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1
行政手法は、行政指導に携わる者は、その相手方に対し、書面で当該行政指導の趣旨、内容及び責任者を明確にしなければならない旨を定めており、口頭で行政指導を行うことは認められない。
確かに本記述にある通り、行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない(行政手続法35条1項)。しかしこれを書面ですることは義務付けられていない。したがって、「書面で」という部分が誤りである。また、口頭で行政指導を行うことも認めれている(行政手続法35条3項参照)。したがって、一「口頭で行政指導を行うことは認められない」という部分も誤りである。
2
行政指導は事実行為であるが、行政目的達成のための手段として用いられているのであるから、法律による行政の原理との関係から、行政指導は、一般に法律の具体的根拠に基づく必要があるとするのが判例である。
行政指導は、法的拘束力のない事実行為であり、法律の具体的根拠に基づく必要がない。 したがって、「一般に法律の具体的根拠に基づく必要があるとするのが判例である」の部分が誤りである。
3
地方公共団体の機関が行う行政指導には、行政手続法の行政指導に関する章の規定は適用されないが、同法は、地方公共団体に対し、適用除外とされた手続について、同法の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないとしている。
妥当である(行政手続法3条3項、46条)
4
租税法規に適合する課税処分については、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示し、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、その後、その表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになった場合において、その表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないときであっても、法律による行政の原理が貫かれるべきであるから、信義則の法理の適用によりその処分が違法として取り消されることはないとするのが判例である。
租税関係に信義則の適用があるかが争点となった事件において、判例では、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠性にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。」と判示されており、租税関係に信義則の法理が適用される余地が残されている。したがって、「法律による行政の原理が貫かれるべきであるから~取り消されることはない」の部分が誤りである。
5
行政指導は、法律の根拠は必要ないから、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲を逸脱せずに行い、かつ、その内容があくまでも相手方の任意の協力によって実現されるものであれば、制定法の趣旨又は目的に抵触するようなものであっても、違法とはならない。
行政手続法32条1項では、行政指導の一般原則として、「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所学事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」と規定されている。また、相手方の任意を前提とするものであるから法律の根拠は必要ないとされる。しかし、行政指導についても法の趣旨に反することはできず、法令の趣旨に反した場合は違法とされる。したがって、「制定法の趣旨又は目的に抵触するようなものであっても、違法とはならない」の部分が誤りである。
6
水道法上、給水契約の締結を義務付けられている水道事業者としての市は、既に、マンションの建設事業主が、市が定めた宅地開発指導要綱に基づく行政指導には従わない意思を明確に表明し、マンションの購入者も、入居にたり給水を現実に必要としていた場合であっても、その指導要綱を事業主に遵守させるため行政指導を継続する必要があったときには、これを理由として事業主らとの給水契約の締結を留保することが許されるとするのが判例である。
判例では、「このような時期に至ったときは、水道法上給水契約の締結を義務づけられている水道事業者としては、たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主らとの給水契約の締結を留保することは許されないというべきであるから、これを留保した被告人らの行為は、給水契約の締結を拒んだ行為に当たると判断したのは、是認することができる。」と判示されている。したがって、「許される」の部分が誤りである。
7
都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の事業計画の決定・公告は、施行地区内の土地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものではないが、その後に権利変換処分等の具体的処分を当然に予定するものであるから、当該計画の決定・公告の段階において、これを対象とした取消訴訟を認めることに合理性があるとするのが判例である。
判例は、都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の事業計画の処分性を認めているが、その理由として、「公告された再開発事業計画の決定は、施行地区内の土地の所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼす」ことを挙げている。したがって、「法的地位に直接的な影響を及ぼすものではない」の部分が誤りである。
8
都市計画法上の都市施設の区域は、当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定められるべきものであり、民有地に代えて公有地を利用することができるときは、そのことも当該合理性を判断する一つの考慮要素となり得るとするのが判例である。
妥当である。判例は旧都市計画法について、民有地の利用をできるのは公有地を利用することによって行政目的を達成することができない場合に限られると解さなければならない理由はないとしながらも、「都市施設は、~適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めなければならない」ことを理由に、「都市施設の区域は、当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定められるべきものである。この場合において、民有地に代えて公有地を利用することができるときには、そのことも上記の合理性を判断する一つの考慮要素となり得ると解すべきである」とした。
9
都市計画法上の都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否についての司法審査を行うに当たっては、当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提とするのではなく、それらの内容が社会通念に照らし著しく妥当性をくものと認められるか否かという観点から審査を行うことが相当であるとするのが判例である。
都市計画法上の都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を司法審査するにあたり判例は、「諸般の事情を総合的に考慮した上で、政策的、技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると、このような判断は、これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきであ」るとして、「当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提とし」た。したがって、「裁量権の行使としてされたことを前提とするのではなく、~相当である」の部分が誤りである。
10
平成17年の改正後の行政手続法では、行政機関が都市計画案を作成しようとする場合に、計画策定手続として、公聴会の開催等の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるべきことが定められている。
平成17年の行政手続法改正によって意見公募手続が規定されたが、意見公募手続が必要な「命令等」に行政計画は含まれていない。行政手続法39条1項、2条8号参照。
11
行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定める場合、国民の権利義務に影響を与えることから、その設定には法律の根拠が必要である。
行政庁が裁量権行使の準則を定める場合、当該準則は直接国民の権利義務に影響を与えるものではなく、行政内部において拘束力を有するにすぎないため、法律の根拠は不要である。したがって、「国民の権利義務に~法律の根拠が必要である」の部分が誤りである。
12
行政手続法上、命令等を定める機関が命令等を定めようとする場合には広く一般の意見を求めなければならないとされており、意見提出をすることができる者も当該命令等の利害関係者に限定されていない。
妥当である。命令等を定める機関が命等を定めようとする場合には、広く一般の意見を求めなければならないとされており(行政手続法39条1項)、意見提出者は当該命令等の利害関係者に限定されない。
13
行政手続法上、命等を定める機関は、命令等を定めた後においても、該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならないとされている。
妥当である。命令等を定める機関は、命令等の制定後もその実施状況や社会経済情勢の変化にあわせ、必要に応じてその内容を検討し、適正を確保するよう努めなければならないとされている(行政手統法 38条2項)。
14
法規命令は、国民の権利義務に関係する一般的な法規範であり、内閣の制定する政令や各省大臣の発する省令はこれに当たるが、各省の外に置かれる各行政委員会の制定する規則は当たらない。
行政機関が法条の形式で規能を定立すること、および、そのようにして定立された規範のことを行政立法という。そして、行政立法は法命令と行政規則に分類することができる。ここでいう法規命令とは、行政立法のうち、国会が定立した法律と同様、私人に対して拘束力を有し、国民の権利義務について定めたものをいう。具体的には、内閣が定立する政令、各省大臣が定立する省令、委員会が定立する規則等が挙げられる。したがって、「委員会の制定する規則は当たらない」の部分が誤りである。
15
法規命令のうち委任命令は、法律等の上位の法令の実施に必要な具体的で細目的な事項を定める命令であり、国民の権利や義務を創設する命令ではない。
本肢の説明は執行命令についてのものであるので、全般に誤りである。なお、委任命令は、法律の内容を補充し、国民の権利義務を新たに設定するものをいう。そして委任命令には法律による厳格な授権が要求され、概括的・包括的な白紙委任は許されず、個別具体的な委任が必要となる。
16
法規命令は、公布されること及び施行期日が到来することによってその効力を生じ、規則の形式をとることもある。
妥当である。法規命令は、外部への公示(公布)と施行期日の到来によって効力を生じる。 また、法規命令の制定形式は、政令や省令の他にも、人事院規則など規則の形式をとるものもある。
17
法規命令は、一旦、有効に成立した以上、根拠法とは独立の存在を有するので、根拠法が廃止されても、失効することは一切ない。
法規命令は、根拠法による授権を必要とするため、根拠法が廃止された場合は当然に失効することとなる。したがって、「失効することは一切ない」の部分が誤りである。
18
執行命令を制定するためには、法律の一般的な授権だけでは足りず、法律の個別的・具体的な授権が必要である。
執行命令は、国民の権利を制限しまたはこれに義務を課するものではなく、もっぱら法律の内容を具体化しその執行のために必要な細目的事項を定めるにすぎないため、一般的な授権で足りる。したがって、「法律の個別的・具体的な授権が必要」の部分が誤りである。これを必要とするのは委任命令である。
19
上級行政機関が、下級行政機関に対し、その所掌する法令の解釈の基準として通達を発し、下級行政機関が当該通達に従って行政処分を行った場合、当該処分に対する裁判所の審査は、その解釈基準に不合理な点があるかどうかについてされることになる。
判例は、本記述のような場合における行政処分の司法審査について、法律の解釈を定めた通達は、それ自体の違法性(法律のあるべき解釈との離舗)は問題とならず、直接の審査対象である処分が、通達ではなく法律に適合しているか否かを審査することになるとしている。したがって、「その解釈基準に~ことになる」の部分が誤りである。
20
国の行政機関は、不利益処分についての裁量基準である処分基準を定めようとする場合は、当該処分基準の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、広く一般の意見を求める意見公募手続を実施しなければならないが、申請に対する処分についての裁量基準である審査基準を定めようとする場合は、そのような意見公募手続を実施する必要はない。
行政手続法によって意見公募手続が必要とされている「命令等」とは、処分基準だけでなく、審査基準も含んでいる(行政手続法2条8号)。
21
行政規則の定立には原則として法律の根拠を要しないが、行政庁の裁量に任された事項についての裁量権行使の準則である裁量基準については、国民の権利義務に少なからぬ影響を与えることから、その定立には法律の根拠を要する。
行政規則は直接国民の権利・義務を制限するものではないので、法律の根拠は不要である。 裁量権行使の準則である裁量基準であっても同様である。
22
不利益処分とは、行政庁が法令に基づき特定の者を名あて人として直接にこれに義務を課し又はその権利を制限する処分をいう。申請により求められた許認可等を拒否する処分も、申請者に不利益をもたらすものであるから、行政手続法上の不利益処分に当たる。
不利益処分とは、行政庁が法令に基づき、特定の者を名宛人として、直接に、これに義務を課し、またはその権利を制限する処分である。しかし、申請の拒否処分は不利益処分に当たらない。したがって、「申請により求められた許認可等を拒否する処分も、申請者に不利益をもたらすものであるから、行政手続法上の不利益処分に当たる」の部分が誤りである。
23
行政手続法は、不利益処分の手続として聴闘と弁明の機会の付与を定めており、行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、いずれかの手続を執らなければならず、公益上緊急に不利益処分をする必要があるときを除いて、例外は認められていない。
不利益処分に該当し得るものであっても、公益上、緊急に不利益処分をする必要がある等、例外的に聴間の手続をしなくとも良い場合がある。したがって、「例外が認められていない」の部分が誤りである。
24
行政庁は、不利益処分の判断に必要な処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。また、行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らして、できる限り具体的なものとしなければならない。
妥当である。不利益処分の処分基準の設定と公表は努力義務である(行政手続法12条1項)。 これは、処分基準の設定が技術的に難しい場合があることや処分基準の公表により脱法行為を助長するおそれがあること等の理由により努力義務とされている。
25
聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰するが、手続の公正や処分内容の適正を担保するため、行政手続法は、聴聞に係る不利益処分を行う行政庁の職員は聴聞の主宰者となることができないと規定している。
行政手続法19条2項の除事由に該当しない限り、当該不利益処分に関与した担当者を主宰者として指名することも可能である。したがって、「行政手続法は、当該聴聞に係る不利益処分を行う行政庁の職員は聴聞の主宰者となることができないと規定している」の部分が誤りである。
26
行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項、当該法令の条項に規定する要件を示せば足りる。
行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等に基づく処分を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項、当該法令の条項に規定する要件の他に、当該権限の行使が要件に適合する理由を示さなければならない(行政手続法35条2項3号)。したがって、本肢の「その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項、当該法令の条項に規定する要件を示せば足りる」の部分が誤りである。
27
行政指導に携わる者は、行政指導を口頭で行った場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、必ずこれを交付しなければならない。
行政指導を口頭で行った場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、行政上支障がない限り、これを交付しなければならない。しかし、相手方に対しその場において完了する行為を求める行政指導の場合や、既に文書によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求める行政指導の場合には、行政指導を口頭で行い、その相手方から行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたとしても交付する必要はない。したがって、本肢の「必ずこれを交付しなければならない」の部分が誤りである。
28
行政庁は、許認可等を取り消す不利益処分をしようとする場合、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者がいるときは、公聴会の開催により、その者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
行政庁が許認可等を取り消す不利益処分をおこなう場合、当事者以外の者で利書関係を有する者は、聴聞の主宰者が参加を求めたとき、または参加の申し出に対し主宰者が許可したときに聴聞手続に参加することができ、参加人と呼ばれる(行政手続法17条1項)。したがって、「公聴会の開催により~努めなければならない」の部分が誤りである。
29
不利益処分の名宛人となるべき者には、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対する当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧及び複写の請求が認められており、当該請求がされた場合、行政庁は、正当な理由があるときでなければ、当該請求を拒むことはできない。
不利益処分の名宛人は、行政庁に対し、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができるが、複写の請求までは認められてない(行政手続法18条)。したがって、「複写の請求が認められており」の部分が誤りである。
30
弁明の機会の付与は、聴聞と比較してより略式の手続であり、弁明の機会の付与を行う場合、行政庁は、不利益処分の名宛人となるべき者に対して、当該不利益処分の原因となる事実まで通知する必要はない。また、弁明は、原則として書面で行われる。
弁明の機会の付与を行う場合、行政庁は予定される不利益処分の内容および根拠となる法の条項、不利益処分の原因となる事実、弁明書の提出先及び提出期限を書面により提出しなければならない(行政手続法30条)。したがって、「当該不利益処分の原因となる事実まで通知する必要はない」の部分が誤りである。
31
行政庁は、申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を設定し、これを公にするよう努めなければならない。
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(標準処理期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは公にしておかなければならない(行政手続法6条)。すなわち、標準処理期間の設定は努力義務だが、設定した場合の公表は義務である。したがって、「これを公にするよう努めなければならない」の部分が誤りである。
32
処分の理由の提示は、処分の根拠規定を示すことが必要であるが、いかなる事実関係につきどの条項が適用されたのかを申請者が知り得るような理由の提示までは必要とされないとするのが判例である。
判例は、一般旅券発給拒否処分の理由付記について、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否処分がなされたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは不十分であると判示している。これは、処分庁に慎重な判断を求めるとともに、拒否処分の相手方の手訟提起に便宜を図る趣旨である。したがって、本肢は全体的に誤りである。
33
行政庁は、申請者の求めがあったときは、その申請に係る審査の進行状況及びその申請に対する処分の時期の見通しを書面で示さなければならない。
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況および当該申請に対する処分時期の見通しを示すよう努めなければならない(行政手続法9条1項)。すなわち、情報提供は努力義務であり、申請者の求めに応じて書面で応答すべき義務はない。したがって、本肢は全体的に誤りである。
34
行政指導に携わる者は、常に申請の取下げを求める行政指導をしてはならず、また、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
行政手続法33条は、「申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては~」と定めており、このような行政指導が行われることを法は想定している。したがって、本肢の「常に申請の取下げを求める行政指導をしてはならず」の部分が誤りである。なお、本肢の後段は 32条2項の内容に合致しており、正しい。
35
行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨を示さなければならないが、当該権限を行便し得る根拠となる法令の条項を示す必要はない。
行政手続法35条2項1号は、かかる行政指導を行う際に相手方に示さなければならない事項として、「当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項」を挙げている。したがって、本版の「当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項を示す必要はない」の部分が誤りである。なお、「当該行政指導の趣旨を示さなければならないが」の部分は、行政手続法35条1項の内容に合致しており、正しい。
36
行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、地方公共団体の機関が行う行政指導については、行政手続法の規定を適用するが、国の機関又は地方公共団体に対する行政指導については、行政手続法の規定を適用しない。
地方公共団体の機関が行う行政指導については、行政手続法の適用除外とされている(行政手続法3条3項)。したがって、本肢の「地方公共団体の機関が行う~行政手続法の規定を適用するが」の部分が誤りである。なお、本肢の後段は行政手続法4条1項の内容に合致しており、正しい。
37
行政庁は、許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、弁明の機会を付与しなければならず、弁明は、弁明を記載した書面を提出してするものとする。
「許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき」は、「聴聞」の手続きを執らなければならない(行政手続法13条1項1号イ)。したがって、本肢の「弁明の機会を付与~提出してするものとする」の部分が誤りである。
38
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、処分後相当の期間内に、当該不利益処分の理由を示さなければならないが、不利益処分を書面でするときであっても、その理由は口頭によることができる。
不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、処分と「同時に」その理由を示さなければならないので(行政手続法14条1項本文)、「処分後相当の期間内に」の部分が誤りである。 また、不利益処分を書面でするときは、その理由は「書面で示さなければならない」ので(同条3項)、「書面でするときであっても~口頭によることができる」の部分も誤りである。
39
行政庁は、聴開及び弁明の機会の付与を行うに当たって、当事者から不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求められた場合、第三者の利害を害するおそれがあるときに限り、その閲覧を拒むことができる。
「不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧」請求権(行政手続法18条1項前段)は、聴聞手続の場合にのみ認められ、弁明手続の場合には認められない。よって、「及び弁明」の部分が誤りである。また、「第三者の利害を害するおそれがあるときに限り」の部分も誤りである。「その他正当な理由があるとき」も、行政庁は資料等の閲覧を拒むことができるからである(行政手続法18条1項後段)。
40
我が国に居住する外国人は、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。他方、外国に居住する外国人は、我が国の行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができない。
情報公開法は、「何人も」開示を請求することができる、とする(同法3条)。したがって、我が国に居住する外国人のみではなく、外国に居住する外国人も開示を請求することができる。
41
行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。
妥当である(裁量開示、情報公開法7条)。
42
開示決定等又は開示請求に係る不作為について行政不服審査法による審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。同審査会は、開示決定等に係る行政文書の提示を諮問庁に求めることができ、該問庁はこれを拒んではならない
妥当である(情報公開法19条、情報公開・個人情報保護審査会設置法9条1項、2項)。ちなみに、後半の記述はインカメラ審理を指している。
43
開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができ、その理由を提示する必要もない。
存否を明らかにしないで拒否できるところまでは正しい(情報公開法8条)。本肢は、その際、「理由を提示する必要もない」とするが、提示する必要は「ある」。なぜなら、開示請求の拒否は、申請に対する拒否処分に該当し、行政手続法上、理由の提示が必要だからである(行政手法8条1項)。
44
行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記録されているときは、当該第三者に対して意見書を提出する機会を必ず与えなければならないが、当該第三者が当該行政文書の開示に反対する意見書を提出した場合であっても、当該行政文書の開示決定をすることができる。
開示請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記載されているときは、行政機関の長は、当該第三者に対して意見書を提出する機会を与えることが「できる」(情報公開法13条1項)。 ただし、一定の場合には、行政機関の長は、当該第三者に対して意見書を提出する機会を与えなければならない(情報公開法13条2項)。本肢は、意見書を提出する機会を「必ず与えなければならない」となっているため誤りである。
45
情報公開法は、国会、裁判所を対象機関としていないが、国家安全保障や公共の安全に関する事務を所掌する外務省、防衛省、警察庁や、内閣から独立した地位を有する会計検査院は対象機関に含めている。
妥当である。情報公開法が対象とする行政機関とは、国の行政機関を指す。そのため、外務省、防衛省、警察庁及び会計検査院は対象となる(同法2条1項)。一方で国会や裁判所は対象とならない。
46
情報公開法の対象となる「行政文書」は、「行政機関の職員が組織的に用いるもの」で、決裁又は供覧の手続を経たものに限られるため、意思決定の終了していない検討段階の文書については開示請求の対象とならない。
情報公開法が対象とする行政文書とは、行政機関が作成取得したものであり、組織的に用いるものであれば該当するとされる(同法2条2項)。したがって、意思決定の終了していない検討段階の文書についても開示請求の対象となりうる。また、本記述の「決裁又は供覧の手続を経たものに限られる」の部分も誤りである。
47
審査庁となるべき行政庁には、審理員となるべき者の名簿の作成が義務付けられており、この名簿は、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けにより公にしておかなければならない。
審理員となるべき者の名簿の作成は努力義務である(行政不服審査法17条)。したがって、本肢の「名簿の作成が義務付けられており」の部分が誤りである。なお、名簿を作成した場合の公表は同条により行政庁の義務であるが、備付けの他、「他の適法な方法」によって行うことも認められている。
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市場の失敗、GDP、経済成長率と景気循環、国民所得決定論、IS・LM分析
財政の機能、予算制度、財政投融資・租税、公債
地方財政、通貨制度・金融、中央銀行と金融政策、物価の変動
失業と雇用、金融と金融政策、近年の経済政策、国際収支
国際収支と貿易、外国為替のルール、為替相場決定要因と影響
日本の経済推移の指標、主な経済学説
憲法2
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憲法level1
憲法level1その2
憲法level1その3
憲法level1その4
民法level1
民法level1その2
民法level1その3
民法level1その4
民法level1その5
民法level1その6
行政法level1その1
行政法level1その3
その1
その2
行政法level1その4
その3
行政法level1その5
その4
その5
その6
その7
その8
その1
その2
マクロ経済学
マクロ経済学2
ミクロ経済学
その1
その2
その3
その1
憲法
その2
行政法
そのI
その3
文化史
政治学 一問一答
近代ヨーロッパの誕生
16〜18世紀のヨーロッパ
市民社会の成長
ウィーン体制と19世紀の欧米諸国
米ソ冷戦
第二次世界大戦後のアジア
第一次世界大戦からの中東
農作物
エネルギー資源
地形
東アジア
南アジアと西アジア
アフリカ
アングロアメリカ
ラテンアメリカ
オセアニア
財政理論の基礎
日本の財政制度・事情
政党
予算過程
立法過程、政策過程
官僚制
権力分立
財政投融資
租税
公債
古代政治思想・近代政治思想
戦後の日本財政
地方財政
財政事情の国際比較
社会契約論
保守主義・功利主義・自由民主主義
現代政治学・政治システム論・現代政治思想
アメリカ行政学形成から正統派政治学まで
正統派政治学の批判から能率まで
その一
科学的管理法と古典的組織論
人間関係論・現代組織論・
生体の構造
日本の行政組織
行政改革
生体内の代謝
日本の行政改革の流れ
官僚制論
公務員制度
刺激の受容と反応
国際会議
法律そのI
法律その2
経済財政・通商・環境、男女共同参画、白書
観光・防衛・厚生労働・防災、白書
高齢社会・消費者・警察・情報通信、白書
1
アメリカ大統領選・中国・パレスチナ・中東情勢
2
ウクライナ戦争・BRICS・NATO・台湾情勢
韓国情勢・IPEFの発行・ヨーロッパでの選挙
政治学
体内環境の恒常性と調節
政策決定