問題一覧
1
正当防衛の要件の1つである「急迫不正の侵害」について、法は予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないと解されることから、侵害が当然に又は確定的に予期されていた場合であっても、そのことから直ちに急迫性が失われるわけではない。
◯
2
正当防衛は、自己の権利を防衛するためだけでなく、他人の権利を防衛するためにも許されるところ、他人の権利を防衛するための正当防衛が成立するには、侵害される他人から救済の要請を受けたことを要する。
✕
3
正当防衛の対象となる侵害行為は、客観的に違法であれば足り、侵害者の行為が有責であるか否かを問わないので、例えば、責任能力のない子どもや精神障害者の侵害行為であっても正当防衛の対象となる。
◯
4
正当防衛における急迫不正の侵害にいう「不正」とは、違法と同義である ところ、責任能力のない精神障害者による侵害行為に対する正当防衛は認められない。
✕
5
正当防衛が認められるためには、急迫不正の侵害があることを要するので、将来において侵害が生ずるおそれがあるにすぎない場合には、正当防衛をすることはできない。
◯
6
正当防衛が認められるためには、急迫不正の侵害がなければならないが、 不正な侵害行為が終了している場合、正当防衛は成立しない。
◯
7
正当防衛における侵害行為は、作為・不作為を問わず、また、故意による ものであるか過失によるものであるかを問わない。
◯
8
正当防衛における「不正の侵害」は、客観的に違法性が認められれば足り、責任能力のない子どもや精神障害者による侵害行為に対しても、正当防衛が成立し得る。
◯
9
正当防衛における防衛行為は、必ず侵害者に向けられたものでなければならず、侵害者以外の第三者に対する防衛行為は、正当防衛となり得ない。
◯
10
正当防衛には、法益権衡の原則が適用されないことから、反撃行為が防衛行為としての相当性を有していれば、反撃行為により生じた結果が、侵害されようとした法益よりたまたま大きくなったとしても、正当防衛が成立し得る。
◯
11
正当防衛の程度を超えた行為を過剰防衛といい、これは違法性が阻却され ないが、情状によりその刑が減軽又は免除されることがある。
◯
12
正当防衛における保全の対象は、条文上、「自己又は他人の権利」とされ ているところ、ここにいう「権利」とは、狭い意味での権利に限定されず、 広く法律上保護に値する利益を意味するから、生命、身体、自由、財産、名誉、信用のほか、肖像権なども含まれる。
◯
13
正当防衛が成立するためには、防衛の意思が必要であるが、防衛行為を行うに際し、相手方に対して憤慨・憎悪の念を有していたときは、防衛の意思があったとは認められず、正当防衛は成立しない。
✕
14
正当防衛が認められるためには、防衛行為が具体的事情の下で侵害の排除や法益の防衛のために必要かつ相当なものでなければならないところ、それ以外にとるべき手段がなかったということまでは必要とされていない。
◯
15
正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにしたときに成立し、ここにいう「不正」とは、違法と同義語であることから、適法な正当防衛や緊急避難行為に対しては認められない。
◯
16
正当防衛は、急迫不正の侵害に対するものでなければならないので、相手方による侵害行為が正当防衛や緊急避難に当たり、違法性がない場合には、 これに対して正当防衛をすることは認められない。
◯
17
正当防衛が成立するためには、防衛の意思が必要であるが、それに憤慨、憎悪などの感情が伴ったとしても、防衛の意思は認められる。
◯
18
正当防衛が成立するためには、急迫不正な侵害行為がなければならない が、侵害行為が終了し継続していない場合は、ここにいう「急迫」には当たらないので、正当防衛は成立しない。
◯
19
正当防衛は「急迫不正の侵害」に対して認められ、緊急避難は「現在の危難」に対して認められるが、この「急迫」ということと、「現在」というこ ととは同じ意味であり、ともに法益侵害の危険が目前に差し迫っていること をいう。
◯
20
正当防衛における侵害行為は作為に限られ、例えば、住居に侵入して退去しないような不作為はその対象とならない。
✕
21
正当防衛が成立するためには、急迫不正の侵害に対して、防衛行為がやむ を得ずにしたものであり、かつ、その行為以外に方法がなかったことを要す る。
✕
22
正当防衛における防衛行為は、必ず侵害者に向けられたものでなければならず、侵害者以外の第三者に対する防衛行為は、正当防衛となり得ない。
◯
23
正当防衛の程度を超えた行為を過剰防衛といい、これは違法性が阻却され ないが、情状によりその刑が減軽又は免除されることがある。
◯
24
正当防衛と緊急避難はともに違法性阻却事由であると解されるところ、正当防衛が成立する場合における防衛行為者は、防衛行為によって侵害者側に発生した損害について民事上の損害賠償責任を負うことはなく、また、緊急避難が成立する場合における避難行為者も、その避難行為によって第三者が被った損害について賠償責任を負うことはない。
✕
25
正当防衛における侵害行為は作為に限られ、例えば、住居に侵入して退去ないしないような不作為はその対象とならない。
✕
26
正当防衛が成立するためには、急迫不正な侵害行為がなければならないが、侵害行為が終了し継続していない場合は、ここにいう「急迫」には当たらないので、正当防衛は成立しない。
◯
27
正当防衛における防衛行為者は、防衛行為によって侵害者側に発生した損害について、民事上の損害賠償責任を負わず、緊急避難行為者も同様に、そ の避難行為によって第三者が被った損害に対する賠償責任を負わない。
✕
28
正当防衛が成立するためには、防衛の意思が必要であるが、それに憤慨、憎悪などの感情が伴ったとしても、防衛の意思は認められる。
◯
29
正当防衛における「急迫不正の侵害」は、人の行為に起因し、かつ違法であることを必要とするのに対し、緊急避難における「現在の危難」は、やはり何らかの形で人の行為に起因することを要するものの、違法であることまでは必要でない。
✕
30
甲は、Aと口論となり、素手でAの顔面を1回殴って立ち去ったところ、 追ってきたAが、水平に伸ばした右腕でラリアット状に、甲の首付近を強く殴打した。これに対して、甲が、護身用に携帯していた特殊警棒を取り出してAの顔面等を数回殴打し、同人に傷害を与えた場合、甲に正当防衛は成立しない。
◯
31
誤想防衛とは、正当防衛の要件に当たる事実がないのに、その事実が存在すると誤信して行われる反撃行為をいい、正当防衛の要件を満たしていないから違法性は阻却されないが、事実の錯誤として故意が阻却されるので、故意犯としての刑責を問うことはできない。
◯
32
誤想防衛とは、正当防衛の成立に必要な客観的要件が現実に具備されていないのに、これがあるものと誤信して、防衛の意思を持って反撃行為を行う ことをいい、事実の錯誤として故意は阻却されるが、違法性は阻却されない。
◯
33
防衛行為が相当な限度を超えた場合を過剰防衛といい、その違法性は阻却されないが、情状によりその刑を減軽又は免除することができる。
◯
34
防衛行為者が、侵害者からの攻撃に先立ち、同人に対して暴行等の挑発行為を行っていた場合には、行為者は不正の行為により自ら侵害を招いたもの といえるから、侵害者の攻撃が行為者による挑発行為の程度を大きく超えるものである等の特段の事情がない限り、行為者に正当防衛は成立しない。
◯
35
誤想防衛とは、正当防衛の要件に当たる事実がないのに、その事実が存在すると誤信して行われる反撃行為をいい、正当防衛の要件を満たしていないから違法性は阻却されないが、事実の錯誤として故意が阻却されるので、故意犯としての刑責を問うことはできない。
◯
36
過剰防衛とは、急迫不正の侵害に対し、防衛の意思で、防衛の程度を超えて反撃行為を行った場合をいい、過剰防衛行為の違法性は阻却されないが、 刑法36条2項によって必ずその刑が減軽又は免除される。
✕
37
過剰防衛とは、急迫不正の侵害に対し、その防衛のための行為が、防衛の程度を超えた場合をいい、それは正当防衛とはいえず、違法性は阻却されないため、過剰部分のみならず、その行為全体が違法となる。
◯
38
過剰防衛には「質的過剰」と「量的過剰」の2つの類型があるところ、 「質的過剰」とは、例えば、素手や棒等による攻撃に対して凶器を用いて反撃するなど、必要以上に強い反撃を加えて防衛の程度を質的に超えた場合を いう。
◯
39
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得 ずにした行為は、正当防衛として処罰されないところ、ここにいう「急迫」 とは、法益の侵害が現に存在しているか、又は間近に押し迫っていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであったとしても、そのことから直ちに侵害の急迫性が失われるものではない。
◯
40
急迫不正の侵害行為に対し、自己又は他人の権利を防衛する意思と同時 に、相手に対する憤激と憎悪により攻撃する意思をもって防衛行為をした場 合、正当防衛は成立しない。
✕
41
急迫不正の侵害がないのに、その事実が存在すると誤信して防衛行為に出た場合を誤想防衛といい、正当防衛ではないため違法性は阻却されないが、 この場合、故意が阻却されるので、故意犯としての刑事責任を問うことはで きない。
◯
42
緊急避難行為は、犯罪構成要件に該当する場合でも、その行為の違法性が 阻却され、犯罪を構成しないので処罰されない。
◯
43
緊急避難における「危難」は、災害によるものは含まれず、人の行為によるものに限られる。
✕
44
緊急避難にいう「現在」の危難とは、正当防衛における「急迫」と同様に、法益の侵害が現に存在するか、 又は目前に差し迫っている場合をいう。
◯
45
緊急避難にあっては、自己又は他人の法益を救うためであっても、無関係の第三者の法益を犠牲にすることは許されない。
✕
46
緊急避難における「現在の危難」は、正当防衛における「急迫不正の侵害」と同じく、違法でなければならない。
✕
47
緊急避難の要件の1つである「避難行為の相当性」が認められるために は、他にとるべき方法がなかったことのみならず、守る法益の価値が侵害する法益の価値と同程度かそれ以上であることも要する。
◯
48
緊急避難として認められるためには、その行為が危難を避けるための唯一 の方法であって、他にとるべき方法がなかったことを要する。
◯
49
緊急避難と正当防衛は、ともに「やむを得ずに行った」ものであることを 要し、当該行為がその場における唯一の方法であって、他にとるべき方法が なかったことを要する。
✕
50
緊急避難において、価値の小さい法益を救うために、価値の大きい法益を 犠牲にすることは許されない。
◯
51
緊急避難は、現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為であれば成立するが、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えた場合には、 過剰避難となり違法性は阻却されないので、情状によって刑を減軽又は免除されることはない。
✕
52
緊急避難における危難にさらされる法益は、正当防衛と異なり、条文の文言上、生命、身体、自由、財産を列挙しているから、名誉や貞操は保全の対象とならない。
✕
53
緊急避難における避難行為が、補充の原則又は法益権衡の原則に反した場合については、違法性は阻却されないが、情状により刑が減軽又は免除され ることがある。
◯
54
緊急避難にいう「やむを得ずにした」とは、避難行為がその危難を避けるための唯一の方法であって、他にとるべき方法がなかったことをいい、これを補充の原則という。
◯
55
緊急避難に関し、行為者の有責行為によって自ら危難を招いた場合には、緊急避難の成立は否定されるが、過失や偶然の事情により危難を招いた場合に限っては、緊急避難が成立する余地が認められる。
◯
56
過剰避難の類型としては、避難行為が、補充の原則を充足しない場合と、法益権衡の原則を充足しない場合とがある。
◯
57
誤想避難とは、緊急避難の要件に当たる事実が存在しないのに存在すると 誤信して避難行為に出る場合をいい、違法性は阻却されないが、事実の錯誤 として責任故意は阻却され、事実を誤認した点に過失が認められる場合に は、過失犯が成立する。
◯
58
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした緊急避難行為は、その刑が減軽され又は免除されるものではない。
◯
59
被害者の承諾とは、ある者の法益を侵害する行為が、侵害される者の承諾の下、行われるものをいうところ、この承諾は行為の時に存在することを要するので、事後に承諾があっても違法性は阻却されない。
◯
60
被害者の承諾は、違法性阻却事由であると解されているところ、承諾が事前になされた場合だけではなく、事後に承諾がなされた場合でも、違法性が阻却される。
✕
61
被害者の承諾による行為とは、ある者の法益を侵害する行為が、侵害を受ける者の承諾の下に行われる場合をいい、被害者の承諾は通常、違法性阻却事由と解されているが、その承諾が、行為の事前になされようと、事後になされようと、いずれの場合でも違法性が阻却される。
✕
62
被害者の推定的承諾が認められた場合には、行為の違法性が阻却され、たとえ事後に被害者が不承諾の意思を示したとしても、これによって当該行為が違法性を帯びるものではない。
◯
63
刑法35条後段は、「正当な業務による行為は、罰しない。」と規定して、 正当な業務による行為を犯罪行為の違法性阻却事由としているところ、同条 にいう正当業務行為は「業務」的なことに意味があるのではなく、正当行為の例示であるから、一般に社会通念上「正当」と認められる行為を処罰しないとした趣旨のものである。
◯
64
正当業務行為として違法性が阻却されるためには、その業務自体が正当な ものであることに加え、その行為自体も業務の正当な範囲内のものでなければならない。
◯
65
正当業務行為として違法性が阻却されるためには、業務が正当なものであるとともに、具体的な行為自体が社会通念上是認される範囲内のものであることを要する。
◯
66
業務上特別の義務のある者については、 緊急避難の規定は適用されないところ、警察官等の一定の危難に身をさらすべき義務を負う者は、第三者のために行う緊急避難を除いて、自己の安全のために行う緊急避難は一切認めら れない。
✕
67
正当行為の一種である職務行為とは、法令の規定上、一定の公務員の職務 (職権)とされている行為であり、警察官による被疑者の逮捕行為はこれに 当たる。
◯
68
被害者の承諾により違法性が阻却されるためには、被害者が処分可能な個人的法益に関するものであること、行為時に承諾が存在すること、社会的に認められていることの全てを要する。
◯
69
被害者の推定的承諾に基づく行為とは、被害者による現実の承諾はないが、被害者が事態を正しく認識していたならば、当然承諾を与えていたであろうと、客観的かつ合理的に判断される場合に行われる行為であり、形式的には構成要件に該当するが、違法性は阻却される。
◯
70
被害者の推定的承諾による行為とは、被害者が現実に同意を与えていないが、もし被害者が事態を正しく認識していたならば同意したであろうと認められる場合に、その意思を推定して行われる行為をいい、形式的には構成要件に該当しても、違法性が阻却される。
◯
71
被害者の承諾は、構成要件上それが予定されているような犯罪を除き、原 則として行為の違法性を失わせる違法性阻却事由となるところ、その要件と して、承諾は少なくとも行為の時点に存在しなければならないから、たとえ事後に承諾があっても、違法性は阻却されない。
◯
72
正当業務行為として違法性が阻却されるためには、業務そのものが正当な ものであると同時に、具体的な行為自体が社会通念上是認される範囲内のものであることを要する。
◯
73
逮捕のための実力行使は、警察官職務執行法に定める「武器の使用」を除いて明文の規定はないが、社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内であれば、たとえそれが刑罰法令に触れることがあっても、正当行為として処罰されない。
◯
74
違法性阻却事由とは、構成要件に該当する行為につきその違法性の推定を 覆して、行為を適法なものとする特別な事情をいうところ、刑法では、違法性阻却事由の典型的なものとして法令行為、正当業務行為、正当防衛及び緊急避難を規定している。
◯
75
違法性阻却事由のうち、法令行為とは、法律その他の成文法規に基づく権利・義務として行われる行為をいい、司法警察職員による捜索や、被疑者の 逮捕は、これに当たる。
◯
76
刑法35条は、違法性阻却事由として「法令による行為」を規定しているところ、私人による現行犯逮捕や、親権者による懲戒行為はこれに当たるため、当該行為者は処罰されない。
✕
77
刑法35条は、違法性阻却事由として、法令行為や正当業務行為を規定しているところ、同条に挙げられていない、被害者の承諾による行為や自救行為についても、社会観念上相当な場合には違法性が阻却されることがある。
◯
78
違法性阻却事由とは、構成要件に該当する行為につき違法性の推定を覆して、当該行為を適法なものとする特別の事情をいうところ、これには、正当 防衛や緊急避難、法令行為、正当業務行為のほか、治療行為のようなその他の正当行為も含まれる。
◯
79
自救行為として違法性の阻却が認められるためには、判例等によれば、一 般に、権利に対する不法な侵害行為の存在、基本的権利の存在、事情の緊急 性、権利救済の目的、救済行為の相当性、という5つの要件を満たす必要 があるとされている。
◯
80
正当防衛の要件の1つである「急迫不正の侵害」に関し、判例は、当然 又はほとんど確実に侵害が予期されたとしても、そのことから直ちに侵害の急迫性が失われるわけではないとしている。
◯
81
緊急避難の要件の一つである「避難行為の相当性」が認められるためには、他にとるべき方法がなかったことのみならず、これにより守る法益の価値が侵害する法益の価値と同程度かそれ以上であることも要する。
◯
82
緊急避難においては、自己又は他人の法益を救うためであっても、無関係な第三者の法益を犠牲にすることは許されない。
✕
83
(2) 危難は必ず人の行為によるものでなければならず、自然現象による危難に対する緊急避難は認められない。
✕
84
(5) 警察官、消防官等、業務の性質上危険にさらされなければならない義務を有する者は、自己の生命に対する危難を避けるために他人の軽微な法益を侵害するにすぎない場合であっても、 緊急避難が認められない。
✕
85
(4) 避けるべき現在の危難がないのに、これがあると誤信して避難行為を行う場合を誤想避難といい、緊急避難の場合と同様、違法性が阻却される。
✕
86
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難が存在するときには、緊急避難を行うことが認められる。
◯