私法は、私人に向けたものであり、裁判所に向けたものではない。

行政法は、一次的には行政機関に向けられた行為規範である。

行政権は内閣に属し、法の執行機関として行政活動を統括する地位にある。

行政主体とは、法人格を持つ行政上の権利義務の帰属主体である。

統治団体として行政上の権利義務の主体となりうる地位を有するのは、国のみである。

「職」とは、細分化された国家の事務の最小単位であって、客観的に一定範囲に固定化されている。

行政組織における行政事務の配分の最大単位となるのは、国家行政組織法において定める「省、委員会及び庁」のいわゆる3条機関である。

行政庁とは、行政主体の意志を決定し、これを外部に表示する権限を与えられている行政機関をいう。

明治憲法においても、内閣は法律で規定すべきとされ、内閣法が制定されていた。

明治憲法の下では、内閣は憲法上の機関ではなく、天皇に官制大権があり、国会は行政組織に関与することはできなかった。

行政組織法の例としては、国家行政組織法、警察法及び警察官職務執行法などがある。

明治憲法においても、地方自治を保障する旨の規定はあった。

現行憲法は、行政組織の編成について、行政組織法定主義を採用しているものの、具体的な規定は置いていない。

憲法７２条において、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督するとあるが、行政各部とは、内閣の統轄の下で行政事務を分担する行政の各部門を意味し、国家行政組織法に定める「省、委員会及び庁」がこれに当たる。

内閣総理大臣は、憲法７２条の規定により、単独で行政各部の指揮監督をすることができる。

内閣総理大臣は閣議決定に基づいて行政各部を指揮監督しなければならない制約があるが、この根拠は、憲法74条から導かれる分担管理原則である。

分担管理原則とは、内閣に属する事務は、内閣総理大臣その他の国務大臣に分担して管理しなければならないことを意味する。

分担管理原則によれば、合議体としての内閣は、憲法73条に列記された事務を除くほかは、各省大臣の分担管理する行政事務に対して統轄する権限しか有していない。

近時は、官僚に対する政治の優位性、とりわけ首長としての内閣総理大臣のリーダーシップの強化が主張され、総理大臣の権限を拡大することで内閣強化の法改正がなされてきた。

分担管理原則は、憲法上絶対的なものである。

会計検査院と内閣の補助機関は、内閣の統轄下にあるため、国家行政組織法の規律に服する。

日本国憲法は、内閣総理大臣の地位と権限の強化を図ったが、一方で行政権は内閣に属するとして内閣中心主義を採用しているため、内閣総理大臣の優位性には制約がある。

内閣総理大臣は、①内閣の首長であって国務大臣の任命・罷免権を有し、行政各部の指揮監督権を持つ、②内閣府の主任大臣として内閣府の事務を分担管理する、③内閣直属の補助部局が担当する事務について主任大臣となる、という3つの法的地位を併有している。

国務大臣は、原則として、主任の大臣として行政事務を分担管理するとされており、これを国務大臣＝行政大臣同一人制という。

内閣法において、国務大臣の数は１４人以内とし、特別に必要のある場合は、１７人以内とすることができるとされており、現在は最大限の１７人の国務大臣が存在する。

分担管理原則は、行政権限をコントロールする機能を有していたが、グローバル化が進展し、この原則だけでは国内外の状況を的確に対応することが困難となったため、分担管理原則を遵守しつつ行政各部間の政策調整をするため、内閣補助部局が作られた。

内閣の機能を強化し、内閣総理大臣がリーダーシップを十分に発揮できるような仕組みとして、内閣補助部局が設けられた。

人事院は、内閣補助部局の一つに挙げられるので、内閣の統轄の下にある。

内閣官房は「知恵の場」として位置づけられ、内閣府は「戦略の場」として位置づけられている。

内閣官房副長官は、天皇の認証官とされている。

内閣府の所掌事務には、内閣補助事務と分担管理事務という2種類の事務があり、どちらにおいても、各省より上位に位置づけられている。

上級機関がその所掌事務につき指揮命令権に基づいて下級機関に対して発する命令を訓令といい、それを文書化したものを通達という。

法治国家論は、イギリスで生まれた。

法の支配は、英米系法である。

法律の優位の原則は、法の支配の概念である。

法律の留保の原則は、法の支配の概念である。

法律の法規創造力の原則は、法治国家論の概念である。

憲法99条において憲法尊重義務が規定されていることから、国民にも憲法尊重義務がある。

授権執行の原則とは、行政権は、法律の授権があって初めて法律を執行することができるという原則であり、法治国家論の概念である。

法治国家論の下では、天皇が握る行政権は自由なものであり、原則として法律がなくても活動することができたが、自由と財産を制約するような法律については、法律の根拠が必要とされる。

適法処分の原則とは、私法における権利義務関係は、基本的には当事者の対等な意思の合致によって発生し、他から強制されないという原則であり、法の支配の概念である。

法律による行政の原理は、日本国憲法の成立によって崩壊した。

法の支配から引き出された法執行の原理を、法律に基づく行政の原理という。

法治国家とは、警察国家と同義であって、絶対主義国家において成立し、人民の権利を守ることを基本理念とする。

明治憲法下の法治国家においても、司法国家制度が確立しており、行政裁判所は存在しなかった。

法治国家とは、警察国家と対立概念であって、権力分立思想の下で、国家活動が法律の制限の下におかれる国家をいう。

意思自治原則の私法における発現形態が「私的自治＝契約自由の原則」であり、行政法における発現形態が「法律に基づく行政の原理」である。

適法処分の原則は、実体的適法のみを意味し、手続的適法性を要求していない。

法律の優位の原則とは、法律の形式によって表明された国家意思が、他のすべての国家意思に優越し、法律に反する他のすべての法形式は無効になることを意味する。

法律の留保の原則とは、法規を創造するのは立法権のみであるとの意味である。

手続的デュープロセスの原理は、行政の執行過程における実体法上の違法の基準となる。

( )とは、本来私人が有している自由を放置しておくと社会的弊害が生ずるので、一旦一般的に禁止の網をかけ、法律の定めた要件を充足する場合に、私人の申請に基づいて禁止を解除する行為である。

( )とは、本来私人の有していない権利能力・行為能力・特定の権利または包括的な法律関係を設定する行為である。

( )とは、一定の要件の下に私人間の法律行為を補充して法律上の効果を完成させる行為である。

( )とは、私人に対して作為、不作為、給付、受忍を命ずる行為である。

( )とは、特定の事実または法律関係を確定する行為である。

警察許可が必要な事業を許可なしに営業した場合には処罰されるが、要件を満たす場合には、必ず許可される。

厳格許可とは、本来私人が持っていない権利等を与えるものであるから、憲法２２条の保障する職業選択の自由は範疇に含まれていない。

認可のない場合、法的効果そのものが否定されることから、認可は効力要件である。

次のうち、警察許可に該当するものを全て選べ。

次のうち、厳格許可に該当するものを全て選べ。

次のうち、認可に該当するものを全て選べ。

「　　　」とは、行政処分が適法であるにも関わらず、相手方がこれに従わない場合、処分の内容を行政権が自力で執行しうる効力をいう。

「　　　」とは、処分が違法であっても、一定期間経過後は、それに不服がある者でも争うことができなくなることをいう。

「　　　」とは、一度行った処分を行政庁が自ら取り消し、または変更することができない効力のことをいう。

「　　　」とは、行政処分が権限ある行政庁または裁判所によって取り消されない限り、原則として有効とされる効力をいう。

「　　　」とは、処分が適法である場合に、相手方は表示されたところに従わなければならない効力をいう。

「　　　」とは、法定期間内に限り争訟が認められ、この期間の経過後はその効力を争い得ないことをいう。

「　　　」とは、行政処分の内容が以後、当該法律関係の基準となり、上級行政庁も裁判所も矛盾した判断をなし得ない効力をいう。

不利益処分における処分基準は、定めた上で公表しなければならない。

申請書に不備があった場合は、受理を拒否する処分をしなければならない。

聴聞と弁明の機会付与のうち、原則であるのは聴聞である。

聴聞調書は、審理が行われた場合には聴聞期日ごとに作成しなければならず、当該期日に審理が行われなかった場合には、聴聞の終結後速やかに調書を作成することとなっている。

不利益処分における聴聞の主宰者は、必ず複数でなければならない。

申請に対する処分について、審査基準を定めるよう努めなければならない。

行政庁は、不利益処分をする際の処分基準を定め、公表しておくよう努めなければならない。

行政庁は、申請によって求められた許認可等を拒否する処分の場合には、処分の相手方に対して処分理由を提示しなければならないが、不利益処分の相手方に対して書面で処分するときは、書面上に理由を付記する必要はない。

行政手続法によれば、聴聞手続は１日で終了することが期待されている。

行政手続法は、処分、行政立法、行政指導、届出に関する手続について規定している。

通達は、行政機関の内部的規律に関するものであるから、違法な通達が発せられ、私人に対して不利益が及んでも、原則として、通達そのものに対して抗告訴訟を提起することはできない。

行政規則とは、行政機関によって定立される一般的定めで私人の権利義務に直接関係する性質のものをいう。

行政規則は、法律の授権なしに行政機関が自由に定立することができる。

行政代執行ができる対象は、代替的作為義務及び受忍義務である。

執行罰は、不作為義務又は他人が代わってすることができない義務の履行を間接的に強制するため金銭給付義務としての過料を課すもので、現行法には一切ない。

行政刑罰には、刑法総則が適用される。

代執行は、行政庁自ら行うのであって、私人である第三者に行わせることはできない。

行政刑罰を課すには、必ず法律の根拠が必要である。

行政罰は、刑罰を科すものであるが、刑法総則の適用はない。

行政罰は、過去の行政上の義務違反に対する場合のほか、将来にわたって義務の履行を強制するためにも科される。

行政上の秩序罰は、行政上の秩序を維持するために過料を科すものであって、行政罰の一種であり、刑法総則の適用はない。

即時執行とは、行政上の強制執行と同じく、行政上の義務の履行を将来に向かって強制する作用である。

直接強制は、現行法上、一般的制度としては存在しておらず、条例を根拠に直接強制を設けることはできない。

条例によって行政上の強制執行を創設することはできないと解されている。

庁舎の明け渡しや立ち退きは、非代替的作為義務であるから、代執行を行うことはできないが、部屋に存置されている物件の搬出を代執行の対象とすることはできる。

代執行の手続的要件としては、文書による戒告と代執行令書による通知が必要である。

裁量行為における事実認定に誤認があったとしても、司法審査はできない。

国立大学における懲戒処分について、裁量権を認めた判例がある。

行政裁量は、裁量を超えた場合又は濫用の場合のみ、司法審査ができる。

在留期間の更新は、覊束裁量行為である。