横領行為とは、不法領得の意思をもって、自己の占有する他人の物をほしいままに処分する行為をいい、その態様としては、売却・贈与・交換・入質・貸与など種々の形態がある。◯
横領罪の客体は、自己の占有する他人の物であるが、この物には、窃盗罪の場合とは異なり、動産だけでなく不動産も含まれる。◯
横領罪の主体には、他人の物を占有する者のほか、公務所から保管を命じられて自己の物を占有している者も含まれる。◯
横領罪における「占有」は、窃盗罪における占有の内容より広く、事実上の 支配だけではなく、不動産の登記等により法律上の支配をしている場合もこ れに含まれる。◯
横領罪は、実行の着手と同時に既遂に達するので、中止犯が成立する余地はない。◯
横領罪が成立するには、「不法領得の意思」を要しないので、例えば、単に一時使用した場合であっても、本罪を構成する。✕
横領罪が成立するためには、故意のほかに不法領得の意思を必要とするが、不法領得の意思は、目的物を自己のために領得する意思に限らず、第三者のために領得しようとする意思も含まれる。◯
横領罪には、「親族間の犯罪に関する特例」が準用されるので、同居する親族からその所有物の保管を委託された者が、これを横領した場合は、その刑が免除される。◯
横領罪の既遂時期は、自己の占有する物について終局的な処分行為をした 時であり、不法領得の意思が外部から認識し得る状態で表現されたにすぎな い場合には、横領罪は未遂にとどまる。✕
横領罪にいう横領行為とは、不法領得の意思を実現する全ての行為を指し、売却や交換などの法律上の処分行為でも、費消や着服などの事実上の処 分行為でもよいが、仮装売買、すなわち真の所有者との間で目的物の売買を仮装し、自己が所有者であるかのような外観を作出しただけでは、同罪は成立しない。◯
横領罪は、不法領得の意思が確定的に外部に表現された時に実行の着手が認められ、それと同時に既遂に達するので、未遂を認める余地はない。◯
横領罪の客体は、自己の占有する他人の物又は公務所から保管を命ぜられた自己の物であり、この「物」とは財物を意味するところ、電気は本罪の客体とならない。◯
横領罪には、未遂罪の規定はなく、不法領得の意思を外部に発現する行為があれば、処分行為が完了しなくても直ちに既遂となる。したがって、他人の物を、自己の物として売却の意思を表示すれば、相手方が買受けの意思表 示をするまでもなく横領罪は既遂となる。◯
横領罪にいう占有は、窃盗罪における占有と同じく、現実に物を把持、又は監視するなどの事実上の占有をいうので、法律上の占有は含まない。✕
業務上横領罪における「業務」は、法令や内規等により認められるものだけに限られるので、慣例上や当事者間の取決めによるものは本罪にいう「業務」に当たらない。✕
業務上横領罪の主体は、他人の物を業務上占有する者であるところ、業務 者としての地位は、その主たる職務上の地位の喪失によって当然に消滅する わけではなく、他人の物を管理する責任は、その責務を後任者に引き継ぐま で存続する。◯
業務上横領罪の主体は、委託を受けて他人の物を占有する者であるとともに、その物を占有することを自らの業務としている者でなければならない。◯
業務上横領罪の客体は、遺失物であっても差し支えないとされていることから、遺失物を保管する業務者が保管中にこれを横領した場合、同罪を構成 する。◯
★業務上保管した金員と個人的な委任にもとづいて保管した金員とを混同して占有中、これらを横領したときは、単純横領は吸収されて業務上横領罪のみが成立する。◯
遺失物等横領罪が成立した後に、当該遺失物等を損壊する行為は、新たな法益侵害を伴う行為に当たることから、不可罰的事後行為とはならない。✕
遺失物横領罪の主体に制限はなく、客体である「物」を占有していない場合が典型的であるが、占有していないことは本罪の成立要件ではないから、 行為者が遺失物を受領した後に、横領の犯意が生じたときにも、本罪は成立し得る。◯
自己の銀行口座に誤振込みがなされた事実を知りながら、銀行の窓口係員に対し、誤振込みをされた現金の払戻請求をして交付を受けた場合には、占有離脱物横領罪が成立する。✕
背任罪の成立には、自己若しくは第三者の利益を図る目的又は本人に損害を加える目的のいずれかが必要とされているところ、この「利益」は、必ずしも財産上の利益に限られず、身分上の利益その他自己の全ての利益が含まれるとするのが判例の立場である。◯
背任罪の成立には、行為者がその任務に違背して「本人に財産上の損害を加えた」ことを要するところ、例えば、銀行員が、回収の見込みがないのに十分な担保を取らず貸付けを行ったとしても、その時点では、本人である銀行に財産上の損害を加えたことにはならず、背任罪は成立しない。✕
背任罪における「任務に背く行為」とは、本人に対する委託信任関係に違 背する行為をいい、この行為には不作為も含まれることから、例えば、債権 の取立てを依頼された者が、当該債権が消滅時効にかかるまで放置した場合 も、背任罪が成立し得る。◯
背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、一定の目的をもってそ の任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立するとこ ろ、ここにいう「任務に背く行為」とは、本人に対する委託信任関係に違背する行為を意味し、これには不作為も含まれることから、例えば、債権の取立てを依頼された者が、当該債権が消滅時効にかかるまで放置した場合にも、背任罪が成立し得る。◯
他人のためにその事務を処理する者の行為が、委託信任関係の趣旨に沿ったものであれば、結果的に当該他人に損害を与えることになったとしても、 背任罪は成立しない。◯
占有離脱物横領罪にいう占有離脱物は、他人の所有に属することを要する が、その所有者が特定されていることは必要ない。◯
X県から都内に単身赴任中である会社員の甲は、Y社と家具・家電付きの マンスリーマンションに係る賃貸借契約を結びこれを利用していたところ、 生活費に窮したため、当該マンスリーマンション室内に設置されている備え 付けのテレビ等の家電製品を買取業者に売却し、これによって得た現金を飲 食代金等に充てた。窃盗罪✕
他人の不動産につき、不法に抵当権設定登記をして横領した後、更にこれを売却して所有権移転登記をした場合、後者の売却行為は不可罰的事後行為とはならず、これについても横領罪が成立する。◯
約束手形の振出権限を有する法人の代表者が、私的な債務の弁済に充てる ため、その債権者に対して法人名義の約束手形を振り出して交付し、同人が これを支払銀行に提示して現金化した場合、当該法人代表者は、業務上横領罪ではなく背任罪の刑責を負う。◯
自己所有の土地を売却し、その代金の全額を受領したにもかかわらず、所 有権移転登記手続が未了であって、登記簿上は当該土地がいまだに自己名義 となっていたことを奇貨として、これを更に第三者に売却して所有権移転登 記を完了させた場合には、横領罪が成立する。◯
甲は、Xデパートのベンチに座っていたところ、向かいのベンチに座っていたAがリュックサックを置き忘れて立ち去ったのに気付き、直後に当該リュックサックを領得して立ち去った。一方、リュックサックを置き忘れた ことに気付いたAは、約10分後に急いで戻ったが、リュックサックは既に甲によって持ち去られた後であった。遺失物横領罪✕
友人から自動車を借り受けた者が、車のドアポケット内に友人が置き忘れた財布を見つけてこれを領得した場合、遺失物横領罪が成立する。✕
数人が共有する共有金を1人が委託を受けて保管中、自己のためその全額を費消した場合には、自己の持分を含む費消した共有金の全額について本罪を構成する。◯
勤務先から解雇され、住んでいた借家も追い出された甲は、正規の手続を 経てレンタカー会社Xから前払いでレンタカー1台を借り、これに寝泊まり しながら職を探していたが、働き口が見付からないままレンタカーの返還期 日が来てしまった。そこで、甲は、同車を返還したり延長料金を支払ったり する意思もないのに、X社に電話をして1週間の返還期日延長の承認を得 て、その延長後の返還期日が到来すると同社との連絡を断ち、その後更に約 1か月にわたり同車を乗り回した。なお、甲は、最初にレンタカーを借りた 時点では、当初の返還期日に同車を返すつもりであった。単純横領罪◯
コンビニエンスストアのアルバイト従業員が、勤務中、客が店内で拾得した財布を同人から預かり、これを領得した場合、業務上横領罪ではなく、窃盗罪が成立する。◯
横領罪における「占有」は、窃盗罪における占有の内容より広く、事実上の支配だけではなく、不動産の登記等による法律上の支配も含まれる。◯
不動産の占有は、原則として登記簿上の名義人に属するが、 他人の不動産について、仮装の売買により登記簿上の名義人となった者は、占有者とはならない。✕
情報自体は横領罪の客体とはならないが、情報がUSBメモり等の記録媒体に保存された場合、当該記録媒体は横領罪の客体となる。◯
Xタクシー会社の運転手甲は、客Aを乗せて、Aの自宅マンション前に到着したが、Aが「財布を会社に忘れてきた。自宅から金を持ってくる。それまで腕時計を置いていく。」と言って、後部座席に腕時計を置いて代金を取りに行ったので、代金よりも当該腕時計を売却した方が得であると考え、Aが降車してすぐにタクシーを発進させた場合、横領罪が成立する。✕
横領罪が成立するためには、故意のほかに不法領得の意思を必要とし、ここでいう不法領得の意思は、目的物を自己のために領得する意思に限らず、第三者のために領得する意思も含む。◯
横領罪における「不法領得の意思」は、自己の占有する他人の物を処分しようとする意思であるが、その処分時において、 後に返還し、又は補填する意思がある場合には、不法領得の意思があるとはいえない。✕
自己所有の不動産を他人に売却した後、まだ所有権移転登記手続をしていないことを利用して、売主が自己の物としてこれを別の者に二重に売却し、その所有権移転登記を完了した場合、横領罪は成立しない。✕
業務上横領罪の主体は、委託を受けて他人の物を占有する者であるとともに、その物を占有することを自らの業務としている者でなくてはならない。◯
業務上横領罪は、その主体が他人の物の占有者であるとともに業務者であるという二重の意味での身分犯であるが、在職中に会社から借り受けた顧客名簿を、退職後間もなく他に売却した場合、売却時には従業員としての身分を失っているので、単純横領罪が成立する。✕
会社の顧客からの集金業務に従事している甲が、自己の借金返済に困ったため、顧客から集金した現金を借金返済に充てることを考え、会社に納金する意思がないのに通常の集金を装い、会社が発行した正規の領収書を使用して集金をし、その現金で借金の返済をした場合、業務上横領罪が成立する。◯
大学生甲は、自宅近くの公園のベンチで誰かが置き忘れたと思われる携帯電話を発見し、この携帯電話で友人等20名に電話をかけ、バッテリーがなくなったので、元のベンチの上に戻しておいた。甲には、遺失物横領罪が成立する。◯
コンピュータ会社の社員甲が、自社が開発したコンピュータ・プログラムの保管を任され、関連会社から要請があった場合のみ、そのプログラムを有料で貸し出していたが、知人から 「礼金を出すので貸してくれ。」との依頼を受け、当該プログラムをコピーする一定の時間のみ貸し出して礼金を受け取った場合、甲は背任罪の刑責を負う。◯
背任罪の主体は、他人のためにその事務を処理する者であるところ、売買契約の当事者である売主が、買主に目的物を引き渡す事務は、他人のためにする事務であるから、売主がこれを怠るのは背任行為に当たる。✕
銀行の取締役や支配人など金融機関の事務担当者が、回収の見込みがないのに、担保が不十分なまま金銭を貸し付けた場合、貸付けと同時に貸付元本に相当する財産上の損害が発生したとみるのが妥当であるから、後日全額回収されたとしても、 背任罪が成立する。◯
横領罪と背任罪とは法条競合の関係にあり、任務違背行為によって財産上の損害を加える行為が、自己の占有する他人の物の横領行為となる場合には、背任罪は成立せず、横領罪のみが成立する。◯
甲が、暴走族仲間のAから、車を50万円で売却するよう依頼を受けていたが、Bから「30万円で売ってくれれば10万円の謝礼をやる。」と言われたことから、生活費に窮していた甲は、 Bに30万円で売却し、10万円を受け取った場合、甲には背任罪が成立する。◯
背任罪は他人のためにその事務を処理するものが自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的で 任務違背行為をし本人に財産上の損害を加える犯罪であるところ、他人のためにその事務を処理するとは、一定の信任関係に基づいて他人の事務をその他人のために処理することをいい、自己の事務を処理する場合は当たらない。◯
債権者のために抵当権を設定した後に、その登記をしていないことを利用して、第三者のために、さらに抵当権を設定し その者のために抵当権の設定登記をする行為(いわゆる 二重抵当)をした場合においては、最初の相手方に対して負う当期完了に協力する義務は「他人の事務」に当たるので 第三者に抵当権設定登記を備えさせた行為について背任罪が成立する。
◯
横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、他人のものの占有者が委託の任務に背いて、その物につき、権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいうのであり、必ずしも 占有者が自己の利益の取得を意図することを必要とするものではない。◯
株式会社の経理部長が株式の買い占めに対抗するため、工作費用として会社の資金を支出したとしても、当該行為がもっぱら 会社のためにするものではない場合には不法領得の意思が認められる。◯
他人所有の建物を預かって保管していた者が、当該建物に抵当権設定の仮登記をした場合、不動産取引の実務においては 仮登記があった場合には、その権利が確保されているものとして扱われるのが通常であるから、仮登記を了したことは不法領得の意思を実現する行為としては十分であり、横領罪が成立する。◯
横領 行為の後に同一物に対して 行為者が処分行為をなした場合、委託信任関係が継続して認められる限りは、横領行為後の横領行為も成立する。◯
財物の委託者を欺いて自己の占有する他人のものを領得しても、欺く行為は横領の手段に過ぎないので横領罪のみが成立し 詐欺罪は成立しない。◯
任務違背行為と財産上の損害の間には因果関係が必要であるが、財産上の損害の発生は任務違背行為の結果であれば足りるところ、任務違背行為が任務期間中に行われたが、財産上の損害の発生時にその身分を離れていれば、背任罪は成立しない。✕
背任罪は不法領得の意思を必要とし、自己が事務処理者であり、自己の行為が任務違背行為に当たり、それによって本人に財産上の損害を生じさせることの認識・認容に加えて、自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的という、「図利加害目的」があることが要件とされる。✕
背任罪は自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的という、「図利加害目的」があることが要件とされるところ、ここにいう「利益」とは、財産上の利益に限られる。✕
背任罪は自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的という、「図利加害目的」があることが要件とされるところ、図利加害目的が認められるためには、図利加害目的の点について、意欲ないし積極的に認容している必要がある。✕
X社の営業担当者である甲は、自己の遊興費として費消する意図を秘して、X社と工事請負契約を締結しているAから、請負代金の支払名目で現金をだまし取ろうと考えた。甲には集金業務を行う権限はなかったが、某日、A宅を訪れ、Aに対し、早急に請負代金の一部を支払ってもらう必要がある旨の嘘をいい、それを信じて錯誤に陥ったAに、現金20万円を交付させ、これを領得した。業務上横領罪✕
甲は窃盗犯人から盗品の有償処分のあっせんを依頼されたが、盗品だから構わないと思い、その売却代金を着服した。横領罪◯
横領罪について、不動産の二重売買や抵当権設定のように、登記の移転等が対抗要件とされている場合には、意思表示の時点ではなく、登記完了の時点で既遂に達する。◯
横領行為とは、不法領得の意思をもって、自己の占有する他人の物をほしいままに処分する行為をいい、その態様としては、売却・贈与・交換・入質・貸与など種々の形態がある。◯
横領罪の客体は、自己の占有する他人の物であるが、この物には、窃盗罪の場合とは異なり、動産だけでなく不動産も含まれる。◯
横領罪の主体には、他人の物を占有する者のほか、公務所から保管を命じられて自己の物を占有している者も含まれる。◯
横領罪における「占有」は、窃盗罪における占有の内容より広く、事実上の 支配だけではなく、不動産の登記等により法律上の支配をしている場合もこ れに含まれる。◯
横領罪は、実行の着手と同時に既遂に達するので、中止犯が成立する余地はない。◯
横領罪が成立するには、「不法領得の意思」を要しないので、例えば、単に一時使用した場合であっても、本罪を構成する。✕
横領罪が成立するためには、故意のほかに不法領得の意思を必要とするが、不法領得の意思は、目的物を自己のために領得する意思に限らず、第三者のために領得しようとする意思も含まれる。◯
横領罪には、「親族間の犯罪に関する特例」が準用されるので、同居する親族からその所有物の保管を委託された者が、これを横領した場合は、その刑が免除される。◯
横領罪の既遂時期は、自己の占有する物について終局的な処分行為をした 時であり、不法領得の意思が外部から認識し得る状態で表現されたにすぎな い場合には、横領罪は未遂にとどまる。✕
横領罪にいう横領行為とは、不法領得の意思を実現する全ての行為を指し、売却や交換などの法律上の処分行為でも、費消や着服などの事実上の処 分行為でもよいが、仮装売買、すなわち真の所有者との間で目的物の売買を仮装し、自己が所有者であるかのような外観を作出しただけでは、同罪は成立しない。◯
横領罪は、不法領得の意思が確定的に外部に表現された時に実行の着手が認められ、それと同時に既遂に達するので、未遂を認める余地はない。◯
横領罪の客体は、自己の占有する他人の物又は公務所から保管を命ぜられた自己の物であり、この「物」とは財物を意味するところ、電気は本罪の客体とならない。◯
横領罪には、未遂罪の規定はなく、不法領得の意思を外部に発現する行為があれば、処分行為が完了しなくても直ちに既遂となる。したがって、他人の物を、自己の物として売却の意思を表示すれば、相手方が買受けの意思表 示をするまでもなく横領罪は既遂となる。◯
横領罪にいう占有は、窃盗罪における占有と同じく、現実に物を把持、又は監視するなどの事実上の占有をいうので、法律上の占有は含まない。✕
業務上横領罪における「業務」は、法令や内規等により認められるものだけに限られるので、慣例上や当事者間の取決めによるものは本罪にいう「業務」に当たらない。✕
業務上横領罪の主体は、他人の物を業務上占有する者であるところ、業務 者としての地位は、その主たる職務上の地位の喪失によって当然に消滅する わけではなく、他人の物を管理する責任は、その責務を後任者に引き継ぐま で存続する。◯
業務上横領罪の主体は、委託を受けて他人の物を占有する者であるとともに、その物を占有することを自らの業務としている者でなければならない。◯
業務上横領罪の客体は、遺失物であっても差し支えないとされていることから、遺失物を保管する業務者が保管中にこれを横領した場合、同罪を構成 する。◯
★業務上保管した金員と個人的な委任にもとづいて保管した金員とを混同して占有中、これらを横領したときは、単純横領は吸収されて業務上横領罪のみが成立する。◯
遺失物等横領罪が成立した後に、当該遺失物等を損壊する行為は、新たな法益侵害を伴う行為に当たることから、不可罰的事後行為とはならない。✕
遺失物横領罪の主体に制限はなく、客体である「物」を占有していない場合が典型的であるが、占有していないことは本罪の成立要件ではないから、 行為者が遺失物を受領した後に、横領の犯意が生じたときにも、本罪は成立し得る。◯
自己の銀行口座に誤振込みがなされた事実を知りながら、銀行の窓口係員に対し、誤振込みをされた現金の払戻請求をして交付を受けた場合には、占有離脱物横領罪が成立する。✕
背任罪の成立には、自己若しくは第三者の利益を図る目的又は本人に損害を加える目的のいずれかが必要とされているところ、この「利益」は、必ずしも財産上の利益に限られず、身分上の利益その他自己の全ての利益が含まれるとするのが判例の立場である。◯
背任罪の成立には、行為者がその任務に違背して「本人に財産上の損害を加えた」ことを要するところ、例えば、銀行員が、回収の見込みがないのに十分な担保を取らず貸付けを行ったとしても、その時点では、本人である銀行に財産上の損害を加えたことにはならず、背任罪は成立しない。✕
背任罪における「任務に背く行為」とは、本人に対する委託信任関係に違 背する行為をいい、この行為には不作為も含まれることから、例えば、債権 の取立てを依頼された者が、当該債権が消滅時効にかかるまで放置した場合 も、背任罪が成立し得る。◯
背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、一定の目的をもってそ の任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立するとこ ろ、ここにいう「任務に背く行為」とは、本人に対する委託信任関係に違背する行為を意味し、これには不作為も含まれることから、例えば、債権の取立てを依頼された者が、当該債権が消滅時効にかかるまで放置した場合にも、背任罪が成立し得る。◯
他人のためにその事務を処理する者の行為が、委託信任関係の趣旨に沿ったものであれば、結果的に当該他人に損害を与えることになったとしても、 背任罪は成立しない。◯
占有離脱物横領罪にいう占有離脱物は、他人の所有に属することを要する が、その所有者が特定されていることは必要ない。◯
X県から都内に単身赴任中である会社員の甲は、Y社と家具・家電付きの マンスリーマンションに係る賃貸借契約を結びこれを利用していたところ、 生活費に窮したため、当該マンスリーマンション室内に設置されている備え 付けのテレビ等の家電製品を買取業者に売却し、これによって得た現金を飲 食代金等に充てた。窃盗罪✕
他人の不動産につき、不法に抵当権設定登記をして横領した後、更にこれを売却して所有権移転登記をした場合、後者の売却行為は不可罰的事後行為とはならず、これについても横領罪が成立する。◯
約束手形の振出権限を有する法人の代表者が、私的な債務の弁済に充てる ため、その債権者に対して法人名義の約束手形を振り出して交付し、同人が これを支払銀行に提示して現金化した場合、当該法人代表者は、業務上横領罪ではなく背任罪の刑責を負う。◯
自己所有の土地を売却し、その代金の全額を受領したにもかかわらず、所 有権移転登記手続が未了であって、登記簿上は当該土地がいまだに自己名義 となっていたことを奇貨として、これを更に第三者に売却して所有権移転登 記を完了させた場合には、横領罪が成立する。◯
甲は、Xデパートのベンチに座っていたところ、向かいのベンチに座っていたAがリュックサックを置き忘れて立ち去ったのに気付き、直後に当該リュックサックを領得して立ち去った。一方、リュックサックを置き忘れた ことに気付いたAは、約10分後に急いで戻ったが、リュックサックは既に甲によって持ち去られた後であった。遺失物横領罪✕
友人から自動車を借り受けた者が、車のドアポケット内に友人が置き忘れた財布を見つけてこれを領得した場合、遺失物横領罪が成立する。✕
数人が共有する共有金を1人が委託を受けて保管中、自己のためその全額を費消した場合には、自己の持分を含む費消した共有金の全額について本罪を構成する。◯
勤務先から解雇され、住んでいた借家も追い出された甲は、正規の手続を 経てレンタカー会社Xから前払いでレンタカー1台を借り、これに寝泊まり しながら職を探していたが、働き口が見付からないままレンタカーの返還期 日が来てしまった。そこで、甲は、同車を返還したり延長料金を支払ったり する意思もないのに、X社に電話をして1週間の返還期日延長の承認を得 て、その延長後の返還期日が到来すると同社との連絡を断ち、その後更に約 1か月にわたり同車を乗り回した。なお、甲は、最初にレンタカーを借りた 時点では、当初の返還期日に同車を返すつもりであった。単純横領罪◯
コンビニエンスストアのアルバイト従業員が、勤務中、客が店内で拾得した財布を同人から預かり、これを領得した場合、業務上横領罪ではなく、窃盗罪が成立する。◯
横領罪における「占有」は、窃盗罪における占有の内容より広く、事実上の支配だけではなく、不動産の登記等による法律上の支配も含まれる。◯
不動産の占有は、原則として登記簿上の名義人に属するが、 他人の不動産について、仮装の売買により登記簿上の名義人となった者は、占有者とはならない。✕
情報自体は横領罪の客体とはならないが、情報がUSBメモり等の記録媒体に保存された場合、当該記録媒体は横領罪の客体となる。◯
Xタクシー会社の運転手甲は、客Aを乗せて、Aの自宅マンション前に到着したが、Aが「財布を会社に忘れてきた。自宅から金を持ってくる。それまで腕時計を置いていく。」と言って、後部座席に腕時計を置いて代金を取りに行ったので、代金よりも当該腕時計を売却した方が得であると考え、Aが降車してすぐにタクシーを発進させた場合、横領罪が成立する。✕
横領罪が成立するためには、故意のほかに不法領得の意思を必要とし、ここでいう不法領得の意思は、目的物を自己のために領得する意思に限らず、第三者のために領得する意思も含む。◯
横領罪における「不法領得の意思」は、自己の占有する他人の物を処分しようとする意思であるが、その処分時において、 後に返還し、又は補填する意思がある場合には、不法領得の意思があるとはいえない。✕
自己所有の不動産を他人に売却した後、まだ所有権移転登記手続をしていないことを利用して、売主が自己の物としてこれを別の者に二重に売却し、その所有権移転登記を完了した場合、横領罪は成立しない。✕
業務上横領罪の主体は、委託を受けて他人の物を占有する者であるとともに、その物を占有することを自らの業務としている者でなくてはならない。◯
業務上横領罪は、その主体が他人の物の占有者であるとともに業務者であるという二重の意味での身分犯であるが、在職中に会社から借り受けた顧客名簿を、退職後間もなく他に売却した場合、売却時には従業員としての身分を失っているので、単純横領罪が成立する。✕
会社の顧客からの集金業務に従事している甲が、自己の借金返済に困ったため、顧客から集金した現金を借金返済に充てることを考え、会社に納金する意思がないのに通常の集金を装い、会社が発行した正規の領収書を使用して集金をし、その現金で借金の返済をした場合、業務上横領罪が成立する。◯
大学生甲は、自宅近くの公園のベンチで誰かが置き忘れたと思われる携帯電話を発見し、この携帯電話で友人等20名に電話をかけ、バッテリーがなくなったので、元のベンチの上に戻しておいた。甲には、遺失物横領罪が成立する。◯
コンピュータ会社の社員甲が、自社が開発したコンピュータ・プログラムの保管を任され、関連会社から要請があった場合のみ、そのプログラムを有料で貸し出していたが、知人から 「礼金を出すので貸してくれ。」との依頼を受け、当該プログラムをコピーする一定の時間のみ貸し出して礼金を受け取った場合、甲は背任罪の刑責を負う。◯
背任罪の主体は、他人のためにその事務を処理する者であるところ、売買契約の当事者である売主が、買主に目的物を引き渡す事務は、他人のためにする事務であるから、売主がこれを怠るのは背任行為に当たる。✕
銀行の取締役や支配人など金融機関の事務担当者が、回収の見込みがないのに、担保が不十分なまま金銭を貸し付けた場合、貸付けと同時に貸付元本に相当する財産上の損害が発生したとみるのが妥当であるから、後日全額回収されたとしても、 背任罪が成立する。◯
横領罪と背任罪とは法条競合の関係にあり、任務違背行為によって財産上の損害を加える行為が、自己の占有する他人の物の横領行為となる場合には、背任罪は成立せず、横領罪のみが成立する。◯
甲が、暴走族仲間のAから、車を50万円で売却するよう依頼を受けていたが、Bから「30万円で売ってくれれば10万円の謝礼をやる。」と言われたことから、生活費に窮していた甲は、 Bに30万円で売却し、10万円を受け取った場合、甲には背任罪が成立する。◯
背任罪は他人のためにその事務を処理するものが自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的で 任務違背行為をし本人に財産上の損害を加える犯罪であるところ、他人のためにその事務を処理するとは、一定の信任関係に基づいて他人の事務をその他人のために処理することをいい、自己の事務を処理する場合は当たらない。◯
債権者のために抵当権を設定した後に、その登記をしていないことを利用して、第三者のために、さらに抵当権を設定し その者のために抵当権の設定登記をする行為(いわゆる 二重抵当)をした場合においては、最初の相手方に対して負う当期完了に協力する義務は「他人の事務」に当たるので 第三者に抵当権設定登記を備えさせた行為について背任罪が成立する。
◯
横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、他人のものの占有者が委託の任務に背いて、その物につき、権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいうのであり、必ずしも 占有者が自己の利益の取得を意図することを必要とするものではない。◯
株式会社の経理部長が株式の買い占めに対抗するため、工作費用として会社の資金を支出したとしても、当該行為がもっぱら 会社のためにするものではない場合には不法領得の意思が認められる。◯
他人所有の建物を預かって保管していた者が、当該建物に抵当権設定の仮登記をした場合、不動産取引の実務においては 仮登記があった場合には、その権利が確保されているものとして扱われるのが通常であるから、仮登記を了したことは不法領得の意思を実現する行為としては十分であり、横領罪が成立する。◯
横領 行為の後に同一物に対して 行為者が処分行為をなした場合、委託信任関係が継続して認められる限りは、横領行為後の横領行為も成立する。◯
財物の委託者を欺いて自己の占有する他人のものを領得しても、欺く行為は横領の手段に過ぎないので横領罪のみが成立し 詐欺罪は成立しない。◯
任務違背行為と財産上の損害の間には因果関係が必要であるが、財産上の損害の発生は任務違背行為の結果であれば足りるところ、任務違背行為が任務期間中に行われたが、財産上の損害の発生時にその身分を離れていれば、背任罪は成立しない。✕
背任罪は不法領得の意思を必要とし、自己が事務処理者であり、自己の行為が任務違背行為に当たり、それによって本人に財産上の損害を生じさせることの認識・認容に加えて、自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的という、「図利加害目的」があることが要件とされる。✕
背任罪は自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的という、「図利加害目的」があることが要件とされるところ、ここにいう「利益」とは、財産上の利益に限られる。✕
背任罪は自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的という、「図利加害目的」があることが要件とされるところ、図利加害目的が認められるためには、図利加害目的の点について、意欲ないし積極的に認容している必要がある。✕
X社の営業担当者である甲は、自己の遊興費として費消する意図を秘して、X社と工事請負契約を締結しているAから、請負代金の支払名目で現金をだまし取ろうと考えた。甲には集金業務を行う権限はなかったが、某日、A宅を訪れ、Aに対し、早急に請負代金の一部を支払ってもらう必要がある旨の嘘をいい、それを信じて錯誤に陥ったAに、現金20万円を交付させ、これを領得した。業務上横領罪✕
甲は窃盗犯人から盗品の有償処分のあっせんを依頼されたが、盗品だから構わないと思い、その売却代金を着服した。横領罪◯
横領罪について、不動産の二重売買や抵当権設定のように、登記の移転等が対抗要件とされている場合には、意思表示の時点ではなく、登記完了の時点で既遂に達する。◯