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1
行政行為の拘束力とは、行政行為がたとえ違法であっても、無効と認められる場合でない限り、権限ある行政庁が取り消すまでは、一応効力のあるものとして通用する効力であり、規律力とも呼ばれている。
行政行為の拘束力とは、行政行為はその内容に応じて、相手方および行政庁を拘束する効力をいう。本肢は、行政行為の公定力の説明である。したがって、「拘束力」の部分が誤りである。
2
行政行為の不可変更力とは、一定期間が経過すると私人の側から行政行為の効力を裁判上争うことができなくなる効力であり、形式的確定力とも呼ばれている。
行政行為の不可変更力とは、行政行為を行った行政庁は、任意に当該行政行為を変更したり取り消したりすることができないという効力であり、一般の行政行為には認められず、紛争を解決するための裁断的行政行為(審査庁の裁決など)にのみ認められる。本肢は行政行為の不可争力の説明である。したがって、「不可変更力」の部分が誤りである。
3
行政行為には公定力が認められるが、公定力の実定法上の根拠は、国家権力に対する権威主義的な考えに求められ、取消訴訟の排他的管轄には求めることはできない。
行政行為の公定力とは、たとえ違法な行政行為であっても当然に無効と取り扱われるのではなく、取消権限ある者によって取り消されたり、行政不服申立てや行政事件訴訟法などの所定の手続によって取り消されなければ、その行政行為は何人も有効なものとして取り扱わなければならないという効力である。公定力を直接規定する法律上の根拠はないが、行政事件訴訟法において行政行為の効力を否定する裁判の形を特に規定していることから、そのような手続を経なければ行政行為は有効なものとして取り扱われるとするのである(取消訴訟の排他的管轄)。したがって、「国家権力に対する権威主義的な考えに求められ、取消訴訟の排他的管轄には求めることはできない」という部分が誤りである。
4
行政行為の効力が発生するのは、特段の定めのない限り、行政行為が相手方に到達した時、すなわち、相手方が現実に了知し、又は相手方の了知し得べき状態に置かれた時であると一般に解されている。
妥当である。判例も公務員の任免行為につき、「特定の公務員の任免の如き行政庁の処分については、特別の規定のない限り、意思表示の一般的法理に従い、その意思表示が相手方に到達した時と解するのが相当である。即ち、辞書の交付その他公の通知によって、相手方が現実にこれを了知し、または相手方の了知し得べき状態におかれた時と解すべきである」とする。
5
行政行為の撤回は、公益に適合することから、撤回権者の範囲は広く認められ、処分庁のみならず監督庁もこれを行うことができると一般に解されている。
撤回は、処分庁のみができ、監督庁はすることができない。したがって、「監督庁もこれを行うことができると一般に解されている」の部分が誤りである。
6
違法行為の転換とは、ある行政行為が法令の要件を充足していないにもかかわらず、別の行政行為としてみるとこれを充足しているような場合に、その別の行政行為であるとしてその効力を維持することをいう。
妥当である。違法行為の転換の説明として正しい。 ある行政行為が違法である場合、仮にそれが別の行政行為として法の要件を満たしていたときは、これを後者の行為として扱うことが許されることがあります。 これを「違法行為の転換」といいます。
7
取消訴訟の排他的管轄に服するのは、取り消し得べき行政行為であり、無効の行政行為は、取消訴訟の排他的管轄に服しない。
妥当である。取り消し得べき行政行為は取消訴訟の排他的管轄に服し、正式に取り消されるまではその効力を維持する(公定力)。これに対し、無効の行政行為は、初めから何の効力もなく、取消訴訟の排他的管轄にも服さない。
8
書面によって表示された行政行為は書面の作成によって成立し、当該行政行為が、行政機関の内部的意思決定と相違していても、正当の権限ある者によってなされたものである限り、当該書面に表示されたとおりの行政行為があったものと認められる。
行政行為において、行為機関の内部的意思決定と相違する書面が作成された場合でも、正当な権限を持つ者によって作成された場合は、その書面に記載されている行政行為が成立したものとみなされます。
9
行政処分が当然無効であるというためには、処分に重大かつ明白な瑕疵がなければならないが、瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、容観的に誤認が一見看取し得るものかどうかだけではなく、行政庁が怠慢により調査すべき資料を見落としたかどうかといった事情も考慮して決すべきであるとするのが判例である。
本記述にある通り、行政庁が怠慢により調査すべき資料を見落としたかどうかといった事情も考慮して決すべきである、とする説もある(調査義務違反説)。しかし、判例の立場は、瑕疵が重大かつ明白であれば無効の行政行為である、とする。したがって、「行政庁が怠慢により調査すべき資料を見落としたかどうかといった事情も考慮して決すべきであるとするのが判例である」の部分が誤りである。
10
一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのものであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請をしんしゃくしてもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に該処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められる場合には、当該処分は当然無効であるとするのが判例である。
妥当である。行政処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合、当該行政処分は当然に無効であり、不可争力は生じないため当該行政処分の無効をいつでも争うことができる。 課税処分については、本記述のとおり課税庁と被課税者との間にのみ存するものであるため重大な瑕疵があれば無効となり明白な瑕疵は要求されない。
11
建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断が、もともとは一体的に行われていたものであり、同一の目的を達成するために行われるものであること等を考慮しても、安全認定を受けた上で建築確認がなされている場合は、当該安全認定が取り消されていない限り、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することはおよそ許されないとするのが判例である。
東京都建築安全条例における安全認定(先行処分)と建築基準法における建築確認(後行処分)については違法性の承継が認められ、安全認定の争訟期間経過後であっても、安全認定の瑕疵を理由として建築確認の取消しを求めることができる。したがって、「当該安全認定が取り消されていない限り、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することはおよそ許されないとするのが判例である」の部分が誤りである。
12
村農地委員会が農地について小作人の請求がないにもかかわらず、その請求があったものとして旧自作農創設特別措置法施行令第43条に基づいて定めた農地買収計画を、同計画に関する訴願裁決で同令第45条により買収を相当とし維持することは、村農地委員会が買収計画を相当と認める理由を異にするものと認められ違法であるとした。
判例は本記載の事案について、「旧自作農創設措置法施行令第43条による場合と同令45条による場合とによって、村農地委員会が買収計画を相当と認める理由を異にするものとは認められない」ことを理由に、「訴願裁決において、村農地委員会が同令43条に基づいて定めた農地買収計画を、同45条により相当と認めることは違法であるとはいえない」と判示した。したがって、本肢の「村農地委員会が買収計画を相当と認める理由を異にするものと認められ違法であるとした」の部分が誤りである。
13
農地買収計画の異議棄却決定に対する訴願の提起があるにもかかわらず、その裁決を経ないで、県農地委員会が訴願棄却の裁決があることを停止条件として当該農地買収計画を承認し、県知事が土地所有者に買収書を発行したという瑕疵は、その後、訴願棄却の裁決があったことによっても治癒されないとした。
判例は本記載の事案について、「県農地委員会が訴願棄却の裁決があることを停止条件として農地買収計画を承認し、県知事が土地所有者に買収書を発行したという瑕疵は、その後、訴願棄却の裁決がなされたことによって治癒された」と判示した。したがって、本肢の「瑕疵は、その後、訴願棄却の裁決があったことによっても治癒されないとした」の部分が誤りである。
14
法人税青色申告についてした更正処分の通知書が、各加算項目の記載をもってしては、更正にかかる金額がいかにして算出されたのか、それが何ゆえに会社の課税所得とされるのか等の具体的根拠を知る手段がない場合、更正の付記理由には不備の違法があるが、その瑕疵は後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされれば、それにより治癒されるとした。
判例は本記載の事案について、「法人税更生処分の通知書における付記理由の不備の瑕疵は、後日の審査裁決において処分の具体的根拠を明らかにされたとしても、それにより治癒されない」と判示した。したがって、本肢の「その瑕疵は後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされれば、それにより治癒されるとした」の部分が誤りである。
15
最高裁判所の判例では、都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向って取り消されたとき、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできないとした。
妥当である。判例は、本件使用許可の取消につき、補償を求めることはできないとした。
16
最高裁判所の判例では、優生保護法による指定を受けた医師が指定の撤回により被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合であったとしても、法令上その撤回について直接明文の規定がなければ、行政庁は当該指定を撤回することはできないとした。
判例は、本肢の場合、法令上その撤回について明文の規定がなくても、行政庁は当該指定を撤回することができるとする。
17
行政行為の撤回は、その理由が行政庁の責めに帰すべき事由によって生じたときは、相手方の利益を保護する必要があるため、いかなる場合であっても、当該行政行為の効力をその成立時に遡って失わせる。
行政行為の撤回の効果は遡及せず、将来に向かってのみ発生する。この点、本肢のような例外はない。なお、行政行為の撤回は、瑕疵なく成立した行政行為を消滅させるものである。 よって、撤回の理由が行政庁の責めに帰すべき事由によって生じたときは、相手方の利益を保護する必要がある。したがって、「いかなる場合であっても〜効力をその成立時に遡って失わせる」の部分が誤りである。
18
行政行為の撤回とは、行政行為が当初から違法又は不当であったと判明したときに、そのことを理由に行政庁が当該行政行為の効力を消滅させることをいう。
本肢は、「撤回」ではなく「取消し」の説明をしているので誤りである。撤回は、瑕疵なく成立した行政行為を、その後の事情の変化により消滅させるものである。
19
行政行為が無効とされるのは、行政行為に内在する瑕疵が重要な法規違反であることと、瑕疵の存在が明白であることとの2つの要件を備えている場合である。
妥当である。判例も、行政行為の違法性(瑕疵)が重大つ明白な場合には、当然にその効力(公定力)が否定されるとしている。
20
撤回権の留保とは、行政行為について撤回権を明文で留保する附款であり、撤回権を留保していれば、行政庁は理由が無い場合でも本体たる行政行為を自由に撤回することができる。
撤回権の定義として、本記載の内容は正しい。但し、撤回権の留保は、正当な理由がないと認められないと解されている。したがって、本の「行政庁は理由がない場合でも本体たる行政行為を自由に撤回することができる」の部分が誤りである。
21
法律効果の一部除外とは、法令が一般にその行政行為に付した効果の一部を発生させないこととする附款であり、法律の認めた効果を行政庁の意思で排除するものであるから、法律効果を除外するには法律の根拠が必要である。
妥当である。法律効果の一部除外の説明として、本肢の記載は正しい内容である。なお、法律効果の一部除外の例としては、国家公務員等の旅費に関する法律46条1項がある。
22
法律上附款を付すことができる場合であっても、当該法律の目的以外の目的で附款を付すことは許されず、例えば、都市景観の見地から、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の適用に当たって、風俗営業の設備のネオンの色彩を附款により指定することは許されない。
妥当である。本体たる行政行為の根拠法規の目的に反したり、平等原則、比例原則に違反する附款は許されない。
23
附款に瑕疵がある場合、附款も行政行為の一部であるから、附款だけの取消訴訟を提起することができるが、その附款がなければ当該行政行為がなされなかったと客観的にいえるようなときは、当該附款だけでなく行政行為全体が瑕疵を帯びるものと解され、当該附款だけを対象とする取消訴訟は許されない。
妥当である。附款と本体たる行政行為が不可分の関係にある場合、附款に瑕疵があれば附款だけでなく行政行為全体が瑕疵を帯び、附款だけの取消訴訟は許されなくなる。
24
直接強制は、行政上の義務者の身体又は財産に直接強制力を行使して義務の履行があった状態を実現するものであり、その性質上、法令の根拠が必要であるが、条例は住民の代表機関である議会によって制定されたものであるから、条例を根拠として直接強制を行うことができると一般に解されている。
行政代執行法1条は「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」としており、行政代執行法2条の表現(「法律(法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む。以下同じ)により~」から、行政上の義務の履行確保の手段である直接強制の根拠となる「法律」には、条例は含まれない。したがって本肢が条例を根拠として直接強制を行うことができるとする部分が誤りである。
25
執行罰は、行政上の義務者に一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しない場合にこれを強制的に徴収するものであるが、相手方が義務を履行するまで反復して執行罰を課すことは、二重処罰を禁止した憲法の趣旨に照らし、許されない。
執行罰は、相手方に行政上の義務の履行を自らさせるために一定額の過料を科すことを通知するものであり、性質上反復して課すことが予定されている。したがって本肢が反復して執行罰を課すことが許されないとする部分が誤りである。
26
農業共済組合が、法律上特に独自の強制徴収の手段を与えられながら、この手段によることなく、一般私法上の債権と同様、訴えを提起し、民事執行の手段によって債権の実現を図ることは、当該法律の立法趣旨に反し、公共性の強い農業共済組合の権能行使の適正を欠くものとして、許されないとするのが判例である
妥当である。判例は本肢のように述べ、法律上独自の強制徴収の手段が与えられているのに民事執行の手段によって強制履行をさせることはできないとしている。
27
行政代執行をなし得るのは、原則として代替的作為義務であるが、非代替的作為義務であっても、他の手段によって履行を確保することが困難であり、かつ、不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、例外的に行政代執行をなし得ることが行政代執行法上定められている。
行政代執行は、義務者が履行しない場合に行政が代わってその内容を実現するものであり、本来的に非代替的作為義務では不可能である。なお本肢にいう「他の手段によって履行を~放置することが著しく公益に反すると認められるとき」は、代替的作為義務について行政代執行を行う場合の要件となっている(行政代執行法2条)。したがって本肢が「非代替的作為義務であっても」行政代執行ができることが「行政代執行法上定められている」とする部分が誤りである。
28
行政代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、いつでもこれを呈示しなければならない。
妥当である。行政代執行法4条に本肢の内容が規定されている。
29
行政代執行の対象となる行為は、法律により直接に命ぜられ、又は法律に基づき行政庁により命ぜられた行為であり、他人が代わって行うことができるものに限られるが、ここでいう「法律」には条例は含まれない。
代執行の対象となる代替的作為義務には、「法律により、直接に命じられた行為」と「法律に基づき行政庁により命じられた行為」を履行する義務がある。ここでいう「法律」には条例が含まれると解釈されている。したがって、「ここでいう「法律」には条例が含まれない」の部分が誤りである。
30
行政代執行を行うためには、他の手段によって行政代執行の対象となる行為の履行を確保することが困難であることに加え、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められることが必要である。
妥当である。行政代執行を行うには、代替的作為義務の不履行があるだけでは足りず、本記述のとおり「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき」でなければならない(行政代執行法2条) これは、行政代執行という行政機関の実力行使に対して慎重さを求めるためと解されている。
31
行政代執行を行うためには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨を予め文書で戒告しなければならず、義務者が当該戒告を受けて指定の期限までにその義務を履行しないときは、行政庁は代執行令書をもって代執行を行うべき時期等を義務者に通知しなければならないが、私人の権利保護の観点から、いかなる場合においてもこれらの手続を省略することは認められていない。
代執行をする場合、まず文書で戒告(最終告)を行う。それでも、義務の履行がないときは、代執行書で通知(代執行の時期や代執行の際、どれだけ費用がかかるかの概算)を行うことになる。しかし、緊急性が高い場合は、戒告・通知を省略することができる(行政代執行法3条3項)。したがって、「いかなる場合においてもこれらの手続を省略することは認められない」の部分が誤りである。
32
即時強制は、私人の身体・財産に直接実力を加える作用であるから、行政手続法上の不利益処分に該当するため、同法に定められた不利益処分を行う際の手続にのっとって行われなければならない。
行政手続法が定める不利益処分は、「行政庁が法令に基づき特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し又はその権利を制限する処分」(同法2条4号)であるが、即時強制は事実行為であり、行政手続法の対象とならない。したがって、「行政手続法上の不利益処分に該当するため、同法に定められた不利益処分を行う際の手続にのっとって行われなければならない」の部分が誤りである。
33
行政刑罰と行政上の秩序罰を併科することは、二重処罰を禁止した憲法第39条に違反する。
判例は、秩序罰としての過料と刑罰は目的、要件及び実現の手続を異にし、必ずしも二者択一の関係にないから併料を妨げず、憲法39条には反しないとしている。したがって、本記述の「二重処罰を禁止した憲法第39条に違反する。」の部分が誤りである。
34
地方公共団体の条例・規則違反に対する過料は、非訟事件手続法の規定により、他の法令に別段の定めがある場合を除いて、過料に処せられるべき者の住所地の地方裁判所によって科されることになる。
地方公共団体の条例・規則違反に対する過料は、非訟事件手続法の規定によることなく、地方公共団体の長が科すことができる(地方自治法149条3号、255条の3)。したがって、本記述の「非訟事件手続法の規定により~科されることになる。」の部分が誤りである。
35
直接強制とは、行政上の義務を義務者が履行しない場合に、行政庁が義務者の身体又は財産に直接実力を加え、義務が履行されたのと同一の状態を実現することをいう。
妥当である。直接強制の定義は本記述のとおりである。
36
即時強制とは、あらかじめ課された義務の存在を前提とせず、行政上の目的を達するため、直接身体又は財産に対して有形力を行使することをいう。
妥当である。即時強制は、直接強制と異なり、義務の存在を前提としない点が特徴である。
37
即時強制は、時間的に切迫した状況で行われることから、いかなる場合であっても、裁判官の令状が権限発動の要件とされることはない。
たとえば、警察官職務執行法3条による保護を24時間を超えて継続する場合、簡易裁判所の裁判官の許可状が必要とされている。したがって、本記述の「いかなる場合であっても〜されることはない」の部分が誤りである。
38
最高裁判所の判例では、漁港管理者である町が当該漁港の区域内の水域に不法に設置されたヨット係留を強制撤去したのは、行政代執行法上適法と認めることができないものであるので、この撤去に要した費用の支出は、緊急の事態に対処するためのやむを得ない措置であるとしても違法であるとした。
本肢のような事例において判例は、漁港管理者である町が係留を強制撤去した行為は、法律の根拠無しに行われたものであるので、漁港法及び行政代執行法上適法と認めることのできないものであるとした。一方、当該撤去行為は、鉄杭を放置すれば船舶事故の危険が高く、緊急事態に対処するためにとられたやむを得ない措置であり民法720条の法意に照らしても公金支出については、その違法性を背認することはできないとしている。よって、撤去に要した公金の支出については違法ではない。したがって、「~この撤去に要した費用の支出は~(中略)~違法であるとした」の部分が誤りである。
39
直接強制は、義務者が義務を履行しない場合に、直接、義務者の身体又は財産に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであるが、直接強制について一般法は制定されておらず、個別法の定めによっている。
妥当である。直接強制についての一般法は制定されておらず、個別法の定めによる。個別法の例としては新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(成田新法)の規定が挙げられる。
40
一定額の過料を課すことを通じて間接的に義務の履行を促す執行罰は、行政罰の一類型であり、相手方の義務の不履行の状態が続いているからといって、反復して課すことはできない。
執行罰は、非代替的作為義務または不作為義務を履行しない場合に強制的に金銭を徴収する制度であり、間接的に履行を強制することを目的とするものである。そのため、行政罰ではなく行政強制に分類される。また、刑罰ではないので義務履行がなされるまで反復して課すことが可能である。したがって、本の「行政罰の一類型」、「反復して課すことはできない」の部分が誤りである。
41
建築確認申請に対して応答を留保した上で行政指導をした場合において、建築主が行政指導に不協力・不服従の意思を表明しているときには、建築主が受ける不利益と行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量し、建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情が存在しない限り、行政指導による確認処分の留保は違法になる。しかし、建築主がいったん行政指導に応じた場合には、行政指導を理由とする確認処分の留保が違法となることはない。
本肢前段は判例のとおりであるが、建築主がいったん行政指導に応じて付近住民との間で紛争解決協議を始めた場合でも、この協議の進行状況等により、建築主において建築主事に対し、処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、建築確認申請に直ちに応答すべきことを求めているものと認められるときには、特段の事情のない限り、それ以降の確認処分の留保は違法となると判示した。したがって、「しかし」以下の本肢後段が誤りである。
42
法律に直接の根拠を持たない製品価格に関する行政指導であっても、これを必要とする事情がある場合に、これに対処するため社会通念上相当と認められる方法によって行われ、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独禁法(注)の究極の目的に実質的に抵触しないものである限り、違法とはいえない。
妥当である。判例は、本件価格協定に関する行政指導が、石油ショックによる原油価格の異常な高騰という緊急事態に対処するために、価格の抑制と民生の安定を目的として行われたものであり、かつ社会通念上相当と認められる方法によるものであったことを指摘し、本肢のとおり判示している。
43
行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項を示せばよく、当該条項に規定する要件まで示す必要はない。
行政指導に携わる者は、行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項だけでなく条項に規定する要件も示す必要がある(行政手続法 35条2項1号、2号)。したがって、「当該条項に規定する要件まで示す必要はない」の部分が誤りである。 行政指導において許認可権を行使する場合、行政手続法では、相手方に対して以下の事項を示す必要があります。 ・許認可等をする権限または許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨 ・その権限の根拠条項等
44
法令に違反する行為の是正を求める行政指導の根拠となる規定が法律に置かれている場合、当該行政指導の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止を求めることができる。また、当該申出を受けた行政機関は応答義務を負うと一般に解されている。
本肢にあるような申し出については、申請(行政手続法7条)とは異なり、当該申出に対して行政機関は応答義務を負わないと一般に解されている。したがって、「当該申出を受けた行政機関は応答義務を負うと一般に解されている」の部分が誤りである。
45
何人も、法に違反する事実があり、その是正のためにされるべき行政指導がされていないと思料する場合は、当該行政指導の根拠となる規定が法律に置かれているときに限り、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導をすることを求めることができる。
妥当である。行政手続法36条の3第1項のとおりである。
46
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときに、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定めた行政指導指針は、原則として意見公募手続の対象とはならない。
行政指導指針は命令等に該当し(行政手続法2条8号二)、制定に際し、原則として意見公募手続(行政手続法39条1項)が必要である。したがって、「原則として意見公募手続の対象とならない」の部分が誤りである。
47
行政指導は、行政行為と異なり事実行為である表示行為とされるので、行政指導が違法であるとしても、相手方はその取消しを求めて取消訴訟を提起することは原則として認められないと一般に解されている。
妥当である。行政指導は強制力がなく、直接国民の権利義務に影響を与えるものとはいえないので、原則として行政事件訴訟の対象となる「処分その他の公権力の行使」に該当せず、その取消訴訟の提起は認められない。
48
行政手続法上、行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の内容等を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しなければならないとされている。
妥当である。行政指導は原則として書面による必要がなく、書面の交付を求められたときに行政上特別の支障がある場合を除いて交付しなければならない(行政手続法35条3項)。
49
行政手続法上、行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の内容及び責任者を明確に示さなければならないが、当該行政指導の趣旨については示さなくてもよいとされている。
行政指導の相手方に対して、指導の趣旨および内容ならびに責任者を明示しなければならない(行政手続法35条1項)。したがって、「趣旨~示さなくてもよい」の部分が誤りである。
50
行政手続法上、申請の取下げ又は内容の変更を決める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならないとされている。
妥当である。申請者が自己の申請に対する確認処分を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる申請者の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない(行政手続法33条)。
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成文法・不文法、法解釈、人権共有主体性、新しい人権、法の下の平等、表現の自由、自由権、社会権、罪刑法定主義
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司法改革、刑法、民法、選挙の原則、選挙制度
国際政治
市場構造の区分と企業、市場機構
市場の失敗、GDP、経済成長率と景気循環、国民所得決定論、IS・LM分析
財政の機能、予算制度、財政投融資・租税、公債
地方財政、通貨制度・金融、中央銀行と金融政策、物価の変動
失業と雇用、金融と金融政策、近年の経済政策、国際収支
国際収支と貿易、外国為替のルール、為替相場決定要因と影響
日本の経済推移の指標、主な経済学説
憲法2
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憲法level1
憲法level1その2
憲法level1その3
憲法level1その4
民法level1
民法level1その2
民法level1その3
民法level1その4
民法level1その5
民法level1その6
行政法level1その2
行政法level1その3
その1
その2
行政法level1その4
その3
行政法level1その5
その4
その5
その6
その7
その8
その1
その2
マクロ経済学
マクロ経済学2
ミクロ経済学
その1
その2
その3
その1
憲法
その2
行政法
そのI
その3
文化史
政治学 一問一答
近代ヨーロッパの誕生
16〜18世紀のヨーロッパ
市民社会の成長
ウィーン体制と19世紀の欧米諸国
米ソ冷戦
第二次世界大戦後のアジア
第一次世界大戦からの中東
農作物
エネルギー資源
地形
東アジア
南アジアと西アジア
アフリカ
アングロアメリカ
ラテンアメリカ
オセアニア
財政理論の基礎
日本の財政制度・事情
政党
予算過程
立法過程、政策過程
官僚制
権力分立
財政投融資
租税
公債
古代政治思想・近代政治思想
戦後の日本財政
地方財政
財政事情の国際比較
社会契約論
保守主義・功利主義・自由民主主義
現代政治学・政治システム論・現代政治思想
アメリカ行政学形成から正統派政治学まで
正統派政治学の批判から能率まで
その一
科学的管理法と古典的組織論
人間関係論・現代組織論・
生体の構造
日本の行政組織
行政改革
生体内の代謝
日本の行政改革の流れ
官僚制論
公務員制度
刺激の受容と反応
国際会議
法律そのI
法律その2
経済財政・通商・環境、男女共同参画、白書
観光・防衛・厚生労働・防災、白書
高齢社会・消費者・警察・情報通信、白書
1
アメリカ大統領選・中国・パレスチナ・中東情勢
2
ウクライナ戦争・BRICS・NATO・台湾情勢
韓国情勢・IPEFの発行・ヨーロッパでの選挙
政治学
体内環境の恒常性と調節
政策決定