問題一覧
1
共謀の日時, 場所,内容についても訴因で特定(刑事訴訟法256条3項。 以下法名省略) する必要があるか,どのような記載であれば「特定」したといえるかが問題となる。 まず,訴因の特定のためには, 「罪となるべき事実」を記載する必要があるので, ①訴因記載の事実が特定の構成要件に該当することを認識できる程度に具体的に記載する必要がある。 また,訴因には,裁判所に対して審判の対象を明確にするという識別機能と, 被告人に対して防御の範囲を明示するという防御機能がある。 審判の対象が明確になれば防御の範囲も明示されるため, 識別機能が主たる機能である。 そのため, 訴因の特定には,②他の犯罪事実と識別できることも要し, かつそれで足りると解する。
2
小間(2)において、 訴因には共謀の日時が記載されていないため,裁判所は,6月5日の共謀を認定するために訴因変更をする必要はない。 しかし、公判で6月1日の共謀が争点となっているにもかかわらず, 6月5日の共謀を認定すると,被告人にとっての不意打ちとなる。 そこで, 裁判所はなんらかの措置を取るべきではないかが問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー (1) この点,訴因に属しないとはいえ, 当事者間の具体的な攻撃防御の過程で争点から外された事実の認定は,適切な訴訟指揮 (294条)を欠き,被告人に証明力を争う機会 (308条) を付与しないものといえる。 そのため,このような認定をするためには,裁判所はこれを争点として顕在化させたうえで十分に審理を行う必要があると解する。
3
1 本件起訴状の訴因には,日時につき「令和4年3月上旬ころから同月20日までの間」, 方法につき 「若干量を自己の身体に注射または服用して使用」 という幅のある記載がなされているが,訴因が「できる限り・・・・・・特定」 されている(刑事 訴訟法256条3項。以下「刑事訴訟法」 法名省略)といえるか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー まず 訴因の特定のためには, 「罪となるべき事実」を記載する必要があるので, ①訴因記載の事実が特定の構成要件に該当することを認識できる程度に具体的に記載する必要がある。 また,訴因には,裁判所に対して審判の対象を明確にするという識別機能と, 被告人に対して防御の範囲を明示する防御機能があるところ. 審判の対象が明確になれば防御の範囲も明示されるため, 識別機能が主たる機能である。 そのため,訴因の 「特定」 には,②他の犯罪事実と識別できることも要し, かつそれで足りると解する。 もっとも、日時・場所・方法については,審判対象のいっそうの具体化と防御の範囲のいっそうの明確化のために,「できる限り」 具体的な記載が求められている(256条3項後段)。 ただし, これは絶対的要請ではないため、③犯罪の種類, 性質等により日時・場所・方法を詳しく記載することができない特殊事情がある場合には,日時・場所・方法につき幅のある記載も許されると解する。
4
1 本間において,訴因変更を適法に行うためには, 新旧両訴因の間に 「公訴事実の同一性」 (刑事訴訟法312条1項) が認められる必要がある。 そこで, 「公訴事実の同一性」の判断基準が問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー (1) 訴因変更制度の趣旨は、旧訴因との関係では一回の処罰の対象となるべき事実関係である場合に,訴因変更を許さずに別訴の提起を許すと二重処罰の危険があることからこれを回避する点にある。 そこで, 「公訴事実の同一性」 は, 一回の処罰の対象となるべき事実関係にある場合に認められ, その有無は,公訴事実の単一性または狭義の公訴事実の同一性があるか否かで判断すべきであると解する。 (2) 本間においては, 狭義の同一性の有無が問題となる。 そこで,狭義の同一性の判断基準が問題となる。 この点, 前述の趣旨から, 狭義の公訴事実の同一性とは,新旧両訴因の基本的事実関係が同一である場合をいうと解する。 具体的には, 両訴因に事実の共通性があるか否かで判断し, 補充的に, 両訴因が両立しえない関係にあるか否かで判断する。
5
裁判所は, V殺害の実行行為者を被告人とする訴因のまま, V殺害の実行行為者を 「Bまたは被告人あるいはその両名」と認定することができるか。 訴因変更 (刑事訴訟法312条1項。 以下法名省略) の要否が問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーー (1) 当事者主義的訴訟構造 (256条6項, 298条1項,312条1項等)のもと, 審判対象は検察官の主張する具体的事実であるため、事実に変化があれば,訴因変更が必要になる。 もっとも、些細な事実の変化にも訴因変更を要 するとするのはあまりに煩雑であり, 実際的ではない。 そのため,訴因変更が必要となるのは、重要な事実の変化があった場合に限定されるべきである。 そして,訴因制度は,裁判所に審判対象を識別させる識別機能を有し, その裏返しとして,被告人に防御の対象を明示する防御機能を果たすものである。 そこで, 具体的には, ① 審判対象の画定のために必要な事項に変動がある場合には,訴因変更を要すると解する。 もっとも、それ以外の場合であっても、訴訟手続において争点明確化による不意打ち防止が要請されることに変わりはない。 そこで, ②一般的に被告人の防御にとって重要な事項については, それが一度訴因に明示された 以上、原則として訴因変更を要すると解する。 ただし,③具体的な審理の経過に照らし、被告人に不意打ちを与えるものではなく,かつ, 判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,例外的に,訴因変更は不要であると解する。
6
裁判所は、殺人の訴因のまま傷害致死を認定することができるか。 殺人は, 殺意の要否で異なるのみで行為態様は重なり合う傷害致死を包含する関係にあるため、上記認定はいわゆる縮小認定にあたるところ,このような縮小認定に訴因変更が必要か否かが問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーー (1) この点,訴因制度は審判対象識別機能と防御機能果たすものであるから、 訴因変更が必要となりうるのは事実に変化があった場合である。 しかし, 縮小認定の場合,裁判所が認定する小なる事実は, 検察官が設定した訴因記載の大なる事実に包含される関係にあるため,当初から検察官により黙示的・予備的にあわせて主張されていたとみることができる。 そのため, 縮小認定は,訴因の記載と異なる事実の認定ではなく、訴因の記載どおりの認定の一態様といえる。 そこで,縮小認定に訴因変更は不要と解する。 もっとも、争点明確化による不意打ち防止の要請は,訴訟の全過程を通じて求められるから, 縮小認定の場合にも同様に妥当する。 そこで, 縮小認定が具体的な審理の経過に照らし不意打ちにあたる場合には、争点顕在化措置をとる必要があると解する。
7
1 本件起訴状の訴因には,日時につき「令和4年3月上旬ころから同月20日までの間」, 方法につき 「若干量を自己の身体に注射または服用して使用」 という幅のある記載がなされているが,訴因が「できる限り・・・・・・特定」 されている(刑事 訴訟法256条3項。以下「刑事訴訟法」 法名省略)といえるか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー まず 訴因の特定のためには, 「罪となるべき事実」を記載する必要があるので, ①訴因記載の事実が特定の構成要件に該当することを認識できる程度に具体的に記載する必要がある。 また,訴因には,裁判所に対して審判の対象を明確にするという識別機能と, 被告人に対して防御の範囲を明示する防御機能があるところ. 審判の対象が明確になれば防御の範囲も明示されるため, 識別機能が主たる機能である。 そのため,訴因の 「特定」 には,②他の犯罪事実と識別できることも要し, かつそれで足りると解する。 もっとも、日時・場所・方法については,審判対象のいっそうの具体化と防御の範囲のいっそうの明確化のために,「できる限り」 具体的な記載が求められている(256条3項後段)。 ただし, これは絶対的要請ではないため、③犯罪の種類, 性質等により日時・場所・方法をつまびらかにすることができない特殊事情がある場合には,日時・場所・方法につき幅のある記載も許されると解する。
8
前科事実を立証する証拠(前科証拠)に証拠の関連性が認められるかが問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー (1)この点について,前科もひとつの事実であり,前科証拠は,一般的に犯人性を推認させる必要最小限度の証明力たる自然的関連性を有している。 反面、同種前科による犯人性の立証は,同種前科から被告人の悪性格を推認し,悪性格から被告人の犯人性を推認するという二重の不確実な推認を経るため, 実証的根拠に乏しく人格評価につながりやすく、そのために事実認定を誤らせるおそれがあり,また,争点の拡散を招くおそれがある。 そのため, 前科証拠は,原則として法律的関連性を欠き,証拠能力が認められないと解する。 もっとも, ① 前科にかかる事実が顕著な特徴を有し、かつ ②それが起訴にかかる犯罪事実と相当程度類似している場合には, 前科それ自体が直接被告人の犯人性を合理的に推認させるといえ,法律的関連性も認められると解する。
刑事訴訟法 捜査 9/7
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科学的証拠・写実的証拠
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7問 • 1年前公判前手続 3/28
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公判前手続 3/28
6問 • 1年前問題一覧
1
共謀の日時, 場所,内容についても訴因で特定(刑事訴訟法256条3項。 以下法名省略) する必要があるか,どのような記載であれば「特定」したといえるかが問題となる。 まず,訴因の特定のためには, 「罪となるべき事実」を記載する必要があるので, ①訴因記載の事実が特定の構成要件に該当することを認識できる程度に具体的に記載する必要がある。 また,訴因には,裁判所に対して審判の対象を明確にするという識別機能と, 被告人に対して防御の範囲を明示するという防御機能がある。 審判の対象が明確になれば防御の範囲も明示されるため, 識別機能が主たる機能である。 そのため, 訴因の特定には,②他の犯罪事実と識別できることも要し, かつそれで足りると解する。
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小間(2)において、 訴因には共謀の日時が記載されていないため,裁判所は,6月5日の共謀を認定するために訴因変更をする必要はない。 しかし、公判で6月1日の共謀が争点となっているにもかかわらず, 6月5日の共謀を認定すると,被告人にとっての不意打ちとなる。 そこで, 裁判所はなんらかの措置を取るべきではないかが問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー (1) この点,訴因に属しないとはいえ, 当事者間の具体的な攻撃防御の過程で争点から外された事実の認定は,適切な訴訟指揮 (294条)を欠き,被告人に証明力を争う機会 (308条) を付与しないものといえる。 そのため,このような認定をするためには,裁判所はこれを争点として顕在化させたうえで十分に審理を行う必要があると解する。
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1 本件起訴状の訴因には,日時につき「令和4年3月上旬ころから同月20日までの間」, 方法につき 「若干量を自己の身体に注射または服用して使用」 という幅のある記載がなされているが,訴因が「できる限り・・・・・・特定」 されている(刑事 訴訟法256条3項。以下「刑事訴訟法」 法名省略)といえるか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー まず 訴因の特定のためには, 「罪となるべき事実」を記載する必要があるので, ①訴因記載の事実が特定の構成要件に該当することを認識できる程度に具体的に記載する必要がある。 また,訴因には,裁判所に対して審判の対象を明確にするという識別機能と, 被告人に対して防御の範囲を明示する防御機能があるところ. 審判の対象が明確になれば防御の範囲も明示されるため, 識別機能が主たる機能である。 そのため,訴因の 「特定」 には,②他の犯罪事実と識別できることも要し, かつそれで足りると解する。 もっとも、日時・場所・方法については,審判対象のいっそうの具体化と防御の範囲のいっそうの明確化のために,「できる限り」 具体的な記載が求められている(256条3項後段)。 ただし, これは絶対的要請ではないため、③犯罪の種類, 性質等により日時・場所・方法を詳しく記載することができない特殊事情がある場合には,日時・場所・方法につき幅のある記載も許されると解する。
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1 本間において,訴因変更を適法に行うためには, 新旧両訴因の間に 「公訴事実の同一性」 (刑事訴訟法312条1項) が認められる必要がある。 そこで, 「公訴事実の同一性」の判断基準が問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー (1) 訴因変更制度の趣旨は、旧訴因との関係では一回の処罰の対象となるべき事実関係である場合に,訴因変更を許さずに別訴の提起を許すと二重処罰の危険があることからこれを回避する点にある。 そこで, 「公訴事実の同一性」 は, 一回の処罰の対象となるべき事実関係にある場合に認められ, その有無は,公訴事実の単一性または狭義の公訴事実の同一性があるか否かで判断すべきであると解する。 (2) 本間においては, 狭義の同一性の有無が問題となる。 そこで,狭義の同一性の判断基準が問題となる。 この点, 前述の趣旨から, 狭義の公訴事実の同一性とは,新旧両訴因の基本的事実関係が同一である場合をいうと解する。 具体的には, 両訴因に事実の共通性があるか否かで判断し, 補充的に, 両訴因が両立しえない関係にあるか否かで判断する。
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裁判所は, V殺害の実行行為者を被告人とする訴因のまま, V殺害の実行行為者を 「Bまたは被告人あるいはその両名」と認定することができるか。 訴因変更 (刑事訴訟法312条1項。 以下法名省略) の要否が問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーー (1) 当事者主義的訴訟構造 (256条6項, 298条1項,312条1項等)のもと, 審判対象は検察官の主張する具体的事実であるため、事実に変化があれば,訴因変更が必要になる。 もっとも、些細な事実の変化にも訴因変更を要 するとするのはあまりに煩雑であり, 実際的ではない。 そのため,訴因変更が必要となるのは、重要な事実の変化があった場合に限定されるべきである。 そして,訴因制度は,裁判所に審判対象を識別させる識別機能を有し, その裏返しとして,被告人に防御の対象を明示する防御機能を果たすものである。 そこで, 具体的には, ① 審判対象の画定のために必要な事項に変動がある場合には,訴因変更を要すると解する。 もっとも、それ以外の場合であっても、訴訟手続において争点明確化による不意打ち防止が要請されることに変わりはない。 そこで, ②一般的に被告人の防御にとって重要な事項については, それが一度訴因に明示された 以上、原則として訴因変更を要すると解する。 ただし,③具体的な審理の経過に照らし、被告人に不意打ちを与えるものではなく,かつ, 判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,例外的に,訴因変更は不要であると解する。
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裁判所は、殺人の訴因のまま傷害致死を認定することができるか。 殺人は, 殺意の要否で異なるのみで行為態様は重なり合う傷害致死を包含する関係にあるため、上記認定はいわゆる縮小認定にあたるところ,このような縮小認定に訴因変更が必要か否かが問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーー (1) この点,訴因制度は審判対象識別機能と防御機能果たすものであるから、 訴因変更が必要となりうるのは事実に変化があった場合である。 しかし, 縮小認定の場合,裁判所が認定する小なる事実は, 検察官が設定した訴因記載の大なる事実に包含される関係にあるため,当初から検察官により黙示的・予備的にあわせて主張されていたとみることができる。 そのため, 縮小認定は,訴因の記載と異なる事実の認定ではなく、訴因の記載どおりの認定の一態様といえる。 そこで,縮小認定に訴因変更は不要と解する。 もっとも、争点明確化による不意打ち防止の要請は,訴訟の全過程を通じて求められるから, 縮小認定の場合にも同様に妥当する。 そこで, 縮小認定が具体的な審理の経過に照らし不意打ちにあたる場合には、争点顕在化措置をとる必要があると解する。
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1 本件起訴状の訴因には,日時につき「令和4年3月上旬ころから同月20日までの間」, 方法につき 「若干量を自己の身体に注射または服用して使用」 という幅のある記載がなされているが,訴因が「できる限り・・・・・・特定」 されている(刑事 訴訟法256条3項。以下「刑事訴訟法」 法名省略)といえるか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー まず 訴因の特定のためには, 「罪となるべき事実」を記載する必要があるので, ①訴因記載の事実が特定の構成要件に該当することを認識できる程度に具体的に記載する必要がある。 また,訴因には,裁判所に対して審判の対象を明確にするという識別機能と, 被告人に対して防御の範囲を明示する防御機能があるところ. 審判の対象が明確になれば防御の範囲も明示されるため, 識別機能が主たる機能である。 そのため,訴因の 「特定」 には,②他の犯罪事実と識別できることも要し, かつそれで足りると解する。 もっとも、日時・場所・方法については,審判対象のいっそうの具体化と防御の範囲のいっそうの明確化のために,「できる限り」 具体的な記載が求められている(256条3項後段)。 ただし, これは絶対的要請ではないため、③犯罪の種類, 性質等により日時・場所・方法をつまびらかにすることができない特殊事情がある場合には,日時・場所・方法につき幅のある記載も許されると解する。
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前科事実を立証する証拠(前科証拠)に証拠の関連性が認められるかが問題となる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー (1)この点について,前科もひとつの事実であり,前科証拠は,一般的に犯人性を推認させる必要最小限度の証明力たる自然的関連性を有している。 反面、同種前科による犯人性の立証は,同種前科から被告人の悪性格を推認し,悪性格から被告人の犯人性を推認するという二重の不確実な推認を経るため, 実証的根拠に乏しく人格評価につながりやすく、そのために事実認定を誤らせるおそれがあり,また,争点の拡散を招くおそれがある。 そのため, 前科証拠は,原則として法律的関連性を欠き,証拠能力が認められないと解する。 もっとも, ① 前科にかかる事実が顕著な特徴を有し、かつ ②それが起訴にかかる犯罪事実と相当程度類似している場合には, 前科それ自体が直接被告人の犯人性を合理的に推認させるといえ,法律的関連性も認められると解する。