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民法level1その2
44問 • 1年前
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    問題一覧

  • 1

    代理人が保佐開始の審判を受けた場合、法定代理と任意代理のいずれにおいても、代理権は消滅する。

    代理人が死亡又は破産手続開始の決定もしくは後見開始の審判を受けた場合、代理権は消滅する(民法111条)。つまり、後見開始の審判と異なり、代理人が保佐開始(民法11条)や補助開始の幸町(民法5条1項)を受けた場合は、特に代理権は消滅しない。したがって、「代理人が保佐開始の審判を受けた場合~、代理権は減する」とするのは誤りである

  • 2

    Aが、BにA所有の土地の売却に関する代理権を与えたところ、Bは、売却代金を自己の借金の弁済に充てるつもりで、その土地をCに売却した。この場合、BはAに土地売買の効果を帰属させる意思があることから、Bの代理行為は常に有効となる。

    代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす(民法107条)。つまり、Bの代理行為は無効となり得る。したがって、「Bの代理行為は常に有効となる」の部分が誤りである。

  • 3

    無権代理行為を本人が追認した場合、別段の意思表示がなければ、その効力は契約の時に遡って生ずる。この本人の追認は、無権代理人と無権代理の相手方のいずれに対して行ってもよいが、無権代理人に対して行った追認は、追認の事実を知らない相手方に対抗することができない。

    妥当である。追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる(民法116条)。また、追認は、相手方のある単独行為であるので、無権代理行為の相手方または無権代理人のどちらに対して行ってもよいと解される。ただし、無権代理人に対して追認した場合、相手方が追認の事実を知ったときでなければ、相手方に対抗することができない(民法113条2項)。

  • 4

    代理人が本人のためにすることを示さずに意思表示をした場合、相手方において、代理人が本人のためにすることを知らず、かつ、知らなかったことについて過失がなかったときは、代理人と相手方との間にその意思表示の法律効果が発生し、代理人は、表示と内心の意思との不一致を理由とする錯誤の主張をすることもできない。

    正しい。民法100条に「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定されている。代理人が錯誤主張をすることを許せば、この規定の趣旨が失われる。

  • 5

    代理権授与の表示による表見代理が成立するためには、代理行為の相手方が、無権代理人が代理権を有すると信じ、かつ、そのようにじたことについて無過失であったことを、その相手方において主張立証しなければならない。

    誤り。代理権授与表示者が相手方の悪意または有過失の立証責任を負う。相手方が自己の善意無過失を立証するのではない。

  • 6

    Aは、Bを代理してB所有の自動車をCに譲渡したが、この売買契約の際、CはAを欺した。この場合、詐欺を理由として意思表示を取り消すことができるのはAであって、Bは取り消すことはできない。

    誤り。民法99条1項は「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」と規定する。この規定から、本人は代理人による法律行為から生ずる権利の帰属主体となるので、相手方によって代理人が期待された場合に生じる取消権も本人に帰属する。よって、詐欺を理由として取り消すことができるのは本人Bであり、代理人であるAは取り消すことができないため、取り消すことができるのはAであって「Bは取り消すことができない」としている点が誤りである。

  • 7

    本人Aの無権代理人Bと契約を締結した相手方Cが、Bに対して履行請求をした場合、この請求に対するBの「表見代理が成立し、契約の効果はAに帰属するから、自分は履行の責任を負わない」との主張は認められない。

    正しい。無権代理人が民法117条1項の責任を免れるために表見代理の成立を主張出来るかが論点の一つとなった事件において判例は、「表見代理は本来相手方保護のための制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがって、右の場合、無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当」と判示している。よって、無権代理人Bは、表見代理が成立することを理由に「自分は履行の責任を負わない」と主張することはできず、本肢は判例と合致する。

  • 8

    代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずるが、任意代理人は、行為能力者でなければならず、制限行為能力者である任意代理人のなした代理行為を、制限行為能力の理由で取り消すことができる。

    制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない(民法102条)。すなわち、代理人は制限行為能力者であってもよく、この場合でも代理行為は有効に本人に効果帰属する。そのため、制限行為能力者であることを理由とする代理行為の取消しはできない。したがって、本肢の「制限行為能力の理由で取り消すことができる」という点が誤りである。

  • 9

    特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。

    妥当である。代理行為の瑕疵は「代理人について決する」のが原則である(民法101条1項)。 しかし、本肢のような場合、本人は代理人をコントロールすることができたとして、例外的に、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができないとされている(民法101条3項)。

  • 10

    民法第761条は、夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき方を代理する権限を有することをも規定していると解すべきであるから、夫婦の一方が当該代理権の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合は、当該代理権を基礎として、一般的に権限外の行為の表見代理が認められる。

    判例は、「夫婦の一方が民法761条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に民法110条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきである」としている。したがって、本肢の「一般的に権限外の行為の表見代理が認められる」の部分が誤りである。なお、前半は止しい。

  • 11

    無権代理人が、本人所有の不動産を相手方に売り渡す契約を締結し、その後、本人から当該不動産を譲り受けて所有権を取得した場合において、相手方が、無権代理人に対し、民法第117条による履行を求めたときは、売買契約が無権代理人と相手方との間に成立したと同様の効果を生じる。

    妥当である。判例は本肢のように判示している(最判昭41年4月26日)。

  • 12

    民法第117条による無権代理人の責任は、法律が特別に認めた無過失責任であり、同条第1項が無権代理人に重い責任を負わせた一方、同条第2項は相手方が保護に値しないときは無権代理人の免責を認めた趣旨であることに照らすと、無権代理人の免責要件である相手方の過失については、重大な過失に限定されるべきものではない。

    妥当である。判例は本肢のように判示している。なお、この判例では、「単に過失と規定している場合には、その明文に反してこれを重大な過失と解釈することは、そのように解すべき特段の合理的な理由がある場合を除き、許されない」ことを前提として述べている。

  • 13

    無権代理人Aは、Bの代理人であるとして、Cから自動車を購入した。その後、Aが死亡し、B及びDがAを相続した。この場合、Bは、無権代理人の地位を相続しているが、本人の地位も有しているため、Cに対し、追認を拒絶することができ、また、民法第117条の無権代理人の責任を負うこともない。

    誤り。本人Bが無権代理人Aを相続しているので、本人が無権代理人を相続するパターンである。判例は、本人が無権代理人を相続した場合、相続人たる本人が無権代理行為を追認拒絶しても何ら信義則に反しないから、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではないとしている。よってBがCに対し追認拒絶できる点は正しい。しかし、Bには本人の資格と同時に無権代理人の資格も併存するため(資格併存説)、Cが民法117条の無権代理人の責任追及をしてきた場合には、Aはその責任を負うことになる。したがって、本記述の「民法117条の無権代理人の責任を負うこともない」の部分が誤りである。

  • 14

    Aは、妻であるBに無断で、自己の借金の返済のためにB所有の自宅建物をCに売却した。Cが、AとBが夫婦であることから、AにB所有の自宅建物の売却について代理権が存在すると信じて、取引をした場合には、民法第110条の趣旨を類推適用して、CはB所有の自宅建物の所有権を取得する。

    誤り。夫婦については民法761条により、日常の家事に関する夫婦相互の代理権が認められるが、一方で民法は夫婦別産制も採用しているため、その日常家事代理権を基礎として110条の表見代理の成立を肯定することは、夫婦の財産的独立を損なうおそれがあり相当でないとされる。よって判例は、夫婦の一方が無権代理行為をする場合、行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護を図れば足りるものと解するのが相当であるとしている。ポイントは「日常家事に属すると信じる」場合に「類推適用する」ことである。したがって、本記述の「代理権が存在すると信じて」の部分が誤りである。

  • 15

    Aは、B社から、高級時計の仕入れの代理権を与えられていたが、仕入れた高級時計を転売して代金を着服しようと考え、B社の代理人として、時計メーカーCから高級時計を購入し、これを転売して代金を着服した。この場合、Aは代理権を濫用しているといえるから、Cが、Aの代金着服の意図を知り、又は知ることができた場合には、Cは、B社に高級時計の代金を請求することができない。

    正しい。本肢は代理権の濫用の問題である。相手方CがAの意図を知り、または知ることができた場合には、民法107条により、Aの行為は無権代理行為となるから、本人たるB社に権利義務は帰属せず、CはB社に代金を請求することはできない。

  • 16

    Aが自己の所有する不動産を5,000万円で売却する旨の代理権をBに付与したところ、Bは、Aのためにすることを示さないでCに当該不動産を代金5,000万円で売却する契約を締結した。この場合において、BがAのために当該不動産を売却したことをCが過失なくして知らなかったときは、当該契約の効果はBに帰属し、BとCの間で当該不動産の売買契約が成立する。

    妥当である。民法100条は、「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」とする。本記述では、Bは、Aのためにすることを示さないでCに当該不動産を売却する契約を締結しているため、BとCの間で当該不動産の売買契約が成立する。

  • 17

    A会社から代理権を与えられたBは、当該代理権を濫用し、取引相手のCから物品を仕入れ、それを横流しして自己の利益とした。この場合において、CがBの目的を知り、又はCがBの目的を知ることができたときは、Aは、Bの行為につき責任を免れる。

    妥当である。民法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する。よって、Cが悪意または有過失のときは、無権代理となり、AはBの行為につき責任を免れる。

  • 18

    Aの父親Bは、Aの代理人と詐称し、知人がCに負っている金銭債務について、Aに無断でAを保証人とする保証契約を締結した。その後、Bが死亡して、Aが兄DとともにBを相続した。この場合において、Bが民法第117条による無権代理人としての債務をCに負っていたときは、Aは、Dとともに当該債務をBから承継し、本人としてBの無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったことを理由に当該債務を免れることはできない。

    妥当である。無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担している場合、本人は相続により無権代理人の右債務を承継するのであり、本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったからといって右債務を免れることはできない。

  • 19

    無効な法律行為は、追認によっても、その効力を生じないため、当事者がその法律行為の無効であることを知って追認をしたときにおいても、新たな法律行為をしたものとみなすことが一切できない。

    無効な法律行為ははじめから法律効果が生じていないものであるから、追認しても何ら効果は発生しないのが原則である(民法119条本文)。しかし、「当事者が無効の行為であることを知って」追認をした場合は、「新たな法律行為をしたものとみな」される(同条但書)。したがって、「一切できない」という点が誤りである。

  • 20

    行為能力の制限によって取り消すことができる法律行為は、制限行為能力者の承継人が取り消すことができるが、この承継人には相続人は含まれるが、契約上の地位を承継した者は含まれない。

    前半は正しい(民法120条1項)。この承継人には、相続人だけでなく契約上の地位を承継した者も含まれるとするのが通説である。したがって、「契約上の地位を承継した者は含まれない」という点が誤りである。

  • 21

    行為能力の制限によって取り消された法律行為は、初めから無効であったものとみなすので、取消しによる不当利得が生じても、制限行為能力者は現在利益の返還義務を負うことはない。

    前半は正しい(民法121条)。しかし、取消しによる不当利得が生じた場合、制限行為能力者は、「現に利益を受けている限度」で返還義務を負う(民法121条の2第3項)。したがって、「返還義務を負うことはない」という点が誤りである。

  • 22

    取り消すことができる法律行為の追認について、法定代理人が追認をする場合には、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、効力を生じない。

    法定代理人または制限行為能力者の保佐人・補助人はいつでも追認をなしうる(民法124条2項1号)。したがって、「取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ」という点が誤りである。

  • 23

    取り消すことができる法律行為について、取消しの原因となっていた状況が消滅した後に、取消権者が履行の請求をした場合には、異議をとどめたときを除き、追認をしたものとみなす。

    妥当である(民法125条2号)。法定追認の一つである。

  • 24

    抵当不動産の第三取得者は、その抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。

    抵当不動産の第三取得者は、消滅時効の援用ができる。抵当権の実行により、所有する不動産を失う可能性があり、権利の消滅について正当な利益を有するからである(民法145条かっこ書)。したがって、本肢は誤りである。

  • 25

    債務者が消滅時効の完成後に債権者に対して債務を承認した場合において、その後さらに消滅時効の期間が経過したときは、債務者は、その完成した消滅時効を援用することができる。

    妥当である。消滅時効完成後に債務を承認した場合には、信義則上時効の援用ができないが、その後さらに消滅時効の期間が経過したときは、債務者は援用できる。

  • 26

    所有権は消滅時効にかからないから、所有権に基づく物権的請求権も同様に消滅時効にかからない。

    妥当である。所有権は消滅時効にかからない(民法166条2項)。このことから、所有権に基づく物権的請求権も消滅時効にかからない。

  • 27

    不確定期限の定めのある債権の消滅時効は、常に債権者が期限の到来を知った時から進行する。

    不確定期限の定めのある債権の消滅時効は、債権者が期限到来を知り権利行使可能なことを知った時から5年、または期限到来時から10年である(民法166条1項)。したがって、「常に」の部分が誤りである。

  • 28

    被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ、取得時効を援用することができる。

    最も適当である。被相続人が長期間占有し取得時効が完成した後、被相続人が死亡した場合において、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎない。

  • 29

    他人の物を占有することが取得時効の要件であるので、自己の所有物については、取得時効は成立しない。

    自己の物の時効取得が認められた判例がある(最判昭42年7月21日)。

  • 30

    取得時効を主張する者は、占有を開始した以後の任意の時点を時効の起算点として選択することができる。

    時効の起算点を任意に選択することはできない(最判平15年10月31日等)。

  • 31

    所有権以外の財産権についても時効取得は可能であるが、財産権のうち債権に関しては、特定の債務者に対して一定の行為を要求しうるにすぎないので、時効取得することはない。

    債権全般について時効取得が可能であるかは、学説上手われているが、賃借権(債権)の時効取得を認めた判例がある。したがって適当とはいえない。

  • 32

    動産については、即時取得が所有権の原始取得の制度として特別に設けられているので、動産の所有権を時効取得することはない。

    動産も時効取得しうる(民法163条)。

  • 33

    後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権について、その消滅時効を援用することができる。

    後順位抵当権者は先順位抵当権者の被担保権の消時効を援用することはできない。

  • 34

    金銭債権の債権者は、債務者が無資力のときは、他の債権者が当該債務者に対して有する債権について、その消滅時効を債権者代位権に基づいて援用することができる

    適当である。金銭債権の債権者は、債務者が他の債権者に対して負担する債務の消滅時効の援用権を債権者代位権の対象とできる。

  • 35

    連帯保証人は、主たる債務者が時効の利益を放棄した場合でも、主債務の消滅時効を援用することができる。

    適当である。時効利益の放棄は相対効であり、連帯保証人は主たる債務者が時効の利益を放棄しても、独自に主債務の消滅時効の援用ができる。

  • 36

    所有権は時効によって消滅することがないが、所有権に基づく移転登記請求権は、時効によって消滅する。

    所有は時効によって消滅しない(民法106条21)。判例は、所有権に基づく移転登記請求権は、時効によって消滅しないとする。

  • 37

    Aは、Cが所有する甲建物の管理を委託され、甲建物に住んでいたが、15年経ったところでAが死亡した。Aの唯一の相続人であるBは、管理委託の事情を知らずに、甲建物に住み始め、さらに10年が経った。Aを相続して甲建物を占有しているBは、所有の意思を持って占有しているものと推定されるから、取得時効を争うCがA又はBの占有は所有の意思のないものであることを主張立証しなければならない。

    誤り。取得時効の成立要件として、所有の意思をもった占有(自主古有)が必要とされる(民法162条)が、AはC所有の甲建物につき管理を委託されていたのであり、所有の意思をもって占有していたとはいえない(他主占有)。ただ、相続によって他主占有が新権原により自主占有に転換することがあると最高裁は判示しており、相続人Bの占有が自主占有となりうる。このような場合に自己の占有が自主占有であることの主張立証について判例は、「取得時効の成立を争う相手方ではなく、占有者である当該相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を自ら証明すべきものと解するのが相当」と判示している。よって、「取得時効を争うCが」所有の意思がないものであることを主張立証しなければならないとする点で本肢は誤りである。

  • 38

    Aは、Bから100万円を借りていたが、これを弁済しないまま、弁済期から10年が経過した。その後、BがAに対し弁済を求めたところ、利息を免除してくれれば元本を分割して弁済する旨返答した。Aが、Bに対する債務について消滅時効の完成を知らなかった場合、時効の利益を放棄したとはいえないが、Aは、信義則上、消滅時効を援用することができない。

    正しい。BがAに対し有している100万円の金銭債権は弁済期から10年が経過しているため、時効が完成している(民法166条)。その後、時効の完成を知らないAはBから弁済を求められ、弁済する旨を約しており債務の承認をしたといえる。この点につき、消滅時効完成後に債務の承認をした場合にこの承認は時効完成を知ってしたものと推定することとできるか等が争われた事件において最高裁は、債務について時効の完成したことを知りながら承認をした場合に、債務について時効の利益を放棄したと推定することは経験則に反する推定である旨を判示している。よって、時効の利益を放棄したとはいえないとする点で本肢は判例に合致する。そして、同判例では消滅時効完成後に債務承認を行った場合に時効援用ができるかについて、「時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから、その後においては償務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当である」と判示している。よって、務者Aは借義則上消滅時効を援用することができないとする点も判例に合致する。

  • 39

    Cは、AのBに対する債務を担保するため、自己の所有する甲土地に抵当権を設定した。 Aの債務の弁済期から8年経ったところで、AはBに対し、支払期限を猶予してほしいと願い出たが、弁済のないまま、弁済期から10年が経過した。CはAの債務の消滅時効を援用することができる。

    誤り。本間では弁済期から8年経ったところで債務者Aは債権者Bに対して支払期限を猶子してほしいと願い出たことは債務の承認(民法152条)にあたるため、時効の更新が生じている。この更新の効力が物上保証人に及ぶかについて争われた事件において最高裁は、「物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されない」と判示している。よって、物上保証人Cが債務者Aの債務の消滅時効を援用することが「できる」とする点で本肢は誤りである。

  • 40

    所有権に基づく物権的請求権は、所有権から派生する権利であり、所有権と別に物権的請求権のみが消滅時効にかかることはないが、確定日付ある証書による通知又は承諾を対抗要件として、所有権から独立して物権的請求権のみを譲渡することはできる。

    誤り。確定日付ある証書による通知又は承諾を対抗要件として、所有権から独立して物権的請求権のみを譲渡することはできない。したがって、「所有権から独立して物権的請求権のみを譲渡することはできる」の部分が誤りである。

  • 41

    建物の賃貸借契約が終了したとき、建物の所有者である賃貸人は、賃借人に対し、賃貸借契約の終了に基づいて建物の返還を求めることはできるが、所有権に基づいて建物の返還を請求することはできない。

    正しい。所有権者が物権的返還請求権を行使する場合、占有者は自己に権原があることを主張・立証しなければならない。

  • 42

    Aが、B所有の甲土地上に権原なくて建物を建て、乙建物をCに売り渡し、Cが自らの意思に基づいて所有権移転登記を経由した場合、たとえCがDに対して建物を譲渡したとしても、Cが引き続きて建物の登記名義を保有する限り、CはBに対し、乙建物の所有権の喪失を主張してて建物を収去して甲土地を明け渡す義務を免れることはできない。

    正しい。判例は、原則として土地所有者は建物収去・土地明渡しを、建物譲受人を相手方として請求すべきだが、登記名義人たる建物譲渡人が自らの意思に基づいて登記を経由していた場合には、その建物を他人に譲渡しても登記名義を保有する限り、建物譲渡人に対しても請求できるとした。

  • 43

    Aは、自己の所有する土地をBに譲渡したが、所有権移転登記が未了である場合、Bは、同土地上に権原なく自動車を置いているCに対し、所有権に基づく物権的請求権を行使することができない。

    権限なく占有(自動車を置いている)しているものに対し対抗要件を持ち出す必要なし。したがって所有権がある以上、登記が未了でも物権的請求権(妨害排除請求)の行使は可能。

  • 44

    Aは、Bの所有する土地上に無断で建物を建築したが、AC間の合意により当該建物の所有権保存登記は所有権者ではないCの名義でなされていた場合、Cは、Bに対し、当該建物の収去義務を負わない。

    適当である。建物の所有権を有しないCは、たとえ、建物所有者Aとの合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者Bの所有権に基づく請求に対し、建物収義務を負うものではない。

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    問題一覧

  • 1

    代理人が保佐開始の審判を受けた場合、法定代理と任意代理のいずれにおいても、代理権は消滅する。

    代理人が死亡又は破産手続開始の決定もしくは後見開始の審判を受けた場合、代理権は消滅する(民法111条)。つまり、後見開始の審判と異なり、代理人が保佐開始(民法11条)や補助開始の幸町(民法5条1項)を受けた場合は、特に代理権は消滅しない。したがって、「代理人が保佐開始の審判を受けた場合~、代理権は減する」とするのは誤りである

  • 2

    Aが、BにA所有の土地の売却に関する代理権を与えたところ、Bは、売却代金を自己の借金の弁済に充てるつもりで、その土地をCに売却した。この場合、BはAに土地売買の効果を帰属させる意思があることから、Bの代理行為は常に有効となる。

    代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす(民法107条)。つまり、Bの代理行為は無効となり得る。したがって、「Bの代理行為は常に有効となる」の部分が誤りである。

  • 3

    無権代理行為を本人が追認した場合、別段の意思表示がなければ、その効力は契約の時に遡って生ずる。この本人の追認は、無権代理人と無権代理の相手方のいずれに対して行ってもよいが、無権代理人に対して行った追認は、追認の事実を知らない相手方に対抗することができない。

    妥当である。追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる(民法116条)。また、追認は、相手方のある単独行為であるので、無権代理行為の相手方または無権代理人のどちらに対して行ってもよいと解される。ただし、無権代理人に対して追認した場合、相手方が追認の事実を知ったときでなければ、相手方に対抗することができない(民法113条2項)。

  • 4

    代理人が本人のためにすることを示さずに意思表示をした場合、相手方において、代理人が本人のためにすることを知らず、かつ、知らなかったことについて過失がなかったときは、代理人と相手方との間にその意思表示の法律効果が発生し、代理人は、表示と内心の意思との不一致を理由とする錯誤の主張をすることもできない。

    正しい。民法100条に「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定されている。代理人が錯誤主張をすることを許せば、この規定の趣旨が失われる。

  • 5

    代理権授与の表示による表見代理が成立するためには、代理行為の相手方が、無権代理人が代理権を有すると信じ、かつ、そのようにじたことについて無過失であったことを、その相手方において主張立証しなければならない。

    誤り。代理権授与表示者が相手方の悪意または有過失の立証責任を負う。相手方が自己の善意無過失を立証するのではない。

  • 6

    Aは、Bを代理してB所有の自動車をCに譲渡したが、この売買契約の際、CはAを欺した。この場合、詐欺を理由として意思表示を取り消すことができるのはAであって、Bは取り消すことはできない。

    誤り。民法99条1項は「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」と規定する。この規定から、本人は代理人による法律行為から生ずる権利の帰属主体となるので、相手方によって代理人が期待された場合に生じる取消権も本人に帰属する。よって、詐欺を理由として取り消すことができるのは本人Bであり、代理人であるAは取り消すことができないため、取り消すことができるのはAであって「Bは取り消すことができない」としている点が誤りである。

  • 7

    本人Aの無権代理人Bと契約を締結した相手方Cが、Bに対して履行請求をした場合、この請求に対するBの「表見代理が成立し、契約の効果はAに帰属するから、自分は履行の責任を負わない」との主張は認められない。

    正しい。無権代理人が民法117条1項の責任を免れるために表見代理の成立を主張出来るかが論点の一つとなった事件において判例は、「表見代理は本来相手方保護のための制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがって、右の場合、無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当」と判示している。よって、無権代理人Bは、表見代理が成立することを理由に「自分は履行の責任を負わない」と主張することはできず、本肢は判例と合致する。

  • 8

    代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずるが、任意代理人は、行為能力者でなければならず、制限行為能力者である任意代理人のなした代理行為を、制限行為能力の理由で取り消すことができる。

    制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない(民法102条)。すなわち、代理人は制限行為能力者であってもよく、この場合でも代理行為は有効に本人に効果帰属する。そのため、制限行為能力者であることを理由とする代理行為の取消しはできない。したがって、本肢の「制限行為能力の理由で取り消すことができる」という点が誤りである。

  • 9

    特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。

    妥当である。代理行為の瑕疵は「代理人について決する」のが原則である(民法101条1項)。 しかし、本肢のような場合、本人は代理人をコントロールすることができたとして、例外的に、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができないとされている(民法101条3項)。

  • 10

    民法第761条は、夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき方を代理する権限を有することをも規定していると解すべきであるから、夫婦の一方が当該代理権の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合は、当該代理権を基礎として、一般的に権限外の行為の表見代理が認められる。

    判例は、「夫婦の一方が民法761条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に民法110条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきである」としている。したがって、本肢の「一般的に権限外の行為の表見代理が認められる」の部分が誤りである。なお、前半は止しい。

  • 11

    無権代理人が、本人所有の不動産を相手方に売り渡す契約を締結し、その後、本人から当該不動産を譲り受けて所有権を取得した場合において、相手方が、無権代理人に対し、民法第117条による履行を求めたときは、売買契約が無権代理人と相手方との間に成立したと同様の効果を生じる。

    妥当である。判例は本肢のように判示している(最判昭41年4月26日)。

  • 12

    民法第117条による無権代理人の責任は、法律が特別に認めた無過失責任であり、同条第1項が無権代理人に重い責任を負わせた一方、同条第2項は相手方が保護に値しないときは無権代理人の免責を認めた趣旨であることに照らすと、無権代理人の免責要件である相手方の過失については、重大な過失に限定されるべきものではない。

    妥当である。判例は本肢のように判示している。なお、この判例では、「単に過失と規定している場合には、その明文に反してこれを重大な過失と解釈することは、そのように解すべき特段の合理的な理由がある場合を除き、許されない」ことを前提として述べている。

  • 13

    無権代理人Aは、Bの代理人であるとして、Cから自動車を購入した。その後、Aが死亡し、B及びDがAを相続した。この場合、Bは、無権代理人の地位を相続しているが、本人の地位も有しているため、Cに対し、追認を拒絶することができ、また、民法第117条の無権代理人の責任を負うこともない。

    誤り。本人Bが無権代理人Aを相続しているので、本人が無権代理人を相続するパターンである。判例は、本人が無権代理人を相続した場合、相続人たる本人が無権代理行為を追認拒絶しても何ら信義則に反しないから、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではないとしている。よってBがCに対し追認拒絶できる点は正しい。しかし、Bには本人の資格と同時に無権代理人の資格も併存するため(資格併存説)、Cが民法117条の無権代理人の責任追及をしてきた場合には、Aはその責任を負うことになる。したがって、本記述の「民法117条の無権代理人の責任を負うこともない」の部分が誤りである。

  • 14

    Aは、妻であるBに無断で、自己の借金の返済のためにB所有の自宅建物をCに売却した。Cが、AとBが夫婦であることから、AにB所有の自宅建物の売却について代理権が存在すると信じて、取引をした場合には、民法第110条の趣旨を類推適用して、CはB所有の自宅建物の所有権を取得する。

    誤り。夫婦については民法761条により、日常の家事に関する夫婦相互の代理権が認められるが、一方で民法は夫婦別産制も採用しているため、その日常家事代理権を基礎として110条の表見代理の成立を肯定することは、夫婦の財産的独立を損なうおそれがあり相当でないとされる。よって判例は、夫婦の一方が無権代理行為をする場合、行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護を図れば足りるものと解するのが相当であるとしている。ポイントは「日常家事に属すると信じる」場合に「類推適用する」ことである。したがって、本記述の「代理権が存在すると信じて」の部分が誤りである。

  • 15

    Aは、B社から、高級時計の仕入れの代理権を与えられていたが、仕入れた高級時計を転売して代金を着服しようと考え、B社の代理人として、時計メーカーCから高級時計を購入し、これを転売して代金を着服した。この場合、Aは代理権を濫用しているといえるから、Cが、Aの代金着服の意図を知り、又は知ることができた場合には、Cは、B社に高級時計の代金を請求することができない。

    正しい。本肢は代理権の濫用の問題である。相手方CがAの意図を知り、または知ることができた場合には、民法107条により、Aの行為は無権代理行為となるから、本人たるB社に権利義務は帰属せず、CはB社に代金を請求することはできない。

  • 16

    Aが自己の所有する不動産を5,000万円で売却する旨の代理権をBに付与したところ、Bは、Aのためにすることを示さないでCに当該不動産を代金5,000万円で売却する契約を締結した。この場合において、BがAのために当該不動産を売却したことをCが過失なくして知らなかったときは、当該契約の効果はBに帰属し、BとCの間で当該不動産の売買契約が成立する。

    妥当である。民法100条は、「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」とする。本記述では、Bは、Aのためにすることを示さないでCに当該不動産を売却する契約を締結しているため、BとCの間で当該不動産の売買契約が成立する。

  • 17

    A会社から代理権を与えられたBは、当該代理権を濫用し、取引相手のCから物品を仕入れ、それを横流しして自己の利益とした。この場合において、CがBの目的を知り、又はCがBの目的を知ることができたときは、Aは、Bの行為につき責任を免れる。

    妥当である。民法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する。よって、Cが悪意または有過失のときは、無権代理となり、AはBの行為につき責任を免れる。

  • 18

    Aの父親Bは、Aの代理人と詐称し、知人がCに負っている金銭債務について、Aに無断でAを保証人とする保証契約を締結した。その後、Bが死亡して、Aが兄DとともにBを相続した。この場合において、Bが民法第117条による無権代理人としての債務をCに負っていたときは、Aは、Dとともに当該債務をBから承継し、本人としてBの無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったことを理由に当該債務を免れることはできない。

    妥当である。無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担している場合、本人は相続により無権代理人の右債務を承継するのであり、本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったからといって右債務を免れることはできない。

  • 19

    無効な法律行為は、追認によっても、その効力を生じないため、当事者がその法律行為の無効であることを知って追認をしたときにおいても、新たな法律行為をしたものとみなすことが一切できない。

    無効な法律行為ははじめから法律効果が生じていないものであるから、追認しても何ら効果は発生しないのが原則である(民法119条本文)。しかし、「当事者が無効の行為であることを知って」追認をした場合は、「新たな法律行為をしたものとみな」される(同条但書)。したがって、「一切できない」という点が誤りである。

  • 20

    行為能力の制限によって取り消すことができる法律行為は、制限行為能力者の承継人が取り消すことができるが、この承継人には相続人は含まれるが、契約上の地位を承継した者は含まれない。

    前半は正しい(民法120条1項)。この承継人には、相続人だけでなく契約上の地位を承継した者も含まれるとするのが通説である。したがって、「契約上の地位を承継した者は含まれない」という点が誤りである。

  • 21

    行為能力の制限によって取り消された法律行為は、初めから無効であったものとみなすので、取消しによる不当利得が生じても、制限行為能力者は現在利益の返還義務を負うことはない。

    前半は正しい(民法121条)。しかし、取消しによる不当利得が生じた場合、制限行為能力者は、「現に利益を受けている限度」で返還義務を負う(民法121条の2第3項)。したがって、「返還義務を負うことはない」という点が誤りである。

  • 22

    取り消すことができる法律行為の追認について、法定代理人が追認をする場合には、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、効力を生じない。

    法定代理人または制限行為能力者の保佐人・補助人はいつでも追認をなしうる(民法124条2項1号)。したがって、「取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ」という点が誤りである。

  • 23

    取り消すことができる法律行為について、取消しの原因となっていた状況が消滅した後に、取消権者が履行の請求をした場合には、異議をとどめたときを除き、追認をしたものとみなす。

    妥当である(民法125条2号)。法定追認の一つである。

  • 24

    抵当不動産の第三取得者は、その抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。

    抵当不動産の第三取得者は、消滅時効の援用ができる。抵当権の実行により、所有する不動産を失う可能性があり、権利の消滅について正当な利益を有するからである(民法145条かっこ書)。したがって、本肢は誤りである。

  • 25

    債務者が消滅時効の完成後に債権者に対して債務を承認した場合において、その後さらに消滅時効の期間が経過したときは、債務者は、その完成した消滅時効を援用することができる。

    妥当である。消滅時効完成後に債務を承認した場合には、信義則上時効の援用ができないが、その後さらに消滅時効の期間が経過したときは、債務者は援用できる。

  • 26

    所有権は消滅時効にかからないから、所有権に基づく物権的請求権も同様に消滅時効にかからない。

    妥当である。所有権は消滅時効にかからない(民法166条2項)。このことから、所有権に基づく物権的請求権も消滅時効にかからない。

  • 27

    不確定期限の定めのある債権の消滅時効は、常に債権者が期限の到来を知った時から進行する。

    不確定期限の定めのある債権の消滅時効は、債権者が期限到来を知り権利行使可能なことを知った時から5年、または期限到来時から10年である(民法166条1項)。したがって、「常に」の部分が誤りである。

  • 28

    被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ、取得時効を援用することができる。

    最も適当である。被相続人が長期間占有し取得時効が完成した後、被相続人が死亡した場合において、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎない。

  • 29

    他人の物を占有することが取得時効の要件であるので、自己の所有物については、取得時効は成立しない。

    自己の物の時効取得が認められた判例がある(最判昭42年7月21日)。

  • 30

    取得時効を主張する者は、占有を開始した以後の任意の時点を時効の起算点として選択することができる。

    時効の起算点を任意に選択することはできない(最判平15年10月31日等)。

  • 31

    所有権以外の財産権についても時効取得は可能であるが、財産権のうち債権に関しては、特定の債務者に対して一定の行為を要求しうるにすぎないので、時効取得することはない。

    債権全般について時効取得が可能であるかは、学説上手われているが、賃借権(債権)の時効取得を認めた判例がある。したがって適当とはいえない。

  • 32

    動産については、即時取得が所有権の原始取得の制度として特別に設けられているので、動産の所有権を時効取得することはない。

    動産も時効取得しうる(民法163条)。

  • 33

    後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権について、その消滅時効を援用することができる。

    後順位抵当権者は先順位抵当権者の被担保権の消時効を援用することはできない。

  • 34

    金銭債権の債権者は、債務者が無資力のときは、他の債権者が当該債務者に対して有する債権について、その消滅時効を債権者代位権に基づいて援用することができる

    適当である。金銭債権の債権者は、債務者が他の債権者に対して負担する債務の消滅時効の援用権を債権者代位権の対象とできる。

  • 35

    連帯保証人は、主たる債務者が時効の利益を放棄した場合でも、主債務の消滅時効を援用することができる。

    適当である。時効利益の放棄は相対効であり、連帯保証人は主たる債務者が時効の利益を放棄しても、独自に主債務の消滅時効の援用ができる。

  • 36

    所有権は時効によって消滅することがないが、所有権に基づく移転登記請求権は、時効によって消滅する。

    所有は時効によって消滅しない(民法106条21)。判例は、所有権に基づく移転登記請求権は、時効によって消滅しないとする。

  • 37

    Aは、Cが所有する甲建物の管理を委託され、甲建物に住んでいたが、15年経ったところでAが死亡した。Aの唯一の相続人であるBは、管理委託の事情を知らずに、甲建物に住み始め、さらに10年が経った。Aを相続して甲建物を占有しているBは、所有の意思を持って占有しているものと推定されるから、取得時効を争うCがA又はBの占有は所有の意思のないものであることを主張立証しなければならない。

    誤り。取得時効の成立要件として、所有の意思をもった占有(自主古有)が必要とされる(民法162条)が、AはC所有の甲建物につき管理を委託されていたのであり、所有の意思をもって占有していたとはいえない(他主占有)。ただ、相続によって他主占有が新権原により自主占有に転換することがあると最高裁は判示しており、相続人Bの占有が自主占有となりうる。このような場合に自己の占有が自主占有であることの主張立証について判例は、「取得時効の成立を争う相手方ではなく、占有者である当該相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を自ら証明すべきものと解するのが相当」と判示している。よって、「取得時効を争うCが」所有の意思がないものであることを主張立証しなければならないとする点で本肢は誤りである。

  • 38

    Aは、Bから100万円を借りていたが、これを弁済しないまま、弁済期から10年が経過した。その後、BがAに対し弁済を求めたところ、利息を免除してくれれば元本を分割して弁済する旨返答した。Aが、Bに対する債務について消滅時効の完成を知らなかった場合、時効の利益を放棄したとはいえないが、Aは、信義則上、消滅時効を援用することができない。

    正しい。BがAに対し有している100万円の金銭債権は弁済期から10年が経過しているため、時効が完成している(民法166条)。その後、時効の完成を知らないAはBから弁済を求められ、弁済する旨を約しており債務の承認をしたといえる。この点につき、消滅時効完成後に債務の承認をした場合にこの承認は時効完成を知ってしたものと推定することとできるか等が争われた事件において最高裁は、債務について時効の完成したことを知りながら承認をした場合に、債務について時効の利益を放棄したと推定することは経験則に反する推定である旨を判示している。よって、時効の利益を放棄したとはいえないとする点で本肢は判例に合致する。そして、同判例では消滅時効完成後に債務承認を行った場合に時効援用ができるかについて、「時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから、その後においては償務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当である」と判示している。よって、務者Aは借義則上消滅時効を援用することができないとする点も判例に合致する。

  • 39

    Cは、AのBに対する債務を担保するため、自己の所有する甲土地に抵当権を設定した。 Aの債務の弁済期から8年経ったところで、AはBに対し、支払期限を猶予してほしいと願い出たが、弁済のないまま、弁済期から10年が経過した。CはAの債務の消滅時効を援用することができる。

    誤り。本間では弁済期から8年経ったところで債務者Aは債権者Bに対して支払期限を猶子してほしいと願い出たことは債務の承認(民法152条)にあたるため、時効の更新が生じている。この更新の効力が物上保証人に及ぶかについて争われた事件において最高裁は、「物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されない」と判示している。よって、物上保証人Cが債務者Aの債務の消滅時効を援用することが「できる」とする点で本肢は誤りである。

  • 40

    所有権に基づく物権的請求権は、所有権から派生する権利であり、所有権と別に物権的請求権のみが消滅時効にかかることはないが、確定日付ある証書による通知又は承諾を対抗要件として、所有権から独立して物権的請求権のみを譲渡することはできる。

    誤り。確定日付ある証書による通知又は承諾を対抗要件として、所有権から独立して物権的請求権のみを譲渡することはできない。したがって、「所有権から独立して物権的請求権のみを譲渡することはできる」の部分が誤りである。

  • 41

    建物の賃貸借契約が終了したとき、建物の所有者である賃貸人は、賃借人に対し、賃貸借契約の終了に基づいて建物の返還を求めることはできるが、所有権に基づいて建物の返還を請求することはできない。

    正しい。所有権者が物権的返還請求権を行使する場合、占有者は自己に権原があることを主張・立証しなければならない。

  • 42

    Aが、B所有の甲土地上に権原なくて建物を建て、乙建物をCに売り渡し、Cが自らの意思に基づいて所有権移転登記を経由した場合、たとえCがDに対して建物を譲渡したとしても、Cが引き続きて建物の登記名義を保有する限り、CはBに対し、乙建物の所有権の喪失を主張してて建物を収去して甲土地を明け渡す義務を免れることはできない。

    正しい。判例は、原則として土地所有者は建物収去・土地明渡しを、建物譲受人を相手方として請求すべきだが、登記名義人たる建物譲渡人が自らの意思に基づいて登記を経由していた場合には、その建物を他人に譲渡しても登記名義を保有する限り、建物譲渡人に対しても請求できるとした。

  • 43

    Aは、自己の所有する土地をBに譲渡したが、所有権移転登記が未了である場合、Bは、同土地上に権原なく自動車を置いているCに対し、所有権に基づく物権的請求権を行使することができない。

    権限なく占有(自動車を置いている)しているものに対し対抗要件を持ち出す必要なし。したがって所有権がある以上、登記が未了でも物権的請求権(妨害排除請求)の行使は可能。

  • 44

    Aは、Bの所有する土地上に無断で建物を建築したが、AC間の合意により当該建物の所有権保存登記は所有権者ではないCの名義でなされていた場合、Cは、Bに対し、当該建物の収去義務を負わない。

    適当である。建物の所有権を有しないCは、たとえ、建物所有者Aとの合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者Bの所有権に基づく請求に対し、建物収義務を負うものではない。