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問題一覧
1
課業管理とは、労働者が遂行すべき毎日の作業量である課業を明確に設定し、標準的な条件を与えることなく、労働者に課業を遂行させることであるが、その課業の設定にあたっては、標準的な労働者の作業量を観察する方法で行われた。
課業管理では、作業条件を標準化して、労働者にその課業を遂行させる。課業の設定にあたっては、一流の労働者の作業量を観察する方法で行われる。
2
時間研究とは、一連の作業を、一つ一つの動作に分解し、それぞれに要する時間を過去の経験に基づいて分析し、無駄な動作を省き、効率的な作業方法を見出す研究である。
一連の作業を一つ一つの動作に分解し、それぞれに要する時間を過去の経験に基づいて分析し、無駄な動作を省き、効率的な作業方法を見出す研究は動作研究である。 時間研究は、一連の作業を一つ一つの動作に分解し、それぞれに要する時間をストップウォッチで計測して標準的な作業時間を算出する研究である。
3
差別的出来高給制度とは、課業を達成できた労働者には高い賃率を、達成できなかった労働者には低い賃率を適用する制度であり、高賃金低労務費を実現する手段である。
妥当である。差別的出来高給制度に関する記述である。なお、課業達成の基準は、一流の労働者の作業量となる。
4
ホーソン実験は、シカゴにあるウェスタン・エレクトリック社で実施され、まずAが作業能率に及ぼす影響に関する実験と賃金の支払方法、休憩時間の導入を含めた労働時間の工夫など作業条件の変化が作業能率に及ぼす影響の実験が行われた。これらの実験の結果、作業環境などの条件と作業能率や疲労との相関関係がB。 次に、メイヨーやCも参加して実験が継続され、作業能率は作業条件にではなく、むしろ職場のDが醸成する労働者の感情や態度が作業能率や勤労意欲に重要な意味をもつことが発見された。
1924年〜1932年にかけてシカゴにあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われたホーソン実験では、まず、科学的管理法をもとに照明の明暗が作業能率に及ぼす影響をはかる照明実験がおこなわれた。しかし、照明の明暗が作業能率に及ぼす影響は実証されなかった。 そこで、工場側はハーバード大学からメイヨーやレスリスバーガーを招き、彼らは継電器組立実験、面接調査、バンク配線実験を行った。その結果、メイヨーは、人間は経済的効果よりも社会的効果を求め、合理的理由よりも感情的理由に左右され、公式組織よりも非公式組織の影響を受けやすい、とする人間関係論を提唱するにいたった。 上記より、Aは「照明」、Bは「は実証されなかった」、Cは「レスリスバーガー」、Dは「人間関係」が該当する。
5
マグレガーは、伝統的管理論のもつ人間観を✕理論、高次の欲求をもつ人間とみる人間観をY理論と類型し、個人目標と組織目標とを統合できるような管理原則の存在を説き、Y理論に基づく管理方法が必要であるとした。
妥当である。マグレガーは、人間は生来仕事が嫌いであるという伝統的管理論のもつ人間観を✕理論、人間は生来仕事が嫌いではなく、条件次第で満足の源にもなりうるという人間観をY理論とし、Y理論に基づく管理方法が必要であるとした。
6
ハーズバーグは、職務満足につながる要因のことを衛生要因、職務不満につながる要因のことを動機づけ要因とし、この動機づけ要因こそが高い動機づけには必要であるとした。
動機づけ要因と衛生要因の記述が逆である。ハーズバーグは、職務満足につながる要因のことを動機づけ要因、職務不満につながる要因のことを衛生要因とした。
7
マズローは、人間の欲求を生理的欲求から自己実現欲求までの5段階の階層で理論化し、ある階層の欲求が満たされなくても、より高次の欲求が出現するとした。
マズローは、人間の欲求を生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、自尊欲求、自己実現欲求の五段階の階層に分け、低の欲求が満たされない限り、より高次の欲求は出現しないとした。
8
ブルームは、人間の欲求を、生存、関係、成長の3つの次に分類し、これらの3つの頭文字をとってERG理論と名づけ、人間を動機づける力は生存、関係、成長の3つの積によって示されるとした。
人間の欲求を生(Existence)、関係(Relatedness)、成長(Growth)の3つの次元に分類し、これらの3つの頭文字をとってERG理論と名づけたのは、アルダーファーであるが、人間を動機づける力をこれら3つの積によって示すとはしていない。 なお、ブルームは、組織成員のモチベーションは、どのような成果が得られるのかに対する主観的確率である期待、どのような報酬が得られるのかに対する主観的確率である手段性、得られた報酬に対する効用である誘意性の積で決まるとするモチベーションの期待理論を説いた。
9
アルダーファーは、個人のパーソナリティは子どもが成長していくように未成熟の段階から成熟の段階へ移行するという期待理論を主張し、職務拡大や参加的リーダーシップの必要性を説いた。
個人のパーソナリティは子どもが成長していくように未成熟の段階から成熟の段階へ移行するという未成熟=成熟理論を主張し、職務拡大や参加的リーダーシップの必要性を説いたのは、アージリスである。期待理論は、ブルームが主張した。 なお、アルダーファーは、マズローの欲求階層説の五つの階層を、生存欲求(Existence)、関係欲求(Relatedness)、成長求(Growth)の三つの欲求に修正し、これらの欲求は段階的に発生するだけでなく、同時に発生することもあるとするERG理論を説いた。
10
モチベーション理論は、個人の行動を動機づける特定の要因を解明することを重視した内容理論(実体理論)と、モチベーションが生起する個人の心理的メカニズム及びプロセスを解明することを重視したプロセス理論(過程理論)の2つに大別することができるが、次のA~Eのモチベーション理論のうち、内容理論(実体理論)に該当するものを選んだ組み合わせとして、妥当なものはどれか。 A マズローの欲求階層説 BマグレガーのX理論・Y理論 Cアダムスの公平理論 Dハーズバーグの動機づけ一衛生理論 Eブルームの期待理論
A~Eの5つの理論のうち、内容理論に該当するのは、A、B、Dの3つであり、プロセス理論に該当するのは、C、Eの2つである。 したがって、正答はАВDである。 なお、アダムスの公平理論とは、人間は、他者と比較して自分が公平に扱われていると感じるとき、心理的なバランスを保つことができ満足する、というものである。具体的には、自分が受け取る報酬が、他者が受け取る報酬を下回っているときに不公平感を持つが、逆に、自分が受け取る報酬が、他者が受け取る報酬を上回っているときにも不公平感を持つとし、その不公平感を解消するためにモチベーションがうまれる、としている。
11
マグレガーは、目標による管理を理論、伝統的管理論をY理論と名付け、✕理論では、人間は自分が進んで身を委ねた目標のためには自ら自分に鞭打って働くものであるとした。
X理論とY理論の記述が逆である。マグレガーは、伝統的管理論を✕理論、目標による管理をY理論と名付け、Y理論では、人間は自分が進んで身を委ねた目標のためには自ら自分に鞭打って働くものであるとした。
12
アルダーファーは、ERG理論において、人間の欲求を生存(Existence)、関系(Relatedness)、成長(Growth)の3つに分類し、それぞれの欲求が同時に存在することはないとした。
アルダーファーが提唱したER G理論について、アルダーファーは、3つの欲求が同時に存在することもあるとした。
13
E.L.デシは動機づけ衛生理論を提唱し、組織が与えることのできるインセンティブには2種類あるとした。一つは、給与、物的な作業条件、職務の内容などの衛生要因と、もう一つは、職務の達成、達成の評価などの動機づけ要因であり、人々の満足を高めるためには、動機づけ要因ではなく衛生要因を与えなければならないとした。
動機づけ衛生理論を提唱したのは、F.ハーズバーグである。また、人々の満足を高めるには、衛生要因ではなく動機づけ要因を与えなければならない、とした。 E.L.デシは、人は外的な賞罰とは関係なく動機づけられる場合があり、引き起こされる活動それ自体が目標となる場合、それを内発的動機づけとよんだ。そして、内発的動機づけの源を「自己決定し有能でありたいという欲求」ととらえ、これらが満たされると、さらなる自己決定感と有能感を求めて人は動機づけられる、とする内発的動機づけ理論を提唱した。
14
E.メイヨーとF.J.レスリスバーガーらが行ったホーソン実験は、様々な作業条件が作業の効率にどのような影響を及ぼすのかを知るために行われたが、この実験を通じて、物理的・生理的・経済的な条件よりも、人々の感情やインフォーマルな組織が、作業の能率に大きな影響を及ぼすことが見出された。
妥当である。ホーソン実験に関する記述である。
15
A.H.マズローが提唱した自己実現モデルによれば、人間のもつ欲求を、低次なものから高次なものに並べると、生理的欲求、安全欲求、自己実現欲求、尊厳欲求、慈愛欲求の5段階に階層化することができる。また、この順序関係は可逆的であり、高次の欲求が満たされたのち、より下位の欲求が満たされる場合もあると主張した。
A.H. マズローが提唱した自己実現モデルによれば、人間のもつ欲求は、低次なものから高次なものに並べると、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現求の5段階に階層化することができ、この順序関係は不可逆的であるとした。
16
A.H.マズローは、人間の欲求は最低次欲求から最高次欲求まで、安全欲求、生理的欲求、愛情欲求、尊敬欲求、自己実現の欲求の順番に階層的に配列されていると仮定した上で、欲求の満足化が低次欲求から高次欲求へと逐次的・段階的に移行していくという、いわゆる欲求段階説を主張した。
A.H.マズローの提唱した来段階では、人間の欲求は最低欲求から最高浜欲求まで、生理的欲求、安全欲求、愛情欲求、尊敬欲求、自己実現の欲求の順番に階層的に配列されている。
17
D.M.マグレガーは、従来の組織に関する文献や経営者が、暗黙のうちに、人間は生来仕事が嫌いで、強制、統制、命令、処罰なしには十分な努力をせず、命令されるのが好きで、責任回避を望み、野心を持たず、安全を望んでいることを前提としているとして、こうした一連の考えをX理論と呼んだ。
妥当である。D.M.マグレガーの提示したX理論に関する記述である。
18
C. アージリスは、組織が個人に要求する行動が個人のパーソナリティによって変更される可能性について、合理的組織の設計者が肯定的に評価をしていると説明した上で、合理的組織と自立した個人のパーソナリティの間に不適応は起こらないことを明確に分析した。
C.アージリスは、組織において合理性を追求するという科学的管理法にもとづく考え方が人間性を阻害しているとし、合理的組織で働き続けることにより、組織と個人の間に不適応が起こるとした。
19
F.ハーズバーグは、組織が与えることのできるインセンティブには、給与や物的な作業条件などの衛生要因、職務の内容や達成の評価などの動機づけ要因の2種類があることを主張し、衛生要因をいくら改善しても人々の満足は向上せず、人々の満足を高めるためには動機づけ要因を与えなければならないとした。
妥当である。F.ハーズバーグが提唱した二要因理論に関する記述である。
20
F. ハーズバーグの動機づけ衛生理論によると、達成に対する承認や仕事そのもの、責任等の要素は、自分の行っている職務そのものと関係していると考えられており、職務満足をもたらす動機づけ要因と呼ばれる。一方、会社の方針と管理、給与や対人関係等の要素は、職務不満足をもたらす要因で、衛生要因と呼ばれる。
妥当である。F.ハーズバーグの動機づけ衛生理論に関する記述である。
21
V.H.ブルームは、職務遂行によって獲得できる報酬の効用を「期待」、その報酬獲得の主観確率を「誘意性」と呼び、ある個人にとって、ある行為を遂行するように作用する力は、その行為がいくつかの結果をもたらす「誘意性」とそれぞれの結果が持っている「期待」との総和で計算できるとした。
V.H.ブルームは、職務遂行によって獲得できる成果に対する主観確率を「期待」、職務遂行によって獲得できる報酬に対する主観確率を「手段性」、獲得できる報酬の効用を「誘意性」と呼び、ある個人にとって、ある行為を遂行するように作用するカ(=動機づけの強さ)は、「期待」、「手段性」、「誘意性」の積によって計算できるとした。 なお、ブルームの期待モデルについて、「期待」、「誘意性」の2要素の積で計算できると説明するものもあり、問題によって適宜対応する必要がある。
22
E.L.デシにより体系化された内発的動機づけに基づく期待理論では、人間は自己実現の欲求により内発的に動機づけられ、職務等の活動に従事するとされている。この理論によると、個人として自分の資質を十分に発揮したいという感情の大きさを表す指標である効用とその人の満足感は比例するとされている。
E.L.デシにより体系化された内発的動機づけに基づく期待理論では、人間は有能さと自己決定の感覚に対する欲求により、内発的に動機づけられるとした。 自己実現の欲求とは、A.H.マズローの欲求段階説において、最高次の欲求のことである。
23
J.W.アトキンソンの達成動機づけモデルは、動機づけの要因として、目的を達成した場合における外的報酬に着目している。この理論によると、達成動機は課題の困難度にかかわらず、課題達成の際に費やされる時間の逆数と、それによって得られる報酬の大きさの積によって計算できるとした。
J.W.アトキンソンの達成動機づけモデルは、動機づけの要因として、内的報酬に着目している。この理論によると、達成動機は、成功近接傾向と失敗回避傾向の合成傾向とされ、結果として、成功確率が0.5となるとき、最も動機づけられるとした。
24
D.マグレガーは、人間は生来働くことが嫌いというわけではないが、強制、統制、命令がなければ十分に力を発揮せず、命令されるのが好きで、何よりもまず安全を求めるという考えを✕理論とし、それに対し、人間は生来働くことを好まないが、条件次第で仕事は満足の源泉となり得るという考えをY理論として、状況に応じて✕理論とY理論を臨機応変に使い分ける経営管理が望ましいと主張した。
D.マグレガーは、人間は生来働くことを好まないが、強制、統制、命令がなければ十分に力を発揮せず、命令されるのが好きで、何よりもまず安全を求めるという考えを✕理論とし、それに対し、人間は生来働くことが嫌いというわけではなく、条件次第で仕事は満足の源泉となり得るという考えをY理論として、これからはY理論による経営管理が望ましいと主張した。
25
A.H. マズローは、人間の欲求は、最低次欲求である生理的欲求から最高次欲求である自己実現の欲求までの五つの階層に分類されるという欲求階層説を唱えた。これによれば、低次の欲求を満たさなければ高次の欲求は出現しない。その後、C.P.アルダーファはマズローの欲求階層説を修正してE・R・G理論を提唱した。
妥当である。欲求階層説およびE・R・G理論に関する記述である。
26
E.L.デシは、動機づけの期待理論を提唱し、「行為→成果(一次の結果)→報酬(二次の結果)」という関係を示した。これによれば、その人がある行為をする動機づけの強さは、どのような報酬が得られるのかに対する主観的確率である「期待」、どのような成果が得られるのかに対する主観的確率である「手段性」、得られた報酬に対する効用である「誘意性」の積によって決まるとした。
本肢は、V.H.ブルームが提唱した動機づけの期待理論に関する記述であるが、記述に誤りがある。どのような成果が得られるのかに対する主観的確率は「期待」、どのような報酬が得られるのかに対する主観的確率は「手段性」である。 E.L.デシは、内発的動機づけ理論を提唱した。
27
外的報酬が内発的動機づけに及ぼす影響力を、E.L.デシは統制的側面と情報的側面の二つに分けて定式化した。統制的側面は内発的動機づけを強化する影響力であり、成果主義のようにパフォーマンスと連動した報酬支払いをすると、認知された因果律の所在が外部から内部へ移される。一方、情報的側面は外発的動機づけを強化する影響力であり、活動の目的を、有能さと自己決定の感覚を感じることから外的報酬の獲得にすり替える効果をもつ。
外的報酬が内発的動機づけにおよぼす影響力について、統制的側面は、外的報酬を示すことで、報酬の受け手の行動を統制し、特定の行動に従事させ続けようとする側面なので、内発的動機づけを弱めてしまう影響力であり、成果主義のようにパフォーマンスと連動した報酬支払いをすると、受け手は、有能さと自己決定の感覚を得るためではなく、報酬のために働いてしまい、認知された因果律の所在が内部から外部へ移されてしまう。 一方、情報的側面は、相手に有能さと自己決定を認識させるための側面なので、内発的動機づけを強化する影響力であり、外的報酬の与え方を工夫することで、因果律の所在を変えることなく、内発的動機づけを強めることができる。 なお、「認知された因果律の所在」とは、自らの行動のきっかけがどこにあるのか、という個人個人の認識のことである。因果律の所在が外部にあると認知している場合は、たとえば、高額な報酬にひかれている場合や、上司によって強制的に仕事をさせられている場合などであり、因果律の所在が内部にあると認知している場合は、たとえば、自らの意思で仕事に励んでいる場合などである。
28
J.W.アトキンソンは、達成動機に関するD.C.マクレランドとの共同研究の成果を基に、達成動機づけの理論を構築した。アトキンソンの理論では、達成行動の頻度や持続性は、個人のパーソナリティ要因としての達成動機の強弱のみによって決定されるのではなく、個人が直面する達成状況における期待及び達成がもたらす価値によって影響を受けるとされた。
妥当である。J.W.アトキンソンは、達成行動の頻度や持続性は、「達成動機の強さ」、「期待」、「誘因価」の積で決定されるとした。
29
F.W.テイラーは科学的管理法によって、工員が故意に仕事をゆっくりと行う意業とよばれる現象の解消を試みた。怠業は性質によって二つに分類され、賃金システムに起因する組織的意業は、科学的管理法では克服できないが、楽をしたがるという人間の本能に起因する自然的意業は、科学的な標準設定によって克服することができるとした。
F.W.テイラーは、自然的意業は科学的管理法では克服できないが、組織的怠業は科学的な標準設定によって克服できるとした。
30
科学的管理法の提唱者F.W.テイラーは、科学的な標準設定に基づく「自発性と誘因」の管理法の採用を主張した。テイラーは工場労働者が自発性を発揮できると信じており、労働者自らが課業を設定する差別出来高給制度によって自発性を最大限に引き出せると考えた。この点から科学的管理法は、達成動機づけの理論の源流と位置付けられる。
科学的管理法について、工場労働者が自発性を発揮できるとは考えておらず、達成動機づけの理論の源流とはとてもいえない。そもそも、FW.テイラーが提示した差別的出来高給制は、労働者自らが課業を設定しない。
31
有能さと自己決定の感覚を経験したいという内発的動機づけは二つの一般的行動を導く。一つは、自分が有能で自己決定的であることを感じさせてくれるような機会、つまり自分にとって適度なチャレンジを提供するような状況を追求するような行動である。もう一つは、自分が出会ったり、創り出したりしているチャレンジを征服しようとするような行動である。
妥当である。E.L.デシの内発的動機づけに関する記述である。
32
人間の行動特性に対する考え方は✕理論とY理論に分類される。人間は生来仕事が嫌いだと仮定するX理論の管理原則は、目標設定の権限を従業員に委譲することで組織目的との統合を目指すべきとする統合の原則となる。人間が仕事をするのは遊びと同じく自然なことだと仮定するY理論の管理原則は、伝統的な命令、統制によって従業員の意欲を引き出す階層原則である。
X理論の管理原則は、伝統的な命令、統制(アメとムチ)によって従業員の意欲を引き出す階層原則であり、Y理論の管理原則は、目標の権限を従業員に移譲すること(目標による管理)で組織目的との統合を目指すべきとする統合の原則となる。
33
1920年代の米国で科学的管理法が急速に普及したことを受けて、動機づけの期待理論の研究が始められた。期待理論の主要な研究として1930年代に行われたミシガン研究では、職場の物理的作業条件ではなく、それらの条件変化が従業員に与える人間的意味、特に勤労意欲が従業員の作業能率に影響することが明らかになった。
動機づけの期待理論の研究が始められたのは、リッカート、ハーバーグ、マグレガーらの人間資源アプローチを受けてモチベーションが注目されるようになってからである。 また、R.リッカートが行ったミシガン研究は、1940年代後半に行われた。 2.D.マグレガーが提したのはX理論・Y理論、F.ハーズバーグが提唱したのは動機づけ・衛生理論である。 また、A.H.マズローの提唱した欲求段階説は、科学的に立証されていない。
34
人間の欲求を低次のものから高次のものまで5種類に大別し、この順に階層構造を持つとするA.H.マズローの欲求段階説は、後に人間資源アプローチと呼ばれる動機づけ理論の理論的基盤となる。この欲求段階説の妥当性については、D.マグレガーの動機づけ・衛生理論とF.ハーズバーグのX理論・Y理論において、科学的に立証された。
D.マグレガーが提したのはX理論・Y理論、F.ハーズバーグが提唱したのは動機づけ・衛生理論である。 また、A.H.マズローの提唱した欲求段階説は、科学的に立証されていない。
35
E.L.デシが行った内発的動機づけに関する実験の結果、外的報酬は動機づけに対して二つの異なる効果を持つことが明らかになった。このうち、統制的側面としての効果とは、外的報酬が与えられると、活動の目的が外的報酬の獲得にすり替わるため、動機づけを弱めてしまうことであり、もう一方の情報的側面としての効果とは、外的報酬の与え方によっては、報酬の受け手に有能で自己決定的であることが伝わるため、動機づけを強める場合があることである。
妥当である。E.L.デシによる外的報酬の2側面に関する記述である。
36
J.W.アトキンソンの達成動機づけの理論では、成功の誘因価を、成功の主観確率の関数であると仮定し、当該確率が低ければ低いほど誘因価は小さくなり、逆に当該確率が高ければ高いほど誘因価は大きくなるとする。達成動機づけのレベルは誘因価に比例するため、理論的には目標の遂行が困難であればあるほど動機づけのレベルは強くなる。
J.W.アトキンソンの達成動機づけの理論では、成功の誘因価(=課題達成の魅力のこと)を成功の主観確率の関数であると仮定し、当該確率が低ければ低いほど誘因価は大きくなり、逆に当該確率が高ければ高いほど誘因価は小さくなるとした。なお、詳細は、問題17の選択肢2.の解説を参照すること。 また、達成動機づけのレベルは、成功の誘因価の関数である成功近接傾向と失敗の誘因価の関数である失敗回避傾向の合成傾向であり、誘因価に比例するわけではなく、成功確率が0.5(ということは、失敗確率も0.5)のときに、動機づけのレベルが最も強くなる。
37
日本企業では、第二次世界大戦後、工員と職員とを区別するなどの身分的資格制度が廃止され、学歴、年齢、勤続年数に応じた処遇を行う職能資格制度が普及した。しかし近年、職務遂行能力に基づいて処遇を行う能力主義の必要性が高まったことを受けて、米国企業で一般的であった役割等級制度や、それを基に日本企業で独自に工夫した職務等級制度が普及しつつある。
資格制度とは、役職とは別の基準で従業員をランク付けする制度である。戦前の日本では、工員と職員とを区別するなどの身分的資格制度が続いていたが、戦後、身分制の撤廃により能力、学歴、勤続年数などに応じて処遇を決める年功的資格制度へ移行した(ただし、工員= ブルーカラー、職員=ホワイトカラーと呼称が変わっただけという説もある)。その後、高度経済成長期を経て個々人の職務遂行能力をもとにする職能資格制度が普及することとなった。 現在、主だった等級制度として、従業員が有する能力に応じて等級を決める職能資格制度、職務の内容や難易度などを明確にし、それに応じて等級を決める職務等級制度、従業員のもつ役職や職務から求められる役割の大きさに応じて等級を決める役割等級制度がある。 職能資格制度は日本企業に固有の人事制度といわれ、人事異動や職務変更に向いているためゼネラリスト育成に適しているが、年功序列的運用になりやすく、中高年が多い組織では人件費が高騰するなどいびつな状況になりやすい。職務等級制度は海外で発達した制度といわれ、全ての職務について職務記述書を作成し、それぞれの職務を数値化するなどしてそれに応じた給与体系を作成する。これにより、職務と給与の関係が対応しやすくなるが、職務記述書の作成が非常に煩雑であり、ノウハウがないと活用できない。役割等級制度はアメリカで考案された制度といわれ、同一役割同一賃金を前提としている。「能力」という判断の難しい基準を用いる職能資格制度や、煩雑な職務記述書を作成する必要がある職務等級制度のデメリットを解消するような制度であり、日本企業でも導入がすすんでいる。
38
F.W.テイラーは、業のうち主に自然的意業の解消について研究を行った。彼は、楽をしたがるという人間の本能が原因の自然的怠業は管理者による標準の設定などによって除去することができるとして、特別な誘因を提供して人間の自発性を刺激する「自発性と誘因」の管理法を採る必要があると主張した。
F.W.テイラーは、怠業のうち、組織的意業の解消について研究をおこなった。また、テイラーは、早い昇進、割増賃金などの特別な誘因を提供して人間の自発性を刺激する「自発性と誘因」の管理法を採る必要があると主張した。
39
J.W.アトキンソンの達成動機づけモデルでは、目標達成がもたらす価値である成功の誘因価を、目標達成の主観的な成功確率の関数であると仮定し、成功の誘因価は、簡単な課題よりも主観的な成功確率が低い困難な課題において成功した方がより大きくなるとした。
妥当である。J.W.アトキンソンの達成動機づけモデルでは、成功の誘因価を主観的な成功確率の関数と仮定している。 成功の誘因価は、主観的な成功確率が低いほど大きくなる、つまり、簡単な課題で成功したときよりも、主観的な成功確率が低い困難な課題において成功した方が大きくなる。 また、失敗の誘因価は、主観的な失敗確率が低いほど大きくなる、つまり、達成の難しい課題で失敗したときよりも、簡単で成功確率が高い課題で失敗したときの方が大きくなる。
40
内発的動機づけの検証実験では、金銭的報酬が及ぼす二つの側面が確認された。このうち統制的側面は、報酬の受け手を現在の職務にとどまらせる作用のことで、報酬には内発的動機づけを高める効果があることを示している。一方、情報的側面は、報酬の受け手の市場価値を示すものであり、市場価値の高低にかかわらず、有能さと自己決定の感覚を弱める作用をもつ。
金銭的報酬がおよぼす二つの側面として、報酬の受け手を現在の職務に留まらせるが、内発的動機づけを低める統制的側面、報酬の受け手に対して有能さと自己決定の感覚を強める作用をもつ情報的側面がある。
41
期待理論は、1930年代に始まる人間関係論の研究を整合的に説明する理論的枠組みである。 その代表的研究者であるV.H.ブルームとE.L.デシは、多くの先行研究を通じて、職務遂行は目的達成のための手段にすぎず目的そのものとは関係がないことや、成果が報酬をもたらすという関係を強めることで自動的にモチベーションや生産性が高まることを示した。
期待理論は、人間が外的報酬によってどのように動機づけられるか、その過程を考察する理論であり、人間関係論の研究を整合的に説明する理論的枠組みではない。また、V.H. ブルームは、500以上の先行研究をもとに期待理論を提唱したが、職務遂行が目的達成の手段であるだけでなく目的そのものでもあり、成果が報酬をもたらすという関係をいくら強めても、自動的にモチベーションや生産性が高まるわけではないともしている。
42
A.H. マズローは、人間の欲求は、最低次欲求である安全求から最高次欲求である自己実現の欲求まで階層的に配列されていると仮定した上で、自己実現の欲求とは、他人からの尊敬や重を意味する名声や栄光に対する欲求のことであるとした。また、低次の欲求が満たされると一段階上の欲求の強度が増加するとした。
A.H.マズローは、人間の欲求は、最低次欲求である生理的欲求から最高次欲求である自己実現の欲求まで階層的に配列されていると仮定した上で、自己実現の欲求とは、自分の潜在能力を最大限に発揮したいという欲求のことであるとした。また、生理的欲求から自尊欲求までは、低次の欲求が満たされると一段階上の欲求の強度が増加するが、最高次の自己実現の欲求は、それが満たされても関心が低下することはなく、さらに関心が高まるとした。なお、1文目後半で述べられているのは、自尊欲求である。
43
F.W.テイラーは、米国の工場で生じていた組織的意業などの生産現場の問題の改善に取り組み、差別的出来高給制度の運用は恣意的になりやすいため、金銭的報酬による動機づけは困難であるとした。また、職場の人間関係やインフォーマルな組織が職務満足や生産性の向上に決定的な影響を与えると主張した。
F.W.テイラーは、組織的意業などの問題改善のために、業務などの標準の設定や差別的出来高給制度を提示した。また、2文目は、人間関係論に関する記述であり、テイラーとは関連がない。
44
F.ハーズバーグは、仕事に関わる動機や欲求を、衛生要因と動機づけ要因に分類した。金銭的報酬や作業条件は衛生要因に分類され、人間関係や仕事そのものから得られる充実感などの個人の内面から生まれる欲求は動機づけ要因に分類される一方で、昇進や会社の方針などは衛生要因と動機づけ要因のどちらにも該当するとされた。
F. ハーズバーグによる動機づけ=衛生理論について、昇進は動機づけ要因、会社の方針は衛生要因に分類される。
45
D.マグレガーは、X理論・Y理論と呼ばれる考え方を提示した。X理論では、人間は働くことを好まず、命令や強制がなければ働かないとされる一方で、Y理論では、人間は自己実現の喜びを求めて目標達成に向けて努力するとされた。
妥当である。D.マグレガーが提示した、理論・Y理論に関する記述である
46
E.L.デシは、内発的動機づけの理論を体系化し、有能さや自己決定の感覚が高くなるほど職務満足感が高くなると唱えた。また、金銭的報酬は有能さを示す重要な指標であり、金銭的報酬を与えることで内発的動機づけを強化し、職務満足感を高めることができると主張した。
E.L.デシが体系化した内発的動機づけの理論について、金銭的報酬は刺激が強いため、金銭的報酬を与えることでかえって内発的動機づけを弱めてしまうことがあることも示した。
47
レヴィンは、リーダーシップの相違によって、個人や集団にどのような影響が出てくるかについて、専制型、相談型、参加型に類型化して行ったオハイオ研究の結果、参加型リーダーの下での作業が、仕事への動機づけや創造性の面で最も優れているとした。
レヴィンは、リーダーシップのスタイルを専制型、民主型、自由放任型に類型化しておこなったアイオワ実験の結果、長期的には民主型リーダーの下での作業が、仕事への動機づけや創造性の面で最も優れているとした。
48
三隅二不二は、集団の機能を目標達成機能と集団維持機能とに区別できるとし、両機能の強弱によりリーダーシップをPM型、Pm型、pM型、pm型の4つに類型化して、そのうち、目標達成機能が強く集団維持機能が弱い型であるPm型が生産中心的なため、最も効果的であるとした。
三隅二不二の提唱したPM理論について、最も効果的であるとしたのは、目標達成機能も集団維持機能もともに強いPM型である。
49
ブレイクとムートンは、業績に対する関心と人間に対する関心を座標軸に置いて、それぞれの関心度を9段階に区別したマネジリアル・グリッドにより、リーダーシップのスタイルを類型化し、業績にも人間にも高い関心を示す9・9型が理想的なリーダーであるとした。
妥当である。ブレイクとムートンの提唱したマネジリアル・グリッド理論に関する記述である。
50
ハーシーとブランチャードは、部下の成熟度を条件変数としてSL理論を展開し、部下の成熟度が最も低い段階では説得的リーダーシップが有効であり、部下の成熟度が高まるにつれて、最も有効なリーダーシップのスタイルが、説得的、参加的、委任的、放任的へと移行していくとした。
ハーシーとブランチャードは、部下の成熟度が最も低い段階では教示的リーダーシップが有効であり、部下の成熟度が高まるにつれて、最も有効なリーダーシップのスタイルが、教示的、説得的、参加的、委任的へと移行していくとした。
51
リッカートは、組織を1つの社会システムとみなして、仲介変数、原因変数、最終結果変数の3つの変数の相互関係が存在すると主張し、リーダーシップである仲介変数を変えることにより、原因変数であるモラールが改善され、最終結果変数である業績の向上が図られるとした。
リッカートが示した3つの変数は、原因変数、仲介変数(媒介変数)、最終結果変数であり、リーダーシップである原因変数を変えることにより、仲介変数であるモラールが改善され、最終結果変数である業績の向上が図られるとした。
52
ミシガン大学の研究では、高業績を挙げている部門のリーダー行動とそうでない部門のリーダー行動の比較が行われた。高業績部門のリーダーは、従業員中心的な監行動や、部下の失敗を学習の機会として生かすための支援的行動等を行っており、そのようなリーダーに対して、部下は仕事達成への圧力があったとしても、それを不当と感じていなかった。
妥当である。R.リッカートの行ったミシガン研究では、従業員中心的な監督行動をとったリーダーに対して、部下はリーダーからの仕事達成への圧力があったとしても、それを不当に感じていなかったことが分かった。
53
オハイオ州立大学の研究は、リーダーの行動には人間関係的側面の配慮と、仕事中心的側面の構造づくりの二次元の行動が存在するとし、両方の次で高いパフォーマンスのリーダーの方が、その両方あるいはいずれかの次元において低いパフォーマンスのリーダーよりも、部下の業績や満足度が高いことを明らかにした。
妥当である。オハイオ研究に関する記述である。
54
リーダーシップについては、従来は構造づくり(initiating structure)と配慮(consideration) によって構成されると考えられていたが、R.リッカートらによって行われたオハイオ研究の結果、動機づけの要素が加わったことにより、より詳細な分析が可能となった。
R.リッカートらによっておこなわれたのはミシガン研究であり、オハイオ研究ではない。 また、オハイオ研究によって、構造づくりと配慮の2因子が提唱された。
55
アイオワ研究では、放任的リーダーシップと民主的リーダーシップの二つのリーダーシップ・スタイルに絞った研究が行われた。この結果、民主的リーダーシップよりも放任的リーダーシップの方が成果の観点から望ましいことが分かった。
アイオワ研究では、放任的リーダーシップ、民主的リーダーシップに加え、専制的リーダーシップの三つのリーダーシップ・スタイルに絞った研究がおこなわれた。この結果、民主的リーダーシップが、成果の観点から最も望ましいことがわかった。
56
マネジリアル・グリッドとは、縦軸に人への関心のレベル、横軸に生産(業績)への関心のレベルをとり、リーダーのタイプを分析するものである。両者はトレード・オフの関係にあるため、優れたリーダーシップに有効なタイプは、両者のバランスが取れた5・5型とされる。
R.R.ブレークとJ.S.ムートンが提唱したマネジリアル・グリッドについて、優れたリーダーシップに有効なタイプは、人への関心のレベルも生産への関心のレベルもともに高い9・ 9型である。
57
F.E.フィードラーは、リーダーシップを分析するために、一緒に仕事をすることが最も苦手だった者に対する寛容さの程度を測る指標としてLPC(Least Preferred Coworker)を用いた。その結果、状況好意性が高い又は低い状況下では、LPCの低いリーダーの業績が高いことが分かった。
妥当である。F.E.フィードラーの提唱した理論に関する記述である。この結果、状況好意性が高いまたは低い状況下ではLPCの低いリーダー、状況好意性が中程度の状況下ではLPCの高いリーダーの業績が高いことがわかった。
58
K.レヴィンは、リーダーシップ・スタイルの類型として、リーダーが全ての仕事を取り仕切る専制型、リーダーが集団のメンバーの意見を取り入れつつ集団の運営を行う代表型、集団のメンバーに自由に仕事をさせる民主型の三つを設定し、1960年代の米国企業を対象としてリーダーシップに関する実験を行った。
K.レヴィンが中心になっておこなった本肢のアイオワ実験について、リーダーが集団のメンバーの意見を取り入れつつ集団の運営を行うのは民主型、集団のメンバーに自由に仕事をさせるのは自由放任型である。また、この実験は、1937~40年にかけて、児童の集団を対象としておこなわれた。
59
F.E.フィードラーは、リーダーシップ・スタイルはリーダーとメンバーの間の人間関係、タスクが構造化されている程度及びリーダーの性格の三つによって決定されるとする、リーダーシップのコンティンジェンシー理論を提唱した。実証研究の結果、状況好意性が高いときと低いときでは、人間関係志向のリーダーの成果が高いことが分かった。
F.E.フィードラーは、リーダーシップ・スタイルは、リーダーがメンバーに受容されている程度、タスクが構造化されている程度およびリーダーに付与されている公式な権限の大きさの程度の三つによって決定されるものとする、リーダーシップのコンティンジェンシー理論を提唱した。実証研究の結果、状況好意性が高いときと低いときでは、仕事志向のリーダーの、状況好意性が中程度のときでは、人間関係志向のリーダーの成果が高いことがわかった。
60
P.ハーシーとK.H.ブランチャードは、リーダーシップ・スタイルは教示的リーダーシップ、説得的リーダーシップ、参加的リーダーシップの三つに分類できると主張し、その中でも最も有効となるリーダーシップ・スタイルは部下への指示を積極的に行いつつも人間関係の維持も重視する、説得的リーダーシップであるとした。
P.ハーシーとK.H.ブランチャードは、リーダーシップ・スタイルは、教示的リーダーシップ、説得的リーダーシップ、参加的リーダーシップ、委任的リーダーシップの四つに分類できるとするSL理論を提唱した。この理論は、部下の成熟度に応じて、とるべきリーダーシップ・スタイルを上記四つの中から選ぶことになるため、最も有効となるリーダーシップ・スタイルは、部下の成熟度によることになる。
61
サイモンは、目標達成手段としての行動代替案は、十分な種類が識別されず、結果も不十分な予測しか立たないので、意思決定の現実はあるべき理想状態からは乖離しているとし、意思決定には限界合理性があるとした。
妥当である。サイモンの限定合理性に関する記述である。
62
バーナードは、組織の有効性とは、組織の客観的な目的達成の度合いを意味し、その目的を達成するためにいかに有効な手段を選択し得るかという意思決定の能力に関わる問題であるとし、他方において、組織の能率とは、組織の構成員が得る個人的な満足の度合いを意味するとした。
妥当である。バーナードの組織の存続条件に関する記述である。
63
H.I.アンゾフは、組織を二人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系と定義した。組織が成立するためには、貢献意欲、相互扶助(助け合い)、コミュニケーションシステムの三つの条件がなくてはならないと考えた。
組織を「二人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系」と定義したのは、C.I.バーナードである。また、バーナードの提示した組織の成立要件は、共通目的、貢献意欲、コミュニケーションの3つである。
64
C.I.バーナードは、権威とは上司から部下に委譲されることにより生ずると考える伝統的な権威委議説の考え方ではなく、部下に受容されることにより初めて効力を発揮するという権威受容説の考えを提示した。
妥当である。C.I.バーナードの提唱した権威受容説(権限受容説)に関する記述である。
65
J.G.マーチやM.D.コーエンらは、現実の組織の意思決定を「問題」、「解」という二つの要素を用いて表した。ゴミ箱モデルといわれるこのモデルでは、独立している二つの要素が必然的なタイミングで結び付き、意思決定が論理的に行われるものと考える。
J.G.マーチやM.D.コーエンらは、現実の組織の意思決定を「問題」、「解」、「参加者」という三つの要素を用いて表す、ゴミ箱モデルを提示した。このモデルでは、三つの要素が得然のタイミングで結び付き、意思決定が非論理的に行われるものと考える。
66
H.A.サイモンは、人間は意思決定を行う際に、完全情報・完全知識の下で完全合理的な行動ができるものではなく、限られた情報や知識の下で合理的に行動するものであるとした。こうした人間観を「経営人」と呼んだ。
妥当である。H.A.サイモンが提示した「経営人」に関する記述である。
67
C.I.バーナードは、組織を「意識的に調整された人間の活動ないし諸力のシステム」と捉え、こうした組織が成立する条件として、「共通の目的」「コミュニケーション」「統制」「有効性」の4点を挙げた。また、組織が存続する条件として、目的の達成のための自発的な「協働意欲」と個人的貢献を引き出すのに足りるだけの誘因を提供する能力を表す「能率」の充足を挙げた。
C.I.バーナードは、組織が成立する条件として、「共通の目的」「協働意欲」「コミュニケーション」の3点を挙げ、組織が存続する条件として、「有効性」「能率」の2点を挙げた。
68
現実の人間が発揮することのできる合理性は、環境の複雑性に対して著しく限定されているという意味で限定合理性である。この限定合理性しかもたない人間モデルを「経済人」といい、経済人は高度に特定化され、明確に定義された状況の中でしか意思決定を行うことができない。つまり、経済人は、直面する意思決定に関係する要素だけを抜き出して組み立てた、いわば「仮想空間」の中で意思決定を行う。
限定合理性しかもたない人間モデルは、「経済人」ではなく「経営人」である。経済人は、伝統的管理論で提示された機械的人間観に由来し、人間は孤立した個人であり、打算的、合理的な存在である。また、経済人は高度に特定化され、明確に定義された状況の中で意思決定をおこなうが、環境の複雑性が維持された「現実世界」の中で意思決定をおこなうことになる。一方、モデルを単純化して、直面する意思決定に関係する要素だけを抜き出して組み立てた、「仮想空間」の中で意思決定をおこなうのは経営人である。
69
経営管理論の始祖H.ファヨールは、資金流出入状況に基づいて自社の事業を評価し、事業・子会社の資産管理を行うことが経営することそのものであると考え、これを管理的職能と名付けた。管理的職能は予測、組織、命令、資本調達、統計の5要素から成るが、これらには順序があり繰り返される性質をもつので、ファヨールはPDSまたはPDCAと呼ばれる管理サイクルを提案し、その教育の必要性を説いた。
H.ファヨールの提示した管理的職能は、予測(計画)、組織、命令、「調」、「統制」の5要素から成り、これが、PDS(Plan、Do、See)またはPDCA(Plan、Do、Check、Act)と呼ばれる管理サイクルのもととなった。よって、ファヨールはこれらの管理サイクルを提案していない。また、資金流出入状況に基づいて自社の事業を評価し、事業・子会社の資産管理を行うことは、PPMである。
70
会社法は、会社を株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社と定義し、これらのうち合名会社、合資会社又は合同会社を持分会社と総称する。
相互会社は、会社法ではなく保険業法で規定された企業形態である。
71
合資会社は、有限責任社員と無限責任社員によって構成されているが、合資会社の有限責任社員が退社したことにより、当該合資会社の社員が無限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は解散する。
合資会社について、有限責任社員が退社し、社員が無限責任社員のみとなった場合は、必ずしも解散しなければならないわけではなく、合名会社として存続することも可能である。
72
合同会社は、出資者全員が無限責任社員によって構成されており、その社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、他の社員全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
合同会社は、出資者全員が有限責任社員である。
73
合名会社は、出資者全員が有限責任社員によって構成されているが、株式会社と異なり、取締役会や監査役等の設置は義務づけられていない。
合名会社は、出資者全員が無限責任社員である。また、後半の記述のような機関設計についての規定もない。
74
相互会社は、保険会社だけに認められた企業形態であり、相互会社の最高意思決定機関は社員総会であるが、社員総会に代わって、社員の代表者によって構成される社員総代会を設置することが認められている。
妥当である。相互会社に関する記述である。
75
株式会社の株主総会で選任された取締役は、取締役会を構成する。取締役会は、法人としての会社を代表する代表取締役を選任し、取締役会で決定した業務を代表取締役に執行させる。取締役は、代表取締役の職務執行について会計監査及び業務監査をする。代表取締役は1名のみであり、複数が代表権を持つことはできない。
株式会社の代表取締役は、複数でも構わない。また、代表取締役の職務は会社を代表して業務を執行することであり、取締役に対しての会計監査や業務監査を行うのは監査役である。
76
合資会社は、複数の無限責任社員によって構成される。合資会社の社員(自己資本の出資者としての企業者)は、企業活動から得られる利益をその出資の割合に応じて受け取ることができるが、同時に、事業活動が生み出した損失を負担しなければならない。その責任の割合は出資比率によるが、限度は無限である。
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の二つのタイプの出資者をあらかじめ区別して設立される。かつては、有限責任社員に業務執行権や代表権は認められていなかったが、現在は全社員に業務執行権と代表権が認められている。また、利益配分の割合は、出資の割合にかかわらず自由に決めることができる。一方、責任の割合は無限責任社員の方が有限責任社員よりも大きくなる。
77
合同会社は、有限責任制の組織であり、出資した社員全員で経営を行う。定款に定めることで、出資のみの社員も認められる。内部自治の原則が重視されているため、経営意思決定のルール等に関する社員の裁量範囲が広く、経営の効率化が図られる。事業が成長し、多くの資本や従業員を雇用する必要が生じた場合には株式会社への変更も可能である。
妥当である。合同会社に関する記述である。
78
特例有限会社とは、中世イタリアの沿岸都市において発達した「コメンダ」を起源としており、会社法施行前から存在する企業形態の一つである。出資者全員が無限責任社員であり、重要な意思決定は社員の多数決により行われる。
特例有限会社は、2006年の会社法施行によって有限会社法が廃止となったことに伴い、既存の有限会社が、名称を変更せず存続しているものであり、会社法上は、株式会社の規定を受ける。また、中世イタリアの沿岸都市において発達したコメンダを起源としているのは、合資会社である。
79
合同会社とは、株式会社の一種であるが、重要事項の決定を株主総会における全会一致で行う点が通常の株式会社と異なる点である。そのため、株主が少なく、規模の小さい会社が適しており、定款自治の範囲が広いことが特徴である。
合同会社は、2006年施行の会社法により新たに設立が可能となった会社形態であり、出資者全員が有限責任社員である。また、合同会社は株式を発行して出資を募るわけではないので株主総会は存在しないが、重要事項の決定は社員の全員一致で決まる(ただし、定款の変更により、多数決で決めることも可能である)。
80
相互会社とは、保険業にのみ認められている企業形態であり、保険加入者が事実上の出資者となり、保険料を限度として有限責任を負うこととされている。会社法ではなく、保険業法において規定された企業形態である。
妥当である。相互会社に関する記述である。相互会社は、日本では2018年時点で生命保険5社しか存在しない。
81
合名会社とは、会社法施行後に新たに設けられた企業形態で、無限責任社員と有限責任社員によって構成されている。重要な意思決定については、有限責任社員が多数決で決定を行った後、無限責任社員により承認される必要がある。
合名会社は、会社法施行前より存在した会社形態で、無限責任社員のみによって構成されている。
82
合資会社とは、会社法に基づいて設置される企業形態であり、出資者全員が有限責任社員である。これは、中世ヨーロッパの商業都市において発達した「ソキエタス」を起源としている。
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員によって構成されている。また、中世ヨーロッパの商業都市において発達したソキエタスを起源としているのは、合名会社である。
83
株式会社は、定款の定めによって、会計監査人を置くことができるが、会計監査人は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければならない。
会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならず、税理士若しくは税理士法人が会計監査人になることはできない。また、その職務は、貸借対照表や損益計算書などの計算書類や附属明細書などの監査である。
84
監査等委員会設置会社とは、監査等委員会を置く株式会社をいい、当該委員会が取締役の職務の執行の監査及び監査報告の作成を行うため、監査等委員会設置会社は会計監査人を置いてはならない。
監査等委員会設置会社には、会計監査人を置かなければならない。一方で、監査役や執行役を置くことはできない。
85
指名委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社をいい、各委員会は委員3人以上で組織され、各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならない。
妥当である。指名委員会等設置会社に関する記述である。会社法改正までは、「委員会設置会社」であった。
86
株式会社のうち、指名委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く会社をいうが、指名委員会等設置会社は、取締役会を置いてはならない。
指名委員会等設置会社は、監査役(会)を置いてはならない。
87
2015年施行の改正会社法において、監査役会設置会社が新たに制度化された。これは、近年、コーポレート・ガバナンス強化の流れの中で、取締役を構成メンバーとする監査役会を設置することで、取締役会からの独立性を確保するとともに、取締役会の監視を強化するものである。
2015年施行の改正会社法において、新たに制度化されたのは、監査等委員会設置会社である。
88
株式会社の役員や従業員が自社株をあらかじめ定められた価格で取得することができる権利はストック・オプションと呼ばれる。一般に、ストック・オプションには、自社の株価に対する意識を高め、業績向上への意欲を高める効果があるとされる。
妥当である。ストック・オプションに関する記述である。
89
A.A.バーリとG.C.ミーンズは、1920年代における米国の大企業の株式所有状況を調査したところ、いわゆる株式の集約が進み、株主数が減少するにつれて、株主が会社に対する実質的な支配権を失っている状況を発見した。このように所有と支配が分離している状況を「経営者支配」と呼んだ。
A.A.バーリとG.C.ミーンズは、1920年代における米国の大企業の株式所有状況を調査したところ、いわゆる株式の分散が進み、株主数が増加するにつれて、株主が会社に対する実質的な支配権を失っている状況を発見し、このような状況を「経営者支配」と呼んだ。
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