役員および会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。

株式会社は、役員および会計監査人が欠けた場合に備えて、補欠の役員および会計監査人を選任することができる。

補欠の役員の選任決議の効力は、決議後、最初に開催する定時株主総会の終結の時までである。

取締役、会計参与、監査役が、その任務を怠ったときは、株式会社に対して、これによって生じた損害を賠償する責任を負うが、会計監査人は、この責任を負わない。

役員等の株式会社に対する損害賠償責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

株式会社は、役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、株主総会の普通決議によって、一定額を限度として株式会社に対する損害賠償責任の一部免除をすることができる。

A社の役員等が負う責任が特定責任である場合、その責任の一部免除をするときは、A社の株主総会のほか、A社の最終完全親会社等の株主総会の特別決議を要する。

取締役会の決議等によって役員等の責任の一部免除をするためには、その旨の定款の定めがなければならない。

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定している株式会社であっても、取締役会の決議等によって役員等の責任の一部免除をすることができる旨の定款の定めを設けることができる。

株式会社が、定款の定めに基づいて、取締役会の決議により役員等の責任の一部免除をした場合、株主は、責任の免除について異議を述べることができない。

株式会社は、定款の定めがなくても、非業務執行取締役等と責任限定契約を締結することができる。

監査役設置会社でなければ、非業務執行取締役等と責任限定契約を締結することができる旨の定款の定めを設けることができない。

総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主が異議を述べたときは、株式会社は、責任限定契約に基づいて非業務執行取締役等の責任を免除することができない。

役員等がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

役員等の第三者に対する損害賠償の責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

役員が欠けた場合には、任期満了または辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

会計監査人がかけた場合、任期満了または辞任により退任した会計監査人は、新たに選任された会計監査人が就任するまで、引き続き会計監査人としての権利義務を有する。

取締役の権利義務を有する者は、その地位を辞任することができる。

取締役の権利義務を有する者を、株主総会の決議により解任することができる。

取締役の権利義務を有する者が職務の執行に関し不正の行為をしたときは、株主は、解任の訴えを提起することができる。

法人は、取締役となることができない。

未成年者は、取締役となることができない。

成年被後見人は取締役となることができないが、被保佐人は取締役となることができる。

成年被後見人であるAが取締役に選任された場合において、その成年後見人のBがAに代わって就任承諾をするときは、Aの同意を要しない。

被保佐人が取締役に就任するには、その保佐人の同意を得なければならない。

成年被後見人または被保佐人が取締役としてした行為は、行為能力の制限を理由に取り消すことはできない。

会社法の規定に違反したことにより刑に処せられ、その執行を終わった日から2年を経過しない者は、取締役となることができない。

刑法上の罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者であっても、執行猶予中の者は、取締役となることができる。

破産手続開始の決定を受け復権を得ない者は、取締役となることができない。

公開会社は、取締役の資格を株主に限定する旨を定款で定めることができない。

取締役会設置会社においては、取締役は、3人以上でなければならない。

株式会社（監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く）の取締役は、その会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない。

定款で定めることによって、役員を選任または解任する株主総会の決議の定足数を排除することができる。

定款で定めることによって、会計監査人を選任または解任する株主総会の決議の定足数を排除することができる。

解任された役員および会計監査人は、その解任について正当な理由がある場合を除いて、株式会社に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

役員の職務の執行に関し不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実があったときは、一定の要件を満たす株主は、直ちにその役員の解任の訴えを提起することができる。

役員の解任の訴えは、役員の解任議案が否決された株主総会の日から30日以内に提起しなければならない。

公開会社において、総株主の議決権の100分の3以上の議決権または発行済株式の100分の3以上の数の株式を6ヶ月前から引き続き有する株主は、役員の解任の訴えを提起することができる。

株主は、定款に定めがなければ、株式会社に対して、累積投票による取締役の選任を請求することができない。

取締役のほか、会計参与や監査役も、累積投票によって選任することができる。

株主総会の特別決議によらなければ、累積投票によって選任された取締役を解任することができない。

代表取締役以外の取締役は、取締役会設置会社の業務を執行することができない。

非取締役会設置会社においては、定款に別段の定めがある場合を除いて、各取締役が株式会社の業務を執行する。

監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社以外の取締役の任期は、就任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時に満了する。

取締役（監査等委員である取締役を除く）の任期を短縮することはできない。

非公開会社（監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く）は、定款の定めによって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができる。

取締役ごとに異なる任期を定めることはできない。

会社の設立時の取締役の任期は、会社の成立の日から起算する。

取締役が欠けた場合に備えて選任された補欠の取締役の任期は、その者が現実に就任した時から起算する。

監査等委員会を置く旨の定款の変更をした場合、取締役の任期は、定款変更の効力が生じた時に満了する。

公開会社が、株式の譲渡制限に関する定めを設ける定款の変更をして非公開会社となった場合、取締役の任期は、定款の変更の効力が生じた時に満了する。

非取締役会設置会社は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって取締役の中から代表取締役を定めることができる。

取締役会設置会社（指名委員会等設置会社を除く）は、取締役会の決議によって、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

代表取締役の権限に加えた制限は、第三者に対抗することができない。

株式会社が代表取締役以外の取締役に社長や副社長など、会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合、株式会社は、その取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。

取締役は、法令および定款、株主総会の決議を遵守し、株式会社のために忠実にその職務を行わなければならない。

取締役のほか、監査役、会計参与および会計監査人も、株式会社に対する忠実義務を負う。

非取締役会設置会社の取締役が、自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、その取引について重要な事実を開示して、株主総会の承認を受けなければならない。

取締役会設置会社であるA社所有の不動産を、A社の取締役のXに売却するときは、Xは、A社の株主総会の承認を受けなければならない。

取締役会設置会社であるA社の取締役のXの債務を、A社が保証しようとするときは、Xは、A社の取締役会の承認を受けなければならない。

会社の債務を取締役が保証することは、利益相反取引にあたる。

取締役会設置会社の監査役が自己のために会社と取引をしようとするときは、監査役は、取締役会の承認を受けなければならない。

社外取締役を置いている取締役会設置会社（指名委員会等設置会社ではないものとする。）と取締役との利益が相反する状況にあるときは、株式会社は、その都度、株主総会の決議によって、株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。

株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるため、社外取締役が、取締役会の決議による委託を受けて株式会社の業務を執行したときは、その社外取締役は社外性を失う。

株式会社の支配人は、その許可を受けなければ自ら営業を行うことができないが、許可がなくても、他の会社の使用人となることはできる。

株式会社の支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する。

支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

会社の本店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、相手方が悪意である場合を除いて、本店の事業に関し、一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有するものとみなされる。

支配人が死亡したときは、支配人の代理権は消滅する。

支配人を選任した商人が死亡したときは、支配人の代理権は消滅する。

取締役が会社の承認を受けずに競業取引をしたときは、その取引によって取締役または第三者が得た利益の額は、株式会社に対する損害の額とみなされる。

利益相反取引によって株式会社に損害が生じたときは、利益相反取引をした取締役のほか、その取引をすることを決定した取締役も、任務を怠ったものと推定される。

自己のために株式会社と利益相反取引をした取締役は、それによって生じた会社に対する損害賠償責任について、任務を怠ったことが自己の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。

取締役が自己のために会社と利益相反取引をしたことによって生じた株式会社に対する損害賠償責任は、株主総会の特別決議によって、その一部を免除することができる。

株主等の権利の行使に関し、違法に財産上の利益の供与がされた場合、利益供与をした取締役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、会社に対して、供与した利益の価額に相当する額の支払義務を負わない。

株主の権利行使に関する利益供与があった場合の取締役の会社に対する責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

分配可能額を超えて剰余金の配当が行われた場合に、違法配当に関する職務を行った業務執行取締役が負う金銭の支払義務は、行為時の分配可能額を限度として、総株主の同意により免除することができる。

取締役会設置会社が、補償契約の内容を決定するためには、株主総会の決議によらなければならない。

株式会社は、取締役との間の補償契約において、取締役の職務の執行に関し、株式会社に生じた損害を取締役が賠償することにより生じる損失の全部を、株式会社が補償することを定めることができる。

株式会社は、取締役との間の補償契約において、取締役の職務の執行に関し、第三者に生じた損害を取締役が賠償することにより生じる損失の全部または一部を、株式会社が補償することを定めることができる。

株式会社が取締役と補償契約を締結しているときは、取締役がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったことによって第三者に対する損害賠償の責任を負う場合であっても、株式会社は、補償契約に基づいて、第三者への損害を取締役が賠償することにより生ずる損失の全部を補償することができる。

株式会社が取締役と補償契約を締結している場合であっても、株式会社が第三者への損害を賠償するとすれば、その取締役が株式会社に対して任務懈怠責任を負うときは、株式会社は、補償契約に基づいて、取締役が第三者への損害を賠償することにより生ずる損失のうち、任務懈怠責任に係る部分の費用を補償することができない。

取締役会設置会社であるかどうかにかかわらず、補償契約に基づく補償をした取締役及び補償を受けた取締役は、遅滞なく、その補償についての重要な事実を株主総会に報告しなければならない。

取締役会設置会社である甲株式会社とその取締役Aとの間で補償契約を締結することは利益相反取引に当たるため、Aは、補償契約の締結につき重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければならない。

取締役会設置会社が、役員等賠償責任保険契約の内容を決定するためには、株主総会の決議によらなければならない。

株式会社が保険者との間で締結する保険契約のうち、役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと、または、その責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が填補することを約するものであって、取締役を被保険者とするものを締結することは、会社と取締役との間の利益相反取引に当たる。

株式会社が、保険者との間で、取締役会の決議によってその内容を定めた役員等賠償保険契約を締結するときは、自己契約および双方代理等を規定した民法108条は適用されない。

監査役設置会社である株式会社が取締役に対して訴えを提起するときは、監査役が、監査役設置会社を代表する。

取締役会および監査役を設置しない株式会社が取締役に対して訴えを提起する場合、株主総会は、その訴えについて株式会社を代表する者を定めることができる。

監査役設置会社ではない取締役会設置会社が、取締役に対して訴えを提起する場合、株主総会で定めた者がいるときでも、取締役会が、株式会社を代表する者を定めることができる。

監査役を設置しない株式会社が取締役に対して訴えを提起する場合において、株主総会または取締役会で定める者がいないときは、代表取締役が株式会社を代表する。

1株のみ有する株主は、取締役の行為の差止請求をすることができない。

公開会社（監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く）の取締役が法令に違反する行為をしたことによって、株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、6ヶ月前から引き続き株式を有する株主は、取締役に対して、その行為をやめることを請求することができる。

取締役の報酬や賞与等についての必要な事項は、定款または株主総会の決議によって定める。

株式会社は、その募集株式または募集新株予約権を取締役の報酬等とすることを定めることができない。

指名委員会等設置会社以外の株式会社が、その募集株式を取締役の報酬等とするときは、定款または株主総会の決議によって、報酬等として与える募集株式の数を定めなければならない。

監査等委員会設置会社の取締役会は、監査等委員である取締役以外の取締役の個人別の報酬等の内容が定款によって定められているときであっても、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を決定しなければならない。

取締役会設置会社（指名委員会等設置会社を除く）であっても、定款で定めることにより、株主総会の決議によって代表取締役を選定することができる。