織のデメリットである。
38
フランスの専門経営者であった」.H.ファヨールは、経営における管理的職能を五つの構成要素(予測、組織、命令、調整、統制)に区分して、その重要性を説いた。ファヨールの理論は、その後、米国で管理過程論として普及し、また、管理的職能の諸要素が順番に繰り返されるとするPDCAサイクルなどの手法の基礎となった。
妥当である。J.H.ファヨールの提示した管理的職能に関する記述である。
39
R.K.マートンは官僚制の逆機能について指摘した。これによれば、例えば、組織における行動に関する頼性が強調されると、組織メンバーが規則を遵守することで行動を硬直化させ、顧客の個別ニーズに対応できなくなり、顧客とのトラブルが増加する。その結果、更に頼性を強調する必要が出てきて、一層規則守が徹底されるようになる
妥当である。R.K.マートンは、M.ウェーバーの提示した官僚制組織について、その短所である官僚制の逆機能を指摘した。
40
第二次世界大戦後の日本企業の経営慣行は日本的経営と呼ばれ、その特徴である終身雇用、年功賃金、産業別労働組合は「三種の神器」と呼ばれた。1960年代までは、こうした特徴が我が国の経済成長の主要因であるとして海外から高く評価されたが、1970年代に入ると、P.F.ドラッカーらによって、日本的経営は前近代的であると批判されるようになった。
日本的経営における「三種の神器」は、終身雇用、年功賃金、企業別労働組合である。産業別労働組合は、欧米では同一産業に属する労働者が企業の枠を超えて組織する労働組合だが (よって、個人単位の加入が多い)、日本における産業別労働組合は、同一産業に属する企業の企業別労働組合による連合体である場合が多い。 また、日本的経営の評価について、当初は前近代的であると批判されていたが、日本の高度経済成長に伴い、1970年代以降、その主要因として高く評価されるようになった。しかし、バブル崩壊により、その評価が下がることとなった。
41
1940年代までのリーダーシップの初期研究では、リーダーの行動と業績の関係に研究の重点が置かれていたが、1950年代に入ると状況好意性とリーダーシップ・スタイルの関係が研究対象になり、R.リッカートは、人間関係志向のリーダーシップ・スタイルがどのような状況でも有効であるとするコンティンジェンシー理論を提唱した。
1940年代までのリーダーシップの初期研究では、リーダーシップの源泉をリーダー個人の資質としていたが(いわゆる特性説)、1950年代に入るとリーダーの行動と業績の関係に研究の重点が置かれるようになった。ミシガン研究をおこなったR.リッカートは、その代表的な研究者である。1960年代に登場したリーダーシップのコンティンジェンシー理論は、その集団の置かれた状況によって有効なリーダーシップ・スタイルが変わるとする考えで、F.E.フィードラーや、P。ハーシーとK。H.ブランチャードが代表的な研究者である。
42
マトリックス組織は、機能ごとに全社共有の部門とするか、事業部内に配置するかを判断して組織編成が行われており、ライン・アンド・スタッフ組織とも呼ばれる。また、マトリックス組織は、個々の組織メンバーについて、命令系統一化の原則に反して二人以上の上司が存在することになることから、連結ピン組織の一形態である。
マトリックス組織は、組織構造における複数の次元(たとえば、職能や事業部)をマトリックス状に組み合わせ、命令系統一化の原則に反して二人以上の上司が存在する組織形態であり、ライン・アンド・スタッフ組織とは異なる。また、連結ビン組織の一形態でもない。
43
E.H. シャインは、組織文化を「文物」「標榜されている価値観」「基本的仮定」「国や地域における慣習」という四つのレベルに分けた。これらのうち「国や地域における慣習」は、組織メンバーにとって当たり前の念や認識であり容易に変えられないため、組織文化の変革に際して組織のリーダーは、自社の戦略や目標である「基本的仮定」を変更しなければならないとした。
E.H.シャインは、組織文化を「文物」「標榜されている価値観」「基本的仮定」という三つのレベルに分けており、これらのレベルに「国や地域における慣習」は含まれない。
44
アンゾフは、製品市場戦略のうち、企業が現有製品を新しい顧客層や海外市場などの新規市場に投入して、売上高を拡大していく戦略を多角化戦略とした。
アンゾフは、企業が現有製品を新しい顧客層や海外市場などの新規市場に投入して、売上高を拡大していく戦略を、市場開拓戦略とした。
45
アンゾフは、製品市場戦略のうち、企業が既存市場に対して新製品を投入し、あるいは現有製品を改良して、売上高や市場占有率を拡大する戦略を製品開発戦略とした。
妥当である。製品開発戦略に関する記述である。
46
アンゾフは、アメリカの大企業における多角化戦略と事業部制組織に関する歴史を分析し、経営戦略の違いによって組織構造は変わっていくという現象から「組織は戦略に従う」という命題を提唱した。
「組織(構造)は戦略に従う」という命題を提唱したのは、チャンドラーである。アンゾフはむしろ「戦略は組織(構造)に従う」と提唱した。
47
アンゾフは、企業が新分野に進出したときに、新製品・市場が既存の製品・市場と結合することで、単純な加算以上にもたらされる相乗効果を「成長ベクトル」とよんだ。
企業が新分野に進出したときに、新製品・市場が既存の製品・市場と結合することで、単純な加算以上にもたらされる相乗効果は、「成長ベクトル」ではなく「シナジー」である。「成長ベクトル」とは、製品と市場を基準に企業の成長の方向を示したもので、アンゾフは、市場浸透戦略、製品開発戦略、市場開発戦略、多角化戦略の四つに分類した。
48
アンゾフは、企業の意思決定を、管理的意思決定、戦略的意思決定、業務的意思決定の3つに分類し、その中でも、管理的意思決定が最上位の階層によって行われるとした。
アンゾフは、企業の意思決定を、トップ・マネジメントがおこなう戦略的意思決定、ミドル・マネジメントがおこなう管理的意思決定、ロワー・マネジメントがおこなう業務的意思決定の3つに分類し、その中でも、戦略的意思決定が最上位の階層によっておこなわれるとした。
49
アンゾフは、製品・市場戦略において、企業が新規市場に対して新規製品を投入することで、成長を図ることをめざす戦略を製品開発戦略とした。
企業が新規市場に対して新規製品を投入することで、成長を図ることをめざす戦略は、多角化戦略である。製品開発戦略は、企業が既存市場に対して新規製品を投入することで、売上の拡大をめざす戦略である。
50
ポーターの競争戦略に関してファイブ・フォース分析とは、企業が創出して提供する付加価値が、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスという5つの企業内の活動のどの活動から生み出されているかを分析することをいう。
本肢は、バリューチェーンに関する記述である。ファイブ・フォース分析とは、業界の収益性を決める5つの要因から、産業構造を分析する手法であり、5つの要因とは、①新規参入企業の脅威、②代替製品の脅威、③買い手の交渉力、④売り手の交渉力、⑤競争者間の敵対関係の程度のことである。
51
ポーターの競争戦略に関して競争の基本戦略とは、競争相手に対して優位を築くための戦略であり、競争優位性と戦略ターゲットという2つの観点から、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略の3つの戦略に分けられる。
妥当である。ポーターの示した3つの競争戦略に関する記述である。なお、コスト・リーダーシップ戦略と集中戦略、差別化戦略と集中戦略は組み合わせることができるが、コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略を組み合わせると、長期的には業績が下がってしまうといわれている(スタック・イン・ザ・ミドル)。
52
ポーターの競争戦略に関して新規参入業者の脅威とは、その業界の生産している製品に対する代替製品出現の可能性が高いかどうかということであり、自社の製品よりも魅力的な代替製品が出現すると、業界全体の需要が減り、競争環境が厳しくなることをいう。
本肢は、ファイブ・フォースのうちの代替製品の威に関する記述である。新規参入業者の脅威とは、その業界に新規企業が参入する可能性が高いかどうかということであり、新規参入業者が出現すると、「パイの奪い合い」が起こり、競争環境が厳しくなることをいう。
53
ポーターの競争戦略に関して集中戦略とは、市場を細分化して、特定のセグメントに対して経営資源を集中し、差別化戦略を実現していく戦略であるが、コスト・リーダーシップ戦略を実現していく戦略ではない。
集中戦略は、差別化戦略ともコスト・リーダーシップ戦略とも組み合わせて志向することが可能である。
54
ハメルは、プラハラッドとともにコア・コンピタンスの概念を、顧客に対して、他社では真似できない自社ならではの価値を提供する企業の中核的能力とし、その重要性を提唱した。
安当である。ハメルとプラハラッドは、他社ではまねできない自社ならではの価値を提供する企業の中核的能力を「コア・コンピタンス」とよび、その重要性を提唱した。
55
「企業戦略論」を著したチャンドラーは、新規市場に新製品を投入する戦略を多角化戦略としたが、この戦略は、既存の市場や製品を利用できないため、シナジー効果が低く、リスクが高くなるとした。
本肢は、アンゾフに関する記述であるが、記述に誤りがある。アンゾフは、多角化戦略を、シナジー効果が低く、リスクが高くなる、とは指摘していない。チャンドラーは、「組織構造は戦略にしたがう」という命題を提唱した。
56
PPMとは、複数の事業を営む企業が経営資源を最適に配分するため、市場成長率と相対的市場シェアという軸によって、花形、金のなる木、問題児、負け犬の4つに事業を分類し、企業戦略を明らかにする考え方である。
妥当である。PPMに関する記述である。
57
ボストン・コンサルティング・グループが開発したSWOT分析とは、自社の内部環境における機会と脅威、自社を取り巻く外部環境における強みと弱みを検討し、戦略を策定する手法である。
ボストン・コンサルティング・グループが開発したのは、PPMである。SWOT分析を開発したものについては諸説あるため、ここでは断定的な解説はしない。また、SWOT分析とは、自社の内部環境における強み(Strength)と弱み(Weakness)、自社を取り巻く外部環境における機会(Opportunity)と脅威(Threat)を被討し、厳略を策定する方法である。
58
M.E.ポーターは、業界の競争状態を規定する要因として、新規参入の威、業者間の敵対関係、代替製品・サービスの脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力の五つをあげた。このうち、業者間の敵対関係については、例えば、同等規模の競合企業が多い、業界の成長が遅い、固定費の割合が高い、といった状況によって激しさを増すとした。
妥当である。M.E.ポーターのファイブ・フォースに関する記述である。
59
PPM (プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは、絶対的経営資源と相対的マーケットシェアの二つの指標を用いて複数の事業に対する資源配分を決定する手法である。四つの分類のうち、「問題児」とは、絶対的経営資源が少なく、かつ、相対的マーケット・シェアが低いものをさし、撤退するしか選択肢がない事業のことである。
PPMとは、市場成長率と相対的マーケットシェアの二つの指標を用いて資源配分を決定する手法である。市場成長率が低く、かつ、相対的マーケットシェアが低いものは「問題児」でなく「負け犬」である。
60
A.D. チャンドラーは、事業部制という組織構造に移行したデュポンとGM(ゼネラル・モーターズ)の組織変更の歴史を詳しく分析した。デュポンは組織を集権化することによって、GMは管理を分権化することによって事業部制に移行しており、その研究をもとにチャンドラーは「戦略は組織構造に従う」という命題を主張した。
A.D.チャンドラーは、アメリカの大企業であるデュポン社、GM社、スタンダード石油社、シアーズ・ローバッグ社の組織変更の歴史を分析し、その研究をもとに「組織構造は戦略に従う」という命題を主張した。なお、「戦略は組織構造に従う」と述べたのは、I.アンゾフである。
61
P.コトラーは、市場におけるシェアの大小に応じて企業の競争地位をリーダー、フォロワー、ニッチャーの三つに類型化した。このうち、ニッチャーは、リーダーのシェアを上回ることを目標とするもので、リーダーの成功した戦略を模倣し、同一の用途の製品について高価格から低価格までを取りそろえるフルライン政策を採用しながらも、製品開発その他のコストを極力抑える戦略をとることが戦略の基本であるとした。
P.コトラーは、市場におけるシェアの大小に応じて企業の競争地位をリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの四つに類型化した。ニッチャーは、競合している製品市場全体ではなく、一部の特定市場内(すき間、ニッチ)でミニ・リーダーシップを発揮しようとする企業のことである。
62
VRIOフレームワークでは、企業が保有する資源が経済的価値の源泉となり、その資源が市場で豊富であり、模倣が容易であり、その資源を活用できるような組織体制が整っているという条件が全て満たされていると、その資源に基づいた競争優位は持続的に業界標準を上回る収益ポテンシャルが期待できる。
VRIOフレームワークとは、J.B.バーニーが、企業が保有する資源(経営資源)が適切に活用されているかを確認するために提示した分析ツールである。「Value(価値)」、「Rarity (稀少性)」、「Imitability(模倣困難性)」、「Organization(組織)」の4つを順に分析していくもので、企業が保有する資源が経済的価値の源泉となり、その資源が市場に豊富ではなく、模倣が困難であり、その資源を活用できるような組織体制が整っているという条件が全て満たされていると、その資源に基づいた競争優位は持続的に業界標準を上回る収益ポテンシャルが期待できることになる。
63
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)における分析によると、「花形」、「金のなる木」、「問題児」、「負け犬」の中で最も投資効率が高いのは、相対市場シェアと市場成長率のいずれも高い「金のなる木」であり、「問題児」の事業を全て「金のなる木」へ育成することが望ましいとされる。
PPMにおいて、相対市場シェアと市場成長率のいずれも高いのは「花形」である。なお、「問題児」の事業すべてを「金のなる木」に育成する必要はなく、成長の見込みが薄い事業については、「負け犬」にしてしまうことも必要となる。
64
プロダクトライフサイクルとは、製品が生き物のように市場の中で育ち、成熟し、衰退していく過程であり、その成長段階は、導入期、成長期、成熟期、衰退期に分けられる。成熟期には、需要は一気に拡大し、大規模生産によって利益は急速に大きくなる。また、経験曲線の効果はこの時期に最大になる。
プロダクトライフサイクルにおいて、需要が一気に拡大するのは成熟期ではなく成長期である。
65
PPM (プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)における分析では、市場成長率と相対市場シェアの両者が共に低い事業は「問題児」に分類される。一般的な戦略として、この事業は収益があがらない場合であっても、シェアの拡大のために事業への継続的な投資を行うことが望ましいとされる。
PPMにおける分析では、市場成長率と相対市場シェアの両者が共に低い事業は「負け犬」に分類される。負け犬に分類された事業は、ときには市場からの撤退も考えることになる。「問題児」は、市場成長率は高いが相対市場シェアが低い事業である。
66
ライバル企業に対してコスト面で優位な立場にあることを実現する要因の一つとして規模の経済がある。これは、複数の製品・サービスを複数の企業で個別に生産・販売する場合よりも、特定の一社で取りまとめて生産・販売する場合の方が総費用は小さくなるということである。
複数の製品・サービスを複数の企業で個別に生産・販売する場合よりも、特定の一社で取りまとめて生産・販売する場合の方が総費用が小さくなるのは、規模の経済ではなく、範囲の経済である。 規模の経済とは、特定の時点において、事業規模が拡大すると、それにしたがって単位当たりのコスト(固定費)が減少していくことである。
67
累積生産量が増加するにつれて製品の単位当たり総コストが減少することを経験(曲線)効果という。これを追求する戦略を採ることにより、市場ニーズの構造的変化や技術革新が発生したとしても、過去の経験をいかすことで柔軟に対応することができるようになる。
市場ニーズの構造的変化や技術革新が発生したとき、過去の経験をいかすことで柔軟に対応することは難しい場合が多い。
68
M.E.ポーターは、企業間における戦略と業績の差異に注目し、企業の内的要因を分析することで自社の採るべき戦略を分析する、ファイブ・フォース分析を構築した。それによると、新規参入の脅威、顧客の交渉力、代替品の成、技術革新の脅威、業者間の敵対関係の五つが競争要因として挙げられる。
M.E.ポーターは、企業を取り巻く外的要因を分析することで自社のとるべき戦略を分析する、ファイブ・フォース分析を構築した。それによると、新規参入の脅威、顧客の交渉力、代替品の脅威、業者間の敵対関係、サプライヤー(売り手の交渉力の五つを競争要因として挙げており、技術革新の脅威は挙げられていない。
69
コア・コンピタンスとは、顧客に対して、他社には模倣困難な自社独自の価値を提供する、企業の中核的な力を意味する。しかし、ひとたびコア・コンピタンスを定め、これに固執した場合は、企業の成長の方向性を一方向に制約し、環境の変化に弱くなるおそれがある。
妥当である。コア・コンビタンスに関する記述である。コア・コンピタンスは、G.ハメルとC.K.プラハラードが提唱した。
70
A.D.チャンドラーは、「経営者の時代』において、19世紀以降のフランス経済について調査・分析した結果、大企業の組織構造の複雑化と経営の多様化が進むにつれて、大企業の経営管理による「見える手」よりも市場の「見えざる手」による調整機能の方が、重要な役割を果たすようになったと指摘した。
A.D.チャンドラーは、「経営者の時代』において、19世紀以降のアメリカ経済について調査・分析した結果、大企業の組織構造と経営の多様化が進むにつれて、市場の「見えざる手」よりも大企業の経営管理による「見える手」の方が、重要な役割を果たすようになったと指摘した。 なお、「経営者の時代」の原題は、「The Visible Hand -The Managerial Revolution in American Business-』である。
71
コスト・リーダーシップ戦略とは、消費者が他の製品に切り替える際のコストを高めることで、優位性を保つ戦略である。一方、差別化戦略とは、ブランド・イメージ、デザイン、アフターサービスなどで業界内の特異な地位を築くことを目指す戦略である。M.E.ポーターは、両戦略は同時に追求することが重要であり、一方のみでは効果を発揮できないと指摘した。
コスト・リーダーシップ戦略とは、業界内で競争企業よりも低いコスト構造を達成することにより、優位性を確保する戦略である。M.E.ポーターは、コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略を同時に追求すると、長期的には業績が悪化してしまうスタック・イン・ザ・ミドルに陥ってしまうことを指摘した。
72
M.E.ポーターは、市場において優位なポジションを築くためには、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、情報戦略及び集中戦略の四つの戦略が重要であると主張した。なお、集中戦略は、特定顧客に他の顧客とは異なる特別な価値を提供することに集中する差別化集中戦略と、高いコストをかけ高付加価値を提供するコスト集中戦略に分類することができる。
M.E.ポーターは、市場において優位なポジションを築くためには、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略の三つの戦略が重要であると主張した。また、2文目後半のコスト集中戦略とは、特定のセグメントに対して、低価格で商品・サービスを提供する戦略であ る。
73
R.P.ルメルトの主張した成長ベクトルとは、成長戦略を導き出すための分析手法であり、既存の製品を用いて既存の市場シェアの向上を目指す市場浸透、新規の製品を用いて新しい市場に進出する市場開拓、新規の製品を既存の市場に投入する製品開発及び既存の製品を新しい市場に投入する多角化に分けることができる。
成長ベクトルを提唱したのは、H.I.アンゾフである。また、新規の製品を用いて新しい市場に進出するのは多角化、既存の製品を新しい市場に投入するのは市場開拓である。 なお、R.P.ルメルトは、本業の周辺事業や関連事業といった分野に多角化した企業の方が、未関連事業の分野に多角化した企業よりも業績が高いことを明らかにした。
74
垂直統合とは、加工・組立メーカーが原材料・部品の調達先である原材料・部品メーカーや製品の出荷先である小売・販売業者を買収するなど、売買取引関係にある他企業の業務を取り込んで、企業が事業領域を拡大することである。垂直統合を行うことにより、原材料や部品の標準化を通じて生産効率などが向上するのでコスト削減が可能となり、また技術的な機密情報やノウハウの漏洩を防止することも可能となる。
妥当である。垂直統合のうち、自社の事業領域よりも川上の方向(原材料の調達など)への統合を川上(後方)統合、自社の事業領域よりも川下の方向(製品市場、販売市場など)への統合を川下(前方)統合という。
75
差別化戦略の成功には、顧客価値の向上、規模の経済性、模倣困難性の三要素が必須であるとされている。このうち、顧客価値の向上とは、原材料や部品などの生産要素を安価に調達し、大量生産による規模の経済性を実現してコストを低下させることである。また、模倣困難性を高めるためには、複数製品間で経営資源を共有して範囲の経済性を実現し、製造工程における作業を標準化することが必須条件となる。
M.E.ポーターによれば、差別化戦略の成功には、顧客にその製品の価値を長く認めてもらうこと、価値の模倣困難性の二要素が必須であるとされている。規模の経済性は、コスト・リーダーシップ戦略に必須の要素である。
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後発の優位の源泉は大きく二つに分けられる。一つは技術的リーダーシップで、先発企業と同一の技術と生産方式を利用することができるので、後発企業は技術開発や設備への投資を節約することができる。もう一つはコストリーダーシップで、先発企業が既に市場を開拓しているため、後発企業は先発企業と同様の経験曲線効果を直ちに得られてコスト削減が可能となる。
技術的リーダーシップとは、製品技術、経験曲線、特許などにより、先発企業が優位性を獲得できるものである。また、コストリーダーシップについては、後発企業もただ乗りすることでコストを抑えることは可能だが、後発企業が先発企業と同様の経験曲線効果を「直ちに」得られるとは限らない。
77
米国のコンサルティング会社アクセンチュアが考案したプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、経験曲線という累積生産量と加工時間に関する経験則を前提とする。 この経験則では、累積生産量が倍加するごとに、製品1単位を生産するのに要する加工時間が5〜10%減する
PPMを考案したのは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)である。また、経験曲線は、累積生産量が倍加するごとにコストが20~30%減する、というものである
78
競争優位の源泉を企業の保有する資源に求めるリソース・ベースド・ビュー(RBV)は、 1970年代までの戦略論の主要な考え方であり、企業の外部組織への資源依存度が環境の不確実性と収益性を左右するというものである。しかし、1980年代半ばには、産業構造や独占などの市場特性に優位の源泉を求めるポジショニング・アプローチが登場し、現在ではVRIOと呼ばれる分析方法が戦略論の主流になっている。
RBVは1984年にB.ワーナーフェルトがはじめて使用した用語といわれ、企業が保有する内部資源に着目する理論であり、J.B.バーニーがその代表である。また、ポジショニング・アプローチも1980年代半ばに登場したもので、M.E.ポーターがその代表である。VRIOは、バーニーが考案した、RBVで利用される分析方法である。
79
企業の成長の方向性を、組織の意思決定プロセスの議論を基礎とした考え方で分析する手法が、H.I.アンゾフの成長ベクトルである。企業の成長の方向性を市場と製品の2軸で分類すると、市場浸透、市場開発、製品開発、多角化の四つの代替案をとり得ることになる。企業は各代替案の実現可能性やリスクを検討し、成長の方向性を選択、決定する。
妥当である。H.I.アンゾフの成長ベクトルに関する記述である。
80
コスト・リーダーシップ戦略の成功には、規模の経済性、顧客価値の向上、模倣困難な差異性が必要であるとされる。このうち、模倣困難な差異性とは、原材料や部品などを安価に調達し大量生産を実現することで、顧客の便益が相対的に向上することに加え、できる限り早<市場に参入して、有利な立地や特許を取得することで先発の優位を生じさせることである。
顧客価値の向上、模倣困難な差異性は、差別化戦略の成功で必要なものとされている。また、模倣困難な差異性とは、他者には簡単には真似できないような経営資源やその活用の仕方のことである。
81
後発の優位とは、後発企業が他社よりも遅い時期に投資を行うことで得られる正の超過利潤のことである。後発の優位が生じるのは、先発企業が開拓した市場にただ乗りできる場合や、市場や技術の不確実性が低下している場合などであり、前者の場合においては、後発企業は、市場の開拓に必要な宜伝費用やインフラ整備費用を抑制できる。
妥当である。後発の優位に関する記述である。
82
バリューチェーンとは、製品企画・開発、原材料の調達、生産、在庫、輸送、受発注業務など一連の供給連鎖プロセスのことである。また、自社の製品を市場に供給するバリューチェーンに沿って他企業を取り込んで事業活動領域を拡大することを水平結合といい、市場シェアの拡大を目指して自社と同様の事業活動を営む競合他社を吸収合併することを垂直統合という。
バリューチェーンとは、M.E.ポーターが提唱したもので、製品が消費者に届くまでの一連の企業活動を、企業が生み出す価値の構造として体系化したものである。バリューチェーンは、価値創造活動とマージン(利益)からなり、価値創造活動はさらに、サービス提供の過程に直接的に関与する主活動と、サービス提供の過程に直接的に関与しないが主活動をサポートする支援活動に分かれる。 製品企画・開発、原材料の調達、生産、在庫、輸送、受発注業務など一連の供給連鎖プロセスはサプライチェーンである。 また、サプライチェーンに沿って他企業を取り込んで事業活動領域を拡大するのは垂直統合、市場シェアの拡大を目指して自社と同様の事業活動を営む競合他社を吸収合併するのは水平結合である。
83
製品ライフサイクルの導入期における代表的な戦略は、低価格化を追求する浸透価格戦略と利益最大化を追求する利益志向価格戦略である。しかし、競合他社との競争において、この二つの価格戦略を同時に追求しようとすると、中途半端な業績に陥るとされており、こうした状態をスタック・イン・ザ・ミドルと呼ぶ。
製品ライフサイクルの導入期における代表的戦略は、浸透価格戦略と上澄み吸収価格戦略である。導入期は、商品の認知度が低いために売上がそれほど上がらない一方で、商品の知名度を上げるためコストが多くかかることから、利益志向価格戦略が採られることはない。 また、スタック・イン・ザ・ミドルとは、コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略を同時に追求しようとすると、中途半端な業績に陥ることであり、M.E.ポーターが提唱した。
84
M.E.ポーターが提示したバリュー・チェーン(価値連鎖)は、事業活動の中から付加価値を生み出す個別活動を識別するための分析枠組みであり、同一業界の企業は同様の価値連鎖を有するとされる。バリュー・チェーンを構成する諸活動は、全般管理、人事労務管理、研究開発などの主活動と、購買物流、製造、販売・マーケティングなどの支援活動とに区別される。
M.E.ポーターが提示したバリュー・チェーンについて、同一業界の企業が同様の価値連鎖を有するとは限らない。 また、バリュー・チェーンを構成する諸活動は、購買物流、製造、販売・マーケティング、出荷物流、サービスなどの主活動と、全般管理、人事労務管理、研究開発、調達などの支援活動に区別される。
85
競争優位の源泉を、企業の保有する資源ではなく活動に着目して分析するための手法がVRIOフレームワークである。企業はこの手法を用いて、自社の活動のうちで、経済価値(Value)を生み出すような、稀少性(Rarity)は高いが模倣可能性(Imitability)は低い活動を特定し、その活動が収益をあげられるような機会(Opportunity)を識別することができる。
J.B.バーニーが提示したVRIOフレームワークは、企業の保有する資源に着目して分析するための手法である。2文目について、0については、機会(Opportunity)ではなく、組織(Organization) である。
86
H.I.アンゾフは、企業の成長を拡大化と多角化に分類し、さらに拡大化について、現在の製品・市場でのシェア拡大である「市場浸透」、新たな製品の開発である「製品開発」及び新たな市場に進出する「市場開拓」に分類した。また、多角化は、製品と市場についてどちらも新しいものに進出することであり、コングロマリット的多角化など幾つかのタイプのものがあるとした。
妥当である。H.I.アンゾフの提唱した成長ベクトルおよび多角化に関する記述である。
87
米国企業の多角化戦略を分類したR.P.ルメルトは、非関連事業の分野に多角化した企業の方が、本業の周辺事業や関連事業といった分野に多角化した企業よりも業績が高いことを明らかにした。彼は、その要因として、経営者の事業の概念における見方や経営資源の割当て方であるドミナント・デザインを挙げた。
R.P.ルメルトは、本業の周辺事業や関連事業といった分野に多角化した企業の方が、非関連事業の分野に多角化した企業よりも業績が高いことを明らかにした。また、経営者の事業の概念における見方や経営資源の割当て方はドミナント・ロジック(支配的論理)とよばれ、C.K.プラハラードとR.A.ベティスが提唱した。なお、ドミナント・デザインとは、多くのユーザーの要求を満たす標準的・支配的なデザインのことである。
88
M.E.ポーターは、競争戦略の基本型について、戦略ターゲットと戦略的優位の二つの基準を用いて類型化した。このうち、戦略ターゲットが業界全体に及ぶ場合は、コスト・リーダーシップ戦略のみが適合的であるとした。また、業界内の特定の市場セグメントのみをターゲットとする場合は、顧客が知覚するユニークさに優位性があれば、集中戦略ではなく差別化戦略が適合的であるとした。
M.E.ポーターが提示した競争戦略の基本型について、戦略ターゲットが業界全体におよぶ場合は、コスト・リーダーシップ戦略か差別化戦略が適合的であり、業界内の特定の市場セグメントのみをターゲットとする場合は、集中戦略が適合的である。
89
業界標準の獲得競争では、自社規格の製品を他社に先駆けて発売し、後発規格の製品よりも先にクリティカル・マスに到達することがその成否を分けるとされる。一定の普及率であるクリティカル・マスに先に到達することができれば、ネットワーク外部性が働く製品では、その働きによりデファクト・スタンダードの獲得が可能となる。
妥当である。クリティカル・マスとは、業界標準の獲得競争に勝利できるだけの普及数のことであり、クリティカル・マスを先に獲得できた企業が、規格間競争の勝者となれる。
90
市場の成長の鈍化や縮小が起こる製品ライフサイクルの成熟期では、競合他社は複数存在するため、それまでに獲得した市場シェアを防衛することや、商品力の強化及び差別化を推進して自社製品に対するブランドの評価をより高めることが重点課題となる。
妥当である。製品ライフサイクルの成熟期に関する記述である。
91
ポジショニング・アプローチの観点からJ.B.バーニーが提唱したVRIOフレームワークは、企業に競争優位をもたらす資源の特徴として、①購入価格が高いこと、②稀少であること、③他社による模倣が困難であること、④事業機会に恵まれていること、という四つの条件を挙げた。
J.B.バーニーは、企業の保有する資源に着目したリソース・ベースド・ビューの観点から、VRIOフレームワークを提唱した。VRIOフレームワークは、企業に競争優位をもたらす資源の特徴として、①経済価値を生み出すこと(Value)、②稀少であること(Rarity)、③他社による模倣が困難であること(Imitability)、④これらの資源を活用できる組織であること(Organization)、という四つの条件を挙げた。 ポジショニング・アプローチは、企業を取り巻く外部環境に着目しており、M.E.ポーターらが代表的な論者である。
92
ボストン・コンサルティング・グループが開発したPPMとは、経験効果と製品ライフサイクル仮説の二つの経験則を基礎とした分析ツールである。これは、例えば、相対的市場シェアが低く、市場成長率は高い「問題児」に属する事業には、その事業が有望か香かを分析するという課題を課すなど、各事業の状況に応じて異なる課題・役割を課すことで、多角化事業を管理しようとするものである。
妥当である。PPMに関する記述である。
93
J.B.バーニーは、企業の競争優位の源泉を人的資源や生産設備などの経営資源に求める RBV (Resource Based View)の戦略論をえた。この戦略の点として、特許などの知財が考慮されていないことが挙げられ、これを補うものとして、C.K. プラハラッドとG.ハメルは、VRIOフレームワークを提唱した。
RBVでは知財も考慮されており、また、VRIOフレームワークを提唱したのは、R.B.バーニーである。 なお、C.K.プラハラードとG.ハメルは、コア・コンピタンスを提示した。
94
A.D.チャンドラーは、企業の戦略について、長期の基本目標を定めた上で、その目標を実現するために行動を起こしたり経営資源を配分したりすることと定義した。また、新しい戦略が採用されると、それを遂行するために組織構造が変化するとし、「構造は戦略に従う」という命題を導いた。
妥当である。A.D.チャンドラーに関する記述である。
95
スイッチング・コストとは、ある製品のユーザーが別の製品に買い替えるときに発生するコストであり、前者の製品を製造する企業にとって、一般的にこのコストは低いほど望ましいとされる。また、自社製品に対して他社が魅力的な新製品を発売したとき、自社が他社の新製品と同等の新製品を発売することを早期に告知することは、既存ユーザーのスイッチング・コストを低くする戦略である。
スイッチング・コストが低い場合、顧客が他社製品に乗り換えやすくなるため、製品を製造する企業にとって、一般的にこのコストは高いほど望ましいとされる。また、2文目の記述について、自社が他社の魅力的な新製品と同等の新製品を発売することを早期に告知することは、既存ユーザーのスイッチング・コストを低くすることを防ぐ効果が期待できる。
96
H.ミンツバーグは、コア・コンピタンスという概念を提唱し、これを他社に対する競争優位の源泉となる、企業に蓄積された技術や知識の集合と定義した。また、C.K.プラハラッドらは、日本の企業は欧米の企業と比較して、コア・コンピタンスの蓄積や活用という点で劣っていると指摘した。
コア・コンピタンスという概念を提唱したのは、G.ハメルとC.K.プラハラッドである。 また、二人は、日本の企業は欧米の企業と比較して、コア・コンビタンスの蓄積や活用という点で勝っていると指摘した。なお、H.ミンツバーグは、創発的戦略などを提唱した。
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