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問題一覧
1
バーノンは、プロダクト・ライフ・サイクル・モデルを唱え、製品ライフ・サイクルの変化に伴って技術と生産、消費のパターンが、先進国から他の国へ移転していくプロセスを通して経営の国際化を説明した。
妥当である。バーノンの提唱したプロダクト・ライフ・サイクル・モデルに関する記述である。バーノンはアメリカの企業を例に、企業の多国籍化の過程を、アメリカで新製品の生産が開始され本国市場で販売される導入期、アメリカから他の先進国にその製品が輸出される成長期、その製品を他の先進国でも生産するようになる成熟期、その製品を人件費などが安い発展途上国で生産するようになる標準化期と分類している。
2
バーノンは、国内志向型企業、現地志向型企業、地域志向型企業、世界志向型企業の4つのパターンに類型化したEPRGプロファイルを示して、国際化の発展プロセスを展開し、経営者の基本姿勢を重視した。
本肢は、パールミュッターが提唱したEPRGプロファイルに関する記述である。なお、EPRGは、それぞれ、国内志向型企業 Ethnocentric、現地志向型企業Polycentric、地域志向型企業 Regiocentric、世界志向型企業 Geocentricであるが、パールミユッターは、企業の国際化の発展段階は、必ずこの順番どおりに進むとは限らないとしている。
3
バーノンは、アメリカ多国籍企業について実証研究を行い、企業組織の国際化が海外子会社の設立、国際事業部の設置、製品別事業部制や地域別事業部制の採用へと移行していくとした。
本肢は、ストップフォードとウェルズが提唱した企業組織の国際化のプロセスに関する記述である。事業部制の採用については、総売上高に占める海外売上高の割合に応じて決まり、割合が大きいと製品別事業部制を、割合が小さいと地域別事業部制を採用する。また、どちらの事業部制を採用したとしても、最終的には両者を合わせたグローバル・マトリックス組織へと移行することになる。
4
C.A. バートレットとS.ゴシャールは、多国籍企業を、四つの類型に分類した。この類型のうち、トランスナショナル型は、資産や能力が分散し、効率が悪い上、マルチナショナル型よりも現地適応の能力が低いとされている。それらの欠点を乗り越えるためにはグローバル型を目指すことが望ましいとされる。
C.A.パートレットとS.ゴシャールは、多国籍企業を、グローバル型、マルチナショナル型、インターナショナル型、トランスナショナル型の四つの類型に分類した。このうち、資産や能力が分散するのはマルチナショナル型の欠点、効率が悪い上、マルチナショナル型よりも現地適応能力が低いのはインターナショナル型の欠点である。2人は、これらの欠点を乗り越えるためにはトランスナショナル型を目指すことが望ましいとした。
5
海外直接投資とは、外国企業の株式や証券などを直接購入し、その配当や利回りを得ることを目的とした投資であり、海外間接投資とは利殖目的でなく、投資対象の企業を海外子会社として経営することを目的とした投資である。
海外直接投資と海外間接投資の記述が逆である。海外直接投資とは、利殖目的でなく、投資対象の企業を海外子会社として経営することを目的とした投資であり、海外間接投資とは、外国企業の株式や証券などを直接購入し、その配当や利回りを得ることを目的とした投資である。
6
1980年代に日本企業の生産性が伸び悩むと、日本では米国企業の経営を見習うべきとする主張が展開される。その代表的存在であるW.G.オオウチは日本企業と米国企業の組織の理念型をそれぞれタイプ」、タイプAとして類型化したほか、日本企業のうちタイプAと類似した経営を行う企業をタイプとして類型化し、タイプの特徴が、高い生産性に結び付くことを示した。
980年代に伸び悩んだのは、日本企業よりも米国企業の方が顕著であり、米国では日本企業の経営を見習うべきとする主張が展開された。その代表的存在がW.G.オオウチだが、オオウチは米国企業の理念型(短期雇用、早い人事考課と昇進、専門化された昇進コース、明示的な管理機構、個人による意思決定、個人責任、人に対する部分的な関わりの七つを挙げている)をタイプA、日本企業の理念型(終身雇用、遅い人事考課と昇進、非専門的な昇進コース、非明示的な管理機構、集団による意思決定、集団責任、人に対する全面的な関わりの七つを挙げている)をタイプ」と類型化して米国の企業を調査したところ、日本企業の特徴を有している企業として米国の優良企業の名前が挙がることが多いことが判明した。そこでオオウチは、そのような組織をタイプZと名付けた。
7
企業の対外直接投資を説明するOLIパラダイムが契機となって、多国籍企業の生成と行動原理を解明しようとする多国籍企業論の研究が活性化する。主な多国籍企業論の研究としては、企業の多国籍化を、専ら取引コストによって説明しようとする募占的相互作用モデルや、取引コスト以外の比較優位によって説明しようとする内部化理論などがある。
多国籍企業論研究の契機となったのは、S.ハイマーの寡占的優位理論である。その後、内部化理論やOLI理論へと発展していくことになった。 また、企業の多国籍化を専ら取引コストによって説明しようとするのは内部化理論、取引コスト以外の比較優位によって説明しようとするのは寡占的相互作用モデルである。
8
1950年代後半には、米国と対比した日本的経営が研究され、終身コミットメントや年功賃金などがその特徴として指摘されるとともに、日本的経営に伴う生産性の低さについても言及された。しかし、日本の高度経済成長期を経て1970年代に入ると、P.F. ドラッカーに代表される欧米の経営学者は、逆に日本的経営を経済成長の重要な要因として評価するようになった。
妥当である。外国による日本企業の評価の変遷に関する記述である。
9
多国籍全業におけるグローバル・イノベーションのパターンは、大きく四つに類化される。 このうち、本国本社がイノベーションの主体で、その成果を海外子会社に適用するタイプが、センター・フォー・グローバル型及びローカル・フォー・ローカル型であり、逆に海外子会社がイノベーションの主体となり、本社が共有しないタイプが、グローバル・フォー・グローバル型である。
多国籍企業におけるグローバル・イノベーションのパターンは、①本国本社がイノベーションの主体で、その成果を海外子会社に適用するセンター・フォー・グローバル型(C.A.バートレットとS.ゴシャールが提示するグローバル型企業がとる)、②海外子会社がイノベーションの主体となり、本社が共有しないローカル・フォー・ローカル型(マルチナショナル型企業がとる)、③海外子会社がイノベーションの主体となり、その成果をグローバルに適用するローカル・フォー・グローバル型(近年みられるようになった)、④本国本社も海外子会社もそれぞれがイノベーションの主体となり、それぞれが生み出したイノベーションをグローバルに適用するグローバル・フォー・グローバル型(トランスナショナル型企業がとる)の四つがある。
10
1970年前後の米国企業の多国籍化を説明したものが、ボストン・コンサルティング・グループによる製品ライフ・サイクル仮説である。この考え方に従えば、製品の導入期には、米国内で生産されて米国市場で販売されるが、製品需要が拡大して成長期に入ると、製品デザインも標準化され他の国で現地生産を行うようになる。さらに、製品デザインの陳腐化の恐れがなくなる成熟期・衰退期には、途上国で生産し輸出するようになる。
1960年前後の米国企業の多国籍化を説明したのは、R.バーノンによる製品・ライフサイクル仮説である。
11
J.H.ダニングは、多国籍企業が特定の国に対して直接投資を行うための条件として、所有優位性、国際化優位性、立地優位性の三つを挙げ、それぞれの頭文字をとってOLIパラダイムと呼んだ。彼によれば、この三つの条件のいずれか一つが満たされた場合に、多国籍企業は直接投資を行う。
J.H.ダニングは、多国籍企業が直接投資をおこなうための条件として、所有優位性(O-advantages)、内部化優位性(I-advantages)、立地優位性(L-advantages)の三つを挙げ、それぞれの頭文字をとってOLIパラダイムと呼んだ。彼によれば、この三つの条件が、0→I→Lの順番ですべて満たされた場合に、多国籍企業は直接投資をおこなうとした。
12
国際的な人的資源管理に関しては、海外子会社で採用した現地従業員と本国から派遣される駐在員にどのような権限や役割を与えるのかを決める必要がある。G.ホフステッドはEPRGプロファイルを提唱し、海外子会社の重要なポストの多くが本国からの駐在員によって占められ、本国が海外子会社の主要な意思決定を行うような経営志向を「世界志向型」と定義した。
EPRGプロファイルを提唱したのは、日.V. パールミュッターである。EPRGプロファイイルによれば、海外子会社の重要なポストの多くが本国からの駐在員によって占められ、本国が海外子会社の主要な意思決定をおこなうような経営志向を「本国志向型」と定義した。このようなタイプの会社では、現地従業員のモチベーションを引き出すのは難しくなる。 G.ホフステッドは世界各国にあるIBM社の社員を調査することにより、国民文化を理解するための指標として、①権力格差、②不確実性回避、③個人主義と集団主義、④女性型と男性型、⑤短期志向と長期志向の五つの文化の次を確認した。
13
C. A.バートレットとS.ゴシャールは、グローバル・イノベーションのパターンを四つに分類した。それらのうち、「センター・フォー・グローバル型」イノベーションとは、海外子会社で生まれた新たな技術や知識が他の国にも適用されることにより、グローバルな利益をもたらすものであり、これは、主に「マルチナショナル型」の多国籍企業において採られるイノベーションのパターンである。
C.A.バートレットとS.ゴシャールは、グローバル・イノベーションのパターンを、「センター・フォー・グローバル型」「ローカル・フォー・ローカル型」「ローカル・フォー・グローバル型」「グローバル・フォー・グローバル型」の四つに分類した。 これらのうち、「センター・フォー・グローバル型」イノベーションとは、本国で生まれた新たな技術や知識が他の国にも適用されることにより、グローバルな利益をもたらすものであり、これは、主に「グローバル型」の多国籍企業において採られるイノベーションのパターンである。 なお、海外子会社で生まれた新たな技術や知識が他の国にも適用されることにより、グローバルな利益をもたらすものは、「ローカル・フォー・グローバル型」イノベーションである。 また、主に「マルチナショナル型」の多国籍企業において採られるイノベーションのパターンは、「ローカル・フォー・ローカル型」イノベーションである。
14
C.A. バートレットとS.ゴシャールは、多国籍企業の組織形態を「マルチナショナル型」と「グローバル型」という二つに分類した。前者は、資源や能力の多くを本社に集中し、海外子会社は本社の戦略を実行するだけの存在になる形態であり、後者は、中核的な能力は本社に集中させるが、その他は海外子会社に分散させる形態である。
C.A.パートレットとS.ゴシャールは、日米欧の多国籍企業の分析から、多国籍企業の組織形態をヨーロッパ企業に多く見られる「マルチナショナル型」、日本企業に多く見られる「グローバル型」、アメリカ企業に多く見られる「インターナショナル型」の三つに分類した。多国籍企業の組織形態についての理念型である「トランスナショナル型」も含め、四つの組織形態の特徴については、以下の表を参照すること。また、2文目について、前半は「グローバル型」、後半は「インターナショナル型」に関する記述である。「マルチナショナル型」は、資産や能力を海外子会社に分散させる形態である。
15
J.H. ダニングが提唱した折衷理論によれば、多国籍企業が直接投資を行うためには、「所有優位性」「内部化優位性」「立地優位性」という三つの条件が満たされることが必要である。 また、その後の研究者たちによって、事前に所有優位性を持っていなくても海外に進出し、それにより新たな優位性を得ようとする企業に注目する研究が行われた。
妥当である。J.H.ダニングが提唱した折衷理論(OLIパラダイム)に関する記述である。妥当である。J.H.ダニングが提唱した折衷理論(OLIパラダイム)に関する記述である。
16
V.ゴビンダラジャンらは、国の文化の違いが、「権力格差」「経済格差」「個人主義」「男性らさ」「不確実性の回避」「長期志向」という六つの次元から把握されることを提唱し、これらのうち経済格差が国の文化の違いを生み出す最も大きな要因であることを明らかにした。
本肢は、G.ホフステッドに関する記述であるが、記述に誤りがある。ホフステッドは、「経済格差」という次を提示しておらず、残りの五つの次を提示した。V.ゴビンダラジャンは、途上国で生まれたイノベーションを先進国に逆流させる、とするリバース・イノベーションの概念を提示した。
17
1970年代前半に」.C.アベグレンは、日本企業の強みを支える経営慣行として、終身雇用、年功賃金及び集団的意思決定を「三種の神器」と呼び高く評価したが、同時期にP.F.ドラッカーは、終身雇用により従業員が訓練を怠り生産性の低下を引き起こすとともに、集団的意思決定により社内の合意を得ることに時間がかかり実行も遅くなるため、日本企業の成長が妨げられていると指摘した。
J.C.アベグレンは、日本企業の強みを支える経営慣行として、終身雇用、年功賃金および企業別組合を「三種の神器」と呼び高く評価した。P.F.ドラッカーは、終身雇用(および年功賃金)により雇用が保証されるため、従業員に安心感が与えられ、訓練にも身が入り生産性の上昇も可能であるとした。また、確かに集団的意思決定(この場合は稟議制度のこと)は時間がかかるが、その後の実行が速やかにおこなわれるとした。なお、ドラッカーが指摘した日本的雇用慣行は、効果的な意思決定(楽議制度のこと)、雇用保障と生産性等との調和(終身雇用や年功賃金のこと)、若手理者の育成である
18
TOB(テイクオーバー・ビッド)とは、企業に属する経営者またはその他の従業員が、自己資金もしくは他の投資家の資金で、自分が所属している企業や事業を買収し、独立することをいう。
TOBとは、ある企業を買収する場合に、不特定多数の株主に対して、株式買付けの価格や株数を新聞などで公告し、株式市場を通さずに株式を買い集める手法のことをいう。
19
MBO (マネジメント・バイアウト)とは、ある企業を買収する場合に、不特定多数の株主に対して、株式買付けの価格や株数を新聞などで公告し、株式市場を通さずに株式を買い集める手法のことをいう。
本肢は、TOBに関する記述である。MBOとは、企業に属する経営者が、自己資金もしくは他の投資家の資金で、自分が所属している企業や事業を買収し、独立することをいう。
20
LBO (レバレッジド・バイアウト)とは、買収対象の企業の資産、将来見込まれるキャッシュ・フローを担保に資金を調達し、企業を買収する手法のことをいう。
妥当である。LBOに関する記述である。
21
ホワイトナイトとは、敵対的買収に対する防衛策の一つであり、対的買収者以外の株主に大量に新株を発行することで、買収者の持ち株比率を低下させることをいう。
本肢は、ポイズン・ピル(毒薬条項)に関する記述である。ホワイトナイトとは、被買収企業にとって友好的な第三者企業のことをいう。ホワイトナイトとなった企業に自社の株式を購入してもらうことで、敵対的買収者の持ち株比率を下げることができる。
22
ゴールデンパラシュートとは、敵対的買収における代表的な防衛策であり、敵対的買収を仕掛けられた企業が、買収を仕掛けた企業に対して、逆に買収を仕掛ける方法のことをいう。
本肢は、パックマン・ディフェンスに関する記述である。ゴールデンパラシュートとは、取締役の退職金を通常よりも高額に設定する契約をあらかじめ結んでおくことをいい、そうすることで、企業買収にかかるコストを引き上げ、敵対的買収者に買収を思いとどまらせることができる。
23
ポイズンピルとは、厳対的買収に対する防衛策の一つで、買収によって経営者が解任された際に、多額の割増退職金を支給することをあらかじめ定めておくことで、買収コストを大きくすることである。
本肢は、ゴールデンパラシュートに関する記述である。
24
企業買収には、敵対的買収と友好的買収がある。敵対的買収とは、買収者が買収される側の企業の経営陣の同意を得ないで買収を行うことをいうが、資金力のある大企業による算占や独占を生む懸念から、我が国では敵対的買収は法律で禁止されている。
企業買収には敵対的買収と友好的買収があるが、敵対的買収は法律で禁止されていない。
25
友好的買収に対して、買収される側の企業は、クラウンジュエルという戦略をとることがある。これは、優良資産以外の不要な資産を他社に売却して、企業価値を上げることで、企業買収に協力することである。
クラウンジュエルは、優良資産を他者に売却して、企業価値を下げることである。
26
公開買付け(TOB)とは、特定の者に対して、公告により株券等の買付け等の申込み、又は売付け等の申込みの勧誘を行い、取引所金融商品市場において株券等の買付け等を行うM&Aの手法の一つをいう。
公開買付け(TOB)は、不特定多数の者に対して、公告により株券などの買い付けなどの申込みの勧誘をおこない、取引所金融商品市場を通さずに、直接株券などの買付けをおこなう。
27
1972年に経済協力開発機構(OECD)が発表したOECD対日労働報告書では、終身雇用制、年功制、産業別労働組合が日本的経営の三種の神器として指摘された。
1972年に発表されたOECD対日労働報告書で指摘されている日本的経営の三種の神器とは、終身雇用制、年功制、企業別労働組合の3つである。
28
オオウチは、「日本の経営」を著し、日本の雇用制度の特色をライフタイム・コミットメントと表現し、従業員採用形式の独自性、福利厚生主義とともに、それらを日本的経営の特徴とみなした。
「日本の経営」を著したのはアベグレンである。この著作においても、上述した日本的経営の三種の神器が指摘されている。
29
マグレガーは、「セオリーZ」を著し、遅い人事考課と昇進、非専門的なキャリア・パス、集団による意思決定、集団責任、人に対する全面的なかかわりが、タイプ」と呼ぶ日本的経営の特徴であると指摘した。
「セオリーZ」を著したのはオオウチである。
30
トヨタのカンバン方式とは、在庫のムダの排除をめざすために、前工程から後工程へ向けて順次加工や組み立てを行っていく押し出し方式をいい、前工程から後工程に指示する情報伝達手段として2種類のカンバンが用いられる。
トヨタのカンバン方式とは、在庫のムダの排除をめざすために、後工程から前工程にはたらきかけて生産量を調整する引っ張り方式である。
31
QCサークルは、同じ職場内で品質管理活動を自主的に行う小グループであり、品質向上やコスト削減のために、自己啓発、相互啓発を行いながら、職場の改善を継続的に行う。
妥当である。QCサークルに関する記述である。
32
J.C. アベグレンは、日本の工場を訪問調査し、1968年に「日本の経営』を著した。その中で、日本の工場は生産方式及び組織的制度が家族的であり、米国の工場に比べて労働コストが低く、生産性に優れているとした。
J.C.アベグレンが「日本の経営」を著したのは1958年のことである。今でこそ、アベグレンは日本的経営を肯定的にとらえているとされるが、「日本の経営」の初版を出版する際は、むしろ日本の工場の生産性の低さを示そうとしていた。その後、新版を出版する際には、日本に対して否定的に評価していた章を削除している。
33
1972年に出版された『OECD対日労働報告書』では、日本における生涯雇用、年功賃金、企業別労働組合という雇用賃金慣行を総称して「日本的雇用制度」(Japanese EmploymentSystem)と呼んだ。
妥当である。アベグレンが紹介した、日本における生雇用、年功賃金、企業別労働組合(いわゆる「三種の神器」)が、1972年に出版された「OECD対日労働報告書」で取り上げられた。
34
企業別労働組合では、仕事の種類に関係なく企業を単位として、基本的には一つの組合で組織される。職種に違いがあるブルーカラーとホワイトカラーも同じ組合に属し、その組合が労便交渉をする主体となっており、一つの組合の中で賃金格差を大きくするのに抵抗感が強いため、日本企業の組織内の職種間賃金格差は米国に比べて小さい。
妥当である。企業別労働組合に関する記述である。
35
終身雇用とは、正規の従業員として採用された場合に、たとえ経営上の大きな困難や従業員の不手際があったとしても、定年まで雇用されるという暗黙の契約である。このため、景気変動に応じて雇用調整を一時的なレイオフという形で頻繁に実施するという特徴は、日本特有のものになっている。
終身雇用は、「たとえ経営上の大きな困難や従業員の不手際があったとしても」定年まで雇用される「暗黙の」契約ではない。状況によっては、懲戒解雇、リストラやレイオフ(業績悪化などを理由とする一時的な解雇)などがおこなわれることもある。
36
戦後の高度成長期の日本企業の資金調達の方法は、メインバンクと呼ばれる銀行から資金を調達する間接金融が中心であった。これは、資本市場を通じて直接的に資金調達する直接金融と異なり、銀行が助言役となっていたため、日本企業の負債比率は、欧米企業に比べてかなり低かった。
日本でメインバンク制が企業の資金調達の主流な方法であった理由は、特定の金融機関と密接な関係を築くことにより、安定的な資金調達が可能となるのみならず、有益な情報や経営に関するアドバイスが得られるなどの大きなメリットがあったからである。現在は、金融自由化により、大企業では株式や社債を発行して資金を調達する直接金融が主流になりつつあるが、中小企業は現在もメインバンクからの融資が多い。 また、日本企業の負債比率は、上記のような状況であったため、かつては70%以上と高い水準にあったが、徐々に低下している。米国企業の負債比率は、50%弱と比較的低い水準となっている。
37
J.C.アベグレンは、『日本の経営」の中で日本企業の人事労務慣行の特徴である終身雇用・年功序列・企業別労働組合を「三種の神器」と呼び、高度経済成長を支えたと指摘した。また、P.F.ドラッカーは、日本の稟議制度に代表される全体の総意による意思決定は、決定に時間がかかる上、制約が多く実行も遅くなると指摘した。
P.F.ドラッカーは、日本の稟議制度について、決定に時間がかかるが実行は迅速に行われると指摘した。
38
W.G.オオウチは、日本企業の組織の特徴として、終身雇用、非専門的なキャリアバス、個人による意思決定を挙げ、その理念型をタイプ」とし、日本企業の組織とは逆の特徴を持つ米国企業の組織の理念型をタイプAとした。また、日本企業の中で、タイプAと類似した特徴を持つ企業をタイプZと呼んだ。
W.G.オオウチは、日本企業の組織の特徴として、終身雇用、非専門的なキャリアパス、集団による意思決定などを挙げた。また、米国企業の中で、タイプ」と類似した特徴を持つ企業をタイプ2とした。
39
戦後の高度経済成長期の日本企業の資金調達は、株式市場・債券市場が未発達・不完全であり、旺盛な資金需要を満たす上でより効率的な直接金融が中心であった。そのため、日本企業の自己資本比率は、高度経済成長期が20%程度であったのに対し、現在は70%を上回っている。
戦後の高度経済成長期の日本企業の資金調達は、銀行などの金融機関から資金を借り入れる間接金融が中心であった。また、日本企業の自己資本比率は、高度経済成長期から1990年代までは20%程度を推移していたが、21世紀に入り年々上昇し、2017年時点で40%を超える程度になっている。
40
同一労働同一賃金の原則とは、質と量が同じ労働に対しては、同額の賃金を支払うべきとする考え方である。我が国では、2020年4月施行のいわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」において、同一企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の基本給や賞与などについて不合理な待遇差を設けることが禁止されている。
妥当である。同一賃金同一労働の原則に関する記述である。
41
フォード・システムとは、自動車の大量生産方式のことであり、製品、部品や生産工程の標準化を徹底し、車台に固定された自動車に作業者が部品を取付けに移動する移動組立方式を取り入れた。
フォード・システムとは、ベルトコンベアによる自動車の大量生産方式のことであり、自動車を車台に固定することはない。
42
ISOとは、国際標準化機構の略称のことで、マネジメントシステムの国際化を進めており、ISO規格には、環境管理のための規格を定めたISO9000シリーズと品質管理のための共通規格を定めたIS O14000シリーズがある。
ISO9000は品質管理の規格、ISO14000は環境管理の規格であり、二つの規格の記述が逆となっている。
43
ジャスト・イン・タイムとは、必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産することであり、後工程が加工に必要な部品を、必要な時に、必要な量だけ、前工程から引き取り、前工程は引き取られた数量だけ生産し、作りすぎの無駄や在庫の無駄をなくそうとする仕組みである。
妥当である。ジャスト・イン・タイムに関する記述である。代表的なものとして、トヨタ自動車が考案したカンバン方式(トヨタ生産方式)がある。
44
テイラー・システムとは、労働者が遂行すべき毎日の作業量である課業を明確に設定し、標準的な条件の提供と賃金による刺激により、労働者に課業を遂行させる課業管理を中心としており、テイラーは課業管理を遂行するにあたり、標準的な労働者の作業を要素作業に分解し、時間研究及び動作研究を行った。
テイラーは、一流の(優秀な)労働者の作業を分析している。
45
フォード・システムとは、製品・部品・生産工程の標準化、作業の細分化・単純化及び移動 組立方式の導入による自動車の生産システムであり、製品・部品の効率的な生産、部品の互換性、安定した製品品質、原価の削減を実現するとともに、顧客の多様なニーズに対応した多品種少量生産を可能とした。
フォード・システムは、少品種大量生産を志向したものであり、顧客の多様なニーズに対応した多品種少量生産を可能とはしていない。
46
QCサークルとは、日本型生産システムの特徴の一つであり、社外から選ばれた、高度な専門知識を持つ品質管理の専門家集団による改善活動である。日本型生産システムでは、単に従業員の作業遂行能力だけでなく、QCサークルなどの諸方策によって、思考力や判断力も含めた幅広い問題解決能力が徹底的に利用されている。
QCサークルは、社内の職場集団による小集団活動である。
47
テクノロジー・プッシュとは、企業内で新技術が開発されて、それを製品化することによって、イノベーションが生じるとする考え方である。これは、技術的限界を突破したいという技術者の探求心や、新たな科学的原理への好奇心などがその原動力となる。
妥当である。テクノロジー・プッシュに関する記述である。これとは逆に、消費者のニーズにこたえることでイノベーションが生じるとする考え方が、ディマンド・プル(マーケット・プル)である。
48
W.J.アバナシーらの研究によると、産業発展段階のうち、流動期においては製品イノベーションが中心となり、移行期には工程イノベーションが増加する。その後、固定期に移行すると、大きなイノベーションが少なくなるとともにコスト削減や品質向上などが重視されるようになる。
妥当である。W.J.アバナシーが提唱した、生産性のジレンマに関する記述である。流動期は製品コンセプトが定まっていないため、製品イノベーションの発生頻度が工程イノベーションを上回り、ドミナント・デザインが確立する移行期には工程イノベーションの発生頻度が高まる一方で、製品イノベーションの発生頻度が低くなる。固定期になると、生産性が重視されるため、両イノベーションとも発生頻度が低くなる。こうして、同一産業内ではどの企業の製品も大きな差異が見出せなくなり、生産性のジレンマにおちいってしまう。
49
J.A.シュンペーターは、イノベーションこそが経済発展の原動力であると主張した。 イノベーションの対象となるのは、新製品の開発、新市場の開拓、新資源の獲得のみであると考えており、新生産方法の採用や組織の改革などは含まれていなかった。
J. A.シュンペーターが主張した内容について、イノベーションの対象は、新製品の開発、新市場の開拓、新資源の獲得に加え、新しい生産手路の開発、新しい組織や産業の担い手の出現の、合わせて5つをあげている。
50
イノベーターのジレンマとは、たとえイノベーションを起こすような新たなアイディアがあったとしても、資金が乏しい企業は新事業への投資ができないため、資金力のある大企業しかイノベーションを起こすことができない状況のことである。
C.M. クリステンセンが主張したイノベーターのジレンマは、リーダー企業が顧客の声を聞き入れ、既存製品の改良を進めていくという論理的かつ的確な経営判断が、かえって分断的技術が作り出す新しい成長市場への参入機会を奪ってしまい、ついにはリーダーから転落してしまう状況のことである。
51
「生産性のジレンマ」とは、業界のリーダー企業が、既存の顧客を重視し、積極的に技術、製品、設備に投資しているにもかかわらず、ある種のイノベーションに直面すると急速に市場での優位性を失うことがあるという現象のことである
本肢は、「イノベーションのジレンマ」に関する記述である。「生産性のジレンマ」とは、産業の成熟化に伴い、生産性は向上するがイノベーションは少なくなる現象である。
52
カンバン方式とは、「必要なときに必要なだけ生産する」ことを目指す生産方式のことである。この方式は、中間在庫を極力減らすことができる一方で、一部の生産プロセスの故障がシステム全体の停止を引き起こすというリスクも抱えている。
妥当である。カンバン方式に関する記述である。
53
ある製品についての部品の構成や部品間の結合に関する在り方のことを製品アーキテクチャという。このうち、自由に組み合わせられる特性を持った製品をインテグラル型の製品と呼び、量的変動に対応しやすいだけでなく、ライバル企業に対する差別化も容易である
製品アーキテクチャについて、2文目前半の「自由に組み合わせられる特性を持った製品」は、インテグラル型の製品ではなく、モジュラー型の製品である。モジュラー型の製品の例としては、デスクトップ型パソコンなどがある。また、2文目後半はモジュラー型の製品の特徴に関する記述だが、部品の供給の状況に影響されるため、必ずしも量的変動に対応しやすいとは言えない。さらに、上記の特徴より、モジュラー型の製品は差別化がはかりにくい。
54
イノベーションの源泉には技術機会と市場機会という二つの捉え方がある。前者は、企業内で開発された新技術が製品化されることでイノベーションが生じるという考え方で、ディマンド・ブルとよばれる。後者は、製品の使用者であるユーザーが新製品のアイデアを出し、場合によっては試作品の開発まで行い、それを基に企業が製品化することでイノベーションが生じるという考え方で、テクノロジー・プッシュとよばれる。
企業内で開発された新技術が製品化されることでイノベーションが生じる考え方は、テクノロジー・プッシュである。ディマンド・プルは、市場のニーズによってイノベーションが生じる考え方である。なお、製品のユーザが新製品のアイデアを出し、場合によっては試作品の開発までおこない、それを基に企業が製品を製品化することでイノベーションが生じる考え方は、ユーザー・イノベーションである。
55
W.J・アバナシーと」.M.アッターバックは、産業の発展段階とイノベーションの発生頻度の関係を明らかにした。流動期は製品コンセプト自体の流動性が高いので、製品イノベーションと工程イノベーションの発生頻度が共に高いが、支配的な製品デザインであるデファクト・スタンダードが確立される移行期には、製品イノベーションの発生頻度が下がり、工程イノベーションの発生頻度の方が高くなる。しかし固定期には、企業間で生産方法が共通化するので、製品イノベーションの発生頻度が上がり、工程イノベーションの発生頻度よりも再び高くなる。
W.J.アバナシーと」.M.アッターバックは、流動期は、製品のコンセプトが固まっていないため、製品イノベーションの発生頻度が高く、工程イノベーションの発生頻度が低い状態、移行期は、ドミナント・デザインが確立されているので製品イノベーションの発生頻度が低くなり、生産の効率化を求めるため工程イノベーションの発生頻度が高くなるとした。そして、固定期には、製品イノベーションも工程イノベーションも、ともに発生頻度が低くなるとした。
56
製品アーキテクチャは、インターフェースの設計方法によって大きく二つに類型化される。 一つはモジュラー型とよばれるもので、部品間で借号や動力をやりとりする連結部分であるインターフェースを標準化することで、機能と部品がほぼ一対一の対応関係をもつアーキテクチャである。他方、機能と部品が多対多の対応関係をもつアーキテクチャはインテグラル型とよばれ、部品間の相互依存問題が頻発するので製品全体を調整する必要が生じる。
妥当である。製品アーキテクチャのインターフェイスの設計方法による分類には、一対一の対応関係をもつモジュラー型(組み合わせ型)と、多対多の対応関係をもつインテグラル型(すり合わせ型)がある。
57
事実上の業界標準が形成されるような産業は、一般にネットワーク外部性が比較的強いという特色がある。ネットワーク外部性の直接効果は、その製品の利用者数が増加すること自体による便益の増大を表し、通信ネットワークなどに当てはまる。間接効果は、その製品の補完財が多様になったり、低価格になったりすることで便益が増大する効果で、我が国の家庭用ゲーム機などに当てはまる。
妥当である。ネットワーク外部性とは、ある財やサービスの利用者が増えれば増えるほど、利用者が得られる利便性や効用が増えることである。
58
ドミナント・デザインの創出に成功した企業は、その製品に最適な生産工程を作り上げるために、工程イノベーションを多数生み出すようになる。やがて工程イノベーションの発生率は低下する一方で生産性は向上するが、製品設計の変化に対する生産のフレキシビリティが低下するため、次の製品イノベーションの機会を失ってしまう。こうした状況はイノベーターのジレンマと呼ばれる。
本肢は、生産性のジレンマ(プロダクティビティ・ジレンマ)に関する記述である。イノベーターのジレンマとは、リーダー企業が顧客の声を聞き入れ既存製品の改良を進めていくという論理的かつ的確な経営判断が、破壊的技術が作り出す新しい成長市場への参入機会を失わせ、リーダーとしての地位から転落してしまうことである。
59
部品間の相互依存性が高いクローズド・インテグラル型の製品では、プラットフォーム戦略が有効に機能する。一方、オープン・モジュラー型の製品では、インターフェースの設計ルールが一社内で閉じているため、プラットフォーム戦略は機能しない。
クローズド・インテグラル型製品とオープン・モジュラー型製品の記述が逆である。プラットフォームとは、オープン・モジュラー・アーキテクチャ製品のシステムを構成する部品のなかで共通して使用される中核部品のことであり、たとえば家庭用ゲーム機やパソコンのOS などが挙げられる。このことから、クローズド・インテグラル型の製品でプラットフォーム戦略が採用される可能性がないことは明らかである。
60
藤本隆宏とK. B.クラークは、製品コンセプト、製品仕様、主要技術の選択において最高の権限を有する重量級プロダクト(プロジェクト)マネジャーを保有している製品開発組織では、機能部門間の調整・統合という内的統合活動と、開発活動の市場ニーズへの適合を図るという外的統合活動が結合し、開発パフォーマンス全体が向上するとした。
妥当である。藤本隆宏とK.B.クラークが提示した重量級プロダクト(プロジェクト)マネジャーに関する記述である。
61
リード・タイムの短縮化を実現する製品開発手法の一つに、各機能部門が業務を同時並行させて製品開発を行うシーケンシャル・エンジニアリングがある。これに対して、製品開発に関わる各部門が、個別に業務を完了させてから次の部門に引き継ぐ方式はコンカレント・エンジニアリングと呼ばれ、起こり得る問題を早期に発見し解決するフロント・ローディングが実現される。
製品・工程マトリックスとは、どの製品がどの工程で製造されるのかを示した図表で、R.H.ヘイズとS.C.ホイールライトが示した一般的なものは、横軸に製品のタイプ、縦軸に工程のタイプを配置している。この分析では、製品タイプとそれに適合する工程タイプが対角線上に存在し、対角線からはずれる場合は、何らかの問題があると認識される。たとえば、少量生産ではプロジェクトやジョブショップ、大量生産ではラインフローや連続フローが工程として適合的である。
62
モジュラー型アーキテクチャの製品においては、部品間のインターフェースが事前に標準化されておらず開発活動の過程で各部品の最適設計を行えるが、部品間の相互依存性が高いため、1990年代にT。J.アレンが存在を明らかにしたゲート・キーパーによる社内調整活動が不可となる
モジュラー型アーキテクチャの製品においては、部品間のインターフェースが事前に標準化されており、それに適合すれば、ある程度独立して各部品の設計がおこなえるので、部品間の相互依存性は低い。 なお、ゲートキーパーは、組織の外部に幅広い人脈を持ち、外部の最新の技術情報を組織にもたらしてくれる人で、高い専門性を持ち、外部の技術情報にも精通し、組織内のコミュニケーションの中心にいる人のことであり、1970年代にT.J.アレンが存在を明らかにした。
63
W.J.アバナシーとJ.M.アッターバックは、イノベーションを製品イノベーションとエ程イノベーションの二つに分類し、両者の発生頻度の組合せに応じて産業の発展段階を流動期、移行期、固定期の三つに分けた。彼らは、ドミナント・デザインの登場によって産業の発展段階が移行期から固定期へと推移し、また、固定期では工程イノベーションの発生頻度が増大していくとした。
ドミナント・デザインの登場によって、産業の発展段階は流動期から移行期へと推移する。 また、固定期では工程イノベーションの発生頻度は製品イノベーションよりも高いが、増大するほどではない。
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H.W.チェスブロウは、自社内と社外のアイデアや技術・知識を有機的に結合させ、新たな価値を創造する活動をオープン・イノベーションと呼んだ。オープン・イノベーションにより、社外のアイデアや技術を見つけて活用することや、自社で有効に活用できない研究成果については他社に譲渡して利益を得ることなども可能となる。
妥当である。オープン・イノベーションに関する記述である。日.W.チェスブロウが提唱した。
65
E.V.ヒッペルは、企業が主体的にユーザーのニーズに関する調査を詳細に行った上で、そのデータ分析を行い、そこから製品のアイデアを練り上げてゆくことをユーザー・イノベーションと呼んだ。ユーザー・イノベーションにおいては、ユーザーが製品開発上の問題を解決することは行わないものの、企業に対して情報提供を積極的に行う。
E.V. ヒッペルは、製品を利用するユーザーが主体になって、イノベーションのアイデアが生み出されることをユーザー・イノベーションと呼び、このように、イノベーションをもたらすアイデアを提供するユーザーを「リード・ユーザー」と呼んだ。ユーザー・イノベーションにおいては、ユーザーが製品開発上の問題を解決し、試作品の作成やテストまで行った例も観察された。
66
C.M. クリステンセンは、かつてはイノベーターであり新技術の開発にも積極的であった既存大企業が、製品の優位性に言頼を置くあまり顧客の評価を徐々に軽視するようになり、やがて持続的イノベーションに優位性をもつ新興企業に取って代わられ衰退してしまう現象をイノベーターのジレンマと呼んだ。
C.M. クリステンセンは、既存大企業が顧客の評価を重視し、既存製品の改良を進めていくという論理的かつ的確な経営判断をしたことによって、やがて破壊的イノベーションに優位性をもつ新興企業に取って代わられ衰退してしまう現象をイノベーターのジレンマと呼んだ。
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ある産業において、流動期を経て大方のユーザーの要求を満足させるドミナント・デザインが一旦確立した後は、産業の成熟化が進む。W.アバナシーらは、成熟化は不可逆的な性質を有するため、成熟した産業は手び流動期に戻ることはなく、成熟化の期間を一定期間経た後は、必然的に衰退期に移行するとした。
W.アバナシーらは、新たなドミナント・デザインがあらわれたことにより、再びその産業が流動期に戻る現象を「脱成熟」と呼び、成熟化は不可逆な性質を有するとはしていない。
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イノベーションを生み出す誘因について、テクノロジー・プッシュとは技術の進歩が新しい製品の開発を刺激し、結果としてイノベーションが生じるとする考え方であり、ディマンド・プルとは市場のニーズが端緒となって研究・技術開発活動が刺激され、その結果としてイノベーションが生じるとする考え方である。
妥当である。イノベーションを生み出す誘因に関する記述である。
69
E.M.ロジャーズは、新製品を採用するまでの時間に応じて顧客を五つのカテゴリーに分類した。このうち、初期少数採用者と定義される、新製品を採用する時期が最も早い顧客は、周りの人々の購買行動に大きな影響を与えるオピニオンリーダーとしての性格を有する者であり、全体の約25%を占めている。
E.M.ロジャーズが分類した五つの顧客のカテゴリーのうち、新製品を採用する時期が最も早い顧客は「革新的採用者」と定義され、全体の2.5%を占めるが、オピニオンリーダーとしての性格は有さない。オピニオンリーダーとしての性格を有するのは、その次に新製品を採用する時期が早い「初期採用者」であり、全体の13.5%を占めている。
70
製品開発に関わる機能部門が業務を同時並行させて開発活動を進めることをシーケンシャル・エンジニアリングと呼ぶ。この方法は、開発期間の短縮や開発コストの削減という利点がある一方で、並行する業務間で情報伝達に失敗するため品質低下がもたらされてしまうという生産性のジレンマを引き起こしやすい。
製品開発に関わる機能部門が業務を同時並行させて開発活動を進めることは、コンカレント・エンジニアリングという。シーケンシャル・エンジニアリングとは、業務を同時並行させずに開発活動を進めることである。また、生産性のジレンマとは、産業の成熟化に伴い、生産性は向上するがイノベーションは少なくなる現象である。なお、コンカレント・エンジニアリングについて、部門間のコミュニケーション(情報伝達)に問題が生じると、設計部門への負荷が大きくなったり、プロジェクトが混乱しやすくなったりする、という欠点が指摘される。
71
藤本隆宏らは、1980年代に日本の家電メーカーの製品開発活動に関する実証研究を行い、コンセプト創造や製品仕様、主要な技術の決定において大きな権限をもつ重量級プロジェクト・マネジャーを有する組織においては、プロジェクト・メンバーのモチベーションが低くなるため製品開発活動の成果が低くなることを明らかにした。
本隆宏らは、1980年代の日米欧の自動車メーカーの製品開発活動に関する実証研究をおこなった。また、藤本らは、製品開発活動における組織構造とパフォーマンスの関係について研発しており、重量級プロジェクト・マネジャーを有する組織においては、製品開発活動の成果は高くなることを明らかにしたが、メンバーのモチベーションの高低については明らかにしていない。
72
デジュール・スタンダードとは、企業間の事前の協議によって定まる業界標準のことであり、製品のユーザー数が増大するほどその製品から得られる便益が減少する効果である、ネットワーク外部性が強く作用する製品において設定されることが多い。これによって、企業間の熾烈な価格競争を回避することができるというメリットがある。
デジュール・スタンダードとは、公的機関などによる協議によって決められた公的標準である。また、ネットワーク外部性とは、製品のユーザ数が増大するほどその製品から得られる便益も増大する効果である。
73
Aとは、マーケティング諸活動を標的市場の特性に合わせて効果的に組み合わせることをいう。マッカーシーは、Aを構成する活動の内容を、Product、Price、B、Cの4つの要素に集約した。これらの要素は、英単語の頭文字がいずれもPであることからマーケティングの4Pとよばれている。
マッカーシーは、マーケティングの具体的な活動を、製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)の4つの要素に集約し、これらの4つの単語の頭文字をとって、4Pと総称した。そして、これらの各要素を標的市場の特性に合わせて効果的に組み合わせることをマーケティング・ミックスとした。 A:「マーケティング・ミックス」が入る。 B:「Place」が入る。 C:「Promotion」が入る。
74
マーケティング・ミックスは、標的市場に対して最適なマーケティング要素を組み合わせることであり、マッカーシーは、Product、Price、Promotion、Proftの4つに要約し、それぞれの頭文字をとって4Pとした。
マーケティング・ミックスについて、マッカーシーが提示した4Pは、Product、Price、Promotion、Placeの4つである。
75
SWOT分析とは、経営戦略の立案や代替案の評価において、自社を取り巻く外部環境における強みと弱み、自社の内部環境における機会や脅威を分析する手法のことをいう。
SWOT分析とは、経営戦略の立案や代替案の評価において、自社を取り巻く外部環境における機会や脅威、自社の内部環境における強みや弱みを分析する手法のことをいう。
76
マーケティング・チャネルは、製品が市場に投入されてから衰退するまでのサイクルを体系づけたものであり、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4段階に分けられる。
本肢は、プロダクト・ライフサイクル・モデルに関する記述である。マーケティング・チャネルは、製品やサービスを流通させる経路を指す
77
ボストン・コンサルティング・グループが開発したプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、経営資源配分を取適化するために、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つに分類する手法である。
いわゆるPPMでは、事業活動を問題児、花形、金のなる木、負け犬の4つに分類する。本肢で提示されているリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーという分類は、コトラーによる企業の競争地位別戦略による分類である。
78
AIDMAモデルとは、消費者が購買に至るまでの、注意、関心、欲求、確信、行動という心理的過程を表したものである。
本肢は、AIDCAモデルに関する記述である。AIDMAモデルとは、消費者が購買に至るまでの、注意(Attention)、関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)という心理的過程を表わしたものである。
79
プロモーション・ミックス戦略には、プッシュ戦略とプル戦略の二つがある。プッシュ戦略とは、消費者への広告やプロモーションを行う戦略であり、プル戦略とは、販売部隊や流通業者へのプロモーションを利用する戦略である。
プッシュ戦略とプル戦略の記述が逆である。
80
浸透価格戦略とは、製品ライフサイクルの初期段階で、コストリーダーとなるために有効な戦略である。これは、新製品の導入時に高い価格を設定し、価格にそれほど敏感でない消費者に販売しようとする戦略で、短期間に大きな利益を上げ、開発に要したコストを迅速に賄うことができる。
浸透価格戦略について、2文目の記述は、浸透価格戦略ではなく、上澄み吸収価格戦略の記述になっている。浸透価格戦略は、新製品の導入時に低い価格を設定し、短期間で大きなシェアを獲得する戦略である。
81
デシュール・スタンダードは、市場において他を圧倒するシェアを占めるようになった製品・サービスや規格のことを指す。この事実上の業界標準を獲得するためには、自社のみで補完財を供給するクローズドな政策がとられる。
市場において他を圧倒するシェアを占めるようになった製品・サービスや規格は、デファクト・スタンダードである。デファクト・スタンダードを獲得するためには、クローズドな政策よりも、オープンな政策がとられる。 なお、デジュール・スタンダードは、市場競争ではなく、国家間や業界内の主要企業の協議により業界標準となった規格のことである。
82
AIDMAモデルとは、消費者の購買心理を五段階に整理したものである。その五段階とは、まず商品・サービスに気付き、関心を持ち、その商品・サービスについて調べた後、その結果を基に購入し、その知識や感想を他人と共有することとされている。
本肢は、AISASモデルに関する記述である。AISASモデルの五段階とは、まず商品・サービスに気付き(Attention)、関心を持ち(Interest)、その商品・サービスについて調べた後(Search)、その結果を基に購入し(Action)、その知識や感想を他人と共有する(Share) こととされており、インターネット時代に特徴的なモデルである。 AIDMAモデルの五段階とは、まず商品・サービスに気付き(Attention)、関心を持ち(Interest)、その商品・サービスが欲しいと感じ(Desire)、その商品・サービスを記憶し (Memory)、購入する(Action)こととされている。
83
自己資本利益率は、投資家が投資する価値があるかどうかを分析するため、自己資本に出資する投資家の収益性を測定する指標であり、当期純利益を総資産で割った比率で表される。
自己資本利益率は、当期純利益を自己資本で割った比率で表わされる。
84
ROEとは、総資本に占める株主資本の割合であり、利益を生み出すために株主資本がどの程度効率的に活用されたかを示す指標である。2002年以降のROEをみると、米国や欧州は10%程度で推移する一方、日本は20%台で推移している。
ROEとは、株主資本利益率(Return On Equity)といい、当期純利益を株主資本で除して求める。ROEの値については、欧米企業は15~20%程度であり、日本企業は5%程度が多いといわれている。
85
F.モジリアニとM.H.ミラーが提したMM理論によれば、完全資本市場の下では、負債と株主資本の比率及び配当政策は企業価値を左右する最大の要因であるとされている。したがって、完全資本市場の下では、資金を株式で調達した方が銀行からの借入れや社債で調達するより企業価値は高まるとされている。
F.モジリアニとM.H.ミラーが提唱したMM理論によれば、完全資本市場の下では、企業の資本構成は企業価値に全く影響を与えず、最適な資本構成は存在しないとした。 また、配当政策についても、企業価値とは無関係とした。
86
総資本利益率(ROA)とは、自己資本と他人資本を合計した総資本を利用してどれだけ効率的に利益をあげたかを表す指標である。この指標は、自己資本と他人資本の構成比率が変化した場合であっても変化しない。
妥当である。総資本利益率(ROA)に関する記述である。ROAは「総資産利益率」と表現されることもあるが、貸借対照表上では総資産=総資本なので、意味合いはどちらも同じである。
87
F.モディリアーニとM.H.ミラーが主張したMM理論によると、市場において商品の流動性さえ十分に確保されていれば、企業価値は資本構成の影響を受けないとされている。 その一方で、配当政策は企業価値に影響を及ぼすものとされた。
F.モディリアーニとM.H. ミラーが主張したMM理論は完全資本市場であることを前提としているが、完全資本市場とは、①情報取得のためのコストがゼロである、②取引費用や取引制限がない、③商品の流動性が十分に高い、という状態である。この完全資本市場では、企業の価値は資本構成によって左右されないため、最適資本構成は存在しないと結論付けている。よって、市場において商品の流動性さえ十分に確保されていればよいわけではない。 また、配当政策については、以下のように考えている。株主が出資した企業から配当金を得ることは、一見株主にとって収入・利益が増えたように感じられるが、企業が株主に配当金を支払うことは、一方で企業の資本を減少させる、つまり企業価値を減少させることを意味する。よって、株主への配当金支払いは、現金を企業から株主に移し変えただけなので、配当政策は企業価値とは無関係であるとした。
88
内部収益率を用いて投資決定を行う方法では、内部収益率が必要収益率を上回る場合、投資は実行されないこととなる。内部収益率の算出には事前に割引率を設定する必要があるため、この方法を採用する企業は限定的である。
内部収益率を用いて投資決定をおこなう方法(内部収益率法)では、内部収益率が必要収益率を上回る場合、投資が実行される。
89
目標管理制度とは、上司との面談を通じて、従業員自らが自己の業務目標を設定し、一定期間にどれだけその目標を達成できたかを再度上司との面談において評価する制度である。
妥当である。目標管理制度(MBO:Management By Objectives)に関する記述である。
90
目標管理制度とは、上司が強制的な命令や統制により従業員の業務目標を設定し、一定期間にどれだけその目標を達成できたかを従業員との面談において評価し、賞与等に反映させることである。
目標管理制度(MB O:Management By Objectives)は、従業員が上司と相談の上、業務目標を設定する。
91
OffーJTとは、職場内で上司等が、仕事に必要な知識や技能等を必要に応じて仕事の中で教える教育のことであり、職場内訓練とも呼ばれる。
本肢は、OJT (On the Job Training)に関する記述である。
92
0JTとは、職場を離れ日常の業務と関連付けながら行われる人材教育のことであり、外部講師等によって行われる集合教育を指す。
本肢は、Off-JT (Off the Job Training) に関する記述である。
93
Off-JT (Off the Job Training)とは、職場の上司や先輩から、仕事に直結した内容について、日々の仕事を通じて指導を受けることをいう。また、自己啓発は、これを補完する形で、仕事に直結した内容について同僚と意見交換を行う勉強会を設けることをいう。
1文目は、OJT (On the Job Training)に関する記述である。OffーJTとは、日常業務を離れて研修所などでおこなう集合教育研修のことである。また、自己啓発とは、自らの意思で仕事に関する能力やスキルを向上させようとすることであり、勉強会を設けることはその一例である。
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