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問題一覧
1
両議院の召集、開会及び閉会が同時に行われるべきとする両議院の同時活動の原則については、憲法上、これに関連する規定はないが、憲法が二院制を採用していることを踏まえ、法律により明文で規定されている。
42条において衆議院と参議院による二院制を採用する旨規定しており、両院同時活動の原則については、54条2項前段にその規定がある。したがって、「憲法上、これに関連する規定はない」以降が誤りである。なお、国会法には同原則について定めた明文規定はない。
2
衆議院は予算先議権を有し、予算に関連した法律案は予算との関連が密接であることから、憲法上、当該法律案についても衆議院において先議しなければならないと規定されている。
60条1項は「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。」としており、予算を伴う法律案も同様に扱う旨は憲法上規定されているわけではない。なお、予算を伴う法律案は、法律案の一環として扱われるため、59条(法律案の議決)の手続きをとることとなる。したがって、「当該法律案についても・・・先議しなければならない」の部分が誤りである。
3
法律案は、憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となるが、法律案の議決について、参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
法律案の議決について、参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる(越法59条3項)。よって、「30日以内に」とする本肢は誤りである。
4
条約の締結に際しては、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることが必要であるが、この承認について、参議院が、衆議院の可決後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
条約について、参議院が衆議院の承認した議決案を受け取った後、国会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする(憲法60条2項、61条)。 よって、「60日以内に」とする本肢は誤りである。
5
内閣総理大臣は、国会が国会議員の中から指名の議決を行うことによって決められ、この指名は、他の全ての案件に先立って行われるが、この指名の議決について、衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
内閣総理大臣の指名について、衆議院の指名の議決をした後、国会休中の期間を除いて10日以内に、参議院が指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする(憲法67条2項)。よって、「30日以内に」とする本は誤りである
6
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判することができるが、この争訟の「裁判」は、憲法第76条の例外であって、司法裁判所の管轄外とされているため、議員の資格を失わせるには、特に厳格な手続が求められており、総議員の3分の2以上の多数による議決が必要である。
議員の資格争訟裁判において、議員の資格を失わせる場合には、出席議員の過半数の賛成では足りず、出席議員の3分の2以上の賛成を要する(憲法55条)。よって、「総議員の」とする本肢は誤りである。
7
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、また、院内の秩序を乱した議員を懲罰することができ、議員が国務大臣や大臣政務官などの公務員を兼務している場合であっても、懲罰の対象外とはならない。
妥当である。国務大臣や大臣政務官などを兼務する議員も懲罰の対象となると一般に解されている。
8
予算は、先に衆議院に提出しなければならず、参議院が、発議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときであっても、両院協議会を開かなければならず、直ちに衆議院の議決を国会の議決とすることはできない。
予算について、参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる(憲法60条2項後段)。 両院協議会を開かなければならないのは、参議院で衆議院と異なった議決をした場合である(憲法60条2項前段)。 したがって、「両院協議会を開かなければならず」の部分と「両院協議会を開かなければならず、~国会の議決とすることはできない」の部分が誤りである。
9
法律案は、両議院で可決したとき法律となるが、参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、直ちに衆議院の議決を国会の議決とする。
憲法59条4項は、参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は参議院がその法律案を否決したものとみなすことができると規定している。そして、衆議院は、再可決によって法律を成立させることができるのである。したがって、本後半の「国会休会中の期間を除いて~国会の議決とする」とする部分が誤りである。
10
内閣総理大臣の指名について、衆議院と参議院の議決が一致しないときは、参議院は、両院協議会を求めなければならず、衆議院はこの求めを拒むことができない。
妥当である。内閣総理大臣の指名について衆議院と参議院の議決が異なるときは、両議院協議会を必要的に開催する(憲法67条2項前段)。なお、衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる(憲法67条2項後段)。
11
衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときは、その選挙の日から30日以内に国会の特別会を召集しなければならないが、特別会の会期は両議院一致の議決で定め、会期の延長は2回に限って行うことができる。
特別会(特別国会)は、衆議院が解散され、衆議院議員の総選挙が行われた後30日以内に召集される国会である。衆議院議員の任期満了による総選挙後に開かれる国会は臨時会(臨時国会)である。したがって、本肢前半の「衆議院議員の任期満了による~特別会を召集しなければならないが」とする部分が誤りである。後半部分は正しい。
12
両議院の議事は、憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところにより、また、議長は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、国会の臨時会の召集を決定しなければならない。
臨時会(臨時国会)は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合に開催されるが、臨時会を召集するのは天皇であり(憲法7条2号)、実質的決定権は内閣にある。 したがって、本後半の「また、議長は、いずれかの議院の~臨時会の召集を決定しなければならない」の部分が誤りである。
13
憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、内閣総理大臣がこれを発議し、国民に提案して、その承認を経なければならない。
憲法改正を発議するのは国会である。したがって、「内閣総理大臣が」としている点が誤りである。
14
衆議院又は参議院の比例代表選出議員は、当選後、自己の所属する政党以外の政党で、当該選挙における名簿届出政党に所属するに至った場合でも、議員資格を喪失しない。
衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員が、自らが選出された選挙における他の名簿届出政党等に所属する者となったときは、退職者となる(国会法109条の2)。したがって、「議員資格を喪失しない」としている点が誤りである。
15
国政調査権は、公務員が職務上知りえた事実について、本人から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所の承認がなければ、証言を求めることができないが、書類の提出を求めることはできる。
公務員が職務上知りえた事実について、本人または当該公務所から「職務上の秘密」に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所またはその監督庁の承認がなければ証言や書類提出を求めることができない。したがって、「当該公務所の承認がなければ、証言を求めることができないが、書類の提出を求めることができる」の部分が誤りである。
16
衆議院において個別の国務大臣に対する不信任決議がされた場合、当該国務大臣はその地位を失う。
衆議院において個別の国務大臣に対する不信任決議がなされたとしても法的拘束力が生じるわけではない。ゆえに、国務大臣の地位を失うわけではない。したがって、本記述の、「該国務大臣はその地位を失う」の部分が誤りである。
17
内閣総理大臣は、閣議にかけることなく、国務大臣を免することができる。
妥当である。憲法第68条2項は、「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」と規定している。
18
下級裁判所の裁判官を任命することは、憲法上、内閣の権限又は事務とされている
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名によって、内閣が任命する(憲法80条1項)。
19
国会の臨時会の召集を決定することは、憲法上、内閣の権限又は事務とされている。
内閣は、臨時に必要があると判断した場合は、国会の臨時会の集を決定することができる(憲法53条)。
20
国務大臣の訴追について同意することは、憲法上、内閣の権限又は事務とされている。
国務大臣が訴追される場合には、内閣総理大臣の同意が必要である(憲法75条)。
21
内閣が国会に対し連帯して責任を負うだけでなく、特定の国務大臣がその所管する事項に関して単独の責任を負うことも否定されていないが、個別の国務大臣に対する不信任決議は、参議院はもとより、衆議院においても行うことができない。
確かに悪法6条る量は「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負る。」と定めているが、特定の国務大臣が所管事項について単独(個人)責任を負うことも憲法上否定されていない。また、個別の国務大臣に対する不信任決議は、辞職を強制する法的効力をもたないものの、衆議院・参議院ともに行うことができるとされている。したがって、本間の「個別の国務大臣に対する不任決議は、参議院はもとより、茶議院においても行うことができない」の部分が誤りである。
22
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名される。内閣総理大臣は国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員の中から選ばれなければならない。また、国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されず、閣議決定によらなければ免されない。
憲法68条2項は「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。」と定めるため、国務大臣の罷免に対して閣議決定は必要ではない。したがって本間の「閣議決定によらなければ罷免されない」の部分が誤りである。なお、内閣総理大臣の指名に関する憲法67条1項、国務大臣の要件に関する同68条1項、国務大臣の訴追の同意に関する同75条本文より、本間の他の部分は正しい。
23
内閣総理大臣の職務として、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、行政各部を指揮監することが、憲法上規定されている
妥当である。憲法72条の定めるとおりである。
24
条約の締結は、内閣の職務として憲法上規定されているが、必ず事後に国会の承認を経ることが必要である。
憲法73条3号は内閣の職務として「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」と定めるため、必ずしも承認が条約締結の事後である必要はない。したがって、本問の「必ず事後に国会の承認を経ることが必要である」の部分が誤りである。
25
法律及び政令には、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することが必要である。政令には、特に法律の委任がある場合を除き、罰則を設けることができない。
妥当である。前半は憲法74条、後半は同73条6号が定めるとおりである。
26
法律の誠実な執行や国務の総理については、内閣総理大臣の職務として憲法上規定されている。
内閣の職務として法律を誠実に執行し、国務を総理するものと定められている(憲法73条1号)。したがって、本記述の「内閣総理大臣の職務として」の部分が誤りである。
27
国務大臣の任命は内閣総理大臣が行うが、これを天皇が認証することにより初めて合議体としての内閣が成立する。
国務大臣の任命の認証は、内閣の助言と承認によって天皇がする国事行為であるが(7条5号)、この「認証」(ある行為が権限ある機関によってなされたことを公に証明する行為)は、認証されるべき行為の効力要件ではないと一般に解されている。したがって、「天皇が認証することにより初めて…」という部分が誤りであ。
28
国務大臣は、各議院から答弁又は説明のため出席を求められたときは、議院に出席する義務があることから、国会の会期中に限り、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない。
国務大臣は、「弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」(63条後段)。しかし、国務大臣の不訴追特権がおよぶ期間は「その在任中」であるので(75条)、「国会の会期中に限り」の部分が誤りである。
29
内閣は、内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織される合議体であり、国務大臣は内閣の構成員であると同時に、各省の長として行政事務を分担理する主任の大臣でなければならず、無任所の大臣を置くことは認められていない。
国務大臣は、行政事務を分担管理しない無任所の大臣、すなわち、憲法上の国務大臣の職務に専念する大臣を置くことも許されている(内閣法3条2項)。したがって、本肢後半の「各省の長として~憲法上否定されている」とする部分が誤りである。
30
内閣総理大臣は、国務大臣を任命するとともに、また、任意に国務大臣を罷免することができ、国務大臣の任免権は内閣総理大臣の専権に属するが、この国務大臣の任免には天皇の認証を必要とする。
妥当である。国務大臣の任命および罷免は内閣総理大臣の専権に属する(憲法68条)。そして、国務大臣の任免には天皇の認証を必要とする(憲法7条5号)。
31
内閣総理大臣は、法律及び政令に主任の国務大臣の署名とともに連署することが必要であるため、内閣総理大臣の連署をいた法律及び政令については、その効力が否定される。
法律、政令には、その執行責任を明らかにするため、主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署しなければならないが、これは制定行為を完結させる形式上の行為であって、これを欠いていてもその効力に影響はないと解されている。したがって、本後半の「内閣総理大臣の連署を~その効力が否定される」とする部分が誤りである。
32
衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であり、かかる行為について、その法律上の有効無効を審査することはもとより、当該衆議院の解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても、等しく裁判所の審査権の外にある。
妥当である。判例は、「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきことは既に前段説示するところによってあきらかである。そして、この理は、本件のごとく、当該染議院の解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても同様であって、ひとしく裁判所の審査権の外にありといわなければならない。」と判示した(最大判昭35年6月8日 苫米地事件)。
33
国会の両議院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布された法律については、裁判所は、両議院の自主性を尊重すべく、当該法律の制定の議事手続に関する事実を審理して、その有効無効を判断すべきではない。
妥当である。判例は、両院において議決を経たものとされ、適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重し、察法制定の議事手続に関する事実を審理して、その有効無効を判断すべきでないと判示した(最大判昭37年3月7日 察法改正無効事件)。
34
国立大学の専攻科修了の認定は、一般市民法秩序と直接の関係を有するとはいえず、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであるため、裁判所の司法審査の対象とならない。
判例は、「国公立の大学において右のように大学が専攻科修了の認定をしないことは、実質的にみて、一般市民としての学生の国公立大学の利用を拒否することにほかならないものというべく、その意味において、学生が一般市民として有する公の施設を利用する権利を侵害するものであると解するのが、相当である。されば、本件専攻科修了の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象になる」と判示した(最判昭52年3月15日 富山大学事件)。したがって、本記述は全般的に誤りである。
35
法律上の争訟は、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法律を適用することにより終局的に解決することができるものに限られるため、具体的事件性を前提とせずに出訴できる制度を法律で設けることはできない。
「法律上の争訟」に関する説明は正しい。具体的事件性を前提とせずに出訴できる制度として、民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)が挙げられる。民衆訴訟は、国は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟であり、当該機関と出者との間の具体的な権利義務関係の存否を争うものではない。したがって、本記述の「具体的事件性を~設けることはできない」の部分が誤りである。
36
衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であり、その法律上の有効無効を審査することは、当該解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても、司法裁判所の権限の外にあるとするのが判例である。
妥当である(最大判昭35年6月8日 苦米地事件)
37
憲法は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある場合には、政治犯罪、出版に関する犯罪などの一部の事件を除いて、事件の審理及び判決の言渡しを公開しないで行うことができることを定めている。
憲法は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う」と定め、対策については、一部の例外(政治迎罪・出版に関する犯罪など)を除き非公開で行うことができると定めているが、判決については、非公開にできることを定めていない。したがって、本記述の「判決の言い渡しを公開しないで行うことができることを定めている」の部分が誤りである。
38
憲法は、最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の人数については法律でこれを定めることとしており、裁判所法が、その人数を14人と定めている。
妥当である。憲法は、「最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官で構成」され(憲法79条1項)、裁判所法は、「最高裁判所の裁判官は、その長たる裁判官を最高裁判所長官とし、その他の裁判官を最高裁判所判事とする」とし(裁判所法5条1項)、「最高裁判所判事の員数は、14人」(裁判所法5条3項)としている。
39
憲法は、下級裁判所の裁判官の任期については法律でこれを定めることとしており、裁判所法が、下級裁判所の裁判官の任期を10年と定めている。
憲法は、「下級裁判所の裁判官は、~内閣でこれを任命する。その裁判官は任期を10年とし」と定めており(憲法80条1項)、下級裁判所の裁判官の任期について、裁判所法で10年と定めてはいない。したがって、本記述は全体的に誤りである。
40
直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、原則として司法審査の対象とはならないが、それが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合は、例外的に司法審査の対象となるとするのが判例である。
判例は、統治行為論につき、直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、それが法律上の争訟となり、有効無効の判断が法律上可能であっても裁判所の審査の対象外にある、としている(最大判昭35年6月8日苫米地事件)。したがって、本記述の、「これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合には、例外的に司法審査の対象となるとするのが判例である」の部分が誤りである。
41
裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべき旨を定めた憲法第82条第1項は、各人が裁判所に対して裁判を傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものでないことはもとより、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保障しているものでもないとするのが判例である。
妥当である。判例は、憲法82条は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障するが、各人が、裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることを認めたものではないことはもとより、傍聴人に対して法廷でメモを取ることを権利として保障しているものではない、としている。
42
警察予備隊の設置並びに維持に関する一切の行為の無効の確認について、現行の制度の下においては、特定の者の具体的な法律関係につき紛争の存しない場合においても裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所が具体的事件を離れて抽象的に法律命令の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上根拠が存するとした。
警察予備隊事件では、最高裁判所が具体的事件を離れて抽象的に法律、命令等が憲法に適合するかどうかを決定する権限を有するかどうかについて、これを否定する判断をした。したがって、本の「裁判所が具体的事件を離れて抽象的に法律命令の合意性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法律上の根拠が存するとした。」とする部分が誤りである。
43
関税法の規定により第三者の所有物を没収する場合に、その収に関してその所有者に対し、何ら告知、弁解、防の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは著しく不合理であって憲法の容認しないところであり、かかる没収の言渡しを受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合でも被告人に対する付加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告しうるとした。
妥当である。第三者所有物没収事件では、没収の言渡しを受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲として上告することができるとした。
44
在外国民の投票を可能にするための法律案が廃案となった後10年以上の長きにわたって何らの立法措置も執られなかったとしても、国民に憲法上保障されている権利が違法に侵害されていることが明白なわけではなく、著しい不作為とまではいえないから過失の存在を認定することはできず、違法な立法不作為を理由とする国家賠償請求は認められないとした。
在外選挙権制限違憲判決では、「在外選挙制度を設けるなどの立法措置をとることが必要不可であったにもかかわらず、・・・10年以上の長きにわたって何らの立法措置も執られなかったのであるから、このような著しい不作為は・過失の存在を否定することができない。」として違法な立法不作為を理由とする国家賠償請求を認めた。したがって、本肢の「違法な立法不作為を理由とする国家賠償請求は認められない」とする部分が誤りである。
45
条約一般が違憲審査の対象になるか否かについて、判例は、憲法が条約に優位するという前提をとりつつ、①条約は特に憲法第81条の列挙から除外されていること、②条約は国家間の合意という性質をもち、一国の意思だけで効力を失わせることはできないこと、③条約はきわめて政治的な内容をもつものが多いことを理由に、これを否定する立場をとる。
誤り。判例は、憲法が条約に優位することを前提に、条約一般については違憲審査の対象となる旨を判示している。したがって、本肢は全体的に誤りである。ただし、同判決では、日米安保条約のような高度の政治性を有する条約については、いわゆる統治行為論によって違憲審査を行わなかった。
46
裁判所は一切の法律上の手訟を裁判するが、日本国憲法は、この唯一の例外として、国会議員によって行われる裁判官の弾効裁判の規定について明文化している。
憲法76条2項において、特別裁判所の設置を禁止している。特別裁判所とは、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列に属さない裁判所をいう。なお、憲法が明文上認めた例外として、本肢の弾効裁判(恋法64条)のほか、議員の資格争訟の裁判(憲法55条)も規定している。したがって、「この唯一の例外として」の部分が誤りである。
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