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民法 物件
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    問題一覧

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    第一章 物権

    財産法 ​・物権:物に対する直接的・排他的な支配を内容とする権利 ​・債権:人に対する一定の行為を要求することを内容とする権利 ​⇒ 契約による物権・債権の両方の変化を理解する 1 物権 ①物権:物に対する直接的・排他的支配権 ②物権の性質 (Aランク) (物権) ・直接性(他人が介在しない) ・絶対性(誰にでも主張できる) ・排他性(同一の物権は1つのみ。対抗要件を要する)※一番抵当権、二番抵当権等がそれぞれ別の物件 (債権) ・他人が介在 ・特定の債務者にのみ主張できる ・同一の債権は複数可 ③物権の客体 (1) 一物一権主義:物権の客体は原則として特定の独立した単一の物。​注)≒排他性 ​・独立性:×物の一部・構成部分​ (例)車のバンパー→取引通念で決める ・​単一性:×集合物​(例)教室にある椅子30脚 (2) 一物一権主義の趣旨:社会的必要性と公示が困難 ⇒ 社会的必要性あり・公示可能ならば例外可 (3) 一物一権主義の例外 ​・独立性:〇一筆の土地の一部(要登記) ・ 立木(要明認方法) ・未分離の果実(要明認方法) ​単一性:〇譲渡担保(要目的物の範囲を特定)※例:工場内の機械一式 ④ 物権法定主義175:物権の種類及び内容に関する規定は強行規定 ⑴趣旨:取引安全 ⇒ 害さないなら例外可 ⑵例外:譲渡担保権

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    第二章 物権変動 A+

    1 物権変動 ①物権変動:物権の発生・変更・消滅 ⑴発生:原始取得-建物新築・時効取得等、​承継取得-契約・相続等 ⑵変更:物権の内容を変更-抵当権の順位を変更等 ⑶消滅:目的物滅失・所有権放棄・消滅時効(所有権・占有権以外)・時効取得による反射的効力 ②混同による消滅179 ⑴ 原則 ​・所有権と「他の物権(=制限物権)」の同一人への帰属 ​⇒ 他物権が消滅179Ⅰ ​・所有権以外の物権とこれを目的とする他の権利の同一人への帰属 ​⇒ その権利が消滅179Ⅱ  (179②の例:Aが地上権を保有。BがAの地上権に抵当権を設定。→AがBの抵当権を取得。→抵当権は消滅する) ⑵例外:消滅する権利等が第三者の権利の目的 ⇒ 第三者のためまたは自己のために消滅しない (第三者のための例):Aが土地所有。Bがこの土地に地上権。CがBの地上権に抵当権を設定→BがAから土地を取得。Bは自己の土地に地上権を有することになるが、地上権を消滅させるとこの地上権に抵当権を設定しているCを害するため、地上権は消滅しない (自己のための例):Cが1000万円の土地所有。Aが一番抵当権(800万円)Bが二番抵当権(600万円)→AがCから所有権を取得。この場合、混同によりAの一番抵当権を消滅させると、Bが一番抵当権者となり、Bが600 万円、残り400万円をAがえることになり、Aを害するのでAの一番抵当権は消滅しない ⑶例外の例外(A+):付従性から消滅する ⇒ 被担保債権が消滅するかをチェック ​・代物弁済によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ・​単独相続によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ⑷ 占有権:混同は占有権には適用しない179Ⅲ ⇒ 占有権は混同によって消滅しない 2 契約による物権変動 契約による物権変動に必要な行為 ①意思主義と形式主義 ​・意思主義:意思表示​→ 物権変動 ​・形式主義:意思表示 + 形式(登記・引渡等) ​→ 物権変動 ​⇒ 日本国民法は意思主義を採用 = 意思表示のみで物権変動が生じる176 ② 物権行為の独自性 Aランク:176の意思表示は債権的意思表示だけでなく物権的意思表示を意味するか Q 売買契約等の債権契約の他に、常に物権契約を必要とするか Aランク ・​独自性肯定説(反対説):176は独自の意味あり → 物権的意思表示は必要 → 売買と物権移転の合意が必要 ・​独自性否定説(判例):176は独自の意味なし → 物権的意思表示は不要 → 売買の合意のみが必要 ​・通説の根拠:176から素直 物権変動の時期 Q 物権変動はいつ生じるのか A+ ① 問題の所在:「意思表示のみによってその効力を生ずる」176から問題 ② 物の分類:特定物と不特定物 ​特定物​:当事者が個性に着目した物​(例)中古車、土地 ​不特定物​:当事者が個性に着目しなかった物​(例)新車 ③判例・通説 ​・特定物​:特約なき限り、原則として契約をした時 ・​不特定物​:原則として、目的物が特定した時 ​⇒ 不特定物は契約時にはどの不特定物が自分の物なのか不明であるため ④ 根拠:意思主義の原則 = 176から素直 対抗要件主義 A+ ①対抗要件主義​:意思表示によって生じた物権変動を第三者に対して対抗するには対抗要件が必要 ・成立要件主義​:意思表示 + 登記 → 物権変動 この場合の登記は物権変動成立の要件 ② 対抗要件:物権変動を第三者に対して主張するための要件 ​不動産​:登記177 ​動産​:引渡178 ​∵ 第三者に対する外部的徴表の必要 ③第三者 ・​177の第三者:当事者及びその包括承継人以外のもので、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者 ​・178の第三者:当事者及びその包括承継人以外の者で引渡の欠缺を主張する正当な利益を有する者 ​(例)不要:売主・不法占拠者・不法行為者 ​必要:善意の第三取得者 公示の原則と公信の原則 ①公示の原則:物権変動は常に外界から認識しうる何らかの表象を必要とするという原則177 ⑴公示の方法​:不動産-登記 ​         動産 -引渡 ⑵機能​:存在するものを存在するものとして扱う ⑶保護される信頼​:消極的信頼(物権変動がないという信頼) ​(例)公示がないから抵当権なし ②公信の原則:真の権利状態と異なる公示が存在する場合、信頼した者に公示通りの権利があったと保護 ⑴適用の対象​:動産192 ⇒ 不動産は対象外 ⑵機能​:存在しないものを存在するものとして扱う ⑶保護される信頼​:積極的信頼​ (例)公示がある以上所有権はある

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    混同179の例外の例外 代物弁済のケース

    ⑶例外の例外(A+):付従性から消滅する ⇒ 被担保債権が消滅するかをチェック ​・代物弁済によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ※債務者Aが債権者Bに対して土地を引渡して代物弁済 →代物弁済のより被担保債権が消滅し、付従性からBの抵当権も消える →債権者Cの抵当権が第一抵当権となる

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    混同179の例外の例外(単独相続のケース)

    ⑶例外の例外(A+):付従性から消滅する ⇒ 被担保債権が消滅するかをチェック ​ ・​単独相続によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ※債権者Aが債務者Bを相続したことにより、被担保債権に債権の混同が生じ、消滅520→Aの1番抵当権も消滅

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    3 不動産登記

    不動産登記 ①登記:国が作成管理する登記簿に物権変動及びその内容を記載すること、または、記載された内容自体 ​⇒ 各地の法務局またはネットで誰でも取得できる(有料)∴ 公示になる ②登記の種類 ⑴表題部:物理的状況を記録:  所在・地番・地目・地積・原因・所有者 ⑵権利部:権利に関する登記が記録 ​甲区:所有権に関する事項を記録 ​乙区:所有権以外に関する事項を記録 ⑶共同担保目録:一つの債権の担保となっている複数の不動産を一覧にまとめたもの ③効力による分類 ​・本登記:対抗力を発生・変更・消滅させる登記。終局登記 ・​仮登記:将来されるべき登記の順位をあらかじめ保全するための登記。予備登記 ​⇒ 仮登記は、対抗力はない ・ 順位保全効はある + 遡及効はない(判例) ​⇒ 登記は早い順位を優先 (例) 10/1 AB 売買 、 B仮登記 ⇒ 対抗力なし。 順位保全効あり 11/1 AC売買、 C登記  対抗力あり=BはCに対して対抗不可 12/1 B本登記  ⇒ BはC対して 10/1の時点での順位を主張可。遡及効はない →12/1からは自分=Bは所有者と対抗可 ⇒Cの登記は職権で抹消 ④手続:原則、当事者の申請による ⇒ 申請主義+共同申請(登記義務者及び登記権利者) ​・登記権利者:登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける登記名義人​(例)買主 ​・登記義務者:登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人​(例)売主 ​⇒ 実務では、司法書士が双方代理で行う。判例上も可 ⑤登記の有効要件: 形式的要件+実質的要件  ⇒欠けていれば無効=対抗力なし 登記請求権 B+ ①登記請求権:登記権利者が登記に協力しない登記義務者に対して登記申請に協力せよと請求する権利 ​⇒ 登記の移転や抹消を請求する権利。多くは買主が売主に請求 ②法的性格 ​・物権的登記請求権​:物権に基づき登記の移転・抹消を請求する登記請求権​⇒ 消滅時効にかからない ​・物権変動的登記請求権​:物権変動自体から生じる登記請求権​⇒ 所有者以外も可 ※土地所有者AがBに譲渡。BはCに譲渡。Cに所有権があるのでBが物権的請求権を失うが、物権変動的請求権でAに登記の移転を請求できる ​・債権的登記請求権​:売買等の債権的な契約から生じる登記請求権​⇒ 消滅時効にかかる ​⇒ 契約時に物権的・債権的が可+どちらでも可、 物権変動的は物権的ができない場合 ③中間省略登記:ABCと所有権移転したが中間者Bを省略して登記する場合 ∵ 経費削減 Q 合意による中間省略登記は有効か ①判例通説:全員の合意があれば有効 ∵ 現在の権利関係については合致 ②変遷:初期は無効 → 有効と評価 → H17不動産登記法改正で不可 → 新・中間省略登記で可 Q 中間者の同意を得ずになされた場合の処理 ① 対抗力の有無​:対抗力あり(判例) ∵ 現在の権利関係については合致 ② 中間者の抹消請求の可否​:533等の抹消を求める正当な利益を有しなければ不可(判例) ※Aが土地をBに譲渡。さらにBがCに譲渡。BがまだCから代金を支払われていない場合、中間省略登記を認めると、533を持っているにもかかわらずその効果がなくなってしまう。この場合、抹消を求める正当な利益があると言える。 Q Cによる中間省略登記請求の可否 ①判例​:中間者の同意がなければ請求不可 ​+ 中間者の同意があれば請求可 ②根拠​:不動産登記法上の理想を重視すべき​+ 現在の権利関係については合致 ③代位行使423の可否​:可 + Bの無資力要件は不要(判例)

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    4 不動産物権変動と対抗要件

    対抗 ①対抗:第三者に対し自己の物権を主張すること ​⇒ 対抗要件がないと177・178の第三者に対抗できない = 権利があるだけでできるのではない Q 二重譲渡が認められるのはなぜか ​注)深入りするな。時間がない。 ①不完全物権変動説:登記なくとも当事者間で物権変動は生じるが排他性のない不完全なもの ​⇒ 譲渡者は完全な無権利者ではない + 登記を備えることで完全な物権変動となる Q 177の第三者が物権変動を認めることはできるか ①結論:可能 ∵ 対抗要件は主張の要件 = 自分から177の第三者に主張するために必要なもの ※AがBとCに二重譲渡。C登記を備えた。このとき、CのほうからBの所有だと求めることが可能ということ 二重譲渡と他人物売買の区別(A+) ・​二重譲渡​:排他性を備える前に行った場合 ​⇒ 有効 ​・他人物売買​:排他性を備えた後に行った場合 ​⇒ (物権的には)無効 ※不完全物権変動説→登記備えた時点で完全な物権変動となり排他性を備える 第三者の範囲 ①177の第三者:当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者 ・​177の第三者にあたる者 ​⇒ 登記なくして対抗できない ・​177の第三者にあたらない者 ​⇒ 登記なくして対抗できる ② 177の第三者にあたる者:二重譲渡の譲受人 ③ 177の第三者にあたらない者 ⑴不動産登記法5列挙者​:詐欺・強迫によって登記を妨げた者等​⇒ not正当 ⑵無権利の名義人​:勝手に登記、94Ⅱ(通謀虚偽表示)の相手方、錯誤無効の相手方​⇒ not正当 ⑶ 不法占拠者・不法行為者​:賃貸借契約終了後に明渡拒否する賃借人、放火犯​⇒ not正当  ※ 住んでいる家の登記がなくても放火犯に対応でき、損害賠償請求もできる )⑷前主・後主の関係​:前の持主・後の持主、相続人​⇒ 当事者類似 Q 不動産の譲受人が賃借人に対してその不動産の明渡を請求する場合の登記の要否 ①判例:登記が必要 = 賃借人は177の第三者にあたる ②理由:賃貸人たる地位が所有権と共に移転 Q 不動産の譲受人が賃借人に対して賃料請求等をする場合の登記の要否 ① 判例:登記が必要 = 賃借人は177の第三者にあたる ② 賃料の二重払いを回避する必要 + 上記② 第三者の主観的要件 Q 悪意の第二譲受人が177の第三者にあたるか ①背信的悪意者排除論(判例):単なる悪意者はあたるが背信的悪意者はあたらない ​・善意者​⇒ 第三者にあたる ​= 登記なくして対抗できない ​・悪意者​⇒ 第三者にあたる ​= 登記なくして対抗できない ​・背信的悪意者​⇒ 第三者にあたらない ​= 登記なくして対抗できる ② 根拠 ⑴ 自由競争の範囲内において登記の有無によって画一的に決する ⑵自由競争の範囲から逸脱する様な背信的悪意者は信義則1Ⅱ上、第三者にあたらない ③背信的悪意者:不動産登記法5列挙者、第一譲受人に高く売る目的、嫌がらせ・妨害目的 Q 背信的悪意者からの転得者は177の第三者にあたるか A+ ①判例:転得者自身が背信的悪意者でない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由: 1Ⅱ 信義則ゆえに登記の欠缺を主張できないのは背信的悪意者の一身専属的なもの + AC間の売買自体は有効  ※ 背信的悪意者でもCは無権利者ではない Q 善意者からの背信的悪意者は177の第三者にあたるか A+ ①絶対的構成:善意者をわら人形として利用したのでない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由​:法律関係の早期安定と簡明 Q 登記を備えられなかった第一譲受人の売主への対応 ①結論:売主に対して債務不履行に基づく損害賠償請求415及び契約の解除をしてから703 ② 要点:第一譲受人は物権的には保護されない(第二譲受人が登記を備えた時点で排他性をもつ) ⇒ 債権的には別問題 ⇒ 物権・債権を検討 Q 背信的悪意者であるがゆえに対抗できない譲受人の売主への対応 B ①債務不履行責任 ​⇒ 不可   ∵ 債務履行済 ②他人物売買の担保責任 ​⇒ 不可   ∵ 自己物売買 ③不法行為に基づく損害賠償請求709 ​⇒ 特別の事情があれば認められうる 登記を対抗要件とする物権変動 Aランク Q いかなる物権変動に関して登記を必要とするか=意思表示以外にも必要となるか ①反対説・旧判例:176の次に177 ∴ 177は意思表示を原因とするものに限定 ​⇒ 時効取得・相続等では177は適用されない ②通説・現判例:177は176と異なり文言に制限なし ∴ 177は意思表示に限定しない ​⇒ 時効取得・相続等でも177は適用 ①取消と登記 Q 取消後、被詐欺者等が登記を復帰させる前に登場した第三者の保護 ①判例:復帰的物権変動=対抗関係にあり、登記を備えた方が保護される ②理由:二重譲渡類似。登記を怠る者に帰責性ある ③取消と第三者保護 ・制限行為能力取消 取消前の第三者:保護なし 取消後の第三者:177 ・詐欺取消 取消前の第三者:96条Ⅲ項(善意無過失なら保護) 取消後の第三者:177 ・強迫取消 取消前の第三者:保護なし 取消後の第三者:177 ④解除と登記 ⑴解除​:一定の事由により生じた解除権を行使することで、契約を消滅させる制度 ​⇒ 契約自体は有効に成立。解除されるまでは有効 ⑵解除の効果​:原則として、遡及的に無効 ⇒ 原状回復義務が発生 Q AB売買の後、Bの代金未払いにより解除。この場合にBからの転得者Cの処理 Aランク ① 結論 (解除前後で結論が違う) ・解除前の第三者 →結論)権利保護要件としての登記必要  主観)不問 (善意悪意関係ない)  理由)遡及効の制限545Ⅰ但 → 保護する要件 ・解除後の第三者 →結論)対抗要件としての登記必要  主観)不問  理由)復帰的物権変動 → 対抗関係 ②判例(反対説):解除前の第三者は対抗要件としての登記必要 (批判)解除前はAとCは対抗関係にない ③登記の種類 ​・対抗要件としての登記​:自己の物権を第三者に主張するために必要となる登記 ​・権利保護要件としての登記​:第三者として物権を保護されるために必要となる登記 ​⇒ 対抗関係の有無 + 登記を取得する時期(対抗要件=主張時のみ ・ 権利保護要件=解除時等)で区別 取得時効と登記 (A ランク) ※判例と事例を抑える ​・基本:時効取得 → 当事者類似 ∴ 登記なく対抗可 + 反射効により消滅 → 登記請求or 確定判決 ​⇒ 問題の所在:第三者が出現した場合、登記が必要か Q 時効による所有権の取得を第三者に対抗するのに登記が必要か ① 判例 ​・時効完成前の譲受人:時効取得者と登記名義人との関係は当事者類似 ​⇒ 登記なくして対抗できる ※当事者類似がポイント。所有者と時効取得した占有者の関係と類似。 ・​時効完成後の譲受人:元所有者を起点とした二重譲渡類似 ​⇒ 登記なくして対抗できない ② 時効の起算点:占有の開始時に固定162Ⅱ参  ※時効取得者が任意に起算点を選べるとすると、時効取得者に有利(時効取得者は登記なくして対抗できる)な時効完成前の第三者になるように扱われてしまうのでそれを防ぐ Q 時効完成後に第三者が登記を備えたので対抗できなくなった後、さらに時効期間が経過した場合 ※事例)B所有の土地。Bが時効取得。その後、AがCに譲渡しCが登記。C登記後にさらにAの時効取得の時効期間が経過。 ①判例:再度の時効期間を経過すれば、当事者類似 ∵ Cの不動産をAが占有して時効取得 ②結論:AにとってCは177の第三者ではない=登記なくしてAはCに対抗できる Q 時効完成後の抵当権設定後、さらに時効期間が経過した場合 ①判例H15.10.31 ⑴ 抵当権設定:第三者との関係では登記なくして対抗できない ​⇒ 図③の時点ではXに抵当権の負担有 ⑵ 時効取得と援用:時効期間経過時に所有権発生(=援用時ではない)+ 援用により確定的に取得 ​⇒ 図②の登記前に図③をしていれば対抗可 ⑶ 再度の時効取得:不可 ∵ 援用により既に所有権を確定的に取得 ※時効の完成の前後は時効期間経過の有無で決まる。援用は関係ない。 Q 時効完成後の抵当権設定後、援用・登記なくさらに時効期間が経過した場合 ①判例H24.3.16 ​取得時効完成後、所有権移転登記なし。 その後、第三者が抵当権設定登記​。その後、さらに時効期間が経過し、援用+登記 ↓ 抵当権消滅した所有権を取得できる(原始取得できる) 相続と登記 (Aランク) ​・基本:死亡=相続開始 → 相続人全員の共有財産 → 遺産分割=相続開始時から効力発生 → 相続登記  ※死亡=相続開始がポイント  ※遺産分割=死亡の時点に効果が遡る→死亡から遺産分割までの間に現れた第三者が問題 ①被相続人からの譲受人と相続人との関係 Q 被相続人からの譲受人は相続人に対して登記なくしてその物権変動を対抗できるか  ※譲受人に登記はない。登記があれば問題にならない。 ⑴判例:対抗できる ⑵理由:包括承継 → 譲受人との関係は当事者類似=対抗関係ではない ②共同相続と登記 ​単独相続:相続人が1人の場合​   (例)1人以外の全員が相続放棄 ​共同相続:相続人が複数の場合 Q 相続人Aが勝手に単独名義の登記+譲渡した場合、他の相続人Bは登記なくして持分を対抗できるか ⑴判例:登記なくして第三者に自己の持分を対抗できる + 第三者保護は94Ⅱ類推等で図る ​⇒ Aの持分は有効 ∵ 共同所有での共有は持分の処分は自由 ⑵理由:AはBの持分については無権利 + 登記に公信力はない + 共同相続段階での登記は不要 ③相続放棄と登記 Aランク ⑴相続の方法 ​・単純承認:被相続人の+の財産もーの財産も全て承継する ​⇒ 一般的な相続 ​・相続放棄:被相続人の+の財産もーの財産も全て承継しない ​⇒ 負債が多い場合 ・​限定承認:被相続人の+の財産の範囲内でーの財産も承継する ​⇒ 負債が不明な場合 ⑵相続放棄の効力939:相続放棄の効力は遡及する + 第三者保護規定なし(909と比較) ⑶法定単純承認921:処分Ⅰ・期間徒過Ⅱ・背信行為Ⅲ があると単純承認が擬制 Q AB相続 → Aが相続放棄しBが登記をしない → Aの債権者がA持分を差押 → Bは登記なくYに対抗できるか ⑴ 判例:BはA持分を登記なくしてYに対抗できる ⑵ 理由:相続放棄の遡及効の徹底939 + 放棄できる期間が短い915Ⅰ + 第三者は確認できる938 ​⇒ 差押でなく売買の場合は法定単純承認921で単純承認 ④ 遺産分割と登記 ⑴遺産分割の種類 ・​指定分割:被相続人の遺言書等による遺産分割 ​⇒ 法定相続に優先、被相続人の意思を尊重 ​・協議分割:相続人の協議による遺産分割 ​⇒ 相続人全員で行い、遺産分割協議書を作成 ⑵遺産分割の効力909:遺産分割の効力は遡及する + 第三者保護規定あり(939と比較) Q AB相続 → Aは遺産分割によりA持分をBへ → Aの債権者YがA持分を差押 → 登記なく対抗できるか ⑴ 判例:BはA持分を登記なくしてYに対抗できない ⑵理由:909は新たな物権変動と同視 ・ 第三者保護規定あり=遡及効徹底しない + 期間制限なし(第三者が現れることは十分考えられる)・家裁に行って確認もできない ※差押でなく売買の場合も同様  ※差押 → 分割 の場合は909但で保護(登記要・善意悪意不問) 遺贈と登記 B+ ​・遺贈​:遺言により財産を無償で譲渡 ​⇒ 受遺者に制限なし・単独行為 ​・死因贈与​:死亡によって効力を生ずる贈与契約 ​⇒ 受贈者に制限なし・契約 ​⇒ 遺贈:遺贈者 → 受遺者    ​死因贈与:贈与者 → 受贈者 Q 受遺者Bが登記をしないでいる間に相続人Aの債権者Yが差押えた場合登記なく対抗できるか ※Bは相続人ではない ①判例:登記なくして対抗できない ②理由:遺贈は意思表示に基づく物権変動でAとXは同一人格 ∴ BとYは対抗関係 Q 相続させる趣旨の遺言によって取得後、登記をしないでいる間に相続人Aの債権者Yが差押えた場合(Aランク) ①相続させる趣旨の遺言:特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言 ②判例:登記なくして対抗できる ③理由:何らの行為を要せず、死亡時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される

  • 7

    二重譲渡と他人物売買の区別(A+)の図

    二重譲渡と他人物売買の区別(A+) ・​二重譲渡​:排他性を備える前に行った場合 ​⇒ 有効 ​・他人物売買​:排他性を備えた後に行った場合 ​⇒ (物権的には)無効

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    177の第三者にあたらない者(前主・後主の関係​の図)

    :前の持主・後の持主、相続人​ ⇒ 当事者類似 写真の図でA Bは第一売買の当事者、BCは第二売買の当事者で177の第三者にあたらない さらに、A C間も当事者類似なので177の第三者にあたらない

  • 9

    Q 背信的悪意者からの転得者は177の第三者にあたるか

    ①判例:転得者自身が背信的悪意者でない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由: 1Ⅱ ∴ 登記の欠缺を主張できないCの背信的悪意者の地位は一身専属的なもの + AC間の売買自体は有効

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    Q 善意者からの背信的悪意者は177の第三者にあたるか

    ①絶対的構成:善意者をわら人形として利用したのでない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由​:法律関係の早期安定と簡明

  • 11

    時効取得と登記 :時効の起算点(図)

    ② 時効の起算点:占有の開始時に固定162Ⅱ参 ※時効取得者が任意に起算点を選べるとすると、時効取得者に有利(時効取得者は登記なくして対抗できる)な時効完成前の第三者になるように扱われてしまう

  • 12

    Q 時効完成後の第三者による抵当権設定・登記後、さらに時効期間が経過した場合

    ①判例H15.10.31 ⑴ 抵当権設定:第三者との関係では登記なくして対抗できない ​⇒ 図③の時点ではXに抵当権の負担有 ⑵ 時効取得と援用:時効期間経過時に所有権発生(=援用時ではない)+ 援用により確定的に取得 ​⇒ 図②の登記前に図③をしていれば対抗可 ⑶ 再度の時効取得:不可  ∵ 援用により既に所有権を確定的に取得

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    Q 相続人Aが勝手に単独名義の登記+譲渡した場合、他の相続人Bは登記なくして持分を対抗できるか

    ⑴判例:登記なくして第三者に自己の持分を対抗できる ∵Cは177の第三者に当たらない + ただし、第三者保護は94Ⅱ類推等で図る余地あり(Bに帰責性がある場合) ​⇒ Aの持分は有効 ∵ 共同所有での共有は持分の処分は自由 ↓ CとBの共有となる ⑵理由:AはBの持分については無権利 + 登記に公信力はない(登記を第三者が信じても保護されない) + 共同相続段階での登記は不要(登記していなかったことに帰責性なし)

  • 14

    Q AB相続 → Aが相続放棄しBが登記をしない → Aの債権者がA持分を差押 → Bは登記なくYに対抗できるか

    ⑴ 判例:BはA持分を登記なくしてYに対抗できる ⑵ 理由:相続放棄の遡及効の徹底939 + 放棄できる期間が短い(3ヶ月)915Ⅰ (その間に差し押さえはされることは少ない)+ 第三者は確認できる938 ​⇒ 差押でなく売買の場合は法定単純承認921で単純承認

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    Q 相続させる趣旨の遺言によって取得後、登記をしないでいる間に相続人Aの債権者Yが差押えた場合(Aランク)

    ①相続させる趣旨の遺言:特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言 ②判例:登記なくして対抗できる ③理由:何らの行為を要せず、死亡時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される(共有になったりしない)

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    5 動産物権変動と対抗要件

    ①基本:動産物権変動の対抗要件=引渡し178:一方から他方へ物の支配を移転 ② 178の引渡しの種類 Aランク ⑴現実の引渡し​: 私があなたに渡した ⑵簡易の引渡し​: 既に渡した ⑶占有改定​  :私が持つが渡した​ ⑷指図による占有移転​: 他人が持つが渡した ⑵⑶⑷: 観念的引渡し(渡してないけど渡したことにする) ③現実の引渡し182Ⅰ:物理的に目的物の支配を移転 ④簡易の引渡し182Ⅱ:既に相手方が物理的に支配している物を、相手方に渡したことにする ⑴事例:賃貸してあるPS5を賃借人に売り渡す場合-貸して売った ⑵趣旨:譲渡人が目的物を取戻して改めて現実の引渡しをする無用の手間を省く ⑤占有改定183:物理的にはこちら側に物がある状態のまま、相手方のために占有する意思を表示 ⑴事例​:PS5を売り渡して所有者から賃借りする場合-売って借りた ⑵趣旨​:譲渡人が目的物を現実の引渡しをして改めて引き取るという無用の手間を省く ⑶ 183​:代理人=占有代理人 ​本人=占有代理人に占有をさせて占有権を取得する直接占有者 ⑥指図による占有移転184:物を代理人が占有し、本人が代理人に第三者のために以後占有することを命じ承諾 ⑴事例:貸している物を売った ⑵要件:譲渡人が代理人に以後譲受人のために占有を命じる → 譲受人の承諾(代理人の承諾は不要) ※ 譲受人の承諾は必要だが代理人の承諾は不要であることは頻出

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    6 明認方法 7 公信の原則 8即時取得

    6 明認方法 ①明認方法:土地の定着物についてなされる慣習上の公示方法で対抗要件として認められるもの ※ 対抗要件であることがポイント ②態様​:木の皮を削って所有者名を書く ・ 立て札を立てる ・ ロープでくくり名前を貼る ③対象​:立木・未分離果実・稲立毛(田畑にあって、まだ刈ってない米麦)等の所有権 ​⇒ 立木:土地(の一部)  =不動産。切るor仮植中の場合は動産。明認方法を備えた場合は別の独立した不動産の扱いとなる Q 対抗要件としての明認方法は存続していることを要するか ①判例:存続を要する = 消えたらなくなる ② 理由:公示方法としては不完全 Q 立木のみの二重譲渡の処理 ①判例:明認方法の先後で決する ②理由:対抗関係にある Q 土地と立木の所有者Aから共に土地を譲受 → Bは立木の明認方法・Cは土地の登記 → 立木は? ①判例:土地・立木ともにCが優先 ② 理由:立木は土地の一部で土地の対抗要件に従う。土地所有権の対抗要件として明認方法は無意味 ​⇒ 明認方法はあくまでも立木が土地と別に処分された場合の公示方法 Q Aが山林をBに譲渡する際、立木所有権を留保 → Bが立木を含めて山林をCに譲渡 → 立木は? ※Bは立木については無権利者? ① 判例:Aは明認方法なくして立木所有権を対抗できない=明認方法が必要 ②理由:立木は土地に従う → 例外の場合、公示が必要 → 所有権留保も物権変動の一部=要対抗要件 ​⇒ 取引安全のため 7 公信の原則 A+ ①公信の原則:存在しない権利が外観上存在する場合、その外観を信頼して取引した者を保護する原則 ​⇒ 動産についてのみ認める → 即時取得192 ②即時取得192 ※覚える ​・要件:有効な取引によって平穏・公然・善意・無過失で占有を開始した動産 ​・効果:所有権及び質権の原始取得 ③ 趣旨:取引安全   ∵ 公示手段として不十分 即時取得の要件 ①動産:登記・登録が対抗要件とされる動産は対象外​(例)登録済み自動車 Q 未登録自動車は即時取得が可能か ⑴判例:可能 ⑵理由:引渡しを対抗要件とする動産 Q 金銭にも192の適用があるか ⑴判例:否定 ⑵理由:金銭は所有と占有が常に一致 ⇒ 192と無関係+事後処理は不当利得703等の問題(お金を落とした人は不当利得として同額を請求できる) Q 非所有者から伐採前の立木のまま譲受され、自ら伐採した場合に立木を即時取得するか ⑴判例:否定 ⑵理由:伐採前の立木: ×動産  伐採後の立木の取得: ×取引行為 ② 有効な取引行為による取得 ⑴取引ではない​:伐採 ・ 相続 ⑵有効ではない​:制限行為能力者 ・ 意思表示の瑕疵及び不存在 ・ 無権代理 ⑶有効な取引行為​:売買契約 ​⇒ 転得者は192適用可  ※AがBに動産を譲渡し。その後、BがCへ当該動産譲渡し。このとき、Aが制限行為能力者等であり有効な取引ではなくBが即時取得できない場合でも、転得者のCには192を適用可能(Cは原始取得取得できる) ③ 平穏・公然・善意・無過失で占有を開始 ​・平穏・公然・善意​:186Ⅰにより推定される ​・無過失​:188により推定される(判例)前所有者は適法に権利を行使 ​⇒ 取引行為による占有があれば平穏・公然・善意・無過失を推定(取得時効は無過失推定なし) ④占有を始めた Q 192の占有を始めたに占有改定は含まれるか ①判例:否定=占有改定は192の占有を始めたに含まれない ②理由:占有者の占有状態に変化がない=外部から認識しえない → 肯定すると真の権利者を害する Q 指図による占有移転は占有を始めたにあたるか ①判例:あたる ②理由:外部から占有移転を認識しやすいので 盗品・遺失物の例外 Bランク ①盗品・遺失物の例外193 ⑴ 要件:即時取得に該当 + 盗品・遺失物(横領は不可) + 2年以内 ⑵効果:第三者に対し物の回復請求ができる ②回復請求194:原則、無償 ​⇒ 競売・公の市場・同種の物を販売する商人から善意で買受の場合、代価の弁償が必要 Q 2年間の間物の所有権は原権利者と占有者のどちらに帰属 ⑴判例:原権利者に帰属 ⑵理由:原権利者 → 占有者 → 原権利者 とする意味が乏しい Q 回復請求をなしうる者には原権利者以外の者を含むのか ⑴ 判例:含む。受寄者や賃借人等も含む ※受寄者: 寄託によって物の保管を引き受ける者 ⑵理由:原権利者に所有権が帰属 Q 回復請求のできる相手方 ⑴判例:現占有者 ⇒ 即時取得した者の特定承継人も含まれる(善意悪意を問わない) ⑵ 比較:占有回収の訴えは悪意の特定承継人に限定200Ⅱ

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    Q 192の「占有を始めた」に占有改定は含まれるか

    事例(写真) Bに引渡し(占有改定)した時点でAは無権利者 →Cは即時取得できるか? →現実の引渡しではCは即時取得 →占有改定の場合は? ①判例:否定=占有改定は192の占有を始めたに含まれない ②理由:占有者の占有状態に変化がない=外部から認識しえない → 肯定すると真の権利者を害する ※本事例ではBの権利を害する

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    第三章 占有権

    1 占有 Bランク ①占有:自分が利益を受ける意思で物を現実的に支配している事実状態 ⑴占有意志​:自分が利益を受けるために占有をする意志 ⑵ 所持​:ある人がある物を事実上支配していると認められる状態 ​⇒ 占有意志 + 所持 → 占有あり = 占有権発生 ②占有権​:占有に基づいて認められる権利 ③本権​:占有を正当化する権利=(正)権原 ​⇒ 本権がなくても占有は認められる​(例)泥棒は占有あり ④要件180 ⑴占有意志​:占有の取得原因によって客観的に判断 ⑵ 所持​:社会通念から判断 2 占有の態様・種類 ① 自己占有:占有者が他人を通さずに自ら行う占有=直接占有​(例)賃借人の占有 ②代理占有:占有代理人に占有させることで自らも行う占有181=間接占有​(例)賃貸人の占有 ③ 占有機関:本人の事実的支配の道具または機関と考えられる者=占有補助者​(例)店員、社長、妻 ​⇒ 占有は認められない → 占有訴権なし ・ 物権的請求権の被告にならない ④善意・悪意 ・​善意占有:占有者が本権があると誤信(=確信)して占有している場合 ​・悪意占有:占有者が本権がないことを知りまたは疑いを有しながら(=半信半疑)占有している場合 ⑤所有の意志 ​・自主占有:所有の意志がある占有 ・​他主占有:所有の意志がない占有 ​⇒  賃借人-×所有の意志・〇占有意志・〇占有 ​   泥棒-〇所有の意志・〇占有意志・〇占有 ※占有意志(再掲)​:自分が利益を受けるために占有をする意志 ⑴区別の実益​:取得時効 → 他主占有の場合は時効取得できない ⑵他主占有から自主占有への転換185​:表示又は新たな権原による自主占有の開始 Q 相続により占有も承継されるか=占有の継続の問題 (Aランク) ​(例)被相続人Aが悪意で15年占有 → BがAの死亡の2箇月後に占有 → Bが4年10箇月占有 ⑴ 問題の所在:占有の相続・継続があるか → 164 ⑵結論:肯定 ⇒ 空家期間も含めて占有継続 → Aの占有期間(15年) + 空き家期間(ヶ月) + Bの占有期間(4年10ヶ月) = 20年占有 ⑶理由:被相続人の占有が相続で消滅するのは妥当ではない Q 相続の場合に187Ⅰが適用されるか=善意無過失の問題(Aランク) ​(例)被相続人Aが悪意で7年占有 → 相続人Bが善意無過失で12年占有 ⑴問題の所在:自己固有の善意無過失の占有を主張できるか ⑵ 結論:肯定 ⇒ 善意無過失で12年占有 ⑶理由:被相続人と相続人は別人格 Q 相続は185の新たな権原にあたるか=所有の意志の問題(Aランク) ​(例)親Aは賃借人だが子Bには見栄で持家と説明 → 相続でBが占有 → Bは善意無過失で12年占有 ⑴問題の所在:新たな権原にあたれば時効取得しうる ⑵結論:新たに占有を開始 + その占有に所有の意志がある → 新たな権原 にあたる ​⇒ 家に住む + 固定資産税の支払い ⑶ 理由:真の権利者保護と相続人保護の調和 3 占有権の効力 本権の推定 120 本権の推定188:占有者が占有物に行使する権利は適法に有すると推定 ​動産​:無過失まで推定 ​⇒ 〇192 ​不動産​:無過失は推定されない ​⇒ ×取得時効 占有訴権 (Aランク) ①占有訴権197:占有を侵害された場合、その侵害の排除を請求することのできる権利 ​⇒ 全ての占有者に認められる ​・占有保持の訴え198:占有を妨害されたとき、その妨害の停止及び損害賠償を請求 ​・占有保全の訴え199:占有を妨害されるおそれがあるとき、その妨害の予防または損害賠償の担保を請求 (例:隣人が境界付近の自分の土地を掘り進めて崩れる可能性がある時) ・​占有回収の訴え200:占有を奪われたとき、その物の返還及び損害の賠償を請求する ⑴奪われた​:×詐取・遺失 ⑵ 200Ⅱ・201Ⅲ​:×善意の特定承継人・奪われた時から1年で除斥期間 ⑶202​:物権的請求権と並立202Ⅰ・占有の訴えに対して本権は抗弁にならない202Ⅱ ⑷占有訴権の機能​:自力救済の禁止 + 債権的な利用権者を保護​ (例)賃借人 所有権との調整規定 Aランク ①果実収取権189:善意占有者には果実収取権があるⅠ・敗訴した場合、起訴の時から悪意占有者Ⅱ ⑴趣旨:善意占有者は果実を取得するのが普通 → 返還は過酷 Q 189と不当利得返還請求権703との関係 ⑴結論:189は不当利得の特則=189が優先 ②費用償還請求権196 ⑴必要費:物の保存と管理に必ず必要となる費用 ​⇒ 原則、償還請求できる ​通常の必要費​(例)税金、外壁塗装等の修繕費、車検 ​⇒ 果実を取得した場合、占有者負担 ​特別の必要費​(例)台風で屋根が壊れた ​⇒ 常に償還請求できる ⑵ 有益費:占有物の価値を増加させるための費用​(例)エアコン代 ​⇒ 価格の増加が現存する場合のみ請求できる。但し、悪意者には裁判所から期限の許与がなしうる(裁判所が請求するのを待たせることができる) ③滅失・損傷の扱い191 ​・善意の自主占有者 ​⇒ 現に利益を受けている限度において賠償義務あり (例)善意の自主占有者が家屋を損壊​⇒ 材料を返還or材料を売却した代価を現存利益の限度で償還 (例)善意の自主占有者が自動車を損壊​⇒ 損壊した自動車を返還 ・​善意の他主占有者・悪意占有者 ​⇒ 全損害の賠償義務あり ​ ④まとめ 写真 4 占有の消滅 ①占有の消滅203:自己占有-占有意志の放棄or所持の喪失 ​⇒ 占有回収の訴えがなければ、占有権消滅 ②代理占有の消滅204:代理権が消滅しただけでは代理占有は消滅しない ​⇒ 204Ⅰにより消滅​ (例)・賃貸借終了で賃借人が占有=占有あり ・賃借人が退去=占有なし ※賃貸借では賃貸人も賃借人も占有がある

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    第四章 所有権

    1 所有権とその内容 Bランク(短答) ①所有権206:法律の範囲内において自由に使用・収益・処分をすることができる権利 ​⇒他人に主張するには対抗要件が必要 ・一部が認められるのが制限物件 ② 囲繞地通行権210​:袋地の所有者が囲繞地を通行できる権利 ⑴損害の賞金212​:囲繞地所有者に損害を与えれば賞金を支払わなければならない Q 囲繞地通行権は自動車通行を前提とするか ⑴ 判例:当然には認められない。諸事情を総合考慮して決定する。 Q 囲繞地通行権の公示 ⑴判例:登記なくして対抗できる ⑵理由:取引安全とは無関係 ​⇒ 囲繞地所有者にとっては財産権への内在的な規制 2 物権的請求権 ①物権的請求権:物権に基づき、権利を侵害する者に対して侵害の排除・予防を請求できる権利 ②趣旨:自力救済の禁止 → 物に対する直接的・排他的支配の全う ③根拠:明文なし ⇒ 直接の支配権 ・ 本権の訴え202 ・ 占有訴権197以下(占有に基づき権利が認められるならいわんや本権をや) ④種類 ⑴ 物権的返還請求権​:占有を全面的に排除 ​→ 引渡しを請求できる権利​ ​(例)所有地を不法占拠 ⇒   要件=自己所有 + 相手方無権原占有​   〇詐取・遺失(占有訴権は詐取、遺失の場合は不可) ⑵物権的妨害排除請求権​:占有侵奪以外の方法で物権侵害 ​→ 侵害の除去を請求できる権利 ​(例)所有地に資材を放置・ 虚偽登記の抹消登記請求 ⇒ 権利者が占有する場合でも可 ⑶ 物権的妨害予防請求権​:物権侵害の可能性がある ​→ 侵害の予防を請求できる権利 ​(例)隣地所有者が境界を深く掘り土地崩れの危険あり ⇒ 侵害がなくても可 Q 物権的請求権の内容(費用負担) ①問題の所在:請求した人と請求された人のいずれかが費用を負担するか → 物権的請求権の内容による (2つの考え方) ​・行為請求権 → 相手方負担 ​・忍容請求権 → 請求者負担 ②行為請求権説(判例自説)​:  行為請求権 → 相手方負担 ③我妻説(反対説)​:行為請求権 → 相手方負担。例外、返還請求で相手方の侵奪なし → 忍容請求権 ④忍容請求権説​:忍容請求権 → 請求者負担 ⇒ 結論の妥当性・論文の書きやすさ ⑤ 物権的請求権の相手方:現実に物権を侵害している者 ⇒  ×占有補助者や法人の侵害での社長ではない Q 無権原で建てられた建物の実際の所有者と登記名義人が異なる場合どちらに請求すべきか(写真) ⑴問題の所在:Y=建物所有権の喪失+土地の占有なしを主張 → X=所有権の喪失の登記の欠缺 ⑵判例 ​原則:実際に所有し土地を占拠している者 ​⇒ 所有者B ​例外:建物譲渡人が自らの意志に基づいて建物所有権の登記を経由 ​⇒ 登記名義人Y ⑶理由:Xは第三者ではないが、建物所有権の帰属に重大に利害関係 ⇒ 対抗関係にも似た関係 ∴ 登記必要 3 所有権の取得 所有権の取得原因 ​ⅰ 承継取得   ​特定承継(売買・贈与等) ​  包括承継(相続・合併等) ⅱ ​原始取得   ​時効取得 ​  即時取得 ​  添付 ​  その他(遺失物拾得・無主物先占・埋蔵物発見等) 添付 ①添付:付合・混和・加工 の総称 ⑴制度:所有者の異なる2個以上の物が結合 → 1個の物としての所有権発生 → 不公平は償金請求で是正 ⑵趣旨:分離による社会経済上の不利益を回避 ⑶償金請求248:添付により所有権を失う者が所有権を取得した者に対して ②付合:2個以上の物が結合すること​(例)壁紙を貼った ③混和(Bランク):固形物の混合と流動物の融和​(例)砂とセメントの混合・水と焼酎の融和 ⑴ 要件:混和による識別不可・分離不可または困難 ⑵ 効果:主従あり → 主たる動産の所有者に帰属   ・主従なし → 価格割合に応じて共有 ④ 加工(B+):他人の動産に工作を加え新たな物を作り出すこと ​(例)ダイヤの石→ 指輪 ・生地 → スーツ ・​原則:材料主義=材料の所有者に加工物の所有権取得246Ⅰ ​・例外:加工者が所有権を取得 ⑴ 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超える​(例)木 → 彫刻 ⑵ 加工者が材料の一部を供した → 加工者の材料価格+工作で生じた価格>材料価格(例) Q 添付の法的性質 ⑴結論:物を1個と扱う規定=強行規定 ・ 所有権の帰属及び償金請求=任意規定 ∵ 趣旨 付合 (Aランク 論文択一どちらでも重要) ①不動産+動産の付合242:動産の権利は不動産に吸収。但し、権原があれば留保 ⅰ​ 強い付合(独立性なし)​⇒ 不動産に吸収=但適用なし​(例)壁紙・ペンキ等 ​ⅱ 弱い付合(独立性あり)  ・​権原がない​⇒ 不動産に吸収=但適用なし​(例)他人の土地に立木を植える ​ ・権原がある​⇒ 所有権留保=但適用あり​(例)借地に立木を植える ​⇒ 第三者に対抗するには公示が必要 ②建物の付合:土地と建物は別個の不動産 ∴ 土地と建物の付合はない ≒×不動産+不動産の付合 Q 他人所有の建物に増改築をした場合 ​原則:増改築部分の所有権​⇒ 建物所有者に帰属242 ​例外:賃借人が承諾を得る+増改築部分が独立性を有する​⇒ 賃借人に帰属 ​⇒ 権原=×賃借権 ・ 〇承諾​独立性 =×2階建に増築 ・ 〇離れの小屋 Q 独立の不動産になったといえる時期 ・結論:動産の集合体 → 壁と屋根で雨風がしのげる段階=独立の不動産 Q 建築中の建物(動産)に第三者が工事を加えて完成(不動産)させた場合の所有権 ⑴ 問題の所在:付合243と加工246のどちらを適用すべきか + 価格の判断基準 ⑵結論 ​・適用条文:建築中の建物は独立の動産+工作自体の価格が無視できない​⇒ 加工246を適用 ・​価格判断:建築中の建物が独立の不動産となった以降の工作の価値を考慮​⇒ 完成時の価格を基準 ③動産+動産の付合:≒混和 ⑴要件:分離に損傷または過分の費用を要する場合 ⑵効果:主従あり → 主たる動産の所有者に帰属243 ・      主従なし → 価格割合に応じて共有244 その他の原始取得 ①無主物先占239:所有者のない動産 → 占有した者の所有 ・ 所有者のない不動産 → 国庫 ②遺失物拾得240:公告後3箇月以内に所有者が判明しない → 拾得者の所有 ③埋蔵物発見241:公告後6箇月以内に所有者が判明しない → 発見者の所有 但し他人の物から → 折半 ④反射的効果による取得:所有者が返還請求できないことで取得​(例)愛人契約による贈与 ​⇒ 契約無効90 → 不当利得返還請求703は不可708 + 所有権に基づく返還請求も不可708類推 Q 移転登記のない土地上に植栽された立木の所有権を土地の第三取得者に対抗できるか(B+) ⑴ 問題の所在:付合による所有権の取得を第三者に対抗できるか。 ⑵結論:Yは公示(明認方法)なしには立木所有権を第三者に対抗できない ⑶理由:立木は242但類推適用によりYの所有 → 付合の制限も物権変動 ∴ 対抗要件たる明認方法必要 ​⇒ 242但は例外 ∴ 取引安全から公示(明認方法)が必要 4 共同所有 ​・共同所有の形態 ⇒ 法人財産は法人の単独所有 ​共有:共同所有の原則形態。具体的持分(自由にできる自分の所有権の割合)あり ​合有:潜在的持分(脱退するときのみの所有権の割合。脱退時以外は潜在)あり ​総有:具体的持分・潜在的持分共にない 表:写真 共有の法的性質 ①共有の弾力性255:各共有者は物全部につき所有権+他者の所有権により制限 → 他者が消滅で増加 ② 特別縁故者958の2:相続人なしの場合、被相続人と特別な縁故ある者として相続財産を与えられた者 ​⇒ 相続人なし+特別縁故者に該当する者の請求 → 家庭裁判所の裁判 Q 共有者ABCのAが相続人なく死亡+特別縁故者Dあり → A持分はBCに帰属or特別縁故者Dに帰属 ⑴問題の所在:255と958の2のどちらが優先 ⑵ 判例:958の2が優先 → Dに財産は帰属 ∵ 特別縁故者を保護すべき 共有者間の関係 ①持分の割合:共有物に対する所有の割合 ⇒ 原則、平等250 + 合意による変更可 ・使用(249):共有物を使用する (例)家を使う (要件)単独可 + 持分に応じて全部を使用できる(持分に応じて使用回数などが制限される) ・保存(252⑤):現状を維持 (例)補修、登記 (要件)単独可 ・管理(252):収益・価値増加 (例)賃貸、取消、改装 (要件)持分の過半数で可    (例:出資金の過半数) ・変更(251):性質・形状の変化や処分 (例)抵当権、伐採、売却 (要件)全員の同意で可 ※賃貸が管理で持分の過半数であることは頻出 ②重要事項(Aランク 短答) ⑴ 外部への、妨害排除請求・返還請求​:単独可≒保存行為 ⑵共有関係にあることの主張​:共有者全員で可 ⑶共有者から他の共有者への返還請求​:原則、不可  (金銭をよこせということはできる。物をよこせとは言えない) ⑷共有物に関する管理の費用​:持分に応じて負担253 共有物の分割 Bランク ①分割請求:各共有者はいつでも請求できる256 ∵ 共有は個人主義の例外 ②分割方法:共有者間の協議 → 協議不調の場合に裁判所に請求できる258 ⑴協議による分割​:合意ある限り、自由 ⑵裁判所による分割​:原則、現物分割 ⇒ 不可能or著しく不適切=代金分割 ・ 特段の事情=価格賠償 区分所有 Cランク ①区分所有:建物が独立した各部分から構成され、その各部分を所有すること​(例)分譲マンション ​⇒ 各人が建物の一部に単独の所有権 = 建物全体は多数の者によって所有(共有ではない) ②専有部分:区分所有の対象となる部分​(例)分譲マンションの一室 ​⇒構造上の独立性及び利用上の独立性 ③共用部分:専有部分に属さない部分​(例)エレベーター・入口 ​⇒ 区分所有者全員の共有 ④管理組合:区分所有者が建物管理を行うための団体 ⇒ 合有

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    Q 無権原で建てられた建物の実際の所有者と登記名義人が異なる場合どちらに請求すべきか(物権的請求権)

    X:土地所有者 A:建物所有者(Xに無断で建築) Y:Aの相続人 B:Yからの建物譲受人 建物の登記はYのまま ⑴問題の所在:Y=建物所有権の喪失+土地の占有なしを主張 → XはYに所有権の喪失の登記の欠缺を主張(いまだに登記がYにあるなら、Bに譲渡したことをXに対抗できない) ⑵判例 ​原則:実際に所有し土地を占拠している者 ​⇒ 所有者B ​例外:建物譲渡人が自らの意志に基づいて建物所有権の登記を経由(Yが自分の意思でY登記としている場合) ​⇒ 登記名義人Y ⑶理由:Xは第三者ではないが、建物所有権の帰属に重大に利害関係 ⇒ 対抗関係にも似た関係 ∴ 登記必要(Yが物権的請求権の請求を免れるためには抹消登記が必要)

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    加工(B+) 加工者が材料の一部を供した場合の例外

    加工(B+):他人の動産に工作を加え新たな物を作り出すこと ​(例)ダイヤの石→ 指輪 ・生地 → スーツ ・​原則:材料主義=材料の所有者に加工物の所有権取得246Ⅰ ​・例外:加工者が所有権を取得 ⭐️ 加工者が材料の一部を供した → 加工者の材料価格+工作で生じた価格>材料価格(例)

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    Q 建築中の建物(動産)に第三者が工事を加えて完成(不動産)させた場合の所有権

    ⑴ 問題の所在:付合243と加工246のどちらを適用すべきか + 価格の判断基準 ⑵結論 ​適用条文:建築中の建物は独立の動産+工作自体の価格が無視できない​⇒ 加工246を適用 ​価格判断:建築中の建物が独立の不動産となった以降の工作の価値を考慮​すべき ⇒ 完成時の価格を基準

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    Q 移転登記のない土地上に植栽された立木の所有権を土地の第三取得者に対抗できるか(B+)

    ⑴ 問題の所在:Yは付合による所有権の取得を第三者Xに対抗できるか。 ※Yは権原あり→弱い付合→立木の所有権留保 ⑵結論:Yは公示(明認方法)なしには立木所有権を第三者に対抗できない ⑶理由:立木は242但類推適用によりYの所有 → 付合の制限も物権変動 ∴ 対抗要件たる明認方法必要 ​⇒ 242但は例外 ∴ 取引安全から公示(明認方法)が必要

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    第五章 用益物権

    制限物権 ・​所有権​:使用・収益・処分が認められる物権 ​・制限物権​:使用・収益・処分のどれかが制限された物権   ・​用益物権:使用・収益が認められる物権​⇒ 処分が制限される物権   ・​担保物権:処分が認められる物権​⇒ 使用・収益が制限される物権 ① 用益物権の種類:地上権・永小作権・地役権・入会権 1 地上権 Aランク ①意義 ​・地上権:竹木所有または工作物所有を目的として他人の土地を利用する物権265 ​・賃借権:賃貸借契約に基づき賃借人が他人の物を使用できる債権601 ​・借地権:建物所有目的の地上権または建物所有目的の土地の賃借権(借地借家法2) ②法的性質 写真 ※賃借権にも不動産で登記して対抗力があれば物権的請求権が認められる ※譲渡について、地上権は承諾なしに自由にできる。譲渡禁止の特約は債権的効力のみ(特約があっても譲渡は有効)。 賃借権の場合は賃貸人の承諾が必要612。 ※ 地代支払い義務について、地上権では契約次第なので無償でも良い。賃借権は無償とすることはできない601。 ※対抗要件について、地上権は177等で登記でき、賃借権は不動産なら登記で対抗できる 605等。 ※存続期間の制限について、地上権は制限なし。永久もできる。賃借権は50年まで604 ③ 地上権の取得:原則、地上権設定契約による ​⇒ 相続・時効取得・法定地上権もある 2 永小作権 ① 永小作権:耕作または牧畜を目的として他人の土地を利用する物権270 ②法的性質 永小作権 権利の性質 物権 対象  耕作または牧畜目的の土地 存続期間制限 20年以上50年以下=永久不可 譲渡性 自由 設定行為で譲渡禁止 → 登記で対抗可 地代支払義務 小作料の支払義務あり ① 永小作権の取得:原則、永小作権設定契約による ​⇒ 相続・時効取得等もあるが、農地法による農業委員会の許可要 3 地役権 ① 地役権:土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を利用する物権 ​・要役地:地役権を利用して利益を受ける土地 ⇒ 利益を要求 ・​承役地:地役権によって利用される側の土地 ⇒ 不利益を承諾 ​(例)通行地役権、引水地役権、眺望地役権 ② 囲繞地通行権との比較 (内容) 地役権 他人の土地を利用+契約による 囲繞地 通行権最低限の範囲で公道に出るために隣地を通行 (性質) 地役権 所有権とは別個の物権 囲繞地通行権 所有権そのもの (成立) 地役権 当事者の契約による=合意必要 囲繞地通行権 法律上当然に発生=合意不要 (対抗要件) 地役権    登記必要 囲繞地通行権 登記不要 ③地役権の性質 ⑴ 土地の便益280​: ×個人的な便益(例)昆虫採集 ⑵共同使用権​:〇 物権的妨害排除請求権・物権的妨害予防請求権  ×物権的返還請求権 ∵ ×占有 ※ 物権的返還請求権地役権者に認められないのは短答頻出 ⑶ 付従性281Ⅱ​:要役地と結合  → ×分離して譲渡・他の権利の目的  ※ 他の権利の目的にできない例:地役権のみを抵当権の目的にはできない ⑷随伴性281Ⅰ​:要役地に伴う  → 要役地を譲渡=地役権も譲渡 ⑸不可分性282​:共有等により持分について消滅しない。 但し土地の一部のみに関するときは例外(例:土地の1番南数メートルのみ等) Q 時効における地役権 ⑴取得時効と地役権:できるだけ肯定 ​要役地共有者1人のために取得時効が完成 ​⇒ 共有者全員に効力284Ⅰ ​共有者に対する地役権の取得時効の更新 ​⇒ 全共有者に対してでないと効力なし284Ⅱ ​共有者の1人に完成猶予事由 ​⇒ 他の共有者に効力なし284Ⅲ ⑵消滅時効と地役権:できるだけ否定 ​要役地共有者1人について消滅時効の更新・完成猶予 ​⇒ 更新等の効果は全共有者に292 ​地役権者が権利の一部を行使しない ​⇒ 権利の一部のみ時効消滅293 ④地役権の取得(Aランク):原則、地役権設定契約 ⇒ 相続等も可 ⑴ 時効による取得283:継続的に行使され、かつ、外形上認識するができることが必要 ​⇒ 通行地役権:通路の開設が要役地所有者によりなされる(判例)(短答頻出。要役地所有者が開設がポイント) ⑵ 対抗要件:登記177  ​⇒ 継続的使用が客観的に明らか、かつ、認識が可能ならば登記なくして対抗できる(判例) ​∵ 地役権は重要な権利かつ登記しない場合が多い ⑤地役権の効力 ⑴存続期間制限​:なし=永久地役権可 ⑵地代支払い義務​:契約による=無償も可 4 入会権 B(短答) ① 入会権:一定の地域の住民が特定の森林等を共同で利用する権利​(例)村人が山でキノコ採集 167 入会集団:入会権を持つ団体 ⇒ 権能なき社団 168 入会権の種類 ​共有の性質を有する入会権263​:所有権が入会集団にある ⇒ 慣習・共有の規定を適用 ​共有の性質を有しない入会権294​:所有権が入会集団にない ⇒ 慣習・地役権の規定を適用 ​⇒ 実際は慣習で決定。権能なき社団 → 財産は総有的に帰属

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    第六章 担保物権 概説

    1 担保物権概観 ① 担保物権:債権の履行確保のために、物の上に債権者が優先的に権利行使を認められる物権 ⑴債権には優先的効力・排他性がない → 債権に排他性を持たせるために認められる ⑵担保:≒担保物権 ・ 将来起こりうる不利益に対してそれを補うことを保証すること ⑶物的担保:特定の物に対して設定された担保 ⇔ 人的担保:債務者以外の人に対して設定された担保 1②担保物権の種類 ​約定担保物権:当事者の設定行為によってはじめて生じる担保物権 - 抵当権・質権・非典型担保物権 ​法定担保物権:法律上当然に(契約によらずに)生じる担保物権  - 留置権・先取特権 担保物権の通有性 ①付従性​:債権のないところに担保物権は認められない(存在に関する性質) ​⇒ 債権が成立しない=担保物権も成立しない ∴ 債権が消滅=担保物権も消滅 ② 随伴性​:債権が他人に移転すれば担保物権も債権とともに移転(帰属に関する性質) ③不可分性​:債権全部の弁済を受けるまで目的物のうえに存続し続ける ④ 物上代位性​:物の売却、賃貸、滅失等によって受ける金銭等の物のうえに対しても行使しうる 担保物権の効力 ①優先弁済的効力​:目的物の交換価値(経済的価値)を担保物権者が把握し優先的に弁済 ⑵債務の弁済が得られない → 目的物を売却等で交換 → 他の債権者に優先して売却代金から弁済 ⑶物上代位性と関連​:交換価値を把握 ∴ 交換価値が具体化した場合、その上に効力 ⑷留置権​:優先弁済的効力はない(物上代位性なし)が事実上の優先弁済的効力はある 例 債権者A 債務者B   B債権者Cが競売(民事執行法195)   Aは競売代金を得ることはできない(優先弁済的効力なし)。しかし、BはCに対して留置権を主張できる →CはBの代わりにAに対するBぼ債務を弁済して初めて目的物を取得できる =事実上の弁済的効力 ②留置的効力​:目的物を債権者の手元に留置させ、心理的圧迫により債務の弁済を促す(留置権と質権に認められる(抵当権にはない) ​⇒ 占有権原となる  ③通有性と効力のまとめ 写真

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    第七章 抵当権 ⑴概要 ⑵被担保債権

    1 抵当権 ① 抵当権369Ⅰ​:債務者等が占有を移さないで担保に供した目的物につき債権者が優先弁済を受ける権利 ②本質的特徴​:目的物の占有を設定者のもとにとどめつつ、目的物の交換価値を把握 ​⇒ 金融を得ながら使用収益ができる ・ 占有費用が不要で弁済を確保できる ③目的369​:不動産(× 動産) ・ 地上権 ・ 永小作権 ・ 抵当権(=転抵当) ④公示方法​:登記 ⑤特徴​:約定担保物権 ・ 〇 通有性+優先弁済的効力 ・ × 留置的効力 抵当権の設定 ① 抵当権の設定​:抵当権設定契約という物権契約176による ②物上保証人​:第三者が担保物権の目的物を提供して設定する場合の第三者 ③抵当権設定者​:自らの財産に抵当権を設定する者 ​(例)債務者 ・ 物上保証人 ​⇒ BはAのために抵当権を設定した ④抵当権者​:他人の財産から抵当権の設定を受ける者​(例)債権者 ・ 銀行 ​⇒ AはBから抵当権の設定を受けた ⑤被担保債権​:担保物権によって担保される債権 Q 将来発生する債権のために、現在において抵当権の設定ができるか​(例)抵当権設定後金銭交付 ⑴問題の所在:消費貸借契約(要物契約)で金銭交付前 → 付従性に反する ⑵結論​:有効 ⑶理由​:債権者に不利 + 取引安全 → 付従性は緩和 Q 抵当権設定登記の流用の可否​(例)被担保債権が消滅 → 他の債権の抵当権に流用 ⑴抵当権は登記をしなければ第三者に対抗することができない177 ⑵判例:流用前の第三者がいるかどうかで決まる ​流用前の第三者:無効​∵ 不測の損害を与える ​流用後の第三者:対抗可​∵ 現在の実体関係と合致 2 抵当権設定登記と被担保債権 ①抵当権設定登記:登記義務者(抵当権設定者)と登記権利者(抵当権者)が共同して行う抵当権の登記 ​絶対的登記事項:必ず登記 ​⇒ 登記権利者・債務者及び債権額・順位番号・登記原因等 ​相対的登記事項:任意で登記 ​⇒ 利息・条件及び特約等 ②被担保債権:担保物権によって担保される債権 種類​:制限なし。金銭以外でも可、但し登記する場合には金銭算定が必要 ⑴一部担保​:可​ (例)3000万債権のうち2000万を被担保債権として抵当権 ⑵複数の債権​:可​ (例)A債権1000万・B債権500万を共に被担保債権として1つの抵当権 ③被担保債権の範囲375:利息・損害金等は後順位抵当権者との関係では最後の2年分のみに限定 ※写真 ⑴最後の2年分は金額の大きい方からカウントする ⑵抵当権設定者に対しては抵当権者は全額主張できる ⑶第三取得者との関係において375は適用されない

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    3 抵当権の効力の及ぶ範囲

    問題の所在 ① 抵当権の効力の及ぶもの:不動産(土地・建物)・地上権・永小作権・抵当権 ∵  369 ② 問題の所在:建物内の家具等、より具体的な抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲が問題 ③ 370:効力の及ぶ目的物の範囲 = 不動産に付加して一体となっている物(=付加一体物)に及ぶ ​⇒ 付加一体物とは何か 抵当権の効力の及ばないもの ①弱い付合+権原による留保ありで付合した物242  ​(例)壁紙→強い付合    他人の土地に立木を植える→弱い付合だが権原なし    ​借地に立木を植える→弱い付合で権原あり ​⇒ 第三者は抵当権者に対し公示が必要(立木なら明認方法が必要) ②登記された当事者の抵当権が及ばない旨の特約370​ ​(例)ABが土地に抵当権+特約で立木に効力及ばない+登記 ③付合させることが詐害行為となる様な場合370 ​(例)建物抵当権者を他の債権者より優遇するために建物にダイヤを付合した ④土地に抵当権を設定した場合の建物370 ⑤ 果実371 ​原則:果実には及ばない ​例外:被担保債権に不履行が生じたときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ 効力が及ぶか問題となるもの Q 付合物に抵当権の効力は及ぶか(=付合物は付加一体物に含まれるか) ⑴ 結論:原則、効力は及ぶ。例外242但(弱い付合で権原の留保があるもの) ⑵理由:不動産の構成部分として独立性を失う Q 従物に抵当権の効力は及ぶか​ (例)エアコン・畳 ⑴問題の所在:独立性がある + 分離による社会経済上の不利益がない ※独立性と分離による社会経済的不利益の有無が付合物と従物の区別のポイント ⑵ 前提​:付合物でも従物でもない独立した動産 ・ 第三者所有の物(従物含む)には及ばない ⑶ 見解 詳細別紙 判例: ・370の一体性の意味=物理的一体性 ・付加一体物に従物は含まれない ・設定・実行時の従物に抵当権の効力は及ぶ(抵当権の設定及び実行は87②の処分にあたる) 有力説: ・370の一体性の意味=経済的価値的に一体(エアコンや畳は一体と言える) →従物も370の付加一体物にあたる ・370により設定時、実行時ともに従物に抵当権の効力が及ぶ Q 従たる権利に抵当権の効力は及ぶか ⑴従たる権利:主物のために存在する、従物と類似する権利 ​(例)借地上の建物における土地賃借権 → 借地上の建物に設定した抵当権が土地の借地権に及ぶか ⑵ 結論:及ぶ(判例) ⑶ 理由:経済的・価値的に一体=付加一体物類似 ∴ 370類推適用 (370の一体を物理的一体性と解する現判例の立場なら87Ⅱ類推) Q 分離物に抵当権の効力は及ぶか​(例)Bが自己所有の土地に抵当権を設定。B地で伐採された木材が搬出され、Cが木材を購入。抵当権者Aは抵当権の効力をこの木材についても主張できるか。 ⑴問題の所在:公示がない → 抵当権者の利益と第三取得者の取引安全との調和 ⑵公示の衣説:及ぶ、また、登記による公示の衣に包まれている限りにおいて第三者に対抗できる(判例通説) ​・分離物に抵当権は及ぶ ∵ 交換価値を把握 → 付加一体物を含めて目的物全部を支配する物権 ​・第三者にも公示の衣で対抗できる ∵ 登記を対抗要件 → 伐採木材が抵当土地上に存在すれば可 ​⇒ 搬出されても抵当権自体は及んでいる(当事者に対して抵当権を主張できる)。しかし抵当土地上から搬出されたら抵当権者は第三者に対抗できない (土地の外に運び出されたら衣から外れる) 物上代位 ① 物上代位372・304:目的物の交換価値が現実化した場合に価値代表物に対し抵当権の効力を及ぼす制度 ⑴交換価値の現実化:なんらかの原因で目的物によって債務者に金銭等の請求権が発生 ⑵ 価値代表物​:目的物が価値を維持しつつ姿を変えた物 ②物上代位の目的物 ⑴売却代金 Q 抵当権に基づいて、売却代金債権に物上代位できるか ① 問題の所在​:不動産が現存+ 追及効あり ②反対説​:できない ​∵ 追及効を有するから必要がない ③通説​:できる ​∵ 明文規定がある372・304 ​⇒ 追及効と物上代位権は競合 ⑵賃料:原則として、物上代位は肯定(判例) Q 転貸料債権に物上代位することができるか ①判例:できない ②理由:304の債務者に転貸人を含めることは文理上無理 ⑴目的物の滅失・損傷によって受けるべき金銭等の物:肯定 ​(例)第三者に対する損害賠償請求権 Q 保険金請求権に対して物上代位できるか ⑴問題の所在​:保険金請求権は滅失・損傷ではなく、保険金支払いによって発生したもの ⑵判例​:できる ⑶理由​:実質的には保険金支払いは担保目的物の価値代表物 ③物上代位の要件:価値代表物を払渡しまたは引渡しの前に差し押さえることが必要304 Q 差し押さえが必要となる根拠 ・優先権保全説 旧例 結論:他の債権者等との利害調整のため 理由:物上代位は政策的な恩恵 ・特定性維持説 有力説 結論:一般財産への混入を防止し特定性を維持するため 理由:担保物権の本質から当然 ・第三債務者保護説 現判例 結論:第三債務者が弁済先を誤らない様にするため 理由:物上代位制度の沿革 Q 抵当権者が自ら差し押さえる必要があるか ⑴反対説​:自ら差し押さえる必要なし ∵ 当然の権利(特定性維持説) ⑵判例​:自ら差し押さえる必要あり ∵ 弁済先がより明確 Q 債権譲渡と物上代位:債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたるか ⑴問題の所在:債権譲渡と物上代位の関係 ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたると解した場合 ​∴債権譲渡前に差し押さえる必要あり ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらないと解した場合 ​∴ 債権譲渡前に差し押さえる必要なし ⑵判例:債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらない ∴ 実際の弁済前に差し押さえればよい  ​但し、抵当権設定登記が債権譲渡の対抗要件具備よりも先になされていることは必要 ⑶理由:弁済前なら第三債務者を害さない・文言・抵当権の効力が及ぶことが公示されている Q 差押え・転付命令と物上代位:一般債権者の差押え・転付命令を得た債権への物上代位の要件 ①差押え:裁判所が債権者の申し立てに基づき、債務者の財産の処分を禁止・確保 ​⇒ 強制執行の準備段階 + 民事執行法に基づき動産・不動産・債権に対し行う ②転付命令:差押えられた債務者の債権を差押債権者に強制的に移転する裁判所の手続きまたは決定 ​⇒ 転付命令は債務者および第三債務者に送達して執行。強制的な債権譲渡の性質 ③ 問題の所在:一般債権者との関係でいつまでになされる必要があるか + 債権譲渡類似 ④ 判例:転付命令が第三債務者に送達されるよりも前に差押さえる必要がある ​⇒ 送達されたら物上代位できない + 債権譲渡類似ではない ⑤理由:民事執行法159Ⅲ-転付命令は送達前に他の債権者が差押え等をしたときは効力を生じない

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    Q 従物に抵当権の効力は及ぶか​

    (例)エアコン・畳 ⑴問題の所在:独立性がある + 分離による社会経済上の不利益がない ※独立性と分離による社会経済的不利益の有無が付合物と従物の区別のポイント ⑵ 前提​:付合物でも従物でもない独立した動産 ・ 第三者所有の物(従物含む)には及ばない ⑶ 見解 写真

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    Q 従たる権利に抵当権の効力は及ぶか

    ⑴従たる権利:主物のために存在する、従物と類似する権利 ​(例)借地上の建物における土地賃借権 → 借地上の建物に設定した抵当権が土地の借地権に及ぶか ※土地の借地権=地上権または賃借権 ⑵ 結論:及ぶ(判例) ⑶ 理由:経済的・価値的に一体=付加一体物類似 ∴ 370類推適用 ※現判例と同じく370の一体性を物理的一体性と解する立場なら87Ⅱ類推

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    Q 債権譲渡と物上代位:債権譲渡は304条の「払渡しまたは引渡し」にあたるか

    ⑴問題の所在:債権譲渡と物上代位の関係 ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたると解した場合 ​∴債権譲渡前に差し押さえる必要あり ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらないと解した場合 ​∴ 債権譲渡前に差し押さえる必要なし ⑵判例:債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらない ∴ 実際の弁済前に差し押さえればよい  ​但し、抵当権設定登記が債権譲渡の対抗要件具備よりも先になされていることは必要 ⑶理由:弁済前なら第三債務者を害さない・文言・抵当権の効力が及ぶことが公示されている

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    Q 差押え・転付命令と物上代位:一般債権者の差押え・転付命令を得た債権への物上代位の要件

    ①差押え:裁判所が債権者の申し立てに基づき、債務者の財産の処分を禁止・確保 ​⇒ 強制執行の準備段階 + 民事執行法に基づき動産・不動産・債権に対し行う ②転付命令:差押えられた債務者の債権を差押債権者に強制的に移転する裁判所の手続きまたは決定 ​⇒ 転付命令は債務者および第三債務者に送達して執行。強制的な債権譲渡の性質 ③ 問題の所在:一般債権者との関係で抵当権者による差押さえ(372、304)はいつまでになされる必要があるか + 債権譲渡類似 ④ 判例:転付命令が第三債務者に送達されるよりも前に差押さえる必要がある ​⇒ 送達されたら物上代位できない + 債権譲渡類似ではない ⑤理由:民事執行法159Ⅲ:転付命令は送達前に他の債権者が差押え等をしたときは効力を生じない

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    4 法定地上権

    ①背景:土地と建物が別個の不動産 + 自己借地権が認められない179参 ​⇒ 抵当権の実行 → 建物収去土地明渡しが必要な場合があり不経済 ②法定地上権388 ​「抵当権設定当時、土地上に建物が同一人所有で存在し実行により別人所有になると成立する地上権」 ​⇒ 設定当時同一人所有、実行により別人所有 ※ 法定地上権の定義は重要。覚える ③趣旨:建物収去による社会経済上の不利益を回避 ④あてはめ ​・土地・建物同一人所有 + 建物抵当権設定 ​⇒ 建物別人所有 ・​土地・建物同一人所有 + 土地抵当権設定 ​⇒ 土地別人所有 ​・土地・建物同一人所有 + 土地・建物抵当権設定 ​⇒ 土地・建物別人所有 Q 更地に抵当権設定後に更地所有者が建物を建てた場合、法定地上権は成立するか ①判例:成立しない ②理由:買受人及び抵当権者を害する(抵当権者は更地として土地を評価) ∴ 保護の必要あり ⑴地上権付土地の所有権は通常、所有権の2~3割の価値 = 建物所有者有利 ・ 土地所有者不利 ⑵抵当権設定者は建物建築は可能 ∵ 所有者 = 占有権あり Q 更地に抵当権設定後に建物を建てたが当事者に合意がある場合、法定地上権は成立するか ⑴ 問題の所在​:私的自治 → 当事者間に法定地上権を成立させる旨の合意は可能 ⑵結論​:成立しない ⑶理由​:買受人を害する Q 土地抵当権設定当時に同一人所有の登記のない建物が存在する場合、法定地上権は成立するか ⑴問題の所在​:登記がないと登記簿から建物の存在が認識できない → 抵当権者が誤認 ⑵判例​:成立する ⑶理由​:一般的に現地調査を行う ∴ 抵当権者に不測の事態にならない ⑤共同抵当:一つの被担保債権に対して複数の不動産に抵当権を設定する場合​(例)土地と建物 Q 土地建物に共同抵当設定後に建物が滅失・再建した場合、法定地上権は成立するか ①問題の所在:共同抵当は何を担保しているか + 再建した建物に抵当権はない ②旧判例(短答対策):個別価値考慮説:土地と建物を個別に評価する ​・建物抵当権:土地の利用権を含めた担保価値を把握 ​= 建物+土地利用権 ・​土地抵当権:底地(=借地権の負担付の土地)の担保価値を把握 ​= 土地(=底地) ⑴結論:法定地上権は成立する ⑵理由:本来、建物に高い価値 → 滅失により消滅 → 土地自体は元々底地なので地上権を認めても不都合はない ⑶批判:抵当権者に不利 → 抵当権設定者が建物を取壊し家を建てて妨害できてしまう ③現判例:全体価値考慮説-土地と建物を一体的に評価する ​共同抵当​:土地・建物全体の担保価値を把握 = 建物+土地利用権+土地(=底地) ​滅失​:建物のみの担保価値が消失 ∵ 事後的な理由で全体の担保価値を消失すべきでない ⑴結論:特段の事情のない限り、法定地上権は成立しない ⑵理由:土地の利用権が消失するの不合理 ⑤複数の抵当権設定 ⑴抵当権の順位:不動産に対し複数の抵当権を設定できる ​⇒ 登記の順によって、第一順位・第二順位・・・ + 実行により先順位から優先弁済 ⑵抵当権の実行:第一順位・第二順位・・・ のだれでも実行できる Q 複数の抵当権が設定された場合、法定地上権における抵当権設定当時とはいつか ⑴問題の所在:第一順位の抵当権と第二順位の抵当権で法定地上権の成否が異なる場合 ⑵結論:抵当権者の利益を保護する ​・土地抵当権者:法定地上権は不利益 ​⇒ 不成立がよい ​・建物抵当権者:法定地上権は利益 ​⇒ 成立がよい ⑶理由:建物収去による社会経済上の不利益を回避 = 法定地上権の趣旨 Q 土地に複数の抵当権が設定された場合の抵当権設定当時とはいつを基準とするか ⑴問題の所在:一番抵当権設定時は法定地上権不成立・二番抵当権設定時は法定地上権成立の場合 ⑵結論:土地は一番抵当権が基準 ⇒ 法定地上権不成立 ⑶事例: ⅰ建物建築の場合 ⅱ建物購入の場合: B土地に甲の建物が存在Aが。1番抵当権設定後にBが甲の建物を購入。その後Cが二番抵当権を土地に設定→1番抵当権設定時点で土地建物同一人所有ではないので法定地上権は成立しない ⅲ土地購入の場合 債務者B。物上保証人甲。甲の土地にAが1番抵当権設定。その時点ですでに土地上にBの建物あり。その後、Bが甲から土地を購入。その後、Cが二番抵当権を土地に設定→1番抵当権設定時点で土地建物同一人所有ではないので法定地上権は成立しない ⑷理由:一番抵当権者を害する Q 建物に複数の抵当権が設定された場合の抵当権設定当時とはいつを基準とするか ⑴問題の所在:一番抵当権設定時は法定地上権不成立・二番抵当権設定時は法定地上権成立の場合 ⑵事例:土地建物別人所有時にAが一番抵当権をBの建物に設定(土地はcq所有) → 建物所有者BがCから土地購入で同一人所有時になり、その後Dが二番抵当権設定 ⑶結論:建物は二番抵当権が基準 ⇒ 法定地上権成立 ⑷理由:抵当権者の利益 Q 借地上の建物に抵当権が設定された後、土地と建物が同一人に帰属した時、法定地上権が成立するか 事案:債権者A 債務者B 土地所有者C。 B建物に抵当権を設定。その後、BがCから土地を購入。 ⑴ 問題の所在:Bの借地権が混同により消滅する。建物を競売で取得した人は借地権も法定地上権もないとすると、抵当権実行により建物収去しなければならなくなるがこれは趣旨に反する ​⇒ 建物についての二番抵当権設定の事案と区別。二番抵当権者は登場していない。 ⑵ 結論:法定地上権は成立しない ⑶理由:建物に抵当権 ∴ 従たる権利にも抵当権が及ぶ ⇒ 他の権利の目的 ∴ 混同で消滅しない ​⇒ 買受人は従たる権利も取得 ∴ 法定地上権は不要 ・第179条【混同】 ① 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物または当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。 ② 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。 ③ 前2項の規定は、占有権については、適用しない。 ⑥ 土地・建物共有 Q 土地や建物が共有の場合の法定地上権の成否 ⑴結論:成否による影響から無関係の者の利益を保護する ⑵ 土地共有の場合(建物単独所有) 債権者甲 建物所有者A 土地共有者A B ​・A土地の持分にのみ抵当権設定 ​⇒ 不成立 ∵ B不利益 ​・A建物に抵当権設定 ​⇒ 不成立  ∵ B不利益 ⑶建物共有の場合(土地単独所有) ​・土地に抵当権設定 ​⇒ 成立   ∵ B利益 ​・建物の持分にのみ抵当権設定 ​⇒ 成立  ∵ B利益 ⑷土地及び建物共有 ​⇒ 不成立  ∵ 土地共有からB不利益 ※土地と建物なら通常土地のほうが価値がある ⑦法定地上権の内容:当事者の協議による → 存続期間・地代等を決める ⑴ 協議で決まらない場合:存続期間:30年(借地借家3)・地代:裁判所が決定388 ⑵ 対抗要件:地上権の登記または建物の登記 ⇒ 対抗要件なくして第三者に対抗できない (写真) Q 更地に抵当権設定後、建物建築と建物抵当権設定、建物・土地の順に実行された場合の処理(別紙) ⑴問題の所在:土地抵当権-法定地上権不成立 ・ 建物抵当権-法定地上権成立 ⑵ 結論:建物買受人は法定地上権を土地買受人に対抗できない ​⇒ 建物抵当権実行:法定地上権成立 → 土地抵当権実行:法定地上権を土地抵当権に対抗できない ⑶ 理由:対抗関係 ⇒ 登記の先後で決する 法定地上権以外の抵当権と用益権の関係 ①一括競売389 ⑴ 要件:更地に抵当権設定後、同土地上に建物建築 → 実行により建物収去土地明渡請求できる ⑵ 効果:抵当権者は土地と共に建物も競売できる + 建物代金への優先弁済権はない ​⇒ 土地抵当権者は土地にしか抵当権がないのに建物を売却できる(第三者が建築しても可) ②明渡猶予期間395 ⑴要件:抵当権者に対抗できない賃貸借により建物を占有 ⑵効果:競売による買受人の買受時から6箇月明渡猶予 ⑶趣旨:賃借人保護と買受人の利益の調和 ③抵当権者の同意による賃貸借の対抗力387 ⑴ 要件:賃貸借登記+登記前の全抵当権者が同意の登記+不利益を被る者の承諾 (転抵当権者 等) ⑵効果:同意をなした抵当権者に賃借権を対抗できる ⑶趣旨:賃借人と買受人の利益保護(住んでいる人が裕福で賃料が高かった場合など)

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    Q 更地に抵当権設定後、建物建築と建物抵当権設定、建物・土地の順に実行された場合の処理(別紙)

    ⑴問題の所在:土地抵当権については法定地上権不成立 ・ 建物抵当権については法定地上権成立 ⑵ 結論:建物買受人は法定地上権を土地買受人に対抗できない ​⇒ ④建物抵当権実行:法定地上権成立 →⑤土地抵当権実行:法定地上権を土地抵当権に対抗要件(地上権または建物の登記)なくして対抗できない ⑶ 理由:対抗関係 ⇒ 登記の先後で決する

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    明渡猶予期間395

    ⑴要件:抵当権者に対抗できない賃貸借により建物を占有 ⑵効果:競売による買受人の買受時から6箇月明渡猶予 ⑶趣旨:賃借人保護と買受人の利益の調和

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    5 抵当権の効力

    抵当権侵害 ①抵当権侵害の当否:抵当権の効力≒目的物の占有を設定者のもとにとどめつつ、交換価値を把握 ​・抵当権設定者の通常の利用​:自ら利用・他人に賃貸・抵当権のついた土地に建物建築等 ​・目的物の交換価値を減少​:山林を伐採・建物を破壊・従物を分離し搬出等 ⇒ 4つの主張 ①抵当権に基づく物権的請求権(特に、妨害排除請求権)​(例)山林の伐採を禁止 Q 抵当権者に対抗できない抵当不動産の占有者を抵当権に基づいて排除できるか ①問題の所在:占有屋が占有し競売を妨害 → 抵当権は占有の権利ではない→抵当権に基づいて妨害排除請求できるか? ②判例1 ⑴ 要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ⑵ 結論:所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使をすることができる ∵ 担保価値維持請求権・423 担保価値維持請求権と被担保債権は別物。被担保債権とすると物上保証人の場合に代位行使できなくなる ②判例2 ⑴抵当権に基づく妨害排除請求の可否 ​要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ​結論:抵当権に基づく妨害排除請求をできる + 妨害目的なら占有権原を有する者に対してもできる ⑵抵当権者への引渡しの可否 ​要件:抵当不動産の所有者において適切に維持管理することが期待できない場合 ​結論:抵当権者は占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡し請求できる ⑶理由:抵当権は交換価値を把握する物権 ③不法行為に基づく損害賠償請求709 ⑴要件:損害の発生(709の要件)​ (例)一部家屋破壊+被担保債権額を下回る ※被担保物権1000万円。担保物権2000万円。一部破壊で1200万円の価値になっても損害なし Q 抵当権侵害を理由とする709の請求時期 ⑴問題の所在​:抵当権を実行してはじめて売却金額決定? ⇒ 実行後でないと709は不可? ∵ 算定不可 ⑵ 判例​:被担保債権の弁済期以後であれば実行前でも請求できる ⑶ 理由​:算定可能 ※競売にかけなくても概ねの額はわかるだろうということ ④債務者の期限の利益の喪失137Ⅱ:債務者が抵当権侵害 → 抵当権の実行可能になる ⑤ 増担保請求:抵当不動産の滅失または減少の場合に代わりの担保の提供を求める請求  Q 増担保請求が認められるか ⑴ 問題の所在​:明文なし (⑵通説​:特約または債務者が不法行為責任を負う場合、認められる 第三取得者との関係 ①第三取得者保護のための制度 ​・代価弁済​:抵当権者が請求 ​→ 第三取得者が応じる ​・抵当権消滅請求​:第三取得者が請求 ​→ 抵当権者が応じる ②代価弁済378:売買代金を抵当権者に弁済 → 抵当権がその者に対する関係で消滅 ​⇒ 被担保債権に満たない場合:残債務は債務者の無担保債務 ② 抵当権消滅請求379:買受代価等の受領により抵当権消滅or 拒否し競売するかの2択を迫る 抵当権の処分 ① 転抵当376Ⅰ前:抵当権者がその抵当権をもって他の債権の担保とすること ⑴ 対抗要件:原則、登記(=177適用) ​⇒ 原抵当権の債務者、保証人、抵当権設定者に対しては467の通知または承諾377Ⅰ ⑴趣旨:知らせることで二重払いを回避 Q 転抵当の被担保債権が抵当権の被担保債権より多い場合の転抵当の処理 ⑴問題の所在​:被担保債権1000万、転抵当の被担保債権1200万、転抵当? ⑵結論​:転抵当設定は可能 → 転抵当権者は抵当権者の被担保債権のみ優先弁済 ②抵当権の譲渡・放棄及び抵当権の順位の譲渡・放棄376Ⅰ後 ⑴内容​:抵当権者が他の融資者に有利な条件を提供 → 当事者の合意のみでできる ⑵ 処分の効果​:当事者以外の者に影響なし 写真 ③抵当権の順位の変更374:抵当権者全員の合意によって、その順位を入れ替えること ​⇒ 絶対的効力(債務者や抵当権者にも効力) ・ 登記が効力発生要件

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    Q ①抵当権者に対抗できない抵当不動産の占有者を抵当権に基づいて排除できるか

    ①問題の所在:占有屋が占有し競売を妨害 → 抵当権は占有の権利ではない→抵当権に基づいて妨害排除請求できるか? ②判例1 ⑴ 要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ⑵ 結論:所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使をすることができる ∵ 担保価値維持請求権・423 担保価値維持請求権と被担保債権は別物。被担保債権とすると物上保証人の場合に代位行使できなくなる

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    Q ②抵当権者に対抗できない抵当不動産の占有者を抵当権に基づいて排除できるか

    ①問題の所在:占有屋が占有し競売を妨害 → 抵当権は占有の権利ではない→抵当権に基づいて妨害排除請求できるか? ②判例2 ⑴抵当権に基づく妨害排除請求の可否 ​要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ​結論:抵当権に基づく妨害排除請求をできる + 妨害目的なら占有権原を有する者に対してもできる ⑵抵当権者への引渡しの可否 ​要件:抵当不動産の所有者において適切に維持管理することが期待できない場合 ​結論:抵当権者は占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡し請求できる ⑶理由:抵当権は交換価値を把握する物権

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    抵当権の処分の効果(譲渡・放棄)

    s

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    6 抵当権の実行段階の問題 7 抵当権の消滅

    6 抵当権の実行段階の問題(短答) 抵当権の実行 ①要件:抵当権の存在 ・ 被担保債権の存在 ・ 履行遅滞 ②方法:担保不動産競売 ・ 担保不動産収益執行 ③手続:裁判所に申立 → 開始決定 → 差押 → 売却準備・売却 → 引渡し → 配当 ④削除主義:実行後、抵当権・先取特権・質権並びに抵当権設定登記後に設定された利用権は全て消滅 →買受人はまっさらな不動産を取得 ​⇒ 抵当権実行の原則。被担保債権の満足に関わらず実行で消滅 共同抵当の実行 ①共同抵当:一つの被担保債権に対して複数の不動産に抵当権を設定する場合​(例)土地と建物 ②共同抵当の実行:抵当権者一人で、不動産価額 ≦ 被担保債権額、全部競売 → 全額抵当権者に弁済 Q 上記以外の場合どうなるか ​同時配当:全部の不動産を同時に競売して弁済を受ける方法 ​異時配当:いずれかの不動産のみを競売して弁済を受ける方法 ③ 同時配当392Ⅰ:各不動産の価額に応じて、その被担保債権の負担を按分する ④ 異時配当392Ⅱ ​共同抵当の抵当権者​:代価につき債権全部の弁済を受ける ​次順位の抵当権者​:同時配当で得られる金額を限度に共同抵当の抵当権者に代位して抵当権行使 ​⇒ 392は抵当権の目的物が同一人所有の場合 Q 共同抵当権の1不動産に対する抵当権の放棄(権利を失う) ⑴問題例:共同抵当権者が後順位抵当権者の代位の対象となっている不動産の抵当権を放棄した場合 ⑵問題の所在:後順位抵当権者を放棄により害する ⑶判例:504類推適用 → 後順位抵当権者が代位しえた限度において共同抵当権者は優先しえない 7 抵当権の消滅 ①代価弁済378 ②抵当権消滅請求379 ③抵当権の実行 ④目的物の消滅:物上代位により価値代表物には抵当権の効力が及ぶ ⑤付従性による消滅:被担保債権の弁済によって抵当権は消滅することがある ​⇒ 弁済によりあ消滅しない例:第三者弁済等の場合、抵当権は消滅せず代位することがある ⑥時効による消滅396:債務者及び抵当権設定者に対しては被担保債権と同時でなければ消滅しない ⑴第三取得者との関係では396不適用 ⇒ 被担保債権とは別に抵当権自体の消滅が主張できる397 ⑵抵当権は上記の場合、20年で消滅時効166Ⅱ

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    同時配当392Ⅰの図

    各不動産の価額に応じて、その被担保債権の負担を按分する

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    異時配当392Ⅱの例

    ※同時配当の場合を計算してから異時配当の場合を計算する ・共同抵当の抵当権者​:代価につき債権全部の弁済を受ける ​・次順位の抵当権者​:同時配当で得られる金額を限度に共同抵当の抵当権者に代位して抵当権行使 ※乙地を先に実行すると、Cは取り分が多くなる →結論は変わってくるが、それはそれで良いと考える

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    Q 共同抵当権の1不動産に対する抵当権の放棄(権利を失う)

    ⑴問題例:共同抵当権者が後順位抵当権者の代位の対象となっている不動産の抵当権を放棄した場合 ⑵問題の所在:後順位抵当権者を放棄により害する ⑶判例:504類推適用 → 後順位抵当権者が代位しえた限度において共同抵当権者は優先しえない →図の例ではA3,000万、C3000万となる

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    8 根抵当権

    概要 ①根抵当398の2:一定の範囲に属する不特定の債権を、一定の極度額の限度において担保する抵当権 ​⇒ 被担保債権が一定の限度内で変動する抵当権の一種 → 限度額まで債権が出入する入口付箱 ②背景:継続的取引の場合に、取引毎の抵当権設定は困難​(例)事業資金 ③特徴 ⑴ 付従性の緩和​:被担保債権が消滅しても存続 ⑵ 随伴性の緩和​:被担保債権を譲渡しても移転しない398の7 ⑶包括根抵当不可​:一切の債権の担保は不可398の2 ④流れ ⑴ 根抵当権設定契約​:担保不動産・極度額・債権の範囲・確定期日 ⑵ 元本確定前​:極度額の範囲で債権が増減 ⑶元本の確定​:確定期日到来 ⑷元本確定後​:通常の被担保債権扱い ・根抵当権のポイント (実際に短答で出るところ) ①根抵当権設定契約 ​・必要的約定事項:被担保債権の範囲・債務者・極度額 ​任意的約定事項:確定期日 ⑴ 被担保債権の範囲​:手形・小切手・一定種類の取引(売買取引等)・継続的取引(当座貸越契約等) ⑵極度額​:根抵当権により担保される限度 ⑶確定期日​:元本が確定される日 ②対抗要件:登記177 ③元本確定前と元本確定後 写真 ※元本確定後は極度額変更(利害関係人の承諾必要)以外はできない ④ 元本の確定:普通抵当権化する + 確定後の債権は担保されない ⑤元本の確定事由 ⑴ 期日の到来 ⑵ 元本確定請求398の19:確定期日のない場合、 ​・根抵当権設定者​:設定から3年経過すれば元本確定請求できる ​→ 請求後2週間で確定 ​・根抵当権者​:いつでも元本確定請求できる ​→ 請求時に確定 ⑶確定事由の発生398の20:滞納処分、破産手続き開始決定、差押え等 短答前チェックポイント ①被担保債権の範囲 ⇒ 抵当権と異なる ⑴被担保債権は複数も途中での弁済・一部弁済もできる+弁済により根抵当権は消滅しない ⑵極度額の範囲において優先弁済を受け、375の適用はない(極度額の範囲で全額担保される) ⑶ 確定前に債権の範囲の変更ができるが、確定前に登記をしないときは、その効力を生じない→被担保再建範囲の変更は元本確定前で登記が必要398の4 ②元本確定前 ⇒付従性・随伴性なし ⑴確定前に債権の一部を代位弁済した者はその債権について根抵当権を行使することができない398の7 ⑵根抵当権を譲渡+被担保債権を譲渡 → 当然にはその債権が根抵当権により担保されない398の7 ③元本確定後 ⇒付従性・随伴性あり ⑴確定後、被担保債権が譲渡された場合は根抵当権は譲受人に移転する ⑵確定後、現存の債務を支払えば極度額がそれを上回るとしても根抵当権は消滅する ⑶確定後、保証人が代位弁済したならば保証人は根抵当権を代位行為できる ⑷確定前は根抵当権は376Ⅰの処分(譲渡等)をなしえない。但し、転抵当のみはなしうる

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    第八章 質権 B+

    1 質権 ①質権342:​債権者が目的物を占有・留置することにより他の債権者よりも優先的に弁済を受けることができる担保物権 ​⇒ 約定担保物権 + 抵当権と留置的効力の有無で区別 ② 事例​:質権者が質権設定者の借金の担保にステレオを留置する ③性質​:通有性全てあり=留置的効力・優先弁済的効力・付従性・随伴性・不可分性・物上代位性 ④機能​:留置的効力 ⇒ 債務者を心理的に圧迫して弁済を間接的に強制 ⑤対象​:動産(=動産質) ・ 不動産(=不動産質) ・ その他の権利(=権利質) 2 動産質 動産質の設定 ①動産質権​:動産を対象とする質権 ⇒ 約定担保物権 → 通常、質権設定契約により設定 ② 即時取得​:質権者は即時取得できる​(例)他人の所有物を勝手に質として引渡して質権を設定 ​⇒ 物権契約は所有者とするのが原則 ​(例)抵当権 → 所有者でない人と抵当権設定契約しても無効(債権は有効) ③要物性​:動産質権設定契約は要物契約344(意思主義の例外) = 占有がなければ質権取得はない ④占有改定​:引渡しは占有改定を含まない345 ⑤対抗要件:目的物の占有の継続352 =目的物の占有は存続要件ではないが対抗要件であり成立要件 (例)質権者が占有を喪失した場合:遺失またはその善意の第三者・盗取等 ​・当事者間​: 〇質権に基づく返還請求  〇占有回収の訴え ​・第三者​: ×質権に基づく返還請求353 〇占有回収の訴え Q 質権者が質物を任意に設定者に返還した場合、動産質権は消滅するか ⑴ 判例:消滅しない ⑵ 理由:占有により維持される対抗力を失わせるだけ 動産質権の効力 ①動産質権の効力:通有性全て ②被担保債権の範囲:375不適用  ∵ 後順位質権者保護が不要(通常いない) ③目的物 ⑴範囲:目的物全部(物上代位も可) Q 従物に動産質権の効力が及ぶか ⑴結論:引渡しがない限り、及ばない = 引渡しがあれば、及ぶ ⑵理由:87Ⅱ ⑶動産質権の目的物から生じる果実:優先弁済に充当できる(完全な果実収取権はない。債務者の債務が減るだけ。債権者は自分のものにはできない)350・297 ​⇒ 動産質権者が優先弁済とは別に自らの財産にはできない ⑷使用・収益:目的物の保存に必要な限りで認められる350・298Ⅱ ​⇒ 上記範囲を超えて使用 → 消滅請求により質権を消滅させることができる350・298Ⅲ ⑸流質契約:弁済期到来により質物の所有権を取得するという契約 ​⇒ 弁済期到来前の流質契約は禁止349 ⑹質権者に善管注意義務あり 3 不動産質権 不動産質権の設定 ①不動産質権​:不動産を対象とする質権 ⇒ 約定担保物権 → 不動産質権設定契約により設定 ​⇒ 使用・収益ができる + 占有が必要なので実務では困難 ②要物性​:不動産質権設定は要物契約344 ⇒ 占有移転が必要 ③対抗要件​:登記177(動産質権は占有の継続)  ④占有改定​:引渡しは占有改定を含まない345 不動産質権の効力 ①不動産質権の効力:通有性全て ②被担保債権の範囲:375準用361  ※動産質は適用されない。 ③目的物:基本的には、動産質権と同様 ⑴目的物の使用・収益権がある356 ⑵果実収取権がある  ※完全な果実収取権有り。動産質のように優先弁済に充当できるだけではない。 ⑶利息を請求できない358(任意規定) ⇒ 特約があれば、利息請求できる 4 権利質 ①債権質の設定 権利質​:財産権を目的とする質権 ​→ 債権質:債権を目的とする権利質 ⇒ 約定担保物権 → 債権質設定契約により設定 ​⇒ 関係者が3者 + 債権譲渡と類似 ② 目的​:譲渡可能な債権のみ343 ​(例)×扶養請求権881 ③債権証書​:譲渡に証書の交付を要しない指名債権は証書の交付を効力要件としない(363削除) ④対抗要件​:債権譲渡と同様 = 通知又は承諾 債権質の効力 ①債権質の効力​:性質上認められないものを除き、通有性あり ​⇒ 債権譲渡と同様の論点 → 債権譲渡と同様 ② 優先弁済的効力​:弁済期以後は質権の目的たる債権を直接取り立てできる366Ⅰ 5 転質 ①転質:質権者が質物をさらに質入れすること ​・承諾転質:質権設定者の承諾を得て行う転質298Ⅱ・350 ​・責任転質:質権設定者の承諾なしに行う転質348 承諾転質 ①法的性質​:原質権とは別個の新たな質権設定 ⇒ 原質権による制限なし ②要件​:原質権設定者の承諾 ③効果​:原質権者は過失責任のみ負う → 不可抗力では責任を負わない ​⇒ 原質権消滅により消滅しない ・ 転質権独自で実行可 ・ 原質権に拘束されない 責任転質 ①法的性質 Q 責任転質の法的性質 ⑴問題の所在:責任転質は何を質入しているのか ⑵ 学説 ・共同質入説 内容)原質権者の債権と質権を質入 批判)348の文言「質物について」 ・質権譲渡説 内容)質権が譲渡される 批判)原質権者が原質権を保持 ・質権質入説 内容)質権そのものが質入 批判)権利質と同じ ・質物質入説(通説) 内容)質物そのものが質入 ②要件:原質権の範囲内 ⑴被担保債権額​:原質権の被担保債権額を超えない ⑵存続期間​:原質権の存続期間内 ③効果 ⑴原質権者は転質によって生じた損害は不可抗力の場合でも責任を負う348 ⑵転質権者は原質権の範囲内でしか権利を行使しえない ⑶ 実行には転質権だけでなく原質権の被担保債権が弁済期に達することが必要

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    第九章 留置権

    1 留置権 ①定義​:他人の物を占有している者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで留置できる権利 ② 例​:時計の修理を依頼されて修理した → 修理代未払い → 時計の返還を留置権で拒める ​⇒ 明渡しがでたら留置権  ​(例)売買契約 → 所有権を喪失するが留置権があるので弁済まで手元における ※司法試験では明渡しが出たら留置権を検討すること ③特徴​:法定担保物権(何ら合意なく成立する) +留置的効力 ④趣旨​:当事者間の公平 ⑤留置権と同時履行の抗弁権との相違 ・留置権と同時履行の抗弁権の比較  共通点は弁済まで明渡しを拒めることと趣旨  留置権の機能は他人の物を留置すること。同時履行の抗弁権は給付の履行を拒絶すること  留置権の性質は物権、同時履行の抗弁権は債権(双務契約の効力)  主張の相手方は、留置権は誰に対してもできるが、同時履行の抗弁権は契約の相手方のみ  留置権は不可分性あり296だが同時履行の抗弁権はなし(割合に応じて履行拒絶にとどまる)  留置権は代担保による消滅請求権あり301、同時履行の抗弁権にはなし  留置権には競売申立権あり、同時履行の抗弁権にはなし 2 留置権の要件 ①概要295 ⑴他人の物を占有 ⑵その物に関して生じた債権を有する=牽連性 ⑶債権が弁済期にある ⑷占有が不法行為によって始まったものではない ②他人の物を占有:占有は成立要件かつ存続要件(動産質権では対抗要件)302 ⑴占有を失えば留置権消滅⇒ 不動産留置権者は登記なくして第三者に対抗できる ⑵留置権に基づく返還請求は認められない ⑶占有回収の訴え200はできる ⇒ 回復すれば占有は継続していたものとされ203、留置権も継続 ③牽連性 ⇒ 留置権はその物に関して生じた債権を担保するために認められる ​・債権がその物自体から生じた場合​   (例)物について有益費を費やした ・​債権が返還義務と同一の法律関係または事実関係から生じた​場合(例)売買契約・取り違え(自分と相手がバッグをお互い取り違えて所持) Q 売買契約後に代金未払いの買主が第三者にその目的物を譲渡した場合 ⑴問題の所在​:売主は買主のみならず第三者に留置権を主張できるか = 牽連性は認められるか ⑵ 結論​:できる(=牽連性あり) ⇒ AはBに対し留置権主張可 → Cにも主張可 ⑶理由​:物権 ∴ 誰に対しても主張可 ⇒ AはCに対してBが払うまで明渡を拒絶できる Q 建物買取請求権が行使された場合の建物代金債権と敷地の明渡しの関係で敷地の留置権は認められるか ⑴建物買取請求権(借地借家13):借地権終了+権原により建物あり → 借地権設定者に買取請求可 ​⇒ 強行規定 ⑵問題の所在:建物に留置権はある → 敷地の留置 ⇒ 土地と建物は別個 ∴ 牽連性が問題 ⑶判例:敷地留置権は認められる(=牽連性あり)。但し、地代相当額の不当利得返還債務は発生 ⑷理由:建物は土地と分離できない ⇒ 認めないと建物留置できない ⇒ 建物の反射的効果として可 Q 造作買取請求権が行使された場合の造作代金債権のために賃借人は建物に留置権を主張できるか 例)エアコンを取り付け ⑴造作買取請求権(借地借家33):建物賃貸終了+同意のもと造作あり ⇒ 賃貸人に買取請求可 ​⇒ 任意規定 ⑵問題の所在:造作に留置権はある(=牽連性あり) → 建物の留置 ⑶判例​:建物の留置権は認められない ⇒ 造作の留置権は認められる ⑷理由​:建物と造作には著しい価格差あり → 認めると不公平 Q 不動産の二重譲渡で、引渡しを受けたが登記のない譲受人が留置権を主張できるか ⑴問題の所在:売主への損害賠償請求権の牽連性 ⑵判例:留置権は認められない(=牽連性なし) ⑶理由:留置権の成立時点において被担保債権の債務者と物の引渡請求権者が同一人でなければならない ​⇒ 牽連性が肯定されるための要件:成立時点(被担保債権発生時)で、債務者=引渡請求権者 ​∵ 引渡の拒絶により弁済を強制するこができない ⑷重要例:留置権は認められない(=牽連性なし ​・新地主に対抗できない借地人が明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか ​・他人物買主が所有者からの明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか ④債権が弁済期にある ​∵ 被担保債権の弁済を強制できない ⑤占有が不法行為によって始まったものではない  ​∵ 公平​(例)車を泥棒した者が車を修理:修繕費を請求できるが留置権は主張できない Q 占有開始時に権原があったが、その後に無権原となった者の費用支出に留置権の主張が認められるか ⑴ 事例​:賃貸借契約により占有 → 賃貸借終了 → 占有継続(不法占拠)+修繕費用を支出 ⑵問題の所在​:「始まった」のは不法行為ではない → 295Ⅱが適用されるか ※295Ⅱ:「占有が不法行為により始まった場合には...」 ⑶判例​:悪意または善意有過失での占有者は留置権主張できない → 295Ⅱ類推適用 ⑷期限の付与:196Ⅱ ​あり:留置権は認められない  ∵ 弁済期未到来 ​なし:留置権は認められない  ∵ 295Ⅱ類推適用 →期限の付与があってもなくても留置権は認められない ⑸理由​:趣旨=公平 → 占有する権利がないことを知っていれば不法 3 留置権の効力 ①通有性:優先弁済的効力・物上代位性以外の通有性あり ​⇒ 基本:留置的効力 + 優先弁済的効力が認められない ②優先弁済的効力:なし ⇒ 物上代位性なし ⑴事実上の優先弁済的効力はある ⇒ 留置権を誰にでも主張 → 買受人は第三者弁済が必要 ⑵留置権者に競売申立権はある(民執195) ⑶留意的効力:留置的効力あり + 優先弁済的効力なし ⑷使用​:保存に必要な限りで認められる298Ⅱ ⑸果実収取権​:優先弁済に充当できる297Ⅰ≒動産質権 ⑹善管注意義務あり298Ⅰ ⑺承諾を得ないで、保存に必要な範囲を超える使用・収益・担保に供することはできない298Ⅱ ​⇒ 違反すれば債務者は留置権の消滅を請求することができる298Ⅲ ​(例)×違反すれば消滅する - 違反により当然には消滅しない ・ 請求されたら消滅する 4 留置権の消滅 ①一般的な消滅原因:目的物の滅失、被担保債権の弁済、消滅時効等 ②代担保の提供301:代わりの担保の提供により留置権の消滅を請求できる ⑴法的性質​:請求権(×形成権) → 留置権者の承諾又は承諾に代わる裁判が必要 ⑵趣旨​:公平​(例)修理代5万未払 → 1000万の車を留置   ③留置権消滅請求権298Ⅲ ④占有の喪失302:占有の喪失⇒留置権消滅 ⑴例外302但:債務者の承諾により、賃貸又は質権の目的とした場合 ⑵債権の消滅時効の進行を妨げない300:請求による完成猶予は生じない ※ 留置権の主張は間接的に債務の履行を請求しているが、完成猶予の効果はない Q 訴訟の際に留置権を主張した場合の効果 ⑴問題の所在:留置権の被担保債権の消滅時効を更新するか ⑵判例:裁判上の催告 ⇒ 訴訟終結後から6カ月完成猶予

  • 47

    Q 不動産の二重譲渡で、引渡しを受けたが登記のない譲受人が留置権を主張できるか

    ⑴問題の所在:売主への損害賠償請求権の牽連性 ⑵判例:留置権は認められない(=牽連性なし) ⑶理由:留置権の成立時点において被担保債権の債務者と物の引渡請求権者が同一人でなければならない ​⇒ 牽連性が肯定されるための要件:成立時点(被担保債権発生時)で、債務者=引渡請求権者 ​∵ 引渡の拒絶により弁済を強制するこができない ※本件では留置権成立は⑤の時点  被担保債権の債務者はA、  引渡請求権者はC(Aは所有権なし)  よって、「成立時点で」被担保債権の債務者と引渡請求権者が異なり、けんれん性なし ⑷重要例:留置権は認められない(=牽連性なし ​・新地主に対抗できない借地人が明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか ​・他人物買主が所有者からの明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか

  • 48

    Q新地主に対抗できない借地人が明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか

    不可

  • 49

    第十章 先取特権 B+

    1 先取特権303 ①先取特権:法律の定める特殊な債権を有する者が、債務者財産から法律上当然に優先弁済を受ける権利 ​⇒ 特殊な債権を有する → 債務者の対象となる目的物に対して優先弁済を受ける権利 ⑴ 例​:裁判費用 → 債務者の総財産 ⑵趣旨​:当事者の公平・社会政策的必要性等、様々 ⑶特徴​:法定担保物権 + 留置的効力を除く、通有性全て ⑷先取特権の種類:優先弁済の対象となる目的物の種類による ​・一般先取特権​​:債務者の総財産を目的 ​・動産先取特権​(特別先取特権)​:債務者の特定の動産を目的 ・​不動産先取特権​(特別先取特権)​:債務者の特定の不動産を目的 2 先取特権の種類 ①一般先取特権306:きょうこそ、にちよう ​共益の費用307​:裁判費用債権 ​雇用関係308​:給料債権 ​葬式の費用309​:債務者及び債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式費用債権 ​日用品の供給310​:債務者への飲食料債権 ②動産先取特権311:311各号 → 特別の関係にある動産312以下 ​(例)建物賃貸料債権311一 → 建物に備え付けた動産313Ⅱ-建物の中に持込んだ物全て(判例) ⑴動産売買の先取特権321:売買契約 → 代金債権について引き渡した目的物のうえに優先権あり ​⇒ 目的物引渡後において売主を保護 ※売主Aがカメラを買主Bに売った。AはカメラをBに引き渡した。このとき、Aはカメラのうえに優先権がある。 ⑵第三者への効力333:第三取得者へ引渡した場合、追及できない(追及効なし)  ​⇒ 第三取得者=所有権を取得した者 ・ 引渡し=占有改定を含む(判例)(動産先取特権は公示が弱いので第三取得者を保護する必要性が高い) ③不動産先取特権325:債権の対象となった不動産を目的 ・​不動産保存 ・​不動産工事 ・​不動産売買 ⑴登記が効力要件337・338Ⅰ・340 ⑵ 不動産保存・不動産工事は登記すればそれ以前に設定されている抵当権に優先する339 ​∵ 目的物の価値を高める 3 先取特権の効力 先取特権の効力 ①留置的効力以外の通有性全て(付従性・随伴性・不可分性・物上代位性・優先弁済的効力) ⑴動産売買の先取特権 ⇒ 第三取得者(所有権取得者)へ引渡されると対抗できない333 ⑵物上代位性304   ⇒ 上記転売による代金債権に行使できる 先取特権の順位 ①一般先取特権と特別先取特権の順位329 第一順位:共益の費用​:利益を受けた総債権者に対してに限定 第二順位:特別先取特権​:動産先取特権 ・ 不動産先取特権 第三順位:一般先取特権​:  ⑴以外の共益の費用 > 雇用関係 > 葬式の費用 > 日用品の供給  ※今日こそ日曜の順 ②動産先取特権の順位330(試験出ない) ③不動産先取特権の順位331:不動産の保存 > 不動産の工事 > 不動産の売買

  • 50

    第十一章 非典型担保

    1 非典型担保 ①非典型担保​:民法典に規定がないが担保物権的機能を有するもの ⇔ 典型担保 ②機能​:債務の弁済がなければ目的物の財産権が担保権者に移転 + 私的実行 ③種類 ​・あらかじめ所有権を移転​:譲渡担保(債権存続)・売渡担保(債権消滅) ​・弁済がなければ所有権移転​:仮登記担保 ・​所有権を留保​:所有権留保 2 譲渡担保 Aランク ① 譲渡担保:法形式上所有権を移転し、弁済による返却を約することによって担保とする方法 ⑴譲渡担保設定契約:目的物について所有権の移転・賃貸借・弁済時の返還等を設定 ​⇒ 形式上、所有権移転 + 引換えに金銭を借りる ⑵目的物:譲渡担保権者から譲渡担保権設定者が賃借り ​⇒ 占有は譲渡担保権設定者のもとに留保 + 占有改定 ⑶ 弁済:目的物の所有権を返還 ​⇒ 形式上、所有権が返還 ②機能 ⑴動産抵当の実現:非占有 + 優先弁済 で動産に担保権設定 ⑵私的実行の実現:簡易な実行 ⇒ 抵当権の複雑な手続きを回避 ③法的性質 Q 譲渡担保の法律的構成 ⑴問題の所在:目的=担保 ・ 形式=所有権移転 → どちらを重視 ⑵ 学説・判例 ・所有権的構成 内容)目的物の所有権が債権者に移転 理由)形式を重視 ・担保的構成 内容)所有権は設定者に存し、債権者は担保権を有する 理由)実質を重視 ④設定:約定担保物権 →契約による  ⑴ 対抗要件 ​動産​:引渡し178(占有改定も含まれる) ​不動産​:登記177 ⑵ 即時取得:対象となる ※他人物でも譲渡担保の目的物になる 譲渡担保の効力 ① 対内的効力 ​・譲渡担保権者​:動産抵当の実現(非占有+優先弁済) ・私的実行の実現 ・​譲渡担保設定者​:使用・収益を続けられる ②効力の及ぶ範囲:被担保債権及び目的物の範囲は設定契約による ⑴目的物の範囲​:付加物・従物・従たる権利 ⇒ 抵当権と同様 ⑵物上代位​:行使できる(判例) ③清算の方法:譲渡担保の実行 ・​処分清算型:債務不履行時 → 目的物売却 ​・帰属清算型:債務不履行時 → 目的物を譲渡担保権者の所有物にする ⑴ 清算金:目的物と被担保債権の差額 ⇒ 清算金支払い義務あり(判例) ※譲渡担保権者Aが1000万円の債権について設定者Bの工場の機械1200万円分に譲渡担保の設定。Aに帰属。このときAはBに200万円の清算金を支払わなければならない ⑵清算金と目的物引渡の関係:同時履行の関係(判例) ④受戻(うけもどし)権:実行前に被担保債権全額を支払うことによって目的物を取り戻す権利 ​処分清算型:第三者に処分するまで ​帰属清算型:清算金の支払・提供・(目的物の額が足りない場合はその)通知をするまで ​⇒ 弁済期後に目的物を第三者に処分すると譲受人が背信的悪意者でも受戻権は当然に消滅(判例) ⑤対外的効力 ⑴譲渡担保設定者による処分 写真 集合物譲渡担保 ①集合物譲渡担保​:集合動産に譲渡担保を設定する場合​ (例)倉庫に保管されている全部品 ​⇒ 倉庫搬入前=対象外 → 倉庫内=対象 → 倉庫搬出後=対象外 ②特徴​:流動動産 + 集合物 Q 集合物譲渡担保が認められるための要件 ①問題の所在:一物一権主義(一物・特定性)に反し無効とならないか ②判例 ⑴ 一物​:集合物をもって1つの物としうる ​∵ 一物の概念は取引通念による ⇒ 担保取引の必要性あり ⑵特定性​:種類、所在場所及び量的範囲を指定する等の方法で目的物の範囲の特定を要する ※特定性の要件は書けるように ​∵ 取引安全 ⑶ 対抗力​:設定時の占有改定 → 新たな流入動産も対象 Q 動産先取特権の目的物が譲渡担保に供せられた場合、先取特権者と譲渡担保権者のどちらが優先するか ⑴ 問題の所在:333の第三取得者に譲渡担保権者は該当するか ⇒ 所有権的構成or担保的構成 ⑵判例​:所有権的構成 ⇒ 譲渡担保権者が優先=先取特権の追及効消滅 ⑶3 学説​:担保的構成 ⇒ 333に該当しない 第333条【先取特権と第三取得者】 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。 ※333の引渡しは所有権者に対するものに限られ、引渡しには占有改定を含む 3 売渡担保 B+ ①売渡担保:法形式上、売買の形をとって行われる担保 ②特徴:売買の形式をとる(⇔ S担:所有権の移転)・実質は担保(= S担) ​⇒ あらかじめ所有権移転 + 被担保債権が存続しない ※売買の形式を取るので売渡担保設定者は売却代金として金銭を得る ③ 売渡担保の種類 ​買戻し​:売買契約を解除することで目的物を取り戻す≒買解 ​再売買予約​:2度目の売買の予約をすることで目的物を取り戻す ④買戻しと再売買予約の違い ・買戻(579以下) 対象:不動産のみ 特約:売買契約と同時 返還すべき額:代金と費用(利息は不可) 対抗要件:売買契約と同時に登記 権利行使期間:10年以下 + 伸長不可 ・再売買予約 対象:制約なし 特約:制約なし 返還すべき額:制限なし 対抗要件:仮登記 権利行使期間:消滅時効 4 仮登記担保 B ①仮登記担保:仮登記を利用して行う代物弁済予約と売買予約の総称 ​・代物弁済予約​:弁済がなければ弁済に代えて不動産の所有権を移転するという予約の仮登記 ・​売買予約​:被担保債権額と同額で債務者の不動産の売買を行うという予約の仮登記 5 所有権留保 B+(短答) ①所有権留保:目的物を引渡した売主が代金担保のために完済まで目的物の所有権を留保する形の担保 ⑴事例:自動車の割賦販売 ⑵設定:売買契約時の特約 Q 所有権留保の法的性質 ⑴問題の所在:形式=所有権留保 ・ 実質=担保 → 所有権的構成or 担保的構成 ⑵結論​:所有権的構成 → 原則として転売でも取り戻せる ⑶理由​:あえて所有権留保という形式をとった Q サブディーラーから車を購入した買主に対しディーラーが所有権留保特約に基づき引渡し請求できるか ※サブディーラーがディーラーから所有権留保付き特約有りで買付。買主Aサブディーラーから車を購入し代金を支払った。その後、サブディーラーがディーラーに対して車の仕入れ代金が不履行となった。このとき、ディーラーは自己に所有権があるとして買主Aに車の引渡しを求めることができるか。 ⑴問題の所在:買主は代金完済+引渡済 ⑵判例:権利濫用1Ⅲとして許されない ⑶理由:代金回収不能の危険を買主に転嫁 + 代金完済の買主に不測の損害 6 代理受領 B+ ①代理受領:債務者の有する債権の弁済を受領する権限を債権者が委任される形で行われる担保 ⑴第三債務者の承諾が必要 ⑵債権者は第三債務者から受領した金銭と債務者の債権を相殺 ②機能:担保的機能 + 債権譲渡等の禁止特約付債権の担保化 + 手続き簡素化 ③法的性質:債権取立機能 ​・債務者が第三債務者からの弁済を受領 ​→ 弁済有効 ​・債務者が第三債務者に時効中断のための催告 ​→ 催告有効 ​・第三債務者が債務者に弁済した場合 ​→ 第三債務者は債権者に対し損害賠償責任を負う(判例)∵ 第三債務者は代理受領を承諾している

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    問題一覧

  • 1

    第一章 物権

    財産法 ​・物権:物に対する直接的・排他的な支配を内容とする権利 ​・債権:人に対する一定の行為を要求することを内容とする権利 ​⇒ 契約による物権・債権の両方の変化を理解する 1 物権 ①物権:物に対する直接的・排他的支配権 ②物権の性質 (Aランク) (物権) ・直接性(他人が介在しない) ・絶対性(誰にでも主張できる) ・排他性(同一の物権は1つのみ。対抗要件を要する)※一番抵当権、二番抵当権等がそれぞれ別の物件 (債権) ・他人が介在 ・特定の債務者にのみ主張できる ・同一の債権は複数可 ③物権の客体 (1) 一物一権主義:物権の客体は原則として特定の独立した単一の物。​注)≒排他性 ​・独立性:×物の一部・構成部分​ (例)車のバンパー→取引通念で決める ・​単一性:×集合物​(例)教室にある椅子30脚 (2) 一物一権主義の趣旨:社会的必要性と公示が困難 ⇒ 社会的必要性あり・公示可能ならば例外可 (3) 一物一権主義の例外 ​・独立性:〇一筆の土地の一部(要登記) ・ 立木(要明認方法) ・未分離の果実(要明認方法) ​単一性:〇譲渡担保(要目的物の範囲を特定)※例:工場内の機械一式 ④ 物権法定主義175:物権の種類及び内容に関する規定は強行規定 ⑴趣旨:取引安全 ⇒ 害さないなら例外可 ⑵例外:譲渡担保権

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    第二章 物権変動 A+

    1 物権変動 ①物権変動:物権の発生・変更・消滅 ⑴発生:原始取得-建物新築・時効取得等、​承継取得-契約・相続等 ⑵変更:物権の内容を変更-抵当権の順位を変更等 ⑶消滅:目的物滅失・所有権放棄・消滅時効(所有権・占有権以外)・時効取得による反射的効力 ②混同による消滅179 ⑴ 原則 ​・所有権と「他の物権(=制限物権)」の同一人への帰属 ​⇒ 他物権が消滅179Ⅰ ​・所有権以外の物権とこれを目的とする他の権利の同一人への帰属 ​⇒ その権利が消滅179Ⅱ  (179②の例:Aが地上権を保有。BがAの地上権に抵当権を設定。→AがBの抵当権を取得。→抵当権は消滅する) ⑵例外:消滅する権利等が第三者の権利の目的 ⇒ 第三者のためまたは自己のために消滅しない (第三者のための例):Aが土地所有。Bがこの土地に地上権。CがBの地上権に抵当権を設定→BがAから土地を取得。Bは自己の土地に地上権を有することになるが、地上権を消滅させるとこの地上権に抵当権を設定しているCを害するため、地上権は消滅しない (自己のための例):Cが1000万円の土地所有。Aが一番抵当権(800万円)Bが二番抵当権(600万円)→AがCから所有権を取得。この場合、混同によりAの一番抵当権を消滅させると、Bが一番抵当権者となり、Bが600 万円、残り400万円をAがえることになり、Aを害するのでAの一番抵当権は消滅しない ⑶例外の例外(A+):付従性から消滅する ⇒ 被担保債権が消滅するかをチェック ​・代物弁済によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ・​単独相続によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ⑷ 占有権:混同は占有権には適用しない179Ⅲ ⇒ 占有権は混同によって消滅しない 2 契約による物権変動 契約による物権変動に必要な行為 ①意思主義と形式主義 ​・意思主義:意思表示​→ 物権変動 ​・形式主義:意思表示 + 形式(登記・引渡等) ​→ 物権変動 ​⇒ 日本国民法は意思主義を採用 = 意思表示のみで物権変動が生じる176 ② 物権行為の独自性 Aランク:176の意思表示は債権的意思表示だけでなく物権的意思表示を意味するか Q 売買契約等の債権契約の他に、常に物権契約を必要とするか Aランク ・​独自性肯定説(反対説):176は独自の意味あり → 物権的意思表示は必要 → 売買と物権移転の合意が必要 ・​独自性否定説(判例):176は独自の意味なし → 物権的意思表示は不要 → 売買の合意のみが必要 ​・通説の根拠:176から素直 物権変動の時期 Q 物権変動はいつ生じるのか A+ ① 問題の所在:「意思表示のみによってその効力を生ずる」176から問題 ② 物の分類:特定物と不特定物 ​特定物​:当事者が個性に着目した物​(例)中古車、土地 ​不特定物​:当事者が個性に着目しなかった物​(例)新車 ③判例・通説 ​・特定物​:特約なき限り、原則として契約をした時 ・​不特定物​:原則として、目的物が特定した時 ​⇒ 不特定物は契約時にはどの不特定物が自分の物なのか不明であるため ④ 根拠:意思主義の原則 = 176から素直 対抗要件主義 A+ ①対抗要件主義​:意思表示によって生じた物権変動を第三者に対して対抗するには対抗要件が必要 ・成立要件主義​:意思表示 + 登記 → 物権変動 この場合の登記は物権変動成立の要件 ② 対抗要件:物権変動を第三者に対して主張するための要件 ​不動産​:登記177 ​動産​:引渡178 ​∵ 第三者に対する外部的徴表の必要 ③第三者 ・​177の第三者:当事者及びその包括承継人以外のもので、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者 ​・178の第三者:当事者及びその包括承継人以外の者で引渡の欠缺を主張する正当な利益を有する者 ​(例)不要:売主・不法占拠者・不法行為者 ​必要:善意の第三取得者 公示の原則と公信の原則 ①公示の原則:物権変動は常に外界から認識しうる何らかの表象を必要とするという原則177 ⑴公示の方法​:不動産-登記 ​         動産 -引渡 ⑵機能​:存在するものを存在するものとして扱う ⑶保護される信頼​:消極的信頼(物権変動がないという信頼) ​(例)公示がないから抵当権なし ②公信の原則:真の権利状態と異なる公示が存在する場合、信頼した者に公示通りの権利があったと保護 ⑴適用の対象​:動産192 ⇒ 不動産は対象外 ⑵機能​:存在しないものを存在するものとして扱う ⑶保護される信頼​:積極的信頼​ (例)公示がある以上所有権はある

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    混同179の例外の例外 代物弁済のケース

    ⑶例外の例外(A+):付従性から消滅する ⇒ 被担保債権が消滅するかをチェック ​・代物弁済によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ※債務者Aが債権者Bに対して土地を引渡して代物弁済 →代物弁済のより被担保債権が消滅し、付従性からBの抵当権も消える →債権者Cの抵当権が第一抵当権となる

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    混同179の例外の例外(単独相続のケース)

    ⑶例外の例外(A+):付従性から消滅する ⇒ 被担保債権が消滅するかをチェック ​ ・​単独相続によって1番抵当権者が所有権を取得 ⇒ 1番抵当権消滅 ※債権者Aが債務者Bを相続したことにより、被担保債権に債権の混同が生じ、消滅520→Aの1番抵当権も消滅

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    3 不動産登記

    不動産登記 ①登記:国が作成管理する登記簿に物権変動及びその内容を記載すること、または、記載された内容自体 ​⇒ 各地の法務局またはネットで誰でも取得できる(有料)∴ 公示になる ②登記の種類 ⑴表題部:物理的状況を記録:  所在・地番・地目・地積・原因・所有者 ⑵権利部:権利に関する登記が記録 ​甲区:所有権に関する事項を記録 ​乙区:所有権以外に関する事項を記録 ⑶共同担保目録:一つの債権の担保となっている複数の不動産を一覧にまとめたもの ③効力による分類 ​・本登記:対抗力を発生・変更・消滅させる登記。終局登記 ・​仮登記:将来されるべき登記の順位をあらかじめ保全するための登記。予備登記 ​⇒ 仮登記は、対抗力はない ・ 順位保全効はある + 遡及効はない(判例) ​⇒ 登記は早い順位を優先 (例) 10/1 AB 売買 、 B仮登記 ⇒ 対抗力なし。 順位保全効あり 11/1 AC売買、 C登記  対抗力あり=BはCに対して対抗不可 12/1 B本登記  ⇒ BはC対して 10/1の時点での順位を主張可。遡及効はない →12/1からは自分=Bは所有者と対抗可 ⇒Cの登記は職権で抹消 ④手続:原則、当事者の申請による ⇒ 申請主義+共同申請(登記義務者及び登記権利者) ​・登記権利者:登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける登記名義人​(例)買主 ​・登記義務者:登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人​(例)売主 ​⇒ 実務では、司法書士が双方代理で行う。判例上も可 ⑤登記の有効要件: 形式的要件+実質的要件  ⇒欠けていれば無効=対抗力なし 登記請求権 B+ ①登記請求権:登記権利者が登記に協力しない登記義務者に対して登記申請に協力せよと請求する権利 ​⇒ 登記の移転や抹消を請求する権利。多くは買主が売主に請求 ②法的性格 ​・物権的登記請求権​:物権に基づき登記の移転・抹消を請求する登記請求権​⇒ 消滅時効にかからない ​・物権変動的登記請求権​:物権変動自体から生じる登記請求権​⇒ 所有者以外も可 ※土地所有者AがBに譲渡。BはCに譲渡。Cに所有権があるのでBが物権的請求権を失うが、物権変動的請求権でAに登記の移転を請求できる ​・債権的登記請求権​:売買等の債権的な契約から生じる登記請求権​⇒ 消滅時効にかかる ​⇒ 契約時に物権的・債権的が可+どちらでも可、 物権変動的は物権的ができない場合 ③中間省略登記:ABCと所有権移転したが中間者Bを省略して登記する場合 ∵ 経費削減 Q 合意による中間省略登記は有効か ①判例通説:全員の合意があれば有効 ∵ 現在の権利関係については合致 ②変遷:初期は無効 → 有効と評価 → H17不動産登記法改正で不可 → 新・中間省略登記で可 Q 中間者の同意を得ずになされた場合の処理 ① 対抗力の有無​:対抗力あり(判例) ∵ 現在の権利関係については合致 ② 中間者の抹消請求の可否​:533等の抹消を求める正当な利益を有しなければ不可(判例) ※Aが土地をBに譲渡。さらにBがCに譲渡。BがまだCから代金を支払われていない場合、中間省略登記を認めると、533を持っているにもかかわらずその効果がなくなってしまう。この場合、抹消を求める正当な利益があると言える。 Q Cによる中間省略登記請求の可否 ①判例​:中間者の同意がなければ請求不可 ​+ 中間者の同意があれば請求可 ②根拠​:不動産登記法上の理想を重視すべき​+ 現在の権利関係については合致 ③代位行使423の可否​:可 + Bの無資力要件は不要(判例)

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    4 不動産物権変動と対抗要件

    対抗 ①対抗:第三者に対し自己の物権を主張すること ​⇒ 対抗要件がないと177・178の第三者に対抗できない = 権利があるだけでできるのではない Q 二重譲渡が認められるのはなぜか ​注)深入りするな。時間がない。 ①不完全物権変動説:登記なくとも当事者間で物権変動は生じるが排他性のない不完全なもの ​⇒ 譲渡者は完全な無権利者ではない + 登記を備えることで完全な物権変動となる Q 177の第三者が物権変動を認めることはできるか ①結論:可能 ∵ 対抗要件は主張の要件 = 自分から177の第三者に主張するために必要なもの ※AがBとCに二重譲渡。C登記を備えた。このとき、CのほうからBの所有だと求めることが可能ということ 二重譲渡と他人物売買の区別(A+) ・​二重譲渡​:排他性を備える前に行った場合 ​⇒ 有効 ​・他人物売買​:排他性を備えた後に行った場合 ​⇒ (物権的には)無効 ※不完全物権変動説→登記備えた時点で完全な物権変動となり排他性を備える 第三者の範囲 ①177の第三者:当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者 ・​177の第三者にあたる者 ​⇒ 登記なくして対抗できない ・​177の第三者にあたらない者 ​⇒ 登記なくして対抗できる ② 177の第三者にあたる者:二重譲渡の譲受人 ③ 177の第三者にあたらない者 ⑴不動産登記法5列挙者​:詐欺・強迫によって登記を妨げた者等​⇒ not正当 ⑵無権利の名義人​:勝手に登記、94Ⅱ(通謀虚偽表示)の相手方、錯誤無効の相手方​⇒ not正当 ⑶ 不法占拠者・不法行為者​:賃貸借契約終了後に明渡拒否する賃借人、放火犯​⇒ not正当  ※ 住んでいる家の登記がなくても放火犯に対応でき、損害賠償請求もできる )⑷前主・後主の関係​:前の持主・後の持主、相続人​⇒ 当事者類似 Q 不動産の譲受人が賃借人に対してその不動産の明渡を請求する場合の登記の要否 ①判例:登記が必要 = 賃借人は177の第三者にあたる ②理由:賃貸人たる地位が所有権と共に移転 Q 不動産の譲受人が賃借人に対して賃料請求等をする場合の登記の要否 ① 判例:登記が必要 = 賃借人は177の第三者にあたる ② 賃料の二重払いを回避する必要 + 上記② 第三者の主観的要件 Q 悪意の第二譲受人が177の第三者にあたるか ①背信的悪意者排除論(判例):単なる悪意者はあたるが背信的悪意者はあたらない ​・善意者​⇒ 第三者にあたる ​= 登記なくして対抗できない ​・悪意者​⇒ 第三者にあたる ​= 登記なくして対抗できない ​・背信的悪意者​⇒ 第三者にあたらない ​= 登記なくして対抗できる ② 根拠 ⑴ 自由競争の範囲内において登記の有無によって画一的に決する ⑵自由競争の範囲から逸脱する様な背信的悪意者は信義則1Ⅱ上、第三者にあたらない ③背信的悪意者:不動産登記法5列挙者、第一譲受人に高く売る目的、嫌がらせ・妨害目的 Q 背信的悪意者からの転得者は177の第三者にあたるか A+ ①判例:転得者自身が背信的悪意者でない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由: 1Ⅱ 信義則ゆえに登記の欠缺を主張できないのは背信的悪意者の一身専属的なもの + AC間の売買自体は有効  ※ 背信的悪意者でもCは無権利者ではない Q 善意者からの背信的悪意者は177の第三者にあたるか A+ ①絶対的構成:善意者をわら人形として利用したのでない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由​:法律関係の早期安定と簡明 Q 登記を備えられなかった第一譲受人の売主への対応 ①結論:売主に対して債務不履行に基づく損害賠償請求415及び契約の解除をしてから703 ② 要点:第一譲受人は物権的には保護されない(第二譲受人が登記を備えた時点で排他性をもつ) ⇒ 債権的には別問題 ⇒ 物権・債権を検討 Q 背信的悪意者であるがゆえに対抗できない譲受人の売主への対応 B ①債務不履行責任 ​⇒ 不可   ∵ 債務履行済 ②他人物売買の担保責任 ​⇒ 不可   ∵ 自己物売買 ③不法行為に基づく損害賠償請求709 ​⇒ 特別の事情があれば認められうる 登記を対抗要件とする物権変動 Aランク Q いかなる物権変動に関して登記を必要とするか=意思表示以外にも必要となるか ①反対説・旧判例:176の次に177 ∴ 177は意思表示を原因とするものに限定 ​⇒ 時効取得・相続等では177は適用されない ②通説・現判例:177は176と異なり文言に制限なし ∴ 177は意思表示に限定しない ​⇒ 時効取得・相続等でも177は適用 ①取消と登記 Q 取消後、被詐欺者等が登記を復帰させる前に登場した第三者の保護 ①判例:復帰的物権変動=対抗関係にあり、登記を備えた方が保護される ②理由:二重譲渡類似。登記を怠る者に帰責性ある ③取消と第三者保護 ・制限行為能力取消 取消前の第三者:保護なし 取消後の第三者:177 ・詐欺取消 取消前の第三者:96条Ⅲ項(善意無過失なら保護) 取消後の第三者:177 ・強迫取消 取消前の第三者:保護なし 取消後の第三者:177 ④解除と登記 ⑴解除​:一定の事由により生じた解除権を行使することで、契約を消滅させる制度 ​⇒ 契約自体は有効に成立。解除されるまでは有効 ⑵解除の効果​:原則として、遡及的に無効 ⇒ 原状回復義務が発生 Q AB売買の後、Bの代金未払いにより解除。この場合にBからの転得者Cの処理 Aランク ① 結論 (解除前後で結論が違う) ・解除前の第三者 →結論)権利保護要件としての登記必要  主観)不問 (善意悪意関係ない)  理由)遡及効の制限545Ⅰ但 → 保護する要件 ・解除後の第三者 →結論)対抗要件としての登記必要  主観)不問  理由)復帰的物権変動 → 対抗関係 ②判例(反対説):解除前の第三者は対抗要件としての登記必要 (批判)解除前はAとCは対抗関係にない ③登記の種類 ​・対抗要件としての登記​:自己の物権を第三者に主張するために必要となる登記 ​・権利保護要件としての登記​:第三者として物権を保護されるために必要となる登記 ​⇒ 対抗関係の有無 + 登記を取得する時期(対抗要件=主張時のみ ・ 権利保護要件=解除時等)で区別 取得時効と登記 (A ランク) ※判例と事例を抑える ​・基本:時効取得 → 当事者類似 ∴ 登記なく対抗可 + 反射効により消滅 → 登記請求or 確定判決 ​⇒ 問題の所在:第三者が出現した場合、登記が必要か Q 時効による所有権の取得を第三者に対抗するのに登記が必要か ① 判例 ​・時効完成前の譲受人:時効取得者と登記名義人との関係は当事者類似 ​⇒ 登記なくして対抗できる ※当事者類似がポイント。所有者と時効取得した占有者の関係と類似。 ・​時効完成後の譲受人:元所有者を起点とした二重譲渡類似 ​⇒ 登記なくして対抗できない ② 時効の起算点:占有の開始時に固定162Ⅱ参  ※時効取得者が任意に起算点を選べるとすると、時効取得者に有利(時効取得者は登記なくして対抗できる)な時効完成前の第三者になるように扱われてしまうのでそれを防ぐ Q 時効完成後に第三者が登記を備えたので対抗できなくなった後、さらに時効期間が経過した場合 ※事例)B所有の土地。Bが時効取得。その後、AがCに譲渡しCが登記。C登記後にさらにAの時効取得の時効期間が経過。 ①判例:再度の時効期間を経過すれば、当事者類似 ∵ Cの不動産をAが占有して時効取得 ②結論:AにとってCは177の第三者ではない=登記なくしてAはCに対抗できる Q 時効完成後の抵当権設定後、さらに時効期間が経過した場合 ①判例H15.10.31 ⑴ 抵当権設定:第三者との関係では登記なくして対抗できない ​⇒ 図③の時点ではXに抵当権の負担有 ⑵ 時効取得と援用:時効期間経過時に所有権発生(=援用時ではない)+ 援用により確定的に取得 ​⇒ 図②の登記前に図③をしていれば対抗可 ⑶ 再度の時効取得:不可 ∵ 援用により既に所有権を確定的に取得 ※時効の完成の前後は時効期間経過の有無で決まる。援用は関係ない。 Q 時効完成後の抵当権設定後、援用・登記なくさらに時効期間が経過した場合 ①判例H24.3.16 ​取得時効完成後、所有権移転登記なし。 その後、第三者が抵当権設定登記​。その後、さらに時効期間が経過し、援用+登記 ↓ 抵当権消滅した所有権を取得できる(原始取得できる) 相続と登記 (Aランク) ​・基本:死亡=相続開始 → 相続人全員の共有財産 → 遺産分割=相続開始時から効力発生 → 相続登記  ※死亡=相続開始がポイント  ※遺産分割=死亡の時点に効果が遡る→死亡から遺産分割までの間に現れた第三者が問題 ①被相続人からの譲受人と相続人との関係 Q 被相続人からの譲受人は相続人に対して登記なくしてその物権変動を対抗できるか  ※譲受人に登記はない。登記があれば問題にならない。 ⑴判例:対抗できる ⑵理由:包括承継 → 譲受人との関係は当事者類似=対抗関係ではない ②共同相続と登記 ​単独相続:相続人が1人の場合​   (例)1人以外の全員が相続放棄 ​共同相続:相続人が複数の場合 Q 相続人Aが勝手に単独名義の登記+譲渡した場合、他の相続人Bは登記なくして持分を対抗できるか ⑴判例:登記なくして第三者に自己の持分を対抗できる + 第三者保護は94Ⅱ類推等で図る ​⇒ Aの持分は有効 ∵ 共同所有での共有は持分の処分は自由 ⑵理由:AはBの持分については無権利 + 登記に公信力はない + 共同相続段階での登記は不要 ③相続放棄と登記 Aランク ⑴相続の方法 ​・単純承認:被相続人の+の財産もーの財産も全て承継する ​⇒ 一般的な相続 ​・相続放棄:被相続人の+の財産もーの財産も全て承継しない ​⇒ 負債が多い場合 ・​限定承認:被相続人の+の財産の範囲内でーの財産も承継する ​⇒ 負債が不明な場合 ⑵相続放棄の効力939:相続放棄の効力は遡及する + 第三者保護規定なし(909と比較) ⑶法定単純承認921:処分Ⅰ・期間徒過Ⅱ・背信行為Ⅲ があると単純承認が擬制 Q AB相続 → Aが相続放棄しBが登記をしない → Aの債権者がA持分を差押 → Bは登記なくYに対抗できるか ⑴ 判例:BはA持分を登記なくしてYに対抗できる ⑵ 理由:相続放棄の遡及効の徹底939 + 放棄できる期間が短い915Ⅰ + 第三者は確認できる938 ​⇒ 差押でなく売買の場合は法定単純承認921で単純承認 ④ 遺産分割と登記 ⑴遺産分割の種類 ・​指定分割:被相続人の遺言書等による遺産分割 ​⇒ 法定相続に優先、被相続人の意思を尊重 ​・協議分割:相続人の協議による遺産分割 ​⇒ 相続人全員で行い、遺産分割協議書を作成 ⑵遺産分割の効力909:遺産分割の効力は遡及する + 第三者保護規定あり(939と比較) Q AB相続 → Aは遺産分割によりA持分をBへ → Aの債権者YがA持分を差押 → 登記なく対抗できるか ⑴ 判例:BはA持分を登記なくしてYに対抗できない ⑵理由:909は新たな物権変動と同視 ・ 第三者保護規定あり=遡及効徹底しない + 期間制限なし(第三者が現れることは十分考えられる)・家裁に行って確認もできない ※差押でなく売買の場合も同様  ※差押 → 分割 の場合は909但で保護(登記要・善意悪意不問) 遺贈と登記 B+ ​・遺贈​:遺言により財産を無償で譲渡 ​⇒ 受遺者に制限なし・単独行為 ​・死因贈与​:死亡によって効力を生ずる贈与契約 ​⇒ 受贈者に制限なし・契約 ​⇒ 遺贈:遺贈者 → 受遺者    ​死因贈与:贈与者 → 受贈者 Q 受遺者Bが登記をしないでいる間に相続人Aの債権者Yが差押えた場合登記なく対抗できるか ※Bは相続人ではない ①判例:登記なくして対抗できない ②理由:遺贈は意思表示に基づく物権変動でAとXは同一人格 ∴ BとYは対抗関係 Q 相続させる趣旨の遺言によって取得後、登記をしないでいる間に相続人Aの債権者Yが差押えた場合(Aランク) ①相続させる趣旨の遺言:特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言 ②判例:登記なくして対抗できる ③理由:何らの行為を要せず、死亡時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される

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    二重譲渡と他人物売買の区別(A+)の図

    二重譲渡と他人物売買の区別(A+) ・​二重譲渡​:排他性を備える前に行った場合 ​⇒ 有効 ​・他人物売買​:排他性を備えた後に行った場合 ​⇒ (物権的には)無効

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    177の第三者にあたらない者(前主・後主の関係​の図)

    :前の持主・後の持主、相続人​ ⇒ 当事者類似 写真の図でA Bは第一売買の当事者、BCは第二売買の当事者で177の第三者にあたらない さらに、A C間も当事者類似なので177の第三者にあたらない

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    Q 背信的悪意者からの転得者は177の第三者にあたるか

    ①判例:転得者自身が背信的悪意者でない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由: 1Ⅱ ∴ 登記の欠缺を主張できないCの背信的悪意者の地位は一身専属的なもの + AC間の売買自体は有効

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    Q 善意者からの背信的悪意者は177の第三者にあたるか

    ①絶対的構成:善意者をわら人形として利用したのでない限り権利を取得 = 177の第三者にあたる ②理由​:法律関係の早期安定と簡明

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    時効取得と登記 :時効の起算点(図)

    ② 時効の起算点:占有の開始時に固定162Ⅱ参 ※時効取得者が任意に起算点を選べるとすると、時効取得者に有利(時効取得者は登記なくして対抗できる)な時効完成前の第三者になるように扱われてしまう

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    Q 時効完成後の第三者による抵当権設定・登記後、さらに時効期間が経過した場合

    ①判例H15.10.31 ⑴ 抵当権設定:第三者との関係では登記なくして対抗できない ​⇒ 図③の時点ではXに抵当権の負担有 ⑵ 時効取得と援用:時効期間経過時に所有権発生(=援用時ではない)+ 援用により確定的に取得 ​⇒ 図②の登記前に図③をしていれば対抗可 ⑶ 再度の時効取得:不可  ∵ 援用により既に所有権を確定的に取得

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    Q 相続人Aが勝手に単独名義の登記+譲渡した場合、他の相続人Bは登記なくして持分を対抗できるか

    ⑴判例:登記なくして第三者に自己の持分を対抗できる ∵Cは177の第三者に当たらない + ただし、第三者保護は94Ⅱ類推等で図る余地あり(Bに帰責性がある場合) ​⇒ Aの持分は有効 ∵ 共同所有での共有は持分の処分は自由 ↓ CとBの共有となる ⑵理由:AはBの持分については無権利 + 登記に公信力はない(登記を第三者が信じても保護されない) + 共同相続段階での登記は不要(登記していなかったことに帰責性なし)

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    Q AB相続 → Aが相続放棄しBが登記をしない → Aの債権者がA持分を差押 → Bは登記なくYに対抗できるか

    ⑴ 判例:BはA持分を登記なくしてYに対抗できる ⑵ 理由:相続放棄の遡及効の徹底939 + 放棄できる期間が短い(3ヶ月)915Ⅰ (その間に差し押さえはされることは少ない)+ 第三者は確認できる938 ​⇒ 差押でなく売買の場合は法定単純承認921で単純承認

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    Q 相続させる趣旨の遺言によって取得後、登記をしないでいる間に相続人Aの債権者Yが差押えた場合(Aランク)

    ①相続させる趣旨の遺言:特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言 ②判例:登記なくして対抗できる ③理由:何らの行為を要せず、死亡時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される(共有になったりしない)

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    5 動産物権変動と対抗要件

    ①基本:動産物権変動の対抗要件=引渡し178:一方から他方へ物の支配を移転 ② 178の引渡しの種類 Aランク ⑴現実の引渡し​: 私があなたに渡した ⑵簡易の引渡し​: 既に渡した ⑶占有改定​  :私が持つが渡した​ ⑷指図による占有移転​: 他人が持つが渡した ⑵⑶⑷: 観念的引渡し(渡してないけど渡したことにする) ③現実の引渡し182Ⅰ:物理的に目的物の支配を移転 ④簡易の引渡し182Ⅱ:既に相手方が物理的に支配している物を、相手方に渡したことにする ⑴事例:賃貸してあるPS5を賃借人に売り渡す場合-貸して売った ⑵趣旨:譲渡人が目的物を取戻して改めて現実の引渡しをする無用の手間を省く ⑤占有改定183:物理的にはこちら側に物がある状態のまま、相手方のために占有する意思を表示 ⑴事例​:PS5を売り渡して所有者から賃借りする場合-売って借りた ⑵趣旨​:譲渡人が目的物を現実の引渡しをして改めて引き取るという無用の手間を省く ⑶ 183​:代理人=占有代理人 ​本人=占有代理人に占有をさせて占有権を取得する直接占有者 ⑥指図による占有移転184:物を代理人が占有し、本人が代理人に第三者のために以後占有することを命じ承諾 ⑴事例:貸している物を売った ⑵要件:譲渡人が代理人に以後譲受人のために占有を命じる → 譲受人の承諾(代理人の承諾は不要) ※ 譲受人の承諾は必要だが代理人の承諾は不要であることは頻出

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    6 明認方法 7 公信の原則 8即時取得

    6 明認方法 ①明認方法:土地の定着物についてなされる慣習上の公示方法で対抗要件として認められるもの ※ 対抗要件であることがポイント ②態様​:木の皮を削って所有者名を書く ・ 立て札を立てる ・ ロープでくくり名前を貼る ③対象​:立木・未分離果実・稲立毛(田畑にあって、まだ刈ってない米麦)等の所有権 ​⇒ 立木:土地(の一部)  =不動産。切るor仮植中の場合は動産。明認方法を備えた場合は別の独立した不動産の扱いとなる Q 対抗要件としての明認方法は存続していることを要するか ①判例:存続を要する = 消えたらなくなる ② 理由:公示方法としては不完全 Q 立木のみの二重譲渡の処理 ①判例:明認方法の先後で決する ②理由:対抗関係にある Q 土地と立木の所有者Aから共に土地を譲受 → Bは立木の明認方法・Cは土地の登記 → 立木は? ①判例:土地・立木ともにCが優先 ② 理由:立木は土地の一部で土地の対抗要件に従う。土地所有権の対抗要件として明認方法は無意味 ​⇒ 明認方法はあくまでも立木が土地と別に処分された場合の公示方法 Q Aが山林をBに譲渡する際、立木所有権を留保 → Bが立木を含めて山林をCに譲渡 → 立木は? ※Bは立木については無権利者? ① 判例:Aは明認方法なくして立木所有権を対抗できない=明認方法が必要 ②理由:立木は土地に従う → 例外の場合、公示が必要 → 所有権留保も物権変動の一部=要対抗要件 ​⇒ 取引安全のため 7 公信の原則 A+ ①公信の原則:存在しない権利が外観上存在する場合、その外観を信頼して取引した者を保護する原則 ​⇒ 動産についてのみ認める → 即時取得192 ②即時取得192 ※覚える ​・要件:有効な取引によって平穏・公然・善意・無過失で占有を開始した動産 ​・効果:所有権及び質権の原始取得 ③ 趣旨:取引安全   ∵ 公示手段として不十分 即時取得の要件 ①動産:登記・登録が対抗要件とされる動産は対象外​(例)登録済み自動車 Q 未登録自動車は即時取得が可能か ⑴判例:可能 ⑵理由:引渡しを対抗要件とする動産 Q 金銭にも192の適用があるか ⑴判例:否定 ⑵理由:金銭は所有と占有が常に一致 ⇒ 192と無関係+事後処理は不当利得703等の問題(お金を落とした人は不当利得として同額を請求できる) Q 非所有者から伐採前の立木のまま譲受され、自ら伐採した場合に立木を即時取得するか ⑴判例:否定 ⑵理由:伐採前の立木: ×動産  伐採後の立木の取得: ×取引行為 ② 有効な取引行為による取得 ⑴取引ではない​:伐採 ・ 相続 ⑵有効ではない​:制限行為能力者 ・ 意思表示の瑕疵及び不存在 ・ 無権代理 ⑶有効な取引行為​:売買契約 ​⇒ 転得者は192適用可  ※AがBに動産を譲渡し。その後、BがCへ当該動産譲渡し。このとき、Aが制限行為能力者等であり有効な取引ではなくBが即時取得できない場合でも、転得者のCには192を適用可能(Cは原始取得取得できる) ③ 平穏・公然・善意・無過失で占有を開始 ​・平穏・公然・善意​:186Ⅰにより推定される ​・無過失​:188により推定される(判例)前所有者は適法に権利を行使 ​⇒ 取引行為による占有があれば平穏・公然・善意・無過失を推定(取得時効は無過失推定なし) ④占有を始めた Q 192の占有を始めたに占有改定は含まれるか ①判例:否定=占有改定は192の占有を始めたに含まれない ②理由:占有者の占有状態に変化がない=外部から認識しえない → 肯定すると真の権利者を害する Q 指図による占有移転は占有を始めたにあたるか ①判例:あたる ②理由:外部から占有移転を認識しやすいので 盗品・遺失物の例外 Bランク ①盗品・遺失物の例外193 ⑴ 要件:即時取得に該当 + 盗品・遺失物(横領は不可) + 2年以内 ⑵効果:第三者に対し物の回復請求ができる ②回復請求194:原則、無償 ​⇒ 競売・公の市場・同種の物を販売する商人から善意で買受の場合、代価の弁償が必要 Q 2年間の間物の所有権は原権利者と占有者のどちらに帰属 ⑴判例:原権利者に帰属 ⑵理由:原権利者 → 占有者 → 原権利者 とする意味が乏しい Q 回復請求をなしうる者には原権利者以外の者を含むのか ⑴ 判例:含む。受寄者や賃借人等も含む ※受寄者: 寄託によって物の保管を引き受ける者 ⑵理由:原権利者に所有権が帰属 Q 回復請求のできる相手方 ⑴判例:現占有者 ⇒ 即時取得した者の特定承継人も含まれる(善意悪意を問わない) ⑵ 比較:占有回収の訴えは悪意の特定承継人に限定200Ⅱ

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    Q 192の「占有を始めた」に占有改定は含まれるか

    事例(写真) Bに引渡し(占有改定)した時点でAは無権利者 →Cは即時取得できるか? →現実の引渡しではCは即時取得 →占有改定の場合は? ①判例:否定=占有改定は192の占有を始めたに含まれない ②理由:占有者の占有状態に変化がない=外部から認識しえない → 肯定すると真の権利者を害する ※本事例ではBの権利を害する

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    第三章 占有権

    1 占有 Bランク ①占有:自分が利益を受ける意思で物を現実的に支配している事実状態 ⑴占有意志​:自分が利益を受けるために占有をする意志 ⑵ 所持​:ある人がある物を事実上支配していると認められる状態 ​⇒ 占有意志 + 所持 → 占有あり = 占有権発生 ②占有権​:占有に基づいて認められる権利 ③本権​:占有を正当化する権利=(正)権原 ​⇒ 本権がなくても占有は認められる​(例)泥棒は占有あり ④要件180 ⑴占有意志​:占有の取得原因によって客観的に判断 ⑵ 所持​:社会通念から判断 2 占有の態様・種類 ① 自己占有:占有者が他人を通さずに自ら行う占有=直接占有​(例)賃借人の占有 ②代理占有:占有代理人に占有させることで自らも行う占有181=間接占有​(例)賃貸人の占有 ③ 占有機関:本人の事実的支配の道具または機関と考えられる者=占有補助者​(例)店員、社長、妻 ​⇒ 占有は認められない → 占有訴権なし ・ 物権的請求権の被告にならない ④善意・悪意 ・​善意占有:占有者が本権があると誤信(=確信)して占有している場合 ​・悪意占有:占有者が本権がないことを知りまたは疑いを有しながら(=半信半疑)占有している場合 ⑤所有の意志 ​・自主占有:所有の意志がある占有 ・​他主占有:所有の意志がない占有 ​⇒  賃借人-×所有の意志・〇占有意志・〇占有 ​   泥棒-〇所有の意志・〇占有意志・〇占有 ※占有意志(再掲)​:自分が利益を受けるために占有をする意志 ⑴区別の実益​:取得時効 → 他主占有の場合は時効取得できない ⑵他主占有から自主占有への転換185​:表示又は新たな権原による自主占有の開始 Q 相続により占有も承継されるか=占有の継続の問題 (Aランク) ​(例)被相続人Aが悪意で15年占有 → BがAの死亡の2箇月後に占有 → Bが4年10箇月占有 ⑴ 問題の所在:占有の相続・継続があるか → 164 ⑵結論:肯定 ⇒ 空家期間も含めて占有継続 → Aの占有期間(15年) + 空き家期間(ヶ月) + Bの占有期間(4年10ヶ月) = 20年占有 ⑶理由:被相続人の占有が相続で消滅するのは妥当ではない Q 相続の場合に187Ⅰが適用されるか=善意無過失の問題(Aランク) ​(例)被相続人Aが悪意で7年占有 → 相続人Bが善意無過失で12年占有 ⑴問題の所在:自己固有の善意無過失の占有を主張できるか ⑵ 結論:肯定 ⇒ 善意無過失で12年占有 ⑶理由:被相続人と相続人は別人格 Q 相続は185の新たな権原にあたるか=所有の意志の問題(Aランク) ​(例)親Aは賃借人だが子Bには見栄で持家と説明 → 相続でBが占有 → Bは善意無過失で12年占有 ⑴問題の所在:新たな権原にあたれば時効取得しうる ⑵結論:新たに占有を開始 + その占有に所有の意志がある → 新たな権原 にあたる ​⇒ 家に住む + 固定資産税の支払い ⑶ 理由:真の権利者保護と相続人保護の調和 3 占有権の効力 本権の推定 120 本権の推定188:占有者が占有物に行使する権利は適法に有すると推定 ​動産​:無過失まで推定 ​⇒ 〇192 ​不動産​:無過失は推定されない ​⇒ ×取得時効 占有訴権 (Aランク) ①占有訴権197:占有を侵害された場合、その侵害の排除を請求することのできる権利 ​⇒ 全ての占有者に認められる ​・占有保持の訴え198:占有を妨害されたとき、その妨害の停止及び損害賠償を請求 ​・占有保全の訴え199:占有を妨害されるおそれがあるとき、その妨害の予防または損害賠償の担保を請求 (例:隣人が境界付近の自分の土地を掘り進めて崩れる可能性がある時) ・​占有回収の訴え200:占有を奪われたとき、その物の返還及び損害の賠償を請求する ⑴奪われた​:×詐取・遺失 ⑵ 200Ⅱ・201Ⅲ​:×善意の特定承継人・奪われた時から1年で除斥期間 ⑶202​:物権的請求権と並立202Ⅰ・占有の訴えに対して本権は抗弁にならない202Ⅱ ⑷占有訴権の機能​:自力救済の禁止 + 債権的な利用権者を保護​ (例)賃借人 所有権との調整規定 Aランク ①果実収取権189:善意占有者には果実収取権があるⅠ・敗訴した場合、起訴の時から悪意占有者Ⅱ ⑴趣旨:善意占有者は果実を取得するのが普通 → 返還は過酷 Q 189と不当利得返還請求権703との関係 ⑴結論:189は不当利得の特則=189が優先 ②費用償還請求権196 ⑴必要費:物の保存と管理に必ず必要となる費用 ​⇒ 原則、償還請求できる ​通常の必要費​(例)税金、外壁塗装等の修繕費、車検 ​⇒ 果実を取得した場合、占有者負担 ​特別の必要費​(例)台風で屋根が壊れた ​⇒ 常に償還請求できる ⑵ 有益費:占有物の価値を増加させるための費用​(例)エアコン代 ​⇒ 価格の増加が現存する場合のみ請求できる。但し、悪意者には裁判所から期限の許与がなしうる(裁判所が請求するのを待たせることができる) ③滅失・損傷の扱い191 ​・善意の自主占有者 ​⇒ 現に利益を受けている限度において賠償義務あり (例)善意の自主占有者が家屋を損壊​⇒ 材料を返還or材料を売却した代価を現存利益の限度で償還 (例)善意の自主占有者が自動車を損壊​⇒ 損壊した自動車を返還 ・​善意の他主占有者・悪意占有者 ​⇒ 全損害の賠償義務あり ​ ④まとめ 写真 4 占有の消滅 ①占有の消滅203:自己占有-占有意志の放棄or所持の喪失 ​⇒ 占有回収の訴えがなければ、占有権消滅 ②代理占有の消滅204:代理権が消滅しただけでは代理占有は消滅しない ​⇒ 204Ⅰにより消滅​ (例)・賃貸借終了で賃借人が占有=占有あり ・賃借人が退去=占有なし ※賃貸借では賃貸人も賃借人も占有がある

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    第四章 所有権

    1 所有権とその内容 Bランク(短答) ①所有権206:法律の範囲内において自由に使用・収益・処分をすることができる権利 ​⇒他人に主張するには対抗要件が必要 ・一部が認められるのが制限物件 ② 囲繞地通行権210​:袋地の所有者が囲繞地を通行できる権利 ⑴損害の賞金212​:囲繞地所有者に損害を与えれば賞金を支払わなければならない Q 囲繞地通行権は自動車通行を前提とするか ⑴ 判例:当然には認められない。諸事情を総合考慮して決定する。 Q 囲繞地通行権の公示 ⑴判例:登記なくして対抗できる ⑵理由:取引安全とは無関係 ​⇒ 囲繞地所有者にとっては財産権への内在的な規制 2 物権的請求権 ①物権的請求権:物権に基づき、権利を侵害する者に対して侵害の排除・予防を請求できる権利 ②趣旨:自力救済の禁止 → 物に対する直接的・排他的支配の全う ③根拠:明文なし ⇒ 直接の支配権 ・ 本権の訴え202 ・ 占有訴権197以下(占有に基づき権利が認められるならいわんや本権をや) ④種類 ⑴ 物権的返還請求権​:占有を全面的に排除 ​→ 引渡しを請求できる権利​ ​(例)所有地を不法占拠 ⇒   要件=自己所有 + 相手方無権原占有​   〇詐取・遺失(占有訴権は詐取、遺失の場合は不可) ⑵物権的妨害排除請求権​:占有侵奪以外の方法で物権侵害 ​→ 侵害の除去を請求できる権利 ​(例)所有地に資材を放置・ 虚偽登記の抹消登記請求 ⇒ 権利者が占有する場合でも可 ⑶ 物権的妨害予防請求権​:物権侵害の可能性がある ​→ 侵害の予防を請求できる権利 ​(例)隣地所有者が境界を深く掘り土地崩れの危険あり ⇒ 侵害がなくても可 Q 物権的請求権の内容(費用負担) ①問題の所在:請求した人と請求された人のいずれかが費用を負担するか → 物権的請求権の内容による (2つの考え方) ​・行為請求権 → 相手方負担 ​・忍容請求権 → 請求者負担 ②行為請求権説(判例自説)​:  行為請求権 → 相手方負担 ③我妻説(反対説)​:行為請求権 → 相手方負担。例外、返還請求で相手方の侵奪なし → 忍容請求権 ④忍容請求権説​:忍容請求権 → 請求者負担 ⇒ 結論の妥当性・論文の書きやすさ ⑤ 物権的請求権の相手方:現実に物権を侵害している者 ⇒  ×占有補助者や法人の侵害での社長ではない Q 無権原で建てられた建物の実際の所有者と登記名義人が異なる場合どちらに請求すべきか(写真) ⑴問題の所在:Y=建物所有権の喪失+土地の占有なしを主張 → X=所有権の喪失の登記の欠缺 ⑵判例 ​原則:実際に所有し土地を占拠している者 ​⇒ 所有者B ​例外:建物譲渡人が自らの意志に基づいて建物所有権の登記を経由 ​⇒ 登記名義人Y ⑶理由:Xは第三者ではないが、建物所有権の帰属に重大に利害関係 ⇒ 対抗関係にも似た関係 ∴ 登記必要 3 所有権の取得 所有権の取得原因 ​ⅰ 承継取得   ​特定承継(売買・贈与等) ​  包括承継(相続・合併等) ⅱ ​原始取得   ​時効取得 ​  即時取得 ​  添付 ​  その他(遺失物拾得・無主物先占・埋蔵物発見等) 添付 ①添付:付合・混和・加工 の総称 ⑴制度:所有者の異なる2個以上の物が結合 → 1個の物としての所有権発生 → 不公平は償金請求で是正 ⑵趣旨:分離による社会経済上の不利益を回避 ⑶償金請求248:添付により所有権を失う者が所有権を取得した者に対して ②付合:2個以上の物が結合すること​(例)壁紙を貼った ③混和(Bランク):固形物の混合と流動物の融和​(例)砂とセメントの混合・水と焼酎の融和 ⑴ 要件:混和による識別不可・分離不可または困難 ⑵ 効果:主従あり → 主たる動産の所有者に帰属   ・主従なし → 価格割合に応じて共有 ④ 加工(B+):他人の動産に工作を加え新たな物を作り出すこと ​(例)ダイヤの石→ 指輪 ・生地 → スーツ ・​原則:材料主義=材料の所有者に加工物の所有権取得246Ⅰ ​・例外:加工者が所有権を取得 ⑴ 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超える​(例)木 → 彫刻 ⑵ 加工者が材料の一部を供した → 加工者の材料価格+工作で生じた価格>材料価格(例) Q 添付の法的性質 ⑴結論:物を1個と扱う規定=強行規定 ・ 所有権の帰属及び償金請求=任意規定 ∵ 趣旨 付合 (Aランク 論文択一どちらでも重要) ①不動産+動産の付合242:動産の権利は不動産に吸収。但し、権原があれば留保 ⅰ​ 強い付合(独立性なし)​⇒ 不動産に吸収=但適用なし​(例)壁紙・ペンキ等 ​ⅱ 弱い付合(独立性あり)  ・​権原がない​⇒ 不動産に吸収=但適用なし​(例)他人の土地に立木を植える ​ ・権原がある​⇒ 所有権留保=但適用あり​(例)借地に立木を植える ​⇒ 第三者に対抗するには公示が必要 ②建物の付合:土地と建物は別個の不動産 ∴ 土地と建物の付合はない ≒×不動産+不動産の付合 Q 他人所有の建物に増改築をした場合 ​原則:増改築部分の所有権​⇒ 建物所有者に帰属242 ​例外:賃借人が承諾を得る+増改築部分が独立性を有する​⇒ 賃借人に帰属 ​⇒ 権原=×賃借権 ・ 〇承諾​独立性 =×2階建に増築 ・ 〇離れの小屋 Q 独立の不動産になったといえる時期 ・結論:動産の集合体 → 壁と屋根で雨風がしのげる段階=独立の不動産 Q 建築中の建物(動産)に第三者が工事を加えて完成(不動産)させた場合の所有権 ⑴ 問題の所在:付合243と加工246のどちらを適用すべきか + 価格の判断基準 ⑵結論 ​・適用条文:建築中の建物は独立の動産+工作自体の価格が無視できない​⇒ 加工246を適用 ・​価格判断:建築中の建物が独立の不動産となった以降の工作の価値を考慮​⇒ 完成時の価格を基準 ③動産+動産の付合:≒混和 ⑴要件:分離に損傷または過分の費用を要する場合 ⑵効果:主従あり → 主たる動産の所有者に帰属243 ・      主従なし → 価格割合に応じて共有244 その他の原始取得 ①無主物先占239:所有者のない動産 → 占有した者の所有 ・ 所有者のない不動産 → 国庫 ②遺失物拾得240:公告後3箇月以内に所有者が判明しない → 拾得者の所有 ③埋蔵物発見241:公告後6箇月以内に所有者が判明しない → 発見者の所有 但し他人の物から → 折半 ④反射的効果による取得:所有者が返還請求できないことで取得​(例)愛人契約による贈与 ​⇒ 契約無効90 → 不当利得返還請求703は不可708 + 所有権に基づく返還請求も不可708類推 Q 移転登記のない土地上に植栽された立木の所有権を土地の第三取得者に対抗できるか(B+) ⑴ 問題の所在:付合による所有権の取得を第三者に対抗できるか。 ⑵結論:Yは公示(明認方法)なしには立木所有権を第三者に対抗できない ⑶理由:立木は242但類推適用によりYの所有 → 付合の制限も物権変動 ∴ 対抗要件たる明認方法必要 ​⇒ 242但は例外 ∴ 取引安全から公示(明認方法)が必要 4 共同所有 ​・共同所有の形態 ⇒ 法人財産は法人の単独所有 ​共有:共同所有の原則形態。具体的持分(自由にできる自分の所有権の割合)あり ​合有:潜在的持分(脱退するときのみの所有権の割合。脱退時以外は潜在)あり ​総有:具体的持分・潜在的持分共にない 表:写真 共有の法的性質 ①共有の弾力性255:各共有者は物全部につき所有権+他者の所有権により制限 → 他者が消滅で増加 ② 特別縁故者958の2:相続人なしの場合、被相続人と特別な縁故ある者として相続財産を与えられた者 ​⇒ 相続人なし+特別縁故者に該当する者の請求 → 家庭裁判所の裁判 Q 共有者ABCのAが相続人なく死亡+特別縁故者Dあり → A持分はBCに帰属or特別縁故者Dに帰属 ⑴問題の所在:255と958の2のどちらが優先 ⑵ 判例:958の2が優先 → Dに財産は帰属 ∵ 特別縁故者を保護すべき 共有者間の関係 ①持分の割合:共有物に対する所有の割合 ⇒ 原則、平等250 + 合意による変更可 ・使用(249):共有物を使用する (例)家を使う (要件)単独可 + 持分に応じて全部を使用できる(持分に応じて使用回数などが制限される) ・保存(252⑤):現状を維持 (例)補修、登記 (要件)単独可 ・管理(252):収益・価値増加 (例)賃貸、取消、改装 (要件)持分の過半数で可    (例:出資金の過半数) ・変更(251):性質・形状の変化や処分 (例)抵当権、伐採、売却 (要件)全員の同意で可 ※賃貸が管理で持分の過半数であることは頻出 ②重要事項(Aランク 短答) ⑴ 外部への、妨害排除請求・返還請求​:単独可≒保存行為 ⑵共有関係にあることの主張​:共有者全員で可 ⑶共有者から他の共有者への返還請求​:原則、不可  (金銭をよこせということはできる。物をよこせとは言えない) ⑷共有物に関する管理の費用​:持分に応じて負担253 共有物の分割 Bランク ①分割請求:各共有者はいつでも請求できる256 ∵ 共有は個人主義の例外 ②分割方法:共有者間の協議 → 協議不調の場合に裁判所に請求できる258 ⑴協議による分割​:合意ある限り、自由 ⑵裁判所による分割​:原則、現物分割 ⇒ 不可能or著しく不適切=代金分割 ・ 特段の事情=価格賠償 区分所有 Cランク ①区分所有:建物が独立した各部分から構成され、その各部分を所有すること​(例)分譲マンション ​⇒ 各人が建物の一部に単独の所有権 = 建物全体は多数の者によって所有(共有ではない) ②専有部分:区分所有の対象となる部分​(例)分譲マンションの一室 ​⇒構造上の独立性及び利用上の独立性 ③共用部分:専有部分に属さない部分​(例)エレベーター・入口 ​⇒ 区分所有者全員の共有 ④管理組合:区分所有者が建物管理を行うための団体 ⇒ 合有

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    Q 無権原で建てられた建物の実際の所有者と登記名義人が異なる場合どちらに請求すべきか(物権的請求権)

    X:土地所有者 A:建物所有者(Xに無断で建築) Y:Aの相続人 B:Yからの建物譲受人 建物の登記はYのまま ⑴問題の所在:Y=建物所有権の喪失+土地の占有なしを主張 → XはYに所有権の喪失の登記の欠缺を主張(いまだに登記がYにあるなら、Bに譲渡したことをXに対抗できない) ⑵判例 ​原則:実際に所有し土地を占拠している者 ​⇒ 所有者B ​例外:建物譲渡人が自らの意志に基づいて建物所有権の登記を経由(Yが自分の意思でY登記としている場合) ​⇒ 登記名義人Y ⑶理由:Xは第三者ではないが、建物所有権の帰属に重大に利害関係 ⇒ 対抗関係にも似た関係 ∴ 登記必要(Yが物権的請求権の請求を免れるためには抹消登記が必要)

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    加工(B+) 加工者が材料の一部を供した場合の例外

    加工(B+):他人の動産に工作を加え新たな物を作り出すこと ​(例)ダイヤの石→ 指輪 ・生地 → スーツ ・​原則:材料主義=材料の所有者に加工物の所有権取得246Ⅰ ​・例外:加工者が所有権を取得 ⭐️ 加工者が材料の一部を供した → 加工者の材料価格+工作で生じた価格>材料価格(例)

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    Q 建築中の建物(動産)に第三者が工事を加えて完成(不動産)させた場合の所有権

    ⑴ 問題の所在:付合243と加工246のどちらを適用すべきか + 価格の判断基準 ⑵結論 ​適用条文:建築中の建物は独立の動産+工作自体の価格が無視できない​⇒ 加工246を適用 ​価格判断:建築中の建物が独立の不動産となった以降の工作の価値を考慮​すべき ⇒ 完成時の価格を基準

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    Q 移転登記のない土地上に植栽された立木の所有権を土地の第三取得者に対抗できるか(B+)

    ⑴ 問題の所在:Yは付合による所有権の取得を第三者Xに対抗できるか。 ※Yは権原あり→弱い付合→立木の所有権留保 ⑵結論:Yは公示(明認方法)なしには立木所有権を第三者に対抗できない ⑶理由:立木は242但類推適用によりYの所有 → 付合の制限も物権変動 ∴ 対抗要件たる明認方法必要 ​⇒ 242但は例外 ∴ 取引安全から公示(明認方法)が必要

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    第五章 用益物権

    制限物権 ・​所有権​:使用・収益・処分が認められる物権 ​・制限物権​:使用・収益・処分のどれかが制限された物権   ・​用益物権:使用・収益が認められる物権​⇒ 処分が制限される物権   ・​担保物権:処分が認められる物権​⇒ 使用・収益が制限される物権 ① 用益物権の種類:地上権・永小作権・地役権・入会権 1 地上権 Aランク ①意義 ​・地上権:竹木所有または工作物所有を目的として他人の土地を利用する物権265 ​・賃借権:賃貸借契約に基づき賃借人が他人の物を使用できる債権601 ​・借地権:建物所有目的の地上権または建物所有目的の土地の賃借権(借地借家法2) ②法的性質 写真 ※賃借権にも不動産で登記して対抗力があれば物権的請求権が認められる ※譲渡について、地上権は承諾なしに自由にできる。譲渡禁止の特約は債権的効力のみ(特約があっても譲渡は有効)。 賃借権の場合は賃貸人の承諾が必要612。 ※ 地代支払い義務について、地上権では契約次第なので無償でも良い。賃借権は無償とすることはできない601。 ※対抗要件について、地上権は177等で登記でき、賃借権は不動産なら登記で対抗できる 605等。 ※存続期間の制限について、地上権は制限なし。永久もできる。賃借権は50年まで604 ③ 地上権の取得:原則、地上権設定契約による ​⇒ 相続・時効取得・法定地上権もある 2 永小作権 ① 永小作権:耕作または牧畜を目的として他人の土地を利用する物権270 ②法的性質 永小作権 権利の性質 物権 対象  耕作または牧畜目的の土地 存続期間制限 20年以上50年以下=永久不可 譲渡性 自由 設定行為で譲渡禁止 → 登記で対抗可 地代支払義務 小作料の支払義務あり ① 永小作権の取得:原則、永小作権設定契約による ​⇒ 相続・時効取得等もあるが、農地法による農業委員会の許可要 3 地役権 ① 地役権:土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を利用する物権 ​・要役地:地役権を利用して利益を受ける土地 ⇒ 利益を要求 ・​承役地:地役権によって利用される側の土地 ⇒ 不利益を承諾 ​(例)通行地役権、引水地役権、眺望地役権 ② 囲繞地通行権との比較 (内容) 地役権 他人の土地を利用+契約による 囲繞地 通行権最低限の範囲で公道に出るために隣地を通行 (性質) 地役権 所有権とは別個の物権 囲繞地通行権 所有権そのもの (成立) 地役権 当事者の契約による=合意必要 囲繞地通行権 法律上当然に発生=合意不要 (対抗要件) 地役権    登記必要 囲繞地通行権 登記不要 ③地役権の性質 ⑴ 土地の便益280​: ×個人的な便益(例)昆虫採集 ⑵共同使用権​:〇 物権的妨害排除請求権・物権的妨害予防請求権  ×物権的返還請求権 ∵ ×占有 ※ 物権的返還請求権地役権者に認められないのは短答頻出 ⑶ 付従性281Ⅱ​:要役地と結合  → ×分離して譲渡・他の権利の目的  ※ 他の権利の目的にできない例:地役権のみを抵当権の目的にはできない ⑷随伴性281Ⅰ​:要役地に伴う  → 要役地を譲渡=地役権も譲渡 ⑸不可分性282​:共有等により持分について消滅しない。 但し土地の一部のみに関するときは例外(例:土地の1番南数メートルのみ等) Q 時効における地役権 ⑴取得時効と地役権:できるだけ肯定 ​要役地共有者1人のために取得時効が完成 ​⇒ 共有者全員に効力284Ⅰ ​共有者に対する地役権の取得時効の更新 ​⇒ 全共有者に対してでないと効力なし284Ⅱ ​共有者の1人に完成猶予事由 ​⇒ 他の共有者に効力なし284Ⅲ ⑵消滅時効と地役権:できるだけ否定 ​要役地共有者1人について消滅時効の更新・完成猶予 ​⇒ 更新等の効果は全共有者に292 ​地役権者が権利の一部を行使しない ​⇒ 権利の一部のみ時効消滅293 ④地役権の取得(Aランク):原則、地役権設定契約 ⇒ 相続等も可 ⑴ 時効による取得283:継続的に行使され、かつ、外形上認識するができることが必要 ​⇒ 通行地役権:通路の開設が要役地所有者によりなされる(判例)(短答頻出。要役地所有者が開設がポイント) ⑵ 対抗要件:登記177  ​⇒ 継続的使用が客観的に明らか、かつ、認識が可能ならば登記なくして対抗できる(判例) ​∵ 地役権は重要な権利かつ登記しない場合が多い ⑤地役権の効力 ⑴存続期間制限​:なし=永久地役権可 ⑵地代支払い義務​:契約による=無償も可 4 入会権 B(短答) ① 入会権:一定の地域の住民が特定の森林等を共同で利用する権利​(例)村人が山でキノコ採集 167 入会集団:入会権を持つ団体 ⇒ 権能なき社団 168 入会権の種類 ​共有の性質を有する入会権263​:所有権が入会集団にある ⇒ 慣習・共有の規定を適用 ​共有の性質を有しない入会権294​:所有権が入会集団にない ⇒ 慣習・地役権の規定を適用 ​⇒ 実際は慣習で決定。権能なき社団 → 財産は総有的に帰属

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    第六章 担保物権 概説

    1 担保物権概観 ① 担保物権:債権の履行確保のために、物の上に債権者が優先的に権利行使を認められる物権 ⑴債権には優先的効力・排他性がない → 債権に排他性を持たせるために認められる ⑵担保:≒担保物権 ・ 将来起こりうる不利益に対してそれを補うことを保証すること ⑶物的担保:特定の物に対して設定された担保 ⇔ 人的担保:債務者以外の人に対して設定された担保 1②担保物権の種類 ​約定担保物権:当事者の設定行為によってはじめて生じる担保物権 - 抵当権・質権・非典型担保物権 ​法定担保物権:法律上当然に(契約によらずに)生じる担保物権  - 留置権・先取特権 担保物権の通有性 ①付従性​:債権のないところに担保物権は認められない(存在に関する性質) ​⇒ 債権が成立しない=担保物権も成立しない ∴ 債権が消滅=担保物権も消滅 ② 随伴性​:債権が他人に移転すれば担保物権も債権とともに移転(帰属に関する性質) ③不可分性​:債権全部の弁済を受けるまで目的物のうえに存続し続ける ④ 物上代位性​:物の売却、賃貸、滅失等によって受ける金銭等の物のうえに対しても行使しうる 担保物権の効力 ①優先弁済的効力​:目的物の交換価値(経済的価値)を担保物権者が把握し優先的に弁済 ⑵債務の弁済が得られない → 目的物を売却等で交換 → 他の債権者に優先して売却代金から弁済 ⑶物上代位性と関連​:交換価値を把握 ∴ 交換価値が具体化した場合、その上に効力 ⑷留置権​:優先弁済的効力はない(物上代位性なし)が事実上の優先弁済的効力はある 例 債権者A 債務者B   B債権者Cが競売(民事執行法195)   Aは競売代金を得ることはできない(優先弁済的効力なし)。しかし、BはCに対して留置権を主張できる →CはBの代わりにAに対するBぼ債務を弁済して初めて目的物を取得できる =事実上の弁済的効力 ②留置的効力​:目的物を債権者の手元に留置させ、心理的圧迫により債務の弁済を促す(留置権と質権に認められる(抵当権にはない) ​⇒ 占有権原となる  ③通有性と効力のまとめ 写真

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    第七章 抵当権 ⑴概要 ⑵被担保債権

    1 抵当権 ① 抵当権369Ⅰ​:債務者等が占有を移さないで担保に供した目的物につき債権者が優先弁済を受ける権利 ②本質的特徴​:目的物の占有を設定者のもとにとどめつつ、目的物の交換価値を把握 ​⇒ 金融を得ながら使用収益ができる ・ 占有費用が不要で弁済を確保できる ③目的369​:不動産(× 動産) ・ 地上権 ・ 永小作権 ・ 抵当権(=転抵当) ④公示方法​:登記 ⑤特徴​:約定担保物権 ・ 〇 通有性+優先弁済的効力 ・ × 留置的効力 抵当権の設定 ① 抵当権の設定​:抵当権設定契約という物権契約176による ②物上保証人​:第三者が担保物権の目的物を提供して設定する場合の第三者 ③抵当権設定者​:自らの財産に抵当権を設定する者 ​(例)債務者 ・ 物上保証人 ​⇒ BはAのために抵当権を設定した ④抵当権者​:他人の財産から抵当権の設定を受ける者​(例)債権者 ・ 銀行 ​⇒ AはBから抵当権の設定を受けた ⑤被担保債権​:担保物権によって担保される債権 Q 将来発生する債権のために、現在において抵当権の設定ができるか​(例)抵当権設定後金銭交付 ⑴問題の所在:消費貸借契約(要物契約)で金銭交付前 → 付従性に反する ⑵結論​:有効 ⑶理由​:債権者に不利 + 取引安全 → 付従性は緩和 Q 抵当権設定登記の流用の可否​(例)被担保債権が消滅 → 他の債権の抵当権に流用 ⑴抵当権は登記をしなければ第三者に対抗することができない177 ⑵判例:流用前の第三者がいるかどうかで決まる ​流用前の第三者:無効​∵ 不測の損害を与える ​流用後の第三者:対抗可​∵ 現在の実体関係と合致 2 抵当権設定登記と被担保債権 ①抵当権設定登記:登記義務者(抵当権設定者)と登記権利者(抵当権者)が共同して行う抵当権の登記 ​絶対的登記事項:必ず登記 ​⇒ 登記権利者・債務者及び債権額・順位番号・登記原因等 ​相対的登記事項:任意で登記 ​⇒ 利息・条件及び特約等 ②被担保債権:担保物権によって担保される債権 種類​:制限なし。金銭以外でも可、但し登記する場合には金銭算定が必要 ⑴一部担保​:可​ (例)3000万債権のうち2000万を被担保債権として抵当権 ⑵複数の債権​:可​ (例)A債権1000万・B債権500万を共に被担保債権として1つの抵当権 ③被担保債権の範囲375:利息・損害金等は後順位抵当権者との関係では最後の2年分のみに限定 ※写真 ⑴最後の2年分は金額の大きい方からカウントする ⑵抵当権設定者に対しては抵当権者は全額主張できる ⑶第三取得者との関係において375は適用されない

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    3 抵当権の効力の及ぶ範囲

    問題の所在 ① 抵当権の効力の及ぶもの:不動産(土地・建物)・地上権・永小作権・抵当権 ∵  369 ② 問題の所在:建物内の家具等、より具体的な抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲が問題 ③ 370:効力の及ぶ目的物の範囲 = 不動産に付加して一体となっている物(=付加一体物)に及ぶ ​⇒ 付加一体物とは何か 抵当権の効力の及ばないもの ①弱い付合+権原による留保ありで付合した物242  ​(例)壁紙→強い付合    他人の土地に立木を植える→弱い付合だが権原なし    ​借地に立木を植える→弱い付合で権原あり ​⇒ 第三者は抵当権者に対し公示が必要(立木なら明認方法が必要) ②登記された当事者の抵当権が及ばない旨の特約370​ ​(例)ABが土地に抵当権+特約で立木に効力及ばない+登記 ③付合させることが詐害行為となる様な場合370 ​(例)建物抵当権者を他の債権者より優遇するために建物にダイヤを付合した ④土地に抵当権を設定した場合の建物370 ⑤ 果実371 ​原則:果実には及ばない ​例外:被担保債権に不履行が生じたときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ 効力が及ぶか問題となるもの Q 付合物に抵当権の効力は及ぶか(=付合物は付加一体物に含まれるか) ⑴ 結論:原則、効力は及ぶ。例外242但(弱い付合で権原の留保があるもの) ⑵理由:不動産の構成部分として独立性を失う Q 従物に抵当権の効力は及ぶか​ (例)エアコン・畳 ⑴問題の所在:独立性がある + 分離による社会経済上の不利益がない ※独立性と分離による社会経済的不利益の有無が付合物と従物の区別のポイント ⑵ 前提​:付合物でも従物でもない独立した動産 ・ 第三者所有の物(従物含む)には及ばない ⑶ 見解 詳細別紙 判例: ・370の一体性の意味=物理的一体性 ・付加一体物に従物は含まれない ・設定・実行時の従物に抵当権の効力は及ぶ(抵当権の設定及び実行は87②の処分にあたる) 有力説: ・370の一体性の意味=経済的価値的に一体(エアコンや畳は一体と言える) →従物も370の付加一体物にあたる ・370により設定時、実行時ともに従物に抵当権の効力が及ぶ Q 従たる権利に抵当権の効力は及ぶか ⑴従たる権利:主物のために存在する、従物と類似する権利 ​(例)借地上の建物における土地賃借権 → 借地上の建物に設定した抵当権が土地の借地権に及ぶか ⑵ 結論:及ぶ(判例) ⑶ 理由:経済的・価値的に一体=付加一体物類似 ∴ 370類推適用 (370の一体を物理的一体性と解する現判例の立場なら87Ⅱ類推) Q 分離物に抵当権の効力は及ぶか​(例)Bが自己所有の土地に抵当権を設定。B地で伐採された木材が搬出され、Cが木材を購入。抵当権者Aは抵当権の効力をこの木材についても主張できるか。 ⑴問題の所在:公示がない → 抵当権者の利益と第三取得者の取引安全との調和 ⑵公示の衣説:及ぶ、また、登記による公示の衣に包まれている限りにおいて第三者に対抗できる(判例通説) ​・分離物に抵当権は及ぶ ∵ 交換価値を把握 → 付加一体物を含めて目的物全部を支配する物権 ​・第三者にも公示の衣で対抗できる ∵ 登記を対抗要件 → 伐採木材が抵当土地上に存在すれば可 ​⇒ 搬出されても抵当権自体は及んでいる(当事者に対して抵当権を主張できる)。しかし抵当土地上から搬出されたら抵当権者は第三者に対抗できない (土地の外に運び出されたら衣から外れる) 物上代位 ① 物上代位372・304:目的物の交換価値が現実化した場合に価値代表物に対し抵当権の効力を及ぼす制度 ⑴交換価値の現実化:なんらかの原因で目的物によって債務者に金銭等の請求権が発生 ⑵ 価値代表物​:目的物が価値を維持しつつ姿を変えた物 ②物上代位の目的物 ⑴売却代金 Q 抵当権に基づいて、売却代金債権に物上代位できるか ① 問題の所在​:不動産が現存+ 追及効あり ②反対説​:できない ​∵ 追及効を有するから必要がない ③通説​:できる ​∵ 明文規定がある372・304 ​⇒ 追及効と物上代位権は競合 ⑵賃料:原則として、物上代位は肯定(判例) Q 転貸料債権に物上代位することができるか ①判例:できない ②理由:304の債務者に転貸人を含めることは文理上無理 ⑴目的物の滅失・損傷によって受けるべき金銭等の物:肯定 ​(例)第三者に対する損害賠償請求権 Q 保険金請求権に対して物上代位できるか ⑴問題の所在​:保険金請求権は滅失・損傷ではなく、保険金支払いによって発生したもの ⑵判例​:できる ⑶理由​:実質的には保険金支払いは担保目的物の価値代表物 ③物上代位の要件:価値代表物を払渡しまたは引渡しの前に差し押さえることが必要304 Q 差し押さえが必要となる根拠 ・優先権保全説 旧例 結論:他の債権者等との利害調整のため 理由:物上代位は政策的な恩恵 ・特定性維持説 有力説 結論:一般財産への混入を防止し特定性を維持するため 理由:担保物権の本質から当然 ・第三債務者保護説 現判例 結論:第三債務者が弁済先を誤らない様にするため 理由:物上代位制度の沿革 Q 抵当権者が自ら差し押さえる必要があるか ⑴反対説​:自ら差し押さえる必要なし ∵ 当然の権利(特定性維持説) ⑵判例​:自ら差し押さえる必要あり ∵ 弁済先がより明確 Q 債権譲渡と物上代位:債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたるか ⑴問題の所在:債権譲渡と物上代位の関係 ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたると解した場合 ​∴債権譲渡前に差し押さえる必要あり ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらないと解した場合 ​∴ 債権譲渡前に差し押さえる必要なし ⑵判例:債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらない ∴ 実際の弁済前に差し押さえればよい  ​但し、抵当権設定登記が債権譲渡の対抗要件具備よりも先になされていることは必要 ⑶理由:弁済前なら第三債務者を害さない・文言・抵当権の効力が及ぶことが公示されている Q 差押え・転付命令と物上代位:一般債権者の差押え・転付命令を得た債権への物上代位の要件 ①差押え:裁判所が債権者の申し立てに基づき、債務者の財産の処分を禁止・確保 ​⇒ 強制執行の準備段階 + 民事執行法に基づき動産・不動産・債権に対し行う ②転付命令:差押えられた債務者の債権を差押債権者に強制的に移転する裁判所の手続きまたは決定 ​⇒ 転付命令は債務者および第三債務者に送達して執行。強制的な債権譲渡の性質 ③ 問題の所在:一般債権者との関係でいつまでになされる必要があるか + 債権譲渡類似 ④ 判例:転付命令が第三債務者に送達されるよりも前に差押さえる必要がある ​⇒ 送達されたら物上代位できない + 債権譲渡類似ではない ⑤理由:民事執行法159Ⅲ-転付命令は送達前に他の債権者が差押え等をしたときは効力を生じない

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    Q 従物に抵当権の効力は及ぶか​

    (例)エアコン・畳 ⑴問題の所在:独立性がある + 分離による社会経済上の不利益がない ※独立性と分離による社会経済的不利益の有無が付合物と従物の区別のポイント ⑵ 前提​:付合物でも従物でもない独立した動産 ・ 第三者所有の物(従物含む)には及ばない ⑶ 見解 写真

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    Q 従たる権利に抵当権の効力は及ぶか

    ⑴従たる権利:主物のために存在する、従物と類似する権利 ​(例)借地上の建物における土地賃借権 → 借地上の建物に設定した抵当権が土地の借地権に及ぶか ※土地の借地権=地上権または賃借権 ⑵ 結論:及ぶ(判例) ⑶ 理由:経済的・価値的に一体=付加一体物類似 ∴ 370類推適用 ※現判例と同じく370の一体性を物理的一体性と解する立場なら87Ⅱ類推

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    Q 債権譲渡と物上代位:債権譲渡は304条の「払渡しまたは引渡し」にあたるか

    ⑴問題の所在:債権譲渡と物上代位の関係 ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたると解した場合 ​∴債権譲渡前に差し押さえる必要あり ・​債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらないと解した場合 ​∴ 債権譲渡前に差し押さえる必要なし ⑵判例:債権譲渡は払渡しまたは引渡しにあたらない ∴ 実際の弁済前に差し押さえればよい  ​但し、抵当権設定登記が債権譲渡の対抗要件具備よりも先になされていることは必要 ⑶理由:弁済前なら第三債務者を害さない・文言・抵当権の効力が及ぶことが公示されている

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    Q 差押え・転付命令と物上代位:一般債権者の差押え・転付命令を得た債権への物上代位の要件

    ①差押え:裁判所が債権者の申し立てに基づき、債務者の財産の処分を禁止・確保 ​⇒ 強制執行の準備段階 + 民事執行法に基づき動産・不動産・債権に対し行う ②転付命令:差押えられた債務者の債権を差押債権者に強制的に移転する裁判所の手続きまたは決定 ​⇒ 転付命令は債務者および第三債務者に送達して執行。強制的な債権譲渡の性質 ③ 問題の所在:一般債権者との関係で抵当権者による差押さえ(372、304)はいつまでになされる必要があるか + 債権譲渡類似 ④ 判例:転付命令が第三債務者に送達されるよりも前に差押さえる必要がある ​⇒ 送達されたら物上代位できない + 債権譲渡類似ではない ⑤理由:民事執行法159Ⅲ:転付命令は送達前に他の債権者が差押え等をしたときは効力を生じない

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    4 法定地上権

    ①背景:土地と建物が別個の不動産 + 自己借地権が認められない179参 ​⇒ 抵当権の実行 → 建物収去土地明渡しが必要な場合があり不経済 ②法定地上権388 ​「抵当権設定当時、土地上に建物が同一人所有で存在し実行により別人所有になると成立する地上権」 ​⇒ 設定当時同一人所有、実行により別人所有 ※ 法定地上権の定義は重要。覚える ③趣旨:建物収去による社会経済上の不利益を回避 ④あてはめ ​・土地・建物同一人所有 + 建物抵当権設定 ​⇒ 建物別人所有 ・​土地・建物同一人所有 + 土地抵当権設定 ​⇒ 土地別人所有 ​・土地・建物同一人所有 + 土地・建物抵当権設定 ​⇒ 土地・建物別人所有 Q 更地に抵当権設定後に更地所有者が建物を建てた場合、法定地上権は成立するか ①判例:成立しない ②理由:買受人及び抵当権者を害する(抵当権者は更地として土地を評価) ∴ 保護の必要あり ⑴地上権付土地の所有権は通常、所有権の2~3割の価値 = 建物所有者有利 ・ 土地所有者不利 ⑵抵当権設定者は建物建築は可能 ∵ 所有者 = 占有権あり Q 更地に抵当権設定後に建物を建てたが当事者に合意がある場合、法定地上権は成立するか ⑴ 問題の所在​:私的自治 → 当事者間に法定地上権を成立させる旨の合意は可能 ⑵結論​:成立しない ⑶理由​:買受人を害する Q 土地抵当権設定当時に同一人所有の登記のない建物が存在する場合、法定地上権は成立するか ⑴問題の所在​:登記がないと登記簿から建物の存在が認識できない → 抵当権者が誤認 ⑵判例​:成立する ⑶理由​:一般的に現地調査を行う ∴ 抵当権者に不測の事態にならない ⑤共同抵当:一つの被担保債権に対して複数の不動産に抵当権を設定する場合​(例)土地と建物 Q 土地建物に共同抵当設定後に建物が滅失・再建した場合、法定地上権は成立するか ①問題の所在:共同抵当は何を担保しているか + 再建した建物に抵当権はない ②旧判例(短答対策):個別価値考慮説:土地と建物を個別に評価する ​・建物抵当権:土地の利用権を含めた担保価値を把握 ​= 建物+土地利用権 ・​土地抵当権:底地(=借地権の負担付の土地)の担保価値を把握 ​= 土地(=底地) ⑴結論:法定地上権は成立する ⑵理由:本来、建物に高い価値 → 滅失により消滅 → 土地自体は元々底地なので地上権を認めても不都合はない ⑶批判:抵当権者に不利 → 抵当権設定者が建物を取壊し家を建てて妨害できてしまう ③現判例:全体価値考慮説-土地と建物を一体的に評価する ​共同抵当​:土地・建物全体の担保価値を把握 = 建物+土地利用権+土地(=底地) ​滅失​:建物のみの担保価値が消失 ∵ 事後的な理由で全体の担保価値を消失すべきでない ⑴結論:特段の事情のない限り、法定地上権は成立しない ⑵理由:土地の利用権が消失するの不合理 ⑤複数の抵当権設定 ⑴抵当権の順位:不動産に対し複数の抵当権を設定できる ​⇒ 登記の順によって、第一順位・第二順位・・・ + 実行により先順位から優先弁済 ⑵抵当権の実行:第一順位・第二順位・・・ のだれでも実行できる Q 複数の抵当権が設定された場合、法定地上権における抵当権設定当時とはいつか ⑴問題の所在:第一順位の抵当権と第二順位の抵当権で法定地上権の成否が異なる場合 ⑵結論:抵当権者の利益を保護する ​・土地抵当権者:法定地上権は不利益 ​⇒ 不成立がよい ​・建物抵当権者:法定地上権は利益 ​⇒ 成立がよい ⑶理由:建物収去による社会経済上の不利益を回避 = 法定地上権の趣旨 Q 土地に複数の抵当権が設定された場合の抵当権設定当時とはいつを基準とするか ⑴問題の所在:一番抵当権設定時は法定地上権不成立・二番抵当権設定時は法定地上権成立の場合 ⑵結論:土地は一番抵当権が基準 ⇒ 法定地上権不成立 ⑶事例: ⅰ建物建築の場合 ⅱ建物購入の場合: B土地に甲の建物が存在Aが。1番抵当権設定後にBが甲の建物を購入。その後Cが二番抵当権を土地に設定→1番抵当権設定時点で土地建物同一人所有ではないので法定地上権は成立しない ⅲ土地購入の場合 債務者B。物上保証人甲。甲の土地にAが1番抵当権設定。その時点ですでに土地上にBの建物あり。その後、Bが甲から土地を購入。その後、Cが二番抵当権を土地に設定→1番抵当権設定時点で土地建物同一人所有ではないので法定地上権は成立しない ⑷理由:一番抵当権者を害する Q 建物に複数の抵当権が設定された場合の抵当権設定当時とはいつを基準とするか ⑴問題の所在:一番抵当権設定時は法定地上権不成立・二番抵当権設定時は法定地上権成立の場合 ⑵事例:土地建物別人所有時にAが一番抵当権をBの建物に設定(土地はcq所有) → 建物所有者BがCから土地購入で同一人所有時になり、その後Dが二番抵当権設定 ⑶結論:建物は二番抵当権が基準 ⇒ 法定地上権成立 ⑷理由:抵当権者の利益 Q 借地上の建物に抵当権が設定された後、土地と建物が同一人に帰属した時、法定地上権が成立するか 事案:債権者A 債務者B 土地所有者C。 B建物に抵当権を設定。その後、BがCから土地を購入。 ⑴ 問題の所在:Bの借地権が混同により消滅する。建物を競売で取得した人は借地権も法定地上権もないとすると、抵当権実行により建物収去しなければならなくなるがこれは趣旨に反する ​⇒ 建物についての二番抵当権設定の事案と区別。二番抵当権者は登場していない。 ⑵ 結論:法定地上権は成立しない ⑶理由:建物に抵当権 ∴ 従たる権利にも抵当権が及ぶ ⇒ 他の権利の目的 ∴ 混同で消滅しない ​⇒ 買受人は従たる権利も取得 ∴ 法定地上権は不要 ・第179条【混同】 ① 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物または当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。 ② 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。 ③ 前2項の規定は、占有権については、適用しない。 ⑥ 土地・建物共有 Q 土地や建物が共有の場合の法定地上権の成否 ⑴結論:成否による影響から無関係の者の利益を保護する ⑵ 土地共有の場合(建物単独所有) 債権者甲 建物所有者A 土地共有者A B ​・A土地の持分にのみ抵当権設定 ​⇒ 不成立 ∵ B不利益 ​・A建物に抵当権設定 ​⇒ 不成立  ∵ B不利益 ⑶建物共有の場合(土地単独所有) ​・土地に抵当権設定 ​⇒ 成立   ∵ B利益 ​・建物の持分にのみ抵当権設定 ​⇒ 成立  ∵ B利益 ⑷土地及び建物共有 ​⇒ 不成立  ∵ 土地共有からB不利益 ※土地と建物なら通常土地のほうが価値がある ⑦法定地上権の内容:当事者の協議による → 存続期間・地代等を決める ⑴ 協議で決まらない場合:存続期間:30年(借地借家3)・地代:裁判所が決定388 ⑵ 対抗要件:地上権の登記または建物の登記 ⇒ 対抗要件なくして第三者に対抗できない (写真) Q 更地に抵当権設定後、建物建築と建物抵当権設定、建物・土地の順に実行された場合の処理(別紙) ⑴問題の所在:土地抵当権-法定地上権不成立 ・ 建物抵当権-法定地上権成立 ⑵ 結論:建物買受人は法定地上権を土地買受人に対抗できない ​⇒ 建物抵当権実行:法定地上権成立 → 土地抵当権実行:法定地上権を土地抵当権に対抗できない ⑶ 理由:対抗関係 ⇒ 登記の先後で決する 法定地上権以外の抵当権と用益権の関係 ①一括競売389 ⑴ 要件:更地に抵当権設定後、同土地上に建物建築 → 実行により建物収去土地明渡請求できる ⑵ 効果:抵当権者は土地と共に建物も競売できる + 建物代金への優先弁済権はない ​⇒ 土地抵当権者は土地にしか抵当権がないのに建物を売却できる(第三者が建築しても可) ②明渡猶予期間395 ⑴要件:抵当権者に対抗できない賃貸借により建物を占有 ⑵効果:競売による買受人の買受時から6箇月明渡猶予 ⑶趣旨:賃借人保護と買受人の利益の調和 ③抵当権者の同意による賃貸借の対抗力387 ⑴ 要件:賃貸借登記+登記前の全抵当権者が同意の登記+不利益を被る者の承諾 (転抵当権者 等) ⑵効果:同意をなした抵当権者に賃借権を対抗できる ⑶趣旨:賃借人と買受人の利益保護(住んでいる人が裕福で賃料が高かった場合など)

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    Q 更地に抵当権設定後、建物建築と建物抵当権設定、建物・土地の順に実行された場合の処理(別紙)

    ⑴問題の所在:土地抵当権については法定地上権不成立 ・ 建物抵当権については法定地上権成立 ⑵ 結論:建物買受人は法定地上権を土地買受人に対抗できない ​⇒ ④建物抵当権実行:法定地上権成立 →⑤土地抵当権実行:法定地上権を土地抵当権に対抗要件(地上権または建物の登記)なくして対抗できない ⑶ 理由:対抗関係 ⇒ 登記の先後で決する

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    明渡猶予期間395

    ⑴要件:抵当権者に対抗できない賃貸借により建物を占有 ⑵効果:競売による買受人の買受時から6箇月明渡猶予 ⑶趣旨:賃借人保護と買受人の利益の調和

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    5 抵当権の効力

    抵当権侵害 ①抵当権侵害の当否:抵当権の効力≒目的物の占有を設定者のもとにとどめつつ、交換価値を把握 ​・抵当権設定者の通常の利用​:自ら利用・他人に賃貸・抵当権のついた土地に建物建築等 ​・目的物の交換価値を減少​:山林を伐採・建物を破壊・従物を分離し搬出等 ⇒ 4つの主張 ①抵当権に基づく物権的請求権(特に、妨害排除請求権)​(例)山林の伐採を禁止 Q 抵当権者に対抗できない抵当不動産の占有者を抵当権に基づいて排除できるか ①問題の所在:占有屋が占有し競売を妨害 → 抵当権は占有の権利ではない→抵当権に基づいて妨害排除請求できるか? ②判例1 ⑴ 要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ⑵ 結論:所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使をすることができる ∵ 担保価値維持請求権・423 担保価値維持請求権と被担保債権は別物。被担保債権とすると物上保証人の場合に代位行使できなくなる ②判例2 ⑴抵当権に基づく妨害排除請求の可否 ​要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ​結論:抵当権に基づく妨害排除請求をできる + 妨害目的なら占有権原を有する者に対してもできる ⑵抵当権者への引渡しの可否 ​要件:抵当不動産の所有者において適切に維持管理することが期待できない場合 ​結論:抵当権者は占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡し請求できる ⑶理由:抵当権は交換価値を把握する物権 ③不法行為に基づく損害賠償請求709 ⑴要件:損害の発生(709の要件)​ (例)一部家屋破壊+被担保債権額を下回る ※被担保物権1000万円。担保物権2000万円。一部破壊で1200万円の価値になっても損害なし Q 抵当権侵害を理由とする709の請求時期 ⑴問題の所在​:抵当権を実行してはじめて売却金額決定? ⇒ 実行後でないと709は不可? ∵ 算定不可 ⑵ 判例​:被担保債権の弁済期以後であれば実行前でも請求できる ⑶ 理由​:算定可能 ※競売にかけなくても概ねの額はわかるだろうということ ④債務者の期限の利益の喪失137Ⅱ:債務者が抵当権侵害 → 抵当権の実行可能になる ⑤ 増担保請求:抵当不動産の滅失または減少の場合に代わりの担保の提供を求める請求  Q 増担保請求が認められるか ⑴ 問題の所在​:明文なし (⑵通説​:特約または債務者が不法行為責任を負う場合、認められる 第三取得者との関係 ①第三取得者保護のための制度 ​・代価弁済​:抵当権者が請求 ​→ 第三取得者が応じる ​・抵当権消滅請求​:第三取得者が請求 ​→ 抵当権者が応じる ②代価弁済378:売買代金を抵当権者に弁済 → 抵当権がその者に対する関係で消滅 ​⇒ 被担保債権に満たない場合:残債務は債務者の無担保債務 ② 抵当権消滅請求379:買受代価等の受領により抵当権消滅or 拒否し競売するかの2択を迫る 抵当権の処分 ① 転抵当376Ⅰ前:抵当権者がその抵当権をもって他の債権の担保とすること ⑴ 対抗要件:原則、登記(=177適用) ​⇒ 原抵当権の債務者、保証人、抵当権設定者に対しては467の通知または承諾377Ⅰ ⑴趣旨:知らせることで二重払いを回避 Q 転抵当の被担保債権が抵当権の被担保債権より多い場合の転抵当の処理 ⑴問題の所在​:被担保債権1000万、転抵当の被担保債権1200万、転抵当? ⑵結論​:転抵当設定は可能 → 転抵当権者は抵当権者の被担保債権のみ優先弁済 ②抵当権の譲渡・放棄及び抵当権の順位の譲渡・放棄376Ⅰ後 ⑴内容​:抵当権者が他の融資者に有利な条件を提供 → 当事者の合意のみでできる ⑵ 処分の効果​:当事者以外の者に影響なし 写真 ③抵当権の順位の変更374:抵当権者全員の合意によって、その順位を入れ替えること ​⇒ 絶対的効力(債務者や抵当権者にも効力) ・ 登記が効力発生要件

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    Q ①抵当権者に対抗できない抵当不動産の占有者を抵当権に基づいて排除できるか

    ①問題の所在:占有屋が占有し競売を妨害 → 抵当権は占有の権利ではない→抵当権に基づいて妨害排除請求できるか? ②判例1 ⑴ 要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ⑵ 結論:所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使をすることができる ∵ 担保価値維持請求権・423 担保価値維持請求権と被担保債権は別物。被担保債権とすると物上保証人の場合に代位行使できなくなる

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    Q ②抵当権者に対抗できない抵当不動産の占有者を抵当権に基づいて排除できるか

    ①問題の所在:占有屋が占有し競売を妨害 → 抵当権は占有の権利ではない→抵当権に基づいて妨害排除請求できるか? ②判例2 ⑴抵当権に基づく妨害排除請求の可否 ​要件:第三者の不法占有により交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態 ​結論:抵当権に基づく妨害排除請求をできる + 妨害目的なら占有権原を有する者に対してもできる ⑵抵当権者への引渡しの可否 ​要件:抵当不動産の所有者において適切に維持管理することが期待できない場合 ​結論:抵当権者は占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡し請求できる ⑶理由:抵当権は交換価値を把握する物権

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    抵当権の処分の効果(譲渡・放棄)

    s

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    6 抵当権の実行段階の問題 7 抵当権の消滅

    6 抵当権の実行段階の問題(短答) 抵当権の実行 ①要件:抵当権の存在 ・ 被担保債権の存在 ・ 履行遅滞 ②方法:担保不動産競売 ・ 担保不動産収益執行 ③手続:裁判所に申立 → 開始決定 → 差押 → 売却準備・売却 → 引渡し → 配当 ④削除主義:実行後、抵当権・先取特権・質権並びに抵当権設定登記後に設定された利用権は全て消滅 →買受人はまっさらな不動産を取得 ​⇒ 抵当権実行の原則。被担保債権の満足に関わらず実行で消滅 共同抵当の実行 ①共同抵当:一つの被担保債権に対して複数の不動産に抵当権を設定する場合​(例)土地と建物 ②共同抵当の実行:抵当権者一人で、不動産価額 ≦ 被担保債権額、全部競売 → 全額抵当権者に弁済 Q 上記以外の場合どうなるか ​同時配当:全部の不動産を同時に競売して弁済を受ける方法 ​異時配当:いずれかの不動産のみを競売して弁済を受ける方法 ③ 同時配当392Ⅰ:各不動産の価額に応じて、その被担保債権の負担を按分する ④ 異時配当392Ⅱ ​共同抵当の抵当権者​:代価につき債権全部の弁済を受ける ​次順位の抵当権者​:同時配当で得られる金額を限度に共同抵当の抵当権者に代位して抵当権行使 ​⇒ 392は抵当権の目的物が同一人所有の場合 Q 共同抵当権の1不動産に対する抵当権の放棄(権利を失う) ⑴問題例:共同抵当権者が後順位抵当権者の代位の対象となっている不動産の抵当権を放棄した場合 ⑵問題の所在:後順位抵当権者を放棄により害する ⑶判例:504類推適用 → 後順位抵当権者が代位しえた限度において共同抵当権者は優先しえない 7 抵当権の消滅 ①代価弁済378 ②抵当権消滅請求379 ③抵当権の実行 ④目的物の消滅:物上代位により価値代表物には抵当権の効力が及ぶ ⑤付従性による消滅:被担保債権の弁済によって抵当権は消滅することがある ​⇒ 弁済によりあ消滅しない例:第三者弁済等の場合、抵当権は消滅せず代位することがある ⑥時効による消滅396:債務者及び抵当権設定者に対しては被担保債権と同時でなければ消滅しない ⑴第三取得者との関係では396不適用 ⇒ 被担保債権とは別に抵当権自体の消滅が主張できる397 ⑵抵当権は上記の場合、20年で消滅時効166Ⅱ

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    同時配当392Ⅰの図

    各不動産の価額に応じて、その被担保債権の負担を按分する

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    異時配当392Ⅱの例

    ※同時配当の場合を計算してから異時配当の場合を計算する ・共同抵当の抵当権者​:代価につき債権全部の弁済を受ける ​・次順位の抵当権者​:同時配当で得られる金額を限度に共同抵当の抵当権者に代位して抵当権行使 ※乙地を先に実行すると、Cは取り分が多くなる →結論は変わってくるが、それはそれで良いと考える

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    Q 共同抵当権の1不動産に対する抵当権の放棄(権利を失う)

    ⑴問題例:共同抵当権者が後順位抵当権者の代位の対象となっている不動産の抵当権を放棄した場合 ⑵問題の所在:後順位抵当権者を放棄により害する ⑶判例:504類推適用 → 後順位抵当権者が代位しえた限度において共同抵当権者は優先しえない →図の例ではA3,000万、C3000万となる

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    8 根抵当権

    概要 ①根抵当398の2:一定の範囲に属する不特定の債権を、一定の極度額の限度において担保する抵当権 ​⇒ 被担保債権が一定の限度内で変動する抵当権の一種 → 限度額まで債権が出入する入口付箱 ②背景:継続的取引の場合に、取引毎の抵当権設定は困難​(例)事業資金 ③特徴 ⑴ 付従性の緩和​:被担保債権が消滅しても存続 ⑵ 随伴性の緩和​:被担保債権を譲渡しても移転しない398の7 ⑶包括根抵当不可​:一切の債権の担保は不可398の2 ④流れ ⑴ 根抵当権設定契約​:担保不動産・極度額・債権の範囲・確定期日 ⑵ 元本確定前​:極度額の範囲で債権が増減 ⑶元本の確定​:確定期日到来 ⑷元本確定後​:通常の被担保債権扱い ・根抵当権のポイント (実際に短答で出るところ) ①根抵当権設定契約 ​・必要的約定事項:被担保債権の範囲・債務者・極度額 ​任意的約定事項:確定期日 ⑴ 被担保債権の範囲​:手形・小切手・一定種類の取引(売買取引等)・継続的取引(当座貸越契約等) ⑵極度額​:根抵当権により担保される限度 ⑶確定期日​:元本が確定される日 ②対抗要件:登記177 ③元本確定前と元本確定後 写真 ※元本確定後は極度額変更(利害関係人の承諾必要)以外はできない ④ 元本の確定:普通抵当権化する + 確定後の債権は担保されない ⑤元本の確定事由 ⑴ 期日の到来 ⑵ 元本確定請求398の19:確定期日のない場合、 ​・根抵当権設定者​:設定から3年経過すれば元本確定請求できる ​→ 請求後2週間で確定 ​・根抵当権者​:いつでも元本確定請求できる ​→ 請求時に確定 ⑶確定事由の発生398の20:滞納処分、破産手続き開始決定、差押え等 短答前チェックポイント ①被担保債権の範囲 ⇒ 抵当権と異なる ⑴被担保債権は複数も途中での弁済・一部弁済もできる+弁済により根抵当権は消滅しない ⑵極度額の範囲において優先弁済を受け、375の適用はない(極度額の範囲で全額担保される) ⑶ 確定前に債権の範囲の変更ができるが、確定前に登記をしないときは、その効力を生じない→被担保再建範囲の変更は元本確定前で登記が必要398の4 ②元本確定前 ⇒付従性・随伴性なし ⑴確定前に債権の一部を代位弁済した者はその債権について根抵当権を行使することができない398の7 ⑵根抵当権を譲渡+被担保債権を譲渡 → 当然にはその債権が根抵当権により担保されない398の7 ③元本確定後 ⇒付従性・随伴性あり ⑴確定後、被担保債権が譲渡された場合は根抵当権は譲受人に移転する ⑵確定後、現存の債務を支払えば極度額がそれを上回るとしても根抵当権は消滅する ⑶確定後、保証人が代位弁済したならば保証人は根抵当権を代位行為できる ⑷確定前は根抵当権は376Ⅰの処分(譲渡等)をなしえない。但し、転抵当のみはなしうる

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    第八章 質権 B+

    1 質権 ①質権342:​債権者が目的物を占有・留置することにより他の債権者よりも優先的に弁済を受けることができる担保物権 ​⇒ 約定担保物権 + 抵当権と留置的効力の有無で区別 ② 事例​:質権者が質権設定者の借金の担保にステレオを留置する ③性質​:通有性全てあり=留置的効力・優先弁済的効力・付従性・随伴性・不可分性・物上代位性 ④機能​:留置的効力 ⇒ 債務者を心理的に圧迫して弁済を間接的に強制 ⑤対象​:動産(=動産質) ・ 不動産(=不動産質) ・ その他の権利(=権利質) 2 動産質 動産質の設定 ①動産質権​:動産を対象とする質権 ⇒ 約定担保物権 → 通常、質権設定契約により設定 ② 即時取得​:質権者は即時取得できる​(例)他人の所有物を勝手に質として引渡して質権を設定 ​⇒ 物権契約は所有者とするのが原則 ​(例)抵当権 → 所有者でない人と抵当権設定契約しても無効(債権は有効) ③要物性​:動産質権設定契約は要物契約344(意思主義の例外) = 占有がなければ質権取得はない ④占有改定​:引渡しは占有改定を含まない345 ⑤対抗要件:目的物の占有の継続352 =目的物の占有は存続要件ではないが対抗要件であり成立要件 (例)質権者が占有を喪失した場合:遺失またはその善意の第三者・盗取等 ​・当事者間​: 〇質権に基づく返還請求  〇占有回収の訴え ​・第三者​: ×質権に基づく返還請求353 〇占有回収の訴え Q 質権者が質物を任意に設定者に返還した場合、動産質権は消滅するか ⑴ 判例:消滅しない ⑵ 理由:占有により維持される対抗力を失わせるだけ 動産質権の効力 ①動産質権の効力:通有性全て ②被担保債権の範囲:375不適用  ∵ 後順位質権者保護が不要(通常いない) ③目的物 ⑴範囲:目的物全部(物上代位も可) Q 従物に動産質権の効力が及ぶか ⑴結論:引渡しがない限り、及ばない = 引渡しがあれば、及ぶ ⑵理由:87Ⅱ ⑶動産質権の目的物から生じる果実:優先弁済に充当できる(完全な果実収取権はない。債務者の債務が減るだけ。債権者は自分のものにはできない)350・297 ​⇒ 動産質権者が優先弁済とは別に自らの財産にはできない ⑷使用・収益:目的物の保存に必要な限りで認められる350・298Ⅱ ​⇒ 上記範囲を超えて使用 → 消滅請求により質権を消滅させることができる350・298Ⅲ ⑸流質契約:弁済期到来により質物の所有権を取得するという契約 ​⇒ 弁済期到来前の流質契約は禁止349 ⑹質権者に善管注意義務あり 3 不動産質権 不動産質権の設定 ①不動産質権​:不動産を対象とする質権 ⇒ 約定担保物権 → 不動産質権設定契約により設定 ​⇒ 使用・収益ができる + 占有が必要なので実務では困難 ②要物性​:不動産質権設定は要物契約344 ⇒ 占有移転が必要 ③対抗要件​:登記177(動産質権は占有の継続)  ④占有改定​:引渡しは占有改定を含まない345 不動産質権の効力 ①不動産質権の効力:通有性全て ②被担保債権の範囲:375準用361  ※動産質は適用されない。 ③目的物:基本的には、動産質権と同様 ⑴目的物の使用・収益権がある356 ⑵果実収取権がある  ※完全な果実収取権有り。動産質のように優先弁済に充当できるだけではない。 ⑶利息を請求できない358(任意規定) ⇒ 特約があれば、利息請求できる 4 権利質 ①債権質の設定 権利質​:財産権を目的とする質権 ​→ 債権質:債権を目的とする権利質 ⇒ 約定担保物権 → 債権質設定契約により設定 ​⇒ 関係者が3者 + 債権譲渡と類似 ② 目的​:譲渡可能な債権のみ343 ​(例)×扶養請求権881 ③債権証書​:譲渡に証書の交付を要しない指名債権は証書の交付を効力要件としない(363削除) ④対抗要件​:債権譲渡と同様 = 通知又は承諾 債権質の効力 ①債権質の効力​:性質上認められないものを除き、通有性あり ​⇒ 債権譲渡と同様の論点 → 債権譲渡と同様 ② 優先弁済的効力​:弁済期以後は質権の目的たる債権を直接取り立てできる366Ⅰ 5 転質 ①転質:質権者が質物をさらに質入れすること ​・承諾転質:質権設定者の承諾を得て行う転質298Ⅱ・350 ​・責任転質:質権設定者の承諾なしに行う転質348 承諾転質 ①法的性質​:原質権とは別個の新たな質権設定 ⇒ 原質権による制限なし ②要件​:原質権設定者の承諾 ③効果​:原質権者は過失責任のみ負う → 不可抗力では責任を負わない ​⇒ 原質権消滅により消滅しない ・ 転質権独自で実行可 ・ 原質権に拘束されない 責任転質 ①法的性質 Q 責任転質の法的性質 ⑴問題の所在:責任転質は何を質入しているのか ⑵ 学説 ・共同質入説 内容)原質権者の債権と質権を質入 批判)348の文言「質物について」 ・質権譲渡説 内容)質権が譲渡される 批判)原質権者が原質権を保持 ・質権質入説 内容)質権そのものが質入 批判)権利質と同じ ・質物質入説(通説) 内容)質物そのものが質入 ②要件:原質権の範囲内 ⑴被担保債権額​:原質権の被担保債権額を超えない ⑵存続期間​:原質権の存続期間内 ③効果 ⑴原質権者は転質によって生じた損害は不可抗力の場合でも責任を負う348 ⑵転質権者は原質権の範囲内でしか権利を行使しえない ⑶ 実行には転質権だけでなく原質権の被担保債権が弁済期に達することが必要

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    第九章 留置権

    1 留置権 ①定義​:他人の物を占有している者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで留置できる権利 ② 例​:時計の修理を依頼されて修理した → 修理代未払い → 時計の返還を留置権で拒める ​⇒ 明渡しがでたら留置権  ​(例)売買契約 → 所有権を喪失するが留置権があるので弁済まで手元における ※司法試験では明渡しが出たら留置権を検討すること ③特徴​:法定担保物権(何ら合意なく成立する) +留置的効力 ④趣旨​:当事者間の公平 ⑤留置権と同時履行の抗弁権との相違 ・留置権と同時履行の抗弁権の比較  共通点は弁済まで明渡しを拒めることと趣旨  留置権の機能は他人の物を留置すること。同時履行の抗弁権は給付の履行を拒絶すること  留置権の性質は物権、同時履行の抗弁権は債権(双務契約の効力)  主張の相手方は、留置権は誰に対してもできるが、同時履行の抗弁権は契約の相手方のみ  留置権は不可分性あり296だが同時履行の抗弁権はなし(割合に応じて履行拒絶にとどまる)  留置権は代担保による消滅請求権あり301、同時履行の抗弁権にはなし  留置権には競売申立権あり、同時履行の抗弁権にはなし 2 留置権の要件 ①概要295 ⑴他人の物を占有 ⑵その物に関して生じた債権を有する=牽連性 ⑶債権が弁済期にある ⑷占有が不法行為によって始まったものではない ②他人の物を占有:占有は成立要件かつ存続要件(動産質権では対抗要件)302 ⑴占有を失えば留置権消滅⇒ 不動産留置権者は登記なくして第三者に対抗できる ⑵留置権に基づく返還請求は認められない ⑶占有回収の訴え200はできる ⇒ 回復すれば占有は継続していたものとされ203、留置権も継続 ③牽連性 ⇒ 留置権はその物に関して生じた債権を担保するために認められる ​・債権がその物自体から生じた場合​   (例)物について有益費を費やした ・​債権が返還義務と同一の法律関係または事実関係から生じた​場合(例)売買契約・取り違え(自分と相手がバッグをお互い取り違えて所持) Q 売買契約後に代金未払いの買主が第三者にその目的物を譲渡した場合 ⑴問題の所在​:売主は買主のみならず第三者に留置権を主張できるか = 牽連性は認められるか ⑵ 結論​:できる(=牽連性あり) ⇒ AはBに対し留置権主張可 → Cにも主張可 ⑶理由​:物権 ∴ 誰に対しても主張可 ⇒ AはCに対してBが払うまで明渡を拒絶できる Q 建物買取請求権が行使された場合の建物代金債権と敷地の明渡しの関係で敷地の留置権は認められるか ⑴建物買取請求権(借地借家13):借地権終了+権原により建物あり → 借地権設定者に買取請求可 ​⇒ 強行規定 ⑵問題の所在:建物に留置権はある → 敷地の留置 ⇒ 土地と建物は別個 ∴ 牽連性が問題 ⑶判例:敷地留置権は認められる(=牽連性あり)。但し、地代相当額の不当利得返還債務は発生 ⑷理由:建物は土地と分離できない ⇒ 認めないと建物留置できない ⇒ 建物の反射的効果として可 Q 造作買取請求権が行使された場合の造作代金債権のために賃借人は建物に留置権を主張できるか 例)エアコンを取り付け ⑴造作買取請求権(借地借家33):建物賃貸終了+同意のもと造作あり ⇒ 賃貸人に買取請求可 ​⇒ 任意規定 ⑵問題の所在:造作に留置権はある(=牽連性あり) → 建物の留置 ⑶判例​:建物の留置権は認められない ⇒ 造作の留置権は認められる ⑷理由​:建物と造作には著しい価格差あり → 認めると不公平 Q 不動産の二重譲渡で、引渡しを受けたが登記のない譲受人が留置権を主張できるか ⑴問題の所在:売主への損害賠償請求権の牽連性 ⑵判例:留置権は認められない(=牽連性なし) ⑶理由:留置権の成立時点において被担保債権の債務者と物の引渡請求権者が同一人でなければならない ​⇒ 牽連性が肯定されるための要件:成立時点(被担保債権発生時)で、債務者=引渡請求権者 ​∵ 引渡の拒絶により弁済を強制するこができない ⑷重要例:留置権は認められない(=牽連性なし ​・新地主に対抗できない借地人が明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか ​・他人物買主が所有者からの明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか ④債権が弁済期にある ​∵ 被担保債権の弁済を強制できない ⑤占有が不法行為によって始まったものではない  ​∵ 公平​(例)車を泥棒した者が車を修理:修繕費を請求できるが留置権は主張できない Q 占有開始時に権原があったが、その後に無権原となった者の費用支出に留置権の主張が認められるか ⑴ 事例​:賃貸借契約により占有 → 賃貸借終了 → 占有継続(不法占拠)+修繕費用を支出 ⑵問題の所在​:「始まった」のは不法行為ではない → 295Ⅱが適用されるか ※295Ⅱ:「占有が不法行為により始まった場合には...」 ⑶判例​:悪意または善意有過失での占有者は留置権主張できない → 295Ⅱ類推適用 ⑷期限の付与:196Ⅱ ​あり:留置権は認められない  ∵ 弁済期未到来 ​なし:留置権は認められない  ∵ 295Ⅱ類推適用 →期限の付与があってもなくても留置権は認められない ⑸理由​:趣旨=公平 → 占有する権利がないことを知っていれば不法 3 留置権の効力 ①通有性:優先弁済的効力・物上代位性以外の通有性あり ​⇒ 基本:留置的効力 + 優先弁済的効力が認められない ②優先弁済的効力:なし ⇒ 物上代位性なし ⑴事実上の優先弁済的効力はある ⇒ 留置権を誰にでも主張 → 買受人は第三者弁済が必要 ⑵留置権者に競売申立権はある(民執195) ⑶留意的効力:留置的効力あり + 優先弁済的効力なし ⑷使用​:保存に必要な限りで認められる298Ⅱ ⑸果実収取権​:優先弁済に充当できる297Ⅰ≒動産質権 ⑹善管注意義務あり298Ⅰ ⑺承諾を得ないで、保存に必要な範囲を超える使用・収益・担保に供することはできない298Ⅱ ​⇒ 違反すれば債務者は留置権の消滅を請求することができる298Ⅲ ​(例)×違反すれば消滅する - 違反により当然には消滅しない ・ 請求されたら消滅する 4 留置権の消滅 ①一般的な消滅原因:目的物の滅失、被担保債権の弁済、消滅時効等 ②代担保の提供301:代わりの担保の提供により留置権の消滅を請求できる ⑴法的性質​:請求権(×形成権) → 留置権者の承諾又は承諾に代わる裁判が必要 ⑵趣旨​:公平​(例)修理代5万未払 → 1000万の車を留置   ③留置権消滅請求権298Ⅲ ④占有の喪失302:占有の喪失⇒留置権消滅 ⑴例外302但:債務者の承諾により、賃貸又は質権の目的とした場合 ⑵債権の消滅時効の進行を妨げない300:請求による完成猶予は生じない ※ 留置権の主張は間接的に債務の履行を請求しているが、完成猶予の効果はない Q 訴訟の際に留置権を主張した場合の効果 ⑴問題の所在:留置権の被担保債権の消滅時効を更新するか ⑵判例:裁判上の催告 ⇒ 訴訟終結後から6カ月完成猶予

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    Q 不動産の二重譲渡で、引渡しを受けたが登記のない譲受人が留置権を主張できるか

    ⑴問題の所在:売主への損害賠償請求権の牽連性 ⑵判例:留置権は認められない(=牽連性なし) ⑶理由:留置権の成立時点において被担保債権の債務者と物の引渡請求権者が同一人でなければならない ​⇒ 牽連性が肯定されるための要件:成立時点(被担保債権発生時)で、債務者=引渡請求権者 ​∵ 引渡の拒絶により弁済を強制するこができない ※本件では留置権成立は⑤の時点  被担保債権の債務者はA、  引渡請求権者はC(Aは所有権なし)  よって、「成立時点で」被担保債権の債務者と引渡請求権者が異なり、けんれん性なし ⑷重要例:留置権は認められない(=牽連性なし ​・新地主に対抗できない借地人が明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか ​・他人物買主が所有者からの明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか

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    Q新地主に対抗できない借地人が明渡請求に対して損害賠償請求権に基づき留置権を主張できるか

    不可

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    第十章 先取特権 B+

    1 先取特権303 ①先取特権:法律の定める特殊な債権を有する者が、債務者財産から法律上当然に優先弁済を受ける権利 ​⇒ 特殊な債権を有する → 債務者の対象となる目的物に対して優先弁済を受ける権利 ⑴ 例​:裁判費用 → 債務者の総財産 ⑵趣旨​:当事者の公平・社会政策的必要性等、様々 ⑶特徴​:法定担保物権 + 留置的効力を除く、通有性全て ⑷先取特権の種類:優先弁済の対象となる目的物の種類による ​・一般先取特権​​:債務者の総財産を目的 ​・動産先取特権​(特別先取特権)​:債務者の特定の動産を目的 ・​不動産先取特権​(特別先取特権)​:債務者の特定の不動産を目的 2 先取特権の種類 ①一般先取特権306:きょうこそ、にちよう ​共益の費用307​:裁判費用債権 ​雇用関係308​:給料債権 ​葬式の費用309​:債務者及び債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式費用債権 ​日用品の供給310​:債務者への飲食料債権 ②動産先取特権311:311各号 → 特別の関係にある動産312以下 ​(例)建物賃貸料債権311一 → 建物に備え付けた動産313Ⅱ-建物の中に持込んだ物全て(判例) ⑴動産売買の先取特権321:売買契約 → 代金債権について引き渡した目的物のうえに優先権あり ​⇒ 目的物引渡後において売主を保護 ※売主Aがカメラを買主Bに売った。AはカメラをBに引き渡した。このとき、Aはカメラのうえに優先権がある。 ⑵第三者への効力333:第三取得者へ引渡した場合、追及できない(追及効なし)  ​⇒ 第三取得者=所有権を取得した者 ・ 引渡し=占有改定を含む(判例)(動産先取特権は公示が弱いので第三取得者を保護する必要性が高い) ③不動産先取特権325:債権の対象となった不動産を目的 ・​不動産保存 ・​不動産工事 ・​不動産売買 ⑴登記が効力要件337・338Ⅰ・340 ⑵ 不動産保存・不動産工事は登記すればそれ以前に設定されている抵当権に優先する339 ​∵ 目的物の価値を高める 3 先取特権の効力 先取特権の効力 ①留置的効力以外の通有性全て(付従性・随伴性・不可分性・物上代位性・優先弁済的効力) ⑴動産売買の先取特権 ⇒ 第三取得者(所有権取得者)へ引渡されると対抗できない333 ⑵物上代位性304   ⇒ 上記転売による代金債権に行使できる 先取特権の順位 ①一般先取特権と特別先取特権の順位329 第一順位:共益の費用​:利益を受けた総債権者に対してに限定 第二順位:特別先取特権​:動産先取特権 ・ 不動産先取特権 第三順位:一般先取特権​:  ⑴以外の共益の費用 > 雇用関係 > 葬式の費用 > 日用品の供給  ※今日こそ日曜の順 ②動産先取特権の順位330(試験出ない) ③不動産先取特権の順位331:不動産の保存 > 不動産の工事 > 不動産の売買

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    第十一章 非典型担保

    1 非典型担保 ①非典型担保​:民法典に規定がないが担保物権的機能を有するもの ⇔ 典型担保 ②機能​:債務の弁済がなければ目的物の財産権が担保権者に移転 + 私的実行 ③種類 ​・あらかじめ所有権を移転​:譲渡担保(債権存続)・売渡担保(債権消滅) ​・弁済がなければ所有権移転​:仮登記担保 ・​所有権を留保​:所有権留保 2 譲渡担保 Aランク ① 譲渡担保:法形式上所有権を移転し、弁済による返却を約することによって担保とする方法 ⑴譲渡担保設定契約:目的物について所有権の移転・賃貸借・弁済時の返還等を設定 ​⇒ 形式上、所有権移転 + 引換えに金銭を借りる ⑵目的物:譲渡担保権者から譲渡担保権設定者が賃借り ​⇒ 占有は譲渡担保権設定者のもとに留保 + 占有改定 ⑶ 弁済:目的物の所有権を返還 ​⇒ 形式上、所有権が返還 ②機能 ⑴動産抵当の実現:非占有 + 優先弁済 で動産に担保権設定 ⑵私的実行の実現:簡易な実行 ⇒ 抵当権の複雑な手続きを回避 ③法的性質 Q 譲渡担保の法律的構成 ⑴問題の所在:目的=担保 ・ 形式=所有権移転 → どちらを重視 ⑵ 学説・判例 ・所有権的構成 内容)目的物の所有権が債権者に移転 理由)形式を重視 ・担保的構成 内容)所有権は設定者に存し、債権者は担保権を有する 理由)実質を重視 ④設定:約定担保物権 →契約による  ⑴ 対抗要件 ​動産​:引渡し178(占有改定も含まれる) ​不動産​:登記177 ⑵ 即時取得:対象となる ※他人物でも譲渡担保の目的物になる 譲渡担保の効力 ① 対内的効力 ​・譲渡担保権者​:動産抵当の実現(非占有+優先弁済) ・私的実行の実現 ・​譲渡担保設定者​:使用・収益を続けられる ②効力の及ぶ範囲:被担保債権及び目的物の範囲は設定契約による ⑴目的物の範囲​:付加物・従物・従たる権利 ⇒ 抵当権と同様 ⑵物上代位​:行使できる(判例) ③清算の方法:譲渡担保の実行 ・​処分清算型:債務不履行時 → 目的物売却 ​・帰属清算型:債務不履行時 → 目的物を譲渡担保権者の所有物にする ⑴ 清算金:目的物と被担保債権の差額 ⇒ 清算金支払い義務あり(判例) ※譲渡担保権者Aが1000万円の債権について設定者Bの工場の機械1200万円分に譲渡担保の設定。Aに帰属。このときAはBに200万円の清算金を支払わなければならない ⑵清算金と目的物引渡の関係:同時履行の関係(判例) ④受戻(うけもどし)権:実行前に被担保債権全額を支払うことによって目的物を取り戻す権利 ​処分清算型:第三者に処分するまで ​帰属清算型:清算金の支払・提供・(目的物の額が足りない場合はその)通知をするまで ​⇒ 弁済期後に目的物を第三者に処分すると譲受人が背信的悪意者でも受戻権は当然に消滅(判例) ⑤対外的効力 ⑴譲渡担保設定者による処分 写真 集合物譲渡担保 ①集合物譲渡担保​:集合動産に譲渡担保を設定する場合​ (例)倉庫に保管されている全部品 ​⇒ 倉庫搬入前=対象外 → 倉庫内=対象 → 倉庫搬出後=対象外 ②特徴​:流動動産 + 集合物 Q 集合物譲渡担保が認められるための要件 ①問題の所在:一物一権主義(一物・特定性)に反し無効とならないか ②判例 ⑴ 一物​:集合物をもって1つの物としうる ​∵ 一物の概念は取引通念による ⇒ 担保取引の必要性あり ⑵特定性​:種類、所在場所及び量的範囲を指定する等の方法で目的物の範囲の特定を要する ※特定性の要件は書けるように ​∵ 取引安全 ⑶ 対抗力​:設定時の占有改定 → 新たな流入動産も対象 Q 動産先取特権の目的物が譲渡担保に供せられた場合、先取特権者と譲渡担保権者のどちらが優先するか ⑴ 問題の所在:333の第三取得者に譲渡担保権者は該当するか ⇒ 所有権的構成or担保的構成 ⑵判例​:所有権的構成 ⇒ 譲渡担保権者が優先=先取特権の追及効消滅 ⑶3 学説​:担保的構成 ⇒ 333に該当しない 第333条【先取特権と第三取得者】 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。 ※333の引渡しは所有権者に対するものに限られ、引渡しには占有改定を含む 3 売渡担保 B+ ①売渡担保:法形式上、売買の形をとって行われる担保 ②特徴:売買の形式をとる(⇔ S担:所有権の移転)・実質は担保(= S担) ​⇒ あらかじめ所有権移転 + 被担保債権が存続しない ※売買の形式を取るので売渡担保設定者は売却代金として金銭を得る ③ 売渡担保の種類 ​買戻し​:売買契約を解除することで目的物を取り戻す≒買解 ​再売買予約​:2度目の売買の予約をすることで目的物を取り戻す ④買戻しと再売買予約の違い ・買戻(579以下) 対象:不動産のみ 特約:売買契約と同時 返還すべき額:代金と費用(利息は不可) 対抗要件:売買契約と同時に登記 権利行使期間:10年以下 + 伸長不可 ・再売買予約 対象:制約なし 特約:制約なし 返還すべき額:制限なし 対抗要件:仮登記 権利行使期間:消滅時効 4 仮登記担保 B ①仮登記担保:仮登記を利用して行う代物弁済予約と売買予約の総称 ​・代物弁済予約​:弁済がなければ弁済に代えて不動産の所有権を移転するという予約の仮登記 ・​売買予約​:被担保債権額と同額で債務者の不動産の売買を行うという予約の仮登記 5 所有権留保 B+(短答) ①所有権留保:目的物を引渡した売主が代金担保のために完済まで目的物の所有権を留保する形の担保 ⑴事例:自動車の割賦販売 ⑵設定:売買契約時の特約 Q 所有権留保の法的性質 ⑴問題の所在:形式=所有権留保 ・ 実質=担保 → 所有権的構成or 担保的構成 ⑵結論​:所有権的構成 → 原則として転売でも取り戻せる ⑶理由​:あえて所有権留保という形式をとった Q サブディーラーから車を購入した買主に対しディーラーが所有権留保特約に基づき引渡し請求できるか ※サブディーラーがディーラーから所有権留保付き特約有りで買付。買主Aサブディーラーから車を購入し代金を支払った。その後、サブディーラーがディーラーに対して車の仕入れ代金が不履行となった。このとき、ディーラーは自己に所有権があるとして買主Aに車の引渡しを求めることができるか。 ⑴問題の所在:買主は代金完済+引渡済 ⑵判例:権利濫用1Ⅲとして許されない ⑶理由:代金回収不能の危険を買主に転嫁 + 代金完済の買主に不測の損害 6 代理受領 B+ ①代理受領:債務者の有する債権の弁済を受領する権限を債権者が委任される形で行われる担保 ⑴第三債務者の承諾が必要 ⑵債権者は第三債務者から受領した金銭と債務者の債権を相殺 ②機能:担保的機能 + 債権譲渡等の禁止特約付債権の担保化 + 手続き簡素化 ③法的性質:債権取立機能 ​・債務者が第三債務者からの弁済を受領 ​→ 弁済有効 ​・債務者が第三債務者に時効中断のための催告 ​→ 催告有効 ​・第三債務者が債務者に弁済した場合 ​→ 第三債務者は債権者に対し損害賠償責任を負う(判例)∵ 第三債務者は代理受領を承諾している