根抵当権の登記の絶対的登記事項は、極度額、債務者の氏名または名称および住所、債権の範囲である。

債権の範囲を「何工場の排液による損害賠償債権」とする根抵当権の設定の登記を申請することはできない。

根抵当権の債務者をAおよびBとし、債務者ごとに異なる債権の範囲を定めることができる。

数人が共有する根抵当権の設定の登記を申請するときは、申請情報の内容として、各共有者の持分の提供を要する。

共有者ごとに債権の範囲と債務者が異なる共有根抵当権の設定の登記を申請することができる。

共同根抵当権は、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産について根抵当権を設定した旨の登記をすることにより成立する。

甲土地および乙土地を目的としてXのために共同根抵当権の設定の登記を申請する場合、各根抵当権の極度額、債権の範囲、債務者は同一であることを要する。

共同担保である旨の登記のない甲土地と乙土地の根抵当権を、共同根抵当権とする変更の登記をすることはできない。

甲土地および乙土地に累積根抵当を設定している場合に、丙土地に根抵当権の追加設定をすることにより、甲・乙・丙の各土地を共同担保とすることができる。

甲土地および乙土地に設定した共同根抵当権を、共同担保の関係にない累積根抵当に変更することができる。

甲土地および乙土地に共同根抵当権を設定している場合、甲土地のみの追加担保として、丙土地に共同根抵当権の追加設定の登記を申請することはできない。

同一の登記所の管轄区域内にある甲土地および乙土地を目的として共同根抵当権の設定の登記を申請するときの登記の目的は、「共同根抵当権設定」である。

同一の債権を担保するために甲土地および乙土地に累積根抵当の設定仮登記をしている場合、仮登記に基づく本登記をするときに、共同担保である旨の登記をすることができる。

甲土地および乙土地で設定日付が異なる場合でも、一の申請情報により、共同根抵当権の設定の登記をすることができる。

登記の目的、登記原因および日付が同一であるときは、同一管轄にある甲土地および乙土地を目的とする累積根抵当の設定の登記を一の申請情報により申請することができる。

管轄の異なる甲土地および乙土地を目的とする共同根抵当権について、最初に甲土地の管轄登記所にその設定の登記を申請するときは、申請情報の内容となる不動産の表示は甲土地を提供すれば足り、乙土地の提供を要しない。

根抵当権の債務者の住所に変更があったときは、共同根抵当権の追加設定の登記の前提として、債務者の住所の変更の登記を申請しなければならない。

地番変更を伴わない行政区画の変更により根抵当権の債務者の住所に変更が生じているときは、債務者の住所の変更の登記をしなければ、共同根抵当権の追加設定の登記を申請することができない。

管轄の異なる不動産に共同根抵当権の追加設定の登記を申請するときは、既登記の根抵当権の記録のある登記事項証明書の提供を要する。

甲土地の根抵当権の元本が確定した後でも、それと同一の債権を担保するために、乙土地に共同根抵当権の追加設定の登記を申請することができる。

根抵当権の極度額の変更は、常に付記登記によってする。

「年月日変更」を原因とする根抵当権の極度額の変更の登記は、元本確定前に限り、申請することができる。

根抵当権の極度額を変更する契約の後に、利害関係人の承諾を得たときでも、極度額の変更の登記の登記原因日付は、契約の日である。

根抵当権の極度額を増額する変更の登記を申請するときは、後順位の抵当権者のほか、後順位の所有権の仮登記名義人の承諾を証する情報の提供を要する。

根抵当権の極度額の増額変更の登記を申請する場合、後順位の用益権者は、利害関係人に当たる。

根抵当権の極度額を減額する変更の登記を申請する場合、その根抵当権を目的とする転抵当権者は、利害関係人に当たる。

極度額の変更の登記の登録免許税は、増額変更、減額変更のいずれの場合も、不動産1個につき金1000円である。

未成年者所有の不動産に、親権者を債務者とする根抵当権の設定の登記をした後、根抵当権の極度額の増額の変更の登記を申請するときは、特別代理人の選任審判を証する情報の提供を要する。

根抵当権の債権の範囲の変更の登記は、常に付記登記によってする。

根抵当権の債権の範囲の変更の登記の申請人は、常に、根抵当権者が登記権利者、根抵当権設定者が登記義務者となる。

根抵当権の債権の範囲は、元本の確定前に限り変更することができる。

元本の確定前に根抵当権の債権の範囲を変更する合意が成立したときは、元本の確定後でも、その変更の登記を申請することができる。

元本確定前の根抵当権の債権の範囲を「A取引」から「A取引、B取引」と変更したときは、根抵当権の変更の登記の申請情報の変更後の事項として、追加したB取引のみ記載すれば足りる。

「年月日変更」を原因とする根抵当権の債務者の変更の登記は、元本の確定前に限り申請することができる。

変更により債務者が縮減することが形式的にあきらかであるときは、根抵当権の設定者が、債務者の変更の登記の登記権利者となる。

元本確定前の根抵当権の債務者を追加的に変更したときは、根抵当権の変更の登記の申請情報の変更後の事項として、変更後の債務者の全員を記載しなければならない。

未成年者を債務者兼設定者とする元本確定前の根抵当権の債務者を、未成年者からその親権者に変更することは、利益相反行為に当たる。

元本確定前の根抵当権の債務者をAからBに変更すると同時に、Aの債務をBが引き受けたときは、その債務は、根抵当権によって当然に担保される。

共同根抵当権の極度額、債権の範囲、債務者に変更があったときは、すべての不動産に変更の登記をしなければ、その効力を生じない。

甲土地および乙土地に共同根抵当権を設定した後、甲土地の根抵当権のみ債権の範囲の変更の登記をしたときは、乙土地についても変更の登記をした後でなければ、極度額の変更の登記を申請することができない。

甲土地に設定した共同根抵当権の極度額の増額変更の登記をした後、管轄の異なる乙土地の根抵当権の極度額の増額変更の登記を申請する場合において、甲土地の登記事項証明書を提供したときは、その登録免許税は金1500円となる。

甲土地に設定した根抵当権の極度額と債務者を変更した場合、その登記原因の日付が異なるときでも、一の申請情報により変更の登記を申請することができる。

元本確定前の根抵当権の債務者に相続が開始した場合において、相続の開始後6ヶ月以内に指定債務者の合意の登記をしないときは、根抵当権の元本は、相続開始後6ヶ月を経過した時に確定したものとみなされる。

元本確定前の根抵当権の債務者に相続が開始した後6ヶ月以内に指定債務者の合意をしたときは、相続開始後6ヶ月以内に合意の登記をしなくても、根抵当権の元本は確定しない。

根抵当権の債務者の相続人が1人であるときは、指定債務者の合意の登記を要しない。

根抵当権の債務者と根抵当権設定者が異なる場合、債務者に相続が開始したことによる指定債務者の合意は、根抵当権者と債務者の相続人との間でする。

根抵当権の債務者の相続による変更の登記と指定債務者の合意による変更の登記は、一の申請情報によって申請することはできない。

指定債務者の合意の登記は、相続による債務者の変更の登記をした後でなければ、申請することができない。

相続による債務者の変更の登記をしたが、指定債務者の合意の登記をしていないときは、相続開始後6ヶ月を経過する前であっても、債権の範囲の変更の登記を申請することができない。

根抵当権の債務者に相続が開始した後、合意の登記をする前に、確定期日の到来により元本が確定したときは、相続開始後6ヶ月を経過する前であっても、指定債務者の合意の登記を申請することはできない。

債務者ABのうち、Aが死亡して、その相続開始後6ヶ月以内に指定債務者の合意の登記をしなかったときは、根抵当権の元本は確定する。

債務者兼設定者のAが死亡して、Bとその親権に服する子Cが相続したため、抵当不動産にCを所有者とする相続登記をした後、Bを指定債務者とする合意をすることは、利益相反行為に当たる。

相続による債務者の変更の登記、指定債務者の合意の登記をした根抵当権と同一の債権を担保するために、共同根抵当権の追加設定の登記を申請することができる。

指定債務者の合意の登記をした後に、共同根抵当権の追加設定の登記を申請するときは、債務者として指定債務者のみを提供すればよい。

元本確定前の根抵当権の債務者に合併があったことによる債務者の変更の登記は、根抵当権者と根抵当権の設定者が共同して申請することを要する。

元本確定前の根抵当権の債務者を分割会社とする会社分割があったときは、分割契約の内容にかかわらず、債務者を分割会社および承継会社とする変更の登記を申請しなければならない。

元本の確定期日を変更した場合でも、その変更前の期日よりも前に登記をしなかったときは、根抵当権の元本は、その変更前の期日に確定する。

元本の確定期日を繰り上げる変更の登記を申請するときは、根抵当権設定者が登記権利者となる。

全部譲渡による根抵当権の移転の登記を申請するときは、申請情報と併せて、根抵当権設定者の承諾を証する情報の提供を要する。

根抵当権の全部譲渡の契約の日よりも後に、根抵当権設定者の承諾を得たときは、譲渡による根抵当権の移転の登記の登記原因日付は、承諾を得た日となる。

全部譲渡による根抵当権の移転の登記は、元本確定前でなければ申請することができない。

全部譲渡による根抵当権の移転の登記の登録免許税は、極度額に1000分の2を乗じて得た額である。

元本確定前のXの根抵当権を、その債権の範囲に属する特定債権とともに、Yが譲り受けたときは、その債権は、譲渡後のYの根抵当権によって当然に担保される。

全部譲渡による共同根抵当権の移転の登記を申請する場合に、各不動産で登記原因の日付が異なるときは、一の申請情報によって申請することができない。

根抵当権者が、根抵当権設定者の承諾を得て、元本確定前の根抵当権を一部譲渡したときは、譲受人と根抵当権を共有することとなる。

一部譲渡による根抵当権の一部移転の登記を申請するときは、申請情報の内容として、持分の提供を要しない。

一部譲渡による根抵当権の一部移転の登記の登録免許税は、極度額に1000分の2を乗じた額である。

XY共有の根抵当について、Xの債権の範囲のみを変更したときでも、申請情報の内容として、変更のないYのものも含めて債権の範囲のすべてを提供することを要する。

XY共有の根抵当について、Xの債権の範囲のみを変更したときの根抵当権の変更の登記は、Xと根抵当権設定者が共同して申請する。

転抵当権の目的となっている元本確定前の根抵当権を分割譲渡するためには、根抵当権設定者の承諾のほか、転抵当権者の承諾を要する。

転抵当の目的となっている元本確定前の根抵当権を全部譲渡するときは、根抵当権設定者の承諾のほか、転抵当権者の承諾を要する。

分割譲渡の登記の登録免許税は、分割譲渡する根抵当権の極度額に1000分の2を乗じた額である。

分割譲渡の登記は、付記登記によってする。

分割譲渡後の1番(い)根抵当権の極度額を増額するときは、1番(あ)根抵当権の根抵当権者の承諾を要しない。

1個の根抵当権を3個の根抵当権に分割して譲渡することはできない。

XYが共有する元本確定前の根抵当権を、XYが共同して、Zに一部譲渡することができる。

XYが共有する元本確定前の根抵当権のXの権利のみを、Zに分割譲渡することができる。

XYが共有する元本確定前の根抵当権について、Xがその権利を譲渡するときは、根抵当権設定者の承諾のほか、他の共有者の同意を要する。

根抵当権の共有者の一方が、その権利を放棄したことによる権利移転の登記を申請するときは、設定者の承諾および他の共有者の同意を証する情報の提供を要しない。

XY共有の根抵当を1回の申請で、X、Yそれぞれ単有の根抵当とすることができる。

元本確定前の根抵当権者に相続が開始した場合において、相続開始後6ヶ月以内に合意の登記をしないときは、根抵当権の元本は、相続開始の時に確定したものとみなされる。

根抵当権者の相続人間の遺産分割協議で、既発生の債権を相続しない旨および指定根抵当権者となる意思がない旨をあきらかにした者は、相続による根抵当権の移転の登記の申請人とならない。

根抵当権者の相続人ABCのうち、指定根抵当権者をAとする合意の登記は、Aと根抵当権設定者が共同して申請する。

元本確定前の根抵当権者に会社分割があったときは、分割契約の内容にかかわらず、会社分割を原因として、承継会社への根抵当権の一部移転の登記を申請する。

会社分割を原因として根抵当権の一部移転の登記を申請するときは、登記原因証明情報として、承継会社の登記事項証明書のほか分割契約書の提供を要する。

優先の定めの登記は、根抵当権の共有者の全員が共同して申請しなければならない。

優先の定めの登記は、主登記によってする。

優先の定めの登記をした後、根抵当権の共有者間で優先の定めを変更したときは、その変更の登記を申請することができる。

根抵当権の一部譲渡の契約と同時に、譲渡人と譲受人の間で優先の定めをしたときは、根抵当権の一部移転の登記と優先の定めの登記を一の申請情報によって申請することができる。

AからBへの根抵当権の一部移転の登記、優先の定めの登記をした後、根抵当権の一部移転の登記を抹消したときは、登記官が、優先の定めの登記を職権で抹消する。

根抵当権の元本確定の登記を申請するときは、根抵当権者が登記権利者、根抵当権設定者が登記義務者となる。

根抵当権の元本確定の登記を申請するときは、元本確定時の債権額を提供することを要しない。

根抵当権の元本の確定の登記は、付記登記によってする。

登記記録上、元本の確定があきらかであるときは、元本確定の登記を要しない。

共同根抵当権の目的である甲土地について、登記記録上、根抵当権の元本の確定があきらかであるときは、他の乙土地についても、元本確定の登記を要しない。

相続開始後6ヶ月以内に指定債務者の合意の登記をしなかったときは、相続による債務者の変更の登記をしていなくても、登記記録上、根抵当権の元本の確定があきらかとなる。

根抵当権者による差押えの登記がされているときは、元本確定の登記を要しない。

XからYへの一部譲渡による根抵当権の一部移転の登記の後、Y名義の差押えの登記がされているときは、元本確定の登記を要しない。

法人である根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたときは、元本確定の登記をしなくても、債権譲渡による根抵当権の移転の登記を申請することができる。