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憲法level1その4
22問 • 1年前
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    問題一覧

  • 1

    最高裁判所の判例では、大学の単位授与行為は、常に一般市民法秩序と直接の関係を有するものであり、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものではないため、裁判所の司法審査の対象になるとした。

    富山大学事件において判例は、単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを背認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならないものと解するのが、相当であるとしている。 したがって、「常に一般市民法秩序と~司法審査の対象となる」の部分が誤りである。

  • 2

    司法権は全て通常の司法裁判所が行使するため、特別裁判所は設置することができないとされており、最高裁判所の系列下に所属させる場合であっても、特定の人や種類の事件について裁判をするための裁判機関を設けることは認められていないほか、行政機関による終審裁判も認められていない。

    憲法76条2項前段で禁止される「特別裁判所」といえるためには、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列に属しないことを要する。それゆえ、特定の人や種類の事件について裁判をするための裁判機関であっても、本肢のように「最高裁判所の系列下に所属」するものは、「特別裁判所」とはならない。したがって、「最高裁判所の系列下に所属させる場合であっても…認められていない」の部分が誤っている。なお、後半は正しい(76条2項後段参照)。

  • 3

    最高裁判所及び下級裁判所には、権力分立の観点から裁判所の自主性を確保するための規則制定権がそれぞれ独自に認められており、その対象は、裁判所の内部規律や司法事務処理など裁判所の自律権に関するもののほか、訴訟に関する手続など一般国民が訴訟関係者となったときに拘束されるものも含まれる。

    憲法77条1項は、「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する」と規定し、「最高裁判所」の規則制定権を認めている。しかし、下級裁判所は最高裁判所の委任に基づき規則を定めることができるにすぎず(77条3項)、「独自」の規則制定権を有しない。したがって、「下級裁判所には…規則制定権が、・・独自に認められており」という部分が誤っている。なお、後半は正しい。

  • 4

    全て司法権は最高裁判所及び下級裁判所に属するため、一般国民の中から選任された陪審制が審理に参加して評決するような制度は、職業裁判官が階審の評決に拘束されないとしても憲法上認められないが、一般国民の中から選任された裁判員が職業裁判官と合議体を構成して裁判を行う制度は、憲法上認められるとするのが判例である。

    本肢にいう、「一般国民の中から選任された陪審員が審理に参加して評決するような制度」とは、陪審制のことである。かかる階審制の合意性について、通説は、裁判官が階審員の評決に拘束されないものである限り合意と解している。したがって、「職業裁判官が階審の評決に拘束されないとしても・・・・・認められない」とする部分が誤っている。なお、判例は裁判員制度を合憲としているので、後半は正しい。

  • 5

    政党が党員に対してした処分については、それが一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないが、当該処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合には、裁判所の審判権が及び、その範囲も、当該処分が適正な手続にのっとってなされたか否かという点に限定されず、当該処分の内容にも常に及ぶとするのが判例である。

    政党が党員に対して行う処分は、内部自律権に属する行為であり、一般市民法秩序と直接関係を有しない内部的な問題にとどまる限りにおいては原則として団体内部の自律的な解決に委ね、司法審査の対象とならない。他方、処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合には司法審査の対象となるが、司法審査は当該処分が適正な手続きに則ってされたか否かについての判断に限定されるとするのが判例の立場である。したがって、本肢の「適正な手続きにのっとってなされたか否かに限定されず、~常に及ぶとするのが判例である」の部分が誤りである。

  • 6

    最高裁判所の裁判官は、任期は定められていないが、法律の定める年齢に達した時に退官し、下級裁判所の裁判官は、任期を10年とし、再任されることができるが、法律の定める年齢に達した時には退官する。

    妥当である。最高裁判所の裁判官は、任期は定められていないが定年に達した時に退官する(憲法79条5項)。最高裁判所裁判官の定年は、裁判所法で70歳と規定されている。これに対して、下級裁判所の裁判官は任期が10年であり再任されることができるが、定年に達した時に退官する(憲法80条)。裁判所法では、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所の裁判官の定年は65歳とし、簡易裁判所の裁判官の定年は70歳としている。

  • 7

    裁判官に、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があったとき、行政機関が懲戒処分を行うことはできないが、立法機関である国会は懲戒処分を行うことができる。

    裁判官の職権行使の独立を確保するため、行政機関(内閣など)が裁判官の懲戒処分を行うことはできない(憲法 78条)が、立法機関(国会)による懲戒処分も行うことはできないと解されている。したがって、本肢の「立法機関である国会は懲戒処分を行うことができる」の部分が誤りである。

  • 8

    国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてではなく、一定の要件に該当する全ての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法第84条に規定する租税に当たるとするのが判例である。

    妥当である。旭川市国民健康保険条例事件において、最高裁判所は本記述のように判示している。なお、憲法84条の租税法律主義における「租税」には、租税(公権力が無償で国民から強制的に徴収する金銭をいう)のほか、負担金・手数料等、広く国民に対して一方的に課される金銭についても含まれるとされる。

  • 9

    予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣総理大臣の責任でこれを支出することができる。ただし、予備費の支出については、事前又は事後に国会の承諾を得なければならない。

    予備費の支出については、内閣の責任において支出するものである(憲法87条1項)。また、予備費を支出した場合には、内閣は事後に国会の承諾を得る必要がある(憲法87条2項)。したがって、本記述の「内閣総理大臣の責任で」及び「事前又は」の部分が誤りである。

  • 10

    全て皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。また、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。

    妥当である。憲法88条において、皇室財産は国有財産とし、皇室費用についても予算に計上して国会の議決を経なければならないこととしている。また、憲法8条において皇室財産の授受も国会の議決によることとしている。

  • 11

    国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、会計検査院は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会と内閣に提出しなければならない。

    国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院が検査をし、内閣が次の年度にその検査報告とともに国会に提出する(憲法90条)。したがって、本記述の「会計検査院は、次の年度に~提出しなければならない」の部分が誤りである。

  • 12

    内閣は、国会に対し、定期に、少なくとも毎年1回、国の財政状況について報告しなければならず、国民に対しても、同様に報告をする必要がある。

    妥当である。憲法91条において規定されている。国の財政状況報告を、国会のみならず主権者である国民に対しても明らかにしなければならない。

  • 13

    憲法第29条第2項が財産権の内容は法律で定めると規定していることから、条例による財産権の制限は許されないのが原則であるが、法律の個別具体的な委任がある場合には、条例による制限も許されると一般に解されている。

    判例は、「事柄によっては、特定または若干の地方公共団体の特殊な事情により、国において法律で一律に定めることが困難または不適当なことがあり、その地方公共団体ごとに、その条例で定めることが、容易且つ適切なことがある」として条例により財産権が制限されうることを認めており、かつ、法律の個別具体的な委任をも求めてはいない。したがって、本記述の「条例による財産権の制限は~一般に解されている」の部分が誤りである。

  • 14

    憲法第 84条は、租税を課すには法律によることを必要とすると規定しているから、法律の個別具体的な委任なくして、条例によって地方税を賦課徴収することは同条に違反するとするのが判例である。

    一般に、条例は地方議会において民主的手続きによって制定され、実質的には法律に準ずるものであること等を根拠に、法律の個別具体的な委任によらず、条例で課税することも原則として認められると解されている。したがって、本記述の「法律の個別具体的な委任なくして、条例によって地方税を賦課徴収することは同条に違反する」の部分が誤りである。

  • 15

    憲法上の地方公共団体といい得るためには、単に法律で地方公共団体として取り扱われているということだけでは足らず、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、沿革的に見ても、また、現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等地方自治の基本的権能を付与された地域団体であることを必要とするとするのが判例である。

    妥当である。特別区長の公選制廃止の合憲性が争われた際、本記述を基準に、東京都特別区は憲法93条2項にいう「地方公共団体」にはあたらず、公選制廃止も違憲ではないとされた。

  • 16

    憲法は、地方公共団体の長は、その地方公共団体の住民が直接選挙することとしているが、ここでいう「地方公共団体」は都道府県を指しており、したがって、市町村の長を当該市町村の議会の議員による間接選挙により選出することは憲法の規定に違反しないと一般に解されている。

    意法93条2項で、地方公共団体の長は、その地方公共団体の住民が直接選挙するとしているが、この「地方公共団体」は都道府県のみならず、市町村も含むと解されている。よって、市町村長を当該市町村議会議員による間接選挙により選出することは、憲法93条2項に違反する。したがって、本肢の「ここでいう『地方公共団体』は都道府県を指しており、~違反しないと一般に解されている。」の部分が誤りである。

  • 17

    条例は、地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法ではあるが、国会の議決を経て制定される法律以下の法令であり、法律とはその性質を異にするものであることから、法律の授権が相当な程度に具体的なものであっても、条例で刑罰を定めることは許されないとするのが判例である。

    判例は、「条例は、法律以下の法令といっても、上述のように、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって」、「国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」と判示した。したがって、本肢の「法律とはその性質を異にするものであることから、~許されないとするのが判例である。」の部分が誤りである。

  • 18

    地方公共団体は、その区規内における当該地方公共団体の役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることまで憲法上予定されているものではないが、法律の範囲内で条例を制定することができるものとされていることなどに照らすと、地方公共団体が法律の範囲内で課税権を行使することは妨げられないとするのが判例である。

    判例は、「普通地方公共団体は、地方自治の不可欠の要素として、その域内における当該普通地方公共団体の役務の提供を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているものと解される」とする。したがって、「国とは別途に課税権の主体となることまで憲法上予定されているものではない」の部分が誤りである。

  • 19

    憲法第31条は必ずしも刑罰が全て法律そのもので定められなければならないとするものではなく、法律の委任によってそれ以下の法令で定めることもできるが、条例によって刑罰を定める場合には、その委任は、政令への罰則の委任の場合と同程度に個別具体的なものでなければならないとするのが判例である。

    判例は、「条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておれば足りると解するのが正当である」とする。したがって、「政令への罰則の委任の場合と同程度に個別具体的なものでなければならない」の部分が誤りである。

  • 20

    ある事項について規律する国の法令が既にある場合、法令とは別の目的に基づいて、法令の定める規制よりも厳しい規制を条例で定めることができるが、法令と同一の目的に基づいて、法令の定める規制よりも厳しい規制を条例で定めることは、国の法令の趣旨にかかわらず、許されないとするのが判例である。

    前半部分は正しい。後半部分について、判例は、「両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき」は、法令の定める規制よりも厳しい規制を条例で定めても、憲法94条に違反するものではないとする。したがって、「法令と同一の目的に基づいて~国の法の趣旨にかかわらず、許されないとするのが判例である」の部分が誤りである。

  • 21

    憲法は、地方自治の章を設け地方自治を保障しているが、この保障の性質は、地方自治という歴史的、伝統的、理念的な公法上の制度の保障ではなく、地方自治が国の承認する限りにおいて認められるという保障である。

    地方自治の性質として、憲法は地方自治を歴史的・伝統的背景をもつ国家統治の制度としての制度として保障するという制度的保障説が通説である。したがって、「地方自治という歴史的、伝統的、理念的な公法上の制度ではなく、地方自治が国の承認する限りにおいて認められるという保障である」の部分が誤りである。なお、本の記述は、国の統治機構の一環として、国の承認を根拠に地方自治を認めるとする承認説の立場である。

  • 22

    憲法は、地方公共団体は、法律の範囲内で条例を制定することができると規定しているが、この条例には、議会の議決によって制定される条例及び長の制定する規則は含まれるが、各種委員会の定める規則は含まれない。

    憲法94条における条例の意味について、地方自治法上、地方公共団体の議会が制定する条例のほかに、地方公共団体の長の制定する規則や、教育委員会や公安委員会など地方公共団体の各種の委員会が特別の法律に基づき制定する諸規則も含まれる。したがって、「この条例には、議会の議決によって〜各種委員会の定める規則は含まれない」の部分が誤りである。

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    問題一覧

  • 1

    最高裁判所の判例では、大学の単位授与行為は、常に一般市民法秩序と直接の関係を有するものであり、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものではないため、裁判所の司法審査の対象になるとした。

    富山大学事件において判例は、単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを背認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならないものと解するのが、相当であるとしている。 したがって、「常に一般市民法秩序と~司法審査の対象となる」の部分が誤りである。

  • 2

    司法権は全て通常の司法裁判所が行使するため、特別裁判所は設置することができないとされており、最高裁判所の系列下に所属させる場合であっても、特定の人や種類の事件について裁判をするための裁判機関を設けることは認められていないほか、行政機関による終審裁判も認められていない。

    憲法76条2項前段で禁止される「特別裁判所」といえるためには、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列に属しないことを要する。それゆえ、特定の人や種類の事件について裁判をするための裁判機関であっても、本肢のように「最高裁判所の系列下に所属」するものは、「特別裁判所」とはならない。したがって、「最高裁判所の系列下に所属させる場合であっても…認められていない」の部分が誤っている。なお、後半は正しい(76条2項後段参照)。

  • 3

    最高裁判所及び下級裁判所には、権力分立の観点から裁判所の自主性を確保するための規則制定権がそれぞれ独自に認められており、その対象は、裁判所の内部規律や司法事務処理など裁判所の自律権に関するもののほか、訴訟に関する手続など一般国民が訴訟関係者となったときに拘束されるものも含まれる。

    憲法77条1項は、「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する」と規定し、「最高裁判所」の規則制定権を認めている。しかし、下級裁判所は最高裁判所の委任に基づき規則を定めることができるにすぎず(77条3項)、「独自」の規則制定権を有しない。したがって、「下級裁判所には…規則制定権が、・・独自に認められており」という部分が誤っている。なお、後半は正しい。

  • 4

    全て司法権は最高裁判所及び下級裁判所に属するため、一般国民の中から選任された陪審制が審理に参加して評決するような制度は、職業裁判官が階審の評決に拘束されないとしても憲法上認められないが、一般国民の中から選任された裁判員が職業裁判官と合議体を構成して裁判を行う制度は、憲法上認められるとするのが判例である。

    本肢にいう、「一般国民の中から選任された陪審員が審理に参加して評決するような制度」とは、陪審制のことである。かかる階審制の合意性について、通説は、裁判官が階審員の評決に拘束されないものである限り合意と解している。したがって、「職業裁判官が階審の評決に拘束されないとしても・・・・・認められない」とする部分が誤っている。なお、判例は裁判員制度を合憲としているので、後半は正しい。

  • 5

    政党が党員に対してした処分については、それが一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないが、当該処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合には、裁判所の審判権が及び、その範囲も、当該処分が適正な手続にのっとってなされたか否かという点に限定されず、当該処分の内容にも常に及ぶとするのが判例である。

    政党が党員に対して行う処分は、内部自律権に属する行為であり、一般市民法秩序と直接関係を有しない内部的な問題にとどまる限りにおいては原則として団体内部の自律的な解決に委ね、司法審査の対象とならない。他方、処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合には司法審査の対象となるが、司法審査は当該処分が適正な手続きに則ってされたか否かについての判断に限定されるとするのが判例の立場である。したがって、本肢の「適正な手続きにのっとってなされたか否かに限定されず、~常に及ぶとするのが判例である」の部分が誤りである。

  • 6

    最高裁判所の裁判官は、任期は定められていないが、法律の定める年齢に達した時に退官し、下級裁判所の裁判官は、任期を10年とし、再任されることができるが、法律の定める年齢に達した時には退官する。

    妥当である。最高裁判所の裁判官は、任期は定められていないが定年に達した時に退官する(憲法79条5項)。最高裁判所裁判官の定年は、裁判所法で70歳と規定されている。これに対して、下級裁判所の裁判官は任期が10年であり再任されることができるが、定年に達した時に退官する(憲法80条)。裁判所法では、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所の裁判官の定年は65歳とし、簡易裁判所の裁判官の定年は70歳としている。

  • 7

    裁判官に、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があったとき、行政機関が懲戒処分を行うことはできないが、立法機関である国会は懲戒処分を行うことができる。

    裁判官の職権行使の独立を確保するため、行政機関(内閣など)が裁判官の懲戒処分を行うことはできない(憲法 78条)が、立法機関(国会)による懲戒処分も行うことはできないと解されている。したがって、本肢の「立法機関である国会は懲戒処分を行うことができる」の部分が誤りである。

  • 8

    国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてではなく、一定の要件に該当する全ての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法第84条に規定する租税に当たるとするのが判例である。

    妥当である。旭川市国民健康保険条例事件において、最高裁判所は本記述のように判示している。なお、憲法84条の租税法律主義における「租税」には、租税(公権力が無償で国民から強制的に徴収する金銭をいう)のほか、負担金・手数料等、広く国民に対して一方的に課される金銭についても含まれるとされる。

  • 9

    予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣総理大臣の責任でこれを支出することができる。ただし、予備費の支出については、事前又は事後に国会の承諾を得なければならない。

    予備費の支出については、内閣の責任において支出するものである(憲法87条1項)。また、予備費を支出した場合には、内閣は事後に国会の承諾を得る必要がある(憲法87条2項)。したがって、本記述の「内閣総理大臣の責任で」及び「事前又は」の部分が誤りである。

  • 10

    全て皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。また、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。

    妥当である。憲法88条において、皇室財産は国有財産とし、皇室費用についても予算に計上して国会の議決を経なければならないこととしている。また、憲法8条において皇室財産の授受も国会の議決によることとしている。

  • 11

    国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、会計検査院は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会と内閣に提出しなければならない。

    国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院が検査をし、内閣が次の年度にその検査報告とともに国会に提出する(憲法90条)。したがって、本記述の「会計検査院は、次の年度に~提出しなければならない」の部分が誤りである。

  • 12

    内閣は、国会に対し、定期に、少なくとも毎年1回、国の財政状況について報告しなければならず、国民に対しても、同様に報告をする必要がある。

    妥当である。憲法91条において規定されている。国の財政状況報告を、国会のみならず主権者である国民に対しても明らかにしなければならない。

  • 13

    憲法第29条第2項が財産権の内容は法律で定めると規定していることから、条例による財産権の制限は許されないのが原則であるが、法律の個別具体的な委任がある場合には、条例による制限も許されると一般に解されている。

    判例は、「事柄によっては、特定または若干の地方公共団体の特殊な事情により、国において法律で一律に定めることが困難または不適当なことがあり、その地方公共団体ごとに、その条例で定めることが、容易且つ適切なことがある」として条例により財産権が制限されうることを認めており、かつ、法律の個別具体的な委任をも求めてはいない。したがって、本記述の「条例による財産権の制限は~一般に解されている」の部分が誤りである。

  • 14

    憲法第 84条は、租税を課すには法律によることを必要とすると規定しているから、法律の個別具体的な委任なくして、条例によって地方税を賦課徴収することは同条に違反するとするのが判例である。

    一般に、条例は地方議会において民主的手続きによって制定され、実質的には法律に準ずるものであること等を根拠に、法律の個別具体的な委任によらず、条例で課税することも原則として認められると解されている。したがって、本記述の「法律の個別具体的な委任なくして、条例によって地方税を賦課徴収することは同条に違反する」の部分が誤りである。

  • 15

    憲法上の地方公共団体といい得るためには、単に法律で地方公共団体として取り扱われているということだけでは足らず、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、沿革的に見ても、また、現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等地方自治の基本的権能を付与された地域団体であることを必要とするとするのが判例である。

    妥当である。特別区長の公選制廃止の合憲性が争われた際、本記述を基準に、東京都特別区は憲法93条2項にいう「地方公共団体」にはあたらず、公選制廃止も違憲ではないとされた。

  • 16

    憲法は、地方公共団体の長は、その地方公共団体の住民が直接選挙することとしているが、ここでいう「地方公共団体」は都道府県を指しており、したがって、市町村の長を当該市町村の議会の議員による間接選挙により選出することは憲法の規定に違反しないと一般に解されている。

    意法93条2項で、地方公共団体の長は、その地方公共団体の住民が直接選挙するとしているが、この「地方公共団体」は都道府県のみならず、市町村も含むと解されている。よって、市町村長を当該市町村議会議員による間接選挙により選出することは、憲法93条2項に違反する。したがって、本肢の「ここでいう『地方公共団体』は都道府県を指しており、~違反しないと一般に解されている。」の部分が誤りである。

  • 17

    条例は、地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法ではあるが、国会の議決を経て制定される法律以下の法令であり、法律とはその性質を異にするものであることから、法律の授権が相当な程度に具体的なものであっても、条例で刑罰を定めることは許されないとするのが判例である。

    判例は、「条例は、法律以下の法令といっても、上述のように、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって」、「国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」と判示した。したがって、本肢の「法律とはその性質を異にするものであることから、~許されないとするのが判例である。」の部分が誤りである。

  • 18

    地方公共団体は、その区規内における当該地方公共団体の役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることまで憲法上予定されているものではないが、法律の範囲内で条例を制定することができるものとされていることなどに照らすと、地方公共団体が法律の範囲内で課税権を行使することは妨げられないとするのが判例である。

    判例は、「普通地方公共団体は、地方自治の不可欠の要素として、その域内における当該普通地方公共団体の役務の提供を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているものと解される」とする。したがって、「国とは別途に課税権の主体となることまで憲法上予定されているものではない」の部分が誤りである。

  • 19

    憲法第31条は必ずしも刑罰が全て法律そのもので定められなければならないとするものではなく、法律の委任によってそれ以下の法令で定めることもできるが、条例によって刑罰を定める場合には、その委任は、政令への罰則の委任の場合と同程度に個別具体的なものでなければならないとするのが判例である。

    判例は、「条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておれば足りると解するのが正当である」とする。したがって、「政令への罰則の委任の場合と同程度に個別具体的なものでなければならない」の部分が誤りである。

  • 20

    ある事項について規律する国の法令が既にある場合、法令とは別の目的に基づいて、法令の定める規制よりも厳しい規制を条例で定めることができるが、法令と同一の目的に基づいて、法令の定める規制よりも厳しい規制を条例で定めることは、国の法令の趣旨にかかわらず、許されないとするのが判例である。

    前半部分は正しい。後半部分について、判例は、「両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき」は、法令の定める規制よりも厳しい規制を条例で定めても、憲法94条に違反するものではないとする。したがって、「法令と同一の目的に基づいて~国の法の趣旨にかかわらず、許されないとするのが判例である」の部分が誤りである。

  • 21

    憲法は、地方自治の章を設け地方自治を保障しているが、この保障の性質は、地方自治という歴史的、伝統的、理念的な公法上の制度の保障ではなく、地方自治が国の承認する限りにおいて認められるという保障である。

    地方自治の性質として、憲法は地方自治を歴史的・伝統的背景をもつ国家統治の制度としての制度として保障するという制度的保障説が通説である。したがって、「地方自治という歴史的、伝統的、理念的な公法上の制度ではなく、地方自治が国の承認する限りにおいて認められるという保障である」の部分が誤りである。なお、本の記述は、国の統治機構の一環として、国の承認を根拠に地方自治を認めるとする承認説の立場である。

  • 22

    憲法は、地方公共団体は、法律の範囲内で条例を制定することができると規定しているが、この条例には、議会の議決によって制定される条例及び長の制定する規則は含まれるが、各種委員会の定める規則は含まれない。

    憲法94条における条例の意味について、地方自治法上、地方公共団体の議会が制定する条例のほかに、地方公共団体の長の制定する規則や、教育委員会や公安委員会など地方公共団体の各種の委員会が特別の法律に基づき制定する諸規則も含まれる。したがって、「この条例には、議会の議決によって〜各種委員会の定める規則は含まれない」の部分が誤りである。