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心理学1
  • さかくらるい

  • 問題数 100 • 4/21/2024

    記憶度

    完璧

    15

    覚えた

    35

    うろ覚え

    0

    苦手

    0

    未解答

    0

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    問題一覧

  • 1

    コールバーグ(Kohlberg, L.)は、ピアジェの認知発達的な考え方を引き継ぎ、罰と服従の志向(罰や制裁を回避し、権威に対し服従していく)から、法と秩序志向(決められた義務を果たし、社会秩序を守る)までの6段階の道徳性の発達段階を提唱した。

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  • 2

    風に流される雲間の月を見ると、月を囲む雲が基準となって、静止した月が雲の動きと逆方向に動いて見える。この現象は月の錯視と呼ばれ、古くから知られている。実際には月だけでなく、太陽や星座についても見られる錯視であり、天体錯視という用語でまとめられている。

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  • 3

    ベルの音とエサを対呈示することで、ベルの音によって唾液分泌が生じるようになったイヌに、ベルの音だけを繰り返し呈示すると徐々に唾液分泌の反応強度は低減する。しかし、しばらく休憩時間をおいた後に再びベルの音だけを呈示すると、唾液分泌の反応強度は、休憩前に低減したものよりも大きくなる。これを自発的回復という。

  • 4

    人間の両眼の瞳孔間の距離は約6cmであり、対象を捉えている像は右眼と左眼とでわずかに異なる。手前から奥まで物がいろいろある部屋で、片眼を交互に閉じて観察してみると、左右の像が異なることが確認できる。一方、両眼で観察すると、知覚の恒常性のメカニズムが働き、二つの像ではなく統合された一つの世界が知覚される。

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  • 5

    明るい場所から暗室に入ると、直後は光に対する眼の感度は低く、暗闇しか感じられないが、時間の経過とともに少しずつ周りの様子が見えるようになる。この過程を暗順応という。これは、視覚系の受容器である錐体と桿体のうち、桿体の影響が完全に発揮されるようになるまでには時間が掛かることから生じる現象である。

  • 6

    資格をはじめとする各種感覚モダリティの知覚は、聴覚の影響を受けやすい。例えば、「ga」と言っている話者の顔の動きに、「ba」という音声を同期させた映像を見せると、音声としては「ga」と「ba」の間に位置付けられる「da」が聞かれる。このような現象は、カクテルパーティー効果と呼ばれる。

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  • 7

    顔認知には、物体の認知には見られない特性が数多く見られる。そのうちの一つとして、顔パターンの処理の優位性を示す倒立効果が挙げられる。これは、物体を逆さまにして見ると認知が非常に困難になるが、顔の場合は逆さまにしても、正立の時と認知のしやすさがほとんど変わらないことをいう。

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  • 8

    同じ明度の灰色の紙を黒い台紙と白い台紙の上に置くと、黒い台紙の上に置かれた紙の方がより明るい灰色に見える。このように、明るさの異なるものを並べると、その違いが拡大され、強調される方向に変化して知覚される現象を明るさの対比といい、このような対比の現象は、明るさや大きさ、色相といった視覚に限らず、聴覚や味覚、嗅覚など様々な感覚で生じる。

  • 9

    5m前方にいる人物が10m前方にまで遠ざかれば、その人物の網膜上の像の大きさは半分になるが、その人物の身長が半分に縮んで見えるようなことはない。これは、知覚の順応によるものであり、最初は非常に熱く感じた風呂の湯が次第に熱さを感じなくなるのも、同じメカニズムによるものである。

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  • 10

    月の客観的な大きさは一定であるのに、地平線近くにある月の方が天頂付近の月よりも大きく見える。この「月の錯視」は、対象までの距離や周囲の状況などから、無意識のうちに視覚的な補正を加えるために生じると考えられ、これを閾下知覚(サブリミナル知覚)という。ミュラー・リヤー図形など様々な錯視図形において、閾下知覚が主要因と考えられている。

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  • 11

    視野の中に、全体として最も簡潔な秩序あるまとまりを見ようとする傾向を、プレグナンツの原理と呼ぶ。実際は歪んだ部屋なのに、のぞき穴を通して単眼で見ると普通の長方形の部屋に見え、そのために中にいる人間の大きさが異なって知覚されるという「エイムズの歪んだ部屋」は、プレグナンツの原理によって説明される。

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  • 12

    同じ形の文字でも、AとCの間に置くと「B」と読めるが、12と14の間に置くと「13」と読めるように、前後の文脈や過去の経験・知識によって見え方が異なることがある。こうした文脈効果はボトムアップ処理によって生じるものと考えられており、パンデモニアム・モデルに代表されるトップダウン処理と相補的にはたらくことで、情報処理が行われている。

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  • 13

    誘導運動に関する記述として妥当か。 雲の合間に月が見えている時、実際には雲が風に流されてゆっくり動いているのに、雲が止まって見えて、雲に囲まれた月が雲の動きと反対方向に動いているように見える。

  • 14

    誘導運動に関する記述として妥当か。 渦巻き模様を描いた円盤を回してそれを見つめ、しばらくしてその円盤の回転を止めると、模様が縮小(または拡大)しているように見える。

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  • 15

    誘導運動に関する記述として妥当か。 真っ暗闇の中に、1つの光点だけがある場合、この光点をしばらく見つめていると、動いていないはずの光点がいろいろな方向に動いて見える。

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  • 16

    誘導運動に関する記述として妥当か。 進行中の電車の側面の窓から外の景色を眺めていると、視点を遠くにおけば、近くのものは速く、遠くのものは遅く動いているように見える。

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  • 17

    誘導運動に関する記述として妥当か。 街の電光掲示板で、並んだ電球が順に点滅していくと、実際には1つ1つの電球がただ点滅を繰り返しているだけなのに、表示されている文字が流れるように動いて見える。

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  • 18

    K.Z.ローレンツは、アヒルなどのヒナが動くものに追随することを経験すると、それに対する追随が半永久的に続くという、一般の学習とは異なる行動を報告した。そして、その現象をヒナが親に依存しなければ生きられないために生じるとして生理的早産の概念で説明した。

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  • 19

    E.L.ソーンダイクは、トゲウオの求愛行動の観察で、種に固有な行動とそれを解発する鍵(信号)刺激の関係を明らかにする研究を行った。動物は本能行動をもとに環境の状況変化に対応するが、生得的に組み込まれた行動様式ではその適応や学習の範囲に限界があると示した。

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  • 20

    W.ケーラーは、チンパンジーの問題解決行動について、試行錯誤の結果としての偶然の解決ではなく、過去経験やその場の様々な状況を統合してあらかじめ解決の見通しを立てたかのような行動をとったとう観察などを通して、学習過程における洞察の重要性を指摘した。

  • 21

    A.バンデューラは、アルバートという生後11ヶ月の赤ん坊を対象とした条件づけの実験を行った。この研究を通して、動物やヒトの行動がいくつかの基本的な反射と種々の条件づけを通して獲得された行動から成り立つとする経験主義を唱え、条件付けによる学習の法則の重要性を強調した。

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  • 22

    I.P.パブロフは、犬の唾液分泌の研究を通して、条件刺激の呈示後に無条件刺激を対呈示することで条件反応が形成できることを発見した。これは道具的条件づけと呼ばれ、手続きの工夫によって、複雑で新しい行動も獲得させることができるシェイピングの研究につながった。

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  • 23

    M.E.P.セリグマンらは、逃避も回避もできない電気ショックを与えられ続けたイヌが、別の回避可能な状況におけれても、電気ショックから逃れる方法を学習しようとせずに、受動的にショックを受け続けるようになった実験例を示した。このように、生得的な本能行動とは異なる反応を経験によって二次的に学習することを、二次条件付けと呼ぶ。

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  • 24

    W.ケーラーは、課題解決場面に置かれたチンパンジーを観察し、課題解決に至るのに試行錯誤の過程を経ずに、あたかもあらかじめ解決の見通しを立てたかのような行動が突如出現したという実験例を示した。彼は、行動の遂行には直接表れないものの、認知の上で潜在的に学習を進めていたために、解決行動が突如出現したように見えるのだと説明し、これを潜在学習と呼んだ。

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  • 25

    E.L.ソーンダイクは、ある技能の学習が、それと類似した別の技能の学習に促進的あるいは妨害的な効果を与えることがあることを発見し、これを効果の法則と呼んだ。たとえば、スケートができる人はスキーが早く上達したり、軟式テニスの経験があると、硬式テニスのラケットの握り方を覚えるのに苦労をしたりするなどが例として挙げられる。

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  • 26

    J.ガルシアは、消化器系の不調は味覚刺激と容易に連合しやすく、ある食べ物を摂取した後で胃の不調をきたすと、その原因が食べ物にない場合であっても、以後同じ食べ物が呈示されると、その味を手がかりとしてその食べ物を嫌悪するようになることを実験によって示した。このように、生物学的な特性に基づいた反応が自動的に学習されることを、自動反応形成と呼ぶ。

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  • 27

    A.パンデューラは、幼児が大人のモデルの攻撃行動を観察しただけで、その後の幼児の行動に攻撃的な行動が増加したという実験結果を報告した。このように、自ら直接経験したり外部から強化を受けたりしなくても、他者の行動をモデルとして観察するだけで成立する学習のことを、観察学習と呼ぶ。

  • 28

    古典的条件づけの手続きでは、たとえばまずイヌにベルの音を聞かせる。通常イヌはベルの音を聞いただけでは唾液を分泌しないが、イヌにベルの音を聞かせつつエサを与えることを繰り返すと、やがてイヌはベルの音を聞いただけでも唾液を分泌するようになる。この時ベルの音を無条件刺激という。

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  • 29

    ベルの音とエサを対呈示することで、ベルの音によって唾液分泌が生じるようになったイヌに、その後新しい刺激、たとえば正方形の図形を見せ、その後ベルの音を聞かせる。これを繰り返すと、今度は正方形の図形に対して唾液を分泌するようになる。このような手続きをシェイピングという。

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  • 30

    J.B.ワトソンらは幼児に恐怖を条件付ける実験を行った。元々白いネズミを怖がっていない幼児に白いネズミを見せ、幼児が手を伸ばして触ろうとしたときに、その背後で鉄の棒を金づちで激しく叩くということを数回繰り返した。数日後、幼児に白いネズミを見せると泣き出すようになったが、白いウサギを見せたときにも泣き出した。これを分化という。

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  • 31

    行動療法の代表的な技法である系統的脱感作法は、古典的条件づけの原理を適用した治療技法である。すなわち、クライエントに全身をリラックスさせる方法を教え、十分にリラックスした状態で、クライエントが最も強い不安を示す場面に直面させ、克服させるのである。これは、古典的条件づけにおける嫌悪条件づけの手続きを応用したものであるといえる。

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  • 32

    条件づけに用いられる強化子には、それが出現することで反応の出現頻度が上がる正の強化子と、それが消失するかその出現が延期されることで反応の出現頻度が上がる負の強化子がある。正の罰には後者が用いられる。

  • 33

    ある反応に対して正の強化子を与え、その反応頻度を増大させた後、その反応をしても正の強化子を与えないようにすると、反応頻度は徐々に現象し、初期の水準に戻る。この手続きを負の罰という。

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  • 34

    行動療法の一つであるトークンエコノミーでは、望ましい行動をとった対象者にチップやシールなどのトークンを与えることで、その行動の強化が図られる。トークンは、それを与えられることが対象者の満足につながる1次強化子である。

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  • 35

    反応を抑制するのに必要十分な強度の罰を最初から与えるよりも、弱い罰から段階的に強めていく方が、より弱い罰で反応を抑制することができる。

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  • 36

    罰の手続きにおいては、反応に対して毎回罰を与えたり与えなかったりする間欠強化スケジュールの手続きを用いたほうが、罰の随伴性に対して鋭敏になるため、罰による反応の抑制効果が高い。

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  • 37

    生得的に特定の反応を引き起こす刺激と、本来その反応を引き起こさない中性刺激を繰り返し対呈示することにより、その中性刺激のみの呈示でその反応を引き起こすようになる学習の過程を古典的条件づけという。パブロフ(Pavlov, I.P.)は、イヌが、食物を口にした時だけでなく、食物や皿、それらを運んでくる人を見たり、その人が来る足音を聞いたりしただけで唾液を出すことに着目し、古典的条件づけの様々な研究を行った。

  • 38

    ソーンダイク(Thorndike, E.L.)は、部屋の天井に果物をつるし、部屋の隅に木箱をおいてチンパンジーを観察したところ、チンパンジーは、跳ねても果物には手が届かずに諦めてしばらく部屋を見渡した後、急に木箱を利用して果物を取ることができた。彼は、このような動物の洞察的な問題解決行動の観察に基づき、望ましい結果をもたらす行動は生じやすくなり、望ましい結果をもたらす行動は生じにくくなるという練習の法則を提唱した。

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  • 39

    ワトソン(Watson, J.B.)らは、幼児に、恐怖反応を引き起こす大きな音と白ネズミを繰り返し対呈示したところ、乳児は、それまで怖がっていなかった白ネズミに恐怖反応を示すようになった上、白ウサギや毛皮のコートなど、白ネズミに似たものに対しても同様の恐怖反応を示すようになった。このように、ある刺激に条件づけられた反応が、類似した他の刺激に対しても生じることを般化という。

  • 40

    スキナー(Skinner, B.F.)は、生体の「反応をもたらす結果」による学習の過程をレスポンデント条件付けと名付けた。彼が考案した問題箱と呼ばれる実験装置では、箱の中でハトがキーをつついたり、ラットがレバーを押したりすると、報酬として餌等が与えられるとともに、反応が出現する様子が累積記録計で記録される。この装置を用いるなどして刺激を与えることによって行動を増加させる場合を正の強化と呼ぶのに対し、減少させる場合を負の強化と呼ぶ。

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  • 41

    H.エビングハウスは、任意のアルファベットを子音、母音、子音の順に並べた意味のない綴りを用いて、人間の記憶について実験を行った。彼によれば、学習成立から1日後では記憶は9割以上保持されているが、その後急激な忘却が起こり、1週間後には3分の1程度が保持されるに過ぎない。

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  • 42

    15語程度の簡単な単語を一定の速度で提示し、その直後に提示した単語を自由に再生させると、最初に提示した単語の再生率は高く、後に提示された単語ほど再生率が低くなる。これを初頭効果あるいは系列位置効果と呼ぶ。また、単語提示後、簡単な計算課題を行ってから単語を再生させると、この初頭効果は失われる。

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  • 43

    無意味つづりのリストを記憶させた後、一定の時間眠った場合と起きていた場合の忘却の程度を比較する実験では、起きていた場合の方が眠っていた場合の忘却の程度が著しいことがわかった。これは、覚醒時の方が睡眠時よりも精神活動が活発であり、記銘されたリストの記憶とその後に経験した出来事の記憶の間により多くの干渉が生じるためであると考えられている。このように、ある記憶が後に経験した出来事の記憶によって干渉されることを逆向抑制という。

  • 44

    D.ゴドンとA.D.バッテリーは、一方の群は陸上で、もう一方の群は水中で単語のリストを記銘させる実験を行った。その後、再生テストを陸上及び水中で行ったところ、陸上で記銘した群では水中より陸上で再生した方が、水中で記銘した群では陸上より水中で再生したほうが成績がよかった。このように、記銘時と再生時の環境が一致している方が記憶の成績がよいことをプライミング効果という。

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  • 45

    子どもの頃に車で海に行ったというような個人的経験の記憶をエピソード記憶、車とはどのような構造をしているかという一般的知識としての記憶を意味記憶、車を実際に運転する方法についての記憶を手続記憶という。これらの記憶はすべて言語的に記述できるものであり、これら3つの記憶をまとめて宣言的記憶と呼ぶ。

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  • 46

    逃げることができる状況であっても、不快な状況に繰り返し置かれると、自ら状況を変えようとするための反応や行動をする動機づけが弱まる現象があり、学習性無力感と呼ばれている。学習性無力感は、自らが無力であるということが学習された結果であり、ヒトに特有の現象である。

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  • 47

    ある学習をしたことが、その後の別の学習に影響を及ぼすことを学習の転移と呼ぶ。特に、身体の一方の側の器官(例えば右手)を用いて行った学習が、その後でもう一方の側の器官(例えば左手)を用いて行う学習に影響する場合を、両側性転移と呼ぶ。

  • 48

    自らが行動し、その行動に対する強化を受けることがなくても、他者の行動やその結果を観察するだけで学習が成立し、その後の行動に変化が生じることがある。学習が成立する過程が行動としては顕在化しないことから、このような学習は潜在学習と呼ばれる。

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  • 49

    レスポンデント条件付けにおいて、自発的な反応が生じるたびに強化される場合を連続強化と呼ぶのに対して、反応がときどきしか強化されない場合を部分強化または間欠強化と呼ぶ。一般に、連続強化で訓練された行動では、部分強化で訓練された行動よりも消去が生じにくい。

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  • 50

    系統的脱感作用では、不安や恐怖を引き起こす刺激の提示頻度を段階的に増やしていくことで、特定の刺激に対する患者の不安や恐怖を徐々に克服させていく。これは、オペラント条件付けの原理を応用した行動療法の1つである。

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  • 51

    長期記憶の1つであるエピソード記憶は、自分自身が体験したことを意識的に思い出す出来事の記憶である、タルビング(Tulving, E.)によれば、発達に伴い、エピソード記憶が基礎となって意味記憶が形成されていくと考えられている。

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  • 52

    長期記憶には、言語的な報告が可能な宣言的記憶と、言語報告はできなくても実行できることからその存在が明らかにされる手続記憶がある。手続記憶はいつ獲得されたのかが明確ではないが、宣言的記憶は獲得の契機を明確に想起できることが特徴である。

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  • 53

    人は「これからやること」を記憶しておく、いわば未来のための記憶を保持することができ、これを展望記憶と呼ぶ。これに対し、過去に生じたことを過去のこととして思い出す記憶は、回想記憶と呼ばれる。

  • 54

    自伝的記憶も長期記憶の一種であり、自己同一性の保持などからも重要な記憶機能と考えられている。一般に中高年以降の成人において、幼児期から児童期の記憶が最も豊富に想起され、これをレミニセンス・バンプと呼ぶ。

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  • 55

    長期記憶の障害は一般に健忘症(amnesia)と呼ばれる。患者H.M.は海馬の外科的切除の結果、順向性の記憶には大きな問題がないにもかかわらず、重度の逆向性健忘を示した事例として広く知られている。

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  • 56

    ファンツ(Fantz, R.L.)は、選好注視法と呼ばれる方法を用いて、生後0ヶ月から6ヶ月の乳児が、他の視対象に比べて顔図形を好んで見るかどうかを調べた。その結果、生後4ヶ月までは顔図形が選好して注視されることはないが、5ヶ月以降になると、顔の輪郭だけを描いた無地の図形は新聞紙を顔輪郭の中に貼り付けた図形に比べ、顔図形が長く注視されることを発見した。

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  • 57

    ブルースとヤング(Bruce, V.&Young, A.) は、顔認知過程に関するモデルを提案した。その基本的特徴は、顔から個人を同定する過程と、表情など個人同定以外の情報を処理する過程が存在し、両者は知覚分析の初期段階から密接に情報交換を重ね、顔の認知を遂行するというものである。このモデルの提案は、顔認知研究を情報処理論的に進めることに大きく貢献した。

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  • 58

    一般に、倒立した顔写真を見ると、その人物が誰なのか、どのような表情なのかを認知することが難しくなる。こうした顔の倒立効果を表すものに、サッチャー錯視がある。これは、顔写真の中で、目と口だけを正立させ、その他の顔全体を倒立させると極めて奇妙に見えるが、その写真全体をひっくり返し、髪側を上、あご側を下になるような方向で見ると、奇妙な印象は消失するというものである。

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  • 59

    エクマン(Ekman, P.)は、比較文化的研究により、ニューギニア南西部の高地に住む原住民に3枚の写真を見せ、「これは母親が死んだ時にとったある人の写真です」など、感情をさし示す話に適合すると思われる写真を選ばせた。その結果、幸福、悲しみ、怒りなど基本6感情のいずれにおいても、有意に高い正答率は得られなかった。このことからエクマンは、顔の感情表現には、文化圏をまたがる普遍性はないとした。

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  • 60

    相貌失認とは、よく知っている人物の顔を見ても、それが誰かを識別・同定できない障害である。一般の視覚性失認とは異なり、日常物品は見ただけで同定できるにもかかわらず、顔が認知できないのである。また、自分の自動車やペットが分からないなど、よく似たもの同士を区別できないこともあり、識別したり同定したりできないものが顔だけに限らない場合もある。

  • 61

    私たちをとり巻く外界には膨大な刺激が存在しているが、注意を向けて見たり聞いたりすることができるのはその一部に限られるため、注意を向けなかった刺激の存在には気づかないことがある。突然、自動車のヘッドライトに照らされた時に、それまで見えていたものを見失ってしまうことはその一例である。このように、刺激が変化した際にその存在を見失う現象を変化の見落とし(change blindness)と呼ぶ。

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  • 62

    カラーインクで書かれた文字のインクの色名を答える課題では、赤いインクで書かれた「青」という文字のように、インクの色名と文字の意味が異なるとき、色名を答えるのが遅くなったり、色名ではなく文字を読み上げたりすることがある。このような現象はストループ効果と呼ばれ、長年の経験を通じて高度に自動化された文字情報の処理が、インクの色名の処理を妨害することを示している。

  • 63

    多数の赤い円の中から、その中に一つだけ紛れている青い円を探したり、一つだけ紛れている赤い四角形を探したりすることは容易である。探す対象となっている目標刺激(ターゲット)が即座に目に飛び込んでくるように見えることから、このような現象はポップアップ効果と呼ばれ、色や形などの特徴の違いが焦点的(集中的)な注意の働きによって抽出されることを示している。

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  • 64

    計算問題を解きながら、聴覚的に提示される文章を記憶するなど、同時に2つの異なる課題を行うことは一般に困難である。しかし、2つの課題の片方について繰り返し練習を行うことにより、2つの課題を同時に行うときの両方の成績が向上する。これは、練習を積んだ課題に対してより多くの注意が向けられるようになり、もう一方の課題に対して注意が向けられなくなったことを示している。

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  • 65

    文字列の中から特定の文字を認識する課題において、単語の中に含まれている文字(例:「WORD」の中の「D」)を認識する方が、非単語(無意味つづり)の中に含まれている文字(例:「ORWD」の中の「D」)を認識するよりも容易に行うことができる。これは単語優位性効果と呼ばれ、単語に関する知識に基づいて入力された文字が処理されるボトムアップの情報処理を示している。

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  • 66

    問題を解決する際、必ずしも成功するとは限らないが、経験則を用いることで、時間や労力を少なくすることができる方法をアルゴリズムという。暗号番号を忘れた例でいえば、全ての可能な番号を試す代わりに、自分の誕生日や電話番号を試してみるというのがこれに当たる。

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  • 67

    我々は単語や事物を記憶する際に、多くの場合、記憶すべき単語や事物を様々な角度から分析することで、何らかの関連情報を付け加えて記憶する。このように、記銘時に関連情報を付加する符号化操作を精緻化と呼び、一般に、精緻化を行うことで記憶されやすくなると考えられている。

  • 68

    問題を解決する上で重要なことの一つにメタ認知がある。メタ認知とは、認知についての認知という意味で、自分は短期記憶でどれくらいの量を記憶できると思っているか、どのような方法で記憶すればよく記憶できると考えているか、どのような課題が難しいと考えているかなど、自己の認知過程についての認知や知識のことをいう。

  • 69

    一連の複雑な技能を習得する際、課題の全体を通して反復練習することを集中練習といい、課題をいくつかの部分に分割し、それぞれの部分を反復練習してから全体を通して練習することを分散練習という。一般に、まとまりのある学習材料の場合には集中練習の方が効率的であるとされている。

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  • 70

    J.ピアジェは、外界の刺激に身体運動で反応することが中心である生後約2年間を感覚運動期と呼んだ。この時期の子どもは、たとえばひもをつかんだりひっぱったりする活動を通して、ひもが自己とは区別されたものであることを理解するが、対象が見えなくなっても存続し続けるという対象の永続性の概念は、この時期の終わりでも獲得されない。

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  • 71

    J.ピアジェは2歳から7歳までの、言葉やものを象徴的に使うことができる段階を前操作期と呼んだ。この時期の子どもは、同数のおはじきをいくつか並行に2列に並べたとき、片方の列を伸ばしたり、縮めたりして見かけを変えても、おはじきの数は同じだということを理解することができる。

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  • 72

    J.ピアジェが使った三つ山問題では、自分と向き合って立つ他者から見た山の形がどのように見えるか尋ねられる。ピアジェのいう具体的操作期の段階の子どもでは、自分と異なる視点に立つことが困難であるという自己中心性のために、この時期の終わりになってもこの問題に正しく答えることができない。

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  • 73

    E.エリクソンは、S.フロイトの発達段階説に基づきながら、社会的発達の要因を重視した発達段階説を展開した。彼は8つの段階を設定し、各段階で到達するであろう適応的解決と不適応的解決との両極によって、その発達段階の課題特徴を示した。フロイトのいう口唇期にあたる乳児期について、エリクソンが示した適応的解決と不適応的解決は、基本的信頼と基本的不信である。

  • 74

    E.エリクソンは自我同一性の獲得が青年期の重要な発達課題であるとしたが、J.マーシャは4つの同一性地位を区別することを提案した。それらは、「同一性拡散」「早期完了」「モラトリアム」「同一性達成」であり、「早期完了」はどう生きるかについて悩み探索してはいるものの、特定の傾倒すべきものを見いだしていない状態をいう。

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  • 75

    感覚運動期においては、いわゆる対象の永続性の概念の獲得が認められるようになる。例えば、ある対象物を目の前でハンカチなどによって完全に覆い隠した場合、この期に入ったばかりの子どもでは、隠された対象物に対する探索行動(対象物を隠したハンカチを取り除こうとするなど)が示されるようになる。

  • 76

    前操作期においては、思考は知覚の影響を強く受けており、論理的には十分に体制化されていない。たとえば、背が低く底面積の大きいコップに入った水を、背が高く底面積の小さいコップに移し替えた場合、大人では液面の高さの変化にかかわらず水の量は一定と理解するが、この期の子どもでは水の量に変化が生じたと捉えているかのような行動が観察される。

  • 77

    具体的操作期においては、前操作期までに生じた様々な思考活動に加えて、可逆性や相補性の概念の獲得が加わる。たとえば、天秤ばかりの釣り合いをとる課題において、この期の子どもは、軽量的な比例概念を用いた問題解決を行うなど、論理的操作、仮説演繹的思考を行えるようになる。

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  • 78

    形式的操作期においては、具体的操作期において獲得された概念がより一般化された体系に統合される。一方で、この期の子どもは、いわゆる三つの山問題(three mountains task)においては、自身とは異なる場所にいる他者からの「見え」を理解できないなど、知覚的視点取得の点で、自己中心性からの離脱が認められないなどの混乱がある。

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  • 79

    出生直後の乳児において特徴的に観察される反射的行動を総称して、原始反射と呼ぶ。そのうち、モロー反射、手の把握反射、バビンスキー反射、吸啜反射はいずれも自動的な行動であり、その消長が発達の重要な指標となる。反射が出現すべき月齢にそれらが観察されなかったり、消失するべき月齢になっても残存したり、運動機能に障害がないにもかかわらず明らかな左右差があったりする場合は、なんらかの中枢性の障害が疑われる。

  • 80

    言語が獲得される以前の乳児を対象とした研究方法に、視覚的断崖装置、選好注視法などがある。そのうち、資格的断崖装置による実験は、運動視差やきめの勾配による視空間の知覚が、経験を通して発達することを証明したものである。また、ファンツ(Fantz, R.L.)による選好注視法を用いた実験では、母子間に愛着関係が形成されることで、複雑なパターン、なかでも顔パターンに対する選好性が生じることが観察され、生後の初期経験と視知覚の発達の関連が示唆された。

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  • 81

    ポルトマン(Portmann, A.)は、出生時の発育状況などにより、哺乳類は就巣性(留巣性)のものと離巣性のものとに区別されるとし、ヒトの場合、出生時は視覚も聴覚もほとんど機能せず、また自立歩行に1年前後の期間を要するなど、感覚機能の面でも運動機能の面でも極めて未成熟であることから、明らかに就巣性に分類されるとした。また、就巣性を持つ哺乳類の一般的な在胎期間に比較してヒトの在胎期間は長いが、それにもかかわらず運動能力が未熟な状態で生まれてくることを「生理的早産」と呼んだ。

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  • 82

    愛情や知覚的・言語的経験など、適切な環境刺激が著しく不足した中で成育した子どもには、脳下垂体の機能低下等のため、低身長、低体重、発話の困難など、身体、知能、行動にわたる発達の遅滞が生じることがある。これら乳幼児期の環境剥奪による諸症状は、そうした環境剥奪の状況から救出された時の年齢にかかわらず回復は不可能であり、特に他者に対する愛着に関しては、その障害の程度が大きく、生涯にわたって親密な人間関係の構築に困難を生ずる。

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  • 83

    乳児は、生後3ヶ月ごろから親しい人と見知らぬ人とを区別し、見知らぬ人を避けようとすることを人見知りという。生後6ヶ月ごろに人見知りが消失した後に、社会的な関わりの対象が拡大し、家族等の見慣れた者に限らず、相手がほほ笑めば自分もほほ笑み返す社会的微笑が見られるようになる。

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  • 84

    目の前にある物体がハンカチで覆われても、その物体は依然として存在し続けており、このとき、我々は自分の視野から消えた物体を消えてなくなったとは考えない。ピアジェ(Piaget, J.)は、このような対象の永続性の概念は、生まれながらに備わっているものではなく、感覚ー運動期に獲得されると考えた。

  • 85

    他者にも心的状態があると想定し、それに基づいて他者の行動を予測したり、他者の行動の背後にある心的過程を説明したりするために必要な能力を「心の理論」という。バロンーコーエン(BaronーCohen, S.)らは、「心の理論」の検査法の一つとされる誤信念課題を用い、定型発達児や自閉症児に比べ、ダウン症児は誤信念課題の通過率が低いことを示した。

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  • 86

    人が特定の対象に対して抱く親密で情緒的な絆をアタッチメントという。アタッチメントの個人差を測定する方法の一つであるストレンジ・シチュエーション法において、養育者との分離時に泣いたり混乱を示したりせず、養育者の再会時に養育者から目をそらしたり、明らかに養育者を避けたりするような行動を一貫して示す乳児は、安定型に分類される。

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  • 87

    毛布やぬいぐるみなど、乳幼児が愛着を示す特定の対象を移行対象という。ウィニコット(Winnicott, D.W.)は、移行対象が、主観的体験様式から客観的体験様式への、また、母子未分化な状態から分化した状態への「移行」を阻害するものであるとし、移行対象を持たない方が望ましいと考えた。

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  • 88

    一般に、加齢に伴って記憶の低下が自己報告されることが多い。実際、実験室実験や大規模縦断調査による検査結果などの客観的なデータにおいても、加齢による記憶成績の変化は記憶の種類を問わず緩やかな減衰曲線を示す。

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  • 89

    一般に、加齢に伴って認知症の発症率は高くなり、80歳以上では20%を超える。「聞いた話の内容を忘れる」、あるいは「人の名前や固有名詞を思い出せなくなる」といった、通常の記憶の加齢変化は、認知症の前駆症状であると考えられる。

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  • 90

    一般に、加齢に伴って知覚機能では、脳神経系の老化を反映して「細かい文字が読みにくくなる」「高い音が聞こえにくくなる」などの機能低下が現れるが、認知的な加齢変化はこうした脳神経系の変化とは関係のない現象と考えられている。

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  • 91

    一般に、文化・社会的な影響を受けやすい流動性知能は加齢に伴って上昇する、あるいは高レベルで保持されていくが、状況との適応的な相互作用として現れる結晶的知能は加齢に伴って低下していくことが知られている。

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  • 92

    一般に、加齢に伴って、生理的・身体的な機能低下のほかに、退職や近親者との死別など、社会的関係性の変化なども発生するが、認知的な加齢変化にはそうした喪失や損失に対する補償や適応のプロセスが反映されていると考えられている。

  • 93

    ピアジェ(Piaget, J.)は、道徳性の発達を、大人からの拘束による他律的な道徳観から、仲間との協同による自律的な道徳観への変化として捉えた。つまり、一方的に大人の価値観を押し付けるだけでは他律的な道徳性しか育たず、子どもが仲間や社会に働きかけることによって自律的な道徳性が育つと考えた。

  • 94

    コールバーグ(Kohlberg, L.)は、ピアジェの認知発達的な考え方を引き継ぎ、罰と服従の志向(罰や制裁を回避し、権威に対して服従していく)から、法と秩序志向(決められた義務を果たし、社会秩序を守る)までの6段階の道徳性の発達段階を提唱した。

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  • 95

    ギリガン(Gilligan, C.)は、コールバーグの理論が西洋人中心の考え方であると批判し、道徳性の発達には文化による違いがあり、東洋人は、人間関係、気配り、共感などを主要とする「配慮と責任」の道徳性を発達させるとし、5段階の発達段階を提唱した。

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  • 96

    チュリエル(Turiel, E.)は、道徳的な判断や行動の基盤となる社会的認識には、「道徳(正義や福祉や権利といった価値概念)」、「慣習(社会システムに関する概念)」、「個人(個人の自由や意志に関する概念および自己概念)」という3領域があり、これらの概念間の調整が道徳の発達において重要であるとした。

  • 97

    他の個体が近くに存在することにより課題遂行が促進される現象は、オルポート(Allport, F.H.)により社会的促進と名付けられた。この現象は、社会的動物と言われる人に特有の現象であり、社会的昆虫と言われるアリには見られないことがわかっている。

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  • 98

    人の場合には、社会的促進の現象は課題が単純な場合にはみられ、課題が複雑になるとむしろ課題遂行が抑制されることが知られているが、ゴキブリの場合には、課題が単純であるか複雑であるかにかかわらず、社会的促進の現象がみられる。

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  • 99

    社会的促進の機制について、ザイアンス(Zajonc, R.B.)は、他の個体が近くに存在すると覚醒水準(arousal level)が高まり、そのため、習熟している課題では、その課題に対する正しい反応(支配的反応又は優勢反応)の生起率が高まるという仮説を提唱した。

  • 100

    人の場合には、他者の存在により、単純な課題遂行であっても遂行量が抑制される現象も観察される。ラタネ(Latané, B.)らは、単純な作業を真面目にやることで他者から馬鹿にされるのではないかという評価懸念が高まるためだとして、これを社会的手抜きと呼んだ。

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