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その2
  • _ Platonic

  • 問題数 86 • 12/27/2024

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  • 1

    M.リプスキーのストリートレベルの官僚(streetilevel bureaucrats)に関してストリートレベルの官僚は、職務の性質上、上司の濃密な監督を受けないことから、職権を乱用した人権侵害、恣意的な法適用による不公平な対応、対象者との癒着などの弊害が懸念されるため、対象者の自宅を訪問することを禁止すべきとした。

    リプスキーは、ストリートレベルの官僚について、職務の性質上の問題点を指摘したが、対象者の自宅を訪問することを禁止すべきことまで言及してはいない。

  • 2

    M.リプスキーのストリートレベルの官僚(streetilevel bureaucrats)に関して行政の仕事のうち、特に政策の実施や執行に関しては、行政改革の潮流の中で非営利組織などの主体に委ねられるようになり、行政組織と同様の役割を果たすようになる人々を「新しいストリートレベルの官僚」と呼んだ。

    妥当である。

  • 3

    M. ウェーバーは、家産官僚制と近代官僚制とを区別し、近代官僚制は合法的支配の最も純粋な型であると位置づけ、近代官僚制の主な構成要件として、規則による規律の原則、契約制の原則、貨幣定額給制の原則を挙げた。

    妥当である。

  • 4

    M.クロジェは、「社会理論と社会構造」を著し、もともと現則は、一定の目的を達成するための手段として制定されるものであるが、規則それ自体の遵守が自己目的化する現象を目的の転移と呼んだ。

    本肢はR.K.マートンに関するものである。M.クロジェは、フランスの近代官僚制の考察において、近代官僚制に自由裁量の幅が存在し、そこに権力ゲームが生じることを権力依存関係で論じ、官僚制の病理現象を指摘した。

  • 5

    A.グールドナーは、ある石膏事業所の官僚制化という事例研究を通して、代表的官僚制とは、一方的な上からの強制によって制定された規則に基づく官僚制の形態であるとした。

    クールドナーが指摘した代表的官僚制とは、上位者(使用者)と下位者(労働者)の相互理解によって制定された規則に基づく官僚制である。一方的な上からの強制によって制定された規則に基づく官僚制は、懲罰的官僚制である。

  • 6

    A. ダウンズは、官僚は自らの効用を最大化しようとする合理的な行為者であるとし、権力や収入等の自己利益を純粋に追求する官僚と、自己利益に加えて、事業の達成や組織レベルの目標、公益の実現等の利他的忠誠とを結び付けた混合的な動機付けを持つ官僚に分類した。

    妥当である。A.ダウンズは、純粋に自己利益を追求する官僚と、自己的利益とより大きな価値に対する利他的忠誠心との混合的利益を持つ官僚とに分類した。

  • 7

    P.ピーターソンは、「都市の限界」を唱え、地方政府が再分配政策を実施すると、低所得者は負担の少ない他の自治体への退出を図り、他方で、再分配政策による便益を求めて高所得者が他の自治体から流入してくるというジレンマ状況を、「福祉の磁石(welfare magnet)」現象として捉えた。

    低所得者と高所得者についての説明が逆である。P.ピーターソンは、地方政府が再分配政策を実施すると、低所得者は再分配による便益を求めて他の自治体から流入してくる一方、高所得者は負担の少ない他の自治体への退出を図るというジレンマ状況を「福祉の磁石」現象として捉えた。

  • 8

    L.v.シュタインは、国家の役割を考察するために社会を知る必要性を説き、国家と社会を対立するものとして捉えた上で、国家の役割は、国家意思に基づいて国家機関が実施する「憲政」、国民が国家意思を形成する「行政」であるとし、「憲政」と「行政」が対等の相互作用関係にあることを指摘した。

    憲政と行政についての説明が逆である。L.V.シュタインは、国家の役割を、国民が国家意思を形成する「憲政」と、国家意思に基づいて国家機関が実施する「行政」とに区分し、「憲政」と「行政」が対等の相互作用関係にあることを指摘した。

  • 9

    第二次世界大戦後、天皇主権から国民主権への転換を踏まえ、昭和22年に制定された国家公務員法においては、従来の官更制に代わる新しい公務員制の根本基準が定められるとともに、これまでの無試験採用を改め、日本において初めて公開競争による採用試験制が導入された。これによって、日本の公務員の任用の仕方は、スポイルズ・システムからメリット・システムに転換された。

    日本において初めて公開競争試験による採用試験制度が導入されたのは、1893年の文官任用によってである。これによりスポイルズ・システムからメリット・システムに転換された

  • 10

    平成19年の国家公務員法改正により、国家公務員の就職に関する規制として、各府省等職員が職員又は職員であった者について営利企業等に対して離職後の就職のあっせんを行うことを禁止すること、職員が自らの職務と利害関係を有する一定の営利企業等に対して求職活動を行うことを規制すること等が規定された。また、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行うとともに、官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行うため、内閣府に官民人材交流センターを設置することが規定された。

    妥当である。

  • 11

    平成20年に国家公務員制度改革基本法が成立し、内閣による人事管理機能を強化し、弾力的な人事管理を行えるよう内閣官房に内閣人事局が設置された。これを受けて、平成21年に、幹部職員人事を各府省から切り離して、内閣による一元管理を行うこと等を内容とする国家公務員法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、同年に成立した。

    内閣による幹部人事の一元管理を行うことも平成20(2008)年の国家公務員制度改革基本法に盛り込まれている。また内閣人事局は、平成26(2014)年5月30日に発足し、幹部人事の一元管理のほか、公務員の採用試験や研修の企画、定員管理などの人事行政事務を一括して行う。

  • 12

    平成25年度以降、公的年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられることに伴い、国家公務員について60歳定年後に無収入期間が発生するため、雇用と年金の接続が課題となった。 このため、平成25年3月に、定年退職する職員が公的年金の支給開始年齢に達するまでの間、再任用を希望する職員については一律にフルタイム官職に再任用するという国家公務員法の改正が行われた。

    平成25(2013)年3月の閣議決定により、定年退職する国家公務員が公的年金の支給開始年齢に達するまでの間、再任用を希望する職員については、フルタイム勤務か、短時間勤務の官職に再任用することとされた。したがって、一律のフルタイム勤務の官職の再任用ではない。なお、令和3(2021)年6月に成立した改正国家公務員法により、国家公務員法の定年年齢が段階的に、65歳に引き上げられることになった。

  • 13

    我が国の一般職国家公務員の数は、平成12(2000)年以降、国立大学法人化や郵政民営化等を経て、平成29年度では平成12年の時の7割程度まで減っている。

    「7割程度まで減っている」とする記述が誤りである。一般職国家公務員の数は、平成12年度において約82万人であるのに対して、平成29年度では約28.5万人であり、平成12年度の3割5分程度にまで減っている。

  • 14

    政治的中立性は、公務員制度の基本原理の一つであり、日本国憲法においても、全て公務員は全体の奉仕者であると定められている。政治的中立性を担保するためには、政治家が公務員をコントロールする民主的統制の強化が必要であり、我が国では、各府省の事務次官、局長など特に高い政治的中立性が求められる職には、資格任用ではなく、政治任用が行われている。

    「資格任用ではなく、政治任用が行われている」とする記述が誤りである。日本では、各府省の事務次官、局長など特に高い政治的中立性が求められる職には、政治任用ではなく資格任用が行われている。

  • 15

    公務員の任用については、閉鎖型任用制と開放型任用制が挙げられる。1920年代の米国で形成されてきた公務員制度は、資格任用制を基本にした閉鎖型任用制であったのに対し、第二次世界大戦後の我が国の公務員制度では、科学的人事行政論に基づく職階制が実施され、現在に至る開放型任用制が確立された。

    閉鎖型任用制と開放型任用制に関する説明が誤りである。1920年代の米国で形成されてきた公務員制度は、資格任用制を基本にした開放型任用制であったのに対し、第二次世界大戦後の日本の公務員制度では、科学的人事行政論に基づく職階制の導入が図られたが実現せず、現在に至る閉鎖型任用制が確立された。

  • 16

    我が国では、平成19(2007)年の国家公務員法改正により、人事評価制度の見直しが行われた。管理職員については、成果が求められることから、能力評価をやめて年2回の業績評価に一本化する一方、一般の職員については、育成等への活用を重視し、年1回の能力評価のみを実施することとされた。

    2007(平成19)年の国家公務員法改正により導入された国家公務員の人事評価制度では、管理職員と一般の職員の区別なく、年1回の能力評価および年2回の業績評価が実施される。

  • 17

    人事院は、国会の両院の同意を得て内閣が任命する人事官をもって組織される機関であり、準立法権と準司法権をもつ。

    妥当である。人事院は、人事院規則および人事院指令を制定できるという準立法的権限をもち、また職員の不利益処分に対する不服申し立てに対する審査・裁定をするという準司法的権限も付与されている。

  • 18

    人事院は、地方公務員と国家公務員の給与水準を比較検討して、給与の改定を内閣と国会に、毎年、少なくとも1回、勧告しなければならない。

    人事院は、毎年度、「職種別民間給与実態調査」という実地調査を行い、これを国家公務員の給与と比較して、その調査結果を国会と内閣に報告する義務がある。

  • 19

    職階制は、官職を職務の種類および複雑さと責任の程度に基づいて分類整理する制度であり、国家公務員については、第二次世界大戦後にこの制度が導入され、今日まで実施されている。

    職階制の定義は正しい。日本では一度も職階制が実施されたことがなく、現在では国家公務員法から規定も削除されている。

  • 20

    フーバーを団長とする合衆国対日人事行政顧問団の報告書に基づき、国家公務員法は、独立性の強い人事院の設置、事務次官の政治任用、公務員の労働基本権の保障の拡大という形で改正された。

    片山内閣は、フーバーを団長とする合衆国対日行政人事顧問団の要綱の原案を大幅に修正し、事務次官を政治任用の対象となる特別職とした国家公務員法を提出し成立させた。政治任用の制限を意図していたフーバーは激怒し、国家公務員法の改正案を吉田内閣のもとで成立させた。現在まで、事務次官は一般職公務員のままである。

  • 21

    米国では、猟官制の伝統が確立されていたが、1880年代に行政課題の複雑化と専門化に対応するため、資格任用制と政治的中立性を根幹とするペンドルトン法案が議会に提出されたものの、否決され、資格任用制の範囲の拡大は断念された。

    ペンドルトン法案は1883年に可決された。これにより、資格任用制の範囲が拡大されることとなった。これ以外の記述は正しい。

  • 22

    公務員制度におけるアメリカン・デモクラシーは、米国のジャクソン大統領が、それまでの政府高官を大規模に更迭し、選挙活動への貢献の度合いで支援者の任用を行う政治任用を改め、メリット・システムを導入したジャクソニアン・デモクラシーにみられる。

    ジャクソニアン・デモクラシーとは、ジャクソン大統領が、それまでの政府高官を大規模に更迭し、スポイルズ・システムを導入して選挙活動への貢献の度合いで支援者の任用を行うなど、政治任用を拡大した民主的改革運動の総称である。

  • 23

    英国では、政党内閣制の発達期に、1853年のノースコート・トレヴェリアン報告の勧告を受けて、政権交代時には政権の意図を明確に反映するために、政党色を人事に反映することが有効であるとして、内閣による民主的統制を重視する新しい公務員制度が確立された。

    イギリスでは、1853年のノースコート・トレヴェリアン報告の勧告を受け、資格任用制を導入することにより、人事における政党色を排除して政治的中立性を確保することを柱とする新しい公務員制度が確立した。

  • 24

    明治初期の我が国では、明治維新を遂行した関勢力から官吏が登用されていたが、試験合格者から官吏を登用する仕組みが確立され、最初の政党内閣である隈板内閣も試験に基づく官吏制度が日本の民主主義を確立すると考えた。

    隈板内閣においては、各省次官は政治任用されており、試験に基づく官吏制度が日本の民主主義を確立すると考えたとはいえない。

  • 25

    H、サイモンの唱えた満足モデル(satisfying model)では、選択肢の検討は一挙にではなく逐次的に行われ、逐次的な探求の途上で一応納得のできる結果をもたらすと思われる選択肢が発見された時点で探求は停止されるため、最善の選択肢を発見することにはこだわらず、その選択肢で満足するとされる。

    妥当である。サイモンの満足モデルによれば、人間は、能力の限界と決定に至る費用を節約するため、最善の決定をめざすのではなく、自ら一定の満足水準を設定し、それを満たす選択肢の採用をめざすとされる。

  • 26

    A.エチオーニの唱えた混合走査法モデル(mixed scanning model)は、組織の有限な資源を効率的に活用するため、影響力の甚大な政策についてのみ、走査法で現実性の高いごく限られた数の選択肢を選んで綿密な分析を加え、それ以外の政策案の立案はインクリメンタリズムに委ねるとするモデルである。

    妥当である。エチオーニの混合走査法モデルによれば、人間は、大枠の決定については最善の選択肢を選ぶために綿密な分析(混合走査)を行うが、大枠の範囲内の部分的な決定についてはリンドブロムのいうインクリメンタリズムによる決定を行うとされる。

  • 27

    G. アリソンの唱えた組織過程モデル(organizational process model)では、省庁はそれぞれ一定の問題を処理することが期待されており、それを独自に、あらかじめ決められた標準作業手続に従って処理する。このモデルによれば、組織の標準作業手続は頻繁に再検討されるため、過去の決定を調べることによって組織の行動を把握することができないとされる。

    前半の記述は正しい。組織過程モデルは、組織を複数の下位組織の緩やかな連合体とみなし、個々の下位組織が組織内の標準作業手続を行った結果として、政策決定がなされるとするモデルである。標準作業手続は頻繁に検討されることがないため、インクリメンタリズムに陥りやすいとされる。

  • 28

    国の政策評価の事前・事後評価における評価方式は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき策定された「政策評価に関する基本方針」のなかで事業評価方式、実績評価方式、総合評価方式の3類型が示されている。

    妥当である。

  • 29

    総務省は、2以上の行政機関に共通するそれぞれの政策であってその政府全体としての統一性を確保する見地から評価する必要があると認めるもの、又は2以上の行政機関の所掌に関係する政策であってその総合的な推進を図る見地から評価する必要があると認めるものについて、統一性又は総合性を確保するための評価を行うものとする。

    妥当である。

  • 30

    地方自治体による政策評価は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づいて制定された、三重県の「事務事業評価システム」、北海道の「業務棚卸評価」や静岡県の「時のアセスメント」など、事務事業を評価対象としたものが中心となっている。

    静岡県では「業務棚卸評価」、北海道では「時のアセスメント」という政策評価制度が導入されている。2つの制度の記述が逆になっている。

  • 31

    C・リンドブロムは、政策の立案について、問題解決のための全ての手段を網羅し、得られる結果を完全に予測した上で、あらかじめ決められた評価基準に従ってどの手段が最適であるかを評価し、最適な手段を採用するという手順で行うインクリメンタリズムを提唱した。

    リンドブロムの提唱したインクリメンタリズムは、政策案作成の段階において現状を大きく変更する政策条は採用されず、必要がある場合に、現行の政策に被修正を加えて政策決定がなされるとする理論である。問題解決のためのあらゆる手段を網羅し、最適な手段を採用するべきと考えるのは、合理的選択の理論である。

  • 32

    G.アリソンは、キューバ危機の13日間を題材に、当時の政策決定は、一枚岩の政府が政策の選択肢を検討し、自分たちの効用に従ってそれらの選択肢を評価し、利益が最大になるものを選択するという組織過程モデル(organizational process model)のみで説明が可能であるとした。

    アリソンは、キューバ危機における米ソ両政府の政策決定に関する分析において、組織過程モデルに加えて、合理的行為者モデル、政府内政治モデル(官僚政治・組織内政治モデル)の三つの理論モデルを抽出した。

  • 33

    J.マーチらが提唱したゴミ缶モデルは、問題、解決策、参加者、選択機会という意思決定の要素が無然に結びつくことで、決定が生じるとして、組織におけるこうした意思決定を「組織化された無秩序」ととらえた。

    妥当である。

  • 34

    アリソンは、(A)を著し、キューバ危機を分析対象にして、政策決定に関する3つのモデルを提示している。 第1のモデルは、(B)モデルであり、政府を単一の行為主体としてとらえ、政策決定者は、明確な政策目標を設定し、その目標を実現するために最適な手段を選択するというものである。 第2のモデルは、(C)モデルであり、決定者としての政府は複数の組織からなる複合体であると考え、政府の政策は、政府内の各組織の標準作業手続に基づいて決定されるというものである。 第3のモデルは、(D)モデルであり、政策決定は、政府内の複数組織の長の間での駆け引きによって行われるというものである。

    アリソンは、「決定の本質」において、キューバ危機の際に、米ソ両政府の政策決定がどのようになされたのかを分析し、3つの基本的な理論モデルを抽出した。 合理的行為者モデルでは、政策決定における決定主体(組織)を、単一の行為者とみなし、その組織は明確な目標・価値をもち、それを実現するために合理的な政策決定を行うとされる。 実際の政策決定の場面では、合理的行為者モデルよりも、組織過程モデルや政府内政治モデルのほうが現実的であるといえる。 粗織過程モデルでは、組織を複数の下位組織のゆるやかな連合体とみなし、下位組織がそれぞれ割り当てられた任務を、他の下位組織のことを考慮せずに、予め決められた手順やルール(組織内の標準的な作業手続き)に基づいて遂行した結果として、政策が決定される。いわば、それぞれの組織の機械的反応の結果が、政策決定であるとされる。 官僚政治(政府内政治・組織内政治)モデルでは、組織を役職者(大統領、政府高官など)の集合ととらえ、与えられた任務を最大限に実行することを目標とする役職者間の「駆け引き」の結果、政策が決定されるとするもので、組織よりも人間が政策決定に重要な影響を与えると考える。 したがって、Aに決定の本質、Bに合理的行為者、Cに組織過程、Dに官僚政治、が入る。

  • 35

    行政相談は、総務大臣から委嘱された行政相談委員が、国民から国の行政全般についての苦情や意見、要望を受け付け、中立・公正の立場から関係行政機関に必要なあっせんを行い、その解決や実現を促進し、それらを通じて行政の制度と運用の改善を図るための仕組みである。

    妥当である。行政相談とは、担当行政機関とは異なる立場から、行政等への苦情・意見・要望を受け、その解決や実現を促進するとともに、行政の制度や運営の改善に活かす仕組みである。

  • 36

    政策評価制度は、市町村レベルでの導入が先行して進められ、三重県津市の事務事業評価システム、北海道札幌市の政策アセスメント、静岡県静岡市の業務棚卸表等が知られている。 そうした実践を受けて、平成29(2017)年に国レベルで政策評価制度を導入する「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が成立した。

    政策評価制度は、市町村レベルよりも道県レベルで導入が先行して進められた。三重県の「事務事業評価システム」、北海道の「時のアセスメント」、静岡県の「業務棚卸し」等がその例である。また、国レベルで「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が成立したのは2001(平成13)年である。

  • 37

    政策評価では、投入した費用であるインプット、行政の活動量を示す結果であるアウトカム、実際に社会が変化したかという成果であるアウトプットが主な指標となっている。結果であるアウトカムは、経済情勢等の要因も影響して変化するため、政策によるものかどうかの判断が難しいとの指摘がある。

    アウトプットとアウトカムの説明が逆である。行政の活動量を示す結果がアウトプット、実際に社会が変化したかという成果がアウトカムである。アウトカムは、他の社会・経済的要因も影響するため、政策による成果かどうかの判断が難しいと指摘される。

  • 38

    G.W.ブッシュ政権下の米国連邦政府では、D.ラムズフェルド国防長官の就任に伴って、年々の予算編成過程で費用便益分析(費用効果分析)の手法を活用しようとする計画事業予算 制度(PPBS:Planning, Programming, and Budgeting System)が導入された。

    計画事業予算制度(PPBS)が導入されたのは、1960年代のアメリカにおいてである。ケネディ政権下で国防省予算の編成過程で採用され、ジョンソン大統領によって連邦政府予算の編成過程に拡大適用されたが、あらゆる代替案を検討することが不可能であること等を理由に失敗に終わった。

  • 39

    C. リンドブロムは、問題を根本的に解決する政策案の検討が重要であり、実現可能性の有無にかかわらず、政策案を網羅的に比較し、検討する必要性があるとする増分主義(インクリメンタリズム)を提唱し、その中から最適なものを選択すると、政策実施後の評価が最小限の費用や時間で行われるとした。

    C.リンドブロムが提唱した増分主義(インクリメンタリズム)は、予算編成等の政策案の検討において、既存の政策案をベースに新規の部分についてのみ厳しい査定を行うことがその特徴であり、政策案を網羅的に比較・検討することはなく、抜本的に課題を解決することを意図していない。インクリメンタリズムに基づいた政策案の探求では、実現可能と思われるものの中から最善と思われる選択肢を選ぶのであって、最適なものを選択することを想定していない。

  • 40

    概算要求基準(シーリング)とは、平成21(2009)年の民主党政権の発足に伴って導入された予算編成に関するもので、各省庁が財務省に概算要求する際に要求できる上限を前年度比で示す予算基準であり、この基準を用い、経済財政諮問会議と財務省主計局が予算総額を管理する。

    概算要求基準(シーリング)は、昭和36(1961)年度予算からすでに導入されていた。平成21(2009)年の民主党政権の発足に伴っていったんは廃止されたが、その後再び導入された。

  • 41

    会計検査院は、内閣法90条に基づく内閣の付属機関で、国会の同意に基づいて内閣が任命する3人の検査官による検査官会議を意思決定機関とし、国の収入支出の決算を検査し確認すること、常時会計検査を行って会計経理を監督し、適正を期し、是正を図ることなどを役割とする。

    会計検査院は、憲法90条に明文の根拠をもっており、また、会計検査院法によって「内閣に対し、独立の地位を有する」と規定されている(同1条)。したがって、内閣の付属機関とは言えない。

  • 42

    W.ニスカネンは予算極大化(最大化)モデルを提唱し、官僚は自らの所属する行政機関の予算を可能な限り最大化させようとするのに対し、政治家は予算に関する情報を十分持たないことから官僚の統制不足が生じ、最適なサービス量以上の予算が決定されるとした。

    妥当である。

  • 43

    G.アリソンは、実現可能な三つ程度の選択肢を摘出して比較するにとどめて、短期間での決定を重視することにより漸進的に政策の変更を繰り返すという政策形成過程のモデルを考案し、それを予算編成過程に適用した場合には、新規の増分のみ厳しく審査することにより予算は迅速に決定されるとした。

    本肢は、リンドブロムが提唱したインクリメンタリズムの理論に関するものである。アリソンは、キューバ危機の際に、米ソ両政府の政策決定がどのようになされたのかを分析し、合理的行為者モデル、組織過程モデル、政府内政治(官僚政治・組織内政治)モデルの三つの理論モデルを抽出した。

  • 44

    ファイナーは、機能的責任とは、特定分野の技術的・科学的知識に関し、政策の適否を判断しうるような専門家仲間ないし科学的集団によるチェックを指すとした。

    行政官による機能的責任の自覚を説いたのは、ファイナーではなくフリードリッピである。

  • 45

    ファイナーは、政治的責任とは、転変する社会の新しい問題に的確に対応するために、民衆や議会に先んじて変化を予知し、政策をより有効なものに高めようとする公務員の責務であるとした。

    政治的責任の概念を指摘したのは、ファイナーではなくフリードリッヒである。なお、政治的責任とは、コミュニティの民衆感情に直接に対応する責任である。

  • 46

    ファイナーは、民主的政府における行政責任は、XはYの事項に関してZに対して説明・弁明しうるという公式が成り立ち、説明・弁明の相手方の内在性が不可の要件であるとした。

    ファイナーは、X(代理人・行政機関・行政官)がY(任務)についてZ(本人・議会)に対して説明・弁明できるということを意味する責任を重視した。これは、説明・弁明の相手方の外在性が不可の要件である

  • 47

    ファイナーは、民主的政府における行政責任は、議会に対する外在的な政治的責任でなければならず、道徳的義務への内在的・個人的感覚だけでは民主政は成り立たないとした。

    妥当である。

  • 48

    ファイナーは、行政資任を確保する手段として、行政官の専門家としての責任感や職業倫理を信頼すべきか、一般国民や議員の良識を信頼すべきかというジレンマが存在するとする、フリードリッヒの理論に賛同した。

    行政官の技術的専門性にもとづく判断と一般国民や議員の良識のどちらを信頼すべきか、という行政責任のジレンマは、フリードリッヒにより指摘されたが、これは自律的責任の中でのジレンマである。ファイナーは、外在的責任を重視したのであり、このジレンマの存在に対して賛同していない。

  • 49

    議院内閣制での執政機関は、内閣、内閣総理大臣、各省大臣であり、内閣は法案提出権等、内閣総理大臣は国務大臣等の任免権等、各省大臣は主任の大臣としての人事権及び指揮監督権等により、統制を行う。

    妥当である。

  • 50

    パブリックコメント(意見公募手続)制度は、平成17(2005)年の行政手続法改正によって法定され、府省は適用除外に該当しない限り、政令、府省令等を制定、改正する場合には、政令、府省令等の最終決定後ただちにホームページ上で意見を募集しなければならない。

    行政手続法において、「命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たっては、必要に応じ、該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関連する情報の提供に努めるものとする。」(41条)と規定しているが、政令、府省令等の改正の最終決定後、ただちにホームページ上で意見を募集しなければならないとする規定はない。

  • 51

    バーナードは、制度的(formal)、非制度的(informal)統制の軸と、問責の主体が行政機関の外部に位置する外在的(external)、行政機関の内部に位置する内在的(internal)統制の軸という2つの軸の交差から生じる4分類によって行政統制の性質を示した。

    本肢はギルバートに関する記述である。バーナードは、古典的組織理論と、非公式(インフォーマル)組織を重視する人間関係論を融合させ、現代組織理論の基礎を築いた。

  • 52

    次のA~Eの日本の行政統制を、ギルバートの行政統制の類型に当てはめた場合、内在的・制度的統制に該当するものとして、妥当なものはどれか。 A. 上司による職務命令 B. 職員組合による要求 C. 議会による統制 D. 各省大臣による統制 E. 利益集団による圧力

    A:妥当である。内在的・制度的統制としては、ほかに、審議会の答申がある。 B:「内在的・非制度的統制」に該当する。ほかに、同僚職員の評価・批判がある。 C:「外在的・制度的統制」に該当する。ほかに、裁判所による統制がある。 D:妥当である。内在的・制度的統制としては、ほかに、総務省の政策評価がある。 E:「外在的・非制度的統制」に該当する。ほかに、マスコミの報道がある。

  • 53

    我が国の会計検査院は、行政機関の金銭的な出納が適切かという点から、常時会計検査を行うとともに、国の収入と支出の決算の検査を行い、その結果を内閣総理大臣に提出する。 法令違反や不当な会計処理が行われている場合は、直ちに内閣総理大臣に是正を求めなければならない。

    「法令違反や不当な会計処理が行われている場合は、直ちに内閣総理大臣に是正を求めなければならない」とする記述が誤りである。会計検査院は、法令違反や不当な会計処理が行われている場合は、直ちに、本属長官または関係者に対し当該会計経理についての意見の表示、または適宜の処置の要求、及びその後の経理について是正改善の措置をさせることができる。

  • 54

    M.ディモックは、組織の職員の勤労意欲や組織に所属していることに関する満足感等の社会的能率を、機械的な能率観であると批判し、経費の投入と作業量、効果等の産出の比率で判断する能率が真の能率であると主張した。

    M.ディモックは、経費の投入と作業量、効果等の算出の比率で判断する能率を、機械的な能率観であると批判し、組織の職員の勤労意欲や組織に所属していることに関する満足感等の社会的能率を真の能率であると主張した。

  • 55

    我が国では平成11(1999)年に、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」が制定され、同法では、国の行政機関が保有する情報の公開によって、政府が行っている諸活動を国民に説明する責務とともに、国民の知る権利の保障が規定された。政府が国民に説明するこのような責務のことを、一般にナショナル・ミニマムと呼ぶ。

    「国民の知る権利の保障が規定された」「政府が国民に説明するこのような責務のことを、一般的にナショナル・ミニマムと呼ぶ」とする記述が誤りである。「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」において、国民の知る権利は明記されていない。また、ナショナル・ミニマムとは、国家が国民に対して保障すべき最低限度の生活水準のことである。

  • 56

    我が国の地方公共団体の財務に関する事務の執行等の監査は、公認会計士や弁護士、行政職員経験者など識見を有する者及び議員のうちから、首長が議会の同意を得て選任する監査委員が担っている。また、住民が監査委員に監査を請求することも認められている。

    妥当である。1997(平成9)年の地方自治法改正により、外部監査制度が導入され、都道府県政令指定都市、中核市に関しては、弁護士や公認会計士等と契約を結んで事務の執行等の監査を受けることが義務付けられた。

  • 57

    スウェーデンで始まったオンブズマン制度は、日本では、国において制度が導入された後に地方自治体に広まったものであり、地方自治体では神奈川県川崎市が初めて導入した。

    日本で初めてオンブズマン制度を採用したのは川崎市である。国のレベルでは、いまだに採用されていない。

  • 58

    国の行政機関における政策評価は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づいて、政策評価の客観性を担保するために総務省行政評価局により全省庁を対象に行われ、各省庁で個別には行われていない。

    「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(政策評価法)に基づき、総務省行政評価局だけでなく、全政府的に各省庁で、政策評価が実施されている。

  • 59

    諮問型の住民投票は、すべての自治体を対象として定められた法律がないため、地方自治法の定めに基づいて、個別案件ごとに住民投票条例を制定した上で実施されており、この住民投票の結果には法的拘束力が認められている。

    住民投票条例を制定した上で実施されている住民投票の結果には、法的拘束力はない。

  • 60

    情報公開制度は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に規定されており、情報公開の対象となる機関に会計検査院は含まれるが、国会と裁判所は含まれない。

    妥当である。国会(立法府)、裁判所(司法府)は行政機関ではないため、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(行政機関情報公開法)の対象にはならない。

  • 61

    国の統計には、行政機関が行う統計調査を基に作成される「調査統計」と行政機関の届出等の業務データを基に作成される「業務統計」があり、両者とも公表する際には閣議決定を経ることとされている。「調査統計」のうち特に重要な国勢統計、世論調査統計、労働力統計等は「基幹統計」とされ、統計を作成する前提となる国勢調査、世論調査、労働力調査等の調査対象者には調査に回答する義務が課されている。

    世論調査統計は基幹統計ではない。基幹統計は国勢統計、労働力統計などである。また世論調査の調査対象者が回答の義務を課されることもない。

  • 62

    平成25年に「個人情報の保護に関する法律」が改正され、行政機関等が、特定の個人を識別できる番号(いわゆるマイナンバー)を使って異なる分野に属する情報を照合し、これらが同一人物に係るものであるかどうかを確認できるようになった。これにより、行政運営の効率化等が図られる一方、個人のプライバシーが侵害されるおそれが生じたため、個人情報の取扱いに係る報告や資料提供を求める権限等を有する「特定個人情報保護委員会」が各府省に設置された。

    マイナンバー(個人番号)は、平成25(2013)年に成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づくもので、「個人情報の保護に関する法律」とは関係はない。また「特定個人情報保護委員会」は行政委員会で、内閣府に設置されていたが、平成 26(2014)年に個人情報委員会に改組された。

  • 63

    A.ダンサイアの3人1組論によれば、3人1組の中間者は、上からの情報を選別し分解し翻訳する責務と、下からの情報を選別し集約し翻訳する責務を有し、この責務を幾重にも連鎖させているのが官僚制組織の作動様式とされる。このため、中間者が裁量を不当に停止又は濫用すれば下降方向の情報の流れを停滞させて上命下服関係が機能不全に陥り、中間者が上申を不当に停止又は濫用すれば上昇方向の情報の流れを停滞させて下意上達関係が機能不全に陥るとされる。

    妥当である。ダンサイアによれば、ピラミッド型行政組織に属する、中間者である個々の職員本人の視点からすれば、組織は「直属の上司-本人-直属の部下」という「3人1組」で構成されている、ということになる。そして、それぞれの中間者(本人)は、ある問題について担職員(直属の部下)の提案が妥当であるとして上達する場合、判断を仰ぐ要点を整理して伝える責務を有するほか、上司からの指示・命に対して意見を述べる責務を有するとされる。

  • 64

    日本の安全保障に関する情報のうち特に秘匿する必要があるものについて、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的として、平成25年の臨時国会において、「特定秘密の保護に関する法律」が成立した。これにより、特定秘密を取り扱う職員の適性を評価する仕組みは定められたが、同法において特定秘密の指定や提供、漏えいに係る罰則等のルールは定められなかったため、国家公務員法が改正され、守秘義務違反に対する罰則が強化された。

    平成25(2013)年に成立した「特定秘密の保護に関する法律」(特定密保護法)では、特定秘密を取り扱う職員の適性を評価する仕組みと、特定秘密の指定や提供、漏えいに係る罰則等のルールが定められた。

  • 65

    「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」において、情報開示請求の対象となる情報は、国の行政機関及び地方公共団体が保有する情報とされ、国会と裁判所が保有する情報は対象外とされている。また、同法において、情報開示を請求することができる者は、日本国籍を有する者に限られており、さらに、地方公共団体に対して請求ができるのは、その地方公共団体の住民に限られている。

    「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」において、その対象となる情報は国の行政機関が保有する情報で、誰でも情報開示を請求できる。地方公共団体の情報公開とその請求者の範囲については、各自治体の条例による。

  • 66

    中核市は、平成7年に導入された制度であり、制度創設時には人口30万人以上という要件に加え、面積が100平方キロメートル以上であること及び人口が30万人以上50万人未満の場合は昼間人口が夜間人口より多いことも要件とされていたが、平成26年5月現在は人口20万人以上であることのみが要件とされている。中核市には、政令指定都市に移護されている事務に準じて一定の事務が移譲されており、主な事務には、身体障害者手帳の交付や飲食店営業等の許可などがある。

    妥当である。

  • 67

    特例市は、平成12年に導入された制度であり、特例市に指定される要件は人口20万人以上であることのみであるが、平成26年1月現在の特例市の数は約20市であり、約40市ある中核市と比較すると少ない。特例市には、原則として中核市に移譲されている事務が移護されるが、広域的な自治体である都道府県が一体的に処理することが効率的な事務は移譲されず、都市計画に関する事務は一切移譲されていない。

    平成26(2014)年5月の地方自治法の改正により、特例市制度は廃止された。代わりに中核市の指定要件が「人口20万以上の市」に変更された。

  • 68

    広域連合は、平成7年に導入された制度であり、都道府県、市町村及び特別区は複数の事務を共同処理するために広域連合を設立することができ、全ての広域連合は国から事務・権限の移譲を受けることができる。広域連合が処理する主な事務には、後期高齢者医療や介護認定審査などがあり、多角的な事務処理を通じて広域的な行政目的を達成することが可能な仕組みとなっている。

    前半の記述は正しい。すべての広域連合が国からの事務・権限の移譲を受けられるわけではない。国からの事務・権限の移譲を受けられるのは、都道府県が加入する広域連合だけである。市町村が加入する広域連合は、都道府県からの事務・権限の移譲を受けられる。

  • 69

    日本における市町村合併の歴史をみると、「明治の大合併」で7万以上あった市町村が約1万5千まで減少し、「昭和の大合併」で約1万あった市町村が約2千弱まで減少している。両者とも政府主導の市町村合併であることは共通しているが、「明治の大合併」は富国強兵を目的とした小規模町村の新設合併であったのに対し、「昭和の大合併」は民主化を目的とした大規模都市による近隣町村の編入合併であった点が相違している。

    「昭和の大合併」(1952年~61年)で、約1万の市町村が3,472に減少した。「明治の大合併」は富国強兵、「昭和の大合併」は民主化というように目的は異なっていたが、小規模町村の新設合併であった点は共通している。

  • 70

    地方債について、平成17年度以前は都道府県、政令指定都市及び市町村が地方債を発行する場合には全て国の許可が必要であったが、平成18年度からは許可制が同意制になった。これによって、地方債の発行は、全て国と地方の間での協議の下で国が同意を与えるという仕組みに改められたが、国が同意を与えない場合でも、地方公共団体は地方議会の承認を得た場合には地方債を発行することができることとなっている。

    2005年以前は地方債を発行する場合、都道府県と政令指定都市は国の許可、一般の市町村は都道府県知事の許可が必要とされていた。

  • 71

    地方分権一括法の制定により、国で行っていた様々な事務が自治体の権限で行えるようになったが、農業施策に関しては、食糧自給率等の国としての方針を実現するため、土地面積にかかわらず、農地転用には国の許可が必要となっている。

    土地面積にかかわらず、農地転用に国の許可は不要である。農地を転用する場合は、原則として都道府県知事または指定市町村の長の許可が必要とされる。

  • 72

    中核市とは、政令で指定する人口、面積及び昼夜人口比率の要件を満たす市をいい、指定されると都道府県から一定の事務権限が移譲されるが、廃棄物処理施設の許可や児童相談所の設置の権限は移譲されない。

    中核市は、2014(平成26)年の地方自治法改正により、面積および昼夜人口比率の要件がなくなり、現在は人口20万人以上であることのみが要件とされている。中核市には、児童相談所の設置の権限はないが、廃棄物処理施設の許可の権限が移譲されている。

  • 73

    広域連合とは、普通地方公共団体及び特別区の事務で広域にわたり処理することが適当と認めるものに関し、広域計画を作成し、広域計画の実施のために必要な連絡調整を図り、その事務の一部を広域にわたり総合的に処理するための組合である。

    妥当である。

  • 74

    住民投票制度とは、住民の投票により意思決定を行う制度であり、普通地方公共団体において条例を制定して住民投票を実施するため、憲法や法律に根拠を有する住民投票制度はない。

    憲法95条において、一地方公共団体にのみ適用される法律(地方特別法)を制定する場合、憲法に根拠を有する住民投票を実施しなければならない旨が規定されている。また、地方自治法や大都市地域特別区設置法といった法律に基づいて行われる住民投票もある。

  • 75

    自治事務とは、地方公共団体の処理する事務のうち、法定受託事務を除いたもので、主なものに戸籍に関する事務や旅券の交付があり、地方公共団体は法令に反しない限り、自治事務のすべてについて条例を制定することができる。

    戸籍に関する事務や旅券の交付は、法定受託事務に分類される。自治事務について、法令に反しない限りすべての事項に関して条例を制定することができるのは正しい。

  • 76

    第二次世界大戦後の我が国の地方制度改革では、日本国憲法の第8章に「地方自治」の章が創設された。その後、「地方自治の本旨」が初めて規定されたのが地方自治法であり、これにより都道府県が完全自治体となり、首長が公選から官選に改められるなど、地方分権が進んだ。

    「地方自治の本旨」が初めて規定されたのは、地方自治法ではなく日本国憲法である。また、地方制度改革により、首長は「官選から公選」に改められた。

  • 77

    我が国で昭和24(1949)年に提出されたシャウプ勧告は、国と地方の事務の再配分において、都道府県を第一優先とし、そのためには都道府県の財政基盤を強化する必要があることを主張し、国の負担する補助金の整理、国税と地方税の融合、地方財政平衡交付金制度の創設から成る三位一体の改革を提言した。

    シャウプ勧告と三位一体の改革は全く別のものである。シャウプ勧告とは、1949(昭和24)年に来日したシャウプ税制使節団により作成された税制改革案のことであり、地方税制の再編と地方財政の強化が提言された。三位一体の改革とは、2004(平成16)年に成立した三位一体改革関連三法(所得譲与税法、改正地方交付税法、改正地方税法)に基づき、国の財政負担を軽くし、地方分権を確立し地方自治体に自主性を高めるために実施された税財政改革のことである。

  • 78

    アングロ・サクソン系諸国では、国の地方下部機構が簡素で早くから広域的な自治体に転化したこと、警察が自治体である市町村の所事項とされたことなどから、この地方自治は分権型の地方自治と呼ばれている。

    妥当である。イギリス、アメリカなどのアングロ・サクソン系諸国では、統一国家を形成する過程において、中央政府がそれほど強権的な支配を行わずとも国民国家の統一を維持していくことができたため、従来から存在した地方団体の自治権がほぼそのまま容認された。

  • 79

    アングロ・サクソン系諸国では、中央政府には内政の総括官庁というべき内務省が設置され、府県レベルでは、中央政府の各省所管の事務権限の執行を内務官僚の官選知事が一元的に調整している。

    本肢は、ヨーロッパ大陸系諸国に関する記述である。アングロ・サクソン系諸国では、国の地方下部組織が簡素であり、分権型の地方自治とよばれている。

  • 80

    ヨーロッパ大陸系諸国では、自治体の事務権限を法律で定めるに際して、制限列挙方式を採用しており、自治体が実施しうる事務、自治体が行使しうる権限を個別に明確に列挙している。

    本肢は、アングロ・サクソン系諸国に関する記述である。ヨーロッパ・大陸系諸国では、国の事務権限と自治体のそれを整然と分離せずに授権する概括授権方式を採用している。

  • 81

    ヨーロッパ大陸系諸国では、自治体の権限の範囲をめぐって訴訟が提起されることが多く、地方自治法の解釈は判例によって形成されており、自治体に対する統制は立法的統制と司法的統制が中心である。

    本肢は、アングロ・サクソン系諸国に関する記述である。アングロ・サクソン系諸国では、自治体の事務権限を定める授権法に、自治体が実施しうる事務、自治体が行使しうる権限を一つ一つ個別に列挙する制限列挙方式を採用しており、自治体は法律で明示的に授権された事務権限しか執行してはならないとされる。そのため、自治体の権限の範囲をめぐって訴訟が提起されることが多い。

  • 82

    ヨーロッパ大陸系諸国では、同一地域内に市町村、府県の地方事務所、国の地方出先機関が並存しており、各政府の行政サービスは相互に分離された形で市民に提供される。

    本肢は、アングロ・サクソン系諸国に関する記述である。アングロ・サクソン系諸国では、国と地方の事務権限が明確に区別されているために、国が地方で仕事をする場合には、そのための出先機関を作る必要があり、その結果、国の出先機関と地方の機関とが相互無関係に並存している。

  • 83

    平成の大合併では、「民主化」政策において、地方分権を進めるためには、おおむね中学校一つの運営規模に当たる8,000人を人口の基準として、市町村を構成する必要があるとされ、その結果として、市町村の数は約3,200から約1800に減少した。

    人口8,000人を基準としたのは、平成の大合併ではなく、昭和の大合併である。なお、2019年7月時点で、市町村の数は1.718となっている。

  • 84

    大阪市は東京市、京都市、千葉市とともに府県からの独立を求めて、特別市制運動を展開していた。しかし、第二次世界大戦中に都市の防衛が課題になるにつれ、大阪府と大阪市の二重行政の解消が課題となったことから、大阪市を廃止し、これを大阪府に吸収合併して、新たな大阪府を創設した。

    特別市制運動は、東京市、大阪市、京都市によるものであり、千葉市は入っていない。また、大阪市が廃止され、大阪府に吸収合併されて新たな大阪府が創設されたことはない。

  • 85

    米国の地方自治における市会・市支配人制は、議会の議員と市支配人(シティーマネージャー)がそれぞれ住民の選挙で選出され、議会が政策の立案、市支配人が政策の執行に当たる仕組みであり、市支配人は、議会ではなく住民に対して行政の運営の責任を負っている。

    アメリカの市会・市支配人制は、市会が都市行政に卓越した能力をもつ人を市支配人に任命し、市の執行権を全面的に委ねることにより行政各部門に対する指揮監督権を一元的に続合するという制度である。したがって、市支配人は住民の選挙で選出されるわけではない。 また、市支配人は住民ではなく議会に対して行政運営の責任を負っている。

  • 86

    アングロ・サクソン系に関して地方政府の事務権限を定めるに際して、制限列挙方式が採られ、その範囲を逸脱した行為は越権行為となる。

    妥当である。アングロ・サクソン系で採用されている制限列挙式では、自治体は法律で明示的に授権された事務権限しか執行してはならないとされる。そのため、自治体の権限の範囲をめぐって訴訟が提起されることが多い。

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    問題数 4812/19/2024

    その1

    問題数 8112/27/2024

    マクロ経済学

    問題数 741/1/2025

    マクロ経済学2

    問題数 721/1/2025

    ミクロ経済学

    問題数 571/2/2025

    その1

    問題数 751/4/2025

    その2

    問題数 831/4/2025

    その3

    問題数 641/4/2025

    その1

    問題数 891/10/2025

    憲法

    問題数 261/14/2025

    その2

    問題数 961/16/2025

    行政法

    問題数 181/19/2025

    そのI

    問題数 261/21/2025

    その3

    問題数 931/23/2025

    文化史

    問題数 701/28/2025

    政治学 一問一答

    問題数 981/30/2025

    近代ヨーロッパの誕生

    問題数 112/4/2025

    16〜18世紀のヨーロッパ

    問題数 202/4/2025

    市民社会の成長

    問題数 222/4/2025

    ウィーン体制と19世紀の欧米諸国

    問題数 322/4/2025

    米ソ冷戦

    問題数 92/4/2025

    第二次世界大戦後のアジア

    問題数 112/5/2025

    第一次世界大戦からの中東

    問題数 92/5/2025

    農作物

    問題数 92/5/2025

    エネルギー資源

    問題数 152/5/2025

    地形

    問題数 162/5/2025

    東アジア

    問題数 282/5/2025

    南アジアと西アジア

    問題数 132/5/2025

    アフリカ

    問題数 62/5/2025

    アングロアメリカ

    問題数 122/5/2025

    ラテンアメリカ

    問題数 102/5/2025

    オセアニア

    問題数 72/5/2025

    財政理論の基礎

    問題数 232/8/2025

    日本の財政制度・事情

    問題数 342/9/2025

    政党

    問題数 502/9/2025

    予算過程

    問題数 252/11/2025

    立法過程、政策過程

    問題数 242/11/2025

    官僚制

    問題数 82/11/2025

    権力分立

    問題数 232/11/2025

    財政投融資

    問題数 82/12/2025

    租税

    問題数 532/12/2025

    公債

    問題数 392/13/2025

    古代政治思想・近代政治思想

    問題数 202/13/2025

    戦後の日本財政

    問題数 112/14/2025

    地方財政

    問題数 192/14/2025

    財政事情の国際比較

    問題数 102/14/2025

    社会契約論

    問題数 152/14/2025

    保守主義・功利主義・自由民主主義

    問題数 142/14/2025

    現代政治学・政治システム論・現代政治思想

    問題数 152/14/2025

    アメリカ行政学形成から正統派政治学まで

    問題数 312/15/2025

    正統派政治学の批判から能率まで

    問題数 312/15/2025

    その一

    問題数 352/16/2025

    科学的管理法と古典的組織論

    問題数 72/17/2025

    人間関係論・現代組織論・

    問題数 302/17/2025

    生体の構造

    問題数 322/18/2025

    日本の行政組織

    問題数 312/18/2025

    行政改革

    問題数 192/18/2025

    生体内の代謝

    問題数 222/19/2025

    日本の行政改革の流れ

    問題数 162/19/2025

    官僚制論

    問題数 192/19/2025

    公務員制度

    問題数 172/19/2025

    刺激の受容と反応

    問題数 202/22/2025

    国際会議

    問題数 222/22/2025

    法律そのI

    問題数 382/22/2025

    法律その2

    問題数 312/23/2025

    経済財政・通商・環境、男女共同参画、白書

    問題数 182/24/2025

    観光・防衛・厚生労働・防災、白書

    問題数 172/24/2025

    高齢社会・消費者・警察・情報通信、白書

    問題数 162/24/2025

    1

    問題数 712/24/2025

    アメリカ大統領選・中国・パレスチナ・中東情勢

    問題数 212/25/2025

    2

    問題数 732/25/2025

    ウクライナ戦争・BRICS・NATO・台湾情勢

    問題数 152/26/2025

    韓国情勢・IPEFの発行・ヨーロッパでの選挙

    問題数 172/26/2025

    政治学

    問題数 172/26/2025

    体内環境の恒常性と調節

    問題数 172/26/2025

    政策決定

    問題数 262/26/2025