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問題一覧
1
審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は審査請求書を審査請求人に送付し、その旨を処分庁に通知しなければならない。
誤った教示に基づいて審査請求がなされたときは、当該行政庁は審査請求書を処分庁または審査庁になるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない (行政不服審査法22条1項)。したがって、本肢の「当該行政庁は審査請求書を審査請求人に送付し、その旨を処分庁に通知しなければならない」の部分が誤りである。
2
再審査請求に係る原裁決が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
妥当である。行政不服審査法64条3項は、「再審査請求に係る原裁決(審査請求を下し、または棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。」と規定する。
3
再審査請求は、審査請求について裁決があった日の翌日から起算して1カ月以内にしなければならない。
行政不服審査法62条1項は「再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したときは、することができない。」と規定する。したがって、本記述の「裁決のあった日の翌日から起算して」の部分が誤りである。
4
行政庁の不作為に対する審査請求については、天災その他審査請求をしなかったことについてやむを得ない理由があるときを除いて、申請日の翌日から起算して1年を経過したときはすることができない。
行政庁の不作為に対する審査請求については、不作為状態が継続する限り、いつでも審査請求が可能とされ、そもそも期間制限がない。したがって、本記述の「天災その他~1年を経過したときはすることができない」の部分が誤りである。
5
法令に基づかない申請については、行政庁が相当の期間内になんらかの処分等を行わない場合であっても、不作為に対する不服申し立てをすることはできない。
妥当である。行政不服審査法3条の規定から、不作為に対する不服申立てができるのは、「法令に基づき行政庁に対して、処分についての申請をした者」に限定されている。
6
行政庁の処分とは、行政庁の法令に基づく行為の全てを意味するものではなく、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうところ、都が、ごみ焼却場の設置を計画し、その計画案を都議会に提出する行為は、これに該当するといえることから、行政庁の処分に当たる。
記述前半の処分の定義は正しい。記述後半について、前掲判例は、ごみ焼却場の設置行為につき、都自身の内部的手続行為に止まるとして処分性を否定した。 したがって、本記述の「これに該当するといえることから、行政庁の処分に当たる」の部分が誤りである。
7
弁済供託は、弁済者の申請により単に供託官が債権者のために供託物を受け入れ管理するものであって、民法上の寄託契約の性質を有するものであるため、供託官が弁済者からの供託物取戻請求を理由がないと認めて却下した行為は行政処分に当たらない。
判例は、供託官が供託物取戻請求を却下する行為につき、民事上の寄託契約の性質を認めつつ、「却下」という文言や特別の不服審査手続を法定していることを根拠にその処分性を認める。したがって、本記述の「行政処分に当たらない」の部分が誤りである。
8
都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格が認められる。
妥当である。判例は、都市計画事業地の周辺住民のうち、本記述のような被害を受けるおそれのある者にも事業認可取消訴訟の原告適格を認め、原告適格を地権者に限定していた従来の判例を変更した。
9
建築確認は、建築基準法の建築物の建築等の工事が着手される前に、該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって、それを受けなければ当該工事をすることができないという法的効果が付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるとした。
妥当である。判例は本記載の事案について、本記載の通りに判示した。
10
町営の土地改良事業の工事がすべて完了し、当該事業施行認可処分に係る事業施行地域を原状に回復することが物理的に全く不可能とまでいうことはできないとしても、その社会的、経済的損失を考えると、社会通念上、法的に不可能である場合には、もはや違法状態を除去することはできないから、当該認可処分の取消しを求める法律上の利益は消滅するとした。
判例は本肢記載の事案について、「町営の土地改良事業の工事がすべて完了し、該事業施行認可処分に係る事業施工地域を原状に回復することが、その社会的、経済的損失を考えると、社会通念上、法的に不可能であるとしても、このような事情は、行政事件訴訟法31条の適用によって考慮されるべき事柄であって、当該認可処分の取消しを求める法律上の利益を消滅させるものではない」と判示した。したがって、本肢の「もはや違法状態を除去することはできないから、当該認可処分の取消しを求める法律上の利益は消減するとした」の部分が誤りである。
11
公衆浴場法が公衆浴場の経営に関して許可制を採用し距離制限規定を設けたのは、主として「国民保健及び環境衛生」という公共の福祉の見地から出たものであって、適正な許可制度の運用によって保護されるべき業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益にすぎないから、既存の公衆浴場営業者は、第三者に対する公衆浴場営業許可処分の無効確認訴訟における原告適格を有しない。
判例は、公来浴場法が許可制を採用し、距離制限規定を設けたのは、主として「国民保健及び環境衛生」という公共の福祉の見地から出たものであるが、他面、被許可者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図をも有し、適正な許可制度の運用によって保護されるべき業者の営業上の利益は反射的利益でなく、公衆浴場法によって保護される法的利益であるとして既存の公衆浴場業者の原告適格を肯定する。したがって、「適正な許可制度の運用によって~」以降が誤りである。
12
新たに付与された定期航空運送事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住し、当該免許に係る事業が行われる結果、当該飛行場を使用する各種航空機の騒音の程度、当該飛行場の一日の離着陸回数、離着陸の時間帯等からして、当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。
妥当である。判例(新潟空港訴訟)は本記述のように述べ、新たに付与された定期航空運送事業免許による騒音被害により、社会通念上著しい障害を受けることとなる空港周辺住民に原告適格を認めた。
13
税務署長の更正処分の取消しを求める訴訟の係属中に、税務署長によって、当初の更正処分の瑕疵を是正するため、係争年度の所得金額を確定申告書記載の金額に減額する旨の再更正処分と、更正の具体的根拠を明示して申告に係る課税標準及び税額を当初の更正処分のとおりに更正する旨の再々更正処分が行われた場合であっても、当初の更正処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。
法人税申告更正処分の取消訴訟中に減額再更正処分と具体的根拠を明示した当初額への再々更正処分が行われた場合、その時点から更正処分の取消しの訴えの利益は消滅する。したがって、「当初の更正処分の取消しを求める訴えの利益は失われない」とする部分が誤りである。
14
自動車等運転免許証の有効期間の更新に当たり、一般運転者として扱われ、優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けた者は、客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定される以上、当該法律上の地位を否定されたことを理由として、これを回復するため、当該更新処分の取消しを求める訴えの利益を有す る。
妥当である。自動車等運転免許証の有効期間の更新に当たり、一般運転者として扱われ、優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けた者は、上記記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を否定されたことを理由として、これを回復するため、当該更新処分の取消しを求める訴えの利益を有する。
15
土地区画整理法に基づく土地区画整理組合の設立の認可は、単に設立認可申請に係る組合の事業計画を確定させるだけのものではなく、その組合の事業施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者を全て強制的にその組合員とする公法上の法人たる土地区画整理組合を成立せしめ、これに土地区画整理事業を施行する権限を付与する効力を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
妥当である。判例は、土地区画整理組合の設立の認可は、単に組合の事業計画を確定させるだけのものではなく、その組合の事業施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者をすべて強制的にその組合員とする公法上の法人たる土地区画整理組合を成立せしめ、これに土地区画整理事業を施行する権限を付与する効力を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分であると解するのが相当であるとしている。
16
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、特定個人に向けられた具体的な処分ではなく、いわば当該土地区画整理事業の青写真たる性質を有するにすぎない一般的・抽象的な単なる計画にとどまるものであり、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する行為とはいえないため、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
土地区画整理事業の事業計画の決定について、判例は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点からみても、これを対象とした抗告訴訟を認めるのが合理的であるとしている。したがって、「特定個人に向けられた具体的な処分ではなく~抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない」の部分が誤りである。
17
国有財産法上の国有財産の払下げは、売渡申請書の提出、これに対する払下許可という行政手続を経て行われる場合、行政庁が優越的地位に基づいて行う公権力の行使ということができることから、この場合の当該払下げは抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
国有財産の払下げについて、判例は、私法上の売買と解すべきであるとし、当該払下げが売渡申請書の提出、これに対する払下許可の形式をとっているからといって、払下行為の法律上の性質に影響を及ぼすものではないとしている。したがって、「行政庁が優越的地位に基づいて行う〜抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる」の部分が誤りである。
18
公の施設を廃止することを内容とする条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するものであるから、市の設置する特定の保育所の廃止のみを内容とする条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たることはない。
公の施設である保育所を廃止することを内容とする条例の制定行為について、判例は、現に保育を受けている児童及びその保護者は、保育の実施期間が満了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待し得る法的地位を有するものということができるとしたうえで、同条例は、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるとし、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとしている。したがって、「市の設置する~条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たることはない」の部分が誤りである。
19
自転車競技法に基づく設置許可がされた場外車券発売施設から一定の距離以内の地域に居住する者は、当該施設の設置及び運営に起因して生じる善良な風俗及び生活環境に対する著しい被害を受けないという具体的利益を有しており、当該許可の取消しを求める原告適格を有する。
自転車競技法に基づく場外車券販売施設の設置許可の取消訴訟について判例は、場外施設の設置、運営に伴い著しい業務上の支障が生じるおそれがあると位置的に認められる医療施設等の開設者は原告適格を有するが、それ以外の周辺住民、事業者及び医療施設等の利用者は原告適格を有しないとした(場外車券発売施設設置許可取消請求事件)。したがって、本記述の「居住する者は~原告適格を有する」の部分が誤りである。
20
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく風俗営業許可処分の取消訴訟において、風俗営業制限地域は、当該地域における良好な風俗環境の保全を目的として指定されるものであり、同法は当該地域に居住する者の個別的利益をも保護することを目的としていることから、当該地域に居住する者は、当該風俗営業許可処分の取消しを求める原告適格を有する。
風俗営業制限地域に居住する者は、新規業者への風俗営業の許可の取り消しを求める原告適格を有しない(風俗営業許可処分取消請求事件)。したがって、本記述の「原告適格を有する」の部分が誤りである。
21
取消訴訟における「処分又は裁決があったことを知った日」とは、当事者が書類の交付、ロ頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知った日を指すものであるが、処分を記載した書類が当事者の住所に送達される等、社会通念上処分のあったことが当事者の知り得べき状態に置かれたときは、反証のない限り、その処分があったことを知ったものと推定することができる。
妥当である。なお、原則は、処分・裁決があったことを知った日から6ヶ月以内に訴訟提起されなければならない。但し、正当な事由があればそれ以降でも提起できる(行政事件訴訟法14条1項)。
22
取消訴訟は、正当な理由があるときを除き、処分又は裁決の日から3年を経過したときは提起することができない。「正当な理由」があるといえるためには、災害、病気、けが等の事情や行政庁の教示の懈怠等の事情があることが必要であり、海外出張中で不在であったり、単に多忙であったことは「正当な理由」とはいえない。
23
取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分・裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属するとされており、それ以外の裁判所に提起することは認められていない。
取消訴訟の裁判管轄は本肢で挙げられたもの以外にも認められている(たとえば原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所等、行政事件訴訟法12条参照)。したがって、本記述の「それ以外~認められていない」の部分が誤りである。
24
行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、当該相手方から書面の交付を求められたときに限り、取消訴訟の被告とすべき者や出訴期間など客観的訴訟要件のうち重要なものについて、書面で教示しなければならない。
書面で処分・裁決をする場合には、書面で教示しなければならない(行政事件訴訟法46条2項)。したがって、本記述の「相手方から~求められたときに限り」の部分が誤りである。
25
税務署長のする源泉徴収による所得税についての納税の告知は、確定した税額がいくばくであるかについての税務署長の意見が初めて公にされるものであるから、支払者がこれと意見を異にするときは、当該税額による所得税の徴収を防止するため、再調査の請求又は審査請求のほか、抗告訴訟をもなし得る。
妥当である。判例は、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、課税処分たる性質を有しないとしつつも、確定した税額がいくばくであるかについての税務署長の意見が初めて公にされるものであるから、抗告訴訟の対象となるとしている。
26
関税定率法(昭和55年法律第7号による改正前のもの)に基づいて、税関長のする輸入禁制品該当の通知は、輸入申告に係る貨物が輸入禁制品に該当するという税関長の判断を輸入申告者に知らせ、当該貨物についての輸入申告者自身の自主的な善処を期待してされるものにすぎない観念の通知であるため、処分性は認められず抗告訴訟の対象とならない
判例は、関税定率法に基づく税関長の通知は、輸入申告に対する行政庁側の最終的な拒否の態度を表明するものであり、実質的な拒否処分として機能しているから、抗告訴訟の対象となるとしている。したがって、本記述の「輸入申告者自身の~の対象とならない。」の部分が誤りである。
27
宗教団体の経営する墓地の管理者は埋葬等を請求する者が他の宗教団体の者であることのみを理由としてその請求を拒むことはできないとする趣旨の通達は、従来の法律の解釈、事務の取扱いを変更するものであり、墓地の管理者らに新たに埋葬の受忍義務を課する等これらの者の権利義務に直接具体的な法律上の影響を及ぼすものであるため、墓地の経営者は、該通達の取消しを求める訴えを提起することができる。
判例は、本肢のような通達は、専ら行政機関を拘束するにとどまり、国民は直接これに拘束されることはないから行政処分にはあたらないとしている。したがって、本記述の「当該通達の取消しを求める訴えを提起することができる。」の部分が誤りである。
28
場外車券発売施設の設置許可申請者に対し、自転車競技法施行規則は、その敷地の周辺から1,000メートル以内の地域にある医療施設等の位置及び名称を記載した場外車券発売施設付近の見取図を添付することを求めていることから、当該場外車券発売施設の敷地の周辺から1,000メートル以内の地域において居住し又は事業を営む者は全て、当該許可の取消訴訟の原告適格を有する。
判例は、場外車券販売施設の設置、運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる医療施設等の開設者には原告適格を肯定しているが、それ以外の周辺住民や事業者の原告適格は否定している。したがって、本肢の「当該場外車券発売施設の~原告適格を有する」の部分が誤りである。
29
供託関係が民法上の寄託契約の性質を有することに鑑みると、供託事務を取り扱う行政機関である供託官のする行為は、専ら私法上の法律行為と解するのが相当であるから、供託官が弁済供託における供託金取戻請求を理由がないと認めて却下した行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
判例は、「供託事務を取り扱うのは国家機関である供託官であり、供託官が弁済者から供託金取戻の請求を受けた場合において、その請求を理由がないと認めるときは、これを却下しなければならず、却下処分を不当とする者は審査請求をすることができ、審査請求を理由ありとするときは供託官に相当の処分を命ずることを要する。したがって、このような実定法が存するかぎりにおいては、供託官が供託金取戻請求を理由がないと認めて却下した行為は行政処分であり、弁済者は却下行為が権限のある機関によって取り消されるまでは供託金を取り戻すことができない」と判示する。したがって、本記述の「専ら私法上の法律行為と~行政処分に当たらない」の部分が誤りである。
30
労働基準監署長が行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、労働者災害補償保険法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の労災就学援護費の支給請求権に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
妥当である。判例は、労災就学援護費の支給又は不支給の決定につき処分性を認めている。
31
全国新幹線鉄道整備法の規定に基づく運輸大臣(当時)の日本鉄道建設公団(時)に対する新幹線工事実施計画の認可は、上級行政機関の下級行政機関に対する監督手段としての承認の性質を有するもので、行政機関相互の行為と同視すべきものであり、行政行為として外部に対する効力を有するものではなく、また、これによって直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する効果を伴うものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
妥当である。判例は、運輸大臣のした日本鉄道建設公団に対する新幹線工事実施計画の認可につき処分性を否定する。
32
条例に基づき公開請求された公文書を非公開と決定した処分の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合は、当該書証の提出により、請求者は、当該非公開決定による被侵害利益を回復し、公開請求をした目的を達することとなるから、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
判例は、「本件条例には、請求者が請求に係る公文書の内容を知り、又はその写しを取得している場合に当該公文書の公開を制限する趣旨の規定は存在しない」。したがって、「請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではない」と判示する。したがって、本記述の「訴えの利益は失われる」の部分が誤りである。
33
生活保護法の規定に基づき被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、保護受給権とも称すべき法的権利であり、相続性は否定されないと解されることから、生活保護処分に関する裁決の取消訴訟の係属中に被保護者が死亡した場合は、相続人はその訴訟を承継することができ、当該裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。
(朝日訴訟)は、生活保護法の規定に基づき被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、保護受給権とも称すべき法的権利であると解されるが、この権利は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡することもできず、相続の対象ともならないとしている。したがって、本記述の「相続性は否定されないと解される」「相続人はその訴訟を承継することができ、当該裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅しない」の部分が誤りである。
34
取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属するが、国を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。
妥当である。平成16年改正前の行政事件訴訟法は、取消訴訟の管轄について「その行政庁の所在地の裁判所の管轄に属する」と限定されていたが、改正後の行政事件訴訟法は、原告の便宜を図り、本肢のように拡大した。
35
取消訴訟は、主観的出訴期間である処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したときであっても、正当な理由があれば提起することができるが、客観的出訴期間である処分又は裁決があった日から1年を経過したときは、いかなる場合であっても提起することができない。
行政行為には公定力があり、これに基づいて利害関係・法律関係が形成されるから、比較的短期間内にのみ訴訟の提起を認めることによって行政行為の安定性が確保できる。取消訴訟においても出訴期間が定められているが、主観的出訴期間・客観的出訴期間ともに、正当な理由があれば出訴期間経過後も取消訴訟の提起ができる旨、規定している。したがって、「いかなる場合であっても提起することができない」という部分が誤りである。
36
裁判所は、取消訴訟の審理において必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができるが、その証拠調べの結果については、裁判所の専断であるため、当事者の意見をきく必要はない。
行政事件訴訟において原告は一般人であることが多いのに対し被告は行政庁・行政主体であるため証拠収集能力などで格差が生じる。そこで、訴訟当事者の実質的平等を図るため、裁判所に職権による証拠調べを認めており、証拠調べの結果については、当事者の意見をきかなければならない。したがって、「当事者の意見をきく必要はない」という部分が誤りである。
37
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、処分の取消訴訟は、当該処分をした行政庁を被告として提起しなければならないが、裁決の取消訴訟は、当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
取消訴訟は、処分または裁決をした行政庁が所属する国または公共団体を被告として提訴しなければならないが、当該処分または裁決をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合は、当該行政庁を被告として提訴しなければならない(同2項)。処分と裁決で被告適格を分けていない。したがって、「当該処分をした行政庁を被告として提訴しなければならない」の部分が誤りである。
38
土地改良事業の施行に伴い土地改良区から換地処分を受けた者が、当該換地処分は照応の原則に違反し無効であると主張してこれを争おうとする場合には、土地の所有権の確認、明渡し、登記抹消手続請求等の訴えにより目的を達成することができるから、当該換地処分の無効確認を求める訴えを提起することはできないとするのが判例である。
紛争当事者の主張により、民事上の所有権確認の訴えなどより無効確認の訴えのほうが「より直機的で適切である」場合には、無効等確認の訴えが認められる。 したがって、本記述の「当該換地処分の無効確認を求める訴えを提起することはできない」とする点が誤りである。
39
原子炉施設の安全性に関する被告行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理及び判断は、原子力委員会等の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであり、許可処分が行われた時の科学技術水準に照らして行うべきであるとするのが判例である。
判例は、「原子炉施設の安全性に関する被告行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らして行うべきである」とする。したがって、本記述の「許可処分が行われた当時の科学技術水準に照らして行うべきであるとする」とする点が誤りである。
40
国家試験の合否の判定は、学問又は技術上の知識、能力、意見等の優劣、当否の判断を内容とする行為であり、その判断の当否を審査し具体的に法令を適用して、その争いを解決調整できるものではないため、法律上の争訟に当たらず、裁判所の司法審査の対象とならないとするのが判例である。
妥当である(最判昭41年2月8日)。
41
執行停止の申立てがあった場合、内閣総理大臣は、裁判所に対し、執行停止決定の前後を問わず、異議を述べることができる。この内閣総理大臣の異議があった場合、裁判所は、既に執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
妥当である。
42
取消訴訟においては、行政処分が取り消されるべきかが争点になり、公益と関わる面が大きいため、裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをしなければならない。
行政事件訴訟において、裁判所に一定の職権主義(職権証拠調べ)を認めている。もっとも、職権証拠調べは裁判所の義務ではなく、裁判所が証拠につき十分な心証を得られたならば、職権によって証拠を調べる必要もない。したがって、本記述の「職権で、証拠調べをしなければならない」の部分が誤りである。
43
執行停止には、処分の効力の停止、処分の執行の停止及び手続の続行の停止の3種類があるが、これらのうち処分の効力の停止は、処分の執行の停止又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができない。
妥当である。処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができない。
44
都市計画区域内において工業地域を指定する決定は、該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、当該地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴うものであるため、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
判例は「都市計画区域内において工業地域に指定する決定の有する効果は、該地域内の不特定多数者に対する一般的抽象的なものにすぎず、このことから直ちに個人に対する具体的な権利侵害があったものとは認められない」として、抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたらないとした。したがって、本記述は全般に誤りである。
45
行政事件訴訟法は、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができないと定められている場合であっても、審査請求があった日から6か月を経過しても裁決がないときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができると規定している。
審査請求前置主義が採られている場合、審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないときは、ただちに取消訴訟を提起できる。したがって、「6か月を経過しても裁決がないときは」の部分が誤りである。
46
取消訴訟の対象である処分とは、行政庁の法令に基づく行為の全てを意味するのではなく、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものを指すとするのが判例である。
妥当である。処分性の要件について、判例は本肢のように判示している。
47
道路交通法に基づく反則金の納付の通告を受けた者が、一定の期間内に反則金の納付を行わなかった場合、公訴の提起によって刑事手続が開始するため、当該通告は抗告訴訟の対象となるとするのが判例である。
判例は、反則金の納付の通告について、通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生じるわけではないことなどから、処分性を否定している。したがって、「当該通告は~判例である」の部分が誤りである。
48
行政処分の違法性につき、行政処分の行われた後に法律が改正された場合、抗告訴訟においては行政処分の法規に対する適合の有無が判断の対象となるので、裁判所は改正後の法令に基づき該処分の違法性を判断すべきであるとするのが判例である。
違法判断の基準時について、判例は処分時説に立ち、行政処分が行われた後、法律が改正されたからといって、行政庁は改正法律によって行政処分をしたのではないから、裁判所が改正後の法律によって行政処分の当否を判断することはできないとする。したがって、「裁判所は改正後の~判例である」の部分が誤りである。
49
取消訴訟の審理において、裁判所は、訴訟の結果により権利を侵害される第三者があるときは、当事者若しくは当該第三者の申立てがあった場合に限り、あらかじめ当事者及び該第三者の意見を聞いた上で、当該第三者を訴訟に参加させることができる。
裁判所は、当事者もしくは第三者の申立てによる場合のみならず、職権で第三者を訴訟に参加させることもできる。したがって、「当事者若しくは~あった場合に限り」の部分が誤りである。
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