問題一覧
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① 典型契約の法的性質 ・消費貸借(要物契約): 片務・要物契約・不要式 ※唯一の要物契約 ・消費貸借(諾成契約): 片務・諾成契約・要式 ※唯一の様式契約 ・寄託:諾成契約 ※無償であれば基本的に片務 ※表の赤字をチェック 【 契約の諸原則】 ① 契約自由の原則 : 契約当事者の自由な意思に従って契約関係が形成されるという原則≒私的自治の原則 (1) 条文 改) 521、522II ⇒ 明文化 (2) 内容 ・契約締結の自由:契約を締結しまたは締結しない自由 521I⇒ 契約しないことができる ・相手方選択の自由: 契約の相手方を選択する自由 521I⇒特定の人とのみの契約もできる ・内容決定の自由: 契約の内容を決定する自由 521 Ⅱ ⇒不利な契約もできる ・方式の自由:契約締結の方式の自由 522Ⅱ ⇒書面は不要 (3) 制限: 法律の留保 ・契約締結の自由:医者の診療拒否 電気等のインフラ NHK ・相手方選択の自由:上同 ・内容決定の自由: 強行規定・公序良俗違反は無効 90 等 ・方式の自由: 諾成的消費貸借・保証契約・家族法上の行為・法人設立等 ② 契約遵守の原則 ③ 合意解除の自由 ④事情変更の法理 :契約締結後、 予見しえない事情の変更->契約の拘束が過酷->解除等を認める (典型例)異常なインフレ (1) 要件: 判例も同様かつ厳格に判断 a) 基礎事情の重大な客観的変更 ※個人的事情の変更は不可 (判) b) 当事者の予見しえない事由による変更 ※地震などは不可(判) c)当事者の責めに帰することができない事由による変更 ※ 債務不履行等は不可 (判) d) 契約の拘束力が信義則上著しく不当 (2) 効果: 契約の解除または改訂
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【契約の成立】 Bランク ① 要件 522 I:改) 申込みと承諾の意思表示の合致 ⇒ 明文化 ・申込み: 契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示 ≒先の申出 ・承諾:申込みを受けて同意することで契約を成立させる意思表示 ≒後の返答 (1)合致 : 客観的内容が一致 (客観的合致) + 内心の真意が一致 (主観的合致) (2) 不合致: 主観的合致がない場合のみ (判)→ 通説は客観的合致 + 錯誤の問題 (3) 追加要件: 要物契約一給付・ 要式契約書面等 → 上記は諾成・不要物・不要式 ② 522 以外の契約 (1) 交叉(こうさ)申込 : 互いに偶然に申込をなし、 その内容が一致する現象 ⇒ 承諾なしに契約が成立・後の申込が到達した時に成立 (2) 意思実現による契約 527 : 意思表示または慣習により承諾の通知を必要としない場合 ⇒ 承諾と認めるべき事実があった時に成立 (例:ホテルに申し込みをしてホテルが部屋の準備をした) ③ 申込み B+ (1)申込みの誘引: 相手方に申込みを促す事実行為≠申込 (例)賃貸物件広告 →相手方の申込→ 誘引した者の承諾が予定 (参522)・ 意思の通知 (2) 撤回: 意思表示の効力を失わせること →意思表示後の問題 + 撤回後から効力 (※意思表示時の問題であり遡及効のある取消、無効とは異なる) ⑶失効:意思表示の効力が失われること →有効期間の経過 ・一般の意思表示(承諾を含む)→不到達で失効 ・申込(承諾期間の定めあり):承諾期間内に承諾不到達で失効 523Ⅱ ・申込(承諾期間の定めなし-対話者間以外):撤回しうる時から相当期間経過後に失効 ・申込(承諾期間の定めなし-対話者間) 原則:対話終了で失効525Ⅲ 例外:失効しない旨の表記で執行しない ⑷死亡等:申込者が死亡、意思能力喪失、行為能力制限となった場合 ・一般の意思表示(承諾を含む):失われない(97Ⅲ) ・申込: 原則:失われない 例外:次の場合は失う:申込者が効力を有しない旨を表示、相手方が承諾の通知を発する前に死亡等の事実を知った ④ 承諾 (1) 遅延した承諾の効力 524 :原則:成立しない 申込者は新たな申込とみなすことができる (2) 申込に変更を加えた承諾528 : 拒絶 : 拒絶 + 新たな申込 とみなす ⑤ 契約の成立時期 971: 改) 承諾の意思表示が相手方に到達した時 (=到達主義) ・改正ポイント : 改正前)隔地者間の承諾は発進主義・撤回の延着通知義務 改正後)削除 【契約成立の諸問題 】 ① 約款 多数の契約に用いるために予め定式化された契約条項の総体 (例) インフラ関連の契約 ⇒ 大量の契約を迅速・画一的に処理・社会に必須かつ多大な利益・・消費者保護の必要性 (1) 定型約款 : 定型取引において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体 → 548の2~548の4において定型約款に限定して規定 (2) 要件 ・定型取引 :不特定多数・画一的 ・合理的 (例)× 労働契約 (個性着目) 、中古車売買(交渉余地) ・契約の内容:当該定型約款を契約内容に組み入れる ・特定の者:定型取引の当事者の一方が準備 (3) 効果: 定型約款の規定を適用 a)個別条項合意擬制548の2: 認識なくても合意ありとみなす一方的に害するものは除外 b) 定型約款開示義務 548 の3: 定型約款準備者の義務 ⇒ 書面または電磁的記録の提供済は除く・開示拒絶→ 合意擬制不可 c) 一方的約款変更可 548 の 4 : 約款準備者による、利益適合性・変更の合理性・周知義務を要件 ② 懸賞広告: ある行為をした者に報酬を与える旨の広告をした者がその報酬を与える義務を負う行為 ・懸賞広告者:ある行為をした者に報酬を与える旨の広告をした者 ・指定行為:ある行為 (1) 事例 ◯: 動物発見で報酬 、情報提供で報酬 ×:ミスコンでの賞金 ∵行為ではなく状態(=贈与) (2) 条文 改) 529 (改正ポイント) 単独行為説を採用=指定行為をした者が広告を知っていたかは不問 ⇒ 特殊な契約 (申込と承諾の合致は不要) ⑶懸賞広告の撤回 529の2、529の3 ⑷失効 ⑸撤回の方法 530 ・前の広告と同一の方法 →知った者・知らない者を不問で効力 ・前の広告と異なる方法 →知った者にのみ効力 (改正前一同一の方法ができない場合のみ) (6) 効果 529~531 :報酬請求権 ・数人が存在→最初の者 ・数人が同時→等分 ・これらと異なる表示、方法可
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表
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① 契約の効力: 同時履行の抗弁権533・危険負担・第三者のためにする契約 を規定 ⇒ 契約の効力の一部、 民法上の規定、 533 と危険負担は牽連関係の基本原則 第三者は例外 ② 連関係: 一方の債務と他方の債務との関係(民法) = 牽連性 ⇒ 双務契約においてこの牽連関係が問題となる ・成立上の牽連関係 : 一方が成立しない場合他方は?→原始的不能 ・履行上の連関係: 一方を履行する場合に他方は?→同時履行の抗弁権 ・存続上の牽連関係 : 一方が消滅した場合に他方は?→危険負担 【成立上の牽連関係】 ① 原始的不能 : 契約成立時に一方の債務不存在→ 契約は成立・債務不履行 (履行不能) 412 の2 ※目的物滅失→原始的不能の債務不履行の他錯誤無効等も主張しうる 【履行上の牽連関係】 ① 同時履行の抗弁権 (1) 意義 相手方がその債務の履行を提供するまでは自己の債務の履行を拒むことができる権利 ⇒双務契約における一方当事者に認められる (2) 条文 : 533=同時履行の抗弁権 (3) 趣旨: 公平 ②留置権との異同:留置権と533はどちらも主張できる(競合説) 図 ③要件 ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在 (例) 売買契約→物引渡債務 +代金支払債務 ⅱ 双方の債務が共に弁済期にある (例) 物引渡 9/1 代金 9/1までに履行 9/2以降 ⅲ 相手方が履行又は履行の提供をしないで履行を請求 (例) 買主が代金支払いなく物請求 (1)ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在: 改) 履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む 533 ◯該当する) 債権譲渡、債務引受、転付命令、準消費貸借 ・ ×該当しない)更改∵債務の同一性なし (2) ⅱ 双方の債務が共に弁済期にある : 533 は双方の債務が弁済期 ※参考:相殺は自働債権が弁済期 Q 一方の債務者が先履行義務を負担する場合 (1) 事例: 売買契約の特約で、 まず代金支払い → 支払の1ヵ月後の車引渡 (2) 結論: 533 不可 (3) 理由: 533の規定内容 Q 先履行義務の未履行のまま、後履行義務の弁済期が到来した場合の後履行義務者の 533 の可否 (1) 事例 車の売買契約でAが9/1に引渡 ・Bが10/1 に代金支払とした。その後、A未履行のまま 10/1徒過 (2)問題の所在 : 公平 履行遅滞となった者に533は認められないのでは? (3) 通説: 533 可 (4) 理由 :履行遅滞責任と 533 は別問題 + 履行遅滞責任は免除されない (3) ⅲ 相手方が履行または履行の提供をしないで履行を請求 弁済の提供をしている相手には533 不可 Q 533 喪失のためには履行の提供を継続する必要があるか (1) 事例: 車の売買 :買主が売主に車の引渡を請求 +代金提供→売主拒否→買主が車引渡請求→ 533? (2)問題の所在: 弁済の提供は1度行えば533は消滅し続けるのか (3) 判例: 弁済の提供を継続が必要 (4) 理由: 債権債務関係は存続 →履行上の牽連関係も存続 ※契約の解除を主張する場合は不要 (533と契約の解除を混同しないように。) ④ 効果: 行使等により債務の履行拒絶が正当化される (1)履行遅滞責任の免除 →債務者に対する損害賠償請求や契約の解除は認められない (2)相殺の無効 →533 の付着する自働債権の相殺は認められない (3)引換給付判決 →債権者(原告)の給付と引換えに債務者(被告)は給付すべき ※ 留置権も同様に引換給付判決 ⑤ 双務契約以外における同時履行の抗弁権 (1)明文の規定 a) 533 括弧書 :「双務契約における一方当事者債務の履行不能の填補賠償債務」と「他方当事者の債務」 b)486:「受取証書の交付請求」と「弁済の提供」 (債権証書の返還は533 の関係にない) c) 546: 「契約の解除による現状回復義務」 d) 553: 「負担付贈与」 (2) 契約の無効・取消の場合 Q 契約の無効 取消の場合の当事者相互の原状回復義務 121の2に533が認められるか (1) 事例: 売買契約→成立相互に履行 → 契約が無効または取消→各々に原状回復義務 (2) 問題の所在 : 双務契約から生じた債務ではない (3) 判例: 同時履行の抗弁権を類推して認める (総務契約から生じた権利ではないから類推適用) (4) 理由 :公平←本来の契約の影響を受ける (3) 担保権と弁済: 主に、 弁済が先履行 (533不可 ・弁済後担保権消滅) ・同時履行の関係になるもの: ・留置権目的物の返還&弁済 ・譲渡担保又は仮登記担保における、 清算義務 (担保権者)&移転登記及び引渡義務 (設定者) (4) 建物買取請求権 (借地借家 13): 借地権終了+権原により建物あり→借地権設定者に買取請求可 →強行規定・形成権 (=自動的に売買契約成立)・建物引渡移転登記は代金支払と 533 借地権終了 → 建物買取 sk→ 533 で土地引渡拒否 Q 建物代金の支払いと土地の引渡しとに同時履行の関係が認められるか (1) 事例: 土地賃貸借 借主が建物建設 (2) 問題の所在: 土地の引渡と533 → 土地と建物は別 (3) 判例 同時履行の関係が認められる (4) 理由: 土地を返還して建物の引渡しだけを拒絶することは不可能 ⇒ 留置権も同様 土地の使用収益による利得は不当利得 違法ではないが権原のない占有 (5) 造作買取請求権 (借地借家 33): 建物賃貸終了 + 同意のもと造作あり→ 賃貸人に買取請求可 ⇒ 任意規定 ・形成権(=自動的に売買契約成立) ・造作引渡請求権は代金支払と533 Q 造作代金の支払いと建物の明渡しとに同時履行の関係が認められるか (1) 事例: 建物賃貸借→借主が造作設置 → 賃貸終了 → 造作買取 sk → 533 で建物明渡拒否 (2) 問題の所在: 建物の明渡と533 → 土地の引渡と533は可 (3) 判例: 否定 (4) 理由: 公平 ←建物は造作よりも著しく高価 ⇒ 留置権も否定
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対第三者: 第三取得者Cからの請求: Bは留置権で対抗可能 533では×
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③要件 ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在 ⅱ 双方の債務が共に弁済期にある ⅲ 相手方が履行又は履行の提供をしないで履行を請求 (1)ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在: 改) 履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む 533 ★◯該当する) 債権譲渡、債務引受、転付命令、準消費貸借 ×該当しない)更改∵債務の同一性なし ※ 買主Aは譲受人Cからの請求に対して533を主張できる
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双務契約以外における同時履行の抗弁権 (1)明文の規定 a) 533 括弧書 :双務契約における一方当事者債務の履行不能の填補賠償債務 ・他方当事者の債務 図:①100万代金請求権と③填補賠償請求権は533の関係のある
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主に弁済が先履行(抵当権など) ・ただし、以下は533が認められる ・「留置権目的物の返還」と「弁済」 ・「譲渡担保または仮登記担保における、 清算義務 (担保権者)」と「移転登記及び引渡義務 (設定者)」
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建物買取請求権 (借地借家 13): 借地権終了+権原により建物あり→借地権設定者に買取請求可 →強行規定・形成権 (=自動的に売買契約成立)・建物引渡移転登記は代金支払と 533 借地権終了 → 建物買取 sk→ 533 で土地引渡拒否 Q 建物代金の支払いと土地の引渡しとに同時履行の関係が認められるか (1) 事例: 土地賃貸借 借主が建物建設 (2) 問題の所在: 土地の引渡と533 → 土地と建物は別 (3) 判例 同時履行の関係が認められる (4) 理由: 土地を返還して建物の引渡しだけを拒絶することは不可能 ⇒ 留置権も同様 土地の使用収益による利得は不当利得 違法ではないが権原のない占有
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①危険負担:双務契約上の債務の一方が債務者の責めに帰することができない事由により消滅 → 他方の債務も消滅するか存続するかの問題 = 存続上の連関係 (改正前) (例) AB間で A 所有の家屋を売買 → 災害で家屋滅失→代金債務 ? •債権者主義: 債務消滅の危険は債権者が負担 (例) 代金債務は存続 •債務者主義: 債務消滅の危険は債務者が負担 (例) 代金債務は消滅 ・改正前: 原則、 債務者主義。 例外、特定物に関する場合は債権者主義 (≒実質債権者主義) ⇒ 債権消滅構成 ②履行拒絶権構成 536Ⅰ: 改) 債権者は反対給付の履行を拒むことができる (1) 反対給付:双務契約において一方の給付に対して対価の意味をもつ他方の給付 ⇒ 債権者の反対給付債務は消滅せずに存続 → 履行拒絶可能 (例)売買契約→家屋が帰責性なく滅失→家屋引渡債務は滅失ではなく履行不能→代金債権は滅失しないが履行拒絶可能 (2) 危険負担:履行不能 (原始的不能を含む)の場合 → 債権者は反対債務の履行を拒絶できるか (3) 意思表示:履行不能となった債務も反対債務も存続→消滅させるためには解除の意思表示が必要 (4) 損害賠償債権者は反対給付債務の履行期徒過による遅延損害賠償を負わない ③同時履行の抗弁権との比較 (1)共通 a) 反对給付の請求を拒絶できる b) 反対給付の債務を消滅させるには契約の解除が必要 (2)相違点 (同時履行) 適用場面:x履行不能 +◯ 未履行 判決内容:引換給付判決 (危険負担) 適用場面:◯履行不能 +◯ 未履行 判決内容:請求棄却判決 ④ 履行拒絶権構成の要件 536Ⅰ: 債務の履行不能 + 当事者(債務者・債権者) に帰責性なし ⇒ 536Iが適用されるのは当事者双方に帰責性がない場合のみ ⑤ 双務契約上の債務の履行不能 ※ 履行不能: 写真
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① 第三者のためにする契約:当事者以外の第三者に直接権利を取得させる契約 (1) 具体例: ・第三者を受取人とする保険契約 ・第三者を荷受人とする運送契約 (2) 契約の相対効の原則 →契約は当事者間でのみ効力→第三者には効力を生じない ∵ 私的自治 ⇒第三者のためにする契約は例外 明文なし→条文で例外を規定 (3) 条文 : 537I → 第三者のためにする契約は有効・受益者は直接権利を取得 (4) 基本用語 ・要約者 :第三者への給付を請求しうる者 ・諾約者 :第三者へ給付する債務を負担する者 ・受益者 : 契約上の利益を受ける第三者 ※ 受諾で覚える ・対価関係: 要約者と第三者との関係 ※見返りがある ・補償関係: 要約者と諾約者との関係 = 資金関係→金で承諾 ②代理との比較 写真 ③要件 (1) 要約者・諾約者間の契約: 補償関係について成立・効力要件を具備 (2)第三者に直接権利を取得させるという契約 ×:事実上の利益、電信送金契約、単なる履行地(AとBがCのレストランで食事することを約束した時のC) ◯:債権の取得(例:生命保険)、免除、物権の取得、負担ありの利益 (3) 第三者の現存・特定は不要 537Ⅱ改) (例) 胎児・設立中の法人 ④ 効果 (1) 受益者が履行請求権を取得 a) 受益の意思表示が必要 537Ⅲ: 履行請求権の発生要件 (契約成立要件及び効力要件ではない) b) 権利の変更・ 消滅 : 原則、 要約者・諾約者間の合意で可。 但し、 権利発生後は不可 538I c) 取消等: 解除権・取消権なし、 意思表示の瑕疵の有無等は要約者・諾約者について判断 (2) 要約者: 諾約者に対して受益者への給付を請求できる a) 損害賠償請求権:受益の意思表示前には諾約者に対し可 (判例外) ※ 諾約者が不履行→損害賠償請求権→ b) 取消等: 取消可。 解除は受益の意思表示後の債務不履行の場合、受益者の承諾が必要 538Ⅱ (3) 諾約者: 受益者に対し給付する義務を負う a)弁済の提供: 受益の意思表示なくとも義務あり ※短答頻出 懈怠すれば要約者に対し債務不履行責任を負う b) 抗弁 539: 諾約者は要約者に対する契約に基づく抗弁をもって受益者に対抗できる
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総論 ① 契約の解除: 契約締結後、一方当事者の意思表示により契約が初めから存在しなかった状態に戻す制度 ※ 取消のように契約成立時点の問題ではなく、契約締結後に生じた問題 ※ 一方当事者の意思表示により効力発生 (1) 条文 : 540 (2) 効果 545I ・未履行債務 → 消滅 ・既履行債務 → 返還 (3)行為の性質 : 単独行為 ② 解除の流れ(3つの段階に分かれる) (1)一定の事由により解除権が発生 (2)解除権を行使 (3)解除 ③ 種類 (1) 法定解除: 法律の規定により解除権発生 ・一般的な法定解除権:債務不履行を理由 541 、542 ・特殊な法定解除権:個別の契約類型の明文規定を理由 550 等 (2) 約定解除: 契約の存在により解除権発生 ⇒ 明確な合意がなくても法律の規定により認められたものと推定もある (例)解約手付 ④解除と類似の制度:共通 = 初めから存在しなかったものとみなす 表参照 ※合意解除は双方の合意が必要。法定解除、約定解除は単独行為 ※解除条件は意思表示不要 ※任意解除権(委任契約等):債務不履行は不要 ⑤ 解除権の行使 (1)方法 540I: 契約の相手方に対する一方的意思表示→单独行為→形成権 ⇒ 相手方への到達により効力発生 97Ⅰ(到達主義が適用) (2) 撤回できない 540Ⅱ (3) 解除権不可分の原則 544: 一方が数人の場合、 全員が一緒でなければならない ⇒・ 行使:全員からまたは全員に対してのみ ・ 消滅:一人について消滅すれば他の者も消滅 ⑥契約の解除制度の目的:債権者を契約の拘束力から解放するための制度 ⑴帰責事由:改)債務者の帰責事由は不要 541,542 ⑵正当化根拠: 重大な契約違反がある場合にのみ解除が認められる □ 解除類型 (改正前) 履行遅滞による解除 履行不能による解除 定期行為の解除 (改正後) 催告解除:催告による解除 541 無催告解除:催告によらない解除542I 一部解除等:その他の解除 ① 催告解除 (1) 条文 : 541→債務不履行(履行遅滞) + 催告 + 相当期間経過 + 軽微でない = 重大な契約違反 (2)要件 a) 履行遅滞(履行期に履行可能 )+ 履行期を徒過 + 違法性等 ⇒帰責性は不要 ≠ 415 の履行遅滞の要件 b) 催告: = 412Ⅲの履行の請求 ・過大催告の場合→債務の同一性が認められる限り、 本来給付すべき数量の範囲で有効 ※100万円のところ110万円と請求した場合 ・過少催告の場合→債務の同一性が認められる限り、催告に示された数量の範囲で有効 ・解除予告→不要。 一定の期日または期間内に履行すべき旨で足りる(条文上必要とされていない) Q 二重催告の要否 (1) 事例: 期限の定めのない債務履行の請求で履行遅滞催告解除 (2)問題の所在: 条文上は二重の催告が必要に見える 412Ⅲ 、541 I (3) 判例: 二重の催告は不要= 412Ⅲの履行の請求と541の催告は同じ (4) 理由: 二重の催告の必要性に乏しい c)相当期間の経過: 客観的にみて相当な期間の経過が必要 ・猶予期間を何ら指定しない催告 →有効 = 上記期間後に解除権発生 ・催告に定めた履行期間が不相当 → 有効 = 上記期間後に解除権発生 (理由)期間の相当性判断に関する危険を債権者に負担させるのは不公平 (相当性の判断ができないからといって解雇の権利を認めないことは債権者に酷) d) 軽微でない: 債務不履行が軽微である場合は認められない (軽微性の抗弁) 【軽微性の判定基準】 → 契約及び取引上の社会通念 ・判例法理:不履行の部分が数量的にわずかであったり付随的な債務の不履行の場合は軽微に当たる ② 無催告解除 (1) 総説 ・履行遅滞による解除→催告解除 ∵催告+相当期間経過=重大な契約違反 ・履行不能による解除→無催告解除 ∵履行不能 (履行の機会は不要) =重大な契約違反 (2) 条文: 542I (3) 無催告解除が認められる場合 : 履行不能 a) 債務全部の履行不能 : 後発的不能 + 原始的不能も含む b) 債務全部の確定的履行拒絶 : 催告が徒労に終わることが明白、 履行期後 + 履行期前も含む ※ 確定的履行拒絶の例:債務の存在自体を否定した場合など c) 一部履行不能 または一部確定的履行拒絶の場合で、かつ残存部分での目的達成不能の場合 d) 定期行為の不履行: クリスマスケーキの引渡 ・定期行為: 特定の日時に債務の内容に適合した履行がされなければ契約目的を達成できないもの e) 契約目的の達成不能: その他の達成不能の場合 ③一部解除等 B+ ⑴契約の一部解除:債務の一部不履行→態様ごとに処理 a)一部履行遅滞 b)一部履行不能・一部履行拒絶 (2) 複数契約の解除: 密接に関連し一方の履行のみでは目的が達成されない場合は解除できる (判例) >・リゾートマンション売買・スポーツクラブ会員権売買 ・プール完成遅延 →両方の契約解除は可能? ⇒スポクラは解除可能、 マンションの解除の可否が問題、 密接に関連し目的達成不可 → 解除可 (3) 継続的契約:契約期間中継続する給付を目的とする契約(賃貸借契約が典型)
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図
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④ 解除権の発生障害 543 改): 債務不履行が債権者の責めに帰すべき事由による →541 、542解除不可 ⇒ 債務不履行一般に適用 (履行遅滞等も含む) 危険負担 536Ⅱは履行不能限定 ・帰責事由が債権者にある → 543 により 541 、542 解除不可 ・帰責事由が債務者にある → 541、542解除可 ・帰責事由が双方にない→541、542 解除可 解除権の消滅 ① 総説 (1) 趣旨: 解除権発生→解除の相手方は不安定な状態→解除の相手方保護 (2)解除権の消滅原因: ⅰ 民法の規定する特殊な消滅原因 : 547、 548 ⅱ 一般的な消滅原因 ② 民法の規定する特殊な消滅原因: 明文規定なし (1)547 解除権行使に期間の定めがない場合、 期間を定め解除の確答を催告 → 通知なければ消滅 (2)548 解除権者が故意過失により目的物を著しく損傷・変更・返還不能等(∵解除権放棄といえる) ⇒ 改) 解除権者が解除権を有することを知らなかったときは除く ∵ 解除権放棄がない ・ 価額償還可 -> (3)544Ⅱ 解除権者が複数 → 1人につて解除権消滅 他の者も消滅 ③ 一般的な消滅原因 (1) 債務不履行の解消 : 本来の給付+遅延賠償→解除権消滅 (2) 放棄: 予め解除権の放棄が可能 (判例) (3) 消滅時効 : 債務不履行時から10年 または 債権者が債務不履行の事実を知った時から5年 ※原状回復請求権及びその損害賠償請求権は解除時から5年で時効消滅 【解除の効果】 ① 総説 (1)条文 545: ・原状回復義務 I: :当事者はその相手方を原状に復させる義務を負う + 但し、 第三者保護 ・金銭返還 Ⅱ:受領の時から利息を付さなければならない ・金銭以外返還Ⅲ : 受領の時以後に生じた果実をも返還 ・損害賠償Ⅳ: 損害賠償の請求を妨げない (2) 法的性質 (短答で出る) ・直接効果説(判通): 解除の直接の効果として債権債務は遡及的に消滅 ・間接効果説: 債権債務存続 + 原状回復義務発生 →履行により契約上の債権債務消滅 (批判)原契約の消滅根拠 ・折衷説: 将来に向かって債権債務消滅 + 原状回復義務発生 →未履行は消滅・ 既履行は原状回復義務発生 (批判)理論的正当化根挻 ②解除の効果と遡及効 図 ⑴解除による遡及的復帰(判例) ・所有権移転(売主→買主):解除により所有権復帰(買主→売主) ・債権譲渡(譲渡人→譲受人 ):解除により当然復帰 (譲受人→譲渡人 ) ・更改契約 (旧債務消滅→新債務成立):解除により旧債務復活(新債務消滅 + 旧債務復活) ⑵ 不当利得返還義務 : 545 による原状回復義務は703、704 の特則 =全部返還義務 ※ 頻出 ∵善意者には「現存利益」の返還で足りる とする703は遡及効に反する →法的性質は不当利得返還債務・返還範囲は引渡した物全てに拡大 (703、704 と異なる) Q 契約によって発生した債権が解除以前に相殺に用いられた場合の処理 (1) 事例: 特定物売買 で買主が代金債務を売主への貸金債権と相殺→売主の引渡拒否により解除 (2) 問題の所在: 解除以前に行使された相殺の処理 (3) 判例: 相殺は無効 → 反対債権 (貸金債権) も復活 (4) 理由: 解除によりその債権は遡及的に無効 = 直接効果説 ③解除と第三者 (直接効果説) ・545 I但の趣旨:遡及効にからの第三者保護 ・解除前の第三者:545Ⅰ但により保護 ・解除後の第三者:対抗関係 (177 178により優劣 ) ※直接効果説では解除の前後で分ける (間接効果説・折衷說) ・545 I但の趣旨注意規定 ・解除前&解除後の第三者:対抗関係 (177 178 により優劣 ) . (1)545I但の第三者: 解除された契約から生じた法律効果を基礎として、 解除までに新たな権利を取得した者 ※論文で同じ内容を書けるように 〇(該当する者):契約に基づく給付の目的たる物または権利の譲受人・ 抵当権者・質権者・差押債権者・物の賃借人 × (該当しない者):解除により消滅する契約上の債権そのものの譲受人・転付債権者 差押債権者 ×第三者のためにする契約の受益者 ×借地契約が解除された場合の借地上の建物の借家人・ 抵当権者 ∵ 利害関係なし ×借地契約が解除された場合の借地上の建物の抵当権実行による買受人 ∵ 利害関係なし (2) 第三者の主観的要件: 善意・悪意は不問 ∵解除原因があっても解除するかは不明 (3) 対抗要件 判例: 対抗要件としての登記・引渡 通説: 権利保護要件としての登記・引渡 ④ 原状回復義務: 全部返還義務・不当利得返還請求の性質 (703 704 の特則) (1) 内容 ・原則: 給付対象そのものが存在していればその返還請求ができる (原物返還の原則) ・毀損・滅失の場合: 代償の返還を請求できる (価格返還義務) (2) 返還のポイント 545Ⅱ : 金銭返還には受領時から利息: 受領者が解除権者または解除の相手方であるかは不問 + 受領者の善意・悪意も不問 545Ⅲ: 金銭以外の物の返還で受領時以降に生じた果実: 使用利益も返還しなければならない (判例) ⑤損害賠償請求 (直接効果説) ・545ⅣVの趣旨:遡及効を制限し債権者を保護 ・損害賠償請求:債務が遡及的に消滅→ 債務不履行も消滅→ 545IVで遡及効を制限し請求できる (間接効果説・折衷説) ・545ⅣVの趣旨:当然の規定 ・損害賠償請求:債務は存続→債務不履行も存続→請求できる
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図
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1 贈与 ① 贈与 : ある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、 相手方が受諾をすることで効力を生ずる契約 (1) 条文 改) 549 贈与財産は贈与者の所有である必要はない (2) 性質 :無償・片務・諾成 (3) 成立: 贈与者 (=贈与した者) と受贈者 (=贈与された者) 間の合意により成立 ② 書面によらない贈与: 各当事者がいつでも解除できる。 但し、履行の終わった部分は除く (1) 条文:改) 550 改正前:撤回→改正後:解除 (2) 趣旨: 軽率な贈与及び後日の紛争の防止 (判例) (3) 履行の完了: 外形的行為の存在 → 動産:引渡 (占有改定含む) 不動産:引渡または登記(判例) ③ 効力: 贈与者が引渡義務・ 善管注意義務等を負う (1) 引渡義務 551I:改) 特定した時の状態で引渡または移転することを約したものと推定 ⇒ 売買における担保責任より軽減 (2) 善管注意義務等: 特定物贈与 400 自己の財産と同一の注意義務ではない (そこまでは注意義務は軽減されない) 不特定物贈与 401 I ④特殊の贈与契約 (1) 負担付贈与: 受贈者に一定の給付を負担させる贈与 (例)バイクあげるから民法教えて a) 担保責任 贈与者は負担の限度において売主と同じく担保責任を負う551Ⅱ b) 性質 無償・片務 →性質に反しない限り、有償・ 双務の規定が準用 553→533、536等 (2)定期贈与: 贈与者に継続的に一定の財産を負担させる贈与 (例) 親が毎月5万生活費支払う ⇒ 特約なき限り、贈与者または受贈者の死亡により効力を失う 552 ∵信頼関係に基づく (3)死因贈与: 贈与者の死亡を効力発生条件 (停止条件) とする贈与 (例) 死んだら土地をあげる a) 性質: 遺贈 (=遺言による財産の無償供与) に関する規定が準用 554 b)死因贈与と遺贈の比較 写真
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概要 B ① 売買 : 売主がある財産権を買主に移転することを約し、買主がその代金を支払うことを約する契約 ② 条文 : 555 ③性質: 有償・双務・諾成・ 不要式契約→売買は双務有償の典型(贈与は片務無償の典型) ④ 形態 (1) 基本 :財産権の移転とその代金支払いの合意 (売買成立)→履行 (例) 不動産売買 (2) 現実売買 :売買成立と物引渡 代金支払が同時に行われる売買 (例) コンビニで購入 → 民法上の売買との整合性が問題→学説錯綜(だが試験対策上無視) (3) 長期売買:継続的な取引となる売買 (例) 毎月購入 (4) 担保目的売買: 実質的には担保の設定となる売買 (例) 譲渡担保 (5) 他人物売買 : 他人の物に対する売買 →物権変動は生じないが債権的には有効 ■ 売買の成立 B+ ① 売買契約の成立要件 (1) 諾成契約: 売主と買主の意思表示の合致 →売買契約書の作成は成立要件ではない (2) 財産権の移転: 財産的価値+譲渡性のあるものの移転→〇他人物・将来取得する財産 (判例) (3) 代金支払 : 反対給付たる金銭→対価が金銭以外の物なら交換 ②売買の予約:当事者間に将来売買契約 (本契約) を生じさせる契約 →本契約(売買) の申込みをすれば相手方は承諾をしなければならない債務を負う契約 (1) 流れ: 売買の予約 本契約の申込 本契約(売買契約) が成立 (2) 予約完結権 : 一方的な意思表示によって予約を本契約にする権利 (3) 形態 a) 承諾の義務を経由: 相手方の承諾により本契約成立 + 相手方は承諾の義務あり (拒否は民執 174)(民法に規定なし) ・片務予約 一方のみが本契約を成立させる権利を有する ・双務予約:双方が本契約を成立させる権利を有する ⇒ 承諾の意思表示を求める裁判+履行請求の裁判 がほぼ必要になり二度手間 →ほぼ使わない b) 予約完結権の行使: 予約権利者の予約完結権行使により相手方の承諾不要で本契約成立 ・一方の予約 :予約完結権を当事者の一方のみが有する ・双方の予約 :予約完結権を当事者の一方のみが有する ⇒ 履行請求の裁判のみ必要 + 双方の予約≒ 売買契約成立 (4) 売買の一方の予約 556 ※双方の予約は≒売買契約成立なので規定なし a) I: 予約完結権を行使した時から売買の効力を生ずる b) Ⅱ:予約完結権の期間の定めがない・相当期間内の確答を催告→確答なければ効力を失う→実際には債権担保目的 ③売買契約に関する費用: 当事者双方が等しい割合で負担 558 (任意規定) ⇒ 履行に要した費用は債務者負担 485 (任意規定) 口 手付 ① 手付 : 契約締結の際に当事者の一方から他方に対して支払われる金銭等またはその原因となる契約 (1) 具体例 :不動産の売買契約成立: 買主が売主に対し手付として代金の1割を支払う (2) 法的性質 : 本契約に付随した従たる契約で別個独立の契約・要物契約 ※ 当事者の合意のほか、物の引き渡しなどの給付があって初めて成立する契約 (3) 種類: 目的に応じて分類 →証約手付、 解約手付、違約手付 (違約罰としての手付・損害賠償額の予定としての手付) ② 証約手付 : 契約を締結したことを示しその証拠という趣旨で交付される手付 →手付は常に (解約手付・違約手付の効果を持つ場合でも) 証約手付としての性質を有する ③解約手付 : 約定解除権を留保するという趣旨で交付される手付 (1) 条文:改) 557I (2) 解除の流れ: 本来、 解除には債務不履行が必要 解約手付交付により約定解除権を留保 ・手付流し: 交付した者(買主) が手付を放棄→解除できる ・手付倍返し : 交付を受けた者 (売主) が手付金額の倍額を買主に提供→解除できる (3) 解約手付の原則: 手付は解約手付と推定557 I ※宅地建物取引業者が手付を受領→ 常に解約手付& 代金の2割上限 (宅建業法39) (4) 手付解除の要件: 改) 売主からの手付解除は倍額を現実に提供 557 I ⇒ 買主が手付を受領しなくても手付解除できる (5)解除の制限: 解除の相手方が契約の履行に着手した後は解除できない 5571 a) 相手方 : 解除の相手方限定→自分は履行に着手 ・相手方は履行に着手してない= 解除可 b) 履行に着手 : 客観的に外部から認識し得る様な形で履行行為またはその前提行為をした場合 →○弁済の提供、他人物売買で他人の不動産を取得して登記、農地売買許可申請書を知事に提出 ④ 違約手付: 当事者が債務を履行しない場合の損害賠償としての趣旨で交付される手付 (1) 種類(2種類) ⅰ 違約罰としての手付 債務不履行の場合)違約金として没収 趣旨)損害賠償とは別に違約金がとれる ⅱ 損害賠償額の予定としての手付 債務不履行の場合) ・交付した者→ 没収 ・交付された者→倍額返還 ⇒損害賠償を請求しない 趣旨) 損害賠償額が手付の額に制限 (2)他の手付との関係 a) 違約罰と損害賠償額の予定との関係: 違約手付は損害賠償の予定として推定420Ⅲ b) 解約手付との関係: 違約手付かつ解約手付との認定 →当事者の合意により可能 (判例) ⑤ 内金: 後日売買代金の一部に充当する趣旨で交付される金銭 →代金の一部前払い →証約手付・解約手付 違約手付の性質がない (1) 手付との比較 内金 割合 主に、 代金の3割~5割 交付時期 主に、契約締結後 法的性質 代金の一部前払い 手付 割合 主に、 代金の1割~2割 交付時期 主に、契約締結時 法的性質 代金とは別 →実務上は履行着手後代金組込 or 相殺 (2) 手付の別称: 手金・内金・約定金・保証金(判例) → 名前と中身が一致しない場合あり→手付と内金の違いは解釈によって決める→試験では名称ではなく実体で判断する ⑥損害賠償:解約手付による解除の場合は、545Ⅳは適用されない557Ⅱ
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① 総説: 555 及び第二款売買の効力 560~578で規定 【売主の義務】 1.財産権移転義務 2.果実の帰属 3.他人物の売主の責任 4. 担保責任 【買主の義務】 1.代金支払義務 2.受領義務・引取義務 ② 財産権移転義務: 売買の目的である財産権を買主に完全に移転する義務 555 (1)権利を移転させる (例)所有権を買主に移転させる a) 他人の権利を目的: 他人の権利を取得して買主に移転 561 b) 目的に従たる権利: 従たる権利も移転 (判例) 借地上の建物の売買 借地権移転も (2) 対抗要件具備させる 560 ・不動産: 登記 177 ・動産 : 引渡 178 ・債権 :確定日付のある証書による通知または承諾467 (3) 引渡義務:占有を移転させる (例) 建物売買→建物引渡し ( × 対抗要件) ⇒ 従物も引渡義務あり 87Ⅱ (4) 権利移転に必要な行為をする義務 (例)賃借権売買の 賃貸人の承諾 612、 農地売買で農業委員会の許可 ③果実の帰属 (1) 果実収取権の原則 : 89 ・天然果実: 元物から分離する時に収取する権利を有する者に帰属 (分離主義) ・法定果実 : 収取権者が権利の存続期間に応じて日割で収取(前権利者と現権利者とで日割り計算する) (2) 売買の場合の特則: 575 【果実収取権】 ・物引渡前:売主 575Ⅰ ・判例:・引渡義務遅滞中も同様 ・代金支払後は買主 ・物引渡後: 買主 【買主の利息支払義務】 ・物引渡前: なし ・判例: 代金支払義務遅滞中も物引渡前なら同様 ・物引渡後: あり 575 Ⅱ (3)575の趣旨: 複雑な権利関係を簡単かつ画一的に解決 ⇒ (果実-管理費=利息)とかんがえる → 売主は物引渡まで果実取得+管理費負担、買主は利息支払不要 ※別紙図参照 ④ 他人物の売主の責任:改) 561 (1) 権利取得義務 : 売主は目的物の所有権を取得して買主に権利を移転させる義務を負う 561 ⇒所有権移転は原始的に不能(物権変動は生じない) + 契約は有効 (2) 目的物: 特定物売買に限定561→担保責任は目的物の限定なし →不特定物の場合:即時取得 192類推適用等 (3) 債務不履行の場合: 他人物の買主に対し債務不履行責任 (415・541・542)を負う →買主の悪意・売主の無過失により当然には免れない ∵ (改正前)売主に属しないと知っていれば損害賠償不可 (改正後)削除 (4) 売主を所有者が単独相続した場合:≒無権代理人を本人が単独相続→所有者は追認拒絶可 ( 判例) (5) 改正民法での他人物売買 ・買主に権利の全部を移転しない場合 → 債務不履行 ・不完全な履行がされた場合 → 担保責任 □ 担保責任 ① 総説 (1)担保責任: 有償契約において、 給付対象が契約の内容に適合しない場合に一方当事者が負担する責任 (例) 中古車の売買契約→ 中古車引渡 →中古車に欠陥→担保責任 (2) 内容 : 契約不適合 →追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求、契約の解除 (3) 条文構造: 目的物の契約不適合 562~564→権利の契約不適合について準用 条文構造の図:添付写真 ⑷法的性質 法定責任説(旧民法) (担保責任の意義)法が特に定めた法定責任 (根拠)旧 483 特定物引渡は 「この物」 の引渡→有償契約における買主保護が必要→不公平の是正と等価的均衡が必要 (帰結)特定物売買に限り適用・(契約成立前か存在する)原始的瑕疵に限り適用 ※後発的瑕疵は400条の問題 契約責任說(現民法) (担保責任の意義)債務不履行の特則 (根拠)現483:引渡は 「まともな物」 の引渡→債務不履行だが 566Ⅲ (帰結) ・特定物も不特定物も適用 ・原始的瑕疵も後発的瑕疵も適用 ※「まともな物」を引き渡していないのだから、特定物であろうと不特定物であろうと、原始的瑕疵であろうと後発的瑕疵であろうと562〜の責任を負う ⑸改正のポイント (改正前) 適用場面: 隠れた瑕疵がある (瑕疵担保責任) ・隠れた 善意無過失 ・瑕疵:通常有すべき性能・性質を欠いている 用語:隠れた瑕疵・瑕疵担保責任・担保責任 帰結:「隠れた」 が必要 (改正後) 適用場面: 引渡された目的物が種類・品質・数量に関して、契約の内容に適合しない(契約不適合) 用語:(瑕疵等→契約不適合・担保責任) 帰結:「隠れた」 は不要 ② 目的物の契約不適合 (1) 意義 : 引渡された目的物が種類・品質・数量に関して、 契約の内容に適合しない = 契約不適合 a) 条文: 562 I b) 引渡された目的物 :特定物・不特定物 •隠れた等での限定はない( 契約責任説) ⇒ 引渡されたことは必要。引渡しがなければ単なる債務不履行 c)種類・品質 ・環境的瑕疵: 含まれる (判例) (例) 建物の近くに暴力団事務所 ・心理的瑕疵: 含まれる (判例) (例) 建物に自殺来歴がある ・法律的瑕疵: 含まれる(判例) (例) 都市計画法上の用途制限・建築基準法上の建築制限 d) 数量 ・改正前: 数量不足 = 瑕疵担保の場面ではなく権利の瑕疵と考えられていた→財産権欠缺(権利の瑕疵) ・改正後: 目的物の契約不適合 ↓ 改正後の「目的物の契約不適合」は改正前の瑕疵及び数量不足・一部滅失も包摂する e) 契約の内容に適合しない Q瑕疵の有無の基準 (1) 問題の所在: 「通常有すべき性能・性質」 は何を基準とするか ≒ 契約不適合の基準 (2) 事例: 土地を売買→契約締結時の基準では問題なし右手契約締結後の規制基準に関して、基準値を超えるフッ素が含有 (3) 学説 【客観説】 ・瑕疵の基準: 契約内容から切り離して、 通常有すべき性能・性質を有するか否かを基準 結論:肯定 【主観説】 ・瑕疵の基準: 契約締結時の取引観念上え当事者間に予定されていた性質・性能を有するかを基準 結論:否定 (4) 判例: 主観説→瑕疵否定 Q 土地賃借権付建物売買において敷地に物理的欠陥がある場合の瑕疵担保責任の有無 (1) 事例:土地賃借権付建物売買→敷地に物理的欠陥あり→ 買主が売主に対し責任追及できるか ※売主に対する責任追求の場面であって地主に対してではない (2)問題の所在: 売買の目的物 = 建物 + 土地賃借権 → 土地自体は売買の目的ではない (3) 判例: 売主への担保責任追及は不可 (4) 理由: 建物に瑕疵なし + 賃借権にも瑕疵なし (土地自体にはあるが権利には瑕疵なし) ・賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき ・債権の売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではない → 売主は地主に対して修繕義務の履行請求や賃貸借契約の瑕疵担保責任を追及しうる ③ 効果 目的物の契約不適合がある→買主の救済 (1)追完請求権: 目的物の修補、代替物の引渡、不足分の引渡 を請求できる a) 条文: 562 ∵ 債務 b) 追完方法の選択権: 原則、買主に第一次的な選択権あり ・例外 ・売主の追完権(562Ⅰ但):買主に不相当な負担を課すものでない→売主の提供する追完方法が優先 ・帰責事由:買主に帰責事由 → 追完請求不可 (売主の帰責事由は追完請求の要件ではない) (2)代金減額請求権: 不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる a) 条文: 563改) b) 法的性質 : 形成権→程度(割合)に応じて減額できる (例) 土地 (評価額1000万)を1500万で売買→瑕疵で評価額800万→割合 4/5 で300万減額 c)要件: 目的物の契約不適合 ・原則:相当期間を定めて追完の催告 →相当期間経過 ⇒ 追完請求の優位性を意味 ・例外: 追完不能・拒絶明確・定期行為・見込なし= 催告不要⇒ 催告が無意味 d) 帰責事由: 買主に帰責事由→代金減額請求不可 (売主の帰責事由は追完請求の要件ではない) (3)損害賠償請求権•解除権: 追完請求代金減額請求によって妨げられない 564 ・損害賠償請求権→415、416により規律 ・解除権:→540以下で規律 (4)相互の関係 ・追完請求権&代金減額請求権 →追完請求権が優位 563I追完請求後に代金減額請求可 ・追完請求権&損害賠償請求権 →追完請求権が優位 415Ⅱ参一原則、 追完請求後に損害賠償請求可 ・代金減額請求権&損害賠償請求権・解除権 →原則、 代金減額請求をした場合は損害賠償請求・解除は不可 ・損害賠償請求権&解除権 →損害金を受け取らない間は解除権は失われない(損害金を受け取ったら解除はできない) 5)期間制限: 566 改) a) 内容: 種類または品質に契約不適合 + 買主が知った時から1年以内に通知しない →(1)~(3) 不可 ⇒不適合を知った買主に通知義務あり + 通知懈怠による失権効を認める b) 趣旨: 売主の期待保護 + 法律関係の早期安定 c) 始期: 不適合を知った時 ※旧判例の「担保責任を追及しうる程度に確実な事実を認識した時」までは認められていない d)例外: 売主が引渡しの時に契約不適合について悪意または善意重過失→不適用 e) 時効: 消滅時効適用= 客観的起算点(引渡時)から10年・主観的起算点(不適合を知った時)から5年 f)数量: 566 不適用 ∵ 数量が足りないことは明白 → 売主も履行が終了したとは考えないので趣旨が妥当しない→消滅時効適用のみ ④ 移転した権利の契約不適合 (1) 意義: 移転した権利の契約不適合・権利の一部が他人に属する場合にその権利の一部を移転しない (2) 条文 565 改) (3) 具体例 a) 移転した権利が契約不適合 = 権利自体は移転→権利が制限されている ・担保物権による制限: 売買目的物に 留置権、質権 、抵当権の負担あった ・用益的権利による制限・不存在 : 売買目的物に賃借権・地役権等の負担があった・地役権の不存在 b) 一部が他人に属する場合 : 権利は移転 → 一部が移転していない (例) 土地の売買→ 土地の一部が他人の所有 →他人物について移転できない ※【重要】 全部が他人物の場合は債務不履行415 (4) 効果: 追完請求権 562 、代金減額請求権 563、 損害賠償請求権・解除権 564 a) 改正ポイント ・買主の主観的要件は不要 ∵契約不適合 ・他人物売買における善意の売主の解除権削除 ∵561 b) 費用償還請求権 570 要件 : 不動産に先取特権・質権・抵当権が存在 + 買主が費用支出して所有権保存 具体例: 第三者弁済 ・代価弁済・抵当権消滅請求 効果: 買主は売主に費用の償還請求可 (5) 期間制限: 消滅時効適用→主観的起算点から5年、客観的起算点から10年 →566の適用なし (改正後規定削除) ∵566の趣旨
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(1) 果実収取権の原則 : 89 ・天然果実: 元物から分離する時に収取する権利を有する者に帰属 (分離主義) ・法定果実 : 収取権者が権利の存続期間に応じて日割で収取(前権利者と現権利者とで日割り計算する) (2) 売買の場合の特則: 575 【果実収取権】 ・物引渡前:売主 575Ⅰ ・判例:・引渡義務遅滞中も同様 ・代金支払後は買主 ・物引渡後: 買主 【買主の利息支払義務】 ・物引渡前: なし ・判例: 代金支払義務遅滞中も物引渡前なら同様 ・物引渡後: あり 575 Ⅱ (3)575の趣旨: 複雑な権利関係を簡単かつ画一的に解決 ⇒ (果実-管理費=利息)とかんがえる → 売主は物引渡まで果実取得+管理費負担、買主は利息支払不要 ※別紙図参照 ※売買契約成立時点で建物所有権は買主に移転→89条からすると、果実収取権は買主→一方で、買主は売買契約成立時点から売買代金に利息が発生。また、管理費は所有者たる買主の負担。 →そう考えると権利関係が複雑 →(果実-管理費=利息)と考えてシンプルに処理:引き渡し前は売主が果実を収取、物引渡し後は買主が利息を払うこととしている
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① 危険の移転 ・引渡前に契約不適合: 契約不適合→ 担保責任追及可 ・引渡後に滅失・損傷: 567 I ・受領遅滞による危険の移転 : 567Ⅱ (1) 条文 : 567 改)→危険負担 536の特則 (2) 567 I 引渡し後に、 ⅰ 双方の帰責事由なし、または ⅱ買主の帰責事由ありだが売主の帰責事由なし であれば買主は担保責任を追求できない (3) 567Ⅱ: 受領遅滞後、当事者双方の帰責事由なしで滅失・損傷の場合は567Ⅰと同じ処理 (4) 目的物: 特定物売買・不特定物売買で目的物が特定されていることが必要 ② 競売における担保責任 568改(条文一読) ③債権の売主の担保責任: 569 ・債権の存在自体に不適合: 担保責任追及可 565 (例) 担保なし 質権等の目的 ・債務者無資力:担保責任追及不可(基本的に担保責任の場面ではない) →資力を担保する特約がある場合について569が規定 (1) 売主が資力を担保と特約に記載I →契約時の資力を担保したと推定 →契約締結後の資力は担保されない (契約締結後に債務者が無資力になっても売主の責任は問われない) (2) 売主が将来の資力を担保と特約に記載Ⅱ → 弁済期の資力を担保したと推定 → 売主が債務者に代わって弁済 (契約締結後に債務者が無資力になったら売主が担保責任を負い支払義務を負う) ④ 免責特約 : 担保責任を負わない旨の特約 572 (1) 原則: 任意規定→免責特約は原則として有効 (2) 例外: 572→信義則上、 特約は無効 ・売主が契約不適合を知りながら告げなかった事実 ・売主が第三者のために設定しまたは第三者に譲渡した権利 例:不動産売買の場合で、売主が第三者のために地上権を設定した場合(売主が自ら瑕疵を作り出しているようなもの) ロ 買主の義務 ① 代金支払義務 555: 売主の財産権移転義務に対応・買主の中心的義務 (1)支払時期: 目的物引渡に期限→支払にも同一の期限を付したと推定573 (2) 支払場所: 持参債務の原則 484 I 売買の特則: 引渡と同時に代金支払 → 引渡場所において支払 574 (3) 代金利息 : 買主は引渡の日から代金の利息を支払う義務を負う 575Ⅱ 買主が代金の支払いを遅滞している場合であっても、引渡しを受けない限り利息を支払う義務なし ②受領義務・引取義務 事案に応じて総合考慮 ③ 代金支払拒絶権 576 577 改) (1)576: 権利主張その他の事由により権利を取得できない又は失うおそれ→ 代金支払拒絶可 a) 改正ポイント :その他の事由=権利主張以外の場面も可・失うおそれ=合理的根拠要請・供託請求 b) 売主の対抗手段: • 担保提供→拒絶不可 •供託請求 578 (2) 577: 買受けた不動産に抵当権の登記がある→抵当権消滅請求が終わるまで代金支払拒絶可 ⇒ 代金債権と抵当権消滅請求による費用償還請求を相殺 570 a) 改正ポイント :契約内容に適合しない抵当権に限定 b) 売主の対抗手段: 抵当権消滅請求をすべき旨の請求・供託請求可 c)準用 :先取特権・質権 3 交換 ①交換: 当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約すことによって効力を生ずる契約 ② 条文 : 586 ③法的性質: 有償・ 双務・諾成・不要式 ⇒売買の規定を準用 559 等
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①交換: 当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約すことによって効力を生ずる契約 ② 条文 : 586 ③法的性質: 有償・ 双務・諾成・不要式 ⇒売買の規定を準用 559 等
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① 消費貸借 : 借主が種類・品質・数量の同じ物を返還することを約し貸主から受取ることで成立する契約 ・消費貸借 :借りた物を消費→別の同一の物を返還 (例) 砂糖の貸し借り 金銭消費貸借 ・使用貸借: 借りた物を使用→借りた物自体を返還 (例) 自転車の貸し借り (1) 種類: 消費貸借 (広義) ・要物契約としての消費貸借:交付により成立 587 ⇒貸主:債務なし、 借主: 返還債務 ・諾成的消費貸借: 書面により成立 587の2I ⇒ 貸主:貸す債務、 借主: 返還債務 (2) 法的性質 写真 ②成立 ・要物契約としての消費貸借: 合意 +目的物の授受 ・諾成的消費貸借: 合意 + 合意についての書面 (電磁的記録可 587 の2Ⅳ) ③効力 (1) 貸主 ・貸す債務: 諾成的消費貸借→あり 要物契約としての消費貸借→なし ・利息請求権 : 原則、 不可 (遅延利息は可能) →特約あれば目的物を受け取った日以後の利息可 589 ・担保責任 : 債務不履行責任 →原則:贈与者の規定(551)・利息付:売買の規定 590 (2) 借主 ・目的物返還義務 :種類・品質・数量の同じ物 ・価額返還請求権 : 交付した物に契約不適合 (利息不問)→価額の返還請求可 590Ⅱ 現物返還が困難 ・価額償還責任: 借主が返還不可→価額償還義務を負う ④ 終了 (1) 消費貸借 (広義) 共通 ・返還時期の定めがある :返還時期の到来→412 ・返還時期の定めがない : 相当期間を定めて返還の催告→期間経過 591 I ∵返還準備期間が必要 ◇ 591 の催告の際に相当期間を定めないまたは期間が相当でない⇒相当期間経過後に終了 (2) 期限前弁済 591Ⅱ・Ⅲ改) 改正ポイント一詳細を明文化 Ⅱ: 借主は返還時期の定めの有無に関わらずいつでも返還できる Ⅲ: 借主が返還時期の定めがある場合に期限前弁済により貸主が損害を受けた →貸主は賠償請求可 ※利息が取れなかった場合などが典型 (3) 目的物授受前の終了: 諾成的消費貸借の場合に限定587の2 ∵ 要物契約ではあり得ない a) 借主解除: 借主は貸主から目的物を受け取るまで、解除可Ⅱ ・借主: 受領義務なし ・受領まで利息支払義務なし ・貸主: 損害を受けた時 →借主に損害賠償請求可 b) 破産:当事者の一方 (借主 ∵ 返済困難)(貸主∵ 破産手続が煩雑化) が破産手続開始決定→解除可Ⅱ ⑤ 準消費貸借: 物の給付義務を負う者がある場合に当事者がその物を消費貸借の目的と約する契約 (例) 売買契約成立 →物引渡履行・支払遅滞 → 代金債権を消費貸借の目的として改めて契約 ⇒ 形式的には消費貸借 + 消費貸借の目的物の引渡しがない (1) 条文 : 588 改) → 準消費貸借成立は消費貸借成立とみなす ・改正ポイント:「 消費貸借によらないで」という文言を削除∵判例との整合 (例) 複数の消費貸借を旧債務として準消費貸借とすることも可能であることを明文化 (2) 要件: 旧債務の損害 + 当事者間の合意 (3) 法的性質: 諾成契約・不要式契約 (4) 効力: 旧債務は消滅・新債務が発生 ◇ 旧債務についての担保: 消滅せず新債務を担保 ◇ 旧債務についての抗弁: 新債務について行使を認める ◇旧債務についての消滅時効期間: 旧債務でなく準消費貸借を基準
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図 準消費貸借契約をする理由 →代金債権者が損害賠償請求する気はなく、利息などを新たに定めたいというときに使える
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① 使用貸借: 借主が貸主から目的物を無償で借りて使用収益し、後にその目的物を貸主に返還する契約 (例) 自転車の貸し借り ・消費貸借: 借りた物を消費→別の同一の物を返還 (例) 砂糖の貸し借り ・金銭消費貸借 ・使用貸借: 借りた物を使用→借りた物自体を返還 (1) 条文 : 593 改) ・改正ポイント: 改正前:要物契約→ 改正後:諾成契約 ∵契約の拘束力付与の必要性(合意を守らせるため) (2) 法的性質: 無償・片務・諾成・不要式 (3)賃貸借との比較 【使用貸借】 法的性質:無償・片務 ※無償がポイント 対抗力:なし 修繕義務:なし 費用負担:借主負担(通常の必要費)595 I 担保責任:贈与の規定が準用 596、 551 借主の死亡:契約終了 597Ⅲ 存続期間の定め:なし 【賃貸借契約】 法的性質:有償・双務 対抗力:あり 修繕義務:あり 費用負担:賃貸人負担 担保責任:あり 借主の死亡:契約存続 存続期間の定め:最長50年 ②成立 :貸主と借主の合意により成立 (1) 賃貸借との区別: 使用収益の対価といえる給付の有無 →賃貸借: 借地借家、使用貸借 : なし (2)書面: 593の2改) 書面によらない使用貸借 : 目的物受取りまでは貸主は解除可 書面による使用貸借:上記解除なし ③効力 (1) 貸主 目的物引渡義務: 特定した時 (契約時) の状態での引渡義務を推定 596 善管注意義務:契約時から引渡時まで 担保責任: 贈与の規定を準用 596 (2) 借主 使用収益権+用法遵守義務 594I 無断譲渡転貸禁止 594Ⅱ 善管注意義務 400: 引渡時から返還時まで 費用負担:通常の必要費を負担(固定資産税など)→ 特別な必要費(台風で屋根修繕など)・有益費(トイレを最新設備になど)は貸主に償還請求可 595 目的物返還義務 593 収去義務・収去権 599ⅠⅡ改) 受取後附属させた物の収去は権利かつ義務。 不可・過分な費用は除く 原状回復義務 599Ⅲ改) 受取後の損傷を原状に復する義務。 借主に帰責事由なしの場合は除く (3) 借主の義務違反 a)期間制限 600I: 貸主の損害賠償・借主の費用償還請求 → 貸主が返還を受けた時から1年以内に制限 b) 時効猶予 600Ⅱ:改) 600Iの請求は貸主が返還を受けた時から1年経過するまで時効は完成しない c) 解除規定 594Ⅲ 用法遵守義務違反・無断譲渡転貸義務違反→貸主は契約解除可 (4)第三者: 使用貸借の借主は第三者に対抗不可 →貸主が目的物を第三者に賃貸・譲渡 +第三者が対抗要件具備→借主は使用借権対抗不可 ※賃貸借は第三者に対抗可 ④終了 ・当然終了: 期間満了または目的達成 597Ⅰ Ⅱ、借主死亡 597 III ∵ 信頼関係。 但し配偶者短期居住権 ・解除: 貸主による解除・借主による解除 (1) 貸主による解除 a)受取前の解除: 593の2 b) 期間の定めがない 598 改) 使用及び収益の目的の定めが、 ・ある場合: 目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間の経過により解除可 598I ・ない場合: いつでも解除可 598Ⅱ (2) 借主による解除: いつでも解除可 598Ⅲ
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賃貸借総説 ①賃貸借 賃貸人が物の使用・収益を賃借人にさせることを約し賃借人が賃料支払・ 返還を約する契約 ·賃貸人(貸主): 目的物の使用及び収益をさせる義務 ·賃借人 (借主): 賃料支払義務 + 契約終了時の目的物返還義務 (1) 条文 : 601 改) 改正ポイント: 目的物返還義務の明文化 (2) 事例: アパートの一室を賃料払って借りる ・自動車をレンタカー代払って借りる (3) 性質: 有償・双務・諾成不要式 ② 賃貸借と他の権利との比較 (1) 賃貸借と使用貸借( 既出) (2) 不動産賃借権と地上権の比較 【地上権】 法的性質:物権 賃料:任意 対抗力:登記可能(応じない場合登記請求権あり) 存続期間:上限なし(永久可能)(定めない場合20年以上50年以下268Ⅱ) 譲渡・転貸:自由 【不動産賃借権】 法的性質:債権 賃料:あり(対価と言えなければ賃貸借ではない) 対抗力:登記可能605(応じない場合登記請求権なし) 存続期間:50年以下上限なし(定めない場合、解約申し入れ可617Ⅰ) 譲渡・転貸:貸主の承諾必要 612Ⅰ ⇒ 建物所有目的の地上権と建物所有目的の土地賃借権は共に借地権として同様に扱う (借地借家) ③賃貸借の特徴 (1) 借地借家法 : 借地及び借家に関する民法の特別法⇒ 不動産賃貸借の大部分に適用 a) 適用対象 : 借地権 (建物所有目的の地上権又は土地賃借権) + 建物賃貸借 (借地借家1) b) 趣旨: 賃借人保護 (2) 継続的契約: 長期間継続される予定の契約⇔ 1回的契約(売買等) ⇒ 信頼関係を前提としそれを尊重 →契約の終了で問題 (3) 賃貸借の物権化 :賃貸借は債権ではあるが物権の様な効力を有する a) 不動産賃借権の対抗力: 原則、賃貸目的物の新所有者は賃借人に対して優先する∵賃貸借は債権 しかし、以下で不動産賃借権を対抗可 ⅰ 不動産賃借権の登記を備えた場合605 ⅱ 借地の場合に借地上に登記した建物を所有する場合(借10 I) ⅲ 借家の場合にその借家の引渡しを受けた場合(借31I) ⇒ 建物賃貸借: 賃借権登記・ 引渡し 土地賃貸借: 賃借権登記・建物所有権登記 で対抗できる ・対抗できる相手: 不動産を差押えた者 、二重に賃借した者、入居後に登記した者 ・対抗できない相手: 入居前に登記した者、 入居後に入居前に設定した抵当権を実行した者 b) 権利侵害の第三者への請求 605の4改) ・対抗要件具備の不動産賃借人→第三者に妨害停止請求・返還請求可 ・不動産賃借人→損害賠償請求可 (対抗要件なくても損害賠償請求はできる) c) 処分可能性 原則: 賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要 612 I 例外: 特段の事情、 裁判所の許可 (借地借家 19) d)存続期間: ・ 50年上限→借地借家適用→借地権上限なし ・借家権1年未満は期間の定めなし □ 賃貸借の成立 ①賃貸借成立の要件: 賃貸目的物の使用収益 + 賃料支払及び返還→意思表示の合致 601 (1)賃貸の対象 :物 →動産 、不動産 (2) 時効取得:賃借権は時効取得可 163 (例:無権利者から賃借して時効期間経過) (3) 他人物賃貸借: 有効 559、 561 ②短期賃貸借 処分権を有しない者 (管理権はある) ができる範囲の賃貸借 ∵ 長期賃貸借=処分行為 (1) 条文 : 602 改 ) ⇒「とうごうさんろく」と覚える ⅰ樹木の栽植伐採目的の山林の賃貸借:10年 ⅱ上記以外の土地の賃貸借:5年 ⅲ建物の賃貸借:3年 ⅳ動産の賃貸借:6ヶ月 (2) 処分権を有しない者: 権限の定めのない代理人 103 、後見監督人がある場合の後見人 864 、各種財産管理人 (改正ポイント): 改正前:「行為能力の制限を受けた者」 → 改正後:削除 (3) 違反の効果: 超える部分について無効 → 強行規定 ※後見人の場合:取消可 865Ⅰ 後見人以外:無権代理 (4) 更新 603: 更新可 ⇒ 期間満了の土地 1年以内、建物-3か月以内、動産-1か月以内に更新する必要 ③ 存続期間制限 604改) :上限50年(超えた場合は50年 永小作権を参照) (1) 更新:可。但し、更新時から上限50年 (2) 借地・借家: 借地借家法により修正
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賃貸借の当事者間の) 効力 § 賃貸人の権利義務 ① 使用収益供与義務 601 :使用・収益させる義務。 賃貸人の中心的義務 ⇒ 目的物引渡義務 + 第三者による使用収益の妨害排除義務 ② 修繕義務 606改) 目的物の使用・収益に必要な修繕をする義務 (1)改正ポイント: 例外一賃借人に帰責事由がある場合は負わない 公平 (2) 保存行為受忍義務 賃借人の義務 賃借人の意思に反しかつ目的達成不可なら契約解除可 607 例:エアコンの修繕工事で2,3ヶ月家が使えなくなるような場合 (3) 修繕権限 a) 原則: 賃貸人のみ ∵所有権への干渉 b) 例外: 「通知 615または悪意+相当期間経過」 「急迫の事情」→賃借人も可 607の2改) ⇒ 必要費償還請求権 608Ⅰ 発生 + 修繕部分の原状回復義務の不発生 (4) 不履行 611改) 使用収益不可 → 賃借人に帰責性無しなら割合に応じて当然に減額 + 目的達成不可なら解除可 ・改正ポイント ⅰ改正前:滅失した場合 →改正後:使用収益できなくなった場合一般 ⅱ改正前:減額請求可 →改正後:当然に減額(請求不要) ⅲ改正前:解除は賃借人過失有りなら不可→改正後:解除に帰責事由は不問 ∵ 目的を達成できないなら解除可能 (5) 法的性質 任意規定 ③費用償還義務 608: 賃借人が賃借物について支出した費用を償還する義務 ・必要費: 直ちに (=費用の支出と同時に) 償還請求可 (例) 割れたガラス・畳の入替 ・有益費 賃貸借の終了の時に償還請求可。 裁判所の期限許与可 (例) エアコン設置・畳からフローリング (1) 請求権行使 賃借人は賃貸人が返還を受けた時から1年以内に行使が必要 600I.622 ⇒ 留置権・先取特権も行使しうる ※ 裁判所の期限の許与があれば弁済期でないので留置権主張不可 ※ 賃貸借契約解除→ 不法に占有→有益費支出 ⇒ 留置権不可 ④担保責任:売買に関する規定を準用559 ⇒ 損害賠償請求・解除・ 追完請求・ 賃料減額請求可 § 賃借人の権利義務 ① 目的物返還義務 601: 契約終了時に賃借物を返還する義務 ※賃借人の中心的義務として明文化 ② 賃料支払義務 601: 使用収益の対価としての賃料を支払う義務 ※賃借人の中心的義務 (1) 賃料: 対価性が必要・金銭以外も可・不明確の場合は相当額を約したとみなし裁判所が決定(判例) ※ 謝礼のみの支払いでは対価性無くり賃料ではない (2) 支払時期 614:任意規定 ・動産・建物・宅地:毎月末 ・上記以外の土地: 毎年末 ・収穫の季節があるもの:その季節の後に遅滞なく (3) 賃料支払拒絶権: 他人物賃貸借において所有者が権利を主張→ 賃料支払拒絶可 559・ 576 (判例) (4) 減額請求 609 改) 耕作又は牧畜目的の土地賃借人が不可抗力で賃料より少ない収益→減額請求可→ 2年以上継続 → 賃借人は解除可 610 ・改正ポイント: 改正前一宅地を除く収益目的の土地 (5) 使用収益不可による減額請求: 611 改正後一耕作又は牧畜目的の土地 ③ 敷金支払義務 622の2改) (1) 敷金: 賃貸借に基づいて生ずる賃借人の金銭債務を担保する目的で賃貸人に交付する金銭 (例) アパート賃貸契約で敷金1ヶ月分を交付→退去時に原状回復費用を控除して返還⇒名目は問わない ◯保証金(返還される)・×礼金(返還されない) a) 法的性質 停止条件付返還債務を伴う金銭所有権の移転 b) 担保される債務 = 賃料債務・原状回復費用・賃貸終了後の賃貸物返還までの賃料相当額・損賠等 (2) 敷金返還債務 = 賃貸人は賃借人に対し敷金を返還する債務 a) 敷金返還債務の発生要件 ・賃貸借が終了し、かつ、 賃貸物の返還を受けたとき (明渡時説の採用) ・賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき b) 返還範囲: 賃借人の債務額を控除した残額 Q敷金返還債務と明渡義務との同時履行の有無 A 同時履行でない=明渡先履行 (判例) c) 債務への充当:賃貸人は敷金を債務の弁済に充当可→賃借人に充当請求権なし 622の2Ⅱ (3) 判例 信義則・消費者契 a) 敷引特約 : 未払債務がなくても敷金の一定金額を返還しないことを予め約しておく敷金契約の特則 (判例) 金額が高額すぎると評価すべき場合、特段の事情のない限り無効 ∵信義則、消費者契約法10条違反 b) 更新料条項: 賃貸借契約更新時に賃貸人に対し一定の金銭を支払う条項 (判例)金額が高額すぎる等の特段の事情のない限り有効 ∵ 信義則 ④ 通知義務 615 :修繕を要する権利主張者あり→賃貸人に通知する義務。 但し賃貸人悪意ならなし ⑤用法遵守義務 594Ⅰ・616≒ 使用貸借と同様 ⑥ 善管注意義務 400: 具体的内容は契約の解釈による ⑦ 保存行為受忍義務 606 Ⅱ ⑧ 原状回復義務 621改 ・原則: 通常損耗 (通常の使用収益により生じた損耗) 及び経年変化以外の損傷→義務あり ・例外: 賃借人の帰責事由によらない上記損傷→義務なし (改正ポイント) 原状回復義務を負う場合の明確化→賃借人保護 ⑨収去義務・収去権 599・622 (使用貸借の規定の準用) ・収去義務: 賃借人が附属させた物を収去する義務。但し、収去不能・過分の費用 →負わない 収去権: 賃借人が附属させた物を収去できる権利。但し、収去不能 →費用償還請求 図参照 ※ 中間の例:庭付き建物を借りて庭に石垣をつくった
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§ 他人物賃貸借の法律関係 ① 他人物賃貸借の当事者間の効力: 賃貸借契約は(当事者間では) 有効 559,561 ・使用収益供与義務: 賃貸人は賃借人に対して負う→他人物の引渡は有効な履行 ・賃料支払義務: 賃借人は賃貸人に対して負う → 賃料支払は有効な弁済 (判例)賃貸借の成立を主張する者は賃貸物が賃貸人の所有物であることの主張・立証は不要 (1)所有者からの明渡請求: 賃借人は拒絶不可→賃料支払拒絶権が認められる 559、 576 (2) 賃借物の使用収益不可: 賃貸借契約終了・ 債務不履行による損害賠償請求 ②所有者による他人物賃貸借の当事者への請求 (1) 他人物賃貸人: 賃料の不当利得返還請求・ 不法行為に基づく損害賠償請求 709 ・善意: 賃料返還義務なし189Ⅰ(善意占有者は果実を取得) 但し有過失は709 ・悪意 : 賃料返還義務あり : 190 I (2)他人物賃借人: 明渡請求 ・ 賃料相当額の不当利得返還請求 (189 I不適用) 709 賃貸借の終了 ①賃貸借の終了原因 ⅰ期間の定めがある場合の賃貸借の終了ⅱ期限の定めがない場合の賃貸借の終了 ⅲ解除による賃貸借の終了 ⅳその他の事由による賃貸借の終了 ②ⅰ期間の定めがある場合の賃貸借の終了 (1)期間の満了により終了622、597 I: 借地借家法による修正あり (2)解除権留保→ 解除権行使により終了 618 : 借地借家法は認めていない (3) 黙示の更新 解約申入により終了 619 : 借地借家法による修正あり ③ⅱ期間の定めがない場合の賃貸借の終了: 解約申入(いつでも可) + 一定期間経過→終了 617 土地の賃貸借 1年 建物の賃貸借 3 ヶ月 動産及び貸席の賃貸借 1日 ④ⅲ 解除による賃貸借の終了[頻出] (1)解除原因 :保存行為 607、減収 610、滅失 611 Ⅱ 、無断譲渡等 612Ⅱ → 解除権発生 (2) 賃貸借の解除 620: 将来に向かってのみ効力を生じる (=将来効・遡及しない) ⇒ 継続的契約の解除の原則・損害賠償の請求は妨げられない Q 賃借人の債務不履行による解除 A+ (1) 事例: アパートの賃貸借契約成立 →引渡後に賃借人の賃料未払い →賃貸借契約解除ができるか (2) 問題の所在: 解除の一般的規定 = 債務不履行 → 契約の解除がしうる (541適用) →541の解除の適用は特に不動産賃貸借における賃借人に過酷な結果(住まいを失う) + 一方、解除が認められないとすると賃貸人には過酷 (3) 判例・通説 : 信頼関係破壊の法理 → 信頼関係の破壊に至らない場合には解除は認められない (4) 信頼関係破壊の法理: 賃貸借上の義務違反があっても信頼関係の破壊に至らない場合解除は認められない a) 理由: 賃貸借は信頼関係を前提とする継続的契約 b) 具体例 ・解除可: 3箇月以上賃料未払一催告解除 6箇月以上賃料未払一無催告解除除可 ・解除不可:3箇月未満賃料未払、挨拶しない ・ 宗教的差異、家賃増額請求に応じない ⇒ 賃貸人の被る損失を総合的に評価する (異なる判例もある) ⑤ その他の事由による賃貸借の終了 (1) 全部滅失等 616の2改): 全部滅失等により使用収益不可→当然に終了 ( 611Ⅱは解除できる) (2) 混同: 賃貸人と賃借人の地位が同一化 (3) 賃借人の死亡: 相続人がいない場合 → 賃借権は相続される (使用貸借は相続なし) + 同居人保護
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賃貸借と第三者 <2つのパターンに大別される> ・第三者=賃借人側である (賃借人同意) (例) 賃借人による賃借権譲渡・転貸 ・第三者=賃借人側ではない(賃借人不同意) (例)二重譲渡・二重賃借・不法占拠 § 賃借人側の第三者との関係 ①賃借権の譲渡・賃借物の転貸 (1) 条文: 612 賃貸人の承諾が必要 612 I (2) 違反の効果 :賃貸人は契約の解除ができる 612Ⅱ (3) 612 解除の要件: 無断譲渡または無断転貸 + 第三者が現実に使用収益 ※612Ⅱ 「第三者に…使用収益させたとき」 注) 物権(地上権・永小作権等)の場合は譲渡等に設定者の承諾不要 ② 判例及び諸論点 Q 同居する内縁の妻に賃借権を無断譲渡した場合の612 解除の可否 (1) 問題の所在 : 612 解除の要件充足→ 第三者(内縁の妻)に酷 + 使用状況に変化なし(元々内縁の妻も住んでいた) (2) 判例: 612 解除不可 (3) 理由:背信行為論により解除権制限 → 612は信頼関係を基礎とする継続的契約を前提 ⇒背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある → 解除不可 ※「612は信頼関係を基礎とする継続的契約を前提」「背信的行為と認めるに足りない特段の事情」は論文で書けるように (4) あてはめ: 無断譲渡・転貸 = 背信的行為→ 特段の事情がある場合のみ背信的行為には当たらない ・特段の事情の例:同居の内縁の妻 (判例)・ 配偶者 ・同居の親族 → 使用状況に変化なし ・特段の事情の立証責任 : 賃借人または譲受人・転借人 Q 土地賃借人が第三者に借地上の建物を譲渡した場合の612 解除の可否 (1) 事例 土地賃貸借契約 → 土地賃借人が建物建築 →第三者に建物譲渡 (2)問題の所在 : 形式的には建物の譲渡 (3) 結論:612 解除可 (4) 理由: 87Ⅱ類推 → 従たる権利として土地賃借権が第三者に譲渡 ーーーーーー ※第87条【主物及び従物】 ① 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。 ② 従物は、主物の処分に従う。 ーーーーーー Q 土地賃借人が第三者に借地上の建物を賃貸した場合の612 解除の可否 (1) 事例:土地賃貸借契約→ 土地賃借人が建物建築→第三者に建物賃貸 (2) 問題の所在: 形式的には建物の賃貸 (3) 判例:612 解除不可 (4) 理由:土地賃借権が第三者に移転しない≒ 転貸・譲渡ではない ∵ 利用形態に変化なし ・建物所有者: 建物の下の借地を使用 ・建物賃借人: 建物を使用 + 建物使用に伴い借地を利用≠土地賃借 Q 土地賃借人が第三者に建物を譲渡担保に供した (譲渡担保権者名義にする)場合の 612 解除の可否 (1) 事例:土地賃貸借契約→土地賃借人が建物建築→第三者に建物を譲渡担保に供する (2)問題の所在 : 形式的には建物売買 + 譲渡担保権の実行前 (3) 判例 ・使用状態に変化がない→612 解除不可 ∵譲渡・転貸なし ・譲渡担保権者が使用・収益 ⇒ 612 解除可 (実行前も同様) ∵ 譲渡・転貸あり Q 小規模かつ閉鎖的な法人が賃借人である場合に経営者の交代があった場合の 612 解除の可否 (1) 問題の所在: 賃借人(法人)に変更なし + 小規模・ 閉鎖的会社は個人に類似 (2) 判例 :612 解除不可 (3) 理由 :法人の同一性に変更なし + 特約等で対処可 ③無断譲渡の効果 ・賃借人と譲受人: 賃借権譲渡契約有効 →代金支払義務 + 承諾を得る義務 (x→填補賠償 or 解除) ・賃貸人と賃借人: 612 の要件充足→ 解除可 ・賃貸人と譲受人:所有権に基づく返還請求・ 703 ・709可 → 解除なしでも可(判例) ※賃貸人から見れば譲受人は何ら権限のない者 ④ 無断転貸の効果 ・転貸人と転借人: 転貸借契約有効→賃料支払義務+承諾を得る義務(x→填補賠償 or 解除) ・賃貸人と賃借人:612の要件充足→解除可 ・転貸人と転借人:所有権に基づく返還請求・ 703・709可→解除なしでも可 (判例) ⑤承諾のある賃借権譲渡: 賃借人の契約上の地位が譲受人に移転 = 賃借人は賃貸借関係から離脱 ⑥ 承諾のある転貸 ・転貸人と転借人: 通常の賃貸借 ・賃貸人と賃借人: 影響なし ・賃貸人と転借人:改) 賃貸借の債務の範囲で、 転借人は賃貸人に転貸借の債務を直接履行613 (判例)転貸人は賃貸人に対して義務を負うのみ 転貸人から賃貸人への修繕や費用書簡請求は不可 (判例)前払いは賃貸人に対抗不可 613Ⅰ ※前払=転貸借契約の弁済期前支払 ∴ 弁済期後賃料は該当しない (図参照)
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⑦ 原賃貸借終了と転貸借 (1) 期間満了: 原賃貸借期間満了 → 転貸借消滅 (借家 :対抗に通知必要・ 終了に通知後6か月必要) (2) 合意解除: 賃貸人と賃借人の合意により終了 → 転借人に対抗不可 613Ⅲ改) ⇒ 適法な転貸借限定 + 合意解除時に債務不履行解除の要件充足を除く (3) 債務不履行解除: 賃借人の債務不履行により終了 → 転貸借終了 (転借人に対抗可) (判例)転貸借終了の時期= 賃貸人が転借人に目的物の返還を請求した時 ∵履行不能 (頻出) (判例) 転貸人の更新拒絶により終了 →信義則上、 転借人に対抗不可 § 賃借人側でない第三者との関係 ① 概要 ・賃貸目的物の新所有者となる第三者との関係 (例)賃貸人が目的物を第三者と売買 ・賃借権の二重設定した場合の第三者との関係 (例)賃貸人が目的物を第三者に賃貸 ・賃借物を妨害する第三者との関係 (例) 目的物を不法占拠者が占有 ②目的物の新所有者等との関係 (1) 概要: 原則、賃貸目的物の新所有者は賃借人に対して優先する ∵ 債権→ 売買は賃貸借を破る ・不動産賃借権の登記を備えた場合 605改) ・借地の場合に借地上に登記した建物を所有する場合 (借10I) ・借家の場合にその家の引渡しを受けた場合(借 31I ) →上記の場合、不動産賃借権を対抗可 ⇒ 建物賃貸借 賃借権登記 引渡 土地賃貸借 賃借権登記・建物所有権登記 ・ (改正ポイント) 605 効力→対抗可・物権を取得した者 第三者 登記後→削除 ・対抗可 : 不動産を差押えた者 二重に賃借した者・入居後に登記した者 ・対抗不可: 入居前に登記した者 入居後に入居前に設定した抵当権実行 2) 賃貸人たる地位の移転: 改) 不動産賃借権対抗可の場合の賃貸借関係 a) 605の2I: 賃貸借の対抗要件具備 不動産譲渡により賃貸人たる地位も譲受人に当然に移転 ⇒ 賃借人の承諾不要・地上権者が賃貸人の場合の地上権譲渡も同様 (判例) b) 605の2Ⅱ : 賃貸人たる地位の移転は留保可 (移転しない)→終了後移転 ・要件: 譲渡人及び譲受人の合意 、目的不動産の賃貸 (≒転貸) c) 605の3: 賃貸人たる地位移転の要件=目的物の所有権譲渡 + 譲渡人及び譲受人の地位移転合意 ⇒ 賃借人の承諾不要 。対抗要件具備も不要 (3) 賃貸人たる地位の主張 a) 賃借人への対抗 605の2Ⅲ: 不動産所有権移転登記が必要 ∵ 二重払いの回避 b) 敷金返還債務 605 の 2Ⅳ: 譲受人又はその承継人が承継 c) 費用償還債務 605 の 2Ⅳ: 譲受人又はその承継人が承継 ③ 賃借権の二重設定した場合の第三者との関係: 対抗要件の先後 ④ 賃借物の使用収益を妨害する第三者との関係 (不法占拠者等) ・賃貸人に対し、 使用収益請求 601 →賃貸人は使用収益させるため措置をとる ・第三者に対し、賃借人の占有に基づく占有訴権 (返還請求・妨害排除請求等) 198、200 ・第三者に対し、 賃貸人の妨害排除請求権の代位行使 (債権者代位権の転用 )423 ・第三者に対し、(対抗要件を具備した)不動産賃借権に基づく返還請求・妨害排除請求 605の4改)
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□ 借地借家法 ・借地借家法: 借地及び借家に関する民法の特別法 →不動産賃貸借の大部分に適用 (1) 適用対象: 借地権 (建物所有目的の地上権または土地賃借権) + 建物賃貸借 ◯認められる場合 : 宅地の賃貸借、 工場の敷地の賃貸借、 アパート・マンションの賃貸借 ※ ∵ 工場も建物であるため ×認められない場合: 農地の賃貸借(農地法)、 駐車場の賃貸借、一時使用目的 (借 25・40) ※土地建物を借りるが一時的。夏の海の家など (2) 趣旨: 賃借人保護→ 居住場所の安定的確保 (3) 背景: 旧法 (建物保護法・借地法・借家法) -保護が不十分→H3 に借地借家法 ⇒ 旧法適用の場合は合意がなければ従前の例による(まだ日本に旧法が適用されているものもある) § 借地関係 ① 借地権の種類 ・普通借地権: 更新が認められる借地権 →定期借地権以外の借地権 ・定期借地権 :更新が認められない借地権 ・旧法借地権: 旧法下で設定された借地権 ⇒存続期間 更新等が民法と異なる ② 普通借地権 (1)存続期間 写真 (土地賃借権) 民法:最長50年、最短制限なし 借地借家法:最長制限なし,最短30年(法3) (更新後の土地借地権) 民法:最長50年、最短制限なし 借地借家法:最長制限なし,1回目20年、2回目以降10年(法4) (2)建物滅失・ 再築による存続期間延長 (借7) ・要件: 借地権設定者の合意 または 再築通知後2箇月以内に異議を述べない (更新後の通知は除く) ・効果: 承諾または再築のいずれか早い日から20年間存続 (3)更新 a) 更新形態 (借5) ⅰ 合意 ⅱ 借地権者の請求 ⅲ 使用継続 ⅰ,ⅱの要件効果: ・要件: 建物現存 + 借地権設定者が遅滞なく異議を述べない ・効果: 従前の契約と同一条件による契約 b) 更新拒絶の要件: 正当(の) 事由 (借6) (短答対策で確認) 以下の事由を総合考慮 ⅰ土地の使用を必要とする事情 ⅱ借地に関する従前の経過 ⅲ土地の利用状況 ⅳ立退料の給付は事実審口頭弁論終結時までにされれば考慮 (判例) →訴えられた後に払っても事実審口頭弁論終結までならば考慮される (4)更新後の建物滅失による解約 (借8) ・借地権者:解約申入可→申入れから3箇月経過で消滅 ・借地権設定者: 承諾なく建物再築したとき解約申入可→申入れから3箇月経過で消滅 ③定期借地権 図(短答対策) ④ 借地権の効力 (1)強行規定: 借3~8・10・13・14・17~19は強行規定(借9・16・21) (2) 建物買取請求 ・借地権者が請求 13: 存続期間満了 + 更新なし ・第三者が請求 14 :第三者が借地上の物を取得 + 借地権設定者が賃借権譲渡または転貸拒否 ⇒ 法的性質: 形成権→売買契約成立 (3) 自己借地権: 原則不可∵混同 179 I 他の者と共に有することになるときは可(借 15 ) (4) 借地条件の変更等: 裁判所による変更可 (17、18) ・借地条件→当事者の申立 ・増改築・更新後の建物再築→借地権者の申立により借地権設定者の承諾に代わる許可 (5) 譲渡・転貸 : 裁判所による賃借権の譲渡・転貸の許可 (借19) (6) 地代等増減請求権 (11) 調停前置主義を採用 ・増額請求 :特約で排除可 (借11 I ) ・減額請求 :強行規定 (判例)→特約で減額請求しないとしても無効 (7) 対抗力: 登記または借地上の建物登記により対抗可 Q 借地上の建物登記の名義人は借地人本人以外の者も認められるか (1) 事例:土地賃貸借契約→同居する親族名義の建物登記→土地取得者に賃借権対抗できるか? (2)問題の所在: 実体のない登記は対抗力なし。一方で、現地確認すれば建物及び登記により賃借権を推知 (3) 判例: 本人以外の名義では対抗力は認められない (4) 理由: 取引安全・他人名義の登記は現実の権利状態に符合しない (建物所有権対抗自体不可)
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借家関係 ① 借家権の種類 ・普通借家権: 期限付借家権以外の建物賃貸借→期間の定めがある場合 or 期間の定めがない場合 ・定期借家権: 更新が認められない建物賃貸借 ⇒存続期間 更新等が民法と異なる ② 普通借家権 図 (1)期間の定めがある場合 a) 法定更新 26 Ⅰ: 期間満了1年前から6箇月前に更新拒絶通知なし→ 同一の条件で更新とみなす Ⅱ 更新拒絶通知あり+期間満了後の使用継続に異議を述べない→同一の条件で更新とみなす →期間の定めがない契約とする26 + 更新拒絶には正当事由が必要 28 b) 更新 更新 【民法賃貸借】 更新:可能 法定更新:なし(更新の推定あり619) 更新拒絶の制限:なし 【普通借家 (期間の定めがある)】 更新:可能 法定更新:あり 更新拒絶の制限:正当事由が必要 (2)期間の定めがない場合:解約申入後に解約するまで契約期間が継続する賃貸借 a)成立形態 期間を定めない場合→民法・借地借家 法定更新後の場合 →借地借家 期間1年未満の場合 →借地借家 b)解約 【民法賃貸借】 ・解約申入:いつでも可617I ・解約申入期間:3箇月617I ・解約後の使用・収益:- 【普通借家(期間の定めがない)】 ・解約申入:正当事由が必要(借28) ・解約申入期間:6月(借27) ・解約後の使用・収益:法定更新(借27Ⅱ) ③定期借家権 【民法賃貸借】 契約期間:上限 50年 要式性 :× 更新 :◯ 制限なし 普通借家權 契約期間:上限 50年 要式性 :× 更新 :◯(正当事由等) 定期借家 契約期間:制限なし 要式性 :書面 更新 :× a) 成立:更新がない旨を記載した書面 →欠缺の場合は普通借家となる (借38Ⅰ-Ⅲ) b) 終了: 期間1年以上なら1年~6箇月前に通知義務 →欠缺-通知から6箇月継続 (38Ⅳ) c) 中途解約 ・原則: 当事者不可 (普通借家:賃借人可• 正当事由ありなら賃貸人可) ・例外:床面積 200㎡未満の居住用建物 + やむを得ない事情による使用困難 → 賃借人可 ④ 賃貸人による更新拒絶通知または解約申入: 正当事由が必要 →以下の事由を総合考慮 (28) ・建物の使用を必要とする事情 ・建物賃貸借に関する従前の経過 ・建物の利用状況 現況 ・立退料の給付 上記正当事由がなくとも相当の立退料のみでも可(判例) ⑤借家権の効力 (1)強行規定: 借 26~29・31・34・35(借 30.37) (2)対抗力: 賃借権登記または建物引渡し (3) 借賃増減請求権:≒ 地代等増減請求権 (借32) ⑷造作買取請求権:形成権 ⑥ 借地借家改正ポイント (1)一般定期借地権: 改正前:書面 改正後:書面に電磁的記録を含む (2)定期建物賃貸借 改正前:書面 改正後:書面に電磁的記録を含む ⇒ 普通賃貸借・民法賃貸借・普通借地権は不要式。 事業用借地は公正証書
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雇用総説 ①雇用: 相手方に対し労働に従事すると約し、 相手方がその報酬支払を約すことで効力を生ずる契約 被用者:労務提供義務 使用者:報酬支払義務 (1) 事例: AがB会社で働くと約す + BがAに労働の報酬支払を約す (2) 条文 : 623 (3) 用語 ・使用者:労働の提供に対し報酬を支払う者≒雇用主・雇用者 ・被用者: 報酬の支払に対し労務を提供する者 ≒労働者・使用人 被雇用者 ②性質:有償、双務諾成、不要式 ※民法上は諾成不要式であることに注意 ③ 特徴: 労務供給型 (≠貸借目的) 継続的契約 (≒信頼関係が重要) ④ 区別: 困難な場合が多い 【雇用】 契約分類:労務供給契約 相手方との関係:従属 契約目的:労働力の提供 【請負】 契約分類:労務供給契約 相手方との関係:独立 契約目的:仕事の完成 【委任】 契約分類:労務供給契約 相手方との関係:独立 契約目的:労働力の提供 ⑤ 労働法: 雇用のほぼ全てに適用 →民法雇用の適用はほぼなし 効力 ①労働者の義務 (1) 基本的義務 労務提供義務・ 自己就労義務 625II (2) 付随的義務: 善管注意義務・守秘義務 ② 使用者の義務 (1) 基本的義務: 報酬支払義務 + ノーワーク・ノーペイの原則(労働力提供なければ報酬支払い義務なし) a)支払時期: 労務提供後 624 任意規定 b)割合に応じた報酬請求 : 改) 認める 624の2 ・使用者に帰責事由なく履行不能 →割合請求可624の2 ・労働者の帰責事由により履行不能 →割合請求可(双方に帰責事由なしも同様624の2 ・使用者の帰責事由により履行不能 →全額請求可536Ⅱ (危険負担の債権者主義) ・雇用が履行の途中で終了 →割合請求可6242 (2) 付随的義務 : 安全配慮義務・権利譲渡制限 625 I 終了 ①雇用の終了原因 ・期間の定めのある場合→期間満了 or 解除 期間の定めのない場合→解約申入 雇用に特別な終了原因の場合:628・631・死亡 ②期間の定めのある場合 (1) 期間満了: 原則、 終了。もっとも、 更新があれば存続 + 従事による更新の推定あり 629I (2) 解除による終了 626 改 ) a) 要件 雇用期間: 5年を超える or 終期不確定 解除予告: 使用者-3箇月前 労働者-2週間前 b) 効果: いつでも解除できる c) 趣旨: 労働者保護→商工業見習いの特例を削除&労働者による予告期間を短縮 ③期間の定めのない場合: いつでも解約申入可→申入から2週間後に解約 627 I a) 期間によって報酬を定めた場合 627ⅡⅢ改) ※例:月給 等 【使用者からの解約】 労基適用:労基 20=30日前解雇予告 or 解雇予告手当支給 労基不適用: ・当期前半に次期以後の解約申入 627Ⅱ ・期間6箇月以上は3箇月前に解約申入 627Ⅲ 【労働者からの解約】 労基適用:いつでも解約申入可 627 I 労基不適用:いつでも解約申入可 627 I b) 趣旨: 労働者保護 労働者からの解約に 627 Ⅱ 不適用 ④ 雇用に特別な終了原因の場合 (1) やむを得ない事由 628: 解除可→天災・疾病・倒産等の重大な支障 (判例) + 過失があれば損賠可 (2) 使用者の破産手続開始決定 631:解約申入可→期間の定めありでも可+ 損賠請求不可 (3) 当事者の死亡: 原則として、 【労働者の死亡】 終了原因:◯ 相続の対象:× 【使用者の死亡】 終了原因:× 相続の対象:◯
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8 請負 □ 請負総説 ① 請負 : 相手方に仕事の完成を約し、 相手方がその結果に対し報酬支払を約すことで効力を生ずる契約 (1) 事例: 建設会社に住宅の建築を注文 (2) 条文 : 632 (3) 用語 請負人 : 報酬に対し仕事の完成をする義務を負う者 注文者 : 仕事の結果に対し報酬を支払う義務を負う者 元請負人: 注文者から直接仕事を請け負った者≒元請 下請負人: 元請負人または下請負人からさらに仕事を請け負った者 ≒ 下請 ⇒ 下請は請け負った順に一次・二次・三次… ②性質:有償、双務、諾成、不要式 (建設 19 に注意。これに関わらず不要式契約 ) ③特徴 a) 仕事完成目的: 有形・無形を対象。 労務供給自体は目的ではない ※ 無形の例: プログラム保守、ビル清掃 b) 請負人の独立: 独立して義務を履行 自己就労義務なし・履行補助者及び下請人使用可 c)報酬支払義務 : 結果 (≠労務供給) に対し支払義務あり ⇒ 請負目的物の所有権の帰属・仕事の完成に障害が生じた場合 が問題 効力 ・請負人の義務 ① 仕事完成義務: 基本的義務。 目的物引渡義務も含む。約定時期に未着手・未完成→解除可。 ②担保責任: 契約不適合 (1) 売買を準用 559: 追完請求権 562 報酬減額請求権 563・損害賠償請求権 415・解除権 541、542 a) 担保責任の規定は有償契約に包括準用: 改正前:不完全履行・瑕疵担保責任の特則 改正後:売買の規定を準用 b) 改正ポイント 写真 ※旧635但書:昔は瑕疵があるとはいえ建物は価値があると考えられていたため解除が制限されていたが、時代は変わり欠陥住宅に価値があるとは考えないようになったことから削除された (2)636 注文者の材料または指図による契約不適合Ⅰ → 請負人悪意等を除き、 担保責任不可 ※例:注文者が大きな窓の設置を要求したために基準を満たさなくなった場合 (3) 637:改)期間制限 Ⅰ : 契約不適合を知った時から1年以内に通知しない → 担保責任不可 Ⅱ : 引渡した時または仕事終了時に請負人が知り、または重大な過失により知らなかった→637不適用 a) 意義: 通知義務・ 通知懈怠による失効 ・売買同様の規定(引渡しが不要な点で異なる) b) 改正ポイント ※基本的な考え方:お金を払って何かを買うのと、何かをしてもらうのは基本的に同じ 【637 改正】 (内容)請負人の担保責任追及の制限起算時 (改正前)引渡時または仕事終了時 (改正後)知った時 【638Ⅰ 削除】 (内容)土地工作物の担保責任存続期間 (改正前)5年または10年 (改正後)知った時から1年 【638Ⅱ削除】 (内容)土地工作物の滅失・損傷の担保責任追及の制限起算時 (改正前)滅失・損傷時 (改正後)知った時から 【639 削除】 (内容)担保責任の消滅時効の伸長 例: (改正前)契約で伸長可 (改正後)無効 【640 削除】 担保責任を負わない旨の特約 (改正前)640適用 (改正後)572準用 注文者の義務 ① 報酬支払義務: 基本的義務。 仕事の完成という結果に対して支払義務あり (労務自体にはない) (1) 支払時期: 原則、 後払 (引渡を要する場合は引渡時。 引渡が不要な場合は仕事完成後) 633 → 任意規定 ⇒報酬債権は契約時に発生 → (見積作成時・契約時・) 着工時・上棟時(建物完成時)・引渡時の分割が主 (2) 割合的報酬請求権:改) 認められる634→明文化の必要あり a)要件: 可分な部分の給付により利益 + 注文者の帰責事由なしで履行不能 or 完成前に解除 b) 報酬請求と帰責事由まとめ 【注文者の帰責事由なし】 ⅰ請負人の帰責事由なし:割合的報酬 634 I ⅱ請負人の帰責事由あり:割合的報酬 634I 【注文者の帰責事由あり】 ⅰ請負人の帰責事由なし:報酬全額 536Ⅱ ⅱ請負人の帰責事由あり:-(事例による) ②受領義務 : ≒ 売買 ③協力義務 12
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終了 ① 総説 履行による終了 解除による終了 ・一般規定による解除: 541 542・559 ・特別規定による解除: 636、637、641、642 ②担保責任による解除: 請負人が契約不適合 →担保責任により解除可 636、637 ③ 任意による解除 :注文者は仕事完成前は損害賠償をしていつでも解除可 641 (1) 趣旨: 注文者の利益及び社会経済効率 → 注文者に任意解除権を認める (2) 効果 : 541、542解除 →原状回復義務あり ⇒損害賠償の範囲: 解除時までに支出した費用 + 履行利益 ※履行利益:履行がされていれば、債権者が得られるはずであった利益。 例えば、宝石を転売目的で購入したところ、売主のミスで壊されてしまい、転売できなかった場合、転売利益が履行利益 ④ 破産による解除: 請負人・破産管財人は仕事完成前に注文者が破産開始決定を受けたときは解除可 642 改正ポイント: 仕事完成後は不可 ※破産→注文者は無資力 請負目的物の所有権の帰属 ① 総説: 目的物引渡義務→完成した制作物 (請負目的物) の所有権の帰属と移転の時期 (1) 事例: 建物建築請負契約→建物建築開始 → 報酬支払・引渡等未履行 (2) 問題となる場合 ⅰ 注文者・請負人間の問題 ⅱ 下請負人が存在する場合の問題 Q ⅰ 請負目的物の所有権は注文者と請負人のどちらに帰属するか (1) 事例: 建物建築請負契約→建物完成→ 未履行 (2)問題の所在: (注文者が自己所有にするという)契約目的から注文者に帰属するとも思える。 (3) 判例・通説 ・特約がある場合→特約に従う ・特約がない場合→加工の法理 246を参照し材料の供給形態を基準に決める (4) 特約がない場合: 請負人帰属説 ・注文者が全部又は主要部分を提供 →注文者に原始的に帰属 ・請負人が全部又は主要部分を提供 →請負人に一旦原始的に帰属 →引渡により注文者に移転 ・請負人・注文者が共に材料を提供 →加工の規定により主要部分を提供した者に所有権帰属 (5) 理由: 物権法の原則 + 請負人の報酬請求権の確保 ※物件法から見れば動産を集めているのと同じ→相談の所有者に帰属 ※請負人が材料を調達していた場合はその分の回収を認める必要 (6) 例外: 請負人が全部または主要部分を提供→注文者に原始的に帰属 (判例)建築完成前に代金全額が支払われた場合→完成と同時に注文者帰属との暗黙の合意を推認 (判例)代金の半額以上を棟上(主要部分の完成)までに支払 + 進行に応じ残金支払の場合 →上同 ③ 下請負人が存在する場合 ・元請契約: 注文者と元請負人間の請負契約 ・下請契約: 元請負人 (または下請負人)と下請負人との請負契約 ⇒ 下請契約は元受契約とは別個の契約 元受契約を前提に下請契約が存在 ※ 建前: 建築における主要な柱、梁、棟木等の組み上げ≒ 上棟 棟上 Q 下請負人が存在する場合の請負目的物の所有権の帰属 (1) 事例: 注文者帰属の特約をつけた → 一括下請(材料は下請けが提供) ・建前完成 ・建築代金支払→元請が下請に報酬未払で倒産 (2) 問題の所在: 特約と請負人帰属説(判例)との優劣 (3) 判例: 特段の事情のない限り、注文者帰属 ※特段の事情≒した請負人に帰属するという特約の存在 (4) 理由: 下請契約は元請契約の存在を前提=元請契約の履行を目的としている→下請人は履行補助者的立場→特約優先 仕事の完成に問題が生じた場合 ① 総説 ・目的物の引渡が必要 =目的物の滅失・損傷の場合 ・目的物引渡しが不要=仕事の完成が不可能の場合 →仕事完成の可否→誰に帰貴できるか の順に考える。 図は請負人の責任 ②仕事の完成が不可能の場合 別紙 ③ 目的物の滅失・損傷の場合: 引渡前:引渡後で分ける ⑴ 引渡前・仕事完成可能:完成すれば注文者に報酬支払い義務 図 別紙 ⑵引渡前・仕事完成不可能: 滅失、損傷が完成前・完成後も同じ 図 別紙 ⑶引渡後: 請負目的物の滅失等に関する危険は注文者に移転 567,559 図 別紙 ※注文者の権利主張の可否:追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除
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仕事の完成に問題が生じた場合 ・目的物引渡しが不要=仕事の完成が不可能の場合(講演、清掃 等) →仕事完成の可否→誰に帰貴できるか の順に考える。 図は請負人の責任
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仕事の完成に問題が生じた場合 ① 総説 ・目的物の引渡が必要 =目的物の滅失・損傷の場合 ・目的物引渡しが不要=仕事の完成が不可能の場合 →仕事完成の可否→誰に帰貴できるか の順に考える。 図は請負人の責任 ※請負人に帰責性あり:請負人の手抜き工事で欠陥住宅が完成 ③ 目的物の滅失・損傷の場合: 引渡前:引渡後で分ける ⑴ 引渡前・仕事完成可能:完成すれば注文者に報酬支払い義務 図 別紙 ⑵引渡前・仕事完成不可能: 滅失、損傷が完成前・完成後も同じ ※ 例:補修が不可能なレベルの欠陥住宅で引渡日が迫っている場合 ※ 注文者に帰責性がない限り、未完成の場合に請負人は報酬を請求できない∵仕事を完成させることが契約の内容 図 別紙 ⑶引渡後: 請負目的物の滅失等に関する危険は注文者に移転 567(目的物の滅失等の危険の移転)・559
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委任総説 ① 委任 相手方は法律行為をすることを委託し、 相手方が承諾することによって効力を生ずる契約 (例) 土地の売却を依頼、家屋の賃貸を委託、弁護士に訴訟行為を依頼 (1) 条文: 643 (2) 準委任 : 法律行為でない事務処理の委任 ⇒ 委任の規定を準用656 (例) 医療契約、コンサル契約 (3) 基本用語 ・受任者: 法律行為の委託を受けた者 ・委任者: 法律行為の委託をした者 ・委任状: 委任事項・受任者・委任者を記載した書面 ⇒ 通常、 委任者が受任者に交付 ≒ 代理 ② 区別: 労務供給契約 、相手方とは独立、労働力の提供が目的 ※雇用契約も労務供給契約だが使用者に従属 ③性質:片務・無償・諾成・不要式 ⇒ 報酬支払特約付きまたは成果完成型の場合、 双務・有償 効力 ・受任者の義務 ① 善管注意義務 644 :善良な管理者の注意をもって委任事務を処理 (善管注意保存義務 400 と区別) ⇒有償・無償不問 ∵ 人的信頼関係を基礎 ※ 参考:無償寄託は自己の財産と同一に軽減 400、659 ② 自己執行義務 644の2改) 委任者の許諾またはやむをえない事由があれば復委任可≒復代理 ③ 報告義務 645 ④ 引渡義務 646 :取得した物 権利を委任者に移転→消費すれば利息を含めて賠償義務 647 ・委任者の義務 ① 報酬支払義務 : 報酬支払特約付き (有償委任) の場合のみ ∵ 人的信頼関係を基礎・ローマ法 ・履行割合型: 労務供給に対して報酬支払→ 原則 (例) 不動産販売の募集告知 ・成果完成型: 達成された成果に対して報酬支払→例外 (例) 勝訴判決 a)履行割合型改) 648Ⅱ Ⅲ →≒雇用 ・支払時期: 後払の原則。 但し期間による報酬は期間経過後に可 ・報酬: 委任者に帰責事由なし (受任者は不問)委任が途中で終了 → 割合的報酬請求可 (改正ポイント )改正前:受任者帰責なら割合報酬不可 → 改正後: 受任者帰責でも可 b) 成果完成型 改) 648 の2 ≒ 請負 ・支払時期 : 成果の引渡と同時履行→引渡なければ後払 ・報酬 :委任者に帰責事由なし (受任者は不問・)委任が途中で解除割合的報酬請求可 ② 費用等の支払義務: 委任者に支払義務 ∵ 人的信頼関係を基礎→費用前払義務 649、 費用等償還義務 650I、代弁済義務 650II、損害賠償義務 650Ⅲ 終了 ① 任意解除権: 651 改) 任意による解除可 ∵人的信頼関係を基礎 (1) 性質 :任意規定 (2) 損害賠償義務 写真 (3) 受任者の利益をも目的: →有償を意味しない(判例) (例) 委託者に対する受任者の債権回収のため、受任者の債権回収を受任→回収金は受任者の利益に ②653 解除: 一方当事者の死亡・ 破産手続開始・受任者後見開始 ∵人的信頼関係を基礎 ③解除の効果: 620 準用 652 →遡及効なし ∵ 継続的契約 ④終了時の特別措置 : 緊急処分義務 654、通知義務 655
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□ 寄託総説 ①寄託: ある物を保管することを相手方に委託し相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約 ⇒物の使用の有無で使用貸借・賃貸借等と区別・ 報酬の有無で有償寄託と無償寄託に分類 (例) クロークに荷物を預ける・ ペットホテルにペットを預ける (1) 条文 : 657 改) (改正ポイント:) 改正前:要物契約 改正後:諾成契約 ∵ 実務上、諾成が主 (2)性質 無償寄託: 無償、片務、諾成、不要式 有償寄託:有償、双務、諾成、不要式 (3) 基本用語 寄託物: 保管を委託された物 寄託者: 物の保管を委託する者 受寄者: 物の保管を委託された者 効力 ・受寄者の義務 ①寄託物保管義務 :基本的義務≒目的物保管義務 (1) 注意義務 ・有償寄託: 善管注意義務 400 ・無償寄託:自己の財産に対するのと同一の注意義務 659 ※ 参考: 商人の場合、無償寄託でも善管注意義務(商595) (2)寄託物使用の禁止 658 I (3) 自己執行義務 658Ⅱ改) 原則、 再寄託禁止 → 受寄者の承諾またはやむを得ない事由があれば可 (改正ポイント) 改正前:受寄者の承諾のみ 改正後:やむを得ない事由を追加 ∵復委任との整合性・実務上の必要性 (4) 再受寄者の権利義務 658Ⅲ改) : 受寄者の権限の範囲内において同一→再受寄者≒受寄者の履行補助者 (改正ポイント) 改正前:選任及び監督上の過失 改正後:再受託したから受託者の責任が軽減されるのは不適 ∵復代理関係 ② 寄託物返還義務 : 657 ③ 通知義務 660Ⅰ改 : 権利主張する第三者による訴え等→寄託者に通知。 但し寄託者悪意なら不要 (改正ポイント ) 改正前:訴え等があれば通知要 改正後:寄託者悪意なら不要∵必要性なし ④ 第三者の権利主張における返還 660 Ⅱ改) 返還先は原則、寄託者。 但し、 第三者に引渡を命じる確定判決があった場合を除く 寄託者の義務 ① 報酬支払義務 : 有償寄託の場合 →委任準用 665→費用前払義務・費用償還義務・代弁済義務 ②損害賠償義務 661 :寄託物の性質または瑕疵による場合→寄託者善意無過失又は受寄者悪意は除く ※例:寄託物が自然発火するものでボヤが生じた ③損害賠償及び費用償還請求の期間制限 664の2: ・制限期間 : 返還を受けた時から1年以内(除斥期間) ∵責任不明確の防止(返還した後はどちらの責任か不明確になる。なので1年に限る) ・消滅時効 : 一部滅失における損賠 →返還時から1年 (寄託中は完成しない) →寄託中の完成防止が趣旨 ※ 全部滅失の場合は返還できないので一部滅失に限定 口 終了 (3つの場面) ・返還時期の定めがない場合 (寄託物引渡後) ・返還時期の定めがある場合 (寄託物引渡後) ・寄託物引渡前の解除 ①返還時期の定めがない場合 ・寄託者: いつでも返還請求可 662 I ・受寄者: いつでも返還可 663 I ②返還時期の定めがある場合 ・寄託者: いつでも返還請求可→返還時期前の返還請求による損害は賠償必要 662Ⅱ ∵寄託の利益は寄託者側にある ・受寄者: 返還時期前なら返還不可→やむをえない事由があれば可 663ⅡI ③寄託物引渡前の解除: 657の2 ・寄託者: 寄託物を受取るまで解除可 →受寄者は損害賠償請求可 ・受寄者 無償または書面によらない寄託 →寄託物を受取るまで解除可 有償または書面による無償寄託 →引渡しの催告+引渡なしで解除可 ※ 軽率に行なわれがちの口約束の場合は簡単に解除を認める趣旨 □ 特殊な寄託 ① 混合寄託: 代替性のある寄託物を他の同種の寄託物と混合して保管し、同種の寄託物を返還する寄託 (例)インゴット (金属の延べ棒)、有価証券 ⇒同一物の返還義務がない ≠ 通常の寄託、寄託物の処分権なし ≠消費貸借 (1) 条文 : 665 の2改) 改正ポイント=法律関係を明文化 (2) 要件: 寄託物の種類及び品質の同一性 + 各寄託者の承諾 (3) 効力 : 同種物同数量の返還請求、一部滅失→ 寄託物の割合に応じた返還請求+損賠請求 ②消費寄託: 受寄者が契約により寄託物を消費できる場合であって同種物を返還する義務を負う寄託 (例) 預貯金 ⇒ 受寄者が寄託物の処分権を有する(消費貸借に類似) (1) 条文 : 666 改正ポイント=原則、 寄託の規定を準用本質は保管(消費貸借は消費) (2) 要件: 種類物の保管 + 当事者間の合意 (3) 効力: 原則、 寄託準用→返還662。但し、預貯金は591Ⅱ Ⅲ
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①組合: 各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することにより効力を生ずる契約 (例)共同で店舗運営 (1) 基本用語 組合:組合契約の結果として構成された団体→組合=契約 or 団体 組合員:組合の出資者 (2) 法的地位:組合契約により団体として結合→ 法人格を有しない ※ 法人ではないことが大きな特徴 ②性質:有償、双務、諾成、不要式 ③ 団体的制約: 667 の2改)∵団体的性格 I : 同時履行の抗弁権 533 及び危険負担 536の不適用 ∵円滑な業務に支障 Ⅱ: 債務不履行解除の不適用 ∵ 解散・清算規定があるので解除したい場合はこれらを使う ④ 成立要件 ・2人以上の当事者 ・組合の合意 : 1組合員の意思表示の無効 ・取消→他の組合員間の効力を妨げない 667の3改 ) ・出資:物・権利・労務・信用等も可 ・共同の事業:一時的・ 非営利も可 →ヨットの共同購入による遊行も可 (判例) ⑤ 業務執行 (1) 内部的業務執行 : 670 改) ・業務執行者なし: 原則、 組合員の過半数で決定し各組合員が執行→常務は各組合員可 ・業務執行者あり :業務執行者が決定し執行 (総組合員で決定・執行も可)→常務は業務執行者可 (2) 外部的業務執行 : 670の2改) 組合員または業務執行者は代理の形式で執行=組合代理 ・業務執行者なし: 原則、 組合員の過半数の同意で他の組合員を代理→常務は各組合員可 ・業務執行者あり: 業務執行者のみ代理可 →常務は業務執行者可 ⑥ 財産関係 (1) 所有形態: 組合員全員の共有 668・ 持分処分制限 676I・分割請求禁止 676Ⅲ→合有 (2) 債権: 676 Ⅱ改) 677改) a)組合財産である債権→組合員による持分の権利の単独行使不可→総組合員共同行使のみ可 b) 組合財産→組合員の債権者による権利行使不可 (3) 債務 675 改) 組合の債権者は組合財産または各組合員に対し権利行使可 ※混同不可 (判例) ・原則:均等割合 ・例外: 損失分担の割合←債権者悪意の場合 ⑦ 組合員の変動: 脱退自p由の原則 678(強行規定(判例) ) • 非任意脱退:死亡・除名等で当然に脱退679 (1) 除名の要件: 正当事由 + 他組合員全員の一致 + 通知 680 (2) 脱退の効果 : 持分の払戻し 681、 680の2改) 脱退前の組合債務を責任の範囲内で弁済 (求償可) (3) 組合に加入: 全員の同意または契約の定めにより可+ 加入前の債務について弁済の責任なし677の2改 ) ⑧ 解散: 組合の事業を終了 ⇒ 解散事由 682改) に該当→清算人が財産整理・分配 685
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① 終身定期金: 当事者の一方が自己・ 相手方・ 第三者の死亡まで定期に金銭等の物を給付する内容の契約 ※現代では使われない (1) 条文 : 689 (2) 性質 : 諾成•不要式 →対価の有無により片務・無償 or 双務・有償が決まる ② 和解: 当事者が互いに譲歩してその間に存する争いをやめることを約することにより効力を生ずる契約 ⇒「互いに譲歩 (互譲) 」「争い」が必要 (例)100万の債務 → 50万の債務 土地の境界→折衷案で確定 (1) 条文 : 695 (2) 性質: 双務・ 有償・諾成・不要式 (3) 効力 a) 確定効: 真実の法律関係と異なる →当事者は和解の内容に拘束 696 b) 錯誤との関係 ・錯誤主張不可 : 合意した事項自体 (和解の内容 ・争いの対象) ・錯誤主張可:和解の前提となっていた事項または争わなかった事項についての錯誤 例:「50万円で和解」を「5万円で和解」と聞き間違えた 土地所有者と思っていたが無権利者だった
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□ 事務管理総説 ① 事務管理: 義務なくして他人のためにその事務 (仕事) を管理 (処理) すること (例)嵐で留守の家の屋根が損壊+放置すれば損害発生→ 損害防止のため同意なく隣人が修理 ② 基本用語 (1) 管理者: 義務なく他人のために事務の管理を始めた者 (2) 本人 : 事務の管理をされた者 (他人) ③ 条文 : 697 ④趣旨: 他人の生活への不当な干渉の排除と社会生活における相互扶助の要請との調和 ⑤ 法的性質 : 準法律行為 ≠ 当事者の意思表示 準法律行為:法律効果の発生を目的としない意思の通知や観念の通知のこと □ 成立要件 ①要件: 他人の事務を管理・他人のためにする意志・法律上の義務がない・ 本人の意思及び利益に適合 →697I → 屋根を修理 ② 他人の事務を管理: 事務=生活に必要な一切の仕事・ 管理=仕事の処理 ○ 事実行為・法律行為・処分行為が全て他人の事務に該当 (例)人命救助・修理目的で業者と契約・売買契約の解除 ③ 他人のためにする意志 ○自己のためにする意志との併存 (例)隣家の壊れた垣根を自己の家の防犯の意思も含み修理 ○ 他人が特定できない (例)怪我をしたAの飼犬を世話→実はBの飼犬 ○費用請求の意思がない (例)隣家の屋根を自己負担で修理 ④ 法律上の義務がない ○第三者弁済で委託を受けずに弁済・主債務者の委託を受けない保証人の弁済・負担部分のない連帯債務者の弁済 ⑤ 本人の意思及び利益に適合=本人の意思または利益に反しないことが明らか (通) ※ 公序良俗・ 強行法規違反は除く →自殺者を救助 ・飲酒者に代わって運転の場合は本人の意思に反していても事務管理成立 □ 効果 ① 違法性阻却: 民事・刑事共通 →不法侵入・器物損壊・709 不可。但し、 債務不履行責任は可 ② 管理者の義務 (1) 管理継続義務 700:必要がなくなるまで ∵ 本人の不利益防止 (2) 中止義務 700但:意思に反し、または本人に不利であることが明らかな場合 (3)意思尊重義務 697 : 本人の意思を知っているまたは推知できる→その意思に従う (4)善管注意義務: 善良な管理者の注意をもって管理∵698 反対解釈 → × 自己と同一の注意 ⇒ 緊急事務管理(急迫の危害を免れさせる場合) は悪意または重大な過失に限り責任 698 (5) 通知義務 699:遅滞なく本人に通知。 本人が既に知っている時(本人悪意)は除く (6) 計算義務701:委任を準用 → 報告義務・受取物又は権利引渡義務・金銭消費責任 ③本人の義務 702 (1) 費用償還義務 702Ⅰ : 有益な費用の償還可→ 有益費・必要費・保存費等も含む (判例) (2) 代弁済義務 702Ⅱ: 本人の管理者に対する義務をした場合 →現存利益のみ (3) 償還等の制限 702Ⅲ :管理者が本人の意思に反して事務管理 ⇒本人の意思に反する + 意思に反することが明らかでない→事務管理成立(現存利益の償還請求可) (例)屋根が壊れたが取り壊す予定があったので本人は補修する意思がなかった場合) Q 管理者の報酬請求権及び損害賠償請求権の可否 (1) 事例: 溺れている者を救助した→ 衣服が汚損 (2) 通説: 否定 ∵道徳上の価値。 但し費用を合理的に解することで妥当な結論を導く ※服の汚損=費用と捉える Q 事務管理の対外的効力 (1) 事例: 留守の家の屋根が損壊 → 損害防止のため同意なく隣人が業者に修理を依頼 (2) 問題の所在: 管理者が本人の代理人として業者と契約した →有権 or 無権 (3) 判例 ・管理者の名で契約→管理者に帰属。 但し本人は代弁済義務 ∵ 702Ⅱ ・本人の名で契約→無権代理 (追認で事務管理) 体内関係となり対外関係とは別
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□ 不当利得総説 ① 不当利得: 法律上正当な理由なく他人から利益を受けこれによって損害を及ぼした場合に得られた利得 ⇒703~708に基づき不当利得返還請求権が生じる = 不当利得制度 (不当利得) (1) 条文 703 から 708 ⇒ 債務不履行 415・不当利得 703、不法行為 709 が請求の基本 (2) 事例: 売買契約の無効・取消・解除 、 他人の土地を自己物と誤信して占有・使用 (3) 基本用語 受益者: 不当利得により利益を得た者 →不当利得返還義務が生じる 損失者: 不当利得により損失を被った者 →不当利得返還請求権が生じる ②不法行為との区別 不当利得: 利得を中心 (+の財産) →利得を否定 +返還により正常化 不法行為: 損害を中心 (一の財産) → 損害を否定 +填補により正常化 ③ 類型 給付利得: 給付の清算の対象となっている利得→ 契約の存在+ 給付行為を前提 例:売買契約の解除 侵害利得: 専ら他人の財貨によって受けている利得→契約の不存在+ 侵害行為を前提 例:他人の土地を無断で使用s 一般不当利得: 不当利得の原則的処理→703 704 で規定 特殊不当利得: 不当利得の例外的処理 →705~708 で規定 □ 不当利得の本質 ① 趣旨 【衡平説】旧通説 内容)実質的に不当な財産の移動→公平の理念に従い均衡を図る 特徴)事例を統一的に理解 【類型論】現民法の基礎 内容)財産の移動の原因を考察→類型に分けて要件が決まる 特徴)事例を類型に分けて理解 ※ 旧民法:衡平説 (旧通説)類型論 (有力説)→新民法:類型論を基礎+部分的に衡平説 ② 類型論による分類 : 給付利得・侵害利得を除き通説なし + 事務管理との見解もある (1) 給付利得: 給付不当利得とも言う (2)侵害利得:= 侵害不当利得・財貨利得とも言う (3) 費用利得: ある者が他人の財産に費用を投下することでその他人が受けている利得 a) 事例:隣家の塀を合意なく修理した b) 特徴: 給付行為なし + 受益が損失者の意思に基づく(侵害利得ではない)→費用償還しうる関係 (4) 求償利得 a) 事例: ある者が自己の支出において他人の債務を弁済した場合にその他人が受けている利得 b) 特徴: 給付行為あり + 損失者と受益者の間に債権者が介在→求償しうる関係 不当利得の各類型 別紙 ※侵害利得:703,704 給付利得:121の2 特殊不当利得:705-708 一般不当利得の要件 ① 総説: 703→受益、損失、受益と損失との因果関係、法律上の原因なし ⇒ 類型論 →侵害利得:上記全て 給付利得:「法律上の原因がない」のみ ∵給付があったことを前提→受益、損失、因果関係がありと考えることができる ②受益 :財産の増加 及び消極的増加 (財産の減少が消滅) ③損失: 財産の減少及び消極的減少 (財産の増加が消滅) (例) 不法占拠 →貸す予定がなくても家賃分の損失が認められる ④ 因果関係: 社会通念上の因果関係 →騙取金で問題 ⑤ 法律上の原因 : 給付利得でも要件 →不当利得の中核 一般不当利得の効果 ①原則: 受益の全部返還 (=全部返還の原則) ∵ 法律上の原因なし ② 内容(判例) 原則: 利得した原物の返還 (原物返還の原則) ∵705 等参 例外: 原物返還不可能の場合、価格相当額の金員の返還 ∵受益者に過大な負担 ③ 返還義務の範囲: 類型論→条文類型により区別
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2 不当利得各論 □ 侵害利得 ①侵害利得: 専ら他人の財貨によって受けている利得→契約の不存在 + 侵害行為を前提 (1) 条文: 703、 704 (2) 事例: 他人の土地を無断使用・他人の財産を無断売却・二重譲渡 ②要件: 受益、損失、受益と損失との間の因果関係、法律上の原因のないこと (1)不法行為との関係 侵害利得→ 不法行為 709 となることが多い ⇒選択して請求できる (2)不法行為との違い 【不法行為】 (要件)加害者の故意または過失 (遅滞の時期)不法行為時から (消滅時効)損害及び加害者を知った時から3年/不法行為時から20年 (効果)原則、 損害賠償 【不当利得】 (要件)故意または過失は不問 (他人の財貨であることにつき) (遅滞の時期)催告時から (消滅時効)主観的起算点: 権利行使可を知った時から5年 客観的起算点: 権利行使可の時から10年 (効果)原則、 原物返還 ③ 効果: 全部返還 (1) 内容 原則: 原物返還の原則 例外: 原物返還不可能の場合 → 価額賠償義務 (2) 返還義務の範囲: 利得が法律上の原因がないことに関し、善意 or 悪意で区別 善意: 現存利益の返還 703 ※浪費分は返還不要 悪意: 全部の利益の返還→受益全部+ 利息支払義務 + 損害賠償責任 704 Q 善意または悪意を決する時期 (1) 事例: 善意で不当利得の受益→その後、 受益について法律上の原因がないと知る→利得消滅 (2) 判例: 法律上の原因がないことを事実上知った時 → 以後悪意 ∵189Ⅱとの整合 (3) あてはめ: 知った時以後は返還義務の範囲は減少しない (3) 果実: 189・ 190適用 善意: 受益者に果実収取権あり 189 →不当利得は適用されない 悪意: 返還または代価償還義務あり 190I (4) 使用利益: 果実と同様 (判例) (5) 滅失・損傷 : 191 適用 ・善意: 現に利益を受けている限度において賠償義務 ・悪意 その損害の全部の賠償義務 (6) 費用: 196 適用 → 善意・悪意不問 必要費: 占有者請求可 → 果実取得の場合、 占有者は通常の必要費負担 + 特別費請求可 有益費:有者は、 価格増加が現存する場合に限り支出金または増加額の償還を受けることができる □ 給付利得 ①給付利得: 給付の清算の対象となっている利得→契約の存在 + 給付行為を前提 ②要件: 法律上の原因がない ※ 給付があるため受益・損失・因果関係は認められる (1) 無効 : 公序良俗違反 90、意思無能力3の2、 通謀虚偽表示 94、 (2) 取消: 制限行為能力5以下、錯誤 95、詐欺・強迫96、無権代理 115 (3)解除 : 540 以下 Q 原状回復義務545I と不当利得返還義務との関係 (1) 判例・通説:原状回復義務は不当利得 703、704 の特則 (2)理由:直接効果説 → 既履行給付の原状回復は不当利得の返還 Q 原状回復義務545Iと不当利得返還義務との関係 (1) 判例・通説: 原状回復義務は不当利得 703,704 の特則 (2) 理由: 直接効果説→ 既履行給付の原状回復は不当利得の返還 ③ 効果: 原状回復義務 121の2 (1)原則 : 全部返還の原則→原物返還の原則 + 不可能な場合、価額償還義務 ⇒ 類型論→703、 704 による現存利益の返還で足りる (利得消滅の抗弁)不適用 (2) 例外Ⅱ・Ⅲ: 現存利益の返還で足りる=利得消滅の抗弁肯定 a) 無効な無償行為に基づく給付 + 善意 (例)無効な贈与+無効について善意の受領者 b) 行為時に意思能力を有しなかった者 c)行為時に制限行為能力者であった者 (3) 果実・ 使用利益・滅失・損傷 :原則どおり(有力説) (4) 費用: 196、608 類推適用 ④ 権利の行使期間(不当利得返還義務全般) (1) 遅滞 : 期限の定めのない債務(判例) →催告を受けた時から412Ⅲ (2) 消滅時効 主観的起算点: 知った時から5年間行使しない時 客観的起算点: 権利を行使できる時から 10年間行使しない時 □ 特殊不当利得 ① 特殊不当利得: 給付利得の特殊な場合 :705~708 による給付利得の更なる特則 ・非債弁済: 債務がないにも関わらず弁済がなされた場合 705、 706 、707 ・不法原因給付:不法な原因に基づいて行われた給付 708 ② 非債弁済 :債務の不存在を知ってした弁済 705・他人の債務の弁済 707・ 期限前の弁済706 ⇒ 要件・効果に特則 →要件充足により返還請求不可 ※期限前の弁済706は「非債弁済:(債務がないにも関わらず弁済がなされた場合 )」ではない?→実益がないのでスルー (1) 債務の不存在を知ってした弁済705 (例) 借金がないと知ってる →借金の返済として弁済 a) 要件 債務不存在 : ◯:無効・取消・弁済∵理由不問、 × :公序良俗違反による無効 給付: ◯: 一部弁済、契約不適合物の給付 ∵債務の本旨に適合している必要はない 任意は必要→強迫・強制執行による場合も要件を満たす 不存在悪意: 善意有過失では705は適当されない(判例) ∵悪意者を保護しない=過失者は保護 b) 効果: 給付した者は返還請求不可 (2)他人の債務の弁済 707 ・弁済者(第三者) が他人の債務として弁済→第三者弁済 474 ・弁済者(第三者) が自己の債務と誤信して弁済→他人の債務の弁済707 a) 趣旨: 善意の債権者保護 ∵債権存続 ※債権者が担保の放棄などをしてしまうことがある b) 要件 ・他人の債務:× 弁済者が他人の債務を誤信した場合 (判例)∵707の適用場面は「自己の債務」を誤信した場合 ・錯誤による弁済: ○保証人・連帯債務者ではない者が自己がそうであると誤信した場合も707に該当(判例) ・善意の証書滅失等 : 滅失・損傷→〇返還した場合も該当 (判例) c)効果: 返還請求不可。但し、 求償権行使可 (求償利得) (3) 期限前の弁済 706 a) 特徴: 法律上の原因あり→不当利得不成立・返還請求不可 b) 要件: 錯誤による期限前の給付 c)効果: 中間利息返還請求可
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他人の債務の弁済 707 ・弁済者(第三者) が他人の債務として弁済→第三者弁済 474 ・弁済者(第三者) が自己の債務と誤信して弁済→他人の債務の弁済707
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不法原因給付 708 (1) 意義 : 不法な原因のために給付をした者 →返還請求不可 ⇒ 公序良俗違反 90 と表裏一体 (2) 趣旨: 法を守る者だけが法の救済を受ける=クリーン・ハンズの原則 (3) 要件: 適用は制限的 a) 不法: 強行法規に違反 かつ 倫理・道徳に反する醜悪なものを必要 × 強行法規違反のみでは708は適用されない。「倫理・道徳に反する醜悪なもの」がポイント。 ・肯定判例: 妾契約維持目的の妾への不動産贈与、 密輸のために借金、 賭博のために抵当権設定 ・否定判例: 石油製品配給規則違反の給付 b) 原因: 目的・動機 →当事者が悪意なら原因となりうる (判例)密輸のために借金→借主は詐取目的で貸主に告知→返還請求肯定 ∵詐取した者を利する結論は不当→目的動機について悪意だからと言って常に708が成立するわけではない c) 給付 : 終局的な利益の移転が必要 ・動産→占有改定以外の引渡し ・不動産 -既登記不動産 →登記が必要(引渡しのみでは足りない) -未登記不動産(新築建物等) →引渡が必要 (登記不要) d) 範囲制限: 不法な原因が受益者にのみ存するものではない→受益者にのみ原因 = 返還請求可 →給付者と受益者の不法性を比較 →受益者不法性が大きい場合は返還請求可 ∵通常、両者に原因がある (判例)賭博目的の借金→当事者悪意 + 貸主が執拗な催促を受けた or 強迫や詐欺を受けた→708否定 (4) 効果: 給付者は返還請求不可 (判例)給付者の債権者による債権者代位 423は行使不可、詐害行為取消権424 行使可(424を行使して返還請求を求めるときは708は適当されない) ∵423は給付者の権利、424は独自の権利 (判例)不法原因給付の返還特約→有効 ∵ 趣旨 (例)賭博契約で交付した金銭の返還契約 ※ 短答頻出 Q 不動産贈与における 708の適用 (1) 事例: 愛人契約による不動産贈与契約→708 適用→不動産所有権の帰属は? (2)問題の所在(3つの問題) a) 給付者に所有権→所有権に基づく返還請求権の行使の可否 b) 給付者の返還請求不可 + 給付者に所有権→不動産の所有権の帰属 c) 未登記不動産の場合、引渡しのみで708適用→受益者による移転登記手続請求の可否 (3) 判例 a) 所有権に基づく返還請求→否定 ∵趣旨 : 給付者が行った不法行為の救済を認めない→所有権に基づく返還請求権に708適用 b) 不動産の所有権の帰属→(請求不可の時に)受益者に移転 ∵返還請求ができないことによる反射的効果 c) 受益者による移転登記手続請求の可否→肯定 ∵実体的権利関係の繁栄
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□ 支出利得 Bランク ① 支出利得: 受益者への直接の給付以外の方法による利得 ・費用利得: 他人の物に対し財産または労務を投下した場合 ・求償利得: 他人の債務を弁済するため債権者に給付した場合 ⇒ 適用領域が少ない ∵ 事務管理・個別規定・学説 + 受益者にとって利得の押付け →返還範囲制限 ② 費用利得 (1) 特徴: 給付行為なし (受益者が何かをもらったと言う関係ではない)(給付利得はあり)・損失者の意思に基づく行為 (侵害利得は意思なし) (2) 要件: 703-受益 ・損失・ 因果関係・法律上の原因なし (3) 効果: 常に価格返還 ③求償利得 (1) 特徴: 給付行為あり + 損失者と受益者との間に第三者たる債権者が介在 (2) 要件: 703-受益・損失・ 因果関係・ 法律上の原因なし (3) 効果: 求償権発生+468I類推 多当事者間の不当利得 ① 多当事者間の不当利得: 損失者·受益者間に第三者が介在し、 その第三者と不当利得が問題となる場合 ・直線型:「 A→B→C 」と2回の利得 (例) 詐欺で取得した金で弁済 ・三角型:「 A→B+ Cの関与」と1回の利得 ※CはA、B両方に関与 (例) 無効なクレジットカードで弁済 ⇒衡平説で処理 (深入りしない。メリットない) (1) 直線型: 騙取金による弁済・誤振込・転用物訴権 (2) 三角型: クレジットカード以外省略 ※これら以外は出ない(複雑すぎる。学説錯綜) ② 騙取金による弁済 →騙取金:騙し取られた金銭 + 窃盗・ 横領・ 強迫等も同様 Q 騙取金による弁済における損失者による弁済受領者に対する不当利得返還請求の可否 (1) 事例: AからBが100万を騙取 →BがCに騙取金で債務を弁済 → AがCに703 (2)問題の所在: 703 の要件 (受益・損失有∵A損失有、C受益有)→因果関係の有無 + 法律上の原因の有無が問題 (3) 判例・通説 a) 因果関係: 社会通念上の因果関係があれば足りる →社会通念上、損失者の金銭で受益者の利益を図ったと認められる連結があること →≒ほとんど成立(緩い) b) 法律上の原因がない : = 実質的・ 相対的な理由がない → 実質的= 形式面のみでなく(受益者の)主観面も考慮 相対的=人ごとに判断 (AC間・BC 間とは結論が異なりうる) ⇒騙取につき、 悪意または重過失がある場合は法律上の原因なし (4) 結論: 騙取につき悪意または重過失があれば返還請求可 ③ 誤振込み: 自己の銀行口座から誤った銀行口座を指定して送金した場合 ⇒ 銀行 (第三者) が送金を仲介→ 多当事者間の不当利得 (1)基本用語 ・仕向: 送金を他の銀行に対して実施すること。 送付。 ・仕向銀行 : 送金元となる銀行 ・被仕向銀行:送金先となる銀行 (2) 振込 :振込依頼人→ 仕向銀行→被仕向銀行→受取人 ※写真参照 (3) 預金債権: 誤振込の原因となる法律関係の存否に関わらず、受取人と被仕向銀行間で成立(判例) ∵ 金銭所有権= 占有者 + 実務上原因関係の判断は困難 (4)誤振込における703の可否 ⅰ【損失者(返還請求をする人)=振込依頼人 / 受益者(返還請求をされる人)=受取人】 請求内容: 不当利得返還請求 結論: 肯定 ∵預金債権は振込依頼人に帰属 ⅱ【損失者=振込依頼人 / 受益者=仕向銀行】 請求内容:不当利得返還請求 結論:否定 ∵通常、振込依頼人に重過失95Ⅲ ※振込先入力間違いは普通重過失 ⅲ【損失者=受取人 / 受益者=被仕向銀行】 請求内容:預金払戻請求 結論:特段の事情がある場合を除き、肯定 ※「特段の場合」=詐欺で振り込ませたなど ⅳ【損失者=振込依頼人 / 受益者=被仕向銀行】 請求内容:不当利得返還請求 結論:受取人が組戻 + 相殺により回収した場合、肯定 ※ 短答向けで、複雑な話なので結論だけ抑えればok ④クレジットカードによる無効な弁済 (判例)第三者(カード会社)は受益者(消費者。カード名義人)に対して703可
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⑤ 転用物訴権 :給付が第三者の利益ともなった場合にその第三者に不当利得返還請求をすること Q 転用物訴権の可否 (1) 事例: AがBの依頼によりC所有のブルドーザーを修理 ⇒ ブルドーザー事件 S45.7.16,ビル改修事件 H7.9.19 (2) 問題の所在: 703 の要件 (受益・損失有)→因果関係の有無 + 法律上の原因の有無が問題 (3) 判例 a) 因果関係: 修理によりA損失・C受益 直接の因果関係あり + B受領は妨げにならない ⇒第三者が介在しても直接性あり。 社会通念上の因果関係とは異なる (ブルドーザー) b) 法律上の原因 : 原則、なし。 ∵ Bが依頼しており債務を負っている。AはBに請求できる。 →ただし、例外的にあり 【ブルドーザー事件】 (結論)Bが無資力であれば、無資力のために無価値である限度で肯定 (回収できなかった限度で肯定) (理由)利得はAの損失に由来 【ビル改修事件】 (結論)Bが利得に対応する反対債権(BのCに対する費用償還権)を有しない場合で、利得がBC間の関係全体からみてCにとって無償と認めれれる ※借主が自己負担で補修することを条件に安く貸していたらCにとって無償とは言えない) →肯定。 Cにとって無償行為なら肯定(Cにとってぼたもち的なら肯定) (限定的承認説) (理由)実質的・相対的理由がない 賃貸人に二重の負担を強いる ⇒ 関係当事者の利害をふまえその範囲を限定≒ 衡平説
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1 不法行為総論 不法行為 ① 不法行為制度: 故意または過失により他人の権利・利益を侵害した者に対し損害の填補を請求できる制度 (1)不法行為: 故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為 (2) 典型例 : 加害者が被害者を殴る → 被害者が怪我→治療費等が100万→ 加害者に請求 (3) 条文: 709 (4) 特徴 ・相手方の利得を前提としない⇔不当利得 703 ・ 契約等による債権債務関係を前提としない⇔債務不履行 415 ② 目的: 損害の填補 ⇒ 懲罰的損害賠償制度は不採用 ※不法行為の抑止や制裁は刑法 ③過失責任の原則: 不法行為に基づく損害賠償請求権の発生には加害者の故意または過失が必要という原則 ⇒ 故意または過失がなければ不法行為責任を負わない = 過失責任主義 ⇒ 例外的に修正 →報償責任 715・危険責任 717 ④ 不法行為の種類 (1)一般不法行為:原則的な不法行為についての規定→709 (2)特殊の不法行為:一般不法行為を修正した民法の規定→714〜719 (3) 特別法による不法行為: 一般不法行為を修正した特別法の規定→失火責任法・国家賠償法等 ⑤ 一般不法行為の概要 (1) 要件 a) 故意または過失 b) 権利または法律上保護される利益の侵害 c)損害の発生 d) 因果関係 e) 不法行為責任の成立を阻却する事由のないこと (2) 効果: 損害賠償 2 一般不法行為の要件 □ 故意または過失 ① 故意: 一定の結果発生に対する認識・認容 (認容説・通説)≒ 刑法 (1) 性質: 客観的な行為義務違反 (2) 結果: 過失との区別 a) 債権侵害→ 故意がある場合に限り損害賠償義務 b) 賠償範囲・過失相殺→ 故意により範囲が変わりうる ②過失: 予見可能性を前提とした結果回避義務違反の行為 (新過失論・通説)≒刑法 (1) 性質: 客観的な行為義務違反 (2) 判断基準 a) 基準者 ・具体的過失: 行為者本人の具体的な注意能力を基準 ・抽象的過失: 平均的な人 (加害者の属する社会的・人的グループ) の注意能力を基準 (判例) ※(判例)医師は一般人より高度な注意義務あり →慣例があっても直ちに否定されるものではない(輸血前の問診を実務上行わない慣例があった事案) b) 基準時:不法行為時 (3) 信頼の原則: 他者の適切な行動への信頼が相当→他者の不適切な行動による結果への責任は問わない ・(判例)追抜き中の車→並進車が進行妨害→ 交通事故→予見可能性ありでも注意義務なし ③立証責任 : 加害者の故意・過失につき被害者 (請求する側) が負担 ※債務不履行は債務者(請求される側) が負担 ・過失があったと評価できる具体的事実 (立証対象)→過失 - 立証責任の転換 (法律上の推定): 立証責任は加害者側が負担 - 一応の証明 (事実上の推定):立証責任は被害者側が負担。 但し、立証の負担軽減 □ 権利または法律上保護される利益 ①権利侵害: 改) 改正前:権利侵害 改正後:権利または法律上保護される利益を侵害 ⇒ 具体的権利といえないものでも法的保護を与えることが可能 (大学湯事件 ⇒違法性が必要 →被侵害利益と侵害行為の態様との相関関係で決まる (有力説) ②) 被侵害利益 (1)財産権 a) 物権 :原則、709 可 b)債権 :原則、 709 可 (類型に応じ要件を修正) c) その他:侵害態様により判断 ・(判例)営業上の利益侵害 : パチンコ店妨害のため公園を寄付・脅迫により販売停止→709 成立しうる ・(判例)不当訴訟:訴訟提起が著しく妥当性を欠くときに限り、 709 成立しうる∵憲32 2)生命・身体: 過失責任が厳しく問われる ・(判例)医師の治療行為に過失 →医療行為と死亡との因果関係の証明がない ⇒ 医療水準にかなった医療があれば患者が生存した相当程度の可能性が証明された場合、 709 成立 ・(判例)建物の瑕疵により生命・身体に侵害 → 建物設計・施行者等の居住者等に対する709責任 ⇒ 安全性に配慮すべき注意義務あり → 特段の事情がない限り、709 成立 ※特段の事情:居住者等が欠陥を知っていた場合等 (3) 公害・生活妨害 受任限度論で処理(判例・通説) a) 受忍限度論: 社会生活上受任するのが相当とされる限度を超える場合は違法な侵害 → 709 成立 ・(判例)騒音被害 : 空港の騒音被侵害利益・侵害行為の態様・公共性を考慮して受忍限度を判断 ⇒ 過去の騒音被害は国賠請求認容・ 将来の騒音被害は却下 ∵程度の確定が困難S56.12.16 ・(判例)日照妨害: 増築で日照妨害被侵害利益・侵害行為の態様・社会的妥当性を考慮して受忍限度を判断 → 709 成立 ∵増築自体が建築基準法違反-S47.6.2 7 ・(判例)眺望侵害 : 建築で景観侵害良好な景観自体は法律上保護に値する、 権利性ない・要件は厳格に判断 →709 不成立 ∵建築自体に違法性なし-H18.3.30 (4) 内縁・婚姻関係: 法律上保護される利益に該当 →不当破棄は709 可。内縁も婚姻に準じる a) 不当の判断基準: 社会常識から総合考慮 b) 配偶者と第三者の不貞行為 ・ 他方配偶者が第三者に 709 →709 可 ∵婚姻共同生活の平和の維持侵害 ・他方配偶者が第三者に 709 + 婚姻関係は破綻済 →709不可。∵権利侵害なし ・ 配偶者の子が第三者に 709 →監護権阻止等特段の事情なき限り 709 不可 (5) 名誉・プライバシー : 法律上保護される利益に該当 + 表現の自由との調整が必要 (判例) a) 名誉毀損の免責事由: 公共の利害・公益目的・真実性(または相当な理由)≒刑230の2 ※意見の場合 : 真実性=論評の前提とする事実の重要な部分について真実であること+論評の域を逸脱しないこと b) プライバシー侵害の免責事由: 公表されない法的利益と公表する理由との比較衡量
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ロ 損害の発生 ①損害: 不法行為等があった場合となかった場合との利益状態の差を金銭で表示したもの (差額説一判例通説) ②損害の種類 非財産的損害: 財産的損害以外の損失 (例) 慰謝料 (精神的苦痛) 財産的損害:財産に被った損失 ・積極的損害:保有財産の消滅による損失 (例)治療費 ・消極的損害: 将来得ることができた利益を得られないことによる損失 (例) 入院中の給料 ※消極的損害= 逸失利益・得べかりし利益 □ 因果関係 ① 因果関係: 加害行為(不法行為)と損害との間の因果関係 (加害行為 →権利侵害 →損害) ②相当因果関係説(判例通説): 事実的因果関係 (条件関係) + 相当性 が必要 ・事実的因果関係(条件関係) : 「あれ (加害行為) なければ、 これ (損害)なし」 ・相当性:加害行為によって損害が生じることが社会的・規範的に相当と評価できる ③判断基準時:事実審口頭弁論終結時 ※ 故意過失:不法行為時 ※709の因果関係が大きな論点になることはない □不法行為の成立阻却事由 ・責任能力:自己の行為が違法なものとして法律上非難されるものであることを弁識しうる能力(民法) ・未成年者 712: 12歳程度から認める→個別的に判断(判例) ・精神上の障害 713: 心神喪失者等を対象→一時的に故意または過失による場合を除く ⇒加害者側に主張立証責任 ∵権利障害規定 ②正当防衛 720I 防衛行為の対象に第三者も含む刑法の正当防衛 ≠ 刑法の正当防衛及び緊急避難 ③ 緊急避難 720Ⅱ:他人の物から生じた急迫に危難をさけるために限定 ≒刑法の対物防衛 ④ 被害者の承諾・正当行為・自力救済 : 刑法と同様
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3 一般不法行為の効果 ◻︎概要 ①一般不法行為の効果=損害賠償 = 被害者は加害者に不法行為に基づく損害賠償請求ができる 709 (問題となる4場面) ・損害賠償の方法→金銭賠償・原状回復・事前差止 ・損害賠償の範囲→損害の金銭的評価 ・損害賠償の調整→過失相殺、損益通算 ・損害賠償の権利→性質(譲渡の可否等)・請求権者・消滅時効・代位 □ 損害賠償の方法 ① 賠償方法 ・原則: 金銭賠償の原則 722Ⅰ, 417→損害を金銭に評価して賠償 ∵ 原状回復より便利・適切 ・例外: 原状回復・事前差止も一定の要件を満たせば可 ② 支払方法 条文なし→同意または被害者の請求があれば一時金方式と定期金方式の双方が可 (判例) ・一時金方式: 将来にわたり継続的に発生する損害も含め全損害を一時で賠償させる方式 ・定期金方式: 将来の損害についてはその発生時期の経過ごとに賠償させる方式 ③ 中間利息: 一時金方式の場合→請求権が生じた時点における法定利率により控除 722, 417の2I ④ 原状回復→事後の特約、明文 (723) がある場合に限る(判例) ⑤ 事前差止→ 物権的請求権または人格権に基づき認める + 受忍限度論・違法性段階説(判例) ・(判例) 国道43号線公害規制訴訟 (1) 事例: 高速道路建設→周辺住民が騒音・排ガス等により損害→差止+損害賠償等請求 (2) 結論: 損害賠償:認容 事前差止:棄却 (3) 理由 ・損害賠償 :受忍限度を超えた・社会的有用性等はあるが不可欠性・彼此相補(かしそうほ)の関係にはない ※国道は近隣住民にとっては生活に不可欠ではない。 ・事前差止: 社会的有用性・公共性から金銭賠償よりも高度な違法性が必要 □ 損害賠償の範囲 ① 賠償範囲: 事実的因果関係 + 相当因果関係説(判例通説) →損害を金銭的に評価したものが賠償額 (1)相当因果関係説: 社会通念上相当と考えられる(=相当因果関係の) 範囲内の損害に限り賠償 ⇒不法行為について 416類推適用 (≒債務不履行と同様)→判断基準も相当因果関係説 (2) 判例 ◯相当因果関係の範囲内の判例):不当な仮差押 からの解放のために支払った供託金の利息 ×相当因果関係の範囲外の判例):不当な仮処分 により 融資不可になったことによる事業遅延に対する賠償 ②損害の金銭的評価: 個別損害項目積上方式 + 差額説 ・個別損害項目積上方式: 損害を積極的損害・消極的損害 ・非財産的損害等に分離→項目毎に算定・合計 ・差額説: 不法行為があった場合となかった場合との利益状態の差を金銭で表示 ③算定方法 (1) 積極的損害 a) 死亡: 治療費・入院費・葬儀費用・墓碑建設費・仏壇購入費(判例) b) 傷害 : 治療費・入院費・介護費用 (2) 消極的損害 a) 死亡 : (死亡時の年収)× (就労可能年数) - (中間利息) (判例)無職、年少者等死亡の場合の逸失利益の請求→平均賃金の統計等、 蓋然性のある額なら請求可 (判例)男女の賃金格差を前提とした逸失利益の請求→男女の平均賃金等、 適正なら男女格差容認 b) 傷害 ・休業損害: 1日の基礎収入×休業日数 ・後遺症 : 後遺障害等級・期間に応じて算定 (判例) ・1日の基礎収入→ 原則、 無職等は請求不可・主婦等は請求可 ∵実際の収入 ・労働能力の一部喪失・収入の減少なし → 特段の事情のない限り、 財産上の損害を認めない ・加害者の不法行為による後遺症→その後、被害者が第三者による別の原因によって死亡 ⅰ 後遺症による逸失利益→特段の事情のない限り、 死亡時以降の就労期間も算入 ⅱ 介護費用→死亡時以降は請求不可 ⅲ 第三者の賠償すべき逸失利益 →加害者により低下した労働能力を前提に算定 (3) 非財産的損害: 精神的損害 (慰謝料) →原則、社会通念・ 自由心証より算定 (算定表・相場はある) ⇒ 算定に至る根拠を表示する必要なし・懲罰的損害賠償機能は否定(判例) (4) 物的損害の算定 a)物の滅失・修理不能→交換価値が賠償額 ・交換価値の価格の基準時:債務不履行と同様の基準 ∵ 416類推適用 ⇒ 原則、履行不能時の価格→中間最高価格:予見すべき場合。騰貴中:事実審の口頭弁論終結時 b) 物の修理可能 →原則:修理費 例外: 損傷後の価格 + 修理費 > 損傷前の価格の場合、損傷前の価格との差額のみ(判例) ※損傷前:100万円 損傷後70万、修理費60万の場合、30万円のみ c)物の不法占有→賃料相当額が賠償額
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ロ 損害賠償の調整 ・過失相殺 : 被害者に過失 ・損益相殺 : 被害者に利益 ➡︎損害賠償額を減額することで調整 ① 過失相殺 : 被害者に過失がある場合に裁判所がこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる制度 (例)わき見運転により出会い頭に衝突事故・損害100万→Vは一時停止無視 で過失割合60% (図) (1) 条文 : 722 Ⅱ (2) 趣旨: 損害の公平な分担 Q722Ⅱの「過失」は709 の「過失」と同じなのか (1) 事例: 加害者 (20歳) のわき見運転・衝突事故 →被害者 (10歳) の信号無視( 責任能力なし) (2) 問題の所在: 722 Ⅱ の 「過失」 → 被害者の責任能力が必要となるか ※709の過失は責任能力の存在が前提 (3) 判例: 責任能力不要、事理弁識能力 (5~6歳) は必要 →722の「過失」は709の「過失」とは異なる (4) 理由: 722の趣旨は損害の公平な分担→ 過失 =公平の理念に基づいて賠償額を減縮するために考慮≠通常の過失 (3) 効果 (債務不履行における過失相殺との相違) 【債務不履行】 条文:418 効果:減額のみならず責任の否定も可能 考慮の形態:必要的考慮「定める」 【不法行為】 条文:722 II 効果:減額のみ 考慮の形態:裁量的考慮「定めることができる」 (4) 被害者側の過失: 被害者に過失がない場合で、 被害者と一定の関係にある者に過失があるとき Q 被害者側の過失がある場合の過失相殺の可否 (1) 事例: 出会い頭交通事故→夫の運転する車に同乗する被害者 (妻)が怪我。 夫が一時停止無視 (2) 問題の所在: 夫:過失あり、被害者:(妻) 過失なし。 722Ⅱ不可?→被害者側の過失と考慮できるか? (3) 判例: 特段の事情のない限り、考慮できる (4) 理由: 損害の公平な分担 →722 Ⅱの被害者は被害者側も含む (5) あてはめ : 被害者と身分上または生活関係上一体をなすとみられる関係にある者 = 被害者側 ◯:配偶者・内縁配偶者 x : 保育士・恋人・同僚 (5) 被害者の素因: 不法行為前からの被害者の心身状態により損害の拡大または競合して発生させたもの ・心因的素因: 被害者の心理的・精神的な問題 (例) 被害者の性格、 精神上の疾患、ストレス耐性 ・体質的素因: 既往症や体質的な問題 (例) ヘルニア、 首が長い ( . むち打ちが強度) Q 被害者の素因による過失相殺の可否 (1) 事例: 不法行為→被害者に損害が発生→素因により損害が発生または拡大 (2) 問題の所在: 被害者に過失なし 722Ⅱ不可? →被害者の素因はある (3) 判例 【心因的素因】 原則: 722Ⅱ類推適用:肯定 (理由)損害の公平な分担 例外:過労による自殺:722Ⅱ類推適用:否定(特段の事情がある場合を除き) (理由)予見すべきといえる 【体質的素因】 疾患: 722Ⅱ類推適用:肯定 (理由)損害の公平な分担 身体的特徵:722Ⅱ類推適用:否定(特段の事情がある場合を除き) (理由)被害者に慎重さを要求できない ② 損益相殺: 不法行為により被害者が損害と同時に利益も受けた場合にその利益分を控除すること (1) 条文 : 明文なし → 公平の概念から認められる (判例) (2) 判断基準: 原因の同一性と利益 ・損失の同質性(判例) (3) 具体例 ◯: 生活費(幼児の養育費は除く)、給付が確定した社会保険(原則・遺族年金等)、自賠責保険金 x: 生命保険金、 損害保険金、香典 ・見舞金 □ 損害賠償請求の権利 ① 請求権者: 被害者 →自然人・法人・権能なき社団 (民訴29) 、胎児 (停止条件説 721) (1) 生命侵害の場合 a) 積極的損害: 請求権者=支出者 b) 消極的損害: 被害者に帰属した後に相続 (相続説)→即死も同様・近親者固有の損害は否定 (判例) c)精神的損害 : 父母・ 配偶者及び子に慰謝料請求権あり 711 →近親者の精神的損害と被害者の精神的損害が問題 Q 711 以外の近親者等の慰謝料請求権 (1) 事例: 不法行為により妻が死亡→ 夫の妹が長期間介護を受けた→妹が精神的損害により慰謝料請求 (2) 問題の所在: 711 の性質 (3) 判例: 父母・配偶者及び子に限定ではない→これらの者なら精神的損害の発生の立証不要の趣旨 ⇒ 実質的に同視すべき身分関係があり、死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者 →711 類推適用可 (4) あてはめ: 長期間介護→家族同然→慰謝料請求しうる Q 生命侵害における被害者本人の慰謝料請求権 (1) 事例: 不法行為によりV死亡→父母等は慰謝料請求可→ 父母等と別に被害者の慰謝料請求? (2) 問題の所在: 慰謝料は一身専属的権利Vの請求の意思が必要で、それにより相続 (旧判例)→妥当でない (3)現判例: 慰謝料請求権を放棄したと解される特別の事情がない限り当然に相続される (4) 理由: 旧判例について、即死の場合は慰謝料請求不可は不均衡・単純な金銭債権 (2) 傷害の場合: 被害者生存 (生命侵害の場合は死亡) a) 積極的損害 : 被害者または支出者のいずれか(判例) b) 消極的損害 : 被害者 c) 精神的損害 : 被害者 Q 近親者等の慰謝料請求権 (1) 事例 : 娘が交通事故で顔面に深い傷跡→母親が精神的損害を受けたとして慰謝料請求 (2) 問題の所在 : 生命侵害の場合、 近親者に慰謝料請求権 711 →生命侵害ではない場合は不可? + 被害者請求可 (3) 判例: 原則、 不可。但し、死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を受けた場合には可 (4) あてはめ:709、710 に基づき認める (3) 間接被害者: 被害者の損害により被害者以外の者にまで損害を生じさせた場合の被害者以外の者 Q(企業損害)の損害賠償請求権 (1) 事例: 会社代表が不法行為による交通事故で負傷→ 会社が代表者欠如により損失→損害賠償請求 (2)問題の所在: 会社は直接の被害者ではない・ 損害の公平な分担 (3)判例: 原則、不可。 但し、会社=個人会社・機関としての非代替性・経済的一体性があれば会社による損害賠償請求も可 (4)理由: この場合、被害者 ≒ 会社と言える (5) あてはめ: 認められる ※個人会社の薬局の代表者だった事例
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図
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②損害賠償請求権の性質 (1) 譲渡性: 債権譲渡・差押え・債権者代位権による代位行使等の可否 a) 財産的損害:可 b) 精神的損害 (判例) ・生命侵害:不可 ∵ 一身専属権 ・上記以外: 原則、不可。ただし、具体的金額の慰謝料請求権が当事者において客観的に確定した場合は可 (2)相続性:可(判例) (3) 履行遅滞時: 不法行為の時から (4)相殺の可否: 下記以外の場合、可 ⇒ 悪意または生命・身体侵害による場合の債務者は当該債権を受働債権とする相殺は不可 509 ※被害者が自動債権とすることは可 (5)賠償者の代位: 422 類推適用により代位可(通説) ∵ 二重の利得の防止 ③消滅時効(改)主観的起算点または客観的起算点のいずれか早い時724、724の2 (写真) (1)改正ポイント: 改正前:除斥期間 (判例) → 改正後:消滅時効 (2) 短期消滅時効 ・損害を知った時: 被害者が損害の発生を賠償請求が可能な程度に現実に認識した時 ・加害者を知った時: 加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに可能な程度に知った時 ⇒ 賠償請求不可=進行不可、 賠償請求可=損害の程度金額をしらなくても進行 ・(判例) 土地の不法占有: 侵害継続により損害は日々発生+知った時から別個の進行(個別進行説) ・(判例) 騒音・大気汚染による健康被害 : 不法行為終了時から進行 (全部進行説) →継続・分断可能= 個別進行 累積・ 統一的 = 全部進行 ・(判例) 交通事故による後遺症 後遺症発見時 (3) 不法行為の時 ・損害発生時=加害行為時 →加害行為時 ・損害発生時=加害行為後相当期間時 →損害発生時
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①概説: 一般不法行為の要件・効果を修正 (1) 特徴 ・一般不法行為:過失責任+ 被害者の立証責任 ・特殊不法行為: 過失責任の不適用+加害者の立証責任⇒ 要件が異なる (2) 趣旨 被害者の保護 (3)種類 監督者責任 714、使用者責任 715 →直接の加害者以外の者による責任 工作物責任 717、動物占有者責任 718 →加害者の物による責任 共同不法行為 719 →複数の加害者による責任 □ 監督者責任 ①監督者責任 : 責任無能力者が第三者に損害を生じさせた場合に監督義務者に賠償義務を生じさせる責任 (1) 条文 : 714 (2) 基本用語 ・責任無能力者 : 民事上の責任能力を欠く者 (例) 未成年者 ・監督義務者:責任無能力者を監督する義務を負う者 (例) 親権者 (3) 趣旨: 責任無能力者による被害者の保護 ② 要件 (1)責任能力以外の一般不法行為の要件充足 ・(判例)児童同士で鬼ごっこ →鬼ごっこ中におんぶして転倒→傷害 →違法性阻却 →714 不成立 (2) 加害者が責任無能力者 (3)監督義務違反 (判例)サッカーの練習中にボールが道路に。故意ではない&常態でもない→ バイク運転手が転倒 →死亡 ⇒ 714 不成立 ∵ 予見可能等特別の事情なき限り、通常危険が及ぶものとはみられない行為で偶然に損害→免責 (4)監督義務違反と損害発生との間の因果関係 → ないことを立証できれば免責されるが、免責はまれ Q 加害者が未成年者だが責任無能力者ではない場合の監督責任 (1)問題の所在: 責任無能力者(約12歳未満)の場合 は714適用。未成年でも約12歳以上なら714不適用?→未成年には一般に資力がなく被害者保護に欠ける (2) 判例: 714 否定 ⇒ 監督義務違反及び損害との間に相当因果関係→709 成立 + 立証責任は被害者 ※立証責任は714は加害者側、709は被害者側 (3) 理由: 被害者保護 + 714 は 709 の特則 ③ 効果: 監督義務者に損害賠償義務 + 中間責任 ※中間責任:過失の有無についての立証責任を加害者に求めること (1) 監督義務者 → 法定監督義務者代理監督者準監督義務者≒監督義務者等 法定監督義務者 代理監督義務者 責任無能力者を監督する法定の義務を負う者 (例) 親権者未成年後見人 :責任無能力者の監督を法定監督義務者から受託した者 (例) 保育士 上記以外で事実上監督している者 準監督義務者 ◯ 準監督義務者の監督者責任 (1) 事例: 精神障害者福祉法上の保護者・成年後見人・配偶者 752 (2) 問題の所在: ≠親権者→ 賠償責任は過大な負担 (3) 判例 総合考慮して、衡平の見地から責任を問うのが相当と言える客観的状況が認められれば肯定 ⇒ 上記事例は法定監督義務者ではない + 当然には認められない (2) 中間責任:加害者に証明責任を転換 714 但 □ 使用者責任 ① 使用者責任 : 被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えた場合に使用者に生じる賠償責任 (1) 条文 : 715 (2) 基本用語 ・使用者 : ある事業のために他人を使用する者 (例) 雇用者 ・被用者 : ある事情のために他人に使用される者 (例) 従業員 (3) 趣旨: 報償責任 「利益ある所に損失もまた帰する」 ② 要件: 使用関係・事業の執行・被用者の709・免責事由の不存在 (1) 使用関係の存在 : ある事業のために他人を使用 (使用関係) する者 ・事業≒仕事→継続性、 営利性、 合法性は不問 ・使用: 実質的な指揮監督関係 → 一時的な指揮監督関係も含む ・〇 雇用関係、兄が弟に車を運転させた、暴力団員が恐喝をさせた、名義を貸与した(会社の名義を貸すだけでも使用関係あり) ・× 委任での受任者、請負での請負人・下請負人 ∵自主性・独立性あり (2)事業の執行について行われた加害行為 (事業執行性) a)判断基準: 客観的にみて外観上業務執行と同一の外形を有する(外形標準説・判例通説) ∵報償責任に基づく損害の公平な分担 b) 取引的不法行為 ◯ : 会社員が手形等を偽造 (権限の濫用・逸脱に該当) ∵外形標準説 x : 職務権限外で不法に行われ、かつ相手方が悪意または重大な過失により善意の場合 b) 取引的不法行為 : ○ 会社員が手形等を偽造 (権限の濫用・逸脱に該当)∵. 外形標準説 Lx : 職務権限外で不法に行われ、かつ相手方が悪意または重大な過失により善意の場合 c)事実的不法行為 ◯社用車を従業員が私的にまたは勤務時間後に利用し交通事故 〇 従業員が他の従業員により勤務中の危険運転を契機に暴行を受けた⇒暴行 → 事業の執行を契機としこれと密接な関連を有すると認められるかどうかによって判断 x : 事業執行を契機に以前から対立→勤務中に従業員の侮辱的言動から暴行 ∵ 私的な喧嘩 (3) 被用者の行為が709 の要件を満たす (4) 免責事由の不存在 : 実務上ほぼなし (≒事実上、無過失責任) b) 取引的不法行為 : ○ 会社員が手形等を偽造 (権限の濫用・逸脱に該当)∵. 外形標準説 Lx : 職務権限外で不法に行われ、かつ相手方が悪意又は重大な過失により善意の場合 c)事実的不法行為 O 社用車を従業員が私的に又は勤務時間後に利用し交通事故 〇 従業員が他の従業員により勤務中の危険運転を契機に暴行を受けた ⇒ 暴行 → 事業の執行を契機としこれと密接な関連を有すると認められるかどうかによって判断 > x : 事業執行を契機に以前から対立勤務中に従業員の侮辱的言動から暴行 ∵ 私的な喧嘩 (3) 被用者の行為が709 の要件を満たす (4) 免責事由の不存在 : 実務上ほぼなし (≒無過失責任) ③ 効果: 使用者に損害賠償義務 + 中間責任 +求償可 (1) 損害賠償: 不真正連帯債務→ 補充性・催告の抗弁権等なし •(判例)被用者の行為が国家賠償法の公権力の行使に該当→国賠法が優先適用→709適用されない→715適用されない (2) 中間責任 : 加害者に証明責任を転換 715I但→実例ほぼなしのため、実質的には無過失責任 (3) 求償権: 使用者は被用者に対して求償可→ 原則、 被用者に賠償義務 Q求償権の制限の可否 (1) 使用者責任の性質 : 被用者の不法行為に使用者が被用者に代わって賠償責任を負う(代位責任説・通説) (2) 問題の所在: 代位責任説→求償権の制限はできない? (3) 判例: 諸般の事情を考慮し、 信義則上相当と認められる限度に制限できる (4) 理由: 報償責任→ 損害の公平な分担が必要 ④注文者の責任 : 注文者は請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない (1) 条文 : 716 (2) 趣旨: 請負人は注文者の指揮監督外 →715 不適用の明確化 (3) 但書 注文者に過失があれば賠償責任あり(注意規定)
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□工作物責任 ① 工作物責任 : 土地の工作物の瑕疵により他人に損害を与えた場合に占有者・所有者が負う賠償責任 (1) 条文 : 717 (2) 趣旨: 危険責任 「危険源を設置・管理している者はそこから生じた損害についての責任を負う」 ②要件: 土地の工作物による・ 設置または保存の瑕疵・ 他人に損害 (1) 土地の工作物: 土地に接着して人工的に作り出されたあらゆる設備 ( 判例) 免責事由の不存在 ◯: 建物とその付随物 (電線・エレベーター)・無人踏切施設・業務用パン焼機(ガス管等で接続+移動困難) ×: 天然に存在した池・土砂集積場・ ゴミ箱の上のコンクリート製シンク ∵接着性弱い (2) 土地の工作物の設置または保存の瑕疵 a) 瑕疵= 通常予想される危険に対し、通常備えているべき安全性を欠いていること(客観説) ⇒ 異常な行動や異常な自然力 (不可抗力) による危険は対象外 b) 判例 ◯: 外壁の落下等 ( 老朽化 )・ ゴルフコースからのボールで損害 (危険防止措置の欠如) × : エスカレーターの手すりに乗り上げて反対側に転落 (3) 工作物の瑕疵によって他人に損害 : 損害の発生 + 因果関係 ※ × 結果責任ではない (4) 免責事由の不存在: 占有者のみ・所有者は無過失責任 ③効果: 所有者または占有者に損害賠償義務 + 中間責任または無過失責任 + 求償可 (1) 損害賠償義務 : 第一次的に占有者 →第二次的(占有者が免責された場合)に所有者 占有者: 工作物を事実上支配する者 ○ 間接占有者・直接占有者、 × 占有補助者 ※占有補助者」とは、実際には対象建物を占有していても、法的には独立の占有主体とは認められない者。たとえば、賃貸借契約における賃借人の家族や使用人 所有者 : 被害者への侵害が生じた時点での所有者 (登記は不問) (2) 証明責任 占有者:中間責任 →占有者が損害の発生を防止する措置の立証をすれば免責 所有者: 無過失責任 (3) 求償権: 求償可 ※他に責任を負うべき者に対して □ 動物占有者責任 B+ ① 動物占有者責任 : 動物が他人に損害を加えた場合にその占有者または管理者が負う賠償責任 (1) 条文 : 718 (2)趣旨: 危険責任 ②要件: 動物が他人に損害 + 免責事由の不存在 (1) 動物が他人に損害: ・動物=人の支配下にある ・損害=動物独立の動作による (2) 免責事由の不存在 : 通常払うべき程度の注意義務 → 異常な行動不可抗力への注意義務なし ③ 効果: 賠償義務(占有者または管理者が負担) + 中間責任 + 求償可(通説) → 占有・管理をしていない所有者は賠償義務なし □ 共同不法行為 ① 共同不法行為: 複数の者が共同の不法行為によって他人に損害を加える行為 ⇒ 各行為者が連帯して賠償責任 (共同不法行為責任)を負担 (1) 条文 : 719 (2) 趣旨: 被害者保護 (3) 関連共同性: 共同による不法行為で損害が発生 ②要件 (1) 判例・学説の変遷 写真 【旧通説・旧判例】 特徴:連帯責任の負担 要件:各行為者の709 成立 + 行為者間の関連共同性 【現通説・ 裁判例】 特徴:因果関係の緩和 要件:行為者間の関連共同性 + 共同行為と結果との因果関係 (2) 関連共同性の類型 (学説・裁判例) 関連共同性:強い 条文:719 I前 要件:共謀または行為の一体性 判断基準:主観面・客観面を考慮 関連共同性:弱い 条文:719 I 後類推 要件:社会通念上全体として1個の行為 判断基準:場所的・時間的近接性を考慮 (例:A社とB社が同じ川に汚染物質を流して健康被害発生) 関連共同性:加害者不明 条文:719 後 要件:加害者の可能性のある者全員の特定 ③効果:損害賠償 + 連帯債務 + 求償可 (1)損害賠償 関連共同性:強い 因果関係:擬制 賠償範囲:各行為者が共同行為の全損害 減責・免責:× 関連共同性:弱いor 加害者不明 因果関係:推定 賠償範囲:原則、各行為者が共同行為の全損害 減責・免責:◯ (2) 連帯債務: 各行為者間の責任は不真正連帯債務(判例) (3)求償権: 求償可 442 ⇒改正前: 負担部分を超えた場合のみ(判例) 改正後:負担部分を超えなくても各自の負担部分可 →損害100万円、負担A50B50。Aが5&払えばBに25求償可能 Q 共同不法行為における過失相殺の適用(短答向け。論文では出ない。事例抑える) (1) 判例: 態様により結論が異なる ∵ 被害者保護と損害の公平な分担との調和 ⅰ)2つの不法行為が順次に競合した場合 ⇒各行為者と被害者とで相対的に過失相殺 ⅱ)1つの不法行為で全過失割合が認定できる場合 ⇒各行為者と被害者の全過失割合を直接過失相殺 (2) 事例 ⅰ) 相対的過失相殺: 他の行為者と被害者との過失相殺は考慮しない 【判例】Vが歩道でない道路を横断→ A車が前方不注意で衝突→Bが不適切治療し悪化+Vが放置→死亡 →損害額 5000万、 過失割合 A:V=7:3、 B:V=9:1 ⇒Aに3500万請求可、 B に 4500万請求可、 AB に 3500万の範囲で連帯債務 ⅱ) 絶対的過失相殺 Vが速度違反で運転→A車が違法駐車中のB車を避けるため中央線をはみ出して走行→V車と衝突 → 損害額 600万 過失割合 A: B:V=4:1:1 ⇒ABに500万請求可 (不真正連帯債務)、 BはAに400万の範囲で求償可・AはBに右同100万
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① 特別法上の不法行為 (1) 概要: 不法行為における過失責任主義を修正 (2) 趣旨: 被害者保護等 (3) 性質: 特別法 (民法は一般法)→ 不法行為→特別法上の不法行為を優先適用 (4)法令 : 失火責任法、製造物責任法、国家賠償法、自動車損害賠償保障法 ② 失火責任法 (1) 概要: 「709 の規定は失火には適用しない。 但し失火者に重大なる過失がある場合は除く」 ⇒ 失火は重過失がある場合のみ責任→軽過失免責 (2) 趣旨: 失火者保護 ∵ 経済的困窮・過大な賠償金額・歴史的慣習 (3) 適用範囲: 不法行為に適用 a) 失火 : 過失による火災発生行為故意による場合は除く b) 重大なる過失 : 重過失 → 故意に近い著しい注意欠如 (判例) c) 債務不履行 : 債務不履行には適用しない (判例)→債務不履行責任は通常通り請求可能 ・賃借人が失火→賃貸人は貸室の損傷等による賠償請求可 415 ・賃借人が失火→隣人は火事による損害等による賠償請求不可 709 (4)特殊の不法行為との関係 a)監督者責任: 監督者の責任無能力者に対する監督について適用 ・(判例) 子供が失火→親の子供の監督について重過失がなければ免責 ∵監督者が代償 b) 使用者責任: 被用者に重過失があれば使用者責任成立(選任監督については不問) ・ (判例)被用者が事業の執行について重過失で失火使用者責任成立 (軽過失なら使用者責任不成立) 製造物責任法: Bランク 製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の賠償責任について定めた法規 (1) 趣旨: 製造物の欠陥による被害者の保護 (2) 要件: 製造業者等がその製造物の欠陥により生命・身体・財産を侵害 + 因果関係あり+ 免責事由なし a)製造業者等: 〇輸入業者・ 実質的な製造業者として氏名等を表示した者 b) 製造物 :× 不動産 未加工の農産物・サービス c)欠陥: 通常有すべき安全性の欠如 (3) 効果: 製造業者等に賠償義務 + 製造物の欠陥を要件 (×製造業者等の過失) →証明責任は被害者 (4) 期間制限: 改) 主観的:知った時から3年 ※生命・身体を侵害の場合5年 客観的: 引渡した時から10年 ※一定の期間後に症状が現れる損害等は損害が生じた時から起算 ④ 国家賠償法: 国家等の公権力の行使による不法行為に関する国家等の賠償責任について定めた法規 ⇒ 行政法かつ特別法、 国家無答責の原則を否定、 公務員個人の賠償責任は否定 (判例) (1) 公務員の不法行為: 使用者責任と類似 【国家賠償法】 性質:無過失責任 求償権:故意・重過失がある場合のみあり、 個人の責任:公務員は被害者に直接責任を負わない 【使用者責任】 性質:中間責任 求償権:故意・過失がある場合 個人の責任:被用者は被害者に直接責任を負う (2)営造物責任:工作物責任と類似 【国家賠償法】 対象:公の営造物 (動産も対象) 免責事由:なし 責任主体:国または公共団体 設置若しくは管理の費用を負担する者 【工作物責任】 対象:土地の工作物 (動産対象外) 免責事由:あり(所有者はなし) 責任主体:第一次的に占有者 第二次的に所有者 ⑤ 自動車損害賠償保障法: 自動車運行による身体への損害賠償を保障する制度について定めた法規 ・加害者責任強化: 運行供用者が人損損害→賠償責任は中間責任(実質的に無過失責任(法3)) ・強制保険:自賠責保険への加入を強制 + 被害者による保険会社への直接請求権を肯定
刑事訴訟法 捜査 9/7
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ユーザ名非公開 · 9回閲覧 · 40問 · 1年前刑事訴訟法 捜査 9/7
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7問 • 1年前刑訴法 捜査 被疑者の防御活動 B:総説
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刑訴法 公訴提起
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15問 • 1年前刑訴法 公判手続 3/24
刑訴法 公判手続 3/24
ユーザ名非公開 · 19問 · 1年前刑訴法 公判手続 3/24
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19問 • 1年前証拠法 A++ 3/25 〜22
証拠法 A++ 3/25 〜22
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自白 A+ 総説
ユーザ名非公開 · 16問 · 1年前自白 A+ 総説
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16問 • 1年前科学的証拠・写実的証拠
科学的証拠・写実的証拠
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7問 • 1年前公判前手続 3/28
公判前手続 3/28
ユーザ名非公開 · 6問 · 1年前公判前手続 3/28
公判前手続 3/28
6問 • 1年前訴因
訴因
ユーザ名非公開 · 8問 · 1年前訴因
訴因
8問 • 1年前問題一覧
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① 典型契約の法的性質 ・消費貸借(要物契約): 片務・要物契約・不要式 ※唯一の要物契約 ・消費貸借(諾成契約): 片務・諾成契約・要式 ※唯一の様式契約 ・寄託:諾成契約 ※無償であれば基本的に片務 ※表の赤字をチェック 【 契約の諸原則】 ① 契約自由の原則 : 契約当事者の自由な意思に従って契約関係が形成されるという原則≒私的自治の原則 (1) 条文 改) 521、522II ⇒ 明文化 (2) 内容 ・契約締結の自由:契約を締結しまたは締結しない自由 521I⇒ 契約しないことができる ・相手方選択の自由: 契約の相手方を選択する自由 521I⇒特定の人とのみの契約もできる ・内容決定の自由: 契約の内容を決定する自由 521 Ⅱ ⇒不利な契約もできる ・方式の自由:契約締結の方式の自由 522Ⅱ ⇒書面は不要 (3) 制限: 法律の留保 ・契約締結の自由:医者の診療拒否 電気等のインフラ NHK ・相手方選択の自由:上同 ・内容決定の自由: 強行規定・公序良俗違反は無効 90 等 ・方式の自由: 諾成的消費貸借・保証契約・家族法上の行為・法人設立等 ② 契約遵守の原則 ③ 合意解除の自由 ④事情変更の法理 :契約締結後、 予見しえない事情の変更->契約の拘束が過酷->解除等を認める (典型例)異常なインフレ (1) 要件: 判例も同様かつ厳格に判断 a) 基礎事情の重大な客観的変更 ※個人的事情の変更は不可 (判) b) 当事者の予見しえない事由による変更 ※地震などは不可(判) c)当事者の責めに帰することができない事由による変更 ※ 債務不履行等は不可 (判) d) 契約の拘束力が信義則上著しく不当 (2) 効果: 契約の解除または改訂
2
【契約の成立】 Bランク ① 要件 522 I:改) 申込みと承諾の意思表示の合致 ⇒ 明文化 ・申込み: 契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示 ≒先の申出 ・承諾:申込みを受けて同意することで契約を成立させる意思表示 ≒後の返答 (1)合致 : 客観的内容が一致 (客観的合致) + 内心の真意が一致 (主観的合致) (2) 不合致: 主観的合致がない場合のみ (判)→ 通説は客観的合致 + 錯誤の問題 (3) 追加要件: 要物契約一給付・ 要式契約書面等 → 上記は諾成・不要物・不要式 ② 522 以外の契約 (1) 交叉(こうさ)申込 : 互いに偶然に申込をなし、 その内容が一致する現象 ⇒ 承諾なしに契約が成立・後の申込が到達した時に成立 (2) 意思実現による契約 527 : 意思表示または慣習により承諾の通知を必要としない場合 ⇒ 承諾と認めるべき事実があった時に成立 (例:ホテルに申し込みをしてホテルが部屋の準備をした) ③ 申込み B+ (1)申込みの誘引: 相手方に申込みを促す事実行為≠申込 (例)賃貸物件広告 →相手方の申込→ 誘引した者の承諾が予定 (参522)・ 意思の通知 (2) 撤回: 意思表示の効力を失わせること →意思表示後の問題 + 撤回後から効力 (※意思表示時の問題であり遡及効のある取消、無効とは異なる) ⑶失効:意思表示の効力が失われること →有効期間の経過 ・一般の意思表示(承諾を含む)→不到達で失効 ・申込(承諾期間の定めあり):承諾期間内に承諾不到達で失効 523Ⅱ ・申込(承諾期間の定めなし-対話者間以外):撤回しうる時から相当期間経過後に失効 ・申込(承諾期間の定めなし-対話者間) 原則:対話終了で失効525Ⅲ 例外:失効しない旨の表記で執行しない ⑷死亡等:申込者が死亡、意思能力喪失、行為能力制限となった場合 ・一般の意思表示(承諾を含む):失われない(97Ⅲ) ・申込: 原則:失われない 例外:次の場合は失う:申込者が効力を有しない旨を表示、相手方が承諾の通知を発する前に死亡等の事実を知った ④ 承諾 (1) 遅延した承諾の効力 524 :原則:成立しない 申込者は新たな申込とみなすことができる (2) 申込に変更を加えた承諾528 : 拒絶 : 拒絶 + 新たな申込 とみなす ⑤ 契約の成立時期 971: 改) 承諾の意思表示が相手方に到達した時 (=到達主義) ・改正ポイント : 改正前)隔地者間の承諾は発進主義・撤回の延着通知義務 改正後)削除 【契約成立の諸問題 】 ① 約款 多数の契約に用いるために予め定式化された契約条項の総体 (例) インフラ関連の契約 ⇒ 大量の契約を迅速・画一的に処理・社会に必須かつ多大な利益・・消費者保護の必要性 (1) 定型約款 : 定型取引において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体 → 548の2~548の4において定型約款に限定して規定 (2) 要件 ・定型取引 :不特定多数・画一的 ・合理的 (例)× 労働契約 (個性着目) 、中古車売買(交渉余地) ・契約の内容:当該定型約款を契約内容に組み入れる ・特定の者:定型取引の当事者の一方が準備 (3) 効果: 定型約款の規定を適用 a)個別条項合意擬制548の2: 認識なくても合意ありとみなす一方的に害するものは除外 b) 定型約款開示義務 548 の3: 定型約款準備者の義務 ⇒ 書面または電磁的記録の提供済は除く・開示拒絶→ 合意擬制不可 c) 一方的約款変更可 548 の 4 : 約款準備者による、利益適合性・変更の合理性・周知義務を要件 ② 懸賞広告: ある行為をした者に報酬を与える旨の広告をした者がその報酬を与える義務を負う行為 ・懸賞広告者:ある行為をした者に報酬を与える旨の広告をした者 ・指定行為:ある行為 (1) 事例 ◯: 動物発見で報酬 、情報提供で報酬 ×:ミスコンでの賞金 ∵行為ではなく状態(=贈与) (2) 条文 改) 529 (改正ポイント) 単独行為説を採用=指定行為をした者が広告を知っていたかは不問 ⇒ 特殊な契約 (申込と承諾の合致は不要) ⑶懸賞広告の撤回 529の2、529の3 ⑷失効 ⑸撤回の方法 530 ・前の広告と同一の方法 →知った者・知らない者を不問で効力 ・前の広告と異なる方法 →知った者にのみ効力 (改正前一同一の方法ができない場合のみ) (6) 効果 529~531 :報酬請求権 ・数人が存在→最初の者 ・数人が同時→等分 ・これらと異なる表示、方法可
3
表
4
① 契約の効力: 同時履行の抗弁権533・危険負担・第三者のためにする契約 を規定 ⇒ 契約の効力の一部、 民法上の規定、 533 と危険負担は牽連関係の基本原則 第三者は例外 ② 連関係: 一方の債務と他方の債務との関係(民法) = 牽連性 ⇒ 双務契約においてこの牽連関係が問題となる ・成立上の牽連関係 : 一方が成立しない場合他方は?→原始的不能 ・履行上の連関係: 一方を履行する場合に他方は?→同時履行の抗弁権 ・存続上の牽連関係 : 一方が消滅した場合に他方は?→危険負担 【成立上の牽連関係】 ① 原始的不能 : 契約成立時に一方の債務不存在→ 契約は成立・債務不履行 (履行不能) 412 の2 ※目的物滅失→原始的不能の債務不履行の他錯誤無効等も主張しうる 【履行上の牽連関係】 ① 同時履行の抗弁権 (1) 意義 相手方がその債務の履行を提供するまでは自己の債務の履行を拒むことができる権利 ⇒双務契約における一方当事者に認められる (2) 条文 : 533=同時履行の抗弁権 (3) 趣旨: 公平 ②留置権との異同:留置権と533はどちらも主張できる(競合説) 図 ③要件 ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在 (例) 売買契約→物引渡債務 +代金支払債務 ⅱ 双方の債務が共に弁済期にある (例) 物引渡 9/1 代金 9/1までに履行 9/2以降 ⅲ 相手方が履行又は履行の提供をしないで履行を請求 (例) 買主が代金支払いなく物請求 (1)ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在: 改) 履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む 533 ◯該当する) 債権譲渡、債務引受、転付命令、準消費貸借 ・ ×該当しない)更改∵債務の同一性なし (2) ⅱ 双方の債務が共に弁済期にある : 533 は双方の債務が弁済期 ※参考:相殺は自働債権が弁済期 Q 一方の債務者が先履行義務を負担する場合 (1) 事例: 売買契約の特約で、 まず代金支払い → 支払の1ヵ月後の車引渡 (2) 結論: 533 不可 (3) 理由: 533の規定内容 Q 先履行義務の未履行のまま、後履行義務の弁済期が到来した場合の後履行義務者の 533 の可否 (1) 事例 車の売買契約でAが9/1に引渡 ・Bが10/1 に代金支払とした。その後、A未履行のまま 10/1徒過 (2)問題の所在 : 公平 履行遅滞となった者に533は認められないのでは? (3) 通説: 533 可 (4) 理由 :履行遅滞責任と 533 は別問題 + 履行遅滞責任は免除されない (3) ⅲ 相手方が履行または履行の提供をしないで履行を請求 弁済の提供をしている相手には533 不可 Q 533 喪失のためには履行の提供を継続する必要があるか (1) 事例: 車の売買 :買主が売主に車の引渡を請求 +代金提供→売主拒否→買主が車引渡請求→ 533? (2)問題の所在: 弁済の提供は1度行えば533は消滅し続けるのか (3) 判例: 弁済の提供を継続が必要 (4) 理由: 債権債務関係は存続 →履行上の牽連関係も存続 ※契約の解除を主張する場合は不要 (533と契約の解除を混同しないように。) ④ 効果: 行使等により債務の履行拒絶が正当化される (1)履行遅滞責任の免除 →債務者に対する損害賠償請求や契約の解除は認められない (2)相殺の無効 →533 の付着する自働債権の相殺は認められない (3)引換給付判決 →債権者(原告)の給付と引換えに債務者(被告)は給付すべき ※ 留置権も同様に引換給付判決 ⑤ 双務契約以外における同時履行の抗弁権 (1)明文の規定 a) 533 括弧書 :「双務契約における一方当事者債務の履行不能の填補賠償債務」と「他方当事者の債務」 b)486:「受取証書の交付請求」と「弁済の提供」 (債権証書の返還は533 の関係にない) c) 546: 「契約の解除による現状回復義務」 d) 553: 「負担付贈与」 (2) 契約の無効・取消の場合 Q 契約の無効 取消の場合の当事者相互の原状回復義務 121の2に533が認められるか (1) 事例: 売買契約→成立相互に履行 → 契約が無効または取消→各々に原状回復義務 (2) 問題の所在 : 双務契約から生じた債務ではない (3) 判例: 同時履行の抗弁権を類推して認める (総務契約から生じた権利ではないから類推適用) (4) 理由 :公平←本来の契約の影響を受ける (3) 担保権と弁済: 主に、 弁済が先履行 (533不可 ・弁済後担保権消滅) ・同時履行の関係になるもの: ・留置権目的物の返還&弁済 ・譲渡担保又は仮登記担保における、 清算義務 (担保権者)&移転登記及び引渡義務 (設定者) (4) 建物買取請求権 (借地借家 13): 借地権終了+権原により建物あり→借地権設定者に買取請求可 →強行規定・形成権 (=自動的に売買契約成立)・建物引渡移転登記は代金支払と 533 借地権終了 → 建物買取 sk→ 533 で土地引渡拒否 Q 建物代金の支払いと土地の引渡しとに同時履行の関係が認められるか (1) 事例: 土地賃貸借 借主が建物建設 (2) 問題の所在: 土地の引渡と533 → 土地と建物は別 (3) 判例 同時履行の関係が認められる (4) 理由: 土地を返還して建物の引渡しだけを拒絶することは不可能 ⇒ 留置権も同様 土地の使用収益による利得は不当利得 違法ではないが権原のない占有 (5) 造作買取請求権 (借地借家 33): 建物賃貸終了 + 同意のもと造作あり→ 賃貸人に買取請求可 ⇒ 任意規定 ・形成権(=自動的に売買契約成立) ・造作引渡請求権は代金支払と533 Q 造作代金の支払いと建物の明渡しとに同時履行の関係が認められるか (1) 事例: 建物賃貸借→借主が造作設置 → 賃貸終了 → 造作買取 sk → 533 で建物明渡拒否 (2) 問題の所在: 建物の明渡と533 → 土地の引渡と533は可 (3) 判例: 否定 (4) 理由: 公平 ←建物は造作よりも著しく高価 ⇒ 留置権も否定
5
対第三者: 第三取得者Cからの請求: Bは留置権で対抗可能 533では×
6
③要件 ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在 ⅱ 双方の債務が共に弁済期にある ⅲ 相手方が履行又は履行の提供をしないで履行を請求 (1)ⅰ 同一の双務契約から生ずる両債務の存在: 改) 履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む 533 ★◯該当する) 債権譲渡、債務引受、転付命令、準消費貸借 ×該当しない)更改∵債務の同一性なし ※ 買主Aは譲受人Cからの請求に対して533を主張できる
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双務契約以外における同時履行の抗弁権 (1)明文の規定 a) 533 括弧書 :双務契約における一方当事者債務の履行不能の填補賠償債務 ・他方当事者の債務 図:①100万代金請求権と③填補賠償請求権は533の関係のある
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主に弁済が先履行(抵当権など) ・ただし、以下は533が認められる ・「留置権目的物の返還」と「弁済」 ・「譲渡担保または仮登記担保における、 清算義務 (担保権者)」と「移転登記及び引渡義務 (設定者)」
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建物買取請求権 (借地借家 13): 借地権終了+権原により建物あり→借地権設定者に買取請求可 →強行規定・形成権 (=自動的に売買契約成立)・建物引渡移転登記は代金支払と 533 借地権終了 → 建物買取 sk→ 533 で土地引渡拒否 Q 建物代金の支払いと土地の引渡しとに同時履行の関係が認められるか (1) 事例: 土地賃貸借 借主が建物建設 (2) 問題の所在: 土地の引渡と533 → 土地と建物は別 (3) 判例 同時履行の関係が認められる (4) 理由: 土地を返還して建物の引渡しだけを拒絶することは不可能 ⇒ 留置権も同様 土地の使用収益による利得は不当利得 違法ではないが権原のない占有
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①危険負担:双務契約上の債務の一方が債務者の責めに帰することができない事由により消滅 → 他方の債務も消滅するか存続するかの問題 = 存続上の連関係 (改正前) (例) AB間で A 所有の家屋を売買 → 災害で家屋滅失→代金債務 ? •債権者主義: 債務消滅の危険は債権者が負担 (例) 代金債務は存続 •債務者主義: 債務消滅の危険は債務者が負担 (例) 代金債務は消滅 ・改正前: 原則、 債務者主義。 例外、特定物に関する場合は債権者主義 (≒実質債権者主義) ⇒ 債権消滅構成 ②履行拒絶権構成 536Ⅰ: 改) 債権者は反対給付の履行を拒むことができる (1) 反対給付:双務契約において一方の給付に対して対価の意味をもつ他方の給付 ⇒ 債権者の反対給付債務は消滅せずに存続 → 履行拒絶可能 (例)売買契約→家屋が帰責性なく滅失→家屋引渡債務は滅失ではなく履行不能→代金債権は滅失しないが履行拒絶可能 (2) 危険負担:履行不能 (原始的不能を含む)の場合 → 債権者は反対債務の履行を拒絶できるか (3) 意思表示:履行不能となった債務も反対債務も存続→消滅させるためには解除の意思表示が必要 (4) 損害賠償債権者は反対給付債務の履行期徒過による遅延損害賠償を負わない ③同時履行の抗弁権との比較 (1)共通 a) 反对給付の請求を拒絶できる b) 反対給付の債務を消滅させるには契約の解除が必要 (2)相違点 (同時履行) 適用場面:x履行不能 +◯ 未履行 判決内容:引換給付判決 (危険負担) 適用場面:◯履行不能 +◯ 未履行 判決内容:請求棄却判決 ④ 履行拒絶権構成の要件 536Ⅰ: 債務の履行不能 + 当事者(債務者・債権者) に帰責性なし ⇒ 536Iが適用されるのは当事者双方に帰責性がない場合のみ ⑤ 双務契約上の債務の履行不能 ※ 履行不能: 写真
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① 第三者のためにする契約:当事者以外の第三者に直接権利を取得させる契約 (1) 具体例: ・第三者を受取人とする保険契約 ・第三者を荷受人とする運送契約 (2) 契約の相対効の原則 →契約は当事者間でのみ効力→第三者には効力を生じない ∵ 私的自治 ⇒第三者のためにする契約は例外 明文なし→条文で例外を規定 (3) 条文 : 537I → 第三者のためにする契約は有効・受益者は直接権利を取得 (4) 基本用語 ・要約者 :第三者への給付を請求しうる者 ・諾約者 :第三者へ給付する債務を負担する者 ・受益者 : 契約上の利益を受ける第三者 ※ 受諾で覚える ・対価関係: 要約者と第三者との関係 ※見返りがある ・補償関係: 要約者と諾約者との関係 = 資金関係→金で承諾 ②代理との比較 写真 ③要件 (1) 要約者・諾約者間の契約: 補償関係について成立・効力要件を具備 (2)第三者に直接権利を取得させるという契約 ×:事実上の利益、電信送金契約、単なる履行地(AとBがCのレストランで食事することを約束した時のC) ◯:債権の取得(例:生命保険)、免除、物権の取得、負担ありの利益 (3) 第三者の現存・特定は不要 537Ⅱ改) (例) 胎児・設立中の法人 ④ 効果 (1) 受益者が履行請求権を取得 a) 受益の意思表示が必要 537Ⅲ: 履行請求権の発生要件 (契約成立要件及び効力要件ではない) b) 権利の変更・ 消滅 : 原則、 要約者・諾約者間の合意で可。 但し、 権利発生後は不可 538I c) 取消等: 解除権・取消権なし、 意思表示の瑕疵の有無等は要約者・諾約者について判断 (2) 要約者: 諾約者に対して受益者への給付を請求できる a) 損害賠償請求権:受益の意思表示前には諾約者に対し可 (判例外) ※ 諾約者が不履行→損害賠償請求権→ b) 取消等: 取消可。 解除は受益の意思表示後の債務不履行の場合、受益者の承諾が必要 538Ⅱ (3) 諾約者: 受益者に対し給付する義務を負う a)弁済の提供: 受益の意思表示なくとも義務あり ※短答頻出 懈怠すれば要約者に対し債務不履行責任を負う b) 抗弁 539: 諾約者は要約者に対する契約に基づく抗弁をもって受益者に対抗できる
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総論 ① 契約の解除: 契約締結後、一方当事者の意思表示により契約が初めから存在しなかった状態に戻す制度 ※ 取消のように契約成立時点の問題ではなく、契約締結後に生じた問題 ※ 一方当事者の意思表示により効力発生 (1) 条文 : 540 (2) 効果 545I ・未履行債務 → 消滅 ・既履行債務 → 返還 (3)行為の性質 : 単独行為 ② 解除の流れ(3つの段階に分かれる) (1)一定の事由により解除権が発生 (2)解除権を行使 (3)解除 ③ 種類 (1) 法定解除: 法律の規定により解除権発生 ・一般的な法定解除権:債務不履行を理由 541 、542 ・特殊な法定解除権:個別の契約類型の明文規定を理由 550 等 (2) 約定解除: 契約の存在により解除権発生 ⇒ 明確な合意がなくても法律の規定により認められたものと推定もある (例)解約手付 ④解除と類似の制度:共通 = 初めから存在しなかったものとみなす 表参照 ※合意解除は双方の合意が必要。法定解除、約定解除は単独行為 ※解除条件は意思表示不要 ※任意解除権(委任契約等):債務不履行は不要 ⑤ 解除権の行使 (1)方法 540I: 契約の相手方に対する一方的意思表示→单独行為→形成権 ⇒ 相手方への到達により効力発生 97Ⅰ(到達主義が適用) (2) 撤回できない 540Ⅱ (3) 解除権不可分の原則 544: 一方が数人の場合、 全員が一緒でなければならない ⇒・ 行使:全員からまたは全員に対してのみ ・ 消滅:一人について消滅すれば他の者も消滅 ⑥契約の解除制度の目的:債権者を契約の拘束力から解放するための制度 ⑴帰責事由:改)債務者の帰責事由は不要 541,542 ⑵正当化根拠: 重大な契約違反がある場合にのみ解除が認められる □ 解除類型 (改正前) 履行遅滞による解除 履行不能による解除 定期行為の解除 (改正後) 催告解除:催告による解除 541 無催告解除:催告によらない解除542I 一部解除等:その他の解除 ① 催告解除 (1) 条文 : 541→債務不履行(履行遅滞) + 催告 + 相当期間経過 + 軽微でない = 重大な契約違反 (2)要件 a) 履行遅滞(履行期に履行可能 )+ 履行期を徒過 + 違法性等 ⇒帰責性は不要 ≠ 415 の履行遅滞の要件 b) 催告: = 412Ⅲの履行の請求 ・過大催告の場合→債務の同一性が認められる限り、 本来給付すべき数量の範囲で有効 ※100万円のところ110万円と請求した場合 ・過少催告の場合→債務の同一性が認められる限り、催告に示された数量の範囲で有効 ・解除予告→不要。 一定の期日または期間内に履行すべき旨で足りる(条文上必要とされていない) Q 二重催告の要否 (1) 事例: 期限の定めのない債務履行の請求で履行遅滞催告解除 (2)問題の所在: 条文上は二重の催告が必要に見える 412Ⅲ 、541 I (3) 判例: 二重の催告は不要= 412Ⅲの履行の請求と541の催告は同じ (4) 理由: 二重の催告の必要性に乏しい c)相当期間の経過: 客観的にみて相当な期間の経過が必要 ・猶予期間を何ら指定しない催告 →有効 = 上記期間後に解除権発生 ・催告に定めた履行期間が不相当 → 有効 = 上記期間後に解除権発生 (理由)期間の相当性判断に関する危険を債権者に負担させるのは不公平 (相当性の判断ができないからといって解雇の権利を認めないことは債権者に酷) d) 軽微でない: 債務不履行が軽微である場合は認められない (軽微性の抗弁) 【軽微性の判定基準】 → 契約及び取引上の社会通念 ・判例法理:不履行の部分が数量的にわずかであったり付随的な債務の不履行の場合は軽微に当たる ② 無催告解除 (1) 総説 ・履行遅滞による解除→催告解除 ∵催告+相当期間経過=重大な契約違反 ・履行不能による解除→無催告解除 ∵履行不能 (履行の機会は不要) =重大な契約違反 (2) 条文: 542I (3) 無催告解除が認められる場合 : 履行不能 a) 債務全部の履行不能 : 後発的不能 + 原始的不能も含む b) 債務全部の確定的履行拒絶 : 催告が徒労に終わることが明白、 履行期後 + 履行期前も含む ※ 確定的履行拒絶の例:債務の存在自体を否定した場合など c) 一部履行不能 または一部確定的履行拒絶の場合で、かつ残存部分での目的達成不能の場合 d) 定期行為の不履行: クリスマスケーキの引渡 ・定期行為: 特定の日時に債務の内容に適合した履行がされなければ契約目的を達成できないもの e) 契約目的の達成不能: その他の達成不能の場合 ③一部解除等 B+ ⑴契約の一部解除:債務の一部不履行→態様ごとに処理 a)一部履行遅滞 b)一部履行不能・一部履行拒絶 (2) 複数契約の解除: 密接に関連し一方の履行のみでは目的が達成されない場合は解除できる (判例) >・リゾートマンション売買・スポーツクラブ会員権売買 ・プール完成遅延 →両方の契約解除は可能? ⇒スポクラは解除可能、 マンションの解除の可否が問題、 密接に関連し目的達成不可 → 解除可 (3) 継続的契約:契約期間中継続する給付を目的とする契約(賃貸借契約が典型)
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図
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④ 解除権の発生障害 543 改): 債務不履行が債権者の責めに帰すべき事由による →541 、542解除不可 ⇒ 債務不履行一般に適用 (履行遅滞等も含む) 危険負担 536Ⅱは履行不能限定 ・帰責事由が債権者にある → 543 により 541 、542 解除不可 ・帰責事由が債務者にある → 541、542解除可 ・帰責事由が双方にない→541、542 解除可 解除権の消滅 ① 総説 (1) 趣旨: 解除権発生→解除の相手方は不安定な状態→解除の相手方保護 (2)解除権の消滅原因: ⅰ 民法の規定する特殊な消滅原因 : 547、 548 ⅱ 一般的な消滅原因 ② 民法の規定する特殊な消滅原因: 明文規定なし (1)547 解除権行使に期間の定めがない場合、 期間を定め解除の確答を催告 → 通知なければ消滅 (2)548 解除権者が故意過失により目的物を著しく損傷・変更・返還不能等(∵解除権放棄といえる) ⇒ 改) 解除権者が解除権を有することを知らなかったときは除く ∵ 解除権放棄がない ・ 価額償還可 -> (3)544Ⅱ 解除権者が複数 → 1人につて解除権消滅 他の者も消滅 ③ 一般的な消滅原因 (1) 債務不履行の解消 : 本来の給付+遅延賠償→解除権消滅 (2) 放棄: 予め解除権の放棄が可能 (判例) (3) 消滅時効 : 債務不履行時から10年 または 債権者が債務不履行の事実を知った時から5年 ※原状回復請求権及びその損害賠償請求権は解除時から5年で時効消滅 【解除の効果】 ① 総説 (1)条文 545: ・原状回復義務 I: :当事者はその相手方を原状に復させる義務を負う + 但し、 第三者保護 ・金銭返還 Ⅱ:受領の時から利息を付さなければならない ・金銭以外返還Ⅲ : 受領の時以後に生じた果実をも返還 ・損害賠償Ⅳ: 損害賠償の請求を妨げない (2) 法的性質 (短答で出る) ・直接効果説(判通): 解除の直接の効果として債権債務は遡及的に消滅 ・間接効果説: 債権債務存続 + 原状回復義務発生 →履行により契約上の債権債務消滅 (批判)原契約の消滅根拠 ・折衷説: 将来に向かって債権債務消滅 + 原状回復義務発生 →未履行は消滅・ 既履行は原状回復義務発生 (批判)理論的正当化根挻 ②解除の効果と遡及効 図 ⑴解除による遡及的復帰(判例) ・所有権移転(売主→買主):解除により所有権復帰(買主→売主) ・債権譲渡(譲渡人→譲受人 ):解除により当然復帰 (譲受人→譲渡人 ) ・更改契約 (旧債務消滅→新債務成立):解除により旧債務復活(新債務消滅 + 旧債務復活) ⑵ 不当利得返還義務 : 545 による原状回復義務は703、704 の特則 =全部返還義務 ※ 頻出 ∵善意者には「現存利益」の返還で足りる とする703は遡及効に反する →法的性質は不当利得返還債務・返還範囲は引渡した物全てに拡大 (703、704 と異なる) Q 契約によって発生した債権が解除以前に相殺に用いられた場合の処理 (1) 事例: 特定物売買 で買主が代金債務を売主への貸金債権と相殺→売主の引渡拒否により解除 (2) 問題の所在: 解除以前に行使された相殺の処理 (3) 判例: 相殺は無効 → 反対債権 (貸金債権) も復活 (4) 理由: 解除によりその債権は遡及的に無効 = 直接効果説 ③解除と第三者 (直接効果説) ・545 I但の趣旨:遡及効にからの第三者保護 ・解除前の第三者:545Ⅰ但により保護 ・解除後の第三者:対抗関係 (177 178により優劣 ) ※直接効果説では解除の前後で分ける (間接効果説・折衷說) ・545 I但の趣旨注意規定 ・解除前&解除後の第三者:対抗関係 (177 178 により優劣 ) . (1)545I但の第三者: 解除された契約から生じた法律効果を基礎として、 解除までに新たな権利を取得した者 ※論文で同じ内容を書けるように 〇(該当する者):契約に基づく給付の目的たる物または権利の譲受人・ 抵当権者・質権者・差押債権者・物の賃借人 × (該当しない者):解除により消滅する契約上の債権そのものの譲受人・転付債権者 差押債権者 ×第三者のためにする契約の受益者 ×借地契約が解除された場合の借地上の建物の借家人・ 抵当権者 ∵ 利害関係なし ×借地契約が解除された場合の借地上の建物の抵当権実行による買受人 ∵ 利害関係なし (2) 第三者の主観的要件: 善意・悪意は不問 ∵解除原因があっても解除するかは不明 (3) 対抗要件 判例: 対抗要件としての登記・引渡 通説: 権利保護要件としての登記・引渡 ④ 原状回復義務: 全部返還義務・不当利得返還請求の性質 (703 704 の特則) (1) 内容 ・原則: 給付対象そのものが存在していればその返還請求ができる (原物返還の原則) ・毀損・滅失の場合: 代償の返還を請求できる (価格返還義務) (2) 返還のポイント 545Ⅱ : 金銭返還には受領時から利息: 受領者が解除権者または解除の相手方であるかは不問 + 受領者の善意・悪意も不問 545Ⅲ: 金銭以外の物の返還で受領時以降に生じた果実: 使用利益も返還しなければならない (判例) ⑤損害賠償請求 (直接効果説) ・545ⅣVの趣旨:遡及効を制限し債権者を保護 ・損害賠償請求:債務が遡及的に消滅→ 債務不履行も消滅→ 545IVで遡及効を制限し請求できる (間接効果説・折衷説) ・545ⅣVの趣旨:当然の規定 ・損害賠償請求:債務は存続→債務不履行も存続→請求できる
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図
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1 贈与 ① 贈与 : ある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、 相手方が受諾をすることで効力を生ずる契約 (1) 条文 改) 549 贈与財産は贈与者の所有である必要はない (2) 性質 :無償・片務・諾成 (3) 成立: 贈与者 (=贈与した者) と受贈者 (=贈与された者) 間の合意により成立 ② 書面によらない贈与: 各当事者がいつでも解除できる。 但し、履行の終わった部分は除く (1) 条文:改) 550 改正前:撤回→改正後:解除 (2) 趣旨: 軽率な贈与及び後日の紛争の防止 (判例) (3) 履行の完了: 外形的行為の存在 → 動産:引渡 (占有改定含む) 不動産:引渡または登記(判例) ③ 効力: 贈与者が引渡義務・ 善管注意義務等を負う (1) 引渡義務 551I:改) 特定した時の状態で引渡または移転することを約したものと推定 ⇒ 売買における担保責任より軽減 (2) 善管注意義務等: 特定物贈与 400 自己の財産と同一の注意義務ではない (そこまでは注意義務は軽減されない) 不特定物贈与 401 I ④特殊の贈与契約 (1) 負担付贈与: 受贈者に一定の給付を負担させる贈与 (例)バイクあげるから民法教えて a) 担保責任 贈与者は負担の限度において売主と同じく担保責任を負う551Ⅱ b) 性質 無償・片務 →性質に反しない限り、有償・ 双務の規定が準用 553→533、536等 (2)定期贈与: 贈与者に継続的に一定の財産を負担させる贈与 (例) 親が毎月5万生活費支払う ⇒ 特約なき限り、贈与者または受贈者の死亡により効力を失う 552 ∵信頼関係に基づく (3)死因贈与: 贈与者の死亡を効力発生条件 (停止条件) とする贈与 (例) 死んだら土地をあげる a) 性質: 遺贈 (=遺言による財産の無償供与) に関する規定が準用 554 b)死因贈与と遺贈の比較 写真
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概要 B ① 売買 : 売主がある財産権を買主に移転することを約し、買主がその代金を支払うことを約する契約 ② 条文 : 555 ③性質: 有償・双務・諾成・ 不要式契約→売買は双務有償の典型(贈与は片務無償の典型) ④ 形態 (1) 基本 :財産権の移転とその代金支払いの合意 (売買成立)→履行 (例) 不動産売買 (2) 現実売買 :売買成立と物引渡 代金支払が同時に行われる売買 (例) コンビニで購入 → 民法上の売買との整合性が問題→学説錯綜(だが試験対策上無視) (3) 長期売買:継続的な取引となる売買 (例) 毎月購入 (4) 担保目的売買: 実質的には担保の設定となる売買 (例) 譲渡担保 (5) 他人物売買 : 他人の物に対する売買 →物権変動は生じないが債権的には有効 ■ 売買の成立 B+ ① 売買契約の成立要件 (1) 諾成契約: 売主と買主の意思表示の合致 →売買契約書の作成は成立要件ではない (2) 財産権の移転: 財産的価値+譲渡性のあるものの移転→〇他人物・将来取得する財産 (判例) (3) 代金支払 : 反対給付たる金銭→対価が金銭以外の物なら交換 ②売買の予約:当事者間に将来売買契約 (本契約) を生じさせる契約 →本契約(売買) の申込みをすれば相手方は承諾をしなければならない債務を負う契約 (1) 流れ: 売買の予約 本契約の申込 本契約(売買契約) が成立 (2) 予約完結権 : 一方的な意思表示によって予約を本契約にする権利 (3) 形態 a) 承諾の義務を経由: 相手方の承諾により本契約成立 + 相手方は承諾の義務あり (拒否は民執 174)(民法に規定なし) ・片務予約 一方のみが本契約を成立させる権利を有する ・双務予約:双方が本契約を成立させる権利を有する ⇒ 承諾の意思表示を求める裁判+履行請求の裁判 がほぼ必要になり二度手間 →ほぼ使わない b) 予約完結権の行使: 予約権利者の予約完結権行使により相手方の承諾不要で本契約成立 ・一方の予約 :予約完結権を当事者の一方のみが有する ・双方の予約 :予約完結権を当事者の一方のみが有する ⇒ 履行請求の裁判のみ必要 + 双方の予約≒ 売買契約成立 (4) 売買の一方の予約 556 ※双方の予約は≒売買契約成立なので規定なし a) I: 予約完結権を行使した時から売買の効力を生ずる b) Ⅱ:予約完結権の期間の定めがない・相当期間内の確答を催告→確答なければ効力を失う→実際には債権担保目的 ③売買契約に関する費用: 当事者双方が等しい割合で負担 558 (任意規定) ⇒ 履行に要した費用は債務者負担 485 (任意規定) 口 手付 ① 手付 : 契約締結の際に当事者の一方から他方に対して支払われる金銭等またはその原因となる契約 (1) 具体例 :不動産の売買契約成立: 買主が売主に対し手付として代金の1割を支払う (2) 法的性質 : 本契約に付随した従たる契約で別個独立の契約・要物契約 ※ 当事者の合意のほか、物の引き渡しなどの給付があって初めて成立する契約 (3) 種類: 目的に応じて分類 →証約手付、 解約手付、違約手付 (違約罰としての手付・損害賠償額の予定としての手付) ② 証約手付 : 契約を締結したことを示しその証拠という趣旨で交付される手付 →手付は常に (解約手付・違約手付の効果を持つ場合でも) 証約手付としての性質を有する ③解約手付 : 約定解除権を留保するという趣旨で交付される手付 (1) 条文:改) 557I (2) 解除の流れ: 本来、 解除には債務不履行が必要 解約手付交付により約定解除権を留保 ・手付流し: 交付した者(買主) が手付を放棄→解除できる ・手付倍返し : 交付を受けた者 (売主) が手付金額の倍額を買主に提供→解除できる (3) 解約手付の原則: 手付は解約手付と推定557 I ※宅地建物取引業者が手付を受領→ 常に解約手付& 代金の2割上限 (宅建業法39) (4) 手付解除の要件: 改) 売主からの手付解除は倍額を現実に提供 557 I ⇒ 買主が手付を受領しなくても手付解除できる (5)解除の制限: 解除の相手方が契約の履行に着手した後は解除できない 5571 a) 相手方 : 解除の相手方限定→自分は履行に着手 ・相手方は履行に着手してない= 解除可 b) 履行に着手 : 客観的に外部から認識し得る様な形で履行行為またはその前提行為をした場合 →○弁済の提供、他人物売買で他人の不動産を取得して登記、農地売買許可申請書を知事に提出 ④ 違約手付: 当事者が債務を履行しない場合の損害賠償としての趣旨で交付される手付 (1) 種類(2種類) ⅰ 違約罰としての手付 債務不履行の場合)違約金として没収 趣旨)損害賠償とは別に違約金がとれる ⅱ 損害賠償額の予定としての手付 債務不履行の場合) ・交付した者→ 没収 ・交付された者→倍額返還 ⇒損害賠償を請求しない 趣旨) 損害賠償額が手付の額に制限 (2)他の手付との関係 a) 違約罰と損害賠償額の予定との関係: 違約手付は損害賠償の予定として推定420Ⅲ b) 解約手付との関係: 違約手付かつ解約手付との認定 →当事者の合意により可能 (判例) ⑤ 内金: 後日売買代金の一部に充当する趣旨で交付される金銭 →代金の一部前払い →証約手付・解約手付 違約手付の性質がない (1) 手付との比較 内金 割合 主に、 代金の3割~5割 交付時期 主に、契約締結後 法的性質 代金の一部前払い 手付 割合 主に、 代金の1割~2割 交付時期 主に、契約締結時 法的性質 代金とは別 →実務上は履行着手後代金組込 or 相殺 (2) 手付の別称: 手金・内金・約定金・保証金(判例) → 名前と中身が一致しない場合あり→手付と内金の違いは解釈によって決める→試験では名称ではなく実体で判断する ⑥損害賠償:解約手付による解除の場合は、545Ⅳは適用されない557Ⅱ
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① 総説: 555 及び第二款売買の効力 560~578で規定 【売主の義務】 1.財産権移転義務 2.果実の帰属 3.他人物の売主の責任 4. 担保責任 【買主の義務】 1.代金支払義務 2.受領義務・引取義務 ② 財産権移転義務: 売買の目的である財産権を買主に完全に移転する義務 555 (1)権利を移転させる (例)所有権を買主に移転させる a) 他人の権利を目的: 他人の権利を取得して買主に移転 561 b) 目的に従たる権利: 従たる権利も移転 (判例) 借地上の建物の売買 借地権移転も (2) 対抗要件具備させる 560 ・不動産: 登記 177 ・動産 : 引渡 178 ・債権 :確定日付のある証書による通知または承諾467 (3) 引渡義務:占有を移転させる (例) 建物売買→建物引渡し ( × 対抗要件) ⇒ 従物も引渡義務あり 87Ⅱ (4) 権利移転に必要な行為をする義務 (例)賃借権売買の 賃貸人の承諾 612、 農地売買で農業委員会の許可 ③果実の帰属 (1) 果実収取権の原則 : 89 ・天然果実: 元物から分離する時に収取する権利を有する者に帰属 (分離主義) ・法定果実 : 収取権者が権利の存続期間に応じて日割で収取(前権利者と現権利者とで日割り計算する) (2) 売買の場合の特則: 575 【果実収取権】 ・物引渡前:売主 575Ⅰ ・判例:・引渡義務遅滞中も同様 ・代金支払後は買主 ・物引渡後: 買主 【買主の利息支払義務】 ・物引渡前: なし ・判例: 代金支払義務遅滞中も物引渡前なら同様 ・物引渡後: あり 575 Ⅱ (3)575の趣旨: 複雑な権利関係を簡単かつ画一的に解決 ⇒ (果実-管理費=利息)とかんがえる → 売主は物引渡まで果実取得+管理費負担、買主は利息支払不要 ※別紙図参照 ④ 他人物の売主の責任:改) 561 (1) 権利取得義務 : 売主は目的物の所有権を取得して買主に権利を移転させる義務を負う 561 ⇒所有権移転は原始的に不能(物権変動は生じない) + 契約は有効 (2) 目的物: 特定物売買に限定561→担保責任は目的物の限定なし →不特定物の場合:即時取得 192類推適用等 (3) 債務不履行の場合: 他人物の買主に対し債務不履行責任 (415・541・542)を負う →買主の悪意・売主の無過失により当然には免れない ∵ (改正前)売主に属しないと知っていれば損害賠償不可 (改正後)削除 (4) 売主を所有者が単独相続した場合:≒無権代理人を本人が単独相続→所有者は追認拒絶可 ( 判例) (5) 改正民法での他人物売買 ・買主に権利の全部を移転しない場合 → 債務不履行 ・不完全な履行がされた場合 → 担保責任 □ 担保責任 ① 総説 (1)担保責任: 有償契約において、 給付対象が契約の内容に適合しない場合に一方当事者が負担する責任 (例) 中古車の売買契約→ 中古車引渡 →中古車に欠陥→担保責任 (2) 内容 : 契約不適合 →追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求、契約の解除 (3) 条文構造: 目的物の契約不適合 562~564→権利の契約不適合について準用 条文構造の図:添付写真 ⑷法的性質 法定責任説(旧民法) (担保責任の意義)法が特に定めた法定責任 (根拠)旧 483 特定物引渡は 「この物」 の引渡→有償契約における買主保護が必要→不公平の是正と等価的均衡が必要 (帰結)特定物売買に限り適用・(契約成立前か存在する)原始的瑕疵に限り適用 ※後発的瑕疵は400条の問題 契約責任說(現民法) (担保責任の意義)債務不履行の特則 (根拠)現483:引渡は 「まともな物」 の引渡→債務不履行だが 566Ⅲ (帰結) ・特定物も不特定物も適用 ・原始的瑕疵も後発的瑕疵も適用 ※「まともな物」を引き渡していないのだから、特定物であろうと不特定物であろうと、原始的瑕疵であろうと後発的瑕疵であろうと562〜の責任を負う ⑸改正のポイント (改正前) 適用場面: 隠れた瑕疵がある (瑕疵担保責任) ・隠れた 善意無過失 ・瑕疵:通常有すべき性能・性質を欠いている 用語:隠れた瑕疵・瑕疵担保責任・担保責任 帰結:「隠れた」 が必要 (改正後) 適用場面: 引渡された目的物が種類・品質・数量に関して、契約の内容に適合しない(契約不適合) 用語:(瑕疵等→契約不適合・担保責任) 帰結:「隠れた」 は不要 ② 目的物の契約不適合 (1) 意義 : 引渡された目的物が種類・品質・数量に関して、 契約の内容に適合しない = 契約不適合 a) 条文: 562 I b) 引渡された目的物 :特定物・不特定物 •隠れた等での限定はない( 契約責任説) ⇒ 引渡されたことは必要。引渡しがなければ単なる債務不履行 c)種類・品質 ・環境的瑕疵: 含まれる (判例) (例) 建物の近くに暴力団事務所 ・心理的瑕疵: 含まれる (判例) (例) 建物に自殺来歴がある ・法律的瑕疵: 含まれる(判例) (例) 都市計画法上の用途制限・建築基準法上の建築制限 d) 数量 ・改正前: 数量不足 = 瑕疵担保の場面ではなく権利の瑕疵と考えられていた→財産権欠缺(権利の瑕疵) ・改正後: 目的物の契約不適合 ↓ 改正後の「目的物の契約不適合」は改正前の瑕疵及び数量不足・一部滅失も包摂する e) 契約の内容に適合しない Q瑕疵の有無の基準 (1) 問題の所在: 「通常有すべき性能・性質」 は何を基準とするか ≒ 契約不適合の基準 (2) 事例: 土地を売買→契約締結時の基準では問題なし右手契約締結後の規制基準に関して、基準値を超えるフッ素が含有 (3) 学説 【客観説】 ・瑕疵の基準: 契約内容から切り離して、 通常有すべき性能・性質を有するか否かを基準 結論:肯定 【主観説】 ・瑕疵の基準: 契約締結時の取引観念上え当事者間に予定されていた性質・性能を有するかを基準 結論:否定 (4) 判例: 主観説→瑕疵否定 Q 土地賃借権付建物売買において敷地に物理的欠陥がある場合の瑕疵担保責任の有無 (1) 事例:土地賃借権付建物売買→敷地に物理的欠陥あり→ 買主が売主に対し責任追及できるか ※売主に対する責任追求の場面であって地主に対してではない (2)問題の所在: 売買の目的物 = 建物 + 土地賃借権 → 土地自体は売買の目的ではない (3) 判例: 売主への担保責任追及は不可 (4) 理由: 建物に瑕疵なし + 賃借権にも瑕疵なし (土地自体にはあるが権利には瑕疵なし) ・賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき ・債権の売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではない → 売主は地主に対して修繕義務の履行請求や賃貸借契約の瑕疵担保責任を追及しうる ③ 効果 目的物の契約不適合がある→買主の救済 (1)追完請求権: 目的物の修補、代替物の引渡、不足分の引渡 を請求できる a) 条文: 562 ∵ 債務 b) 追完方法の選択権: 原則、買主に第一次的な選択権あり ・例外 ・売主の追完権(562Ⅰ但):買主に不相当な負担を課すものでない→売主の提供する追完方法が優先 ・帰責事由:買主に帰責事由 → 追完請求不可 (売主の帰責事由は追完請求の要件ではない) (2)代金減額請求権: 不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる a) 条文: 563改) b) 法的性質 : 形成権→程度(割合)に応じて減額できる (例) 土地 (評価額1000万)を1500万で売買→瑕疵で評価額800万→割合 4/5 で300万減額 c)要件: 目的物の契約不適合 ・原則:相当期間を定めて追完の催告 →相当期間経過 ⇒ 追完請求の優位性を意味 ・例外: 追完不能・拒絶明確・定期行為・見込なし= 催告不要⇒ 催告が無意味 d) 帰責事由: 買主に帰責事由→代金減額請求不可 (売主の帰責事由は追完請求の要件ではない) (3)損害賠償請求権•解除権: 追完請求代金減額請求によって妨げられない 564 ・損害賠償請求権→415、416により規律 ・解除権:→540以下で規律 (4)相互の関係 ・追完請求権&代金減額請求権 →追完請求権が優位 563I追完請求後に代金減額請求可 ・追完請求権&損害賠償請求権 →追完請求権が優位 415Ⅱ参一原則、 追完請求後に損害賠償請求可 ・代金減額請求権&損害賠償請求権・解除権 →原則、 代金減額請求をした場合は損害賠償請求・解除は不可 ・損害賠償請求権&解除権 →損害金を受け取らない間は解除権は失われない(損害金を受け取ったら解除はできない) 5)期間制限: 566 改) a) 内容: 種類または品質に契約不適合 + 買主が知った時から1年以内に通知しない →(1)~(3) 不可 ⇒不適合を知った買主に通知義務あり + 通知懈怠による失権効を認める b) 趣旨: 売主の期待保護 + 法律関係の早期安定 c) 始期: 不適合を知った時 ※旧判例の「担保責任を追及しうる程度に確実な事実を認識した時」までは認められていない d)例外: 売主が引渡しの時に契約不適合について悪意または善意重過失→不適用 e) 時効: 消滅時効適用= 客観的起算点(引渡時)から10年・主観的起算点(不適合を知った時)から5年 f)数量: 566 不適用 ∵ 数量が足りないことは明白 → 売主も履行が終了したとは考えないので趣旨が妥当しない→消滅時効適用のみ ④ 移転した権利の契約不適合 (1) 意義: 移転した権利の契約不適合・権利の一部が他人に属する場合にその権利の一部を移転しない (2) 条文 565 改) (3) 具体例 a) 移転した権利が契約不適合 = 権利自体は移転→権利が制限されている ・担保物権による制限: 売買目的物に 留置権、質権 、抵当権の負担あった ・用益的権利による制限・不存在 : 売買目的物に賃借権・地役権等の負担があった・地役権の不存在 b) 一部が他人に属する場合 : 権利は移転 → 一部が移転していない (例) 土地の売買→ 土地の一部が他人の所有 →他人物について移転できない ※【重要】 全部が他人物の場合は債務不履行415 (4) 効果: 追完請求権 562 、代金減額請求権 563、 損害賠償請求権・解除権 564 a) 改正ポイント ・買主の主観的要件は不要 ∵契約不適合 ・他人物売買における善意の売主の解除権削除 ∵561 b) 費用償還請求権 570 要件 : 不動産に先取特権・質権・抵当権が存在 + 買主が費用支出して所有権保存 具体例: 第三者弁済 ・代価弁済・抵当権消滅請求 効果: 買主は売主に費用の償還請求可 (5) 期間制限: 消滅時効適用→主観的起算点から5年、客観的起算点から10年 →566の適用なし (改正後規定削除) ∵566の趣旨
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(1) 果実収取権の原則 : 89 ・天然果実: 元物から分離する時に収取する権利を有する者に帰属 (分離主義) ・法定果実 : 収取権者が権利の存続期間に応じて日割で収取(前権利者と現権利者とで日割り計算する) (2) 売買の場合の特則: 575 【果実収取権】 ・物引渡前:売主 575Ⅰ ・判例:・引渡義務遅滞中も同様 ・代金支払後は買主 ・物引渡後: 買主 【買主の利息支払義務】 ・物引渡前: なし ・判例: 代金支払義務遅滞中も物引渡前なら同様 ・物引渡後: あり 575 Ⅱ (3)575の趣旨: 複雑な権利関係を簡単かつ画一的に解決 ⇒ (果実-管理費=利息)とかんがえる → 売主は物引渡まで果実取得+管理費負担、買主は利息支払不要 ※別紙図参照 ※売買契約成立時点で建物所有権は買主に移転→89条からすると、果実収取権は買主→一方で、買主は売買契約成立時点から売買代金に利息が発生。また、管理費は所有者たる買主の負担。 →そう考えると権利関係が複雑 →(果実-管理費=利息)と考えてシンプルに処理:引き渡し前は売主が果実を収取、物引渡し後は買主が利息を払うこととしている
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① 危険の移転 ・引渡前に契約不適合: 契約不適合→ 担保責任追及可 ・引渡後に滅失・損傷: 567 I ・受領遅滞による危険の移転 : 567Ⅱ (1) 条文 : 567 改)→危険負担 536の特則 (2) 567 I 引渡し後に、 ⅰ 双方の帰責事由なし、または ⅱ買主の帰責事由ありだが売主の帰責事由なし であれば買主は担保責任を追求できない (3) 567Ⅱ: 受領遅滞後、当事者双方の帰責事由なしで滅失・損傷の場合は567Ⅰと同じ処理 (4) 目的物: 特定物売買・不特定物売買で目的物が特定されていることが必要 ② 競売における担保責任 568改(条文一読) ③債権の売主の担保責任: 569 ・債権の存在自体に不適合: 担保責任追及可 565 (例) 担保なし 質権等の目的 ・債務者無資力:担保責任追及不可(基本的に担保責任の場面ではない) →資力を担保する特約がある場合について569が規定 (1) 売主が資力を担保と特約に記載I →契約時の資力を担保したと推定 →契約締結後の資力は担保されない (契約締結後に債務者が無資力になっても売主の責任は問われない) (2) 売主が将来の資力を担保と特約に記載Ⅱ → 弁済期の資力を担保したと推定 → 売主が債務者に代わって弁済 (契約締結後に債務者が無資力になったら売主が担保責任を負い支払義務を負う) ④ 免責特約 : 担保責任を負わない旨の特約 572 (1) 原則: 任意規定→免責特約は原則として有効 (2) 例外: 572→信義則上、 特約は無効 ・売主が契約不適合を知りながら告げなかった事実 ・売主が第三者のために設定しまたは第三者に譲渡した権利 例:不動産売買の場合で、売主が第三者のために地上権を設定した場合(売主が自ら瑕疵を作り出しているようなもの) ロ 買主の義務 ① 代金支払義務 555: 売主の財産権移転義務に対応・買主の中心的義務 (1)支払時期: 目的物引渡に期限→支払にも同一の期限を付したと推定573 (2) 支払場所: 持参債務の原則 484 I 売買の特則: 引渡と同時に代金支払 → 引渡場所において支払 574 (3) 代金利息 : 買主は引渡の日から代金の利息を支払う義務を負う 575Ⅱ 買主が代金の支払いを遅滞している場合であっても、引渡しを受けない限り利息を支払う義務なし ②受領義務・引取義務 事案に応じて総合考慮 ③ 代金支払拒絶権 576 577 改) (1)576: 権利主張その他の事由により権利を取得できない又は失うおそれ→ 代金支払拒絶可 a) 改正ポイント :その他の事由=権利主張以外の場面も可・失うおそれ=合理的根拠要請・供託請求 b) 売主の対抗手段: • 担保提供→拒絶不可 •供託請求 578 (2) 577: 買受けた不動産に抵当権の登記がある→抵当権消滅請求が終わるまで代金支払拒絶可 ⇒ 代金債権と抵当権消滅請求による費用償還請求を相殺 570 a) 改正ポイント :契約内容に適合しない抵当権に限定 b) 売主の対抗手段: 抵当権消滅請求をすべき旨の請求・供託請求可 c)準用 :先取特権・質権 3 交換 ①交換: 当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約すことによって効力を生ずる契約 ② 条文 : 586 ③法的性質: 有償・ 双務・諾成・不要式 ⇒売買の規定を準用 559 等
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①交換: 当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約すことによって効力を生ずる契約 ② 条文 : 586 ③法的性質: 有償・ 双務・諾成・不要式 ⇒売買の規定を準用 559 等
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① 消費貸借 : 借主が種類・品質・数量の同じ物を返還することを約し貸主から受取ることで成立する契約 ・消費貸借 :借りた物を消費→別の同一の物を返還 (例) 砂糖の貸し借り 金銭消費貸借 ・使用貸借: 借りた物を使用→借りた物自体を返還 (例) 自転車の貸し借り (1) 種類: 消費貸借 (広義) ・要物契約としての消費貸借:交付により成立 587 ⇒貸主:債務なし、 借主: 返還債務 ・諾成的消費貸借: 書面により成立 587の2I ⇒ 貸主:貸す債務、 借主: 返還債務 (2) 法的性質 写真 ②成立 ・要物契約としての消費貸借: 合意 +目的物の授受 ・諾成的消費貸借: 合意 + 合意についての書面 (電磁的記録可 587 の2Ⅳ) ③効力 (1) 貸主 ・貸す債務: 諾成的消費貸借→あり 要物契約としての消費貸借→なし ・利息請求権 : 原則、 不可 (遅延利息は可能) →特約あれば目的物を受け取った日以後の利息可 589 ・担保責任 : 債務不履行責任 →原則:贈与者の規定(551)・利息付:売買の規定 590 (2) 借主 ・目的物返還義務 :種類・品質・数量の同じ物 ・価額返還請求権 : 交付した物に契約不適合 (利息不問)→価額の返還請求可 590Ⅱ 現物返還が困難 ・価額償還責任: 借主が返還不可→価額償還義務を負う ④ 終了 (1) 消費貸借 (広義) 共通 ・返還時期の定めがある :返還時期の到来→412 ・返還時期の定めがない : 相当期間を定めて返還の催告→期間経過 591 I ∵返還準備期間が必要 ◇ 591 の催告の際に相当期間を定めないまたは期間が相当でない⇒相当期間経過後に終了 (2) 期限前弁済 591Ⅱ・Ⅲ改) 改正ポイント一詳細を明文化 Ⅱ: 借主は返還時期の定めの有無に関わらずいつでも返還できる Ⅲ: 借主が返還時期の定めがある場合に期限前弁済により貸主が損害を受けた →貸主は賠償請求可 ※利息が取れなかった場合などが典型 (3) 目的物授受前の終了: 諾成的消費貸借の場合に限定587の2 ∵ 要物契約ではあり得ない a) 借主解除: 借主は貸主から目的物を受け取るまで、解除可Ⅱ ・借主: 受領義務なし ・受領まで利息支払義務なし ・貸主: 損害を受けた時 →借主に損害賠償請求可 b) 破産:当事者の一方 (借主 ∵ 返済困難)(貸主∵ 破産手続が煩雑化) が破産手続開始決定→解除可Ⅱ ⑤ 準消費貸借: 物の給付義務を負う者がある場合に当事者がその物を消費貸借の目的と約する契約 (例) 売買契約成立 →物引渡履行・支払遅滞 → 代金債権を消費貸借の目的として改めて契約 ⇒ 形式的には消費貸借 + 消費貸借の目的物の引渡しがない (1) 条文 : 588 改) → 準消費貸借成立は消費貸借成立とみなす ・改正ポイント:「 消費貸借によらないで」という文言を削除∵判例との整合 (例) 複数の消費貸借を旧債務として準消費貸借とすることも可能であることを明文化 (2) 要件: 旧債務の損害 + 当事者間の合意 (3) 法的性質: 諾成契約・不要式契約 (4) 効力: 旧債務は消滅・新債務が発生 ◇ 旧債務についての担保: 消滅せず新債務を担保 ◇ 旧債務についての抗弁: 新債務について行使を認める ◇旧債務についての消滅時効期間: 旧債務でなく準消費貸借を基準
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図 準消費貸借契約をする理由 →代金債権者が損害賠償請求する気はなく、利息などを新たに定めたいというときに使える
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① 使用貸借: 借主が貸主から目的物を無償で借りて使用収益し、後にその目的物を貸主に返還する契約 (例) 自転車の貸し借り ・消費貸借: 借りた物を消費→別の同一の物を返還 (例) 砂糖の貸し借り ・金銭消費貸借 ・使用貸借: 借りた物を使用→借りた物自体を返還 (1) 条文 : 593 改) ・改正ポイント: 改正前:要物契約→ 改正後:諾成契約 ∵契約の拘束力付与の必要性(合意を守らせるため) (2) 法的性質: 無償・片務・諾成・不要式 (3)賃貸借との比較 【使用貸借】 法的性質:無償・片務 ※無償がポイント 対抗力:なし 修繕義務:なし 費用負担:借主負担(通常の必要費)595 I 担保責任:贈与の規定が準用 596、 551 借主の死亡:契約終了 597Ⅲ 存続期間の定め:なし 【賃貸借契約】 法的性質:有償・双務 対抗力:あり 修繕義務:あり 費用負担:賃貸人負担 担保責任:あり 借主の死亡:契約存続 存続期間の定め:最長50年 ②成立 :貸主と借主の合意により成立 (1) 賃貸借との区別: 使用収益の対価といえる給付の有無 →賃貸借: 借地借家、使用貸借 : なし (2)書面: 593の2改) 書面によらない使用貸借 : 目的物受取りまでは貸主は解除可 書面による使用貸借:上記解除なし ③効力 (1) 貸主 目的物引渡義務: 特定した時 (契約時) の状態での引渡義務を推定 596 善管注意義務:契約時から引渡時まで 担保責任: 贈与の規定を準用 596 (2) 借主 使用収益権+用法遵守義務 594I 無断譲渡転貸禁止 594Ⅱ 善管注意義務 400: 引渡時から返還時まで 費用負担:通常の必要費を負担(固定資産税など)→ 特別な必要費(台風で屋根修繕など)・有益費(トイレを最新設備になど)は貸主に償還請求可 595 目的物返還義務 593 収去義務・収去権 599ⅠⅡ改) 受取後附属させた物の収去は権利かつ義務。 不可・過分な費用は除く 原状回復義務 599Ⅲ改) 受取後の損傷を原状に復する義務。 借主に帰責事由なしの場合は除く (3) 借主の義務違反 a)期間制限 600I: 貸主の損害賠償・借主の費用償還請求 → 貸主が返還を受けた時から1年以内に制限 b) 時効猶予 600Ⅱ:改) 600Iの請求は貸主が返還を受けた時から1年経過するまで時効は完成しない c) 解除規定 594Ⅲ 用法遵守義務違反・無断譲渡転貸義務違反→貸主は契約解除可 (4)第三者: 使用貸借の借主は第三者に対抗不可 →貸主が目的物を第三者に賃貸・譲渡 +第三者が対抗要件具備→借主は使用借権対抗不可 ※賃貸借は第三者に対抗可 ④終了 ・当然終了: 期間満了または目的達成 597Ⅰ Ⅱ、借主死亡 597 III ∵ 信頼関係。 但し配偶者短期居住権 ・解除: 貸主による解除・借主による解除 (1) 貸主による解除 a)受取前の解除: 593の2 b) 期間の定めがない 598 改) 使用及び収益の目的の定めが、 ・ある場合: 目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間の経過により解除可 598I ・ない場合: いつでも解除可 598Ⅱ (2) 借主による解除: いつでも解除可 598Ⅲ
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賃貸借総説 ①賃貸借 賃貸人が物の使用・収益を賃借人にさせることを約し賃借人が賃料支払・ 返還を約する契約 ·賃貸人(貸主): 目的物の使用及び収益をさせる義務 ·賃借人 (借主): 賃料支払義務 + 契約終了時の目的物返還義務 (1) 条文 : 601 改) 改正ポイント: 目的物返還義務の明文化 (2) 事例: アパートの一室を賃料払って借りる ・自動車をレンタカー代払って借りる (3) 性質: 有償・双務・諾成不要式 ② 賃貸借と他の権利との比較 (1) 賃貸借と使用貸借( 既出) (2) 不動産賃借権と地上権の比較 【地上権】 法的性質:物権 賃料:任意 対抗力:登記可能(応じない場合登記請求権あり) 存続期間:上限なし(永久可能)(定めない場合20年以上50年以下268Ⅱ) 譲渡・転貸:自由 【不動産賃借権】 法的性質:債権 賃料:あり(対価と言えなければ賃貸借ではない) 対抗力:登記可能605(応じない場合登記請求権なし) 存続期間:50年以下上限なし(定めない場合、解約申し入れ可617Ⅰ) 譲渡・転貸:貸主の承諾必要 612Ⅰ ⇒ 建物所有目的の地上権と建物所有目的の土地賃借権は共に借地権として同様に扱う (借地借家) ③賃貸借の特徴 (1) 借地借家法 : 借地及び借家に関する民法の特別法⇒ 不動産賃貸借の大部分に適用 a) 適用対象 : 借地権 (建物所有目的の地上権又は土地賃借権) + 建物賃貸借 (借地借家1) b) 趣旨: 賃借人保護 (2) 継続的契約: 長期間継続される予定の契約⇔ 1回的契約(売買等) ⇒ 信頼関係を前提としそれを尊重 →契約の終了で問題 (3) 賃貸借の物権化 :賃貸借は債権ではあるが物権の様な効力を有する a) 不動産賃借権の対抗力: 原則、賃貸目的物の新所有者は賃借人に対して優先する∵賃貸借は債権 しかし、以下で不動産賃借権を対抗可 ⅰ 不動産賃借権の登記を備えた場合605 ⅱ 借地の場合に借地上に登記した建物を所有する場合(借10 I) ⅲ 借家の場合にその借家の引渡しを受けた場合(借31I) ⇒ 建物賃貸借: 賃借権登記・ 引渡し 土地賃貸借: 賃借権登記・建物所有権登記 で対抗できる ・対抗できる相手: 不動産を差押えた者 、二重に賃借した者、入居後に登記した者 ・対抗できない相手: 入居前に登記した者、 入居後に入居前に設定した抵当権を実行した者 b) 権利侵害の第三者への請求 605の4改) ・対抗要件具備の不動産賃借人→第三者に妨害停止請求・返還請求可 ・不動産賃借人→損害賠償請求可 (対抗要件なくても損害賠償請求はできる) c) 処分可能性 原則: 賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要 612 I 例外: 特段の事情、 裁判所の許可 (借地借家 19) d)存続期間: ・ 50年上限→借地借家適用→借地権上限なし ・借家権1年未満は期間の定めなし □ 賃貸借の成立 ①賃貸借成立の要件: 賃貸目的物の使用収益 + 賃料支払及び返還→意思表示の合致 601 (1)賃貸の対象 :物 →動産 、不動産 (2) 時効取得:賃借権は時効取得可 163 (例:無権利者から賃借して時効期間経過) (3) 他人物賃貸借: 有効 559、 561 ②短期賃貸借 処分権を有しない者 (管理権はある) ができる範囲の賃貸借 ∵ 長期賃貸借=処分行為 (1) 条文 : 602 改 ) ⇒「とうごうさんろく」と覚える ⅰ樹木の栽植伐採目的の山林の賃貸借:10年 ⅱ上記以外の土地の賃貸借:5年 ⅲ建物の賃貸借:3年 ⅳ動産の賃貸借:6ヶ月 (2) 処分権を有しない者: 権限の定めのない代理人 103 、後見監督人がある場合の後見人 864 、各種財産管理人 (改正ポイント): 改正前:「行為能力の制限を受けた者」 → 改正後:削除 (3) 違反の効果: 超える部分について無効 → 強行規定 ※後見人の場合:取消可 865Ⅰ 後見人以外:無権代理 (4) 更新 603: 更新可 ⇒ 期間満了の土地 1年以内、建物-3か月以内、動産-1か月以内に更新する必要 ③ 存続期間制限 604改) :上限50年(超えた場合は50年 永小作権を参照) (1) 更新:可。但し、更新時から上限50年 (2) 借地・借家: 借地借家法により修正
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賃貸借の当事者間の) 効力 § 賃貸人の権利義務 ① 使用収益供与義務 601 :使用・収益させる義務。 賃貸人の中心的義務 ⇒ 目的物引渡義務 + 第三者による使用収益の妨害排除義務 ② 修繕義務 606改) 目的物の使用・収益に必要な修繕をする義務 (1)改正ポイント: 例外一賃借人に帰責事由がある場合は負わない 公平 (2) 保存行為受忍義務 賃借人の義務 賃借人の意思に反しかつ目的達成不可なら契約解除可 607 例:エアコンの修繕工事で2,3ヶ月家が使えなくなるような場合 (3) 修繕権限 a) 原則: 賃貸人のみ ∵所有権への干渉 b) 例外: 「通知 615または悪意+相当期間経過」 「急迫の事情」→賃借人も可 607の2改) ⇒ 必要費償還請求権 608Ⅰ 発生 + 修繕部分の原状回復義務の不発生 (4) 不履行 611改) 使用収益不可 → 賃借人に帰責性無しなら割合に応じて当然に減額 + 目的達成不可なら解除可 ・改正ポイント ⅰ改正前:滅失した場合 →改正後:使用収益できなくなった場合一般 ⅱ改正前:減額請求可 →改正後:当然に減額(請求不要) ⅲ改正前:解除は賃借人過失有りなら不可→改正後:解除に帰責事由は不問 ∵ 目的を達成できないなら解除可能 (5) 法的性質 任意規定 ③費用償還義務 608: 賃借人が賃借物について支出した費用を償還する義務 ・必要費: 直ちに (=費用の支出と同時に) 償還請求可 (例) 割れたガラス・畳の入替 ・有益費 賃貸借の終了の時に償還請求可。 裁判所の期限許与可 (例) エアコン設置・畳からフローリング (1) 請求権行使 賃借人は賃貸人が返還を受けた時から1年以内に行使が必要 600I.622 ⇒ 留置権・先取特権も行使しうる ※ 裁判所の期限の許与があれば弁済期でないので留置権主張不可 ※ 賃貸借契約解除→ 不法に占有→有益費支出 ⇒ 留置権不可 ④担保責任:売買に関する規定を準用559 ⇒ 損害賠償請求・解除・ 追完請求・ 賃料減額請求可 § 賃借人の権利義務 ① 目的物返還義務 601: 契約終了時に賃借物を返還する義務 ※賃借人の中心的義務として明文化 ② 賃料支払義務 601: 使用収益の対価としての賃料を支払う義務 ※賃借人の中心的義務 (1) 賃料: 対価性が必要・金銭以外も可・不明確の場合は相当額を約したとみなし裁判所が決定(判例) ※ 謝礼のみの支払いでは対価性無くり賃料ではない (2) 支払時期 614:任意規定 ・動産・建物・宅地:毎月末 ・上記以外の土地: 毎年末 ・収穫の季節があるもの:その季節の後に遅滞なく (3) 賃料支払拒絶権: 他人物賃貸借において所有者が権利を主張→ 賃料支払拒絶可 559・ 576 (判例) (4) 減額請求 609 改) 耕作又は牧畜目的の土地賃借人が不可抗力で賃料より少ない収益→減額請求可→ 2年以上継続 → 賃借人は解除可 610 ・改正ポイント: 改正前一宅地を除く収益目的の土地 (5) 使用収益不可による減額請求: 611 改正後一耕作又は牧畜目的の土地 ③ 敷金支払義務 622の2改) (1) 敷金: 賃貸借に基づいて生ずる賃借人の金銭債務を担保する目的で賃貸人に交付する金銭 (例) アパート賃貸契約で敷金1ヶ月分を交付→退去時に原状回復費用を控除して返還⇒名目は問わない ◯保証金(返還される)・×礼金(返還されない) a) 法的性質 停止条件付返還債務を伴う金銭所有権の移転 b) 担保される債務 = 賃料債務・原状回復費用・賃貸終了後の賃貸物返還までの賃料相当額・損賠等 (2) 敷金返還債務 = 賃貸人は賃借人に対し敷金を返還する債務 a) 敷金返還債務の発生要件 ・賃貸借が終了し、かつ、 賃貸物の返還を受けたとき (明渡時説の採用) ・賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき b) 返還範囲: 賃借人の債務額を控除した残額 Q敷金返還債務と明渡義務との同時履行の有無 A 同時履行でない=明渡先履行 (判例) c) 債務への充当:賃貸人は敷金を債務の弁済に充当可→賃借人に充当請求権なし 622の2Ⅱ (3) 判例 信義則・消費者契 a) 敷引特約 : 未払債務がなくても敷金の一定金額を返還しないことを予め約しておく敷金契約の特則 (判例) 金額が高額すぎると評価すべき場合、特段の事情のない限り無効 ∵信義則、消費者契約法10条違反 b) 更新料条項: 賃貸借契約更新時に賃貸人に対し一定の金銭を支払う条項 (判例)金額が高額すぎる等の特段の事情のない限り有効 ∵ 信義則 ④ 通知義務 615 :修繕を要する権利主張者あり→賃貸人に通知する義務。 但し賃貸人悪意ならなし ⑤用法遵守義務 594Ⅰ・616≒ 使用貸借と同様 ⑥ 善管注意義務 400: 具体的内容は契約の解釈による ⑦ 保存行為受忍義務 606 Ⅱ ⑧ 原状回復義務 621改 ・原則: 通常損耗 (通常の使用収益により生じた損耗) 及び経年変化以外の損傷→義務あり ・例外: 賃借人の帰責事由によらない上記損傷→義務なし (改正ポイント) 原状回復義務を負う場合の明確化→賃借人保護 ⑨収去義務・収去権 599・622 (使用貸借の規定の準用) ・収去義務: 賃借人が附属させた物を収去する義務。但し、収去不能・過分の費用 →負わない 収去権: 賃借人が附属させた物を収去できる権利。但し、収去不能 →費用償還請求 図参照 ※ 中間の例:庭付き建物を借りて庭に石垣をつくった
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§ 他人物賃貸借の法律関係 ① 他人物賃貸借の当事者間の効力: 賃貸借契約は(当事者間では) 有効 559,561 ・使用収益供与義務: 賃貸人は賃借人に対して負う→他人物の引渡は有効な履行 ・賃料支払義務: 賃借人は賃貸人に対して負う → 賃料支払は有効な弁済 (判例)賃貸借の成立を主張する者は賃貸物が賃貸人の所有物であることの主張・立証は不要 (1)所有者からの明渡請求: 賃借人は拒絶不可→賃料支払拒絶権が認められる 559、 576 (2) 賃借物の使用収益不可: 賃貸借契約終了・ 債務不履行による損害賠償請求 ②所有者による他人物賃貸借の当事者への請求 (1) 他人物賃貸人: 賃料の不当利得返還請求・ 不法行為に基づく損害賠償請求 709 ・善意: 賃料返還義務なし189Ⅰ(善意占有者は果実を取得) 但し有過失は709 ・悪意 : 賃料返還義務あり : 190 I (2)他人物賃借人: 明渡請求 ・ 賃料相当額の不当利得返還請求 (189 I不適用) 709 賃貸借の終了 ①賃貸借の終了原因 ⅰ期間の定めがある場合の賃貸借の終了ⅱ期限の定めがない場合の賃貸借の終了 ⅲ解除による賃貸借の終了 ⅳその他の事由による賃貸借の終了 ②ⅰ期間の定めがある場合の賃貸借の終了 (1)期間の満了により終了622、597 I: 借地借家法による修正あり (2)解除権留保→ 解除権行使により終了 618 : 借地借家法は認めていない (3) 黙示の更新 解約申入により終了 619 : 借地借家法による修正あり ③ⅱ期間の定めがない場合の賃貸借の終了: 解約申入(いつでも可) + 一定期間経過→終了 617 土地の賃貸借 1年 建物の賃貸借 3 ヶ月 動産及び貸席の賃貸借 1日 ④ⅲ 解除による賃貸借の終了[頻出] (1)解除原因 :保存行為 607、減収 610、滅失 611 Ⅱ 、無断譲渡等 612Ⅱ → 解除権発生 (2) 賃貸借の解除 620: 将来に向かってのみ効力を生じる (=将来効・遡及しない) ⇒ 継続的契約の解除の原則・損害賠償の請求は妨げられない Q 賃借人の債務不履行による解除 A+ (1) 事例: アパートの賃貸借契約成立 →引渡後に賃借人の賃料未払い →賃貸借契約解除ができるか (2) 問題の所在: 解除の一般的規定 = 債務不履行 → 契約の解除がしうる (541適用) →541の解除の適用は特に不動産賃貸借における賃借人に過酷な結果(住まいを失う) + 一方、解除が認められないとすると賃貸人には過酷 (3) 判例・通説 : 信頼関係破壊の法理 → 信頼関係の破壊に至らない場合には解除は認められない (4) 信頼関係破壊の法理: 賃貸借上の義務違反があっても信頼関係の破壊に至らない場合解除は認められない a) 理由: 賃貸借は信頼関係を前提とする継続的契約 b) 具体例 ・解除可: 3箇月以上賃料未払一催告解除 6箇月以上賃料未払一無催告解除除可 ・解除不可:3箇月未満賃料未払、挨拶しない ・ 宗教的差異、家賃増額請求に応じない ⇒ 賃貸人の被る損失を総合的に評価する (異なる判例もある) ⑤ その他の事由による賃貸借の終了 (1) 全部滅失等 616の2改): 全部滅失等により使用収益不可→当然に終了 ( 611Ⅱは解除できる) (2) 混同: 賃貸人と賃借人の地位が同一化 (3) 賃借人の死亡: 相続人がいない場合 → 賃借権は相続される (使用貸借は相続なし) + 同居人保護
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賃貸借と第三者 <2つのパターンに大別される> ・第三者=賃借人側である (賃借人同意) (例) 賃借人による賃借権譲渡・転貸 ・第三者=賃借人側ではない(賃借人不同意) (例)二重譲渡・二重賃借・不法占拠 § 賃借人側の第三者との関係 ①賃借権の譲渡・賃借物の転貸 (1) 条文: 612 賃貸人の承諾が必要 612 I (2) 違反の効果 :賃貸人は契約の解除ができる 612Ⅱ (3) 612 解除の要件: 無断譲渡または無断転貸 + 第三者が現実に使用収益 ※612Ⅱ 「第三者に…使用収益させたとき」 注) 物権(地上権・永小作権等)の場合は譲渡等に設定者の承諾不要 ② 判例及び諸論点 Q 同居する内縁の妻に賃借権を無断譲渡した場合の612 解除の可否 (1) 問題の所在 : 612 解除の要件充足→ 第三者(内縁の妻)に酷 + 使用状況に変化なし(元々内縁の妻も住んでいた) (2) 判例: 612 解除不可 (3) 理由:背信行為論により解除権制限 → 612は信頼関係を基礎とする継続的契約を前提 ⇒背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある → 解除不可 ※「612は信頼関係を基礎とする継続的契約を前提」「背信的行為と認めるに足りない特段の事情」は論文で書けるように (4) あてはめ: 無断譲渡・転貸 = 背信的行為→ 特段の事情がある場合のみ背信的行為には当たらない ・特段の事情の例:同居の内縁の妻 (判例)・ 配偶者 ・同居の親族 → 使用状況に変化なし ・特段の事情の立証責任 : 賃借人または譲受人・転借人 Q 土地賃借人が第三者に借地上の建物を譲渡した場合の612 解除の可否 (1) 事例 土地賃貸借契約 → 土地賃借人が建物建築 →第三者に建物譲渡 (2)問題の所在 : 形式的には建物の譲渡 (3) 結論:612 解除可 (4) 理由: 87Ⅱ類推 → 従たる権利として土地賃借権が第三者に譲渡 ーーーーーー ※第87条【主物及び従物】 ① 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。 ② 従物は、主物の処分に従う。 ーーーーーー Q 土地賃借人が第三者に借地上の建物を賃貸した場合の612 解除の可否 (1) 事例:土地賃貸借契約→ 土地賃借人が建物建築→第三者に建物賃貸 (2) 問題の所在: 形式的には建物の賃貸 (3) 判例:612 解除不可 (4) 理由:土地賃借権が第三者に移転しない≒ 転貸・譲渡ではない ∵ 利用形態に変化なし ・建物所有者: 建物の下の借地を使用 ・建物賃借人: 建物を使用 + 建物使用に伴い借地を利用≠土地賃借 Q 土地賃借人が第三者に建物を譲渡担保に供した (譲渡担保権者名義にする)場合の 612 解除の可否 (1) 事例:土地賃貸借契約→土地賃借人が建物建築→第三者に建物を譲渡担保に供する (2)問題の所在 : 形式的には建物売買 + 譲渡担保権の実行前 (3) 判例 ・使用状態に変化がない→612 解除不可 ∵譲渡・転貸なし ・譲渡担保権者が使用・収益 ⇒ 612 解除可 (実行前も同様) ∵ 譲渡・転貸あり Q 小規模かつ閉鎖的な法人が賃借人である場合に経営者の交代があった場合の 612 解除の可否 (1) 問題の所在: 賃借人(法人)に変更なし + 小規模・ 閉鎖的会社は個人に類似 (2) 判例 :612 解除不可 (3) 理由 :法人の同一性に変更なし + 特約等で対処可 ③無断譲渡の効果 ・賃借人と譲受人: 賃借権譲渡契約有効 →代金支払義務 + 承諾を得る義務 (x→填補賠償 or 解除) ・賃貸人と賃借人: 612 の要件充足→ 解除可 ・賃貸人と譲受人:所有権に基づく返還請求・ 703 ・709可 → 解除なしでも可(判例) ※賃貸人から見れば譲受人は何ら権限のない者 ④ 無断転貸の効果 ・転貸人と転借人: 転貸借契約有効→賃料支払義務+承諾を得る義務(x→填補賠償 or 解除) ・賃貸人と賃借人:612の要件充足→解除可 ・転貸人と転借人:所有権に基づく返還請求・ 703・709可→解除なしでも可 (判例) ⑤承諾のある賃借権譲渡: 賃借人の契約上の地位が譲受人に移転 = 賃借人は賃貸借関係から離脱 ⑥ 承諾のある転貸 ・転貸人と転借人: 通常の賃貸借 ・賃貸人と賃借人: 影響なし ・賃貸人と転借人:改) 賃貸借の債務の範囲で、 転借人は賃貸人に転貸借の債務を直接履行613 (判例)転貸人は賃貸人に対して義務を負うのみ 転貸人から賃貸人への修繕や費用書簡請求は不可 (判例)前払いは賃貸人に対抗不可 613Ⅰ ※前払=転貸借契約の弁済期前支払 ∴ 弁済期後賃料は該当しない (図参照)
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⑦ 原賃貸借終了と転貸借 (1) 期間満了: 原賃貸借期間満了 → 転貸借消滅 (借家 :対抗に通知必要・ 終了に通知後6か月必要) (2) 合意解除: 賃貸人と賃借人の合意により終了 → 転借人に対抗不可 613Ⅲ改) ⇒ 適法な転貸借限定 + 合意解除時に債務不履行解除の要件充足を除く (3) 債務不履行解除: 賃借人の債務不履行により終了 → 転貸借終了 (転借人に対抗可) (判例)転貸借終了の時期= 賃貸人が転借人に目的物の返還を請求した時 ∵履行不能 (頻出) (判例) 転貸人の更新拒絶により終了 →信義則上、 転借人に対抗不可 § 賃借人側でない第三者との関係 ① 概要 ・賃貸目的物の新所有者となる第三者との関係 (例)賃貸人が目的物を第三者と売買 ・賃借権の二重設定した場合の第三者との関係 (例)賃貸人が目的物を第三者に賃貸 ・賃借物を妨害する第三者との関係 (例) 目的物を不法占拠者が占有 ②目的物の新所有者等との関係 (1) 概要: 原則、賃貸目的物の新所有者は賃借人に対して優先する ∵ 債権→ 売買は賃貸借を破る ・不動産賃借権の登記を備えた場合 605改) ・借地の場合に借地上に登記した建物を所有する場合 (借10I) ・借家の場合にその家の引渡しを受けた場合(借 31I ) →上記の場合、不動産賃借権を対抗可 ⇒ 建物賃貸借 賃借権登記 引渡 土地賃貸借 賃借権登記・建物所有権登記 ・ (改正ポイント) 605 効力→対抗可・物権を取得した者 第三者 登記後→削除 ・対抗可 : 不動産を差押えた者 二重に賃借した者・入居後に登記した者 ・対抗不可: 入居前に登記した者 入居後に入居前に設定した抵当権実行 2) 賃貸人たる地位の移転: 改) 不動産賃借権対抗可の場合の賃貸借関係 a) 605の2I: 賃貸借の対抗要件具備 不動産譲渡により賃貸人たる地位も譲受人に当然に移転 ⇒ 賃借人の承諾不要・地上権者が賃貸人の場合の地上権譲渡も同様 (判例) b) 605の2Ⅱ : 賃貸人たる地位の移転は留保可 (移転しない)→終了後移転 ・要件: 譲渡人及び譲受人の合意 、目的不動産の賃貸 (≒転貸) c) 605の3: 賃貸人たる地位移転の要件=目的物の所有権譲渡 + 譲渡人及び譲受人の地位移転合意 ⇒ 賃借人の承諾不要 。対抗要件具備も不要 (3) 賃貸人たる地位の主張 a) 賃借人への対抗 605の2Ⅲ: 不動産所有権移転登記が必要 ∵ 二重払いの回避 b) 敷金返還債務 605 の 2Ⅳ: 譲受人又はその承継人が承継 c) 費用償還債務 605 の 2Ⅳ: 譲受人又はその承継人が承継 ③ 賃借権の二重設定した場合の第三者との関係: 対抗要件の先後 ④ 賃借物の使用収益を妨害する第三者との関係 (不法占拠者等) ・賃貸人に対し、 使用収益請求 601 →賃貸人は使用収益させるため措置をとる ・第三者に対し、賃借人の占有に基づく占有訴権 (返還請求・妨害排除請求等) 198、200 ・第三者に対し、 賃貸人の妨害排除請求権の代位行使 (債権者代位権の転用 )423 ・第三者に対し、(対抗要件を具備した)不動産賃借権に基づく返還請求・妨害排除請求 605の4改)
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□ 借地借家法 ・借地借家法: 借地及び借家に関する民法の特別法 →不動産賃貸借の大部分に適用 (1) 適用対象: 借地権 (建物所有目的の地上権または土地賃借権) + 建物賃貸借 ◯認められる場合 : 宅地の賃貸借、 工場の敷地の賃貸借、 アパート・マンションの賃貸借 ※ ∵ 工場も建物であるため ×認められない場合: 農地の賃貸借(農地法)、 駐車場の賃貸借、一時使用目的 (借 25・40) ※土地建物を借りるが一時的。夏の海の家など (2) 趣旨: 賃借人保護→ 居住場所の安定的確保 (3) 背景: 旧法 (建物保護法・借地法・借家法) -保護が不十分→H3 に借地借家法 ⇒ 旧法適用の場合は合意がなければ従前の例による(まだ日本に旧法が適用されているものもある) § 借地関係 ① 借地権の種類 ・普通借地権: 更新が認められる借地権 →定期借地権以外の借地権 ・定期借地権 :更新が認められない借地権 ・旧法借地権: 旧法下で設定された借地権 ⇒存続期間 更新等が民法と異なる ② 普通借地権 (1)存続期間 写真 (土地賃借権) 民法:最長50年、最短制限なし 借地借家法:最長制限なし,最短30年(法3) (更新後の土地借地権) 民法:最長50年、最短制限なし 借地借家法:最長制限なし,1回目20年、2回目以降10年(法4) (2)建物滅失・ 再築による存続期間延長 (借7) ・要件: 借地権設定者の合意 または 再築通知後2箇月以内に異議を述べない (更新後の通知は除く) ・効果: 承諾または再築のいずれか早い日から20年間存続 (3)更新 a) 更新形態 (借5) ⅰ 合意 ⅱ 借地権者の請求 ⅲ 使用継続 ⅰ,ⅱの要件効果: ・要件: 建物現存 + 借地権設定者が遅滞なく異議を述べない ・効果: 従前の契約と同一条件による契約 b) 更新拒絶の要件: 正当(の) 事由 (借6) (短答対策で確認) 以下の事由を総合考慮 ⅰ土地の使用を必要とする事情 ⅱ借地に関する従前の経過 ⅲ土地の利用状況 ⅳ立退料の給付は事実審口頭弁論終結時までにされれば考慮 (判例) →訴えられた後に払っても事実審口頭弁論終結までならば考慮される (4)更新後の建物滅失による解約 (借8) ・借地権者:解約申入可→申入れから3箇月経過で消滅 ・借地権設定者: 承諾なく建物再築したとき解約申入可→申入れから3箇月経過で消滅 ③定期借地権 図(短答対策) ④ 借地権の効力 (1)強行規定: 借3~8・10・13・14・17~19は強行規定(借9・16・21) (2) 建物買取請求 ・借地権者が請求 13: 存続期間満了 + 更新なし ・第三者が請求 14 :第三者が借地上の物を取得 + 借地権設定者が賃借権譲渡または転貸拒否 ⇒ 法的性質: 形成権→売買契約成立 (3) 自己借地権: 原則不可∵混同 179 I 他の者と共に有することになるときは可(借 15 ) (4) 借地条件の変更等: 裁判所による変更可 (17、18) ・借地条件→当事者の申立 ・増改築・更新後の建物再築→借地権者の申立により借地権設定者の承諾に代わる許可 (5) 譲渡・転貸 : 裁判所による賃借権の譲渡・転貸の許可 (借19) (6) 地代等増減請求権 (11) 調停前置主義を採用 ・増額請求 :特約で排除可 (借11 I ) ・減額請求 :強行規定 (判例)→特約で減額請求しないとしても無効 (7) 対抗力: 登記または借地上の建物登記により対抗可 Q 借地上の建物登記の名義人は借地人本人以外の者も認められるか (1) 事例:土地賃貸借契約→同居する親族名義の建物登記→土地取得者に賃借権対抗できるか? (2)問題の所在: 実体のない登記は対抗力なし。一方で、現地確認すれば建物及び登記により賃借権を推知 (3) 判例: 本人以外の名義では対抗力は認められない (4) 理由: 取引安全・他人名義の登記は現実の権利状態に符合しない (建物所有権対抗自体不可)
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借家関係 ① 借家権の種類 ・普通借家権: 期限付借家権以外の建物賃貸借→期間の定めがある場合 or 期間の定めがない場合 ・定期借家権: 更新が認められない建物賃貸借 ⇒存続期間 更新等が民法と異なる ② 普通借家権 図 (1)期間の定めがある場合 a) 法定更新 26 Ⅰ: 期間満了1年前から6箇月前に更新拒絶通知なし→ 同一の条件で更新とみなす Ⅱ 更新拒絶通知あり+期間満了後の使用継続に異議を述べない→同一の条件で更新とみなす →期間の定めがない契約とする26 + 更新拒絶には正当事由が必要 28 b) 更新 更新 【民法賃貸借】 更新:可能 法定更新:なし(更新の推定あり619) 更新拒絶の制限:なし 【普通借家 (期間の定めがある)】 更新:可能 法定更新:あり 更新拒絶の制限:正当事由が必要 (2)期間の定めがない場合:解約申入後に解約するまで契約期間が継続する賃貸借 a)成立形態 期間を定めない場合→民法・借地借家 法定更新後の場合 →借地借家 期間1年未満の場合 →借地借家 b)解約 【民法賃貸借】 ・解約申入:いつでも可617I ・解約申入期間:3箇月617I ・解約後の使用・収益:- 【普通借家(期間の定めがない)】 ・解約申入:正当事由が必要(借28) ・解約申入期間:6月(借27) ・解約後の使用・収益:法定更新(借27Ⅱ) ③定期借家権 【民法賃貸借】 契約期間:上限 50年 要式性 :× 更新 :◯ 制限なし 普通借家權 契約期間:上限 50年 要式性 :× 更新 :◯(正当事由等) 定期借家 契約期間:制限なし 要式性 :書面 更新 :× a) 成立:更新がない旨を記載した書面 →欠缺の場合は普通借家となる (借38Ⅰ-Ⅲ) b) 終了: 期間1年以上なら1年~6箇月前に通知義務 →欠缺-通知から6箇月継続 (38Ⅳ) c) 中途解約 ・原則: 当事者不可 (普通借家:賃借人可• 正当事由ありなら賃貸人可) ・例外:床面積 200㎡未満の居住用建物 + やむを得ない事情による使用困難 → 賃借人可 ④ 賃貸人による更新拒絶通知または解約申入: 正当事由が必要 →以下の事由を総合考慮 (28) ・建物の使用を必要とする事情 ・建物賃貸借に関する従前の経過 ・建物の利用状況 現況 ・立退料の給付 上記正当事由がなくとも相当の立退料のみでも可(判例) ⑤借家権の効力 (1)強行規定: 借 26~29・31・34・35(借 30.37) (2)対抗力: 賃借権登記または建物引渡し (3) 借賃増減請求権:≒ 地代等増減請求権 (借32) ⑷造作買取請求権:形成権 ⑥ 借地借家改正ポイント (1)一般定期借地権: 改正前:書面 改正後:書面に電磁的記録を含む (2)定期建物賃貸借 改正前:書面 改正後:書面に電磁的記録を含む ⇒ 普通賃貸借・民法賃貸借・普通借地権は不要式。 事業用借地は公正証書
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雇用総説 ①雇用: 相手方に対し労働に従事すると約し、 相手方がその報酬支払を約すことで効力を生ずる契約 被用者:労務提供義務 使用者:報酬支払義務 (1) 事例: AがB会社で働くと約す + BがAに労働の報酬支払を約す (2) 条文 : 623 (3) 用語 ・使用者:労働の提供に対し報酬を支払う者≒雇用主・雇用者 ・被用者: 報酬の支払に対し労務を提供する者 ≒労働者・使用人 被雇用者 ②性質:有償、双務諾成、不要式 ※民法上は諾成不要式であることに注意 ③ 特徴: 労務供給型 (≠貸借目的) 継続的契約 (≒信頼関係が重要) ④ 区別: 困難な場合が多い 【雇用】 契約分類:労務供給契約 相手方との関係:従属 契約目的:労働力の提供 【請負】 契約分類:労務供給契約 相手方との関係:独立 契約目的:仕事の完成 【委任】 契約分類:労務供給契約 相手方との関係:独立 契約目的:労働力の提供 ⑤ 労働法: 雇用のほぼ全てに適用 →民法雇用の適用はほぼなし 効力 ①労働者の義務 (1) 基本的義務 労務提供義務・ 自己就労義務 625II (2) 付随的義務: 善管注意義務・守秘義務 ② 使用者の義務 (1) 基本的義務: 報酬支払義務 + ノーワーク・ノーペイの原則(労働力提供なければ報酬支払い義務なし) a)支払時期: 労務提供後 624 任意規定 b)割合に応じた報酬請求 : 改) 認める 624の2 ・使用者に帰責事由なく履行不能 →割合請求可624の2 ・労働者の帰責事由により履行不能 →割合請求可(双方に帰責事由なしも同様624の2 ・使用者の帰責事由により履行不能 →全額請求可536Ⅱ (危険負担の債権者主義) ・雇用が履行の途中で終了 →割合請求可6242 (2) 付随的義務 : 安全配慮義務・権利譲渡制限 625 I 終了 ①雇用の終了原因 ・期間の定めのある場合→期間満了 or 解除 期間の定めのない場合→解約申入 雇用に特別な終了原因の場合:628・631・死亡 ②期間の定めのある場合 (1) 期間満了: 原則、 終了。もっとも、 更新があれば存続 + 従事による更新の推定あり 629I (2) 解除による終了 626 改 ) a) 要件 雇用期間: 5年を超える or 終期不確定 解除予告: 使用者-3箇月前 労働者-2週間前 b) 効果: いつでも解除できる c) 趣旨: 労働者保護→商工業見習いの特例を削除&労働者による予告期間を短縮 ③期間の定めのない場合: いつでも解約申入可→申入から2週間後に解約 627 I a) 期間によって報酬を定めた場合 627ⅡⅢ改) ※例:月給 等 【使用者からの解約】 労基適用:労基 20=30日前解雇予告 or 解雇予告手当支給 労基不適用: ・当期前半に次期以後の解約申入 627Ⅱ ・期間6箇月以上は3箇月前に解約申入 627Ⅲ 【労働者からの解約】 労基適用:いつでも解約申入可 627 I 労基不適用:いつでも解約申入可 627 I b) 趣旨: 労働者保護 労働者からの解約に 627 Ⅱ 不適用 ④ 雇用に特別な終了原因の場合 (1) やむを得ない事由 628: 解除可→天災・疾病・倒産等の重大な支障 (判例) + 過失があれば損賠可 (2) 使用者の破産手続開始決定 631:解約申入可→期間の定めありでも可+ 損賠請求不可 (3) 当事者の死亡: 原則として、 【労働者の死亡】 終了原因:◯ 相続の対象:× 【使用者の死亡】 終了原因:× 相続の対象:◯
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8 請負 □ 請負総説 ① 請負 : 相手方に仕事の完成を約し、 相手方がその結果に対し報酬支払を約すことで効力を生ずる契約 (1) 事例: 建設会社に住宅の建築を注文 (2) 条文 : 632 (3) 用語 請負人 : 報酬に対し仕事の完成をする義務を負う者 注文者 : 仕事の結果に対し報酬を支払う義務を負う者 元請負人: 注文者から直接仕事を請け負った者≒元請 下請負人: 元請負人または下請負人からさらに仕事を請け負った者 ≒ 下請 ⇒ 下請は請け負った順に一次・二次・三次… ②性質:有償、双務、諾成、不要式 (建設 19 に注意。これに関わらず不要式契約 ) ③特徴 a) 仕事完成目的: 有形・無形を対象。 労務供給自体は目的ではない ※ 無形の例: プログラム保守、ビル清掃 b) 請負人の独立: 独立して義務を履行 自己就労義務なし・履行補助者及び下請人使用可 c)報酬支払義務 : 結果 (≠労務供給) に対し支払義務あり ⇒ 請負目的物の所有権の帰属・仕事の完成に障害が生じた場合 が問題 効力 ・請負人の義務 ① 仕事完成義務: 基本的義務。 目的物引渡義務も含む。約定時期に未着手・未完成→解除可。 ②担保責任: 契約不適合 (1) 売買を準用 559: 追完請求権 562 報酬減額請求権 563・損害賠償請求権 415・解除権 541、542 a) 担保責任の規定は有償契約に包括準用: 改正前:不完全履行・瑕疵担保責任の特則 改正後:売買の規定を準用 b) 改正ポイント 写真 ※旧635但書:昔は瑕疵があるとはいえ建物は価値があると考えられていたため解除が制限されていたが、時代は変わり欠陥住宅に価値があるとは考えないようになったことから削除された (2)636 注文者の材料または指図による契約不適合Ⅰ → 請負人悪意等を除き、 担保責任不可 ※例:注文者が大きな窓の設置を要求したために基準を満たさなくなった場合 (3) 637:改)期間制限 Ⅰ : 契約不適合を知った時から1年以内に通知しない → 担保責任不可 Ⅱ : 引渡した時または仕事終了時に請負人が知り、または重大な過失により知らなかった→637不適用 a) 意義: 通知義務・ 通知懈怠による失効 ・売買同様の規定(引渡しが不要な点で異なる) b) 改正ポイント ※基本的な考え方:お金を払って何かを買うのと、何かをしてもらうのは基本的に同じ 【637 改正】 (内容)請負人の担保責任追及の制限起算時 (改正前)引渡時または仕事終了時 (改正後)知った時 【638Ⅰ 削除】 (内容)土地工作物の担保責任存続期間 (改正前)5年または10年 (改正後)知った時から1年 【638Ⅱ削除】 (内容)土地工作物の滅失・損傷の担保責任追及の制限起算時 (改正前)滅失・損傷時 (改正後)知った時から 【639 削除】 (内容)担保責任の消滅時効の伸長 例: (改正前)契約で伸長可 (改正後)無効 【640 削除】 担保責任を負わない旨の特約 (改正前)640適用 (改正後)572準用 注文者の義務 ① 報酬支払義務: 基本的義務。 仕事の完成という結果に対して支払義務あり (労務自体にはない) (1) 支払時期: 原則、 後払 (引渡を要する場合は引渡時。 引渡が不要な場合は仕事完成後) 633 → 任意規定 ⇒報酬債権は契約時に発生 → (見積作成時・契約時・) 着工時・上棟時(建物完成時)・引渡時の分割が主 (2) 割合的報酬請求権:改) 認められる634→明文化の必要あり a)要件: 可分な部分の給付により利益 + 注文者の帰責事由なしで履行不能 or 完成前に解除 b) 報酬請求と帰責事由まとめ 【注文者の帰責事由なし】 ⅰ請負人の帰責事由なし:割合的報酬 634 I ⅱ請負人の帰責事由あり:割合的報酬 634I 【注文者の帰責事由あり】 ⅰ請負人の帰責事由なし:報酬全額 536Ⅱ ⅱ請負人の帰責事由あり:-(事例による) ②受領義務 : ≒ 売買 ③協力義務 12
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終了 ① 総説 履行による終了 解除による終了 ・一般規定による解除: 541 542・559 ・特別規定による解除: 636、637、641、642 ②担保責任による解除: 請負人が契約不適合 →担保責任により解除可 636、637 ③ 任意による解除 :注文者は仕事完成前は損害賠償をしていつでも解除可 641 (1) 趣旨: 注文者の利益及び社会経済効率 → 注文者に任意解除権を認める (2) 効果 : 541、542解除 →原状回復義務あり ⇒損害賠償の範囲: 解除時までに支出した費用 + 履行利益 ※履行利益:履行がされていれば、債権者が得られるはずであった利益。 例えば、宝石を転売目的で購入したところ、売主のミスで壊されてしまい、転売できなかった場合、転売利益が履行利益 ④ 破産による解除: 請負人・破産管財人は仕事完成前に注文者が破産開始決定を受けたときは解除可 642 改正ポイント: 仕事完成後は不可 ※破産→注文者は無資力 請負目的物の所有権の帰属 ① 総説: 目的物引渡義務→完成した制作物 (請負目的物) の所有権の帰属と移転の時期 (1) 事例: 建物建築請負契約→建物建築開始 → 報酬支払・引渡等未履行 (2) 問題となる場合 ⅰ 注文者・請負人間の問題 ⅱ 下請負人が存在する場合の問題 Q ⅰ 請負目的物の所有権は注文者と請負人のどちらに帰属するか (1) 事例: 建物建築請負契約→建物完成→ 未履行 (2)問題の所在: (注文者が自己所有にするという)契約目的から注文者に帰属するとも思える。 (3) 判例・通説 ・特約がある場合→特約に従う ・特約がない場合→加工の法理 246を参照し材料の供給形態を基準に決める (4) 特約がない場合: 請負人帰属説 ・注文者が全部又は主要部分を提供 →注文者に原始的に帰属 ・請負人が全部又は主要部分を提供 →請負人に一旦原始的に帰属 →引渡により注文者に移転 ・請負人・注文者が共に材料を提供 →加工の規定により主要部分を提供した者に所有権帰属 (5) 理由: 物権法の原則 + 請負人の報酬請求権の確保 ※物件法から見れば動産を集めているのと同じ→相談の所有者に帰属 ※請負人が材料を調達していた場合はその分の回収を認める必要 (6) 例外: 請負人が全部または主要部分を提供→注文者に原始的に帰属 (判例)建築完成前に代金全額が支払われた場合→完成と同時に注文者帰属との暗黙の合意を推認 (判例)代金の半額以上を棟上(主要部分の完成)までに支払 + 進行に応じ残金支払の場合 →上同 ③ 下請負人が存在する場合 ・元請契約: 注文者と元請負人間の請負契約 ・下請契約: 元請負人 (または下請負人)と下請負人との請負契約 ⇒ 下請契約は元受契約とは別個の契約 元受契約を前提に下請契約が存在 ※ 建前: 建築における主要な柱、梁、棟木等の組み上げ≒ 上棟 棟上 Q 下請負人が存在する場合の請負目的物の所有権の帰属 (1) 事例: 注文者帰属の特約をつけた → 一括下請(材料は下請けが提供) ・建前完成 ・建築代金支払→元請が下請に報酬未払で倒産 (2) 問題の所在: 特約と請負人帰属説(判例)との優劣 (3) 判例: 特段の事情のない限り、注文者帰属 ※特段の事情≒した請負人に帰属するという特約の存在 (4) 理由: 下請契約は元請契約の存在を前提=元請契約の履行を目的としている→下請人は履行補助者的立場→特約優先 仕事の完成に問題が生じた場合 ① 総説 ・目的物の引渡が必要 =目的物の滅失・損傷の場合 ・目的物引渡しが不要=仕事の完成が不可能の場合 →仕事完成の可否→誰に帰貴できるか の順に考える。 図は請負人の責任 ②仕事の完成が不可能の場合 別紙 ③ 目的物の滅失・損傷の場合: 引渡前:引渡後で分ける ⑴ 引渡前・仕事完成可能:完成すれば注文者に報酬支払い義務 図 別紙 ⑵引渡前・仕事完成不可能: 滅失、損傷が完成前・完成後も同じ 図 別紙 ⑶引渡後: 請負目的物の滅失等に関する危険は注文者に移転 567,559 図 別紙 ※注文者の権利主張の可否:追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除
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仕事の完成に問題が生じた場合 ・目的物引渡しが不要=仕事の完成が不可能の場合(講演、清掃 等) →仕事完成の可否→誰に帰貴できるか の順に考える。 図は請負人の責任
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仕事の完成に問題が生じた場合 ① 総説 ・目的物の引渡が必要 =目的物の滅失・損傷の場合 ・目的物引渡しが不要=仕事の完成が不可能の場合 →仕事完成の可否→誰に帰貴できるか の順に考える。 図は請負人の責任 ※請負人に帰責性あり:請負人の手抜き工事で欠陥住宅が完成 ③ 目的物の滅失・損傷の場合: 引渡前:引渡後で分ける ⑴ 引渡前・仕事完成可能:完成すれば注文者に報酬支払い義務 図 別紙 ⑵引渡前・仕事完成不可能: 滅失、損傷が完成前・完成後も同じ ※ 例:補修が不可能なレベルの欠陥住宅で引渡日が迫っている場合 ※ 注文者に帰責性がない限り、未完成の場合に請負人は報酬を請求できない∵仕事を完成させることが契約の内容 図 別紙 ⑶引渡後: 請負目的物の滅失等に関する危険は注文者に移転 567(目的物の滅失等の危険の移転)・559
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委任総説 ① 委任 相手方は法律行為をすることを委託し、 相手方が承諾することによって効力を生ずる契約 (例) 土地の売却を依頼、家屋の賃貸を委託、弁護士に訴訟行為を依頼 (1) 条文: 643 (2) 準委任 : 法律行為でない事務処理の委任 ⇒ 委任の規定を準用656 (例) 医療契約、コンサル契約 (3) 基本用語 ・受任者: 法律行為の委託を受けた者 ・委任者: 法律行為の委託をした者 ・委任状: 委任事項・受任者・委任者を記載した書面 ⇒ 通常、 委任者が受任者に交付 ≒ 代理 ② 区別: 労務供給契約 、相手方とは独立、労働力の提供が目的 ※雇用契約も労務供給契約だが使用者に従属 ③性質:片務・無償・諾成・不要式 ⇒ 報酬支払特約付きまたは成果完成型の場合、 双務・有償 効力 ・受任者の義務 ① 善管注意義務 644 :善良な管理者の注意をもって委任事務を処理 (善管注意保存義務 400 と区別) ⇒有償・無償不問 ∵ 人的信頼関係を基礎 ※ 参考:無償寄託は自己の財産と同一に軽減 400、659 ② 自己執行義務 644の2改) 委任者の許諾またはやむをえない事由があれば復委任可≒復代理 ③ 報告義務 645 ④ 引渡義務 646 :取得した物 権利を委任者に移転→消費すれば利息を含めて賠償義務 647 ・委任者の義務 ① 報酬支払義務 : 報酬支払特約付き (有償委任) の場合のみ ∵ 人的信頼関係を基礎・ローマ法 ・履行割合型: 労務供給に対して報酬支払→ 原則 (例) 不動産販売の募集告知 ・成果完成型: 達成された成果に対して報酬支払→例外 (例) 勝訴判決 a)履行割合型改) 648Ⅱ Ⅲ →≒雇用 ・支払時期: 後払の原則。 但し期間による報酬は期間経過後に可 ・報酬: 委任者に帰責事由なし (受任者は不問)委任が途中で終了 → 割合的報酬請求可 (改正ポイント )改正前:受任者帰責なら割合報酬不可 → 改正後: 受任者帰責でも可 b) 成果完成型 改) 648 の2 ≒ 請負 ・支払時期 : 成果の引渡と同時履行→引渡なければ後払 ・報酬 :委任者に帰責事由なし (受任者は不問・)委任が途中で解除割合的報酬請求可 ② 費用等の支払義務: 委任者に支払義務 ∵ 人的信頼関係を基礎→費用前払義務 649、 費用等償還義務 650I、代弁済義務 650II、損害賠償義務 650Ⅲ 終了 ① 任意解除権: 651 改) 任意による解除可 ∵人的信頼関係を基礎 (1) 性質 :任意規定 (2) 損害賠償義務 写真 (3) 受任者の利益をも目的: →有償を意味しない(判例) (例) 委託者に対する受任者の債権回収のため、受任者の債権回収を受任→回収金は受任者の利益に ②653 解除: 一方当事者の死亡・ 破産手続開始・受任者後見開始 ∵人的信頼関係を基礎 ③解除の効果: 620 準用 652 →遡及効なし ∵ 継続的契約 ④終了時の特別措置 : 緊急処分義務 654、通知義務 655
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□ 寄託総説 ①寄託: ある物を保管することを相手方に委託し相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約 ⇒物の使用の有無で使用貸借・賃貸借等と区別・ 報酬の有無で有償寄託と無償寄託に分類 (例) クロークに荷物を預ける・ ペットホテルにペットを預ける (1) 条文 : 657 改) (改正ポイント:) 改正前:要物契約 改正後:諾成契約 ∵ 実務上、諾成が主 (2)性質 無償寄託: 無償、片務、諾成、不要式 有償寄託:有償、双務、諾成、不要式 (3) 基本用語 寄託物: 保管を委託された物 寄託者: 物の保管を委託する者 受寄者: 物の保管を委託された者 効力 ・受寄者の義務 ①寄託物保管義務 :基本的義務≒目的物保管義務 (1) 注意義務 ・有償寄託: 善管注意義務 400 ・無償寄託:自己の財産に対するのと同一の注意義務 659 ※ 参考: 商人の場合、無償寄託でも善管注意義務(商595) (2)寄託物使用の禁止 658 I (3) 自己執行義務 658Ⅱ改) 原則、 再寄託禁止 → 受寄者の承諾またはやむを得ない事由があれば可 (改正ポイント) 改正前:受寄者の承諾のみ 改正後:やむを得ない事由を追加 ∵復委任との整合性・実務上の必要性 (4) 再受寄者の権利義務 658Ⅲ改) : 受寄者の権限の範囲内において同一→再受寄者≒受寄者の履行補助者 (改正ポイント) 改正前:選任及び監督上の過失 改正後:再受託したから受託者の責任が軽減されるのは不適 ∵復代理関係 ② 寄託物返還義務 : 657 ③ 通知義務 660Ⅰ改 : 権利主張する第三者による訴え等→寄託者に通知。 但し寄託者悪意なら不要 (改正ポイント ) 改正前:訴え等があれば通知要 改正後:寄託者悪意なら不要∵必要性なし ④ 第三者の権利主張における返還 660 Ⅱ改) 返還先は原則、寄託者。 但し、 第三者に引渡を命じる確定判決があった場合を除く 寄託者の義務 ① 報酬支払義務 : 有償寄託の場合 →委任準用 665→費用前払義務・費用償還義務・代弁済義務 ②損害賠償義務 661 :寄託物の性質または瑕疵による場合→寄託者善意無過失又は受寄者悪意は除く ※例:寄託物が自然発火するものでボヤが生じた ③損害賠償及び費用償還請求の期間制限 664の2: ・制限期間 : 返還を受けた時から1年以内(除斥期間) ∵責任不明確の防止(返還した後はどちらの責任か不明確になる。なので1年に限る) ・消滅時効 : 一部滅失における損賠 →返還時から1年 (寄託中は完成しない) →寄託中の完成防止が趣旨 ※ 全部滅失の場合は返還できないので一部滅失に限定 口 終了 (3つの場面) ・返還時期の定めがない場合 (寄託物引渡後) ・返還時期の定めがある場合 (寄託物引渡後) ・寄託物引渡前の解除 ①返還時期の定めがない場合 ・寄託者: いつでも返還請求可 662 I ・受寄者: いつでも返還可 663 I ②返還時期の定めがある場合 ・寄託者: いつでも返還請求可→返還時期前の返還請求による損害は賠償必要 662Ⅱ ∵寄託の利益は寄託者側にある ・受寄者: 返還時期前なら返還不可→やむをえない事由があれば可 663ⅡI ③寄託物引渡前の解除: 657の2 ・寄託者: 寄託物を受取るまで解除可 →受寄者は損害賠償請求可 ・受寄者 無償または書面によらない寄託 →寄託物を受取るまで解除可 有償または書面による無償寄託 →引渡しの催告+引渡なしで解除可 ※ 軽率に行なわれがちの口約束の場合は簡単に解除を認める趣旨 □ 特殊な寄託 ① 混合寄託: 代替性のある寄託物を他の同種の寄託物と混合して保管し、同種の寄託物を返還する寄託 (例)インゴット (金属の延べ棒)、有価証券 ⇒同一物の返還義務がない ≠ 通常の寄託、寄託物の処分権なし ≠消費貸借 (1) 条文 : 665 の2改) 改正ポイント=法律関係を明文化 (2) 要件: 寄託物の種類及び品質の同一性 + 各寄託者の承諾 (3) 効力 : 同種物同数量の返還請求、一部滅失→ 寄託物の割合に応じた返還請求+損賠請求 ②消費寄託: 受寄者が契約により寄託物を消費できる場合であって同種物を返還する義務を負う寄託 (例) 預貯金 ⇒ 受寄者が寄託物の処分権を有する(消費貸借に類似) (1) 条文 : 666 改正ポイント=原則、 寄託の規定を準用本質は保管(消費貸借は消費) (2) 要件: 種類物の保管 + 当事者間の合意 (3) 効力: 原則、 寄託準用→返還662。但し、預貯金は591Ⅱ Ⅲ
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①組合: 各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することにより効力を生ずる契約 (例)共同で店舗運営 (1) 基本用語 組合:組合契約の結果として構成された団体→組合=契約 or 団体 組合員:組合の出資者 (2) 法的地位:組合契約により団体として結合→ 法人格を有しない ※ 法人ではないことが大きな特徴 ②性質:有償、双務、諾成、不要式 ③ 団体的制約: 667 の2改)∵団体的性格 I : 同時履行の抗弁権 533 及び危険負担 536の不適用 ∵円滑な業務に支障 Ⅱ: 債務不履行解除の不適用 ∵ 解散・清算規定があるので解除したい場合はこれらを使う ④ 成立要件 ・2人以上の当事者 ・組合の合意 : 1組合員の意思表示の無効 ・取消→他の組合員間の効力を妨げない 667の3改 ) ・出資:物・権利・労務・信用等も可 ・共同の事業:一時的・ 非営利も可 →ヨットの共同購入による遊行も可 (判例) ⑤ 業務執行 (1) 内部的業務執行 : 670 改) ・業務執行者なし: 原則、 組合員の過半数で決定し各組合員が執行→常務は各組合員可 ・業務執行者あり :業務執行者が決定し執行 (総組合員で決定・執行も可)→常務は業務執行者可 (2) 外部的業務執行 : 670の2改) 組合員または業務執行者は代理の形式で執行=組合代理 ・業務執行者なし: 原則、 組合員の過半数の同意で他の組合員を代理→常務は各組合員可 ・業務執行者あり: 業務執行者のみ代理可 →常務は業務執行者可 ⑥ 財産関係 (1) 所有形態: 組合員全員の共有 668・ 持分処分制限 676I・分割請求禁止 676Ⅲ→合有 (2) 債権: 676 Ⅱ改) 677改) a)組合財産である債権→組合員による持分の権利の単独行使不可→総組合員共同行使のみ可 b) 組合財産→組合員の債権者による権利行使不可 (3) 債務 675 改) 組合の債権者は組合財産または各組合員に対し権利行使可 ※混同不可 (判例) ・原則:均等割合 ・例外: 損失分担の割合←債権者悪意の場合 ⑦ 組合員の変動: 脱退自p由の原則 678(強行規定(判例) ) • 非任意脱退:死亡・除名等で当然に脱退679 (1) 除名の要件: 正当事由 + 他組合員全員の一致 + 通知 680 (2) 脱退の効果 : 持分の払戻し 681、 680の2改) 脱退前の組合債務を責任の範囲内で弁済 (求償可) (3) 組合に加入: 全員の同意または契約の定めにより可+ 加入前の債務について弁済の責任なし677の2改 ) ⑧ 解散: 組合の事業を終了 ⇒ 解散事由 682改) に該当→清算人が財産整理・分配 685
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① 終身定期金: 当事者の一方が自己・ 相手方・ 第三者の死亡まで定期に金銭等の物を給付する内容の契約 ※現代では使われない (1) 条文 : 689 (2) 性質 : 諾成•不要式 →対価の有無により片務・無償 or 双務・有償が決まる ② 和解: 当事者が互いに譲歩してその間に存する争いをやめることを約することにより効力を生ずる契約 ⇒「互いに譲歩 (互譲) 」「争い」が必要 (例)100万の債務 → 50万の債務 土地の境界→折衷案で確定 (1) 条文 : 695 (2) 性質: 双務・ 有償・諾成・不要式 (3) 効力 a) 確定効: 真実の法律関係と異なる →当事者は和解の内容に拘束 696 b) 錯誤との関係 ・錯誤主張不可 : 合意した事項自体 (和解の内容 ・争いの対象) ・錯誤主張可:和解の前提となっていた事項または争わなかった事項についての錯誤 例:「50万円で和解」を「5万円で和解」と聞き間違えた 土地所有者と思っていたが無権利者だった
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□ 事務管理総説 ① 事務管理: 義務なくして他人のためにその事務 (仕事) を管理 (処理) すること (例)嵐で留守の家の屋根が損壊+放置すれば損害発生→ 損害防止のため同意なく隣人が修理 ② 基本用語 (1) 管理者: 義務なく他人のために事務の管理を始めた者 (2) 本人 : 事務の管理をされた者 (他人) ③ 条文 : 697 ④趣旨: 他人の生活への不当な干渉の排除と社会生活における相互扶助の要請との調和 ⑤ 法的性質 : 準法律行為 ≠ 当事者の意思表示 準法律行為:法律効果の発生を目的としない意思の通知や観念の通知のこと □ 成立要件 ①要件: 他人の事務を管理・他人のためにする意志・法律上の義務がない・ 本人の意思及び利益に適合 →697I → 屋根を修理 ② 他人の事務を管理: 事務=生活に必要な一切の仕事・ 管理=仕事の処理 ○ 事実行為・法律行為・処分行為が全て他人の事務に該当 (例)人命救助・修理目的で業者と契約・売買契約の解除 ③ 他人のためにする意志 ○自己のためにする意志との併存 (例)隣家の壊れた垣根を自己の家の防犯の意思も含み修理 ○ 他人が特定できない (例)怪我をしたAの飼犬を世話→実はBの飼犬 ○費用請求の意思がない (例)隣家の屋根を自己負担で修理 ④ 法律上の義務がない ○第三者弁済で委託を受けずに弁済・主債務者の委託を受けない保証人の弁済・負担部分のない連帯債務者の弁済 ⑤ 本人の意思及び利益に適合=本人の意思または利益に反しないことが明らか (通) ※ 公序良俗・ 強行法規違反は除く →自殺者を救助 ・飲酒者に代わって運転の場合は本人の意思に反していても事務管理成立 □ 効果 ① 違法性阻却: 民事・刑事共通 →不法侵入・器物損壊・709 不可。但し、 債務不履行責任は可 ② 管理者の義務 (1) 管理継続義務 700:必要がなくなるまで ∵ 本人の不利益防止 (2) 中止義務 700但:意思に反し、または本人に不利であることが明らかな場合 (3)意思尊重義務 697 : 本人の意思を知っているまたは推知できる→その意思に従う (4)善管注意義務: 善良な管理者の注意をもって管理∵698 反対解釈 → × 自己と同一の注意 ⇒ 緊急事務管理(急迫の危害を免れさせる場合) は悪意または重大な過失に限り責任 698 (5) 通知義務 699:遅滞なく本人に通知。 本人が既に知っている時(本人悪意)は除く (6) 計算義務701:委任を準用 → 報告義務・受取物又は権利引渡義務・金銭消費責任 ③本人の義務 702 (1) 費用償還義務 702Ⅰ : 有益な費用の償還可→ 有益費・必要費・保存費等も含む (判例) (2) 代弁済義務 702Ⅱ: 本人の管理者に対する義務をした場合 →現存利益のみ (3) 償還等の制限 702Ⅲ :管理者が本人の意思に反して事務管理 ⇒本人の意思に反する + 意思に反することが明らかでない→事務管理成立(現存利益の償還請求可) (例)屋根が壊れたが取り壊す予定があったので本人は補修する意思がなかった場合) Q 管理者の報酬請求権及び損害賠償請求権の可否 (1) 事例: 溺れている者を救助した→ 衣服が汚損 (2) 通説: 否定 ∵道徳上の価値。 但し費用を合理的に解することで妥当な結論を導く ※服の汚損=費用と捉える Q 事務管理の対外的効力 (1) 事例: 留守の家の屋根が損壊 → 損害防止のため同意なく隣人が業者に修理を依頼 (2) 問題の所在: 管理者が本人の代理人として業者と契約した →有権 or 無権 (3) 判例 ・管理者の名で契約→管理者に帰属。 但し本人は代弁済義務 ∵ 702Ⅱ ・本人の名で契約→無権代理 (追認で事務管理) 体内関係となり対外関係とは別
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□ 不当利得総説 ① 不当利得: 法律上正当な理由なく他人から利益を受けこれによって損害を及ぼした場合に得られた利得 ⇒703~708に基づき不当利得返還請求権が生じる = 不当利得制度 (不当利得) (1) 条文 703 から 708 ⇒ 債務不履行 415・不当利得 703、不法行為 709 が請求の基本 (2) 事例: 売買契約の無効・取消・解除 、 他人の土地を自己物と誤信して占有・使用 (3) 基本用語 受益者: 不当利得により利益を得た者 →不当利得返還義務が生じる 損失者: 不当利得により損失を被った者 →不当利得返還請求権が生じる ②不法行為との区別 不当利得: 利得を中心 (+の財産) →利得を否定 +返還により正常化 不法行為: 損害を中心 (一の財産) → 損害を否定 +填補により正常化 ③ 類型 給付利得: 給付の清算の対象となっている利得→ 契約の存在+ 給付行為を前提 例:売買契約の解除 侵害利得: 専ら他人の財貨によって受けている利得→契約の不存在+ 侵害行為を前提 例:他人の土地を無断で使用s 一般不当利得: 不当利得の原則的処理→703 704 で規定 特殊不当利得: 不当利得の例外的処理 →705~708 で規定 □ 不当利得の本質 ① 趣旨 【衡平説】旧通説 内容)実質的に不当な財産の移動→公平の理念に従い均衡を図る 特徴)事例を統一的に理解 【類型論】現民法の基礎 内容)財産の移動の原因を考察→類型に分けて要件が決まる 特徴)事例を類型に分けて理解 ※ 旧民法:衡平説 (旧通説)類型論 (有力説)→新民法:類型論を基礎+部分的に衡平説 ② 類型論による分類 : 給付利得・侵害利得を除き通説なし + 事務管理との見解もある (1) 給付利得: 給付不当利得とも言う (2)侵害利得:= 侵害不当利得・財貨利得とも言う (3) 費用利得: ある者が他人の財産に費用を投下することでその他人が受けている利得 a) 事例:隣家の塀を合意なく修理した b) 特徴: 給付行為なし + 受益が損失者の意思に基づく(侵害利得ではない)→費用償還しうる関係 (4) 求償利得 a) 事例: ある者が自己の支出において他人の債務を弁済した場合にその他人が受けている利得 b) 特徴: 給付行為あり + 損失者と受益者の間に債権者が介在→求償しうる関係 不当利得の各類型 別紙 ※侵害利得:703,704 給付利得:121の2 特殊不当利得:705-708 一般不当利得の要件 ① 総説: 703→受益、損失、受益と損失との因果関係、法律上の原因なし ⇒ 類型論 →侵害利得:上記全て 給付利得:「法律上の原因がない」のみ ∵給付があったことを前提→受益、損失、因果関係がありと考えることができる ②受益 :財産の増加 及び消極的増加 (財産の減少が消滅) ③損失: 財産の減少及び消極的減少 (財産の増加が消滅) (例) 不法占拠 →貸す予定がなくても家賃分の損失が認められる ④ 因果関係: 社会通念上の因果関係 →騙取金で問題 ⑤ 法律上の原因 : 給付利得でも要件 →不当利得の中核 一般不当利得の効果 ①原則: 受益の全部返還 (=全部返還の原則) ∵ 法律上の原因なし ② 内容(判例) 原則: 利得した原物の返還 (原物返還の原則) ∵705 等参 例外: 原物返還不可能の場合、価格相当額の金員の返還 ∵受益者に過大な負担 ③ 返還義務の範囲: 類型論→条文類型により区別
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図
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2 不当利得各論 □ 侵害利得 ①侵害利得: 専ら他人の財貨によって受けている利得→契約の不存在 + 侵害行為を前提 (1) 条文: 703、 704 (2) 事例: 他人の土地を無断使用・他人の財産を無断売却・二重譲渡 ②要件: 受益、損失、受益と損失との間の因果関係、法律上の原因のないこと (1)不法行為との関係 侵害利得→ 不法行為 709 となることが多い ⇒選択して請求できる (2)不法行為との違い 【不法行為】 (要件)加害者の故意または過失 (遅滞の時期)不法行為時から (消滅時効)損害及び加害者を知った時から3年/不法行為時から20年 (効果)原則、 損害賠償 【不当利得】 (要件)故意または過失は不問 (他人の財貨であることにつき) (遅滞の時期)催告時から (消滅時効)主観的起算点: 権利行使可を知った時から5年 客観的起算点: 権利行使可の時から10年 (効果)原則、 原物返還 ③ 効果: 全部返還 (1) 内容 原則: 原物返還の原則 例外: 原物返還不可能の場合 → 価額賠償義務 (2) 返還義務の範囲: 利得が法律上の原因がないことに関し、善意 or 悪意で区別 善意: 現存利益の返還 703 ※浪費分は返還不要 悪意: 全部の利益の返還→受益全部+ 利息支払義務 + 損害賠償責任 704 Q 善意または悪意を決する時期 (1) 事例: 善意で不当利得の受益→その後、 受益について法律上の原因がないと知る→利得消滅 (2) 判例: 法律上の原因がないことを事実上知った時 → 以後悪意 ∵189Ⅱとの整合 (3) あてはめ: 知った時以後は返還義務の範囲は減少しない (3) 果実: 189・ 190適用 善意: 受益者に果実収取権あり 189 →不当利得は適用されない 悪意: 返還または代価償還義務あり 190I (4) 使用利益: 果実と同様 (判例) (5) 滅失・損傷 : 191 適用 ・善意: 現に利益を受けている限度において賠償義務 ・悪意 その損害の全部の賠償義務 (6) 費用: 196 適用 → 善意・悪意不問 必要費: 占有者請求可 → 果実取得の場合、 占有者は通常の必要費負担 + 特別費請求可 有益費:有者は、 価格増加が現存する場合に限り支出金または増加額の償還を受けることができる □ 給付利得 ①給付利得: 給付の清算の対象となっている利得→契約の存在 + 給付行為を前提 ②要件: 法律上の原因がない ※ 給付があるため受益・損失・因果関係は認められる (1) 無効 : 公序良俗違反 90、意思無能力3の2、 通謀虚偽表示 94、 (2) 取消: 制限行為能力5以下、錯誤 95、詐欺・強迫96、無権代理 115 (3)解除 : 540 以下 Q 原状回復義務545I と不当利得返還義務との関係 (1) 判例・通説:原状回復義務は不当利得 703、704 の特則 (2)理由:直接効果説 → 既履行給付の原状回復は不当利得の返還 Q 原状回復義務545Iと不当利得返還義務との関係 (1) 判例・通説: 原状回復義務は不当利得 703,704 の特則 (2) 理由: 直接効果説→ 既履行給付の原状回復は不当利得の返還 ③ 効果: 原状回復義務 121の2 (1)原則 : 全部返還の原則→原物返還の原則 + 不可能な場合、価額償還義務 ⇒ 類型論→703、 704 による現存利益の返還で足りる (利得消滅の抗弁)不適用 (2) 例外Ⅱ・Ⅲ: 現存利益の返還で足りる=利得消滅の抗弁肯定 a) 無効な無償行為に基づく給付 + 善意 (例)無効な贈与+無効について善意の受領者 b) 行為時に意思能力を有しなかった者 c)行為時に制限行為能力者であった者 (3) 果実・ 使用利益・滅失・損傷 :原則どおり(有力説) (4) 費用: 196、608 類推適用 ④ 権利の行使期間(不当利得返還義務全般) (1) 遅滞 : 期限の定めのない債務(判例) →催告を受けた時から412Ⅲ (2) 消滅時効 主観的起算点: 知った時から5年間行使しない時 客観的起算点: 権利を行使できる時から 10年間行使しない時 □ 特殊不当利得 ① 特殊不当利得: 給付利得の特殊な場合 :705~708 による給付利得の更なる特則 ・非債弁済: 債務がないにも関わらず弁済がなされた場合 705、 706 、707 ・不法原因給付:不法な原因に基づいて行われた給付 708 ② 非債弁済 :債務の不存在を知ってした弁済 705・他人の債務の弁済 707・ 期限前の弁済706 ⇒ 要件・効果に特則 →要件充足により返還請求不可 ※期限前の弁済706は「非債弁済:(債務がないにも関わらず弁済がなされた場合 )」ではない?→実益がないのでスルー (1) 債務の不存在を知ってした弁済705 (例) 借金がないと知ってる →借金の返済として弁済 a) 要件 債務不存在 : ◯:無効・取消・弁済∵理由不問、 × :公序良俗違反による無効 給付: ◯: 一部弁済、契約不適合物の給付 ∵債務の本旨に適合している必要はない 任意は必要→強迫・強制執行による場合も要件を満たす 不存在悪意: 善意有過失では705は適当されない(判例) ∵悪意者を保護しない=過失者は保護 b) 効果: 給付した者は返還請求不可 (2)他人の債務の弁済 707 ・弁済者(第三者) が他人の債務として弁済→第三者弁済 474 ・弁済者(第三者) が自己の債務と誤信して弁済→他人の債務の弁済707 a) 趣旨: 善意の債権者保護 ∵債権存続 ※債権者が担保の放棄などをしてしまうことがある b) 要件 ・他人の債務:× 弁済者が他人の債務を誤信した場合 (判例)∵707の適用場面は「自己の債務」を誤信した場合 ・錯誤による弁済: ○保証人・連帯債務者ではない者が自己がそうであると誤信した場合も707に該当(判例) ・善意の証書滅失等 : 滅失・損傷→〇返還した場合も該当 (判例) c)効果: 返還請求不可。但し、 求償権行使可 (求償利得) (3) 期限前の弁済 706 a) 特徴: 法律上の原因あり→不当利得不成立・返還請求不可 b) 要件: 錯誤による期限前の給付 c)効果: 中間利息返還請求可
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他人の債務の弁済 707 ・弁済者(第三者) が他人の債務として弁済→第三者弁済 474 ・弁済者(第三者) が自己の債務と誤信して弁済→他人の債務の弁済707
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不法原因給付 708 (1) 意義 : 不法な原因のために給付をした者 →返還請求不可 ⇒ 公序良俗違反 90 と表裏一体 (2) 趣旨: 法を守る者だけが法の救済を受ける=クリーン・ハンズの原則 (3) 要件: 適用は制限的 a) 不法: 強行法規に違反 かつ 倫理・道徳に反する醜悪なものを必要 × 強行法規違反のみでは708は適用されない。「倫理・道徳に反する醜悪なもの」がポイント。 ・肯定判例: 妾契約維持目的の妾への不動産贈与、 密輸のために借金、 賭博のために抵当権設定 ・否定判例: 石油製品配給規則違反の給付 b) 原因: 目的・動機 →当事者が悪意なら原因となりうる (判例)密輸のために借金→借主は詐取目的で貸主に告知→返還請求肯定 ∵詐取した者を利する結論は不当→目的動機について悪意だからと言って常に708が成立するわけではない c) 給付 : 終局的な利益の移転が必要 ・動産→占有改定以外の引渡し ・不動産 -既登記不動産 →登記が必要(引渡しのみでは足りない) -未登記不動産(新築建物等) →引渡が必要 (登記不要) d) 範囲制限: 不法な原因が受益者にのみ存するものではない→受益者にのみ原因 = 返還請求可 →給付者と受益者の不法性を比較 →受益者不法性が大きい場合は返還請求可 ∵通常、両者に原因がある (判例)賭博目的の借金→当事者悪意 + 貸主が執拗な催促を受けた or 強迫や詐欺を受けた→708否定 (4) 効果: 給付者は返還請求不可 (判例)給付者の債権者による債権者代位 423は行使不可、詐害行為取消権424 行使可(424を行使して返還請求を求めるときは708は適当されない) ∵423は給付者の権利、424は独自の権利 (判例)不法原因給付の返還特約→有効 ∵ 趣旨 (例)賭博契約で交付した金銭の返還契約 ※ 短答頻出 Q 不動産贈与における 708の適用 (1) 事例: 愛人契約による不動産贈与契約→708 適用→不動産所有権の帰属は? (2)問題の所在(3つの問題) a) 給付者に所有権→所有権に基づく返還請求権の行使の可否 b) 給付者の返還請求不可 + 給付者に所有権→不動産の所有権の帰属 c) 未登記不動産の場合、引渡しのみで708適用→受益者による移転登記手続請求の可否 (3) 判例 a) 所有権に基づく返還請求→否定 ∵趣旨 : 給付者が行った不法行為の救済を認めない→所有権に基づく返還請求権に708適用 b) 不動産の所有権の帰属→(請求不可の時に)受益者に移転 ∵返還請求ができないことによる反射的効果 c) 受益者による移転登記手続請求の可否→肯定 ∵実体的権利関係の繁栄
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□ 支出利得 Bランク ① 支出利得: 受益者への直接の給付以外の方法による利得 ・費用利得: 他人の物に対し財産または労務を投下した場合 ・求償利得: 他人の債務を弁済するため債権者に給付した場合 ⇒ 適用領域が少ない ∵ 事務管理・個別規定・学説 + 受益者にとって利得の押付け →返還範囲制限 ② 費用利得 (1) 特徴: 給付行為なし (受益者が何かをもらったと言う関係ではない)(給付利得はあり)・損失者の意思に基づく行為 (侵害利得は意思なし) (2) 要件: 703-受益 ・損失・ 因果関係・法律上の原因なし (3) 効果: 常に価格返還 ③求償利得 (1) 特徴: 給付行為あり + 損失者と受益者との間に第三者たる債権者が介在 (2) 要件: 703-受益・損失・ 因果関係・ 法律上の原因なし (3) 効果: 求償権発生+468I類推 多当事者間の不当利得 ① 多当事者間の不当利得: 損失者·受益者間に第三者が介在し、 その第三者と不当利得が問題となる場合 ・直線型:「 A→B→C 」と2回の利得 (例) 詐欺で取得した金で弁済 ・三角型:「 A→B+ Cの関与」と1回の利得 ※CはA、B両方に関与 (例) 無効なクレジットカードで弁済 ⇒衡平説で処理 (深入りしない。メリットない) (1) 直線型: 騙取金による弁済・誤振込・転用物訴権 (2) 三角型: クレジットカード以外省略 ※これら以外は出ない(複雑すぎる。学説錯綜) ② 騙取金による弁済 →騙取金:騙し取られた金銭 + 窃盗・ 横領・ 強迫等も同様 Q 騙取金による弁済における損失者による弁済受領者に対する不当利得返還請求の可否 (1) 事例: AからBが100万を騙取 →BがCに騙取金で債務を弁済 → AがCに703 (2)問題の所在: 703 の要件 (受益・損失有∵A損失有、C受益有)→因果関係の有無 + 法律上の原因の有無が問題 (3) 判例・通説 a) 因果関係: 社会通念上の因果関係があれば足りる →社会通念上、損失者の金銭で受益者の利益を図ったと認められる連結があること →≒ほとんど成立(緩い) b) 法律上の原因がない : = 実質的・ 相対的な理由がない → 実質的= 形式面のみでなく(受益者の)主観面も考慮 相対的=人ごとに判断 (AC間・BC 間とは結論が異なりうる) ⇒騙取につき、 悪意または重過失がある場合は法律上の原因なし (4) 結論: 騙取につき悪意または重過失があれば返還請求可 ③ 誤振込み: 自己の銀行口座から誤った銀行口座を指定して送金した場合 ⇒ 銀行 (第三者) が送金を仲介→ 多当事者間の不当利得 (1)基本用語 ・仕向: 送金を他の銀行に対して実施すること。 送付。 ・仕向銀行 : 送金元となる銀行 ・被仕向銀行:送金先となる銀行 (2) 振込 :振込依頼人→ 仕向銀行→被仕向銀行→受取人 ※写真参照 (3) 預金債権: 誤振込の原因となる法律関係の存否に関わらず、受取人と被仕向銀行間で成立(判例) ∵ 金銭所有権= 占有者 + 実務上原因関係の判断は困難 (4)誤振込における703の可否 ⅰ【損失者(返還請求をする人)=振込依頼人 / 受益者(返還請求をされる人)=受取人】 請求内容: 不当利得返還請求 結論: 肯定 ∵預金債権は振込依頼人に帰属 ⅱ【損失者=振込依頼人 / 受益者=仕向銀行】 請求内容:不当利得返還請求 結論:否定 ∵通常、振込依頼人に重過失95Ⅲ ※振込先入力間違いは普通重過失 ⅲ【損失者=受取人 / 受益者=被仕向銀行】 請求内容:預金払戻請求 結論:特段の事情がある場合を除き、肯定 ※「特段の場合」=詐欺で振り込ませたなど ⅳ【損失者=振込依頼人 / 受益者=被仕向銀行】 請求内容:不当利得返還請求 結論:受取人が組戻 + 相殺により回収した場合、肯定 ※ 短答向けで、複雑な話なので結論だけ抑えればok ④クレジットカードによる無効な弁済 (判例)第三者(カード会社)は受益者(消費者。カード名義人)に対して703可
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⑤ 転用物訴権 :給付が第三者の利益ともなった場合にその第三者に不当利得返還請求をすること Q 転用物訴権の可否 (1) 事例: AがBの依頼によりC所有のブルドーザーを修理 ⇒ ブルドーザー事件 S45.7.16,ビル改修事件 H7.9.19 (2) 問題の所在: 703 の要件 (受益・損失有)→因果関係の有無 + 法律上の原因の有無が問題 (3) 判例 a) 因果関係: 修理によりA損失・C受益 直接の因果関係あり + B受領は妨げにならない ⇒第三者が介在しても直接性あり。 社会通念上の因果関係とは異なる (ブルドーザー) b) 法律上の原因 : 原則、なし。 ∵ Bが依頼しており債務を負っている。AはBに請求できる。 →ただし、例外的にあり 【ブルドーザー事件】 (結論)Bが無資力であれば、無資力のために無価値である限度で肯定 (回収できなかった限度で肯定) (理由)利得はAの損失に由来 【ビル改修事件】 (結論)Bが利得に対応する反対債権(BのCに対する費用償還権)を有しない場合で、利得がBC間の関係全体からみてCにとって無償と認めれれる ※借主が自己負担で補修することを条件に安く貸していたらCにとって無償とは言えない) →肯定。 Cにとって無償行為なら肯定(Cにとってぼたもち的なら肯定) (限定的承認説) (理由)実質的・相対的理由がない 賃貸人に二重の負担を強いる ⇒ 関係当事者の利害をふまえその範囲を限定≒ 衡平説
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1 不法行為総論 不法行為 ① 不法行為制度: 故意または過失により他人の権利・利益を侵害した者に対し損害の填補を請求できる制度 (1)不法行為: 故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為 (2) 典型例 : 加害者が被害者を殴る → 被害者が怪我→治療費等が100万→ 加害者に請求 (3) 条文: 709 (4) 特徴 ・相手方の利得を前提としない⇔不当利得 703 ・ 契約等による債権債務関係を前提としない⇔債務不履行 415 ② 目的: 損害の填補 ⇒ 懲罰的損害賠償制度は不採用 ※不法行為の抑止や制裁は刑法 ③過失責任の原則: 不法行為に基づく損害賠償請求権の発生には加害者の故意または過失が必要という原則 ⇒ 故意または過失がなければ不法行為責任を負わない = 過失責任主義 ⇒ 例外的に修正 →報償責任 715・危険責任 717 ④ 不法行為の種類 (1)一般不法行為:原則的な不法行為についての規定→709 (2)特殊の不法行為:一般不法行為を修正した民法の規定→714〜719 (3) 特別法による不法行為: 一般不法行為を修正した特別法の規定→失火責任法・国家賠償法等 ⑤ 一般不法行為の概要 (1) 要件 a) 故意または過失 b) 権利または法律上保護される利益の侵害 c)損害の発生 d) 因果関係 e) 不法行為責任の成立を阻却する事由のないこと (2) 効果: 損害賠償 2 一般不法行為の要件 □ 故意または過失 ① 故意: 一定の結果発生に対する認識・認容 (認容説・通説)≒ 刑法 (1) 性質: 客観的な行為義務違反 (2) 結果: 過失との区別 a) 債権侵害→ 故意がある場合に限り損害賠償義務 b) 賠償範囲・過失相殺→ 故意により範囲が変わりうる ②過失: 予見可能性を前提とした結果回避義務違反の行為 (新過失論・通説)≒刑法 (1) 性質: 客観的な行為義務違反 (2) 判断基準 a) 基準者 ・具体的過失: 行為者本人の具体的な注意能力を基準 ・抽象的過失: 平均的な人 (加害者の属する社会的・人的グループ) の注意能力を基準 (判例) ※(判例)医師は一般人より高度な注意義務あり →慣例があっても直ちに否定されるものではない(輸血前の問診を実務上行わない慣例があった事案) b) 基準時:不法行為時 (3) 信頼の原則: 他者の適切な行動への信頼が相当→他者の不適切な行動による結果への責任は問わない ・(判例)追抜き中の車→並進車が進行妨害→ 交通事故→予見可能性ありでも注意義務なし ③立証責任 : 加害者の故意・過失につき被害者 (請求する側) が負担 ※債務不履行は債務者(請求される側) が負担 ・過失があったと評価できる具体的事実 (立証対象)→過失 - 立証責任の転換 (法律上の推定): 立証責任は加害者側が負担 - 一応の証明 (事実上の推定):立証責任は被害者側が負担。 但し、立証の負担軽減 □ 権利または法律上保護される利益 ①権利侵害: 改) 改正前:権利侵害 改正後:権利または法律上保護される利益を侵害 ⇒ 具体的権利といえないものでも法的保護を与えることが可能 (大学湯事件 ⇒違法性が必要 →被侵害利益と侵害行為の態様との相関関係で決まる (有力説) ②) 被侵害利益 (1)財産権 a) 物権 :原則、709 可 b)債権 :原則、 709 可 (類型に応じ要件を修正) c) その他:侵害態様により判断 ・(判例)営業上の利益侵害 : パチンコ店妨害のため公園を寄付・脅迫により販売停止→709 成立しうる ・(判例)不当訴訟:訴訟提起が著しく妥当性を欠くときに限り、 709 成立しうる∵憲32 2)生命・身体: 過失責任が厳しく問われる ・(判例)医師の治療行為に過失 →医療行為と死亡との因果関係の証明がない ⇒ 医療水準にかなった医療があれば患者が生存した相当程度の可能性が証明された場合、 709 成立 ・(判例)建物の瑕疵により生命・身体に侵害 → 建物設計・施行者等の居住者等に対する709責任 ⇒ 安全性に配慮すべき注意義務あり → 特段の事情がない限り、709 成立 ※特段の事情:居住者等が欠陥を知っていた場合等 (3) 公害・生活妨害 受任限度論で処理(判例・通説) a) 受忍限度論: 社会生活上受任するのが相当とされる限度を超える場合は違法な侵害 → 709 成立 ・(判例)騒音被害 : 空港の騒音被侵害利益・侵害行為の態様・公共性を考慮して受忍限度を判断 ⇒ 過去の騒音被害は国賠請求認容・ 将来の騒音被害は却下 ∵程度の確定が困難S56.12.16 ・(判例)日照妨害: 増築で日照妨害被侵害利益・侵害行為の態様・社会的妥当性を考慮して受忍限度を判断 → 709 成立 ∵増築自体が建築基準法違反-S47.6.2 7 ・(判例)眺望侵害 : 建築で景観侵害良好な景観自体は法律上保護に値する、 権利性ない・要件は厳格に判断 →709 不成立 ∵建築自体に違法性なし-H18.3.30 (4) 内縁・婚姻関係: 法律上保護される利益に該当 →不当破棄は709 可。内縁も婚姻に準じる a) 不当の判断基準: 社会常識から総合考慮 b) 配偶者と第三者の不貞行為 ・ 他方配偶者が第三者に 709 →709 可 ∵婚姻共同生活の平和の維持侵害 ・他方配偶者が第三者に 709 + 婚姻関係は破綻済 →709不可。∵権利侵害なし ・ 配偶者の子が第三者に 709 →監護権阻止等特段の事情なき限り 709 不可 (5) 名誉・プライバシー : 法律上保護される利益に該当 + 表現の自由との調整が必要 (判例) a) 名誉毀損の免責事由: 公共の利害・公益目的・真実性(または相当な理由)≒刑230の2 ※意見の場合 : 真実性=論評の前提とする事実の重要な部分について真実であること+論評の域を逸脱しないこと b) プライバシー侵害の免責事由: 公表されない法的利益と公表する理由との比較衡量
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ロ 損害の発生 ①損害: 不法行為等があった場合となかった場合との利益状態の差を金銭で表示したもの (差額説一判例通説) ②損害の種類 非財産的損害: 財産的損害以外の損失 (例) 慰謝料 (精神的苦痛) 財産的損害:財産に被った損失 ・積極的損害:保有財産の消滅による損失 (例)治療費 ・消極的損害: 将来得ることができた利益を得られないことによる損失 (例) 入院中の給料 ※消極的損害= 逸失利益・得べかりし利益 □ 因果関係 ① 因果関係: 加害行為(不法行為)と損害との間の因果関係 (加害行為 →権利侵害 →損害) ②相当因果関係説(判例通説): 事実的因果関係 (条件関係) + 相当性 が必要 ・事実的因果関係(条件関係) : 「あれ (加害行為) なければ、 これ (損害)なし」 ・相当性:加害行為によって損害が生じることが社会的・規範的に相当と評価できる ③判断基準時:事実審口頭弁論終結時 ※ 故意過失:不法行為時 ※709の因果関係が大きな論点になることはない □不法行為の成立阻却事由 ・責任能力:自己の行為が違法なものとして法律上非難されるものであることを弁識しうる能力(民法) ・未成年者 712: 12歳程度から認める→個別的に判断(判例) ・精神上の障害 713: 心神喪失者等を対象→一時的に故意または過失による場合を除く ⇒加害者側に主張立証責任 ∵権利障害規定 ②正当防衛 720I 防衛行為の対象に第三者も含む刑法の正当防衛 ≠ 刑法の正当防衛及び緊急避難 ③ 緊急避難 720Ⅱ:他人の物から生じた急迫に危難をさけるために限定 ≒刑法の対物防衛 ④ 被害者の承諾・正当行為・自力救済 : 刑法と同様
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3 一般不法行為の効果 ◻︎概要 ①一般不法行為の効果=損害賠償 = 被害者は加害者に不法行為に基づく損害賠償請求ができる 709 (問題となる4場面) ・損害賠償の方法→金銭賠償・原状回復・事前差止 ・損害賠償の範囲→損害の金銭的評価 ・損害賠償の調整→過失相殺、損益通算 ・損害賠償の権利→性質(譲渡の可否等)・請求権者・消滅時効・代位 □ 損害賠償の方法 ① 賠償方法 ・原則: 金銭賠償の原則 722Ⅰ, 417→損害を金銭に評価して賠償 ∵ 原状回復より便利・適切 ・例外: 原状回復・事前差止も一定の要件を満たせば可 ② 支払方法 条文なし→同意または被害者の請求があれば一時金方式と定期金方式の双方が可 (判例) ・一時金方式: 将来にわたり継続的に発生する損害も含め全損害を一時で賠償させる方式 ・定期金方式: 将来の損害についてはその発生時期の経過ごとに賠償させる方式 ③ 中間利息: 一時金方式の場合→請求権が生じた時点における法定利率により控除 722, 417の2I ④ 原状回復→事後の特約、明文 (723) がある場合に限る(判例) ⑤ 事前差止→ 物権的請求権または人格権に基づき認める + 受忍限度論・違法性段階説(判例) ・(判例) 国道43号線公害規制訴訟 (1) 事例: 高速道路建設→周辺住民が騒音・排ガス等により損害→差止+損害賠償等請求 (2) 結論: 損害賠償:認容 事前差止:棄却 (3) 理由 ・損害賠償 :受忍限度を超えた・社会的有用性等はあるが不可欠性・彼此相補(かしそうほ)の関係にはない ※国道は近隣住民にとっては生活に不可欠ではない。 ・事前差止: 社会的有用性・公共性から金銭賠償よりも高度な違法性が必要 □ 損害賠償の範囲 ① 賠償範囲: 事実的因果関係 + 相当因果関係説(判例通説) →損害を金銭的に評価したものが賠償額 (1)相当因果関係説: 社会通念上相当と考えられる(=相当因果関係の) 範囲内の損害に限り賠償 ⇒不法行為について 416類推適用 (≒債務不履行と同様)→判断基準も相当因果関係説 (2) 判例 ◯相当因果関係の範囲内の判例):不当な仮差押 からの解放のために支払った供託金の利息 ×相当因果関係の範囲外の判例):不当な仮処分 により 融資不可になったことによる事業遅延に対する賠償 ②損害の金銭的評価: 個別損害項目積上方式 + 差額説 ・個別損害項目積上方式: 損害を積極的損害・消極的損害 ・非財産的損害等に分離→項目毎に算定・合計 ・差額説: 不法行為があった場合となかった場合との利益状態の差を金銭で表示 ③算定方法 (1) 積極的損害 a) 死亡: 治療費・入院費・葬儀費用・墓碑建設費・仏壇購入費(判例) b) 傷害 : 治療費・入院費・介護費用 (2) 消極的損害 a) 死亡 : (死亡時の年収)× (就労可能年数) - (中間利息) (判例)無職、年少者等死亡の場合の逸失利益の請求→平均賃金の統計等、 蓋然性のある額なら請求可 (判例)男女の賃金格差を前提とした逸失利益の請求→男女の平均賃金等、 適正なら男女格差容認 b) 傷害 ・休業損害: 1日の基礎収入×休業日数 ・後遺症 : 後遺障害等級・期間に応じて算定 (判例) ・1日の基礎収入→ 原則、 無職等は請求不可・主婦等は請求可 ∵実際の収入 ・労働能力の一部喪失・収入の減少なし → 特段の事情のない限り、 財産上の損害を認めない ・加害者の不法行為による後遺症→その後、被害者が第三者による別の原因によって死亡 ⅰ 後遺症による逸失利益→特段の事情のない限り、 死亡時以降の就労期間も算入 ⅱ 介護費用→死亡時以降は請求不可 ⅲ 第三者の賠償すべき逸失利益 →加害者により低下した労働能力を前提に算定 (3) 非財産的損害: 精神的損害 (慰謝料) →原則、社会通念・ 自由心証より算定 (算定表・相場はある) ⇒ 算定に至る根拠を表示する必要なし・懲罰的損害賠償機能は否定(判例) (4) 物的損害の算定 a)物の滅失・修理不能→交換価値が賠償額 ・交換価値の価格の基準時:債務不履行と同様の基準 ∵ 416類推適用 ⇒ 原則、履行不能時の価格→中間最高価格:予見すべき場合。騰貴中:事実審の口頭弁論終結時 b) 物の修理可能 →原則:修理費 例外: 損傷後の価格 + 修理費 > 損傷前の価格の場合、損傷前の価格との差額のみ(判例) ※損傷前:100万円 損傷後70万、修理費60万の場合、30万円のみ c)物の不法占有→賃料相当額が賠償額
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ロ 損害賠償の調整 ・過失相殺 : 被害者に過失 ・損益相殺 : 被害者に利益 ➡︎損害賠償額を減額することで調整 ① 過失相殺 : 被害者に過失がある場合に裁判所がこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる制度 (例)わき見運転により出会い頭に衝突事故・損害100万→Vは一時停止無視 で過失割合60% (図) (1) 条文 : 722 Ⅱ (2) 趣旨: 損害の公平な分担 Q722Ⅱの「過失」は709 の「過失」と同じなのか (1) 事例: 加害者 (20歳) のわき見運転・衝突事故 →被害者 (10歳) の信号無視( 責任能力なし) (2) 問題の所在: 722 Ⅱ の 「過失」 → 被害者の責任能力が必要となるか ※709の過失は責任能力の存在が前提 (3) 判例: 責任能力不要、事理弁識能力 (5~6歳) は必要 →722の「過失」は709の「過失」とは異なる (4) 理由: 722の趣旨は損害の公平な分担→ 過失 =公平の理念に基づいて賠償額を減縮するために考慮≠通常の過失 (3) 効果 (債務不履行における過失相殺との相違) 【債務不履行】 条文:418 効果:減額のみならず責任の否定も可能 考慮の形態:必要的考慮「定める」 【不法行為】 条文:722 II 効果:減額のみ 考慮の形態:裁量的考慮「定めることができる」 (4) 被害者側の過失: 被害者に過失がない場合で、 被害者と一定の関係にある者に過失があるとき Q 被害者側の過失がある場合の過失相殺の可否 (1) 事例: 出会い頭交通事故→夫の運転する車に同乗する被害者 (妻)が怪我。 夫が一時停止無視 (2) 問題の所在: 夫:過失あり、被害者:(妻) 過失なし。 722Ⅱ不可?→被害者側の過失と考慮できるか? (3) 判例: 特段の事情のない限り、考慮できる (4) 理由: 損害の公平な分担 →722 Ⅱの被害者は被害者側も含む (5) あてはめ : 被害者と身分上または生活関係上一体をなすとみられる関係にある者 = 被害者側 ◯:配偶者・内縁配偶者 x : 保育士・恋人・同僚 (5) 被害者の素因: 不法行為前からの被害者の心身状態により損害の拡大または競合して発生させたもの ・心因的素因: 被害者の心理的・精神的な問題 (例) 被害者の性格、 精神上の疾患、ストレス耐性 ・体質的素因: 既往症や体質的な問題 (例) ヘルニア、 首が長い ( . むち打ちが強度) Q 被害者の素因による過失相殺の可否 (1) 事例: 不法行為→被害者に損害が発生→素因により損害が発生または拡大 (2) 問題の所在: 被害者に過失なし 722Ⅱ不可? →被害者の素因はある (3) 判例 【心因的素因】 原則: 722Ⅱ類推適用:肯定 (理由)損害の公平な分担 例外:過労による自殺:722Ⅱ類推適用:否定(特段の事情がある場合を除き) (理由)予見すべきといえる 【体質的素因】 疾患: 722Ⅱ類推適用:肯定 (理由)損害の公平な分担 身体的特徵:722Ⅱ類推適用:否定(特段の事情がある場合を除き) (理由)被害者に慎重さを要求できない ② 損益相殺: 不法行為により被害者が損害と同時に利益も受けた場合にその利益分を控除すること (1) 条文 : 明文なし → 公平の概念から認められる (判例) (2) 判断基準: 原因の同一性と利益 ・損失の同質性(判例) (3) 具体例 ◯: 生活費(幼児の養育費は除く)、給付が確定した社会保険(原則・遺族年金等)、自賠責保険金 x: 生命保険金、 損害保険金、香典 ・見舞金 □ 損害賠償請求の権利 ① 請求権者: 被害者 →自然人・法人・権能なき社団 (民訴29) 、胎児 (停止条件説 721) (1) 生命侵害の場合 a) 積極的損害: 請求権者=支出者 b) 消極的損害: 被害者に帰属した後に相続 (相続説)→即死も同様・近親者固有の損害は否定 (判例) c)精神的損害 : 父母・ 配偶者及び子に慰謝料請求権あり 711 →近親者の精神的損害と被害者の精神的損害が問題 Q 711 以外の近親者等の慰謝料請求権 (1) 事例: 不法行為により妻が死亡→ 夫の妹が長期間介護を受けた→妹が精神的損害により慰謝料請求 (2) 問題の所在: 711 の性質 (3) 判例: 父母・配偶者及び子に限定ではない→これらの者なら精神的損害の発生の立証不要の趣旨 ⇒ 実質的に同視すべき身分関係があり、死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者 →711 類推適用可 (4) あてはめ: 長期間介護→家族同然→慰謝料請求しうる Q 生命侵害における被害者本人の慰謝料請求権 (1) 事例: 不法行為によりV死亡→父母等は慰謝料請求可→ 父母等と別に被害者の慰謝料請求? (2) 問題の所在: 慰謝料は一身専属的権利Vの請求の意思が必要で、それにより相続 (旧判例)→妥当でない (3)現判例: 慰謝料請求権を放棄したと解される特別の事情がない限り当然に相続される (4) 理由: 旧判例について、即死の場合は慰謝料請求不可は不均衡・単純な金銭債権 (2) 傷害の場合: 被害者生存 (生命侵害の場合は死亡) a) 積極的損害 : 被害者または支出者のいずれか(判例) b) 消極的損害 : 被害者 c) 精神的損害 : 被害者 Q 近親者等の慰謝料請求権 (1) 事例 : 娘が交通事故で顔面に深い傷跡→母親が精神的損害を受けたとして慰謝料請求 (2) 問題の所在 : 生命侵害の場合、 近親者に慰謝料請求権 711 →生命侵害ではない場合は不可? + 被害者請求可 (3) 判例: 原則、 不可。但し、死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を受けた場合には可 (4) あてはめ:709、710 に基づき認める (3) 間接被害者: 被害者の損害により被害者以外の者にまで損害を生じさせた場合の被害者以外の者 Q(企業損害)の損害賠償請求権 (1) 事例: 会社代表が不法行為による交通事故で負傷→ 会社が代表者欠如により損失→損害賠償請求 (2)問題の所在: 会社は直接の被害者ではない・ 損害の公平な分担 (3)判例: 原則、不可。 但し、会社=個人会社・機関としての非代替性・経済的一体性があれば会社による損害賠償請求も可 (4)理由: この場合、被害者 ≒ 会社と言える (5) あてはめ: 認められる ※個人会社の薬局の代表者だった事例
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②損害賠償請求権の性質 (1) 譲渡性: 債権譲渡・差押え・債権者代位権による代位行使等の可否 a) 財産的損害:可 b) 精神的損害 (判例) ・生命侵害:不可 ∵ 一身専属権 ・上記以外: 原則、不可。ただし、具体的金額の慰謝料請求権が当事者において客観的に確定した場合は可 (2)相続性:可(判例) (3) 履行遅滞時: 不法行為の時から (4)相殺の可否: 下記以外の場合、可 ⇒ 悪意または生命・身体侵害による場合の債務者は当該債権を受働債権とする相殺は不可 509 ※被害者が自動債権とすることは可 (5)賠償者の代位: 422 類推適用により代位可(通説) ∵ 二重の利得の防止 ③消滅時効(改)主観的起算点または客観的起算点のいずれか早い時724、724の2 (写真) (1)改正ポイント: 改正前:除斥期間 (判例) → 改正後:消滅時効 (2) 短期消滅時効 ・損害を知った時: 被害者が損害の発生を賠償請求が可能な程度に現実に認識した時 ・加害者を知った時: 加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに可能な程度に知った時 ⇒ 賠償請求不可=進行不可、 賠償請求可=損害の程度金額をしらなくても進行 ・(判例) 土地の不法占有: 侵害継続により損害は日々発生+知った時から別個の進行(個別進行説) ・(判例) 騒音・大気汚染による健康被害 : 不法行為終了時から進行 (全部進行説) →継続・分断可能= 個別進行 累積・ 統一的 = 全部進行 ・(判例) 交通事故による後遺症 後遺症発見時 (3) 不法行為の時 ・損害発生時=加害行為時 →加害行為時 ・損害発生時=加害行為後相当期間時 →損害発生時
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①概説: 一般不法行為の要件・効果を修正 (1) 特徴 ・一般不法行為:過失責任+ 被害者の立証責任 ・特殊不法行為: 過失責任の不適用+加害者の立証責任⇒ 要件が異なる (2) 趣旨 被害者の保護 (3)種類 監督者責任 714、使用者責任 715 →直接の加害者以外の者による責任 工作物責任 717、動物占有者責任 718 →加害者の物による責任 共同不法行為 719 →複数の加害者による責任 □ 監督者責任 ①監督者責任 : 責任無能力者が第三者に損害を生じさせた場合に監督義務者に賠償義務を生じさせる責任 (1) 条文 : 714 (2) 基本用語 ・責任無能力者 : 民事上の責任能力を欠く者 (例) 未成年者 ・監督義務者:責任無能力者を監督する義務を負う者 (例) 親権者 (3) 趣旨: 責任無能力者による被害者の保護 ② 要件 (1)責任能力以外の一般不法行為の要件充足 ・(判例)児童同士で鬼ごっこ →鬼ごっこ中におんぶして転倒→傷害 →違法性阻却 →714 不成立 (2) 加害者が責任無能力者 (3)監督義務違反 (判例)サッカーの練習中にボールが道路に。故意ではない&常態でもない→ バイク運転手が転倒 →死亡 ⇒ 714 不成立 ∵ 予見可能等特別の事情なき限り、通常危険が及ぶものとはみられない行為で偶然に損害→免責 (4)監督義務違反と損害発生との間の因果関係 → ないことを立証できれば免責されるが、免責はまれ Q 加害者が未成年者だが責任無能力者ではない場合の監督責任 (1)問題の所在: 責任無能力者(約12歳未満)の場合 は714適用。未成年でも約12歳以上なら714不適用?→未成年には一般に資力がなく被害者保護に欠ける (2) 判例: 714 否定 ⇒ 監督義務違反及び損害との間に相当因果関係→709 成立 + 立証責任は被害者 ※立証責任は714は加害者側、709は被害者側 (3) 理由: 被害者保護 + 714 は 709 の特則 ③ 効果: 監督義務者に損害賠償義務 + 中間責任 ※中間責任:過失の有無についての立証責任を加害者に求めること (1) 監督義務者 → 法定監督義務者代理監督者準監督義務者≒監督義務者等 法定監督義務者 代理監督義務者 責任無能力者を監督する法定の義務を負う者 (例) 親権者未成年後見人 :責任無能力者の監督を法定監督義務者から受託した者 (例) 保育士 上記以外で事実上監督している者 準監督義務者 ◯ 準監督義務者の監督者責任 (1) 事例: 精神障害者福祉法上の保護者・成年後見人・配偶者 752 (2) 問題の所在: ≠親権者→ 賠償責任は過大な負担 (3) 判例 総合考慮して、衡平の見地から責任を問うのが相当と言える客観的状況が認められれば肯定 ⇒ 上記事例は法定監督義務者ではない + 当然には認められない (2) 中間責任:加害者に証明責任を転換 714 但 □ 使用者責任 ① 使用者責任 : 被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えた場合に使用者に生じる賠償責任 (1) 条文 : 715 (2) 基本用語 ・使用者 : ある事業のために他人を使用する者 (例) 雇用者 ・被用者 : ある事情のために他人に使用される者 (例) 従業員 (3) 趣旨: 報償責任 「利益ある所に損失もまた帰する」 ② 要件: 使用関係・事業の執行・被用者の709・免責事由の不存在 (1) 使用関係の存在 : ある事業のために他人を使用 (使用関係) する者 ・事業≒仕事→継続性、 営利性、 合法性は不問 ・使用: 実質的な指揮監督関係 → 一時的な指揮監督関係も含む ・〇 雇用関係、兄が弟に車を運転させた、暴力団員が恐喝をさせた、名義を貸与した(会社の名義を貸すだけでも使用関係あり) ・× 委任での受任者、請負での請負人・下請負人 ∵自主性・独立性あり (2)事業の執行について行われた加害行為 (事業執行性) a)判断基準: 客観的にみて外観上業務執行と同一の外形を有する(外形標準説・判例通説) ∵報償責任に基づく損害の公平な分担 b) 取引的不法行為 ◯ : 会社員が手形等を偽造 (権限の濫用・逸脱に該当) ∵外形標準説 x : 職務権限外で不法に行われ、かつ相手方が悪意または重大な過失により善意の場合 b) 取引的不法行為 : ○ 会社員が手形等を偽造 (権限の濫用・逸脱に該当)∵. 外形標準説 Lx : 職務権限外で不法に行われ、かつ相手方が悪意または重大な過失により善意の場合 c)事実的不法行為 ◯社用車を従業員が私的にまたは勤務時間後に利用し交通事故 〇 従業員が他の従業員により勤務中の危険運転を契機に暴行を受けた⇒暴行 → 事業の執行を契機としこれと密接な関連を有すると認められるかどうかによって判断 x : 事業執行を契機に以前から対立→勤務中に従業員の侮辱的言動から暴行 ∵ 私的な喧嘩 (3) 被用者の行為が709 の要件を満たす (4) 免責事由の不存在 : 実務上ほぼなし (≒事実上、無過失責任) b) 取引的不法行為 : ○ 会社員が手形等を偽造 (権限の濫用・逸脱に該当)∵. 外形標準説 Lx : 職務権限外で不法に行われ、かつ相手方が悪意又は重大な過失により善意の場合 c)事実的不法行為 O 社用車を従業員が私的に又は勤務時間後に利用し交通事故 〇 従業員が他の従業員により勤務中の危険運転を契機に暴行を受けた ⇒ 暴行 → 事業の執行を契機としこれと密接な関連を有すると認められるかどうかによって判断 > x : 事業執行を契機に以前から対立勤務中に従業員の侮辱的言動から暴行 ∵ 私的な喧嘩 (3) 被用者の行為が709 の要件を満たす (4) 免責事由の不存在 : 実務上ほぼなし (≒無過失責任) ③ 効果: 使用者に損害賠償義務 + 中間責任 +求償可 (1) 損害賠償: 不真正連帯債務→ 補充性・催告の抗弁権等なし •(判例)被用者の行為が国家賠償法の公権力の行使に該当→国賠法が優先適用→709適用されない→715適用されない (2) 中間責任 : 加害者に証明責任を転換 715I但→実例ほぼなしのため、実質的には無過失責任 (3) 求償権: 使用者は被用者に対して求償可→ 原則、 被用者に賠償義務 Q求償権の制限の可否 (1) 使用者責任の性質 : 被用者の不法行為に使用者が被用者に代わって賠償責任を負う(代位責任説・通説) (2) 問題の所在: 代位責任説→求償権の制限はできない? (3) 判例: 諸般の事情を考慮し、 信義則上相当と認められる限度に制限できる (4) 理由: 報償責任→ 損害の公平な分担が必要 ④注文者の責任 : 注文者は請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない (1) 条文 : 716 (2) 趣旨: 請負人は注文者の指揮監督外 →715 不適用の明確化 (3) 但書 注文者に過失があれば賠償責任あり(注意規定)
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□工作物責任 ① 工作物責任 : 土地の工作物の瑕疵により他人に損害を与えた場合に占有者・所有者が負う賠償責任 (1) 条文 : 717 (2) 趣旨: 危険責任 「危険源を設置・管理している者はそこから生じた損害についての責任を負う」 ②要件: 土地の工作物による・ 設置または保存の瑕疵・ 他人に損害 (1) 土地の工作物: 土地に接着して人工的に作り出されたあらゆる設備 ( 判例) 免責事由の不存在 ◯: 建物とその付随物 (電線・エレベーター)・無人踏切施設・業務用パン焼機(ガス管等で接続+移動困難) ×: 天然に存在した池・土砂集積場・ ゴミ箱の上のコンクリート製シンク ∵接着性弱い (2) 土地の工作物の設置または保存の瑕疵 a) 瑕疵= 通常予想される危険に対し、通常備えているべき安全性を欠いていること(客観説) ⇒ 異常な行動や異常な自然力 (不可抗力) による危険は対象外 b) 判例 ◯: 外壁の落下等 ( 老朽化 )・ ゴルフコースからのボールで損害 (危険防止措置の欠如) × : エスカレーターの手すりに乗り上げて反対側に転落 (3) 工作物の瑕疵によって他人に損害 : 損害の発生 + 因果関係 ※ × 結果責任ではない (4) 免責事由の不存在: 占有者のみ・所有者は無過失責任 ③効果: 所有者または占有者に損害賠償義務 + 中間責任または無過失責任 + 求償可 (1) 損害賠償義務 : 第一次的に占有者 →第二次的(占有者が免責された場合)に所有者 占有者: 工作物を事実上支配する者 ○ 間接占有者・直接占有者、 × 占有補助者 ※占有補助者」とは、実際には対象建物を占有していても、法的には独立の占有主体とは認められない者。たとえば、賃貸借契約における賃借人の家族や使用人 所有者 : 被害者への侵害が生じた時点での所有者 (登記は不問) (2) 証明責任 占有者:中間責任 →占有者が損害の発生を防止する措置の立証をすれば免責 所有者: 無過失責任 (3) 求償権: 求償可 ※他に責任を負うべき者に対して □ 動物占有者責任 B+ ① 動物占有者責任 : 動物が他人に損害を加えた場合にその占有者または管理者が負う賠償責任 (1) 条文 : 718 (2)趣旨: 危険責任 ②要件: 動物が他人に損害 + 免責事由の不存在 (1) 動物が他人に損害: ・動物=人の支配下にある ・損害=動物独立の動作による (2) 免責事由の不存在 : 通常払うべき程度の注意義務 → 異常な行動不可抗力への注意義務なし ③ 効果: 賠償義務(占有者または管理者が負担) + 中間責任 + 求償可(通説) → 占有・管理をしていない所有者は賠償義務なし □ 共同不法行為 ① 共同不法行為: 複数の者が共同の不法行為によって他人に損害を加える行為 ⇒ 各行為者が連帯して賠償責任 (共同不法行為責任)を負担 (1) 条文 : 719 (2) 趣旨: 被害者保護 (3) 関連共同性: 共同による不法行為で損害が発生 ②要件 (1) 判例・学説の変遷 写真 【旧通説・旧判例】 特徴:連帯責任の負担 要件:各行為者の709 成立 + 行為者間の関連共同性 【現通説・ 裁判例】 特徴:因果関係の緩和 要件:行為者間の関連共同性 + 共同行為と結果との因果関係 (2) 関連共同性の類型 (学説・裁判例) 関連共同性:強い 条文:719 I前 要件:共謀または行為の一体性 判断基準:主観面・客観面を考慮 関連共同性:弱い 条文:719 I 後類推 要件:社会通念上全体として1個の行為 判断基準:場所的・時間的近接性を考慮 (例:A社とB社が同じ川に汚染物質を流して健康被害発生) 関連共同性:加害者不明 条文:719 後 要件:加害者の可能性のある者全員の特定 ③効果:損害賠償 + 連帯債務 + 求償可 (1)損害賠償 関連共同性:強い 因果関係:擬制 賠償範囲:各行為者が共同行為の全損害 減責・免責:× 関連共同性:弱いor 加害者不明 因果関係:推定 賠償範囲:原則、各行為者が共同行為の全損害 減責・免責:◯ (2) 連帯債務: 各行為者間の責任は不真正連帯債務(判例) (3)求償権: 求償可 442 ⇒改正前: 負担部分を超えた場合のみ(判例) 改正後:負担部分を超えなくても各自の負担部分可 →損害100万円、負担A50B50。Aが5&払えばBに25求償可能 Q 共同不法行為における過失相殺の適用(短答向け。論文では出ない。事例抑える) (1) 判例: 態様により結論が異なる ∵ 被害者保護と損害の公平な分担との調和 ⅰ)2つの不法行為が順次に競合した場合 ⇒各行為者と被害者とで相対的に過失相殺 ⅱ)1つの不法行為で全過失割合が認定できる場合 ⇒各行為者と被害者の全過失割合を直接過失相殺 (2) 事例 ⅰ) 相対的過失相殺: 他の行為者と被害者との過失相殺は考慮しない 【判例】Vが歩道でない道路を横断→ A車が前方不注意で衝突→Bが不適切治療し悪化+Vが放置→死亡 →損害額 5000万、 過失割合 A:V=7:3、 B:V=9:1 ⇒Aに3500万請求可、 B に 4500万請求可、 AB に 3500万の範囲で連帯債務 ⅱ) 絶対的過失相殺 Vが速度違反で運転→A車が違法駐車中のB車を避けるため中央線をはみ出して走行→V車と衝突 → 損害額 600万 過失割合 A: B:V=4:1:1 ⇒ABに500万請求可 (不真正連帯債務)、 BはAに400万の範囲で求償可・AはBに右同100万
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① 特別法上の不法行為 (1) 概要: 不法行為における過失責任主義を修正 (2) 趣旨: 被害者保護等 (3) 性質: 特別法 (民法は一般法)→ 不法行為→特別法上の不法行為を優先適用 (4)法令 : 失火責任法、製造物責任法、国家賠償法、自動車損害賠償保障法 ② 失火責任法 (1) 概要: 「709 の規定は失火には適用しない。 但し失火者に重大なる過失がある場合は除く」 ⇒ 失火は重過失がある場合のみ責任→軽過失免責 (2) 趣旨: 失火者保護 ∵ 経済的困窮・過大な賠償金額・歴史的慣習 (3) 適用範囲: 不法行為に適用 a) 失火 : 過失による火災発生行為故意による場合は除く b) 重大なる過失 : 重過失 → 故意に近い著しい注意欠如 (判例) c) 債務不履行 : 債務不履行には適用しない (判例)→債務不履行責任は通常通り請求可能 ・賃借人が失火→賃貸人は貸室の損傷等による賠償請求可 415 ・賃借人が失火→隣人は火事による損害等による賠償請求不可 709 (4)特殊の不法行為との関係 a)監督者責任: 監督者の責任無能力者に対する監督について適用 ・(判例) 子供が失火→親の子供の監督について重過失がなければ免責 ∵監督者が代償 b) 使用者責任: 被用者に重過失があれば使用者責任成立(選任監督については不問) ・ (判例)被用者が事業の執行について重過失で失火使用者責任成立 (軽過失なら使用者責任不成立) 製造物責任法: Bランク 製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の賠償責任について定めた法規 (1) 趣旨: 製造物の欠陥による被害者の保護 (2) 要件: 製造業者等がその製造物の欠陥により生命・身体・財産を侵害 + 因果関係あり+ 免責事由なし a)製造業者等: 〇輸入業者・ 実質的な製造業者として氏名等を表示した者 b) 製造物 :× 不動産 未加工の農産物・サービス c)欠陥: 通常有すべき安全性の欠如 (3) 効果: 製造業者等に賠償義務 + 製造物の欠陥を要件 (×製造業者等の過失) →証明責任は被害者 (4) 期間制限: 改) 主観的:知った時から3年 ※生命・身体を侵害の場合5年 客観的: 引渡した時から10年 ※一定の期間後に症状が現れる損害等は損害が生じた時から起算 ④ 国家賠償法: 国家等の公権力の行使による不法行為に関する国家等の賠償責任について定めた法規 ⇒ 行政法かつ特別法、 国家無答責の原則を否定、 公務員個人の賠償責任は否定 (判例) (1) 公務員の不法行為: 使用者責任と類似 【国家賠償法】 性質:無過失責任 求償権:故意・重過失がある場合のみあり、 個人の責任:公務員は被害者に直接責任を負わない 【使用者責任】 性質:中間責任 求償権:故意・過失がある場合 個人の責任:被用者は被害者に直接責任を負う (2)営造物責任:工作物責任と類似 【国家賠償法】 対象:公の営造物 (動産も対象) 免責事由:なし 責任主体:国または公共団体 設置若しくは管理の費用を負担する者 【工作物責任】 対象:土地の工作物 (動産対象外) 免責事由:あり(所有者はなし) 責任主体:第一次的に占有者 第二次的に所有者 ⑤ 自動車損害賠償保障法: 自動車運行による身体への損害賠償を保障する制度について定めた法規 ・加害者責任強化: 運行供用者が人損損害→賠償責任は中間責任(実質的に無過失責任(法3)) ・強制保険:自賠責保険への加入を強制 + 被害者による保険会社への直接請求権を肯定