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高次脳機能検査

高次脳機能検査
39問 • 1年前
  • Mika
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    問題一覧

  • 1

    高次脳機能検査 理学療法で取り扱う代表的疾患に脳卒中による片麻痺がある。このような中枢神経疾患は高次脳機能障害を伴うことが多く、理学療法を進めるにあたっては、それらの障害を理解し、訓練を行うことが大切である。ここでは、理学療法に必要な高次脳機能障害とその検査について説明する。

  • 2

    高次脳機能障害とは 高次脳機能障害は、大脳皮質の障害であり、失行、失認、失語、認知症、注意障害,記憶障害、行機能障害などの症状をいう。 岡崎らは、高次脳機能障害の臨床症状を、①高次運動障害(失行)、②高感覚障害(失認)、③器 質的脳病巣に伴う感情障害、④認知症、⑤言語障害、⑥記憶障害、⑦注意障害のように分類している。 また、里宇は、大脳を前後左右に分けて、それぞれの部位における特徴的とされる高脳機能障害を図20-1のように示している。ただし、それらの障害の局在性は、絶対的なものではないとしている。 ここでは、理学療法を進めるうえで問題となる失認、失行、失語、認知症について説明する。

  • 3

    失認 失認とは、視覚、聴覚、触覚などの感覚器に障害がなく、しかも意識や知能に障害がないにもかかわらず、外界の物体の認知ができない状態をいう。その中には、空間や身体の認知障害も含まれる。 実認は、感覚様式によって、視覚失認、触覚失認、感覚失認、身体失認などに分類されるが、大橋は、表20-1のように分類している。

  • 4

    物体認知障害 視覚失認 視覚失認とは、視覚障害。半盲、視野狭窄などの感覚障害がないにもかかわらず、眼で見ただけでは物体、図形、相貌、色彩などの認知ができず、手で触れたり、音を聞いたりすると認知できる状態である(精神盲という)。 障害 優位半球後頭葉 検査①患者が熟知している種々の日用品を示して、その名称や用途を答えさせる。 ②日常身辺にいる人物の名前や続柄を答えさせる。 ③色紙や積木のを答えさせたり、識別および選択させる。

  • 5

    触覚失認 触覚失認とは、表在知覚、深部知覚、立体覚などに異常がなく、物に触れて外界の物体の大きさ、形状、粗滑などの感覚的性状はわかるが、物体の名称や用途が認知できない状態である。 障害:対側の頭頂葉縁上回 検査:患者に目を閉じさせて、鍵、コイン、ボタンなどの日用品を握らせて、その物品名や用途を答えさせる。

  • 6

    聴覚失認 聴覚失認とは、聴覚に異常がないにもかかわらず、聞いた音の認知識別ができず、音源の物体を見たり、触れたりするとわかる状態である。 障害:優位半球上側頭葉後部 検査:患者に目を閉じさせて、目覚まし時計のベルの音、太鼓の音。コップや茶わんを叩く音など、日常聞き慣れた音を開かせて、それが何の音か答えさせる。左右の耳で別々に検査する。また、音の聞こえる方向も調べる。

  • 7

    身体認知障害 身体失認とは、1つの感覚路の対象認知障害ではなく、自己の身体およびその部分(頭、上肢、下肢など)の空間的な位置の認知が障害された状態である。両側性にも一側性にも出現する。

  • 8

    手指失認 手指失認とは、自分および他人の手指の名称を答えたり、指示された手指を示したりすることができなくなる状態である。

  • 9

    身体部位失認 身体部位失認とは、自分および他人の身体部位(帰、眼、口、耳、手足、胸、腹など)の名称を答えたり、それらの部位を示したりすることができない状態である。 障害:優位半球頭頂・側頭葉 検査:検者が命じた部位(外、眼、口、耳など)を示すようにさせる。

  • 10

    左右失認 左右失認とは、自分および他人の身体の左右を正しく識別することができなくなる状態である。 障害:優位半球頭頂葉 検査:検者が左上肢を上げるように指示する。

  • 11

    半側身体失認 半側身体失認とは、自己の身体の半側が認知できない状態である。左半側に出現しやすい。 障害:劣位半球頭頂葉 検査:自己の半身の存在を無視したり、使わなかったりする。その結果、半身を柱に当てたり、移乗動作において、患側上肢や下肢を置き忘れる行動をとる。

  • 12

    病態失認 病態失認とは、片麻痺の存在を認知できない状態である。半側身体失認に伴ってみられ、左片麻痺に出現しやすい。 障害:劣位半球頭頂葉 検査:麻の存在を否定したり、入院の理由がわからない。近年は、病識の欠如を指すことが多い。

  • 13

    Gerstmann 症候群 ①手指失認、②左右失認、 ③失書(自分で書字をしたり、書き取りをすることができない 状態)、④失計算(暗算や筆算ができなくなる状態)の4つの症状を伴う症候群をいう。 障害:優位半球角回

  • 14

    空間認知障害 空間失認とは、物体相互間の位置関係および物体と自己身体との関係において、外空間の認知ができない状態である。

  • 15

    視覚性空間定位障害 視覚性空間定位障害とは、外界の物体の位置の認知が困難か不可能な状態である。 障害:一側または両側の頭頂業。一側半球の病巣では、反対側の視野半分が空間、両側半球の病来では、両側空間となる。 検査:患者に何か物品を示して、その位置を確認させた後、患者に眼を閉じさせ、その物品があると思われる方向を指示させる。

  • 16

    半側空間無視 半側空間無視 (USN)とは、大半球病巣の反対側の空間の認知ができない状態である。提示された刺数に反応せず、無視しているように見える。 障害:劣位半球頭頂・後頭葉の障害による左半側空間無視が多いが、優位半球障害による右半側空間無視もある。 検査:机上テストとして、①線分2等分テスト、②分株消テスト、③図形模写、④横書き文の読みなどがある。 ①線分2等分テスト:あらかじめ印刷した横線を2等分させるか、患者自身に2点を結ぶ線分を引かせ、その線分を2等分させる。 ②線分抹消テスト:あらかじめ印刷した短い斜線に、印をつけて抹消するよう指示する。 ③図形描写:図形を示し、大きさ、形を同じように模写させる。 ④横書き文の読み:あらかじめ印刷した文章を読ませる。場所、人物、季節の情報は左側に配置する。 半側無視患者は、左側の文を読み落とすので、左側に書かれた場所、人物、季節などを質問すると、正確に答えられない。

  • 17

    地誌的障害 地誌的障害には、地誌的見当識障害と地誌的記銘力障害がある。前者は自分の家などよく知っている場所への道順がわからなくなる障害である。後者は地図上で有名な都市などの位置がわからなくなる障害である。 障害:劣位半球側頭・後頭葉

  • 18

    失行 失行とは、麻痺、失調、痙直、固縮などの運動障害がなく、また、認知面にも問題がないにもかかわらず、運動行為を正常に行うことができない状態をいう。すなわち、すべき動作を理解し、その行う対象および目的を理解していながら、手足に障害がないにもかかわらず、目的に応じて手足を動かすことができない状態である。 失行の分類は、Liepmannの古典的失行と、その後の臨床症状として認められた失行認を加えて表20ー2のようになる。 先行の評価は、検査課題の方法によって、言語指示と模倣の2つの条件で評価する。一般に模倣よりも言語指示による施行の方が困難である。

  • 19

    肢節運動失行 肢節運動失行とは、運動の企画は正常で、順序も正しく行われるが、簡単な動作の運動表象が、不能となり、運動が緩慢で、ぎこちなくなったりする状態である。 障害:左右いずれかの前運動野上部(病巣と反対側に現れる)。 症状の出現部位によって、①手指失行、②顔面失行、③歩行失行に分類される。

  • 20

    手指失行 指先の巧運動が困難になる状態である。 検査:指を机の上でビアノを叩くように、順次屈曲する運動を模倣させる。また、ボタンをはめる動作、鉛筆で字を書く動作や絵を描く動作をさせる。

  • 21

    顔面失行 自分では、笑ったり、顔をしかめたりするが、検者の指示に応じて、笑い顔を作ったり、しかめたりすることができない。 検査:眼を閉じさせたり。舌を出させたりする。

  • 22

    歩行失行 足が床に吸いついたように歩けなくなったり、床から足を大きく離すことができなくなる状態である。 検査:下肢を交互に出すように指示したり、ボールを蹴る動作を真似させる。

  • 23

    観念運動失行 観念運動失行とは、命令を理解し、実行する意志をもっていながら、指示された単純な動作の遂行が不能となる状態である。 障害:優位半球頭頂葉下部(緑上日) 検査:ジャンケンの手つきをさせたり、下肢で円や四角を描くようにさせたり、また、手で耳に触れるように指示する。

  • 24

    観念失行 観念失行とは、運動の企画ができなくなり、行為の手順がわからなくなった状態である。個々の動作は可能であるのに、目的にかなった行為はできない。 障害:優位半球頭頂葉(後方角回) 検査:日常用いられている物品を正確に使えるかをみる。例えば、コップに水を入れてむように指示する。

  • 25

    構成失行 構成失行とは、日常の会話や動作が正常にできるのに、簡単な幾何学模様、図形、三次元の図形の構成が困難になる状態である。 障害:はじめは、優劣位半球頭頂薬とされていたが、その後位半球頭頂薬の障害でも出現。ただし、劣位半球障害では、空間失認も考慮に入れる。 検査:①紙に三角、四角、円などの簡単な形や家、舟などの絵を描かせる。また。検者が描いた形を模写させる。 ②マッチ棒で三角、四角などの図形を作らせる。 ③積木の三次元の図形を模倣して作らせる。

  • 26

    着衣失行 着衣失行とは、物体失認や古典的失行がないのに、衣服を着たり、脱いたりする動作のみが困難になる状態である。 障害:劣位半球頭頂葉後部 検査:患者に着衣を脱いだり、着たりするように指示する。その動作を観察する。

  • 27

    運動維持困難 運動維持困難(MI)は高次脳機能障害の中でも比較的出現頻度が高く、リハビリテーションの重大な阻害因子の1つである。閉限、開口あるいは挺舌を維持することが困難で、しかもこれらの動作を2つ以上組み合わせて同時に行わせると、いずれかの動作が申断されてしまう現象をMIという。 障害:右(劣位)半球、Brodmamn の第6、8野を含む中大脳動脈雀流域皮質および皮質下白質。 検査:対座に対して、次の動作を行わせる。 ①目を固く閉じる(閉限)、②口を大きく開く(開日)③舌を大きく出す(挺舌)。これらの動作を 10秒以上維持することが困難(一動作維持困難症)であり、かつ①閉限と③挺舌を同時に行わせ、どちらかの動作がすぐに中断してしまう場合(二動作同時維持不能症)は陽性。「一動作維持困難症」は軽い意識障害、注意書、知的機能障害でもみられる場合があることから、「二動作同時維持不能症」で判定する。

  • 28

    失語 失語とは、正常な言語機能を獲得した後に、何らかの原因で、大脳半球に限局した器質的障害によって起こる言語障害で,発語に関する筋や末梢神経には障害がなく、知能や意識の低下もなく、聴覚障害がないにもかかわらず、言語による表現や文字の理解ができなくなる状態である。大脳機能の一つとしての言語活動の部分的または全体的な障害であり、事物の名称や概念などを言葉として表現することができず、また、耳で聞いた言葉の理解ができなくなる。 失語の分類は、大橋が表20-3のようにしている。ここでは、運動失語、感覚失語、全失語について説明する。

  • 29

    運動失語(Broca 失語) 運動失語とは、言葉の理解はできるが、自発言語が障害される状態である。自発語は非流暢、文字の音読困難で保続、喚語困難、文法障害などがみられる。 障害:優位半球下前頭回後半、弁蓋部および三角部

  • 30

    感覚失語 (Wernicke 失語) 感覚失語とは、自発言語は流暢であるが、内容は空虚で目的とする的確な言葉は困難で、言葉を理解したり、文字を理解することができない状態である。復唱、言葉の理解、読解、音読、自発書字、書き取りなどの障害がみられる。 障害:優位半球上側頭回後1/2、あるいは後1/3

  • 31

    全失語 全失語とは、すべての言語機能が障害される状態である。復唱言葉の理解、読解、音読、自発書等、書き取りなどの障害がみられる。 障害:優位半球側頭葉 Broca領域およびWernicke 領域の広汎な障害

  • 32

    言語障害の評価 簡単な言語障害の評価には、①自発言語、②自発書字、③物品呼称、④復唱、⑤指示動作の遂行、⑥音読などによる評価がある。 検査:①自発言語:名前、住所、生年月日を言わせる。 ②自発書字:名前、住所、生年月日などを書かせる。漢字と仮名の両方を検査する。漢字より仮名文字の障害が目立つ。 ③物品呼称:時計、鉛筆、ボールペン、タバコ、鍵など10品目程度を用意し、その実物を見せて、名称を言わせたり、書かせたりする。 ④復唱:単語、無意味語、数字、簡単な文章などを復唱させる。 ⑤指示動作の遂行:「右手を頭の上に上げてください」、「舌を出してください」、などと簡単な指示を与えて、その動作を行わせる。 ⑥音読:「山」「川」「はな」「うみ」「夏は雪が降る」(正否を調べる)などの漢字、仮名、文章を音読させる。

  • 33

    認知症 認知症とは、個人の以前の知的水準からの著しい減退と、しばしば併発する感情により特徴づけられる精神的荒廃状態と定義される。認知症を生ずる代表的疾患は、Alzheimer病と脳血管障害である。 理学療法では、脳血管障害による認知症患者を扱うことが多いので、認知症に伴う知能低下の評価について説明する。 知能低下が疑われるときは、①注意、②見当識、③記憶、④計算、⑤知識などについて検査する。

  • 34

    知能低下の一般的検査 注意 注意とは、外部からの環境刺激に影響されず、特異的な刺激に注意を向け続ける能力である。不注意な患者は、周囲の音や他の患者の動きに気をとられ、自分の行動に集中できない。注意深い患者は、当面自分に必要なことに集中して訓練ができる。 検査:数字の復唱テスト(即時想起:短期記憶の判定にも使用)、6-8-2、3-5-2‐9のように数字の順唱、逆唱をさせる。健常者は7桁の順唱と5桁の逆唱が可能である。

  • 35

    見当識 見当識とは、現在の自己が置かれている状況を認識する能力をいう。思者の周囲の環境について、人物、時間、場所などを尋ねる。 検査①人物:患者の家族、医者、看護師、療法士などの続柄、名前、仕事などを尋ねる。 ②時間:年月日、曜日、季節、寒暖などを尋ねる。 ③場所:患者の住所、現在いる場所などを尋ねる。

  • 36

    記憶 記憶には、記銘力と記憶力がある。 記銘力は最近の出来事を覚えている能力であり、記憶力は昔の出来事を覚えている能力である。 検査①記銘力:昨日の天気はどうであったか、朝食は何を食べたか、などをねる。 ②記憶力:自身の誕生日や歴史上の出来事を尋ねる。

  • 37

    計算 計算は、計算能力を調べる。 検査:100ー7=93、93ー7=86、86ー7=79のように100から7を引く計算がよく用いられる。

  • 38

    知識(常識) 知識とは、誰もがよく知っている事柄や出来事を尋ねる。 検査:最近のニュース、話題、有名人物などを尋ねる。

  • 39

    改訂長谷川式簡易知能評価スゲール 認知能のスクリーニングテストとしてよく使われているものに、改訂長谷川式節易知能評価スケール(HDS-R)がある。 HDS-Rは、理学療法の治療においても簡単に認知症のスクリーニングとして利用できる。このテストで出た結果だけで認知と確定することはできないが、参考資料として、治療上の注意や治療の工夫に役立てることができる。 HDS-Rは、質問数が9項目あり、1項目=年齢、2項目=日時の見当識、3項目=場所の見当識、4項目=3つの言葉の記銘、5項目=計算、6項目=数字の唱、7項目=3つの言葉の想起、8項目=5つの物品記銘、9項目=言葉の流暢さ、より成っている。 HDS-Rの評価は、満点 30点、20点以下が認知症の疑いありと評価し、認知症のスクリーニングとして用いる。

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    問題一覧

  • 1

    高次脳機能検査 理学療法で取り扱う代表的疾患に脳卒中による片麻痺がある。このような中枢神経疾患は高次脳機能障害を伴うことが多く、理学療法を進めるにあたっては、それらの障害を理解し、訓練を行うことが大切である。ここでは、理学療法に必要な高次脳機能障害とその検査について説明する。

  • 2

    高次脳機能障害とは 高次脳機能障害は、大脳皮質の障害であり、失行、失認、失語、認知症、注意障害,記憶障害、行機能障害などの症状をいう。 岡崎らは、高次脳機能障害の臨床症状を、①高次運動障害(失行)、②高感覚障害(失認)、③器 質的脳病巣に伴う感情障害、④認知症、⑤言語障害、⑥記憶障害、⑦注意障害のように分類している。 また、里宇は、大脳を前後左右に分けて、それぞれの部位における特徴的とされる高脳機能障害を図20-1のように示している。ただし、それらの障害の局在性は、絶対的なものではないとしている。 ここでは、理学療法を進めるうえで問題となる失認、失行、失語、認知症について説明する。

  • 3

    失認 失認とは、視覚、聴覚、触覚などの感覚器に障害がなく、しかも意識や知能に障害がないにもかかわらず、外界の物体の認知ができない状態をいう。その中には、空間や身体の認知障害も含まれる。 実認は、感覚様式によって、視覚失認、触覚失認、感覚失認、身体失認などに分類されるが、大橋は、表20-1のように分類している。

  • 4

    物体認知障害 視覚失認 視覚失認とは、視覚障害。半盲、視野狭窄などの感覚障害がないにもかかわらず、眼で見ただけでは物体、図形、相貌、色彩などの認知ができず、手で触れたり、音を聞いたりすると認知できる状態である(精神盲という)。 障害 優位半球後頭葉 検査①患者が熟知している種々の日用品を示して、その名称や用途を答えさせる。 ②日常身辺にいる人物の名前や続柄を答えさせる。 ③色紙や積木のを答えさせたり、識別および選択させる。

  • 5

    触覚失認 触覚失認とは、表在知覚、深部知覚、立体覚などに異常がなく、物に触れて外界の物体の大きさ、形状、粗滑などの感覚的性状はわかるが、物体の名称や用途が認知できない状態である。 障害:対側の頭頂葉縁上回 検査:患者に目を閉じさせて、鍵、コイン、ボタンなどの日用品を握らせて、その物品名や用途を答えさせる。

  • 6

    聴覚失認 聴覚失認とは、聴覚に異常がないにもかかわらず、聞いた音の認知識別ができず、音源の物体を見たり、触れたりするとわかる状態である。 障害:優位半球上側頭葉後部 検査:患者に目を閉じさせて、目覚まし時計のベルの音、太鼓の音。コップや茶わんを叩く音など、日常聞き慣れた音を開かせて、それが何の音か答えさせる。左右の耳で別々に検査する。また、音の聞こえる方向も調べる。

  • 7

    身体認知障害 身体失認とは、1つの感覚路の対象認知障害ではなく、自己の身体およびその部分(頭、上肢、下肢など)の空間的な位置の認知が障害された状態である。両側性にも一側性にも出現する。

  • 8

    手指失認 手指失認とは、自分および他人の手指の名称を答えたり、指示された手指を示したりすることができなくなる状態である。

  • 9

    身体部位失認 身体部位失認とは、自分および他人の身体部位(帰、眼、口、耳、手足、胸、腹など)の名称を答えたり、それらの部位を示したりすることができない状態である。 障害:優位半球頭頂・側頭葉 検査:検者が命じた部位(外、眼、口、耳など)を示すようにさせる。

  • 10

    左右失認 左右失認とは、自分および他人の身体の左右を正しく識別することができなくなる状態である。 障害:優位半球頭頂葉 検査:検者が左上肢を上げるように指示する。

  • 11

    半側身体失認 半側身体失認とは、自己の身体の半側が認知できない状態である。左半側に出現しやすい。 障害:劣位半球頭頂葉 検査:自己の半身の存在を無視したり、使わなかったりする。その結果、半身を柱に当てたり、移乗動作において、患側上肢や下肢を置き忘れる行動をとる。

  • 12

    病態失認 病態失認とは、片麻痺の存在を認知できない状態である。半側身体失認に伴ってみられ、左片麻痺に出現しやすい。 障害:劣位半球頭頂葉 検査:麻の存在を否定したり、入院の理由がわからない。近年は、病識の欠如を指すことが多い。

  • 13

    Gerstmann 症候群 ①手指失認、②左右失認、 ③失書(自分で書字をしたり、書き取りをすることができない 状態)、④失計算(暗算や筆算ができなくなる状態)の4つの症状を伴う症候群をいう。 障害:優位半球角回

  • 14

    空間認知障害 空間失認とは、物体相互間の位置関係および物体と自己身体との関係において、外空間の認知ができない状態である。

  • 15

    視覚性空間定位障害 視覚性空間定位障害とは、外界の物体の位置の認知が困難か不可能な状態である。 障害:一側または両側の頭頂業。一側半球の病巣では、反対側の視野半分が空間、両側半球の病来では、両側空間となる。 検査:患者に何か物品を示して、その位置を確認させた後、患者に眼を閉じさせ、その物品があると思われる方向を指示させる。

  • 16

    半側空間無視 半側空間無視 (USN)とは、大半球病巣の反対側の空間の認知ができない状態である。提示された刺数に反応せず、無視しているように見える。 障害:劣位半球頭頂・後頭葉の障害による左半側空間無視が多いが、優位半球障害による右半側空間無視もある。 検査:机上テストとして、①線分2等分テスト、②分株消テスト、③図形模写、④横書き文の読みなどがある。 ①線分2等分テスト:あらかじめ印刷した横線を2等分させるか、患者自身に2点を結ぶ線分を引かせ、その線分を2等分させる。 ②線分抹消テスト:あらかじめ印刷した短い斜線に、印をつけて抹消するよう指示する。 ③図形描写:図形を示し、大きさ、形を同じように模写させる。 ④横書き文の読み:あらかじめ印刷した文章を読ませる。場所、人物、季節の情報は左側に配置する。 半側無視患者は、左側の文を読み落とすので、左側に書かれた場所、人物、季節などを質問すると、正確に答えられない。

  • 17

    地誌的障害 地誌的障害には、地誌的見当識障害と地誌的記銘力障害がある。前者は自分の家などよく知っている場所への道順がわからなくなる障害である。後者は地図上で有名な都市などの位置がわからなくなる障害である。 障害:劣位半球側頭・後頭葉

  • 18

    失行 失行とは、麻痺、失調、痙直、固縮などの運動障害がなく、また、認知面にも問題がないにもかかわらず、運動行為を正常に行うことができない状態をいう。すなわち、すべき動作を理解し、その行う対象および目的を理解していながら、手足に障害がないにもかかわらず、目的に応じて手足を動かすことができない状態である。 失行の分類は、Liepmannの古典的失行と、その後の臨床症状として認められた失行認を加えて表20ー2のようになる。 先行の評価は、検査課題の方法によって、言語指示と模倣の2つの条件で評価する。一般に模倣よりも言語指示による施行の方が困難である。

  • 19

    肢節運動失行 肢節運動失行とは、運動の企画は正常で、順序も正しく行われるが、簡単な動作の運動表象が、不能となり、運動が緩慢で、ぎこちなくなったりする状態である。 障害:左右いずれかの前運動野上部(病巣と反対側に現れる)。 症状の出現部位によって、①手指失行、②顔面失行、③歩行失行に分類される。

  • 20

    手指失行 指先の巧運動が困難になる状態である。 検査:指を机の上でビアノを叩くように、順次屈曲する運動を模倣させる。また、ボタンをはめる動作、鉛筆で字を書く動作や絵を描く動作をさせる。

  • 21

    顔面失行 自分では、笑ったり、顔をしかめたりするが、検者の指示に応じて、笑い顔を作ったり、しかめたりすることができない。 検査:眼を閉じさせたり。舌を出させたりする。

  • 22

    歩行失行 足が床に吸いついたように歩けなくなったり、床から足を大きく離すことができなくなる状態である。 検査:下肢を交互に出すように指示したり、ボールを蹴る動作を真似させる。

  • 23

    観念運動失行 観念運動失行とは、命令を理解し、実行する意志をもっていながら、指示された単純な動作の遂行が不能となる状態である。 障害:優位半球頭頂葉下部(緑上日) 検査:ジャンケンの手つきをさせたり、下肢で円や四角を描くようにさせたり、また、手で耳に触れるように指示する。

  • 24

    観念失行 観念失行とは、運動の企画ができなくなり、行為の手順がわからなくなった状態である。個々の動作は可能であるのに、目的にかなった行為はできない。 障害:優位半球頭頂葉(後方角回) 検査:日常用いられている物品を正確に使えるかをみる。例えば、コップに水を入れてむように指示する。

  • 25

    構成失行 構成失行とは、日常の会話や動作が正常にできるのに、簡単な幾何学模様、図形、三次元の図形の構成が困難になる状態である。 障害:はじめは、優劣位半球頭頂薬とされていたが、その後位半球頭頂薬の障害でも出現。ただし、劣位半球障害では、空間失認も考慮に入れる。 検査:①紙に三角、四角、円などの簡単な形や家、舟などの絵を描かせる。また。検者が描いた形を模写させる。 ②マッチ棒で三角、四角などの図形を作らせる。 ③積木の三次元の図形を模倣して作らせる。

  • 26

    着衣失行 着衣失行とは、物体失認や古典的失行がないのに、衣服を着たり、脱いたりする動作のみが困難になる状態である。 障害:劣位半球頭頂葉後部 検査:患者に着衣を脱いだり、着たりするように指示する。その動作を観察する。

  • 27

    運動維持困難 運動維持困難(MI)は高次脳機能障害の中でも比較的出現頻度が高く、リハビリテーションの重大な阻害因子の1つである。閉限、開口あるいは挺舌を維持することが困難で、しかもこれらの動作を2つ以上組み合わせて同時に行わせると、いずれかの動作が申断されてしまう現象をMIという。 障害:右(劣位)半球、Brodmamn の第6、8野を含む中大脳動脈雀流域皮質および皮質下白質。 検査:対座に対して、次の動作を行わせる。 ①目を固く閉じる(閉限)、②口を大きく開く(開日)③舌を大きく出す(挺舌)。これらの動作を 10秒以上維持することが困難(一動作維持困難症)であり、かつ①閉限と③挺舌を同時に行わせ、どちらかの動作がすぐに中断してしまう場合(二動作同時維持不能症)は陽性。「一動作維持困難症」は軽い意識障害、注意書、知的機能障害でもみられる場合があることから、「二動作同時維持不能症」で判定する。

  • 28

    失語 失語とは、正常な言語機能を獲得した後に、何らかの原因で、大脳半球に限局した器質的障害によって起こる言語障害で,発語に関する筋や末梢神経には障害がなく、知能や意識の低下もなく、聴覚障害がないにもかかわらず、言語による表現や文字の理解ができなくなる状態である。大脳機能の一つとしての言語活動の部分的または全体的な障害であり、事物の名称や概念などを言葉として表現することができず、また、耳で聞いた言葉の理解ができなくなる。 失語の分類は、大橋が表20-3のようにしている。ここでは、運動失語、感覚失語、全失語について説明する。

  • 29

    運動失語(Broca 失語) 運動失語とは、言葉の理解はできるが、自発言語が障害される状態である。自発語は非流暢、文字の音読困難で保続、喚語困難、文法障害などがみられる。 障害:優位半球下前頭回後半、弁蓋部および三角部

  • 30

    感覚失語 (Wernicke 失語) 感覚失語とは、自発言語は流暢であるが、内容は空虚で目的とする的確な言葉は困難で、言葉を理解したり、文字を理解することができない状態である。復唱、言葉の理解、読解、音読、自発書字、書き取りなどの障害がみられる。 障害:優位半球上側頭回後1/2、あるいは後1/3

  • 31

    全失語 全失語とは、すべての言語機能が障害される状態である。復唱言葉の理解、読解、音読、自発書等、書き取りなどの障害がみられる。 障害:優位半球側頭葉 Broca領域およびWernicke 領域の広汎な障害

  • 32

    言語障害の評価 簡単な言語障害の評価には、①自発言語、②自発書字、③物品呼称、④復唱、⑤指示動作の遂行、⑥音読などによる評価がある。 検査:①自発言語:名前、住所、生年月日を言わせる。 ②自発書字:名前、住所、生年月日などを書かせる。漢字と仮名の両方を検査する。漢字より仮名文字の障害が目立つ。 ③物品呼称:時計、鉛筆、ボールペン、タバコ、鍵など10品目程度を用意し、その実物を見せて、名称を言わせたり、書かせたりする。 ④復唱:単語、無意味語、数字、簡単な文章などを復唱させる。 ⑤指示動作の遂行:「右手を頭の上に上げてください」、「舌を出してください」、などと簡単な指示を与えて、その動作を行わせる。 ⑥音読:「山」「川」「はな」「うみ」「夏は雪が降る」(正否を調べる)などの漢字、仮名、文章を音読させる。

  • 33

    認知症 認知症とは、個人の以前の知的水準からの著しい減退と、しばしば併発する感情により特徴づけられる精神的荒廃状態と定義される。認知症を生ずる代表的疾患は、Alzheimer病と脳血管障害である。 理学療法では、脳血管障害による認知症患者を扱うことが多いので、認知症に伴う知能低下の評価について説明する。 知能低下が疑われるときは、①注意、②見当識、③記憶、④計算、⑤知識などについて検査する。

  • 34

    知能低下の一般的検査 注意 注意とは、外部からの環境刺激に影響されず、特異的な刺激に注意を向け続ける能力である。不注意な患者は、周囲の音や他の患者の動きに気をとられ、自分の行動に集中できない。注意深い患者は、当面自分に必要なことに集中して訓練ができる。 検査:数字の復唱テスト(即時想起:短期記憶の判定にも使用)、6-8-2、3-5-2‐9のように数字の順唱、逆唱をさせる。健常者は7桁の順唱と5桁の逆唱が可能である。

  • 35

    見当識 見当識とは、現在の自己が置かれている状況を認識する能力をいう。思者の周囲の環境について、人物、時間、場所などを尋ねる。 検査①人物:患者の家族、医者、看護師、療法士などの続柄、名前、仕事などを尋ねる。 ②時間:年月日、曜日、季節、寒暖などを尋ねる。 ③場所:患者の住所、現在いる場所などを尋ねる。

  • 36

    記憶 記憶には、記銘力と記憶力がある。 記銘力は最近の出来事を覚えている能力であり、記憶力は昔の出来事を覚えている能力である。 検査①記銘力:昨日の天気はどうであったか、朝食は何を食べたか、などをねる。 ②記憶力:自身の誕生日や歴史上の出来事を尋ねる。

  • 37

    計算 計算は、計算能力を調べる。 検査:100ー7=93、93ー7=86、86ー7=79のように100から7を引く計算がよく用いられる。

  • 38

    知識(常識) 知識とは、誰もがよく知っている事柄や出来事を尋ねる。 検査:最近のニュース、話題、有名人物などを尋ねる。

  • 39

    改訂長谷川式簡易知能評価スゲール 認知能のスクリーニングテストとしてよく使われているものに、改訂長谷川式節易知能評価スケール(HDS-R)がある。 HDS-Rは、理学療法の治療においても簡単に認知症のスクリーニングとして利用できる。このテストで出た結果だけで認知と確定することはできないが、参考資料として、治療上の注意や治療の工夫に役立てることができる。 HDS-Rは、質問数が9項目あり、1項目=年齢、2項目=日時の見当識、3項目=場所の見当識、4項目=3つの言葉の記銘、5項目=計算、6項目=数字の唱、7項目=3つの言葉の想起、8項目=5つの物品記銘、9項目=言葉の流暢さ、より成っている。 HDS-Rの評価は、満点 30点、20点以下が認知症の疑いありと評価し、認知症のスクリーニングとして用いる。