国家権力が、個人がいかなる思想を抱いているかについて強制的に調査することは、当該調査の結果に基づき、個人に不利益を課すことがなければ、思想及び良心の自由を侵害するものではない。
×
企業が、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、特定の思想、信条を有する者の雇い入れを拒むことは許されないから、労働者の採否決定に当たり、その者から在学中における団体加入や学生運動参加の有無について申告を求めることは、公序良俗に反し、許されない。
×
市立小学校の校長が、音楽専科の教諭に対し、入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令は、そのピアノ伴奏行為は当該教諭が特定の思想を有するということを外部に表明する行為と評価されることから、当該教諭がこれを明確に拒否している場合には、当然に思想及び良心の自由を侵害するものであり、憲法第19条に違反する。
×
特定の学生運動の団体の集会に参加した事実が記載された調査書を、公立中学校が高等学校に入学者選抜の資料として提供することは、当該調査書の記載内容によって受験者本人の思想や信条を知ることができ、当該受験者の思想、信条自体を資料として提供したと解されることから、憲法第19条に違反する。
×
他者の名誉を毀損した者に対して、謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを裁判所が命じることは、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、その者の良心の自由を侵害するものではないから、憲法第19条に違反しない。
○
著作者は、自らの著作物を公立図書館が購入することを法的に請求することができる地位にあるとは解されないし、その著作物が公立図書館に購入された場合でも、当該図書館に対し、これを閲覧に供する方法について、著作権又は著作者人格権等の侵害を伴う場合は格別、それ以外には、法律上何らかの具体的な請求ができる地位に立つものではない。
×
民事訴訟法は、職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合には、証人は証言を拒むことができると規定しているところ、ここにいう「職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え、以後その遂行が困難になるものをいう。もっとも、ある秘密が、このような意味での職業の秘密にあたる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められる。
○
少年事件情報の中の加害少年本人を推知させる事項についての報道、すなわち少年法に違反する推知報道かどうかは、その記事等により、不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知することができるかどうかを基準にして判断するのではなく、本人と面識があり、又は本人の履歴情報を知る者が、その知識を手掛かりに当該記事等が本人に関するものであると推知できることができるかどうかを基準に判断すべきである。
×
インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の方法による表現行為の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、刑法に規定する名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって、より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではない。
○
表現の自由が自己実現及び自己統治の価値に資する極めて重要な権利であることに鑑み、出版物の頒布等の事前差止めは、その対象である評価・批判等の表現行為が公務員又は公職選挙の候補者に対するものであるか私人に対するものであるかにかかわらず、当該内容が真実でない場合又は専ら公益を図る目的でないことが明白である場合を除き、許されない。
×
労働基本権の権利主体は勤労者であり、勤労者とは、労働組合法上の労働者、すなわち職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者を指す。したがって、公務員は勤労者に含まれるが、現に職を持たない失業者は勤労者に含まれない。
×
労働基本権は、社会権として、国に対して労働者の労働基本権を保障する立法その他の措置を要求する権利であると同時に、自由権として、団結や争議行為を制限する立法その他の措置を国に対して禁止するという意味を持つ。また、労働基本権は私人間の関係にも直接適用される。
○
労働協約により、労働組合に加入しない労働者又は組合員でなくなった労働者の解雇を使用者に義務づけるユニオン・ショップ協定は、労働者の団結しない自由を侵害するものであるから、有効なものとはなり得ない。
×
憲法第28条による労働者の団結権保障の効果として、労働組合は、その目的を達成するために、組合員に対する統制権を有しているが、この統制権が及ぶのは、労働組合の経済的活動の範囲内に限られており、労働組合の政治的・社会的活動には及ばない。
×
憲法第28条は団体行動をする権利を保障しており、団体行動とはストライキその他の争議行為をいう。労働組合が同条によって保障される正当な争議行為を行った場合、刑事責任は免責されるが、民事上の債務不履行責任や不法行為責任は免責されない。
×
常会、臨時会及び特別会の会期は、それぞれ召集の都度、両議員一致の議決で定めなければならない。
×
常会、臨時会及び特別会の会期は、両議員一致の議決で延長することができるが、いずれの場合も、会期の延長ができる回数についての制限はない。
×
特別会は、衆議院の解散による総選挙の日から30日以内に召集されるが、その招集の時期が常会の召集時期と重なる場合には、常会と併せて召集することができる。
○
国会の会期中に議決に至らなかった案件は、原則として後会に継続しない。これを会期不継続の原則といい、憲法上明文で規定されている。
×
国会は、会期が満了すれば閉会となり、会期中に期間を定めて一時その活動を休止することはあっても、会期の満了を待たずに閉会することはない。
×
憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものであることを、憲法は明文で規定している。
○
憲法第98条第1項により、憲法に違反する法律は、原則として当初から無効であり、また、これに基づいてされた行為の効力も否定されるべきものであると解されるため、投票価値の不平等が憲法の選挙権の平等の要求に反する程度となっていた議員定数配分規定の下における選挙は無効であるとするのが判例である。
×
憲法第98条第1項にいう「国務に関するその他の行為」とは、国の行う全ての行為を意味し、国が行う全ての行為を意味し、国が行う行為であれば、私法上の行為もこれに含まれるのであって、国が私人と対等の立場で行った売買契約も「国務に関するその他の行為」に該当するとするのが判例である。
×
わが国が締結した条約が、主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有する場合、その合憲性の判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査にはなじまない性質のものであり、裁判所の司法審査の対象とはなり得ないとするのが判例である。
×
憲法は、憲法の最高法規としての性格に鑑み、天皇又は摂政並びに国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員及び一般国民について、憲法を尊重し擁護する義務を負うことを明文で規定している。
×
随意契約によることができる場合として法令に列挙された事由のいずれにも該当しないのに随意契約の方法により締結された契約は、違法というべきことが明らかであり、私法上も当然に無効になるとするのが判例である。
×
給水契約は、水道事業者である行政主体が私人と対等の地位において締結する私法上の契約であることから、行政主体は、契約自由の原則に基づき、自らの宅地開発に関する指導要綱を遵守させるための手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、当該指導要綱に従わない建設会社らとの給水契約の締結を自由に拒むことができるとするのが判例である。
×
廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく都道府県知事の許可を受けた処分業者は、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではないとするのが判例である。
○
指名競争入札を実施するに当たり、地方公共団体である村が、法令の趣旨に反する運用基準の下で形式的に村外業者に当たると判断した事業者を、そのことのみを理由として、他の条件いかんにかかわらず、およそ一切の工事につき指名せず指名競争入札に参加させない措置を採ったとしても、社会通念上著しく妥当性を欠くものまではいえず、裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえないとするのが判例である。
×
公共施設等を効率的かつ効果的に整備するとともに、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保するため、行政機関は、公共施設等に係る建設、製造、改修、維持管理、運営などの事業を民間事業者に実施させることができるが、これらの事業を特定の事業者に一括して委ねることは認められておらず、各事業ごとに事業者を選定し、個別に契約を締結する必要がある。
×
直接強制は、行政上の義務者の身体又は財産に直接強制力を行使して義務の履行があった状態を実現するものであり、その性質上、法令の根拠が必要であるが、条例は住民の代表機関である議会によって制定されたものであるから、条例を根拠として直接強制を行うことができると一般に解されている。
×
執行罰は、行政上の義務者に一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しない場合にこれを強制的に徴収するものであるが、相手方が義務を履行するまで反復して執行罰を課すことは、二重処罰を禁止した憲法の趣旨に照らし、許されない。
×
農業共済組合が、法律上特に独自の強制徴収の手段を与えられながら、この手段によることなく、一般私法上の債権と同様、訴えを提起し、民事執行の手段によって債権の実現を図ることは、当該法律の立法趣旨に反し、公共性の強い農業共済組合の権能行使の適正を欠くものとして、許されないとするのが判例である。
○
行政代執行をなし得るのは、原則として代替的作為義務であるが、非代替的作為義務であっても、他の手段によって履行を確保することが困難であり、かつ、不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、例外的に行政代執行をなし得ることが行政代執行法上定められている。
×
行政代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、いつでもこれを呈示しなければならない。
○
出訴期間の制度は、行政法関係の早期安定の要請に基づくものであり、その機関をどのように定めるかは立法者の幅広い裁量に委ねられているので、具体的な出訴期間の長さが憲法上問題となることはないとするのが判例である。
×
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6ヶ月を経過したときは提起することができず、処分または裁決の日から1年を経過したときも同様である。ただし、いずれの場合においても、正当な理由があるときは、出訴期間経過後の訴えの提起が認められる。
○
出訴期間を徒過し、取消訴訟を提起することができなくなった場合、これにより法律関係が実体的に確定するので、その後に処分庁である行政庁が職権により処分又は裁決を取り消すことはできない。
○
行政事件訴訟法の出訴期間の規定における「正当な理由」には、災害、病気、怪我等の事情のほか、海外旅行中や多忙であったといった事情も含まれると一般に解されている。
×
行政処分の告知が個別の通知ではなく告示によることが法律上定められている場合であっても、出訴期間は、告示が適法になされた日ではなく、当事者が処分があったことを現実に知った日から計算される。
×
取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、当該処分又は裁決を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は請求を棄却することができる。ただし、裁判所は、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
○
いわゆる事情判決が行われた場合について、行政事件訴訟特例法においては、原告による損害賠償の請求を妨げない旨の定めがあったが、現行の行政事件訴訟法においては、特別の定めはしておらず、損害賠償の請求は認められていない。
×
処分又は裁決を取り消す判決が第三者に対して効力を有することとなると、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができず、判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかった第三者の権利義務を侵害することとなるため、行政事件訴訟法は判決のこのような効力を否定している。
×
申請に基づいてした処分が、手続に違法があることを理由として判決により取り消されたときは、その処分をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
○
土地課税台帳法に登録された基準年度の土地の価格についての審査決定の取消訴訟において、裁判所は、審理の結果、基準年度に係る賦課期日における当該土地の適正な時価等を認定し、固定資産評価審査委員会の認定した価格がその適正な時価等を上回っていることを理由として審査決定を取り消す場合には、納税者がその一部の取消しを求めているときであっても、当該審査決定の全部を取り消す必要があるとするのが判例である。
×
公務員が、客観的に職務執行の外形を備える行為によって他人に被害を生ぜしめた場合において、当該公務員が自己の職務権限を行使する意思を有していたときは、国又は公共団体は損害賠償責任を負うが、当該公務員が自己の利を図る意図を有していたにすぎないときは、国又は公共団体は損害賠償責任を負わない。
×
国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができない。
○
逮捕状は発付されたが、被疑者が逃亡中のため、逮捕状の執行ができず、逮捕状の更新が繰り返されている時点であっても、被疑者の近親者は、被疑者のアリバイの存在を理由に、逮捕状の請求、発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があったとする判断の違法性を主張して、国家賠償を請求することができる。
×
国家議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法第1条第1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、当該責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることが必要である。
○
都道府県が行った児童福祉法に基づく入所措置によって社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童に対する当該施設の職員による養育監護行為については、当該施設の職員が都道府県の職員ではない以上、都道府県の公権力の行使に当たる公務員の職務行為と解することはできない。
×
民法は、法人の設立、組織、運営及び管理についてはこの法律の定めるところによると規定しており、法人制度全体の原則規定だけでなく、法人の管理、解散等に係る一般的な規定は全て同法で定められている。
×
いわゆる権利能力のない社団の資産は、その社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであって、社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから、社団の資産たる不動産についても、社団はその権利主体となり得るものではなく、したがって、登記請求権を有するものではないとするのが判例である。
○
およそ社団法人において法人とその構成員たる社員とが法律上別個の人格であることはいうまでもなく、このことは社員が1人である場合も同様であることから、法人格が全くの形骸にすぎない場合、又はそれが法律の適用を回避するために濫用されるような場合においても、法人格を否認することはできないとするのが判例である。
×
税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するため、税理士会が政治資金規制法上の政治団体に金員の寄付をすることは、税理士会は税理士の入会が間接的に強制されるいわゆる強制加入団体であることなどを考慮してもなお、税理士会の目的の範囲内の行為といえるから、当該寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は無効とはいえないとするのが判例である。
×
会社による政党への政治資金の寄付は、一見会社の定款所定の目的と関わりがないものであるとしても、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる限りにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとすることを妨げないとするのが判例である。
○
賃貸借契約に基づき、Aが自己の所有物をBに賃貸した場合、BがAの代理人として占有することにより、Aは本人として占有権を取得するが、当該賃貸借契約が無効となったときには、Bの代理権の消滅により、Aの占有権は消滅する。
×
善意の占有者は、占有物から生じる果実を取得することができるが、本権の訴えにおいて敗訴した場合は占有開始時から悪意の占有者とみなされるため、占有開始時から収取した果実を返還しなければならない。
×
相続人が、被相続人の死亡により相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始し、その占有に所有の意思はあるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも、相続人は、民法第185条にいう新たな権原により当該相続財産の自主占有をするに至ったものと解される。
○
占有権に基づく訴えに対し、所有権者が防御方法として自己の所有権の主張をすることは認められないが、所有権者が所有権に基づく返還請求の反訴を提起することは認められる。
○
占有権は占有者が占有物の所持を失うことにより消滅するが、占有者は、占有回収の訴えを提起すれば、現実にその物の占有を回復しなくても、現実に占有しなかった間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制される。
×
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しないが、後順位抵当権者及び抵当目的物の第三取得者に対しては、被担保債権と離れて単独に20年の消滅時効にかかる。
○
債権者が抵当権を実行する場合において、物上保証人が、債務者に弁済をする資力があり、かつ、債務者の財産について執行をすることが容易であることを証明したときは、債権者は、まず、債務者の財産について執行しなければならない。
×
抵当権は、その目的物の賃貸によって債務者が受けるべき賃料についても行使することができるところ、この「債務者」には抵当権設定・登記後に抵当不動産を賃借した者も含まれると解すべきであるから、抵当権設定・登記後に抵当不動産を賃借した者が賃貸人の同意を得て転貸借を行っていた場合、抵当権者は、抵当不動産を賃借した者が取得すべき転貸賃料についても、原則として物上代位権を行使することができる。
×
抵当権設定・登記後に抵当不動産の所有者から賃借権の設定を受けてこれを占有する者について、その賃借権の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該賃貸借契約の賃料相当額の損害が生じたとして、抵当権侵害による不法行為に基づく損害賠償請求をすることができる。
×
不動産の取得時効完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を完了した場合は、所得県移転登記よりも抵当権設定登記が先になされている以上、当該不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、当該抵当権は消滅しない。
×
民法第388条は土地または建物のいずれか一方のみに抵当権が設定された場合を規定するものであり、同一の所有者に属する土地およびその上に損する建物が同時に抵当権の目的となった場合には、同条は適用されず、法定地上権は成立しない。
×
Aが所有する土地に抵当権が設定・登記された当時、当該土地上に建物が存在せず、更地であった場合には、その後、当該土地上にA所有の建物が築造され、抵当権の実行により当該土地がBに競落されたとしても、原則として、法定地上権は成立しない。
○
AとBが共有する土地の上にAの所有する建物が存在する場合において、Aが当該土地の自己の共有持分に抵当権を設定・登記し、これが実行されて当該土地がCに競落されたときは、Bの意思にかかわらず、法定地上権が成立する。
×
土地の所有者Aが当該土地上の建物をBから譲り受けたが、当該建物の所有権移転登記を経由しないまま当該土地に抵当権が設定・登記された場合において、抵当権の実行により当該土地がCに競落された場合には、法定地上権は成立しない。
×
Aが所有する土地に一番抵当権が設定・登記された当時、当該土地上の建物をBが所有していた場合には、その後、Aが当該建物をBから譲り受け、当該土地に後順位抵当権が設定・登記されたとしても、一番抵当権が実行され、当該土地がCに競落されたときは、法定地上権は成立しない。
○
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その1人からまたはその1人に対してすることができ、また、解除権が当事者のうちの1人について消滅しても、他の者については消滅しない。
×
契約または法律の規定により当事者の一方が解除権を有する場合は、その解除は、相手方に対する意思表示によってするが、解除に条件をつけることは認められないことから、当事者の一方はその債務を履行しないときに、履行の催告をすると同時に、相当の期間内に履行しないならば解除する旨の意思表示をすることはできない。
×
解除権の行使について期間の定めがない場合は、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は消滅する。
○
当事者の一方がその解除権を行使した場合は、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。また、解除前の第三者に対しては、原状回復義務を理由としてその権利を害することはできないが、当該第三者が解除原因を知っているときには保護されない。
×
不動産を目的とする売買契約に基づき買主に移転した所有権が解除によって遡及的に売主に復帰した場合において、売主は、その所有権取得の登記を了しなければ、その契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗することができない。
×
受任者は、委任者が報酬の支払義務を負わない旨の特約がない限り、委任者に報酬の支払いを請求することができるが、原則として、委任事務を履行した後でなければ、報酬の支払いを請求することができない。
×
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立するが、当該承諾は書面によって行わなければならない。
×
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができるが、当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をした場合には、やむを得ない事由があっても、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。
×
弁護士に法律事務の交渉を委託する委任が解除された場合、受任者である弁護士は、法律事務の交渉の相手方に当該委任が解除された旨を通知しなければならず、その通知をしないときは、委任が解除されたことをその相手方が知るまでの間、委任の義務を負う。
×
受任者が委任者に引き渡すべき金銭や委任者の利益のために用いるべき金銭を自己のために消費した場合には、受任者は、消費した日以後の利息を支払わなければならず、さらに利息以上の損害があるときには、その賠償責任も負う。
○
嫡出でない子との間の親子関係について、父子関係は父の認知により生ずるが、母子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する。
○
認知者が、血縁上の父子関係がないことを知りながら、自らの意思に基づいて認知をした後、血縁上の父子関係がないことを理由に当該認知の無効を主張することは、被認知者の地位を不安定にすることから、認められない。
×
婚姻前にすでに内縁関係にあり、内縁成立後200日を経過している場合であっても、婚姻成立後200日以内に出生した子については、嫡出子としての推定を受けないことから、父が子の嫡出性を争う場合には、嫡出否認の訴えではなく、父子関係不存在確認の訴えによる。
○
配偶者のある者が未成年者を養子にする場合は、配偶者とともにこれをしなければならないことから、夫婦の一方の意思に基づかない縁組の届け出が成されたときには、縁組の意思を有する他方の配偶者と未成年者との間では縁組が有効に成立することはない。
×
親権者自身が金員を借り受けるに当たり、その賃金債務のために子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、当該借受金をその子の養育費に充当する意図であったとしても、民法第826条にいう利益相反行為にあたる。
○
C.L.バーナードは、成立した組織が存続するための条件として有効性と能率を挙げた。有効性とは組織の共通目的を達成できる程度のことであり、能率とは組織に参加する個人から十分な貢献を確保できる程度のことである。また、個人からの貢献を確保するためには、組織は個人の動機を満たすだけの誘因を提供する必要があるとした。
○
F.W.テイラーは、米国の工場で問題となっていた自然的怠業に焦点を当てて改善に取り組んだ。彼は、各作業者のモチベーションの維持のためには、各作業者自身に1日で達成する作業量の目標を設定させ、目標を達成できた場合には、見返りとして、名声やより高い職位などの金銭以外の報酬を与えることが必要であるとした。
×
J.H.ファヨールは、1960年代に『産業ならびに一般の管理』の中で、管理的職能は、①計画すること(Plan)、②行動すること(Do)、③評価すること(Check)、④改善すること(Action)の4つの要素で構成されるとした。また、彼は上記の管理の要素は①から④の順に繰り返し実施されることを指摘し、このサイクルを「PDCAサイクル」と呼んだ。
×
J.G.マーチ、J.P.オルセンらは、現実の組織的意思決定を分析する枠組みとして、ごみ箱モデルを提唱した。このモデルでは解決すべき問題がゴミ箱のような役割を果たし、そこに選択機会や意思決定者のエネルギーなどが順序立てて投げ込まれる。そして、ゴミ箱の容量とは無関係に、解が1つ投げ入れられた時点で意思決定が行われるとした。
×
モジュラー型アーキテクチャの製品においては、部品間のインターフェースが事前に標準化されておらず開発活動の過程で各部品の最適設計を行えるが、部品間の相互依存性が高いため、1990年代にT.J.アレンが存在を明らかにしたゲート・キーパーによる社内調整活動が不可欠となる。
×
W.J.アバナシーとJ.M.アッターバックは、イノベーションを製品イノベーションと工程イノベーションの二つに分類し、両者の発生頻度の組み合わせに応じて産業の発展段階を流動期、固定期、以降期の3つに分けた。彼らは、ドミナント・デザインの登場によって産業の発展段階が移行期から固定期へと推移し、また、固定期では工程イノベーションの発生頻度が増大していくとした。
×
ある製品がその利用者に与える満足の程度を表す「総合品質」を規定する2種類の品質のうち、「設計品質」は設計図面に定められている機能や外観、性能のとおりに製品が作られているかどうかの程度を表し、「適合品質」は製品の設計図面が法令や規制に準拠しているかどうかの程度を表している。
×
米国フォード社は、1920年代までに確立されたフォード・システムと呼ばれる自動車の大量生産方式において、セル生産方式と汎用性のある工作機械の導入によって生産性を向上させた。このため需要量や品種の変動に柔軟に対応できなくなるという生産性のジレンマに陥ることなく、米国ゼネラル・モーターズ社のフルライン戦略に直面した後も市場シェアを長期間維持できた。
×
H.W.チェスブロウは、自社内と社外のアイデアや技術・知識を有機的に結合させ、新たな価値を創造する活動をオープン・イノベーションと呼んだ。オープン・イノベーションにより、社外のアイデアや技術を見つけて活用することや、自社で有効に活用できない研究成果については他社に譲渡して利益を得ることなども可能となる。
○
1960年代にH.I.アンゾフは、実現された戦略は、①事前に計画された戦略と、②当初は意図されていなかった事象への対応が集積されることにより形成される企業行動の一貫性やパターンである創発的戦略、の2つから構成されると主張し、後者の類型として市場浸透、市場開拓、製品開発の3つがあるとした。
×
R.P.ルメルトが提唱した取引コスト理論によると、ある部品を自社で製造(内製)するのか外部から購入(外注)するのかを決定する際の取引コストは、専ら取引費用という当該部品の購入代金として支払う金額により定まり、情報収集や契約条件などの市場取引に固有のコストは考慮されない。
×
市場の成長の鈍化や縮小が起こる製品ライフサイクルの成熟期では、競合他社は複数存在するため、それまでに獲得した市場シェアを防衛することや、商品力の強化及び差別化を推進して自社製品に対するブランドの評価をより高めることが重点課題となる。
○
1990年代にハーバード大学が中心となり実施されたPIMS研究の成果によれば、相対的市場シェアが高いほど投資利益率(ROI)が低くなるという関係が示されており、その理由として、市場シェアが高まるほど相対的品質(顧客が知覚する商品品質)が低下してしまうため高水準の価格を維持できなくなることを挙げている。
×
ポジショニング・アプローチの観点からJ.B.バーニーが提唱したVRIOフレームワークは、企業に競争優位をもたらす資源の特徴として、①購入価格が高いこと、②稀少であること、③他社による模倣が困難であること、④事業機会に恵まれていること、という4つの条件を挙げた。
×
海外市場への対応方法として、各国市場の需要状況に合わせた製品を供給する「標準化」と、できる限り共通化された製品を各国に供給する「現地化」の2つがある。C.K.プラハラードらは、前者に関連するグローバル統合の程度と、後者に関連するローカル適応の程度という二軸を用いた枠組みとしてIーRグリッドを提唱し、両者ともに高い水準で達成可能な組織を「グローバル型組織」と呼んだ。
○
国家権力が、個人がいかなる思想を抱いているかについて強制的に調査することは、当該調査の結果に基づき、個人に不利益を課すことがなければ、思想及び良心の自由を侵害するものではない。
×
企業が、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、特定の思想、信条を有する者の雇い入れを拒むことは許されないから、労働者の採否決定に当たり、その者から在学中における団体加入や学生運動参加の有無について申告を求めることは、公序良俗に反し、許されない。
×
市立小学校の校長が、音楽専科の教諭に対し、入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令は、そのピアノ伴奏行為は当該教諭が特定の思想を有するということを外部に表明する行為と評価されることから、当該教諭がこれを明確に拒否している場合には、当然に思想及び良心の自由を侵害するものであり、憲法第19条に違反する。
×
特定の学生運動の団体の集会に参加した事実が記載された調査書を、公立中学校が高等学校に入学者選抜の資料として提供することは、当該調査書の記載内容によって受験者本人の思想や信条を知ることができ、当該受験者の思想、信条自体を資料として提供したと解されることから、憲法第19条に違反する。
×
他者の名誉を毀損した者に対して、謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを裁判所が命じることは、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、その者の良心の自由を侵害するものではないから、憲法第19条に違反しない。
○
著作者は、自らの著作物を公立図書館が購入することを法的に請求することができる地位にあるとは解されないし、その著作物が公立図書館に購入された場合でも、当該図書館に対し、これを閲覧に供する方法について、著作権又は著作者人格権等の侵害を伴う場合は格別、それ以外には、法律上何らかの具体的な請求ができる地位に立つものではない。
×
民事訴訟法は、職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合には、証人は証言を拒むことができると規定しているところ、ここにいう「職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え、以後その遂行が困難になるものをいう。もっとも、ある秘密が、このような意味での職業の秘密にあたる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められる。
○
少年事件情報の中の加害少年本人を推知させる事項についての報道、すなわち少年法に違反する推知報道かどうかは、その記事等により、不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知することができるかどうかを基準にして判断するのではなく、本人と面識があり、又は本人の履歴情報を知る者が、その知識を手掛かりに当該記事等が本人に関するものであると推知できることができるかどうかを基準に判断すべきである。
×
インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の方法による表現行為の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、刑法に規定する名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって、より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではない。
○
表現の自由が自己実現及び自己統治の価値に資する極めて重要な権利であることに鑑み、出版物の頒布等の事前差止めは、その対象である評価・批判等の表現行為が公務員又は公職選挙の候補者に対するものであるか私人に対するものであるかにかかわらず、当該内容が真実でない場合又は専ら公益を図る目的でないことが明白である場合を除き、許されない。
×
労働基本権の権利主体は勤労者であり、勤労者とは、労働組合法上の労働者、すなわち職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者を指す。したがって、公務員は勤労者に含まれるが、現に職を持たない失業者は勤労者に含まれない。
×
労働基本権は、社会権として、国に対して労働者の労働基本権を保障する立法その他の措置を要求する権利であると同時に、自由権として、団結や争議行為を制限する立法その他の措置を国に対して禁止するという意味を持つ。また、労働基本権は私人間の関係にも直接適用される。
○
労働協約により、労働組合に加入しない労働者又は組合員でなくなった労働者の解雇を使用者に義務づけるユニオン・ショップ協定は、労働者の団結しない自由を侵害するものであるから、有効なものとはなり得ない。
×
憲法第28条による労働者の団結権保障の効果として、労働組合は、その目的を達成するために、組合員に対する統制権を有しているが、この統制権が及ぶのは、労働組合の経済的活動の範囲内に限られており、労働組合の政治的・社会的活動には及ばない。
×
憲法第28条は団体行動をする権利を保障しており、団体行動とはストライキその他の争議行為をいう。労働組合が同条によって保障される正当な争議行為を行った場合、刑事責任は免責されるが、民事上の債務不履行責任や不法行為責任は免責されない。
×
常会、臨時会及び特別会の会期は、それぞれ召集の都度、両議員一致の議決で定めなければならない。
×
常会、臨時会及び特別会の会期は、両議員一致の議決で延長することができるが、いずれの場合も、会期の延長ができる回数についての制限はない。
×
特別会は、衆議院の解散による総選挙の日から30日以内に召集されるが、その招集の時期が常会の召集時期と重なる場合には、常会と併せて召集することができる。
○
国会の会期中に議決に至らなかった案件は、原則として後会に継続しない。これを会期不継続の原則といい、憲法上明文で規定されている。
×
国会は、会期が満了すれば閉会となり、会期中に期間を定めて一時その活動を休止することはあっても、会期の満了を待たずに閉会することはない。
×
憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものであることを、憲法は明文で規定している。
○
憲法第98条第1項により、憲法に違反する法律は、原則として当初から無効であり、また、これに基づいてされた行為の効力も否定されるべきものであると解されるため、投票価値の不平等が憲法の選挙権の平等の要求に反する程度となっていた議員定数配分規定の下における選挙は無効であるとするのが判例である。
×
憲法第98条第1項にいう「国務に関するその他の行為」とは、国の行う全ての行為を意味し、国が行う全ての行為を意味し、国が行う行為であれば、私法上の行為もこれに含まれるのであって、国が私人と対等の立場で行った売買契約も「国務に関するその他の行為」に該当するとするのが判例である。
×
わが国が締結した条約が、主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有する場合、その合憲性の判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査にはなじまない性質のものであり、裁判所の司法審査の対象とはなり得ないとするのが判例である。
×
憲法は、憲法の最高法規としての性格に鑑み、天皇又は摂政並びに国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員及び一般国民について、憲法を尊重し擁護する義務を負うことを明文で規定している。
×
随意契約によることができる場合として法令に列挙された事由のいずれにも該当しないのに随意契約の方法により締結された契約は、違法というべきことが明らかであり、私法上も当然に無効になるとするのが判例である。
×
給水契約は、水道事業者である行政主体が私人と対等の地位において締結する私法上の契約であることから、行政主体は、契約自由の原則に基づき、自らの宅地開発に関する指導要綱を遵守させるための手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、当該指導要綱に従わない建設会社らとの給水契約の締結を自由に拒むことができるとするのが判例である。
×
廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく都道府県知事の許可を受けた処分業者は、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではないとするのが判例である。
○
指名競争入札を実施するに当たり、地方公共団体である村が、法令の趣旨に反する運用基準の下で形式的に村外業者に当たると判断した事業者を、そのことのみを理由として、他の条件いかんにかかわらず、およそ一切の工事につき指名せず指名競争入札に参加させない措置を採ったとしても、社会通念上著しく妥当性を欠くものまではいえず、裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえないとするのが判例である。
×
公共施設等を効率的かつ効果的に整備するとともに、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保するため、行政機関は、公共施設等に係る建設、製造、改修、維持管理、運営などの事業を民間事業者に実施させることができるが、これらの事業を特定の事業者に一括して委ねることは認められておらず、各事業ごとに事業者を選定し、個別に契約を締結する必要がある。
×
直接強制は、行政上の義務者の身体又は財産に直接強制力を行使して義務の履行があった状態を実現するものであり、その性質上、法令の根拠が必要であるが、条例は住民の代表機関である議会によって制定されたものであるから、条例を根拠として直接強制を行うことができると一般に解されている。
×
執行罰は、行政上の義務者に一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しない場合にこれを強制的に徴収するものであるが、相手方が義務を履行するまで反復して執行罰を課すことは、二重処罰を禁止した憲法の趣旨に照らし、許されない。
×
農業共済組合が、法律上特に独自の強制徴収の手段を与えられながら、この手段によることなく、一般私法上の債権と同様、訴えを提起し、民事執行の手段によって債権の実現を図ることは、当該法律の立法趣旨に反し、公共性の強い農業共済組合の権能行使の適正を欠くものとして、許されないとするのが判例である。
○
行政代執行をなし得るのは、原則として代替的作為義務であるが、非代替的作為義務であっても、他の手段によって履行を確保することが困難であり、かつ、不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、例外的に行政代執行をなし得ることが行政代執行法上定められている。
×
行政代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、いつでもこれを呈示しなければならない。
○
出訴期間の制度は、行政法関係の早期安定の要請に基づくものであり、その機関をどのように定めるかは立法者の幅広い裁量に委ねられているので、具体的な出訴期間の長さが憲法上問題となることはないとするのが判例である。
×
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6ヶ月を経過したときは提起することができず、処分または裁決の日から1年を経過したときも同様である。ただし、いずれの場合においても、正当な理由があるときは、出訴期間経過後の訴えの提起が認められる。
○
出訴期間を徒過し、取消訴訟を提起することができなくなった場合、これにより法律関係が実体的に確定するので、その後に処分庁である行政庁が職権により処分又は裁決を取り消すことはできない。
○
行政事件訴訟法の出訴期間の規定における「正当な理由」には、災害、病気、怪我等の事情のほか、海外旅行中や多忙であったといった事情も含まれると一般に解されている。
×
行政処分の告知が個別の通知ではなく告示によることが法律上定められている場合であっても、出訴期間は、告示が適法になされた日ではなく、当事者が処分があったことを現実に知った日から計算される。
×
取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、当該処分又は裁決を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は請求を棄却することができる。ただし、裁判所は、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
○
いわゆる事情判決が行われた場合について、行政事件訴訟特例法においては、原告による損害賠償の請求を妨げない旨の定めがあったが、現行の行政事件訴訟法においては、特別の定めはしておらず、損害賠償の請求は認められていない。
×
処分又は裁決を取り消す判決が第三者に対して効力を有することとなると、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができず、判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかった第三者の権利義務を侵害することとなるため、行政事件訴訟法は判決のこのような効力を否定している。
×
申請に基づいてした処分が、手続に違法があることを理由として判決により取り消されたときは、その処分をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
○
土地課税台帳法に登録された基準年度の土地の価格についての審査決定の取消訴訟において、裁判所は、審理の結果、基準年度に係る賦課期日における当該土地の適正な時価等を認定し、固定資産評価審査委員会の認定した価格がその適正な時価等を上回っていることを理由として審査決定を取り消す場合には、納税者がその一部の取消しを求めているときであっても、当該審査決定の全部を取り消す必要があるとするのが判例である。
×
公務員が、客観的に職務執行の外形を備える行為によって他人に被害を生ぜしめた場合において、当該公務員が自己の職務権限を行使する意思を有していたときは、国又は公共団体は損害賠償責任を負うが、当該公務員が自己の利を図る意図を有していたにすぎないときは、国又は公共団体は損害賠償責任を負わない。
×
国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができない。
○
逮捕状は発付されたが、被疑者が逃亡中のため、逮捕状の執行ができず、逮捕状の更新が繰り返されている時点であっても、被疑者の近親者は、被疑者のアリバイの存在を理由に、逮捕状の請求、発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があったとする判断の違法性を主張して、国家賠償を請求することができる。
×
国家議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法第1条第1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、当該責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることが必要である。
○
都道府県が行った児童福祉法に基づく入所措置によって社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童に対する当該施設の職員による養育監護行為については、当該施設の職員が都道府県の職員ではない以上、都道府県の公権力の行使に当たる公務員の職務行為と解することはできない。
×
民法は、法人の設立、組織、運営及び管理についてはこの法律の定めるところによると規定しており、法人制度全体の原則規定だけでなく、法人の管理、解散等に係る一般的な規定は全て同法で定められている。
×
いわゆる権利能力のない社団の資産は、その社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであって、社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから、社団の資産たる不動産についても、社団はその権利主体となり得るものではなく、したがって、登記請求権を有するものではないとするのが判例である。
○
およそ社団法人において法人とその構成員たる社員とが法律上別個の人格であることはいうまでもなく、このことは社員が1人である場合も同様であることから、法人格が全くの形骸にすぎない場合、又はそれが法律の適用を回避するために濫用されるような場合においても、法人格を否認することはできないとするのが判例である。
×
税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するため、税理士会が政治資金規制法上の政治団体に金員の寄付をすることは、税理士会は税理士の入会が間接的に強制されるいわゆる強制加入団体であることなどを考慮してもなお、税理士会の目的の範囲内の行為といえるから、当該寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は無効とはいえないとするのが判例である。
×
会社による政党への政治資金の寄付は、一見会社の定款所定の目的と関わりがないものであるとしても、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる限りにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとすることを妨げないとするのが判例である。
○
賃貸借契約に基づき、Aが自己の所有物をBに賃貸した場合、BがAの代理人として占有することにより、Aは本人として占有権を取得するが、当該賃貸借契約が無効となったときには、Bの代理権の消滅により、Aの占有権は消滅する。
×
善意の占有者は、占有物から生じる果実を取得することができるが、本権の訴えにおいて敗訴した場合は占有開始時から悪意の占有者とみなされるため、占有開始時から収取した果実を返還しなければならない。
×
相続人が、被相続人の死亡により相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始し、その占有に所有の意思はあるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも、相続人は、民法第185条にいう新たな権原により当該相続財産の自主占有をするに至ったものと解される。
○
占有権に基づく訴えに対し、所有権者が防御方法として自己の所有権の主張をすることは認められないが、所有権者が所有権に基づく返還請求の反訴を提起することは認められる。
○
占有権は占有者が占有物の所持を失うことにより消滅するが、占有者は、占有回収の訴えを提起すれば、現実にその物の占有を回復しなくても、現実に占有しなかった間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制される。
×
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しないが、後順位抵当権者及び抵当目的物の第三取得者に対しては、被担保債権と離れて単独に20年の消滅時効にかかる。
○
債権者が抵当権を実行する場合において、物上保証人が、債務者に弁済をする資力があり、かつ、債務者の財産について執行をすることが容易であることを証明したときは、債権者は、まず、債務者の財産について執行しなければならない。
×
抵当権は、その目的物の賃貸によって債務者が受けるべき賃料についても行使することができるところ、この「債務者」には抵当権設定・登記後に抵当不動産を賃借した者も含まれると解すべきであるから、抵当権設定・登記後に抵当不動産を賃借した者が賃貸人の同意を得て転貸借を行っていた場合、抵当権者は、抵当不動産を賃借した者が取得すべき転貸賃料についても、原則として物上代位権を行使することができる。
×
抵当権設定・登記後に抵当不動産の所有者から賃借権の設定を受けてこれを占有する者について、その賃借権の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該賃貸借契約の賃料相当額の損害が生じたとして、抵当権侵害による不法行為に基づく損害賠償請求をすることができる。
×
不動産の取得時効完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を完了した場合は、所得県移転登記よりも抵当権設定登記が先になされている以上、当該不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、当該抵当権は消滅しない。
×
民法第388条は土地または建物のいずれか一方のみに抵当権が設定された場合を規定するものであり、同一の所有者に属する土地およびその上に損する建物が同時に抵当権の目的となった場合には、同条は適用されず、法定地上権は成立しない。
×
Aが所有する土地に抵当権が設定・登記された当時、当該土地上に建物が存在せず、更地であった場合には、その後、当該土地上にA所有の建物が築造され、抵当権の実行により当該土地がBに競落されたとしても、原則として、法定地上権は成立しない。
○
AとBが共有する土地の上にAの所有する建物が存在する場合において、Aが当該土地の自己の共有持分に抵当権を設定・登記し、これが実行されて当該土地がCに競落されたときは、Bの意思にかかわらず、法定地上権が成立する。
×
土地の所有者Aが当該土地上の建物をBから譲り受けたが、当該建物の所有権移転登記を経由しないまま当該土地に抵当権が設定・登記された場合において、抵当権の実行により当該土地がCに競落された場合には、法定地上権は成立しない。
×
Aが所有する土地に一番抵当権が設定・登記された当時、当該土地上の建物をBが所有していた場合には、その後、Aが当該建物をBから譲り受け、当該土地に後順位抵当権が設定・登記されたとしても、一番抵当権が実行され、当該土地がCに競落されたときは、法定地上権は成立しない。
○
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その1人からまたはその1人に対してすることができ、また、解除権が当事者のうちの1人について消滅しても、他の者については消滅しない。
×
契約または法律の規定により当事者の一方が解除権を有する場合は、その解除は、相手方に対する意思表示によってするが、解除に条件をつけることは認められないことから、当事者の一方はその債務を履行しないときに、履行の催告をすると同時に、相当の期間内に履行しないならば解除する旨の意思表示をすることはできない。
×
解除権の行使について期間の定めがない場合は、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は消滅する。
○
当事者の一方がその解除権を行使した場合は、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。また、解除前の第三者に対しては、原状回復義務を理由としてその権利を害することはできないが、当該第三者が解除原因を知っているときには保護されない。
×
不動産を目的とする売買契約に基づき買主に移転した所有権が解除によって遡及的に売主に復帰した場合において、売主は、その所有権取得の登記を了しなければ、その契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗することができない。
×
受任者は、委任者が報酬の支払義務を負わない旨の特約がない限り、委任者に報酬の支払いを請求することができるが、原則として、委任事務を履行した後でなければ、報酬の支払いを請求することができない。
×
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立するが、当該承諾は書面によって行わなければならない。
×
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができるが、当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をした場合には、やむを得ない事由があっても、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。
×
弁護士に法律事務の交渉を委託する委任が解除された場合、受任者である弁護士は、法律事務の交渉の相手方に当該委任が解除された旨を通知しなければならず、その通知をしないときは、委任が解除されたことをその相手方が知るまでの間、委任の義務を負う。
×
受任者が委任者に引き渡すべき金銭や委任者の利益のために用いるべき金銭を自己のために消費した場合には、受任者は、消費した日以後の利息を支払わなければならず、さらに利息以上の損害があるときには、その賠償責任も負う。
○
嫡出でない子との間の親子関係について、父子関係は父の認知により生ずるが、母子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する。
○
認知者が、血縁上の父子関係がないことを知りながら、自らの意思に基づいて認知をした後、血縁上の父子関係がないことを理由に当該認知の無効を主張することは、被認知者の地位を不安定にすることから、認められない。
×
婚姻前にすでに内縁関係にあり、内縁成立後200日を経過している場合であっても、婚姻成立後200日以内に出生した子については、嫡出子としての推定を受けないことから、父が子の嫡出性を争う場合には、嫡出否認の訴えではなく、父子関係不存在確認の訴えによる。
○
配偶者のある者が未成年者を養子にする場合は、配偶者とともにこれをしなければならないことから、夫婦の一方の意思に基づかない縁組の届け出が成されたときには、縁組の意思を有する他方の配偶者と未成年者との間では縁組が有効に成立することはない。
×
親権者自身が金員を借り受けるに当たり、その賃金債務のために子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、当該借受金をその子の養育費に充当する意図であったとしても、民法第826条にいう利益相反行為にあたる。
○
C.L.バーナードは、成立した組織が存続するための条件として有効性と能率を挙げた。有効性とは組織の共通目的を達成できる程度のことであり、能率とは組織に参加する個人から十分な貢献を確保できる程度のことである。また、個人からの貢献を確保するためには、組織は個人の動機を満たすだけの誘因を提供する必要があるとした。
○
F.W.テイラーは、米国の工場で問題となっていた自然的怠業に焦点を当てて改善に取り組んだ。彼は、各作業者のモチベーションの維持のためには、各作業者自身に1日で達成する作業量の目標を設定させ、目標を達成できた場合には、見返りとして、名声やより高い職位などの金銭以外の報酬を与えることが必要であるとした。
×
J.H.ファヨールは、1960年代に『産業ならびに一般の管理』の中で、管理的職能は、①計画すること(Plan)、②行動すること(Do)、③評価すること(Check)、④改善すること(Action)の4つの要素で構成されるとした。また、彼は上記の管理の要素は①から④の順に繰り返し実施されることを指摘し、このサイクルを「PDCAサイクル」と呼んだ。
×
J.G.マーチ、J.P.オルセンらは、現実の組織的意思決定を分析する枠組みとして、ごみ箱モデルを提唱した。このモデルでは解決すべき問題がゴミ箱のような役割を果たし、そこに選択機会や意思決定者のエネルギーなどが順序立てて投げ込まれる。そして、ゴミ箱の容量とは無関係に、解が1つ投げ入れられた時点で意思決定が行われるとした。
×
モジュラー型アーキテクチャの製品においては、部品間のインターフェースが事前に標準化されておらず開発活動の過程で各部品の最適設計を行えるが、部品間の相互依存性が高いため、1990年代にT.J.アレンが存在を明らかにしたゲート・キーパーによる社内調整活動が不可欠となる。
×
W.J.アバナシーとJ.M.アッターバックは、イノベーションを製品イノベーションと工程イノベーションの二つに分類し、両者の発生頻度の組み合わせに応じて産業の発展段階を流動期、固定期、以降期の3つに分けた。彼らは、ドミナント・デザインの登場によって産業の発展段階が移行期から固定期へと推移し、また、固定期では工程イノベーションの発生頻度が増大していくとした。
×
ある製品がその利用者に与える満足の程度を表す「総合品質」を規定する2種類の品質のうち、「設計品質」は設計図面に定められている機能や外観、性能のとおりに製品が作られているかどうかの程度を表し、「適合品質」は製品の設計図面が法令や規制に準拠しているかどうかの程度を表している。
×
米国フォード社は、1920年代までに確立されたフォード・システムと呼ばれる自動車の大量生産方式において、セル生産方式と汎用性のある工作機械の導入によって生産性を向上させた。このため需要量や品種の変動に柔軟に対応できなくなるという生産性のジレンマに陥ることなく、米国ゼネラル・モーターズ社のフルライン戦略に直面した後も市場シェアを長期間維持できた。
×
H.W.チェスブロウは、自社内と社外のアイデアや技術・知識を有機的に結合させ、新たな価値を創造する活動をオープン・イノベーションと呼んだ。オープン・イノベーションにより、社外のアイデアや技術を見つけて活用することや、自社で有効に活用できない研究成果については他社に譲渡して利益を得ることなども可能となる。
○
1960年代にH.I.アンゾフは、実現された戦略は、①事前に計画された戦略と、②当初は意図されていなかった事象への対応が集積されることにより形成される企業行動の一貫性やパターンである創発的戦略、の2つから構成されると主張し、後者の類型として市場浸透、市場開拓、製品開発の3つがあるとした。
×
R.P.ルメルトが提唱した取引コスト理論によると、ある部品を自社で製造(内製)するのか外部から購入(外注)するのかを決定する際の取引コストは、専ら取引費用という当該部品の購入代金として支払う金額により定まり、情報収集や契約条件などの市場取引に固有のコストは考慮されない。
×
市場の成長の鈍化や縮小が起こる製品ライフサイクルの成熟期では、競合他社は複数存在するため、それまでに獲得した市場シェアを防衛することや、商品力の強化及び差別化を推進して自社製品に対するブランドの評価をより高めることが重点課題となる。
○
1990年代にハーバード大学が中心となり実施されたPIMS研究の成果によれば、相対的市場シェアが高いほど投資利益率(ROI)が低くなるという関係が示されており、その理由として、市場シェアが高まるほど相対的品質(顧客が知覚する商品品質)が低下してしまうため高水準の価格を維持できなくなることを挙げている。
×
ポジショニング・アプローチの観点からJ.B.バーニーが提唱したVRIOフレームワークは、企業に競争優位をもたらす資源の特徴として、①購入価格が高いこと、②稀少であること、③他社による模倣が困難であること、④事業機会に恵まれていること、という4つの条件を挙げた。
×
海外市場への対応方法として、各国市場の需要状況に合わせた製品を供給する「標準化」と、できる限り共通化された製品を各国に供給する「現地化」の2つがある。C.K.プラハラードらは、前者に関連するグローバル統合の程度と、後者に関連するローカル適応の程度という二軸を用いた枠組みとしてIーRグリッドを提唱し、両者ともに高い水準で達成可能な組織を「グローバル型組織」と呼んだ。
○