詐欺罪は、財産罪の一類型として個人的法益に対する罪に属するが、国家的・社会的法益もその保護法益とするから、他人に成り済まして、東京都公安委員会に虚偽の申告をして、自動車運転免許証を交付させた場合には、詐欺罪が成立する。✕
詐欺罪は、財産罪の一類型として個人的法益に対する罪に属しており、国家的・社会的法益を保護の対象とするものではないから、他人に成り済まし て都道府県公安委員会に虚偽の申告をし、不正に自動車運転免許証の交付を 受けたとしても、詐欺罪は成立しない。◯
詐欺罪の客体は、他人が占有する他人の財物であるが、ここにいう「財物」 には、窃盗罪の場合と異なり不動産も含まれる。◯
詐欺罪の実行の着手時期は、財物を交付させ又は財産上不法の利益を取得するために欺き行為を開始した時であり、相手方がその行為によって現実に錯誤に陥ったか否かは問わない。◯
詐欺罪の実行の着手は、欺き行為を開始した時点で認められることから、 保険金を詐取する目的で家屋に放火しただけでは、本罪の実行の着手は認められない。◯
詐欺罪の実行の着手時期は、財物を詐取する目的で人を欺く行為を行った時であるから、保険金詐欺については、詐欺の目的を秘して保険契約を結んだ時に実行の着手が認められる。✕
詐欺罪の実行の着手は、行為者が財物等をだまし取る意思で欺き行為を開 始した時点で認められ、当該行為によって相手方が錯誤に陥ったかどうかは 問わない。◯
詐欺罪の成立には、「欺き行為」、「錯誤」、「財産的処分行為」、「財物又は 利益の移転」が連鎖的因果関係にあることが求められる。◯
詐欺罪における欺き行為の相手方は、実質的な経済上の被害者である必要はないが、財物等の財産的処分行為について、権限又は地位を有する者でなければならない。◯
詐欺罪における欺き行為の相手方は、財産的処分行為をなし得る権限又は地位を有する者であれば足り、必ずしも財物の所有者又は占有者であることを要しない。◯
詐欺罪においては、必ずしも財産上の被害者自身が欺かれたことを要しな いが、欺かれた者と財産上の被害者とが同一人物でない場合に、同罪が成立 するためには、欺かれた者において、被害者のために当該財産を処分し得る 権能又は地位のあることを要する。◯
人を欺く行為は、必ずしも財物の所有者に向けられることを要しないが、 財物又は財産上の利益について処分行為をなし得る権限又は地位を有する者 に向けられたものでなければならない◯
欺き行為により、知慮浅薄な未成年者から財物の交付を受け、又は財産上不法な利益を得た場合には、準詐欺罪ではなく、本罪が成立する。◯
詐欺罪の欺き行為の相手方は、錯誤に陥り財物について財産的処分行為をな し得る者である限り、知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者であってもよい。◯
詐欺罪が成立するためには、欺く手段を用いなければならず、その欺き行為は、具体的事情の下において、通常人を錯誤に陥れる可能性を有するもの でなければならないところ、欺き行為を知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者に対して行い財物を交付させた場合であっても、準詐欺罪ではなく詐欺罪が成 立する。◯
不作為による欺き行為がなされたというためには、行為者に事実を告知す べき義務がなければならないが、この告知義務は法令の規定によって認めら れるもののほかに、契約上や慣習上のものも含まれる。◯
詐欺罪における人を欺く行為は、不作為によって行い得る場合もあり、不作為による欺き行為というためには、行為者に真実を告知すべき法的な義務が認められることを要するところ、その告知義務の根拠は、契約や慣習、条理などであってもよい。◯
詐欺罪における欺き行為は、言語又は動作によることを要するので、相手方の錯誤を利用した不作為による欺き行為では、本罪は成立しない。✕
相手方の財産的処分行為に向けられた欺き行為は存在したが、相手方が、それを見抜いて錯誤に陥らなかった場合や、憐憫の情から財物を交付した場合には、詐欺罪は未遂となる。◯
詐欺罪の成立には、主観的要件として故意が必要であるが、窃盗罪の場合とは異なり、不法領得の意思は不要とするのが判例の立場である。✕
詐欺罪における財産的処分行為と認められるためには、主観的要件として 財産を処分する意思と、客観的要件として財産を移転する事実とが必要で ある。◯
甲は、A方に電話を掛け、応対に出た同人に対し、「医療費の還付金があります。」などとうそを言い、近くの銀行のATMへ行くように申し向け、 携帯電話で指示しながらA名義のキャッシュカードをATM機に挿入させ、 甲の指示に従えば医療費の還付金を受領できると誤信したAは、甲から言われるままに ATM機を操作したところ、入力した額の金銭が、甲の管理する預金口座に振込送金された。この場合、甲は、詐欺罪の刑責を負う。✕
詐欺罪の欺き行為は、相手方に錯誤に基づく財産的処分行為をさせる性質の ものでなければならないので、顧客を装い衣類を試着したまま便所に行くと偽って逃走した場合には、本罪ではなく窃盗罪が成立する。◯
路上で財布を拾ったAが、「これは誰の財布ですか。」と呼び掛けたとこ ろ、偶然近くにいた甲は、自分の財布でもないのにAに近寄り、「その財布 は自分の物です。ありがとう。」とうそを言って、Aから当該財布の交付を 受けた。
1項詐欺罪◯
詐欺罪にいう財物の交付があったといい得るためには、被詐欺者の処分行為によって、行為者が自由に処分可能な事実上の支配下に財物が移転すれば足 り、現実の手渡しまでは必要としないので、人を欺いてその財物を放棄さ せ、これを拾得した場合には、本罪が成立する。◯
ホテルの宿泊者が、宿泊後に代金を支払う意思がなくなり、従業員に対して、「散歩に行ってくる。」と告げただけでそのまま逃走した場合、本罪は成立しない。◯
当初から代金を支払う意思も能力もないのに、その旨を秘して飲食物を注 文した場合には、1項詐欺罪の実行の着手が認められ、飲食物の提供を受け た時点で同罪は既遂となるところ、そのまま飲食を終えて代金を支払う時点 で、更に欺き行為によりその支払を免れた場合には、1項と2項を包括した 1個の詐欺罪が成立する。◯
詐欺罪について、例えば、紙幣を偽造してやるからそのための資金をくれ、売春してあげる から先に代金をよこせ、というように、人を欺いて不法な原因のために財物 を交付させた場合であっても、詐欺罪の成立が妨げられるものではないが、 売春の契約をして性行為をした後に、相手方の女子を欺いてその対価の支払 を免れたときには、詐欺罪は成立しない。◯
1項詐欺罪の客体である財物には、不動産も含まれるので、例えば、賃料を支払う意思がないのに、家屋を借り受けて居住した場合は、本罪が成立する。✕
1項詐欺罪の客体である財物は、他人が占有する他人の財物であることを 要するので、他人が看守している自己の財物は本罪の客体となり得ない。✕
2項詐欺罪における「財産上不法の利益」とは、財産上の利益を不法な手段で得るという意味であるところ、女子を欺いて売淫の対価の支払を免れた場合は、同罪が成立する。✕
2項詐欺罪の客体は、財産上の利益であり、例えば、債権を取得すること のほか、債務の免除をさせることや債務の引受を承諾させることがこれに当 たる。◯
詐欺罪(2項)は、財物のほか、財産上不法の利益を取得することによって既遂に達するが、ここにいう「不法」とは、財物取得の手段が不法であることを意味し、利益そのものが不法であることを要しない。◯
詐欺罪が成立するためには、欺き行為による財物の交付等が、相手方の任意の処分行為に基づくものであることを要するので、財産を処分する意思を欠いている重度の認知症の者が行った財物の交付等は、任意の処分行為には当たらず、同罪は成立しない。◯
準詐欺罪は、知慮浅薄な未成年者又は心神耗弱者から誘惑的行為によって財物を交付させることや、これらの者を欺いて財物を交付させることを、処罰の対象としている。✕
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させる犯罪であるところ、財物の交付又は利益の移転は、未成年者又は心神耗弱者の財産的処分行為によるものでなくてはならない。◯
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させることを処罰するものである。◯
当初から代金を支払う意思も能力もないのに、その旨を秘して飲食物を注文した場合には、1項詐欺罪の実行の着手が認められ、飲食物の提供を受けた時点で既遂となる。また、店主等を欺いて飲食し、飲食を終えて代金を支払う時点で、更に欺き行為により支払を免れた場合には、1項と2項を包括した1個の詐欺罪が成立する。◯
自己名義の銀行のキャッシュカードを手渡し、暗証番号を教えて、銀行預金の引出しを依頼したところ、依頼された者が、銀行のATM機で依頼分の現金を引き出した後、預かったキャッシュカードを使用して同一のATM機で再度現金を引き出しこれを領得した場合、依頼分を超えて引き出した現金について詐欺罪は成立しない。◯
自宅に掛けている火災保険の保険金をだまし取る目的で、自宅に放火した場合、失火等を装って保険会社に保険金の支払を請求した時点で、本罪の着手が認められる。◯
振り込め詐欺により犯人グループの指定する銀行口座に現金を振り込んだ被害者が、その後、だまされたことを知って直ちに銀行に連絡を取り、当該金銭の入金処理後に当該口座の出金停止措置をとってもらったため、犯人らがATM機を利用して口座から現金を引き出すことができなかった場合、詐欺罪は未遂にとどまる。✕
財物の交付に際して、詐欺犯人側から一定の対価が提供された場合の被害額は、被害者が交付した財物の価格から対価を差し引いた差額ではなく、交付した財物全体の価格であり、水増し請求による詐欺事案においても、その被害額は水増分ではなく被害者が交付した金額全額となる。◯
恐喝行為に欺く手段が併用され、その欺き行為が畏怖させる一材料となり、その畏怖の結果として相手方が財物を交付した場合、恐喝罪は成立せず、詐欺罪のみが成立する。✕
甲は、不正に入手したX社発行に係る名義のクレジットカードを用い て、自己のスマートフォンに電子マネーをチャージすることを思い付き、同 スマートフォンから、当該クレジットカードの情報をX社に送信して審査 を受け、Y鉄道会社がオンラインチャージシステムに用いている電子計算機 に記憶させて、同クレジットカードを利用し合計10万円相当の電子マネー を購入する旨の虚偽の情報を与えるなどして、甲のスマートフォンに内蔵さ れたICチップに同額相当の電子マネーを購入したとする電磁的記録を蓄積 させた。電子計算機使用詐欺罪◯
特殊詐欺グループの一員である甲は、同じグループに属する乙と共謀のう え、金融庁職員に成り済ましてキャッシュカードをだまし取る目的で、A方 に電話を掛け、「あなた名義の銀行口座が犯罪に利用されています。職員が 自宅に受け取りに行くので、キャッシュカードを封筒に入れておいてくださ い。」と申し向けたところ、その旨誤信したAは、自己名義のキャッシュ カードを封筒に入れた。その後、A宅を訪れた受け子の乙は、金融庁の職員 を装い、Aからキャッシュカード在中の封筒を受け取り、中身を確認しよう としたところ、A宅の電話が鳴って同人が部屋の奥へ入って行ったので、そ の隙に当該封筒を持ち去った。この場合、甲及び乙は、詐欺罪の共同正犯と しての刑責を負う。◯
特殊詐欺グループの一員である甲は、同じグループに属する乙と共謀のうえ、X社が所有するマンションの一室を借り受け、そこを特殊詐欺組織のアジトにすることを意図して、当該物件には「住居用に使用し、これ以外の目的で使用しないこと」、「賃借人が反社会的活動を行う者でないこと」等の条件が付されていることを知りながら、乙を賃借人とする内容虚偽の契約書等を作成し、X社と賃貸借契約を締結した。その後、甲は、乙を通じて当該部屋の引渡しを受け、特殊詐欺グループのアジトとして使用しているが、毎月滞ることなく×社に賃料を支払っている。この場合、甲及び乙は、2項詐欺罪の共同正犯としての刑責を負う。◯
特殊詐欺グループの一員である甲は、高齢者Aから、X銀行支店発行 の同人名義のキャッシュカードをだまし取ると、すぐに、近くのコンビニエ ンスストアZ店に立ち寄り、店内に設置されたATM機にAからだまし取ったキャッシュカードを挿入し、同人名義の預金口座から、特殊詐欺グループが管理するV銀行W支店に開設された乙名義の預金口座に100万円を振込送金した。この場合、甲には、電子計算機使用詐欺罪が成立する。◯
特殊詐欺グループの一員である乙は、電話でAに虚偽の事実を告げ、現 金を送付するように求めたが、Aはうそを見破り、警察官に相談のうえ、「だまされたふり作戦」に基づき、現金が入っていない箱を指定された場所に発送した。その後、甲は、「だまされたふり作戦」が開始されたことを知らず に、乙から報酬約束の下に荷物の受領を依頼され、それが詐欺の被害金を受 け取る役割であることを認識しつつこれを引き受け、Aから発送された荷物 を受領した。この場合、甲は、乙と共に詐欺未遂罪の共同正犯としての刑責を負う。◯
電子計算機使用詐欺罪に関し、「人の事務処理に使用する電子計算機」における「人の事務処理」は、財産権の得喪・変更に係る事務に限定される。◯
電子計算機使用詐欺罪と、私(公) 電磁的記録不正作出・同供用罪又は支払用カード電磁的記録不正作出、同供用罪とは、保護法益が異なることから、電子計算機使用詐欺罪が成立する場合も、これとは別にこれらの不正作出等の罪が成立し、原則として牽連犯となる。◯
ATM機を操作して、不正に他人名義の預金口座から自己の管理する他行 の預金口座へ振込送金した場合に成立する、電子計算機使用詐欺罪の被害者 は、送金元となる預金口座を管理する銀行である。✕
電子計算機使用詐欺罪にいう「財産権の得喪若しくは変更に係る電磁的記録」とは、それが作出されることによって、直接的又は必然的に当該財産権の得喪・変更が生じることになるものを意味するところ、不動産登記ファイルや、キャッシュカードの磁気ストライブ部分など、財産権の得喪・変更又は一定の資格を証明するための電磁的記録はこれに当たらない。◯
来店客が酔っ払って置き忘れた財布を預かり保管していた飲食店の店長 が、数週間待っても当該客から何の連絡もなかったことから悪心を起こし、 財布内にあった現金を自己の財布に移すとともに、やはり在中していた当該 客名義のクレジットカードを店内のクレジットカード端末に挿入して、架空 の飲食代金に係る請求情報を入力・送信したが、既に当該客がカード会社に 当該カードを遺失した旨連絡していたため、クレジット決済が承認されな かった場合、遺失物横領罪及び電子計算機使用詐欺未遂罪が成立する。◯
飲食店経営者の甲は、拾得した他人名義のクレジットカードを使用し、 カード名義人が飲食したかのように装い、カード発行会社であるX社から 金を得ようと企て、自己の店において、X社とオンラインでつながっている 与信照会端末装置を使用し、架空の飲食代金 30,000円のカード決済を行 い、後日、データ伝送を受けたX社から30,000円の送金を受けた。
電子計算機使用詐欺罪。◯
不正に入手した他人名義のクレジットカードを使用して加盟店から物品を購入した場合、加盟店の店員にカードを示してカード取引を申し込む行為は欺き行為と認められ、店員が正常な取引の申込みであると誤信したことが錯誤となり、これに基づく商品の交付が処分行為に当たり、これらの欺き行為・錯誤・処分行為の間にそれぞれ因果関係が認められるので、加盟店を被害者とする1項詐欺罪が成立する。◯
甲は、拾得したA名義のX社発行に係るクレジットカード番号等を冒用し、Y鉄道会社が会員制サービスとして運営する、いわゆる電子マネーのオンラインチャージ機能を悪用して、自己の携帯電話機に電子マネーを蓄積保存しようと企てた。そして、携帯電話機から、インターネットを介し、当該クレジットカードの情報をX社に送信して審査を受け、Y 社のオンラインチャージシステムに利用している電子計算機に記憶させ、 同クレジットカードを使用して販売価格合計10万円相当の電子マネーを購入する旨の虚偽の情報を与えるなどして、Y社の電子計算機と電話回線を通じて電話機能を有する当該携帯電話機に内蔵されたICチップに同額相当の電子マネーを購入したとする電磁的記録を蓄積させた。
電子計算機使用詐欺罪◯
甲は、X社が運営するSNSサービスを利用しており、マイページのアバター(インターネット上で、顔・髪形・服装・持ち物などを自由に選択して作ったオリジナルキャラクター)を変えたり、ゲーム上で使用するアイテムを購入するなどして優位にプレイするため、同社SNSサービス内でしか使用することができない仮想通貨である「Xコイン」を購入していたが、遊興費に窮したことから、購入することができなくなった。そのため、アルバイト先の家電量販店で、客Aが代金の支払に使用したクレジットカード上に刻まれていた番号、名前、有効期限等をメモし、それをX社のホームページにアクセスして入力・送信し、現金約54 万円分の「Xコイン」の購入を申し込んで取得し、その代金の支払を免れた。
電子計算機使用詐欺罪◯
いわゆる釣銭詐欺は、不作為によって成立するものであるから、店員が釣銭を多く渡したことに気付きながら領得しても、 帰宅してから気付いて領得しても、甲に詐欺罪が成立する。✕
詐欺罪において、欺く行為を行った者と財物の交付を受ける者とは、必ず しも一致する必要はなく、第三者が財物の交付を受ける場合も同罪は成立し 得るが、ここにいう「第三者」は、行為者の道具として活動する者など、行 為者との間に特別な事情が存在する者に限られる。◯
甲は,Aに対して借金をしていたが,Aが文字を読めない(あるいは泥酔している)ことを利用して,『福祉施設建設推進の署名である。』などと偽って,甲に対する債権を放棄する旨を記載したA名義の文書に押印させた。」というように,文書の記載内容が別のものであると誤認させたうえ,署名・押印して交付させた。詐欺罪✕
(2) 2 項詐欺罪の既遂時期は、行為者の欺き行為によって相手方が錯誤に陥って財産的処分行為を行い、その結果、行為者又は第三者が財産的利益を取得した時であるが、例えば、売注させた後、相手方を欺いてその対価の支払いを免れた場合、売淫行為が公序良俗に違反し、かつ、民法上対価請求権を認められないものであるため、同罪は成立しない。◯
(1) 1 項詐欺罪の客体は、他人の占有する他人の財物である。ただし、自己の財物であっても他人の占有に属し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、「他人の財物」とみなされるところ、「他人」とは、自然人であると法人その他の団体であるとを問わない。◯
3) 電子計算機使用詐欺罪の被害者は、犯人又は第三者に財産上不法の利益を詐取されたことにより、財産上の利益を侵害されるに至った当事者であるところ、例えば、銀行員が窓口端末機等を用いて虚偽の入金データを入力して、自己の口座の預金残高を増額させたような場合には、 当談口座の存在する銀行が被害者となる。◯
(1) 詐欺罪については、必ずしも被害者自身が欺かれることを要しないところ、欺かれた者と財産上の被害者が別人である場合に同罪が成立するためには、欺かれた者において、被害者のためにその財産を処分し得る権限又は地位のあることを要する。◯
(3) 電子計算機使用詐欺罪と、公(私)電磁的記録不正作出罪・同供用罪又は支払用カード電磁的記錄不正作出罪・同供用罪とは保護法益が違うことから、電子計算機使用詐欺罪が成立する場合でも、これらの不正作出等の罪が成立し、原則として牽連犯となる。◯
詐欺罪は、財産罪の一類型として個人的法益に対する罪に属するが、国家的・社会的法益もその保護法益とするから、他人に成り済まして、東京都公安委員会に虚偽の申告をして、自動車運転免許証を交付させた場合には、詐欺罪が成立する。✕
詐欺罪は、財産罪の一類型として個人的法益に対する罪に属しており、国家的・社会的法益を保護の対象とするものではないから、他人に成り済まし て都道府県公安委員会に虚偽の申告をし、不正に自動車運転免許証の交付を 受けたとしても、詐欺罪は成立しない。◯
詐欺罪の客体は、他人が占有する他人の財物であるが、ここにいう「財物」 には、窃盗罪の場合と異なり不動産も含まれる。◯
詐欺罪の実行の着手時期は、財物を交付させ又は財産上不法の利益を取得するために欺き行為を開始した時であり、相手方がその行為によって現実に錯誤に陥ったか否かは問わない。◯
詐欺罪の実行の着手は、欺き行為を開始した時点で認められることから、 保険金を詐取する目的で家屋に放火しただけでは、本罪の実行の着手は認められない。◯
詐欺罪の実行の着手時期は、財物を詐取する目的で人を欺く行為を行った時であるから、保険金詐欺については、詐欺の目的を秘して保険契約を結んだ時に実行の着手が認められる。✕
詐欺罪の実行の着手は、行為者が財物等をだまし取る意思で欺き行為を開 始した時点で認められ、当該行為によって相手方が錯誤に陥ったかどうかは 問わない。◯
詐欺罪の成立には、「欺き行為」、「錯誤」、「財産的処分行為」、「財物又は 利益の移転」が連鎖的因果関係にあることが求められる。◯
詐欺罪における欺き行為の相手方は、実質的な経済上の被害者である必要はないが、財物等の財産的処分行為について、権限又は地位を有する者でなければならない。◯
詐欺罪における欺き行為の相手方は、財産的処分行為をなし得る権限又は地位を有する者であれば足り、必ずしも財物の所有者又は占有者であることを要しない。◯
詐欺罪においては、必ずしも財産上の被害者自身が欺かれたことを要しな いが、欺かれた者と財産上の被害者とが同一人物でない場合に、同罪が成立 するためには、欺かれた者において、被害者のために当該財産を処分し得る 権能又は地位のあることを要する。◯
人を欺く行為は、必ずしも財物の所有者に向けられることを要しないが、 財物又は財産上の利益について処分行為をなし得る権限又は地位を有する者 に向けられたものでなければならない◯
欺き行為により、知慮浅薄な未成年者から財物の交付を受け、又は財産上不法な利益を得た場合には、準詐欺罪ではなく、本罪が成立する。◯
詐欺罪の欺き行為の相手方は、錯誤に陥り財物について財産的処分行為をな し得る者である限り、知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者であってもよい。◯
詐欺罪が成立するためには、欺く手段を用いなければならず、その欺き行為は、具体的事情の下において、通常人を錯誤に陥れる可能性を有するもの でなければならないところ、欺き行為を知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者に対して行い財物を交付させた場合であっても、準詐欺罪ではなく詐欺罪が成 立する。◯
不作為による欺き行為がなされたというためには、行為者に事実を告知す べき義務がなければならないが、この告知義務は法令の規定によって認めら れるもののほかに、契約上や慣習上のものも含まれる。◯
詐欺罪における人を欺く行為は、不作為によって行い得る場合もあり、不作為による欺き行為というためには、行為者に真実を告知すべき法的な義務が認められることを要するところ、その告知義務の根拠は、契約や慣習、条理などであってもよい。◯
詐欺罪における欺き行為は、言語又は動作によることを要するので、相手方の錯誤を利用した不作為による欺き行為では、本罪は成立しない。✕
相手方の財産的処分行為に向けられた欺き行為は存在したが、相手方が、それを見抜いて錯誤に陥らなかった場合や、憐憫の情から財物を交付した場合には、詐欺罪は未遂となる。◯
詐欺罪の成立には、主観的要件として故意が必要であるが、窃盗罪の場合とは異なり、不法領得の意思は不要とするのが判例の立場である。✕
詐欺罪における財産的処分行為と認められるためには、主観的要件として 財産を処分する意思と、客観的要件として財産を移転する事実とが必要で ある。◯
甲は、A方に電話を掛け、応対に出た同人に対し、「医療費の還付金があります。」などとうそを言い、近くの銀行のATMへ行くように申し向け、 携帯電話で指示しながらA名義のキャッシュカードをATM機に挿入させ、 甲の指示に従えば医療費の還付金を受領できると誤信したAは、甲から言われるままに ATM機を操作したところ、入力した額の金銭が、甲の管理する預金口座に振込送金された。この場合、甲は、詐欺罪の刑責を負う。✕
詐欺罪の欺き行為は、相手方に錯誤に基づく財産的処分行為をさせる性質の ものでなければならないので、顧客を装い衣類を試着したまま便所に行くと偽って逃走した場合には、本罪ではなく窃盗罪が成立する。◯
路上で財布を拾ったAが、「これは誰の財布ですか。」と呼び掛けたとこ ろ、偶然近くにいた甲は、自分の財布でもないのにAに近寄り、「その財布 は自分の物です。ありがとう。」とうそを言って、Aから当該財布の交付を 受けた。
1項詐欺罪◯
詐欺罪にいう財物の交付があったといい得るためには、被詐欺者の処分行為によって、行為者が自由に処分可能な事実上の支配下に財物が移転すれば足 り、現実の手渡しまでは必要としないので、人を欺いてその財物を放棄さ せ、これを拾得した場合には、本罪が成立する。◯
ホテルの宿泊者が、宿泊後に代金を支払う意思がなくなり、従業員に対して、「散歩に行ってくる。」と告げただけでそのまま逃走した場合、本罪は成立しない。◯
当初から代金を支払う意思も能力もないのに、その旨を秘して飲食物を注 文した場合には、1項詐欺罪の実行の着手が認められ、飲食物の提供を受け た時点で同罪は既遂となるところ、そのまま飲食を終えて代金を支払う時点 で、更に欺き行為によりその支払を免れた場合には、1項と2項を包括した 1個の詐欺罪が成立する。◯
詐欺罪について、例えば、紙幣を偽造してやるからそのための資金をくれ、売春してあげる から先に代金をよこせ、というように、人を欺いて不法な原因のために財物 を交付させた場合であっても、詐欺罪の成立が妨げられるものではないが、 売春の契約をして性行為をした後に、相手方の女子を欺いてその対価の支払 を免れたときには、詐欺罪は成立しない。◯
1項詐欺罪の客体である財物には、不動産も含まれるので、例えば、賃料を支払う意思がないのに、家屋を借り受けて居住した場合は、本罪が成立する。✕
1項詐欺罪の客体である財物は、他人が占有する他人の財物であることを 要するので、他人が看守している自己の財物は本罪の客体となり得ない。✕
2項詐欺罪における「財産上不法の利益」とは、財産上の利益を不法な手段で得るという意味であるところ、女子を欺いて売淫の対価の支払を免れた場合は、同罪が成立する。✕
2項詐欺罪の客体は、財産上の利益であり、例えば、債権を取得すること のほか、債務の免除をさせることや債務の引受を承諾させることがこれに当 たる。◯
詐欺罪(2項)は、財物のほか、財産上不法の利益を取得することによって既遂に達するが、ここにいう「不法」とは、財物取得の手段が不法であることを意味し、利益そのものが不法であることを要しない。◯
詐欺罪が成立するためには、欺き行為による財物の交付等が、相手方の任意の処分行為に基づくものであることを要するので、財産を処分する意思を欠いている重度の認知症の者が行った財物の交付等は、任意の処分行為には当たらず、同罪は成立しない。◯
準詐欺罪は、知慮浅薄な未成年者又は心神耗弱者から誘惑的行為によって財物を交付させることや、これらの者を欺いて財物を交付させることを、処罰の対象としている。✕
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させる犯罪であるところ、財物の交付又は利益の移転は、未成年者又は心神耗弱者の財産的処分行為によるものでなくてはならない。◯
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させることを処罰するものである。◯
当初から代金を支払う意思も能力もないのに、その旨を秘して飲食物を注文した場合には、1項詐欺罪の実行の着手が認められ、飲食物の提供を受けた時点で既遂となる。また、店主等を欺いて飲食し、飲食を終えて代金を支払う時点で、更に欺き行為により支払を免れた場合には、1項と2項を包括した1個の詐欺罪が成立する。◯
自己名義の銀行のキャッシュカードを手渡し、暗証番号を教えて、銀行預金の引出しを依頼したところ、依頼された者が、銀行のATM機で依頼分の現金を引き出した後、預かったキャッシュカードを使用して同一のATM機で再度現金を引き出しこれを領得した場合、依頼分を超えて引き出した現金について詐欺罪は成立しない。◯
自宅に掛けている火災保険の保険金をだまし取る目的で、自宅に放火した場合、失火等を装って保険会社に保険金の支払を請求した時点で、本罪の着手が認められる。◯
振り込め詐欺により犯人グループの指定する銀行口座に現金を振り込んだ被害者が、その後、だまされたことを知って直ちに銀行に連絡を取り、当該金銭の入金処理後に当該口座の出金停止措置をとってもらったため、犯人らがATM機を利用して口座から現金を引き出すことができなかった場合、詐欺罪は未遂にとどまる。✕
財物の交付に際して、詐欺犯人側から一定の対価が提供された場合の被害額は、被害者が交付した財物の価格から対価を差し引いた差額ではなく、交付した財物全体の価格であり、水増し請求による詐欺事案においても、その被害額は水増分ではなく被害者が交付した金額全額となる。◯
恐喝行為に欺く手段が併用され、その欺き行為が畏怖させる一材料となり、その畏怖の結果として相手方が財物を交付した場合、恐喝罪は成立せず、詐欺罪のみが成立する。✕
甲は、不正に入手したX社発行に係る名義のクレジットカードを用い て、自己のスマートフォンに電子マネーをチャージすることを思い付き、同 スマートフォンから、当該クレジットカードの情報をX社に送信して審査 を受け、Y鉄道会社がオンラインチャージシステムに用いている電子計算機 に記憶させて、同クレジットカードを利用し合計10万円相当の電子マネー を購入する旨の虚偽の情報を与えるなどして、甲のスマートフォンに内蔵さ れたICチップに同額相当の電子マネーを購入したとする電磁的記録を蓄積 させた。電子計算機使用詐欺罪◯
特殊詐欺グループの一員である甲は、同じグループに属する乙と共謀のう え、金融庁職員に成り済ましてキャッシュカードをだまし取る目的で、A方 に電話を掛け、「あなた名義の銀行口座が犯罪に利用されています。職員が 自宅に受け取りに行くので、キャッシュカードを封筒に入れておいてくださ い。」と申し向けたところ、その旨誤信したAは、自己名義のキャッシュ カードを封筒に入れた。その後、A宅を訪れた受け子の乙は、金融庁の職員 を装い、Aからキャッシュカード在中の封筒を受け取り、中身を確認しよう としたところ、A宅の電話が鳴って同人が部屋の奥へ入って行ったので、そ の隙に当該封筒を持ち去った。この場合、甲及び乙は、詐欺罪の共同正犯と しての刑責を負う。◯
特殊詐欺グループの一員である甲は、同じグループに属する乙と共謀のうえ、X社が所有するマンションの一室を借り受け、そこを特殊詐欺組織のアジトにすることを意図して、当該物件には「住居用に使用し、これ以外の目的で使用しないこと」、「賃借人が反社会的活動を行う者でないこと」等の条件が付されていることを知りながら、乙を賃借人とする内容虚偽の契約書等を作成し、X社と賃貸借契約を締結した。その後、甲は、乙を通じて当該部屋の引渡しを受け、特殊詐欺グループのアジトとして使用しているが、毎月滞ることなく×社に賃料を支払っている。この場合、甲及び乙は、2項詐欺罪の共同正犯としての刑責を負う。◯
特殊詐欺グループの一員である甲は、高齢者Aから、X銀行支店発行 の同人名義のキャッシュカードをだまし取ると、すぐに、近くのコンビニエ ンスストアZ店に立ち寄り、店内に設置されたATM機にAからだまし取ったキャッシュカードを挿入し、同人名義の預金口座から、特殊詐欺グループが管理するV銀行W支店に開設された乙名義の預金口座に100万円を振込送金した。この場合、甲には、電子計算機使用詐欺罪が成立する。◯
特殊詐欺グループの一員である乙は、電話でAに虚偽の事実を告げ、現 金を送付するように求めたが、Aはうそを見破り、警察官に相談のうえ、「だまされたふり作戦」に基づき、現金が入っていない箱を指定された場所に発送した。その後、甲は、「だまされたふり作戦」が開始されたことを知らず に、乙から報酬約束の下に荷物の受領を依頼され、それが詐欺の被害金を受 け取る役割であることを認識しつつこれを引き受け、Aから発送された荷物 を受領した。この場合、甲は、乙と共に詐欺未遂罪の共同正犯としての刑責を負う。◯
電子計算機使用詐欺罪に関し、「人の事務処理に使用する電子計算機」における「人の事務処理」は、財産権の得喪・変更に係る事務に限定される。◯
電子計算機使用詐欺罪と、私(公) 電磁的記録不正作出・同供用罪又は支払用カード電磁的記録不正作出、同供用罪とは、保護法益が異なることから、電子計算機使用詐欺罪が成立する場合も、これとは別にこれらの不正作出等の罪が成立し、原則として牽連犯となる。◯
ATM機を操作して、不正に他人名義の預金口座から自己の管理する他行 の預金口座へ振込送金した場合に成立する、電子計算機使用詐欺罪の被害者 は、送金元となる預金口座を管理する銀行である。✕
電子計算機使用詐欺罪にいう「財産権の得喪若しくは変更に係る電磁的記録」とは、それが作出されることによって、直接的又は必然的に当該財産権の得喪・変更が生じることになるものを意味するところ、不動産登記ファイルや、キャッシュカードの磁気ストライブ部分など、財産権の得喪・変更又は一定の資格を証明するための電磁的記録はこれに当たらない。◯
来店客が酔っ払って置き忘れた財布を預かり保管していた飲食店の店長 が、数週間待っても当該客から何の連絡もなかったことから悪心を起こし、 財布内にあった現金を自己の財布に移すとともに、やはり在中していた当該 客名義のクレジットカードを店内のクレジットカード端末に挿入して、架空 の飲食代金に係る請求情報を入力・送信したが、既に当該客がカード会社に 当該カードを遺失した旨連絡していたため、クレジット決済が承認されな かった場合、遺失物横領罪及び電子計算機使用詐欺未遂罪が成立する。◯
飲食店経営者の甲は、拾得した他人名義のクレジットカードを使用し、 カード名義人が飲食したかのように装い、カード発行会社であるX社から 金を得ようと企て、自己の店において、X社とオンラインでつながっている 与信照会端末装置を使用し、架空の飲食代金 30,000円のカード決済を行 い、後日、データ伝送を受けたX社から30,000円の送金を受けた。
電子計算機使用詐欺罪。◯
不正に入手した他人名義のクレジットカードを使用して加盟店から物品を購入した場合、加盟店の店員にカードを示してカード取引を申し込む行為は欺き行為と認められ、店員が正常な取引の申込みであると誤信したことが錯誤となり、これに基づく商品の交付が処分行為に当たり、これらの欺き行為・錯誤・処分行為の間にそれぞれ因果関係が認められるので、加盟店を被害者とする1項詐欺罪が成立する。◯
甲は、拾得したA名義のX社発行に係るクレジットカード番号等を冒用し、Y鉄道会社が会員制サービスとして運営する、いわゆる電子マネーのオンラインチャージ機能を悪用して、自己の携帯電話機に電子マネーを蓄積保存しようと企てた。そして、携帯電話機から、インターネットを介し、当該クレジットカードの情報をX社に送信して審査を受け、Y 社のオンラインチャージシステムに利用している電子計算機に記憶させ、 同クレジットカードを使用して販売価格合計10万円相当の電子マネーを購入する旨の虚偽の情報を与えるなどして、Y社の電子計算機と電話回線を通じて電話機能を有する当該携帯電話機に内蔵されたICチップに同額相当の電子マネーを購入したとする電磁的記録を蓄積させた。
電子計算機使用詐欺罪◯
甲は、X社が運営するSNSサービスを利用しており、マイページのアバター(インターネット上で、顔・髪形・服装・持ち物などを自由に選択して作ったオリジナルキャラクター)を変えたり、ゲーム上で使用するアイテムを購入するなどして優位にプレイするため、同社SNSサービス内でしか使用することができない仮想通貨である「Xコイン」を購入していたが、遊興費に窮したことから、購入することができなくなった。そのため、アルバイト先の家電量販店で、客Aが代金の支払に使用したクレジットカード上に刻まれていた番号、名前、有効期限等をメモし、それをX社のホームページにアクセスして入力・送信し、現金約54 万円分の「Xコイン」の購入を申し込んで取得し、その代金の支払を免れた。
電子計算機使用詐欺罪◯
いわゆる釣銭詐欺は、不作為によって成立するものであるから、店員が釣銭を多く渡したことに気付きながら領得しても、 帰宅してから気付いて領得しても、甲に詐欺罪が成立する。✕
詐欺罪において、欺く行為を行った者と財物の交付を受ける者とは、必ず しも一致する必要はなく、第三者が財物の交付を受ける場合も同罪は成立し 得るが、ここにいう「第三者」は、行為者の道具として活動する者など、行 為者との間に特別な事情が存在する者に限られる。◯
甲は,Aに対して借金をしていたが,Aが文字を読めない(あるいは泥酔している)ことを利用して,『福祉施設建設推進の署名である。』などと偽って,甲に対する債権を放棄する旨を記載したA名義の文書に押印させた。」というように,文書の記載内容が別のものであると誤認させたうえ,署名・押印して交付させた。詐欺罪✕
(2) 2 項詐欺罪の既遂時期は、行為者の欺き行為によって相手方が錯誤に陥って財産的処分行為を行い、その結果、行為者又は第三者が財産的利益を取得した時であるが、例えば、売注させた後、相手方を欺いてその対価の支払いを免れた場合、売淫行為が公序良俗に違反し、かつ、民法上対価請求権を認められないものであるため、同罪は成立しない。◯
(1) 1 項詐欺罪の客体は、他人の占有する他人の財物である。ただし、自己の財物であっても他人の占有に属し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、「他人の財物」とみなされるところ、「他人」とは、自然人であると法人その他の団体であるとを問わない。◯
3) 電子計算機使用詐欺罪の被害者は、犯人又は第三者に財産上不法の利益を詐取されたことにより、財産上の利益を侵害されるに至った当事者であるところ、例えば、銀行員が窓口端末機等を用いて虚偽の入金データを入力して、自己の口座の預金残高を増額させたような場合には、 当談口座の存在する銀行が被害者となる。◯
(1) 詐欺罪については、必ずしも被害者自身が欺かれることを要しないところ、欺かれた者と財産上の被害者が別人である場合に同罪が成立するためには、欺かれた者において、被害者のためにその財産を処分し得る権限又は地位のあることを要する。◯
(3) 電子計算機使用詐欺罪と、公(私)電磁的記録不正作出罪・同供用罪又は支払用カード電磁的記錄不正作出罪・同供用罪とは保護法益が違うことから、電子計算機使用詐欺罪が成立する場合でも、これらの不正作出等の罪が成立し、原則として牽連犯となる。◯