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民法 債権総論
84問 • 1年前
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    1 債権総論 1/5

    1 債権総論序説 □ 債権法学習のポイント ① どの矢印に関する問題なのかを意識 ​⇒ 図を描ける様に ② パンデクテンを理解 ​⇒ 民法・債権法の全体を理解 → 解らなかった箇所に戻る ③ 民法の改正箇所を重視 ​⇒ 改正で特に債権法が大きく変更 債権の基本 ④ 債権:(債権者が債務者に対して)ある特定の行為をすること又はしないことを請求しうる権利 ⑤ 債権と物権の相違:(共通) - 財産権 + 不可侵性 ・相対性/絶対性、排他性、契約内容自由/物権法定主義、 物権は債権に優越 ⑥ 債権の発生原因 ​法律行為​:単独行為・契約・合同行為 ​法定債権​:事務管理・不当利得703・不法行為709 ​信義則​:契約締結上の過失​(例)契約交渉中に不当に破棄して損害を与える ⑦ 債権の内容 (1) 給付:債権の目的 = 債権者が債務者に対して請求することのできる行為 = 債権の内容 (2) 給付の要件:欠ければ債権不成立 ​ⅰ 適法性​(例)× 犯罪行為 ​ⅱ 社会的妥当性​(例)× 愛人契約 ⅲ ​確定性​(例)× 魅力があり戦略性に富むコースを提供する(判例) ​ⅳ 実現可能性​(例)× タイムマシンを譲渡する ​ ・原始的不能:契約成立時に既に履行不可能な場合​(例)家の売買契約時に家が焼失 ​ ・後発的不能:契約成立後に履行不可能になった場合​(例)家の売買契約後に家が焼失 ​⇒A+民法改正で原始的不能・後発的不能共に債権成立 → 債務不履行として統一的処理412の2Ⅱ ⑧ 債権の実現に問題が生じた場合の処理 ​・履行(追完)できる​⇒ 〇履行(追完)請求562Ⅰ等 ​・履行(追完)できない(原始的不能含) ​ ・債務者に帰責事由あり ​⇒ 〇 損賠請求415 ・ 〇 解除542Ⅰ ​ ・債権者に帰責事由あり ​⇒ × 損賠請求415 ・ × 解除543 ・× 履行拒絶536Ⅱ  ・​双方に帰責自由なし​⇒ × 損賠請求415 ・ 〇 解除542Ⅰ・〇 履行拒絶536Ⅰ 2 債権の目的と分類 履行方法による分類 Bランク ・​不作為債務​:何かをしないことを内容とする債務​(例)騒音を出さない ・​作為債務​:何かをすることを内容とする債務   ​引渡債務​:物を交付することを目的とする債務(=与える債務)​(例)金銭を交付する ​  行為債務​:引渡債務以外の行為を目的とする債務(=なす債務)​(例)建物取壊して出ていく 特定による分類 Bランク ​・特定物債権​:特定物の引渡しを目的とする債権​(例)中古車・土地 ​・不特定物債権​:不特定物の引渡しを目的とする債権​(例)新車・米10キロ ​・種類債権​:一定の種類に属する一定量の物の引渡しを目的とする債権​(例)米10キロ ⑴種類物と不特定物の区別 ・​種類物​:種類 + 数量 で表される ​・不特定物​:種類 + 数量 + 品質 で表される ​⇒ 種類を指定 + 品質を定めない → 品質=中等401Ⅰ ⇒ 種類債権≒不特定物債権 (4) 特定物と不特定物の区別:当事者が物の個性に着目するか否か 特定物債権の特徴 A+ ①善管注意義務400:改)債権発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善管注意義務で保存 ⑴内容:当該契約等の趣旨に照らして保存義務の内容等が定まる ​⇒ 契約等と無関係に決まるものではない + 任意規定 ⑵善管注意保存義務:その立場にある標準的な人として払うべき注意 ​⇒ 無報酬の受寄者は自己の財産に対するのと同一659 (短答で出る) ②目的物引渡義務483:改)発生原因等に照らし品質を定めることができない → 現状で引渡 ⑴特定物ドグマ​:特定物債権で性質は合意内容にならない → 引渡のみで履行 ⇒ 否定 ⑵内容​:契約内容に適合した物を引渡す義務が生じた + 任意規定 ③特定物である目的物の滅失 →直ちに履行不能(⇔不特定物は調達義務) ​・売主に帰責事由あり → 売主は損害賠償責任を負う415 ​・売主に帰責事由なし → 売主は損害賠償責任を負わない ​買主に帰責事由あり → 売主は損害賠償責任を負わない ④引渡場所484Ⅰ:債権発生時に物が存在した場所(例外) ⑴持参債務の原則:特定物債権以外の債権の弁済は債権者の現在の住所 = 不特定物は持参債務→不持参(富士山) ⑵ 任意規定 不特定物債権(≒種類債権)の特徴 A+ ⑤調達義務:無限に不特定物を調達(→ 債務者に酷) ⇒ 特定により調達義務を免れる + 調達義務には善管注意義務なし ※「特定」が大切 ⑥特定401Ⅱ:種類債権において目的物が具体的に定まること ⑴ 特定の要件 a) 債務者が給付に必要な行為を完了した場合 (3つとも重要) ​・持参債務:債務者が物を債権者住所に持参する債務 ​→ 債権者住所での現実の提供 ​・取立債務:債権者が物を債務者住所まで取りに行く債務 ​→ 分離・準備・通知 ​・送付債務:債務者が物を第三者の場所に送付する債務 ​→ 履行場所での現実の提供 b) 債権者の同意を得て債務者がその給付すべき物を指定した場合 ​(例)客が棚にある瓶ビールをいくつか持ってきて → 店員が棚にあるビールのいくつかを選んだ c) 両当事者が合意した場合 ⑵特定の効果 a) 善管注意義務400の発生  ​⇒ 弁済の提供により自己の財産に対するのと同一413Ⅰ(例:目的物を債権者のもとに持参したが債権者が受け取らなかった場合、それ以降は自己の財産と同一の注意にレベルが下がる) b) 目的物引渡義務 ​⇒ ≒特定物債権 c) 目的物滅失による引渡義務の消滅 ​⇒ 債務者に帰責事由なしなら損害賠償責任を負わない d) 所有権の移転が可能 ​⇒ 特約がない限り、特定時に所有権が移転(判例)(頻出重要) ※特定物は契約時点 ⑦ 変更権:いったん特定した目的物を変更する権利 ⇒ 特定物債権との違い + 種類債権の性質 Q 変更権は認められるか ⑴問題の所在​:瓶ビール10本購入し特定 → 瓶ビールが破損で滅失 → 他の同じ瓶ビールに変更 ⑵ 結論​:債権者に不利益がなければ、信義則上認められる ⑶ 理由​:当事者に利益あり ⑧ 制限種類債権 Bランク:目的物の範囲を特定の場所や範囲に制限した種類債権​(例)A倉庫にあるビール 種類債権との相違点 ・種類債権 履行不能)なし(特定前なし・特定後あり) 目的物の品質)中等 特定前の目的物保存義務)なし ・制限種類債権 履行不能)あり(特定前・特定後共にあり) 目的物の品質)問題とならない 特定前の目的物保存義務)あり 金銭債権 ① 金銭債権:金銭の支払いを目的とする債権 (具体例)10万円の売買代金債権 ・ 1万円の貸金債権 ・5万円の損害賠償債権等 ②金銭債権の特徴 ⑴目的​:価値を通貨によって移転 ⇒ 物の移転ではない = 特定は生じない ≠ 種類債権 ⑵履行不能​:観念できない ⇒ 履行不能はなく、必ず履行遅滞となる ⑶損害賠償額​:法定利率・約定利率のうち高い利率419 ​・法定利率:当事者が利率を定めなかった場合に適用される利率 ​・約定利率:当事者が合意した場合に適用される利率 ➢ 実際の損害額が法定利率・約定利率を超過しても超過部分について損賠請求できない →金銭債務の不履行時の損害賠償額は法定または約定利率に限られる ⑷損害の証明​:不要419Ⅱ ⑸不可抗力による履行遅滞​:免責なし419Ⅲ ③利息債権:利息を支払うことを目的とする債権​ ⑴元本債権:利息を生じる元となる債権 ⑵遅延損害金:履行期に弁済しないという履行遅滞による損害賠償金 ⑶基本権たる利息債権:元本債権から期間経過により利息が発生することを内容とする基本的な債権 ​⇒ 元本債権に対する強い付従性 ⑷支分権たる利息債権:基本権たる利息債権の効果として期間経過により現に発生した具体的債権 ​⇒ 元本債権に対する弱い付従性 ④法定利率404Ⅱ・Ⅲ:改)年3% + 3年を1期とし、1期毎に利率を見直す変動制404 ⑤利息の計算方法:複利>単利 ​単利:当初の元本に対してのみ利息が付されること ​複利:利息が順次元本に組み入れられること = 重利  ​⇒ 合意がなければ単利、1年分以上の遅滞+催告で重利にできる405 ⑥利息制限法:金銭消費貸借における利息や遅延損害金の利率を一定限度に制限する法律 元本額・上限利率 10万未満・年20% 10万以上100万未満・年18% 100万以上・年15% 遅延損害金・上記利率の各1.46倍 ⑴ 背景:契約自由の原則 → 合意により法外な金利で債務者から搾取 → 公序良俗違反 ⑵ 判例:超過利息は元本に充当 → 完済後の支払いは不当利得返還請求できる 選択債権 ①選択債権:債権の内容が複数の給付のなかからの選択によって定まる債権 ⑴具体例:家または車のどちらかを選んで引渡せ ・ 1反の土地のうち100㎡を提供(判例) ⑵制限種類債権との区別:対象となる給付の個性の有無 → 個性がある=選択債権、 個性がない=制限種類債権 ⑶選択債権の特定:複数の給付の1つを選択 → 単純な債権 ②選択権:選択債権を特定させる権限 = 形成権411 ※411但書の第三者保護規定は無視して良い ⑴選択権者:合意があればその者 → 合意がなければ債務者406 ⑵選択権行使 ​・当事者に選択権:相手方へ意思表示+承諾なく撤回不可407 ・ 催告+選択なし → 相手方移転408 ・​第三者に選択権:当事者一方への意思表示409 ・ 選択なし → 債務者移転409Ⅱ ⑶ 給付不能410:改)選択権者による過失の場合のみ残存する給付に特定 ​⇒ 選択権者でない者の過失:残存給付or 不能物を選択して損賠請求or 解除 ​⇒ 不能=原始的不能・後発的不能を含む ・ 不可抗力の場合特定しない

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    特定物ドグマ 483条 図

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    不特定物の特定の効果の図

    ※ 所有権の移転は、特約がなければ特定の時点

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    第二章 債権の効力

    1 総論 債権の抽象的効力 ①債権の抽象的権能 ​・請求力​:履行せよと請求できる権能 ​⇒ 濫用の場合を除き、不法行為とならない ​・給付保持力​:給付を適法に保持できる権能 ​⇒ 給付の保持が不当利得とならない ​・訴求力​:訴えによって履行を請求できる権能 ​・執行力​:強制執行手続きにより国家機関の手で債権の内容を実現できる権能 ② 一部または全部が欠如した場合 ⑴ 道義上の債務:法的効力のない約束から生じた債務 ⇒ 履行請求権なし ⑵ 自然債務:給付保持力はあるが、訴求力、執行力のない債務 ⇒ 履行強制は不可+履行すれば返還請求不可 ​(例)不訴求合意、 女給の歓心目的で将来の金銭贈与を約束、 消滅時効完成+援用後の債務を履行 ⑶ 責任なき債務:執行力のない債務 ​⇒ 履行を強制されない ​(例)不執行合意 債権の具体的権能 ①債権者ができること:履行請求 → 履行しない場合 ​履行強制414 ​債務不履行に基づく損害賠償請求415 ​契約の解除541・542 ② 債務者ができること:履行による債権消滅473 → 受領しない場合 ​債務者は債務不履行責任を免れる492 ​債権者は受領遅滞責任を負う413 ③債務者の責任財産に対する効力:強制執行の対象となる ⑴責任財産:総財産-差押禁止財産-特別財産 = 責任財産 ⑵ 債権者平等の原則:債権総額>責任財産 の場合、各債権者はその債権額に比例した額の弁済を受ける ⑶責任財産の管理:債務者に財産管理の自由がある ​⇒ 責任財産保全のため、例外として、債権者代位権423 ・ 詐害行為取消権424 ④ 第三者に対する効力:原則、当事者間のみ ⇒ 第三者による債権侵害の場合 2 履行強制 □ 概要 ㉛ 履行強制​:債務者が任意に履行しない場合に国家の力を借りて債権の内容を強制的に実現させる ㉜ 具体的方法414​:改)直接強制・代替執行・間接強制 を明示 → 民事執行法に委ねる=強制執行制度 ㉝ 趣旨​:自力救済禁止の代償  ㉞ 手続き (39) 判決手続:訴訟等を提起 → 債務名義を取得 ​・債務名義:強制執行によって実現されるべき債権を表示する文書​(例)確定判決・公正証書 (40) 執行手続:裁判所に具体的方法を選択し強制執行の申立 → 執行官が執行 □ 履行強制の具体的方法 ​直接強制:債務の内容をそのまま強制的に実現​(例)金銭債権の取立 ​代替執行:債務者以外に債務の内容を実現させ、費用を取立てる​(例)建物収去土地明渡 ​間接強制:履行しない場合に、一種の制裁金を課す​(例)騒音で罰金支払い 直接強制 代替執行 間接強制 引渡債務 与える債務 金銭債権 〇 × 〇 (扶養義務等) 特定物債権 〇 × 〇 不特定物債権 〇 × 〇 作為債務 なす債務 代替的作為債務 × 〇 〇 不代替的作為債務(一般) × × 〇 不作為債務 × 〇 (将来の処分) 〇 (41) 判決代用:判決によって債務者の意思表示とみなす(例)所有権移転登記手続き ​⇒ 不代替的作為債務で意思表示をすべき債務に適用 ∴ 強制執行は不要かつ不可 (42) 子の引渡:間接強制 + 人身保護法の保護手続 + 意思能力がない場合は直接強制(判) (43) 謝罪広告:代替執行 + 間接強制

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    2 履行強制

    概要 ①履行強制​:債務者が任意に履行しない場合に国家の力を借りて債権の内容を強制的に実現させる ② 具体的方法414​:改)直接強制・代替執行・間接強制 を明示 → 民事執行法に委ねる=強制執行制度 ③ 趣旨​:自力救済禁止の代償  ④ 手続き ⑴判決手続:訴訟等を提起 → 債務名義を取得 ​・債務名義:強制執行によって実現されるべき債権を表示する文書​  (例)確定判決・公正証書 ⑵ 執行手続:具体的方法を選択し裁判所に強制執行の申立 → 執行官が執行 履行強制の具体的方法 ​・直接強制:債務の内容をそのまま強制的に実現​(例)金銭債権の取立 ​・代替執行:債務者以外に債務の内容を実現させ、費用を取立てる​(例)建物収去土地明渡 ​・間接強制:履行しない場合に、一種の制裁金を課す​(例)騒音で罰金支払い 写真 ※ 直接強制すむ場合は代替執行 は行わない ※ 引渡し債務は直接強制または間接強制 ※ 作為債務は無理やり債務者にやらせることは不適なので直接強制はできない ※ 不代替的作為債務:特定人にしか行えない債務(アイドルの出演など) ※ 不作為債務:直接強制はできないが代執行は行いうる(例:騒音を出すなという債務なら、防音設備を代替執行で作って費用を債務者に請求する) ※ 間接強制は全てでできる ⑴ 判決代用:判決によって債務者の意思表示とみなす(例)所有権移転登記手続き ​⇒ 不代替的作為債務で意思表示をすべき債務に適用 ∴ 強制執行は不要かつ不可 ⑵子の引渡:間接強制 + 人身保護法の保護手続 + 子に意思能力がない場合は直接強制(判例) ⑶謝罪広告:代替執行 + 間接強制

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    3 債務不履行に基づく損害賠償 A+

    債務不履行の概要 ①債務不履行415​:債務の本旨に従った履行がなされないこと ②債務不履行の類型(類型論)​:三分説(通説) ​・履行遅滞​:履行可能であるが履行期に履行しない ​・履行不能​:履行が不可能なため履行しない ・​不完全履行​:履行したが債務の本旨に従った履行でない = 上記以外 ③ 改正の類型論への影響415​:従前の解釈を維持 + 履行不能が債務不履行に含まれることを明確化 ④請求権競合​:415・709の要件充足 → どちらの請求権も選択して行為しうる(判例) ​⇒ 債務不履行責任と不法行為責任との比較 が重要 415の要件 ​ⅰ 債務の存在 ​ ⅱ ​事実としての不履行   ​履行遅滞、  履行不能、  その他の債務不履行:不完全履行・     安全配慮義務・情報提供義務 ​ⅲ 帰責事由 ​ ​ⅳ 損害の発生 ⅴ ​債務不履行と損害の因果関係 ①債務の存在:契約・事務管理・不当利得・不法行為・単独行為・信義則等で発生 ②事実としての不履行 ⑴履行遅滞 a) 要件 ​・履行期に履行可能​:履行不能との区別 ・​履行期を徒過​:履行すべき時期が過ぎる​→ 412で規定 ​・違法性​:履行しないことが違法となること​→ 弁済の提供・同時履行の抗弁権・留置権があれば違法にはならない b) 412 ​・確定期限付債務 ​→ 期限の到来した時(412①) ・​不確定期限付債務 ​→ 期限到来を知ったときまたは期限到来後に履行請求を受けたときのいずれか早いとき(412②) ※ 例:次、雨が降ったら ​・期限の定めのない債務 ​→ 債務者が履行請求を受けた時(412③)  (例外)  ・​消費貸借契約上の返還債務 ​→   履行請求時から相当期間経過後591Ⅰ   ​∵ 調達猶予期間 ​ ・不法行為に基づく損害賠償債務→    不法行為の時(判)    ​∵ 被害者救済 c) 412Ⅱ:改)債務者が知らなくても期限到来後に履行請求を受けた時 を明示 ※期限到来を債務者が知らず、債権者が手紙で請求し到達したが債務者が見ていなくても期限は経過 ⑵ 履行不能412の2:改)契約等の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断 a) 主観的・客観的事情を考慮 → 物理的不能も法律的不能(二重譲渡等)も含む(判例) b) 原始的不能でも契約は有効に成立 → 原始的不能・後発的不能ともに履行不能=債務不履行で処理  (改正前)初めからない物は売れない → 契約不成立 → 契約締結上の過失=信頼利益の賠償  (​改正後)ある・ない関係なく売れる  → 契約成立  → 債務不履行の問題=履行利益の賠償も可  ⑶ その他の債務不履行:多種多様にある a) 不完全履行 •​給付義務違反:給付の内容に瑕疵​(例)食器引渡債務で食器にひび ​•付随義務違反:履行方法に瑕疵​ (例)運搬債務で運搬中に運搬する椅子を破損 ​•保護義務違反:債権者の利益を侵害​(例)運搬債務で運搬中に債権者の自宅を損壊 b) 安全配慮義務:相手方の生命・身体を危険から保護するよう配慮する義務  ⅰ 契約から生じる場合  安全配慮自体が契約の目的の場合  例)介護契約・保育委託契約等  ⅱ 契約解釈または信義則による場合  例)雇用契約・施設利用契約等 ・契約以外から生じる場合 例)公務員関係・元受と下請の被用者 ➢ 安全配慮義務自体は肯定 + 履行補助者の運転上の注意義務違反には国の安全配慮義務違反はない ※自衛隊員が危険な運転をして被害者が生じた事案 c) 情報提供義務:契約の一方当事者が契約締結するかの判断にあたって必要な情報を提供する義務 ➢ 契約自由の原則 → 原則、義務なし(必要な情報は自己で収集するのが原則) + 例外的に一定の場合に認められる(情報提供義務違反は不法行為責任とする判例あり。契約締結前だから) ③帰責事由:債務不履行についての債務者の責めに帰すべき事由415Ⅰ但 ⑴判断基準:改)契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断415Ⅰ但 ​⇒ 過失責任主義(責任を負うのは故意・過失がある場合のみという私法上の原則)を否定 ⑵改正のポイント (改正前) ・債務者の帰責根拠=過失責任主義 ・帰責事由=債務者の故意過失または信義則上これと同視すべき事由 ・履行補助者の故意過失 信義則上これと同視すべき事由 ⇒ 類型化して判断 (改正後) ・債務者の帰責根拠=契約の拘束力 ・帰責事由=債務者の責めに帰すべき事由(契約及び社会通念等から判断) ・履行補助者の故意過失=帰責事由の有無の考慮要素の一つ ⇒ 復代理・再受寄者の規定削除 ⑶帰責事由の立証責任:債務者 ⇒ 不法行為に基づく損害賠償請求709は債権者 ④損害の発生 ⑴損害:(差額説 通説)債務不履行等のない状態と実際の状態による財産の差額 ​(例)100万で中古車購入 → 車が引渡前に売主の不注意で滅失 ⇒ × 車の滅失  〇100万 ⑵損害の種類 ​・非財産的損害​:財産的損害以外の損害​(例)精神的苦痛 ・​財産的損害​:債務不履行によって債権者に生じた財産上の不利益  ・​積極的損害​:債権者が現に受けた損失(出て行った金)​(例)治療費  ・​消極的損害​:債権者のうべかりし利益の喪失(入ってこない金)​(例)休業中の給料 ⑤ 債務不履行と損害の因果関係416 415の効果 ⑥金銭賠償の原則417:損害を金銭に見積もってその金額を支払う方法が損害賠償の原則 ⇒ ∵ 原状回復は不便 + 当事者の合意があれば原状回復等も可 ​・填補賠償:履行に等しい地位を回復させる損害の賠償(履行利益の賠償)415Ⅱ​(例)物滅失​→ 市場価格 ​・遅延賠償:履行が遅れたことによる損害の賠償414Ⅱ​(例)物引渡遅延​→ 代替品賃借料 ​⇒ 市場価格増加=賠償額は増加する      債権者は履行請求と遅延賠償の請求可414Ⅱ ※車の引き渡しが遅れた場合は債権者はレンタカー代と車の引渡し両方請求できる ②填補賠償の要件415Ⅱ:改)判例法理の明文化 + 転形論否定により履行請求と損害賠償請求は併存しうる ※転型論:履行請求権が債務不履行により損害賠償請求権に変わる(履行請求権は消滅する) ・415Ⅱ一号:履行不能 →履行請求権なし +填補賠償権あり ・415Ⅱ二号:明確な履行拒絶 →履行請求権 +填補賠償権 が併存 ・415Ⅱ三号:解除または解除権の発生 →履行請求権(解除前のみ) +填補賠償権 が併存 ③ 損害賠償の範囲(≒因果関係) ⑴損害の範囲 ​・通常損害:通常発生するものと社会一般に考えられる範囲の損害​  (例)物滅失 → 市場価格 ・​特別損害:特別の事情によって生じた範囲の損害​  (例)物滅失 → 転売利益 ⑵ 416 ​・通常損害416Ⅰ:対象 ・​特別損害416Ⅱ:改正)当事者が特別の事情を予見すべきであった時対象 ​⇒ 改正前「予見した・予見できた」(主観的・客観的評価)  → ー改正後: 規範的な評価「予見すべき」 ⑶ 相当因果関係説:社会通念上相当と考えられる(=相当因果関係の)範囲内の損害に限り賠償(判例通説) 「相当因果関係の範囲内」かつ「通常生じるまたは予見すべき」なら因果関係を認める Q「 当事者」と「予見すべき」であった時の意義 ⑴事例​:転売目的で売買契約 → 物引渡債務の履行時に債務者が転売目的知る → 不履行 ⑵問題の所在​:誰にとって・いつの時点で予見すべきであったことが必要なのか ⑶結論​:債務者にとって、履行期または債務不履行の時に予見すべきであったこと(判例通説) ⑷理由​:履行で避けられる ⑸不法行為709の場合の損害賠償の範囲:416類推(判例) ④損害の金銭的評価 ⑴原則:損害額の証明ができない場合、損害賠償請求は認められない(判例) ⑵例外 ​ⅰ 金銭債務の不履行​:法定利率・約定利率の高い利率419Ⅰ ​ⅱ 慰謝料​:精神的苦痛は裁判所が自由心証をもって量定(判例) ​ⅲ 損害あり + 額の認定困難​:裁判所が相当な額を認定できる(民訴248) Q 損害賠償額算定の基準時 ⑴問題の所在​:物引渡債務の損害賠償額は目的物の時価(市場価格)が基準 ⇒ 時価が変動した場合にいつを基準時とするか ※履行不能と履行遅滞で分けて考える ⑵典型例​:不動産(新築建物、利便施設ができた近隣の土地等) ⑶中間最高価格​:損害賠償を生じさせる事実があった時から判決にいたる時までの最高値の価格 ⑷履行不能の場合(判例): ・原則、履行不能時 ・例外 1 騰貴しつつあるという特別の事情がある  1-1履行不能時に予見すべきであった場合→騰貴した価格  1-2騰貴前に処分すると予想される場合→当該処分時 2騰貴した後に下落 中間最高価格の取得を予見すべき場合 →中間最高価格 3現在も価格が騰貴 →(処分の予定等を問わずに)事実審の口頭弁論終結時 ⑸ 履行遅滞の場合(判例?): 事実審の口頭弁論終結時 解除すれば解除時 損害賠償に関する特別の規定 ① 損害賠償額の減額事由(相殺ではない。単なる減額事由) ⑴過失相殺418:債務不履行・これによる損害の発生・拡大に債権者の過失 → 責任・額を考慮し定める a) 改正:判例法理を明文化 - 改正前「債務不履行」 → 改正後「債務不履行・損害の発生・拡大」 b) 典型的な場面 ​・債務不履行:乗客が「急げ」と言った → 事故 → 法定速度超過のため乗客が怪我 ・​損害の発生:配送 → 履行期前に債権者転居+通知せず → 債務者も調査しない → 履行遅滞 ​・損害の拡大:医療ミスにより入院期間が延びる → 患者が安静にしないため更に入院期間が延びる c)「債権者の過失」の意義:補助者等、取引観念上債権者と同視すべき者の過失を含む(判例) d) 証明責任:債権者の過失を基礎づける事実は債務者が負う + 主張責任の否定(裁判所が職権で過失相殺できる) e) 不法行為における過失相殺との違い ・債務不履行 条文: 418 効果: 減額のみならず責任の否定も可能 考慮の形態: 必要的考慮「定める」 ・不法行為 条文: 722Ⅱ 効果: 減額のみ 考慮の形態: 裁量的考慮「定めることができる」 ⑵損益相殺:損害賠償の発生原因により損害と同時に利益も受けた場合、その利益分を控除すること a) 根拠:公平の理念 ⇒ 明文なしだが実務上当然に + 536Ⅱ後参(債務者の危険負担等) b) 判例:発生原因により通常受け取るもの ​•肯定:死亡による逸失利益から被害者の生活費を控除 ・ 遺族年金・社会保険(加害者に対する求償規定あり?) •​否定:生命保険金 ・ 損害保険金 ・香典 ・ 所得税等 ・ 社会保険(加害者に対する求償規定なし?) ②中間利息の控除 a)中間利息:損害賠償額算定の基準時から将来利益を得られたであろう時までの利息相当額 ​⇒ 将来の金銭よりも現在の金銭の方が利息分の利益がある → 減額すべき b) 417の2:改)損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により控除する ​⇒ 判例法理の明文化 + 法定利率の改正から算定時期も明文化 ③金銭債務の不履行に対する特則419 ​金額419Ⅰ​:改)遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率または約定利率のうち高い利率 ​損害の証明419Ⅱ​:不要 ​不可抗力419Ⅲ​:抗弁とすることができない ​⇒ 実損害の賠償を請求することができない(判例) ④損害賠償額の予定:当事者間で債務不履行があった場合、損害賠償の額をあらかじめ合意すること ⑴背景:契約自由の原則+損害賠償の額の決定は裁判所の専権 ⇒420で規定 ⑵趣旨:損害の立証の困難を除去 ⑶効果:損害賠償額の予定は可能420Ⅰ a) 基本420Ⅰ​:(実損害額に関わらず)予定額のみを請求 + 損害の立証は不要(債権者は、債務不履行の事実さえ立証すればよく、損害額及び損害の発生の事実を立証することなく予定賠償額を請求できる) ​※改正前は「裁判所は額の増減できない」 改正後は「削除」された。よって、不当な賠償額の予定なら増減されうる b) 解除・履行請求​:可能420Ⅱ c) 違約金​:明らかでなければ、損害賠償の予定と推定420Ⅲ ∵ 通常損害賠償の予定の意 ​⇒ 違約金:損害賠償の予定 or  違約罰の2つの場合がある。違約罰は債務不履行に対する制裁であり損害賠償とは別に発生するもの。違約罰であるときはそれとは別に損害賠償を請求できる。 ⑤賠償者代位(422):損害賠償をした債務者が債権者の地位に代わりに入る ⑴事例:寄託された物が盗まれた ⑵背景:債権者が物の所有者 →債務者に酷 ⇒ 422で規定 ⑶趣旨:債権者の二重の利得を防止し債務者の利益を保護 ⑷効果:填補賠償により当然に債権者に代位 → 意思表示・対抗要件等は不要 ※事例では受託者は寄託者(権利者)に賠償すれば権利(所有権)を主張できる ※なお、寄託者は賠償金を受託者に戻せば物を取り戻せる ⑥代償請求権:履行不能の同一原因によって債務者が利益を受けた時、債権者がその利益を請求する権利 ⑴ 事例:火災による履行不能と火災保険 ⑵背景:債権者は債務不履行で損害 + 債務者は保険金取得 → 不公平 ⇒ 改正)422の2で規定  ⑶趣旨:当事者間の公平 ⑷効果:受けた損害の限度で償還請求できる

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    雇用契約から生じる安全配慮義務 図

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    中間利息の控除の図

    a)中間利息:損害賠償額算定の基準時から将来利益を得られたであろう時までの利息相当額 ​⇒ 将来の金銭よりも現在の金銭の方が利息分の利益がある → 減額すべき b) 417の2:改)損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により控除する ​⇒ 判例法理の明文化 + 法定利率の改正から算定時期も明文化

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    5 第三者による債権侵害

    ①総論 ⑴第三者による債権侵害​:第三者が債権を侵害 → 債権者が当該第三者にどんな請求ができるか ⑴問題の所在​:債権の相対性 + 債権の非排他性 + 債権の非公示性 + 自由競争 ⑵ 結論​:妨害排除請求・不法行為で、限定された場合に認める ② 債権に基づく妨害排除請求 ​原則:債権一般について否定(判例)  ∵ 相対性 ​例外:対抗力を備えた不動産賃借権については妨害排除請求できる(+返還請求もできる)605の4 ③不法行為に基づく損害賠償請求 ⑴総論 ​・相対性・非排他性があるが、債権も財産であり不可侵性を有する  ​⇒ 原則、不法行為に基づく損害賠償請求可 ・​非公示性・自由競争​があり、善意の場合かつ自由競争の範囲内であれば709は認められないとも思える ​⇒ 行為類型に応じて要件を修正する(通説) ⑵ 第三者による債権侵害分類 ・帰属侵害(債権の帰属を侵害)  (具体例)なりすまして弁済受領  (成立要件)一般不法行為の要件  (理由)債権者に帰責事由なし ・行為侵害(債権の給付を侵害)  債権が消滅する場合 (具体例)特定物破壊 (成立要件)一般不法行為の要件+非公示性から債権の存在の認識が必要 (理由)非公示性 ・行為侵害(債権の給付を侵害)  債権が消滅しない場合 事実行為 (具体例)売却地の山林を伐採  債権が消滅する場合(事実行為)  (成立要件)一般不法行為の要件+非公示性から債権の存在の認識が必要 (理由)非公示性 ・行為侵害(債権の給付を侵害)  債権が消滅しない場合 取引行為 (具体例)二重譲渡 (成立要件)一般不法行為の要件 + 故意ある加害行為 + 公序良俗違反の不公正な競争 (理由)自由競争

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    第三章 債権債務の移転 総論・譲渡制限

    1 債権譲渡  債権譲渡の概要 ① 債権譲渡:債権の同一性を保ちつつ債権を他人に譲渡すること ⑴移転の概要​:債権譲渡=債権者が変わる ・ 債務引受=債務者が変わる ・ 地位移転=全部移転 ⑵目的・事例​:売却・債権回収・取立・担保等 ⑶契約の流れ​:通常、売買契約等 → 債権譲渡契約 ②法的性質 ⑴諾成・不要式・有因(売買取消等 → 債権譲渡契約消滅) ⑵処分行為かつ準物権契約 ⇒ 契約により直接債権移転が発生 ⑶債権の同一性を保ちつつその債権を移転 ​・移転する権利​:基本権たる利息債権・違約金債権・保証債務・担保権 ・​移転しない権利​:支分権たる利息債権(当然には)・解除権・取消権   ∵ 別個独立の権利 ・​抗弁事由​:同時履行の抗弁権等 ⇒ 譲受人に対して主張できる ​⇒ 更改は旧債務を消滅させて新債務が発生 → 債権譲渡は債権の同一性が保たれる ③債権譲渡の問題:物ではなく、債権の譲渡 ・​債権譲渡における譲渡制限 ​・債権譲渡における対抗要件 ・​債権譲渡における債務者の抗弁及び相殺 債権の譲渡性とその制限 ①債権の譲渡性466改) ​原則:譲渡自由466Ⅰ ​例外:譲渡制限466Ⅰ但  ・​性質による制限:雇用契約上の使用者の権利・保証での主債務者に対する債権のみの譲渡等 ​∵ 意義・信頼  ・​法律による制限:扶養請求権811・年金受給権・生活保護受給権 ​∵ 一身専属権 ②譲渡制限の意思表示:当事者の債権の譲渡禁止または譲渡制限の意思表示 → 譲渡制限特約 ・​原則466Ⅱ:債権譲渡の効力は妨げられない ⇒ 譲渡制限特約に反する債権譲渡でも移転 ・​例外466Ⅲ:悪意又は善意重過失の譲受人等 ⇒ 履行拒絶可 かつ 譲渡人への弁済等を対抗可  ​⇒ 466Ⅱ・466Ⅲのどの場合でも債権譲渡自体は有効 = 譲受人が債権者・譲渡人は非債権者 Q 転得者に譲渡した場合 ⑴ 事例​:譲渡人が譲受人に債権譲渡 → 譲受人が転得者にさらに債権譲渡 ⑵問題の所在​:譲受人その他の第三者に転得者が含まれるか ⑶ 結論​:含まれる ⇒ 転得者が悪意または善意重過失か否かで履行拒絶等が決まる ⑷ 理由​:債権譲渡自体は有効 ⑸ 466Ⅳ改):466Ⅲ+相当期間を定めて債務者に譲渡人へ履行するよう催告+債務者が期間内に履行しない → 債務者は譲受人に対して履行拒絶等不可 ​∵ デッドロック状態の解除 ※デットロック=債務者がずっと債務を履行しなくてもよくなる状態 ⑹ 改正のポイント (改正前) 譲渡制限の意思表示=物権的効力 結論)当事者間でも譲渡は無効 理由)過酷な取立から保護 (改正後) 譲渡制限の意思表示=抗弁権付与 結論)債権譲渡は有効 理由)資金調達上の支障(資金調達はさまざまな手法を用意したほうが良い)+抗弁権で保護 ⑶ 債務者の承諾 (改正前)債務者の承諾可能。債権譲渡は有効。ただし、第三者を害することはできない ∵116の法理(無権代理) (改正後)債務者の承諾は可能。そもそも譲渡制限の特約があっても債権譲渡は有効だから、債務者の承諾は抗弁放棄の意思表示である。 ⑷供託 a) 供託:弁済目的物を供託所に保管させることによって債務を消滅させる制度 → 債権の消滅原因 ​⇒ 目的:債権者不明・受領拒否・受領不能等 の場合に債務負担から債務者を解放 ※ 債権譲渡がされた場合、実際は債務者にとっては誰が譲受人かを特定するのは困難。こういう時に債権者不明として供託が使われる。 b) 債務者の供託権466の2改) ​・要件:譲渡制限付金銭債権が譲渡 + 供託通知​⇒ 譲受人の善意・悪意、債務者の過失は不問 ​・効果:全額を債務の履行地の供託所に供託可 ​⇒ 譲渡人の現住所を含む ​⇒ 改正のポイント:改正前=債権者不確知が原因   改正後=新たな供託原因 ∵ 弁済誤りの防止 c) 債権者の供託請求権466の3改) ​・趣旨:譲受人の破産手続外での債権回収(譲受人の保護) ​・要件 ⅰ ​譲渡制限付金銭債権が譲渡 ​∵ 複雑化回避 ​ⅱ 譲渡人の破産手続開始決定 ​∵ 譲受人保護 ​ⅲ 全額譲受 + 第三者対抗要件具備 ​∵ 複雑化回避 + 債務者の立証負担軽減 ​⇒ 譲受人の譲渡制限の意思表示についての善意・悪意は不問 ​・効果:債務者に供託させることができる(債務者の通知が必要) ⑸差押え466の4:改)466Ⅲは強制執行をした差押債権者に対しては適用されない a) 改正ポイント​:判例法理の明文化 b) 背景​:差押えは強制的な債権譲渡 ≒ 債権譲渡類似 c) Ⅰの趣旨​:差押禁止財産を防止 d) 例外1​:譲渡制限特約付債権に対する強制執行をした者限定 = 担保権の実行を除外 e) 例外2​:債務者は譲受人に466Ⅲを対抗できる → 差押債権者にも対抗できる466の4Ⅱ f) Ⅱの趣旨​:差押債権者は譲受人が有する権利以上の権利は認められない ⑹ 預貯金債権466の5改) a) 預貯金債権​:預金口座または貯金口座にかかる預金または貯金にかかる債権 ※銀行預金が典型 b) 預貯金債権の例外465の5Ⅰ​:悪意または善意重過失の譲受人への債権譲渡は物権的無効 ​⇒ 抗弁権付与ではない + 債権譲渡自体無効 + 債権者は譲渡人のまま ※「物件的無効」がポイント c) 差押えの例外466の5Ⅱ​:預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては不適用 ​∵ 差押禁止財産を防止 d) 改正の趣旨​:金融機関の運用を維持→一般に譲渡禁止特約あり→名義人=債権者

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    債務者の供託権466の2改)の図

    債務者の供託権466の2改) ​・要件:譲渡制限付金銭債権が譲渡 + 供託通知​⇒ 譲受人の善意・悪意、債務者の過失は不問 ​・効果:全額を債務の履行地の供託所に供託可 ​⇒ 譲渡人の現住所を含む ​⇒ 改正のポイント:改正前=債権者不確知が原因   改正後=新たな供託原因 ∵ 弁済誤りの防止

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    差押え466の4:改)466Ⅲは強制執行をした差押債権者に対しては適用されないの図

    ⑸差押え466の4:改)466Ⅲは強制執行をした差押債権者に対しては適用されない a) 改正ポイント​:判例法理の明文化 b) 背景​:差押えは強制的な債権譲渡 ≒ 債権譲渡類似 c) Ⅰの趣旨​:差押禁止財産が生じることを防止

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    466の4 Ⅰ の例外:担保権の実行/466の4Ⅱ

    ・例外1​:譲渡制限特約付債権に対する強制執行をした者限定 = 担保権の実行を除外(強制執行をしていない) ※民事執行の手続きには、大きく分けて強制執行の手続きと担保権の実行の手続きがあり、 強制執行は判決等に基づきおこなわれ、担保権の実行は担保権の存在を証する書面(不動産登記簿謄本など)に基づきおこなわれるなどの違いがある ・例外2​:債務者は譲受人に466Ⅲを対抗できる → 差押債権者にも対抗できる466の4Ⅱ ※ 写真参照(写真のCは悪意または重過失) f) Ⅱの趣旨​:差押債権者に、譲受人が有する権利以上の権利は認められない

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    ◾️ 債権譲渡の対抗要件

    債権譲渡の対抗要件 ①債権譲渡の対抗要件:確定日付のある証書による通知または承諾467 ​・債務者対抗要件:債務者に対する対抗要件(=権利行使要件)​⇒ 通知または承諾467Ⅰ ・​第三者対抗要件:第三者に対する対抗要件​⇒ 確定日付のある証書467Ⅱ ②債務者対抗要件:通知または承諾 ⑴主体と客体 ​通知:譲渡人が債務者に対して  ※× 譲受人が債務者に対して通知ではダメ ​承諾:債務者が譲渡人または譲受人に対して​⇒ 譲渡人でも譲受人でもよい ⑵趣旨:債務者の認識による債務者保護 ⑶ 通知:事実を知らせる行為 = 観念の通知 ⇒ 意思表示の規定を類推適用 ∴ 97Ⅰ類推(到達主義) (以下3判例はおさえる) ➢ ✖️譲受人が債権者代位権にもとづき譲渡人に代位して債務者に債権譲渡通知をすることは認められない ➢ ◯譲受人が代理人または使者として債務者に対して債権譲渡通知をすることは認められる   ➢ ◯譲受人の譲渡人に対する通知請求権は債権者代位権の対象である ⑷承諾:観念の通知 ➢ 債権譲渡前の事前の承諾は債権と譲受人が特定されている限り有効 ∵債務者自身による利益の放棄 例)AがBにお金を貸しています (債務者:B)。 ​⇒ 通知の場合は認められない ∵ 債務者に不利益(通説) ⑸債権譲渡の取消・解除の場合:467Ⅰに準じて通知または承諾が対抗要件となりうる(判例) ※別紙の図参照 ③第三者対抗要件:確定日付のある証書による通知または承諾467Ⅱ ※郵便局の発送受付時に確定日付取得 ⑴確定日付:当事者が後から変更することができない公に確定した日付 a) 典型例​:内容証明郵便・公証役場での日付印の押捺等 b) 内容証明郵便​:日付・差出人・宛先・文書の内容を郵便局が謄本により証明する郵便 ​⇒ 郵便局での発送受付時に確定日付を取得 → 確定日付時の当該証書の存在を証明 ​⇒ 作成日・到達日とのズレが生じうる → 通常、到達日は郵便物配達証明書によって証明 (例) 4/1 債権発生 5/1 債権譲渡 5/2 債権譲渡通知書作成=作成日 5/3 内容証明郵便で発送=確定日付 5/4 債権譲渡通知書到達=到達日 ⑵確定日付の趣旨:利害関係人による不正を可及的に防止する ⑶ 効果:確定日付のある通知または承諾がなければ第三者に対抗することができない a)467Ⅱの第三者:通知又は承諾の不存在を主張する正当な利益を有するもの ​(例) 〇 債権の二重譲受人・譲渡債権の質権者   ​× 債務者の一般債権者 b) 対抗できない:債務者は優先する第三者だけを債権者として弁済しなければならない ​⇒ 劣後する第三者への弁済に債務消滅の効果なし = 467Ⅱは債務者も拘束 ⑸具体例 Q 第二譲受人のみ確定日付がある場合 ⑴ 事例​:Aが債務者Bへの債権をCに債権譲渡+通知 → AがDに債権譲渡+確定日付通知 ⑵ 問題の所在​:後に債権譲渡されたDとの対抗関係及び債務者との関係 ⑶結論 a) 第二譲受人との関係:第二譲受人Dが優先 ∵ DがCより先に対抗要件具備 b) 債務者との関係 ・​Dへの弁済のみ有効(478適用の余地あり) ​→ Cへの弁済拒絶可 + 支払えば二重弁済→703 ・​Dへ債権譲渡した通知前にCに対して弁済 ​→ Cへの弁済有効 ∵ 対抗関係なし  Q 第一譲受人・第二譲受人共に確定日付がある場合 ⑴事例:Aが債務者Bへの債権をCに債権譲渡+確定日付通知 → AがDに債権譲渡+確定日付通知 ⑵問題の所在:確定日付と到達日で先後が異なる場合の優劣の判断基準 (例) <A→C債権譲渡>譲渡日4/1 確定日付4/1 到達日4/5 <A→D債権譲渡>譲渡日4/2確定日付4/3到達日4/4 ⑶判例:(到達時説)確定日付のある通知が債務者に到達した日時または債務者の承諾の日時の先後で決する → 例ではD優先 ⑷理由:債務者の利益保護(到達日と確定日付が逆転した場合、債務を履行した債務者に不利益)+ 債務者の認識を通じ第三者に(債権を誰が所持しているかを)表示される→不正を可及的に防止 Q 同時送達・先後不明の場合 ⑴事例:第一譲受人・第二譲受人共に確定日付通知あり → 通知が債務者に同時に到達or 先後不明 ⑵問題の所在:譲受人と債務者間の関係 + 譲受人間の対抗関係 + 債務者の弁済 ⑶判例・結論 ⅰ 譲受人と債務者 (結論) 譲受人:債務者に全額請求できる 債務者:他の譲受人を理由に弁済責任を免れない (理由)通知あり467 ⅱ 譲受人相互 (結論)対等な関係 → 唯一の優先弁済権主張できない (理由)対抗要件具備467Ⅱ ※ 債務者が供託した場合、各譲受人は相互の債権額に按分して供託金の還付を受けることとなる ⅲ 債務者 (結論) 一方の譲受人への弁済で債務消滅 (理由)二重払いの危険、公平 ④将来債権の譲渡性 ⑴将来債権:将来発生する予定の債権 ​(例)事業での継続的な売買契約による代金債権 ​⇒ 債権譲渡契約時に債権はない + 将来発生する​ (例)来月の売買契約で発生 ⑴条文466の6改) ​Ⅰ:将来債権の債権譲渡が可能 ​Ⅱ:将来債権の債権譲渡において、債権発生時に譲受人が債権を当然に取得 ​Ⅲ:対抗要件具備時までに譲渡制限の意思表示 → 譲受人等は悪意とみなす ⑵ 趣旨:将来債権による資金調達の活発化から判例法理を明文化 債権譲渡における債務者の抗弁 ①抗弁:基礎となる事実と両立しつつその法律効果を排斥する別個の事実 ​(例)金銭消費貸借契約による債権 ​⇒ ​〇 無効・取消・解除 ​× 借りていない ②468:改)対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できるⅠ ⑴「対抗要件具備時」:通知または承諾をした時 → 催告後の無履行(相当期間)(デッドロックの場合)・債権者破産の場合(供託)の例外Ⅱ ⑵「譲渡人に対して生じた事由」:同時履行の抗弁権・弁済・無効・取消・解除 a) 無効:468で対抗できる​ (例)公序良俗・心裡留保・権利能力等 Q 第三者保護規定が設けられている場合に無効を対抗できるか ⑴事例​:AとBの通謀虚偽表示による架空の債権をCに債権譲渡 ⑵問題の所在​:468では対抗できる → 94Ⅱでは対抗できない → どちらが優先 ⑶判例​:94Ⅱを優先的に適用 =対抗できない ⑷ 理由​:債務者の帰責性 b) 取消:取消されるまでは一応有効、取消されたら遡及して無効 ​・対抗要件具備時に取消あり​  ⇒取消対抗可 ​・対抗要件具備時に取消なし + 取消事由あり   ​⇒対抗要件具備後でも取消と対抗可 Q 第三者保護規定が設けられている場合に取消を対抗できるか ⑴事例​:詐欺取消をしうる債権を譲受人に債権譲渡 → 譲受人が善意無過失の第三者 ⑵問題の所在​:468と96Ⅲのどちらが優先 ⑶結論​:96Ⅲを優先 =対抗できない ⑷理由​:騙されたという点で帰責性がある c)解除:有効に成立→ 解除原因発生 →解除権発生 →解除権行使=解除 ​(例)請負契約成立 → 仕事完成義務あり → 仕事完成義務不履行 → 解除権発生 → 解除 ​・対抗要件具備時に解除あり ​⇒ 解除対抗可 ​・対抗要件具備時に解除なし ​  ・解除原因あり ​⇒対抗要件具備後でも解除と対抗可 ​  ・解除原因なし・発生の基礎あり ​⇒ 対抗要件具備後でも解除と対抗可 ※ 「解除の発生の基礎」=期日までに家を建てなければならない状況(できなければ債務不履行で解雇権発生) Q 第三者保護規定が設けられている場合に解除を対抗できるか ⑴事例​:解除された債権が債権譲渡 → 545Ⅰの第三者である譲受人に対抗できるか ⑵ 問題の所在​:468では対抗可 → 545Ⅰで第三者の権利を害することはできない ⑶ 判例​:債権そのものの譲受人は545Ⅰの第三者に該当しない ⇒ 譲受人に対抗可 ③ 改正のポイント ⑴抗弁の切断規定の削除 ​改正前:債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾 → 抗弁対抗不可 ​改正後:削除 a) 批判:異議を主張しない場合、単に通知のみで抗弁が切断される b) 趣旨:債務者保護 ⑵譲渡制限付債権が譲渡された場合に対抗できる抗弁の基準時468Ⅱ ・​前段:466Ⅳの場合 ⇒ 催告後相当期間が経過した時 ∵ 譲渡制限の意思表示を対抗できていた ​・後段:466Ⅲの場合 ⇒ 債務者が譲受人から供託の請求を受けた時

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    債務者対抗要件:債権譲渡の取消、解除の場合の図

    取消・解除の場合:467Ⅰに準じて通知又は承諾が対抗要件となりうる(判例)

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    将来債権の譲渡466の6の図

    将来債権の譲渡性 ⑴将来債権:将来発生する予定の債権 ​(例)事業での継続的な売買契約による代金債権 ​⇒ 債権譲渡契約時に債権はない + 将来発生する​ (例)来月の売買契約で発生 ⑴条文466の6改) ​Ⅰ:将来債権の債権譲渡が可能 ​Ⅱ:将来債権の債権譲渡において、債権発生時に譲受人が債権を当然に取得 ​Ⅲ:対抗要件具備時までに譲渡制限の意思表示 → 譲受人等は悪意とみなす ⑵ 趣旨:将来債権による資金調達の活発化から判例法理を明文化

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    債権譲渡における債務者の抗弁468の図

    468:改)対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できるⅠ ⑴対抗要件具備時:通知又は承諾をした時 → 催告後の無履行(相当期間)・破産(供託)の例外Ⅱ ⑵譲渡人に対して生じた事由:同時履行の抗弁権・弁済・無効・取消・解除 a) 無効:468で対抗できる​(例)公序良俗・心裡留保・権利能力等

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    Q 第三者保護規定が設けられている場合に無効を対抗できるかの図

    ⑴事例​:AとBの通謀虚偽表示による架空の債権をCに債権譲渡 ⑵問題の所在​:468では対抗できる → 94Ⅱでは対抗できない → どちらが優先 ⑶判例​:94Ⅱを優先的に適用 =対抗できない ⑷ 理由​:債務者の帰責性

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    Q 第三者保護規定が設けられている場合に取消を対抗できるかの図

    ⑴事例​:詐欺取消をしうる債権を譲受人に債権譲渡 → 譲受人が善意無過失の第三者 ⑵問題の所在​:468と96Ⅲのどちらが優先 ⑶結論​:96Ⅲを優先 =対抗できない ⑷理由​:騙されたという点で帰責性がある

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    譲渡制限付債権が譲渡された場合に対抗できる抗弁の基準時468Ⅱ ​前段の図

    譲渡制限付債権が譲渡された場合に対抗できる抗弁の基準時468Ⅱ ・​前段:466Ⅳの場合 ⇒ 催告後相当期間が経過した時 ∵ 譲渡制限の意思表示を対抗できていた cf・後段:466Ⅲの場合 ⇒ 債務者が譲受人から供託の請求を受けた時 ​

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    2 債務引受 Aランク

    債務引受序説 ①債務引受:改)債務の同一性を維持しながら債務を新たな第三者(=引受人)に移転 ​・併存的債務引受:債務者の債務は存続し、引受人と共に債務を負う ​・免責的債務引受:債務者の債務は消滅し、引受人のみが債務を負う ② 改正の背景:明文なしだが判例・実務で認められている ⇒ 重要なので明文化して要件・効果を整理 ③履行引受 :債務者と引受人との間で、引受人が債務を履行する旨を約する契約 ​⇒ 債権者との関係では変化なし 併存的債務引受 ①要件470改) ⑴三面契約の場合​:債権者・債務者・引受人となる者との契約による ⑵470Ⅱの場合​:債権者と引受人となる者との契約による ​⇒ 債務者の意思に反しても有効(≒保証契約) ⑶470Ⅲの場合​:債務者と引受人となる者との契約による ​⇒ 第三者のためにする契約537の規定に従う → 債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に効力   ② 効果:連帯債務関係470Ⅰ ⇒ 同一内容の債務に各自全額給付義務 ・ 給付により全債務者の債務消滅 ③改正のポイント470:判例法理の明文化 + 連帯債務の絶対的効力事由の範囲が縮小 ④ 引受人の抗弁471 a) 債権者・引受人間の契約 ​Ⅰ:引受人は債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗できる ​∵ 同一内容の債務 ​Ⅱ:債務者が取消権・解除権を有する → 引受人は債務者が行使すれば債務を免れる限度で履行拒絶できる  ​∵ 引受人は行使不可 b) 債務者・引受人間の契約:Ⅰ・Ⅱに加えて、第三者のためにする契約に基づく抗弁を対抗可 免責的債務引受 ①要件472改) ⑴三面契約の場合​:債権者・債務者・引受人となる者との契約による ⑵472Ⅱの場合​:債権者と引受人となる者との契約 ​⇒ 債務者の意思に反しても有効(≒債務免除) ・ 債権者が債務者に対して通知した時に効力 ⑶ 472Ⅲの場合​:債務者と引受人となる者との契約 + 債権者の承諾(=成立要件) ​⇒ 債権者の承諾があった時に効力 ② 472改正のポイント ⑴判例変更Ⅱ​:債務者の意思に反する債権者・引受人間での免責的債務引受を認める ⑵第三者の差押の効力Ⅲ​:債権者の承諾は成立要件かつ承諾時に効力発生(=合意時に遡及しない) ③ 効果472Ⅰ ​・引受人:債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担 ​・債務者:債務を免れる ④ 引受人の抗弁472の2改) ​Ⅰ:効力が生じた時に債務者が主張できた抗弁を対抗可 ​Ⅱ:債務者が取消権・解除権を有する → 免れる限度で履行拒絶できる ⑤ 引受人の求償権472の3改):取得しない ⇒ 確認規定・禁止でもない ⑥担保の移転472の4改) ​・引受人が担保権設定者 ​⇒ 引受人の担保権移転の承諾不要Ⅰ ・​引受人以外の者が担保権設定者 ​⇒ 引受人以外の者の担保権移転の承諾必要Ⅰ ⑴ 承諾:担保権移転に対する承諾 = 優先順位を維持したまま引受人の債務を担保 ​⇒ 後順位担保権者の承諾は不要(≒更改) ⑵保証人がいる場合:Ⅰ準用Ⅲ + 承諾は書面または電磁的記録が必要Ⅳ・Ⅴ ⑶担保権移転の意思表示の時期:あらかじめまたは免責的債務引受と同時Ⅱ ∵ 付従性 ⑷改正のポイント:担保の移転の効果・要件を明文化 ​・承諾不要:引受人が抵当権設定者・保証人・第三取得者、承諾の後順位抵当権者 ・​承諾必要:債務者・引受人以外の者が抵当権設定者・保証人・第三取得者

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    3 契約上の地位の移転

    ①契約上の地位の移転:契約により発生する当事者としての地位を包括的に移転 ​⇒ 債権債務の移転のみならず、取消権・解除権を含めた地位そのものが移転 ② 要件 ⑴ 三面契約の場合:一方当事者(譲渡人)・譲受人・契約の相手方 ⑵ 539の2の場合:一方当事者(譲渡人)と譲受人間での合意 + 契約の相手方の承諾 ​⇒ 賃貸人たる地位の移転の場合、賃借人の承諾は不要605の3 ∵ 賃借人に不利益なし 第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。 88 効果 ​譲渡人:契約関係から離脱 ​譲受人:包括的に地位が移転 → 解除権・取消権等も移転

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    第三者の差押の効力470Ⅲ​ 図

    第三者の差押の効力Ⅲ​:債権者の承諾は成立要件かつ承諾時に効力発生(=合意時に遡及しない) →債権者の債務引受の承諾前に差し押さえがなされた場合、差押え債権者の債務者への差し押さえは有効

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    地位の移転の図

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    第四章 債権の消滅 A+

    1 債権の消滅原因総論 ① 財産権の本質的目的 ​・債権:消滅  ⇒ 通常、最終的に全債権は消滅 ​・物権:存続  ⇒ 通常、物が存在する限り存続 ​⇒ 債権の消滅原因を分類して理解 ② 債権消滅原因の全体像 ・​目的の消滅による​:弁済・代物弁済・供託 ​・目的の消滅以外による​:相殺・更改・免除・混同 ・​第6節以外の消滅原因​:消滅時効・取消・解除・解除条件の成就等 ⑴弁済・相殺が実務上も試験対策上も重要 ⑵ 履行不能:改)債権の消滅原因ではなく、履行不能の抗弁を認める412の2 ​⇒ 反対給付義務を免れない → 契約を解除すれば免れる 2 弁済 弁済の基本 ①弁済​:債務者が債務の内容である給付を実現すること473 ⑴弁済の結果​:改)債権が消滅473 ⑵ 改正ポイント​:弁済が債権の消滅原因であることを明示 ⑶履行・支払​:≒弁済 ​・弁済:債権の消滅・実現という効果に視点 ​= 給付結果を意味 ​・履行:債権の実現過程・動的側面に視点 ​= 給付行為を意味 ・​支払:金銭債務の弁済に視点 ② 弁済の性質:弁済意思(債務を消滅させようとする意思)→不要 + 単に客観的に債務の内容に適した給付行為(準法律行為説 通説) 弁済の提供 ①弁済の提供:債務者側が給付を実現するために必要な準備をして債権者の協力を求めること(弁提) ​⇒ 弁済ではない(債権存続)・受領遅滞と被る ⑴条文:弁提の効果492 ・ 弁提の要件493 ⑵弁済の過程:弁済の準備(債務者) → 弁済の提供(債務者) → 受領(債権者) ​⇒ 債務者が最終的にすべき行為が弁提 + 債権者の受領により弁済が完成 ⑶特定と弁提の区別 図 ※ 特定→効果:調達義務を負わない (不特定物→特定物) ※ 弁済の提供→効果:栄光遅滞責任を負わない ②弁提の要件493:債務の本旨に従った + 現実または口頭の提供 ⑴債務の本旨に従った:債権の目的を達する415参(弁済の要件) ⇒ 補充規定あり a) 時期:特約 →特約なければ法律の規定、573・591・取引時間の定めがあればその時間内484Ⅱ改)等 b) 場所:特約 → 特約なければ法律の規定、持参債務の原則484Ⅰ等 c) 内容 I. 現状引渡義務483:特定物引渡・契約等から品質を定めることができない → 現状引渡 ※契約等から品質を定めることができるならば現状引渡しただけではダメ ​・特定物ドグマ否定、任意規定、契約内容に適合した物の引渡し義務 II. 他人物引渡475:改)他人物引渡→取消、有効な弁済をしなければ取戻しできない  ​・改正前は制限行為能力者による代物弁済に限定476 → 削除 ​・趣旨:債権者保護 → 善意で消費又は譲渡した場合、弁済有効+弁済者に求償請求可476 ​Ⅲ. 口座振込による弁済477:改)債権者が払戻しを請求する権利を取得した時に効果発生 ​・具体的な預貯金債権取得時点は解釈に委ねる d) 費用:特約 → 法律の規定、債務者負担(∵債務者の行為)485 ⑵現実または口頭の提供:弁提の方法 a)現実の提供:債権者の協力がないために履行が完了できない程度の提供(判例) ​⇒ 現実の提供が弁済の提供の原則 + 口頭の提供は例外 493本文 b) 口頭の提供:債務者が弁済の準備をしたことを債権者に通知して受領を催告すること 493但 ​・債権者の行為が必要 or 債権者が予め受領拒絶 ​⇒ 口頭の提供可(準備・通知・催告) ​・受領拒絶の意思が明確​⇒ 口頭の提供不要、準備のみで足りる(判例) ③弁済の提供の効果: ※前提:弁済ではないので債権は存続する ⑴債務不履行責任(履行遅滞責任)を免れる492 ​・履行遅滞に基づく損害賠償415や契約解除541の問題は生じない ​ ・債務者:遅延賠償・遅延利息・違約金 の支払を免れる ​ ・債権者:履行遅滞を理由とする、解除・担保権の実行 はできない ※具体的な帰結を全て説明できるように ⑵同時履行の抗弁権533を行使できない ​・履行請求​:弁提の継続必要 → 履行請求時に必要(判例) ​・解除​:弁提の継続不要 → 一度の弁提でよい(判例) ⑶約定利息の不発生:弁済の提供の時から不発生(判例) ​⇒ 受領遅滞の効果413・413の2(注意義務の軽減・増加費用の債権者負担・危険の移転) 弁済の主体 ①弁済の主体:弁済者 + 弁済受領者 ​⇒ 弁済の当事者間での弁済が効果発生の要件 → 誰が誰に対して弁済すべきか? ②弁済者 ⑴債務者​:履行補助者による弁済も含む ⑵ 弁済権限授受者​:代理人・破産管財人等 ⑶第三者​:原則、第三者弁済はできる474改) a) 第三者弁済:債務者以外 かつ 弁済権限授受者でない かつ 第三者として 行う弁済 ​〇 債務者の親族・配偶者・友人が弁済 ​× 保証人・連帯債務者(∵債務者)、代理人(∵権限)、自己の債務として弁済(∵×第三者・707) b) 第三者弁済が認められない場合 ⇒ 無効 ​性質上の制限​:債務の性質から許されない​(例)アイドルの公演 ​意思表示による制限​:第三者弁済拒絶の意思表示​(例)当事者間の特約 ​正当な利益を有する者でない第三者が債務者または債権者の意思に反する ∵ 債務者・債権者保護 ​債務者の意思に反する ⇒ 債権者が知らなかったときは有効 ​債権者の意思に反する ⇒ 委託を受けて弁済する場合に債権者が知っていたときは有効 ​・正当な利益を有する:弁済をするについて法律上の利害関係を有する(判≒旧利害関係) ​〇 物上保証人・抵当不動産の第三取得者・後順位抵当権者 ​⇒ 意思に反する弁済可 ​× 債務者の親族・配偶者・友人 ​⇒ 意思に反する弁済不可 ➢ 借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する ∵ 退去 c) 改正のポイント ​・利害関係 ​→ 正当な利益 ​∵ 法定代位と一致し明確化 ​・債務者の意思に反する弁済は無効 → 債権者が知らなければ有効 ∵ 債権者・第三者弁済保護 d) 第三者弁済の効果:弁済 ⇒ 債権は消滅しうる ※消滅する場合もしない場合もある。(第三者に債権が移る場合がある) ③ 弁済受領者 ⑴債権者 ​⇒ 差押を受けた場合481改) ・ 制限行為能力者13等 → 例外的に無効 ⑵受領権者:弁済受領権限を付与された第三者​(例)代理人・債権質権者・差押債権者 ​⇒ 債権者又は受領権者以外の者への給付は原則、弁済の効果は生じない ④受領権者としての外観を有する者(=表見受領者)に対する弁済478改) ⑴要件:表見受領者 + 弁済者が善意無過失 ⑵表見受領者 ​表見相続人・ 無効な債権譲渡の譲受人・ 偽造の債権証書または受取証書の所持人・ 詐称代理人・ 通帳と届出印の持参人・ 債権の二重譲渡の場合の劣後する譲受人 ⑶効果:債権消滅 → 債権者は表見受領者に対し703・709 ⑷改正のポイント a) 「債権の準占有者」から「表見受領者」に変更 ​∵ 準占有者の概念が判例で拡張 b) 「受取証書の持参人480」の規定は 消滅 ​∵ 478は480を包含 ※受取証書:取引上、受領した物が金銭または有価証券のときには「領収書」、物品のときには「受取書」 Q 詐称代理人は表見受領者に含むか ⑴事例​:泥棒が他人の預金通帳と印鑑を盗んで、窓口で預金者の代理人として弁済を受ける ⑵問題の所在​:表見代理110による処理 ⑶判例​:478適用 ⑷理由​:基本代理権なし→ 110適用の余地なし Q ATMでの表見受領者への払戻しの場合に478は適用されるか ⑴ 判例​:注意義務を尽くしていれば478適用 → かなり限定的 ⑵預金者保護法​:偽造・盗難キャッシュカードによる払戻しは、原則として銀行が補償 弁済の効果 ①債権の消滅473 ⑴付従性による消滅 ⇒ 保証債務及び担保物権も消滅 ⑵ 弁済の充当:給付が同一債権者の債務の消滅を満たさない場合、どの債務の弁済にあてるか a) 順序​:合意充当490 → 法定充当489Ⅰ → 指定充当488Ⅰ~Ⅲ → 法定充当488Ⅳ b) 合意充当​:当事者間の合意に従う充当 ​⇒ 合意充当優先の原則 ・ 任意規定 ※合意があれば費用利息元本の順序も自由にできる c) 指定充当​:当事者の一方の指定による充当 ​⇒ 弁済者 → 弁済受領者 の順 ※費用利息元本の順序は489①に従う d) 法定充当​:法律の定めによる充当 ​⇒ 弁済期 → 債務者利益等 の順 e) 489Ⅰ​:利息・費用がある場合、費用 → 利息 → 元本 の順 ② 弁済の証明 ⑴受取証書の交付請求486:改)弁済と引換えに受取証書の交付請求できる a) 受取証書:弁済の受領を証明する書面 ⇒ 形式不問(日付・相手方等は必要)+ 債権者負担 ​(例)受取証 ・領収書 ・レシート ・預かり証 等 b) 趣旨:二重弁済の防止 c) 改正のポイント:受取証書の交付と弁済は同時履行の関係 ⑵債権証書の返還請求487:債権証書あり + 全部の弁済あり → 債権証書の返還請求できる a) 債権証書:債権者が債権の成立・内容を証明させるために債務者に作成させた書面 ​(例)借用書 ・ 借用証書 等 b) 486との違い:債権証書がある場合のみ + 同時履行の関係にない

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    特定と弁提の区別 図

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    特定物ドグマの図 483

    図 改正後は、原則弁済無効 →債務不履行責任の問題に

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    弁済の提供の効果:533関係の図

    図 弁済の提供がなされると相手方は同時履行の抗弁権533を行使できない ​・その後の履行請求​:弁提の継続必要 → 履行請求時に必要(判例) ​・その後の解除​:弁提の継続不要 → 一度の弁提でよい(判例)

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    差押を受けた債権の第三債務者の弁済481の図

    ① 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。 ② 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

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    ◾️ 代位弁済(弁済による代位)

    ①代位弁済:債務者以外の者が弁済をしたとき、債権者が債務者に対して有していた権利が弁済者に移転 ​⇒ =弁済による代位・弁済者代位 ⑴ 基本用語 ​・原債権​:弁済によって消滅すべきはずの債権者から債務者に対する債権 ​・代位弁済者​:債務者に代わり弁済をした者 ⇒ 求償権を取得 ​・求償権​:本来の債務者でない者が債務者に代わり弁済したとき、弁済費用等を請求する権利 ​・代位債権​:債務者以外の者の弁済によりこの代位弁済者に移転した債権 ※求償権と代位債権は別物 ⑵趣旨:弁済者保護 → 原債権・担保権を代位弁済者に移転499以下 ※ 図参照 ⑶求償権の根拠条文 ​・第三者が債務者からの依頼に基づき弁済 ​⇒ 委任契約650Ⅰ ​・第三者が債務者からの依頼に基づかないで弁済 ​⇒ 事務管理702 ​・保証人・物上保証人が弁済 ​⇒ 459以下 ⑷ 法律構成:債権者・債務者間で消滅 → 代位弁済者のために存続し代位弁済者が債権者となる(判例)(法律上の債権移転説) ⑸ 代位弁済の形態 ​・任意代位:正当な利益を有する者でない第三者が弁済 ​・法定代位:正当な利益を有する者が弁済 ⑹正当な利益を有する者 ​保証人・ 物上保証人・ 抵当不動産の第三取得者・ 連帯債務者・ 不可分債務者・ 一般債権者 ・不動産の譲渡担保権者・ 抵当不動産の賃借人 ② 代位弁済の要件 ⑴成立要件:任意代位・法定代位共通 ⅰ ​債権の満足 ​→ 弁済と同一視できる、代物弁済・相殺・混同等も可 ⅱ ​求償権の存在 ​→ × 贈与等 ⑵対抗要件500:改) ​・任意代位:債権譲渡の債務者対抗要件・第三者対抗要件467を満たす ​→ 対抗できる ​・法定代位:当然に(上記不要) ​→ 対抗できる ⑴ 改正のポイント:任意代位なら債権者の承諾が必要 → 削除 ③ 代位弁済の効果 ⑴ 代位者・債務者間の効果 a) 債権者が有していた一切の権利を行使501Ⅰ ​・債権:履行請求権・損害賠償請求権       ・債権者代位権 詐害行為取     消権・従たる権利 ​・担保:物的担保(抵当権等)・人的     担保(保証等) b) 代位権の行使の範囲​:求償権の範囲に限定501Ⅱ c) 求償権と原債権の関係​:別債権性(債権額・時効等は別でカウント) + 付従性(消滅・担保の実行等は同じように判断) Q 内金・内入金・中間金の処理 ⑴内金​:債務の一部を前払いする金 =内入金・中間金 ⑵問題の所在​:債務者が第三者に対して一部を支払いした場合、内金は求償権と代位債権のどちらに充当されるか ⑶判例​:求償権と原債権の両方に充当 ⑵一部代位502:改) a) 一部代位:債権の一部を代位弁済 ⇒ 債権者・原債権ともに存続 b) 趣旨:債権者保護(∵担保の換価時期等の利益が害されうる) → 原債権者優先主義 ※ 5,000万円の債権があるのに100万円を第三者が代位弁済すれば第三者が好きな時に担保を実行できるなどということになったら債権者に不利益 c) 効果 ​・502Ⅰ:代位者は単独での権利行使不可 → 債権者の同意必要 ​・502Ⅱ:債権者は単独での権利行使可 ​・502Ⅲ:債権者の権利は代位者に優先   ※抵当権を実行した場合、代位者より債権者が優先して弁済を受ける d) 改正ポイント​:代位者単独での抵当権の実行を認める判例の変更→債権者の同意が必要に e) 解除502Ⅳ​:債権者のみできる + 代位弁済者への償還が必要 【以下、182講】 ⑶ 代位者相互の効果と条文 【法定代位権者相互の関係・条文と効果】 ・保証人 + 第三取得者 → 保証人が代位弁済 保証人は第三取得者に代位できる 規定なし(501Ⅰから当然) ・物上保証人 + 第三取得者 → 物上保証人が代位弁済 物上保証人は第三取得者に代位できる 規定なし(501Ⅰから当然) ・保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済 第三取得者は保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提 ・物上保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済 第三取得者は物上保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提 ・(債務者からの)第三取得者が複数 → 1人の第三取得者が代位弁済 各財産の価格に応じて501Ⅲ2号 ・物上保証人が複数 → 1人の物上保証人が代位弁済 501Ⅲ2号を準用501Ⅲ3号 ・共同保証人 → 一人の保証人が代位弁済 465によって取得する求償権の範囲501Ⅱ括弧 ・保証人 + 物上保証人(単数or 複数) → 保証人or 物上保証人が代位弁済 単数 → その数に応じて501Ⅲ4号=保証人扱い 複数 → 保証人部分を除き各財産の価格に応じて501Ⅲ4号 a) 501Ⅰ ​・改正ポイント:あらかじめ付記登記が必要 → 削除 ∵ 債権譲渡との均衡・保護の必要性なし ​⇒ 付記登記は第三取得者への対抗要件ではなく、承継を証する公文書となった b) 501Ⅲ ​・第三取得者​:担保物権の設定されている物について、新たに物権を取得した第三者 ​・改正ポイント​:第三取得者→「債務者からの第三取得者のみ」に明文化 ​⇒ 第三取得者の意義:債務者からor 物上保証人からを含む  ※債務者からの第三取得者は債務者と同じようなもの。一方で、物上保証人からの第三取得者は物上保証人と同じようなもの。 c) 501Ⅱ括弧 ​・改正ポイント ​原則:共同保証以外 ⇒ 自己の権利に基づいて債務者に求償できる範囲内 ​例外:共同保証   ⇒ 自己の権利に基づいて、他の保証人に求償できる範囲内465 Q 保証人が物上保証人を兼ねる場合の処理 ⑴事例:保証人が物上保証人として不動産を担保に供した場合 ⑵問題の所在:1人 or 2人 → 保証人or 物上保証人 ⑶判例・通説:単一資格説(判) → 保証人兼物上保証人1人説(通) ∵ 501の趣旨である公平 ​単一資格説​:一人として扱う ​保証人兼物上保証人1人説​:頭数で分割された額まで保証債権または抵当権を代位行使できる ⑷ 債権者の義務 a) 債権者は証書及び担保物の交付義務あり503Ⅰ ∵ 代位弁済者の便宜 b) 法定代位権者のための担保保存義務あり504Ⅰ → 担保喪失・減少ならその限度で免責

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    【法定代位権者相互の関係・条文と効果】図

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    保証人 + 第三取得者→ 保証人が代位弁済

    保証人は第三取得者に代位できる 規定なし(501Ⅰから当然) 物上保証人 + 第三取得者

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    物上保証人 + 第三取得者→ 物上保証人が代位弁済

    物上保証人は第三取得者に代位できる ※ 規定なし(501Ⅰから当然)

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    保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済

    第三取得者は保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提

  • 35

    ・物上保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済

    第三取得者は物上保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提

  • 36

    501③⑴の図

    物上保証人からの第三取得者EはDに代位できる 債務者からの第三取得者DはEに代位できない

  • 37

    ・(債務者からの)第三取得者が複数→ 1人の第三取得者が代位弁済

    各財産の価格に応じて501Ⅲ2号 ※甲、乙それぞれ別建物をX、Yが取得

  • 38

    ・物上保証人が複数→ 1人の物上保証人が代位弁済

    501Ⅲ2号を準用501Ⅲ3号

  • 39

    ・共同保証人→ 一人の保証人が代位弁済

    465によって取得する求償権の範囲501Ⅱ括弧

  • 40

    ・保証人+物上保証人(物上保証人が単数)→ 保証人or 物上保証人が代位弁済

    ・物上保証人が単数 → その数に応じて501Ⅲ4号=保証人扱い

  • 41

    ・保証人+物上保証人(物上保証人が複数)→ 保証人or 物上保証人が代位弁済

    ・物上保証人が複数 → 保証人部分を除き各財産の価格に応じて501Ⅲ4号

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    Q 保証人が物上保証人を兼ねる場合の処理

    ⑴事例:保証人が物上保証人として不動産を担保に供した場合 ⑵問題の所在:1人 or 2人?保証人or 物上保証人? ⑶判例・通説:単一資格説(判例) → 保証人兼物上保証人1人説(通説)  ∵ 501の趣旨である公平 ​単一資格説​:一人として扱う ​保証人兼物上保証人1人説​:頭数で分割された額まで保証債権または抵当権を代位行使できる

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    3 代物弁済

    ①代物弁済:債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約482 ​⇒ 弁済と同一の効力 = 債権の消滅原因 ②法的性質482:改)  改正前-要物契約(成立=債権消滅) →改正後-諾成契約(成立≠債権消滅) ⑴ 代物弁済の合意 ⇒ 代物弁済契約成立 + 所有権移転(判例)  ∵ 意思主義176 ⑵ 弁済者が給付  ⇒ 債務消滅 ➢ (1)~(2)の間、債務者の負担した給付の請求は妨げられない ∵ 諾成契約=代物給付義務があるだけ。当初の給付の債務は存続している ③要件 ⑴当初の給付の存在 ​→ 欠けた場合、非債弁済705に問擬 ⑵当初の給付に代わる給付についての合意​→ 契約成立に給付は不要 ④効果:弁済と同一の効力482 ⑴弁済の規定を類推適用:担保権消滅・受取証書交付486・債権証書の返還487等 ⑵ 対抗要件:必要 → 所有権は合意時に移転 ​・不動産​:移転登記の完了が必要 ・​動産​:引渡しが必要 ・​債権​:第三者対抗要件の具備が必要

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    4 供託 B

    ①供託:弁済者が債権者のために弁済目的物を供託所に保管させることによって債務を消滅させる制度 ​⇒ 債務の消滅原因494改) ⑴ 例​:受領拒絶 → 債務自体を消滅させるため供託所に保管 → 債務消滅 ⑵ 趣旨​:債務者を債務から解放する → 担保権の拘束・保管義務等 ⑶法的性質​:第三者のためにする寄託契約657 ② (弁済供託の)要件:494改) → 担保保証供託(民訴)・譲渡制限特約付債権譲渡の供託等は別 ⑴ 債権者の受領拒絶:弁済の提供が必要​(例)目的物の受取拒否 ⑵債権者の受領不能:要件なし​(例)債権者不在等 ⑶債権者の確知不能:弁済者の無過失が必要​(例)相続人不確知の場合・債権譲渡の場合等 ➢ 債務の本旨に従った供託が必要 → 一部供託は効力なし + 但し、不足が僅少ならその範囲で有効 ③ 方法:供託者(=弁済者)が被供託者(=債権者)のために供託物を供託所に保管する495改) ⑴ 供託所495Ⅰ・Ⅱ​:履行地の供託所 + 請求により裁判所が選任 ⑵ 供託物​:原則-弁済の目的物 ・ 例外-自助売却金497 ⑶ 自助売却497​:供託物が保存に不適な一定の場合に、裁判所の許可を得て競売しその代金を供託 ​→ 一定の場合​:供託に適さない ・ 価格の低落のおそれがある2号改) ・ 過分の費用等 ⑷供託の通知495Ⅲ​:弁済者は債権者に供託の通知が必要 → 実際は供託官の供託通知書でよい ④ 効果 ⑴ 債権の消滅​:供託物の取戻しを解除条件として供託時に生じる ⑵所有権移転​:供託=供託所 → 債権者に交付=債権者(金銭の場合) ⑶交付請求権​:債権者に発生 ・ 受益の意思表示537Ⅲは不要 ⑷取戻請求権496​:供託者に発生 ・ 受諾前or 有効判決確定前or 質権又は抵当権消滅前 に限定

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    5 相殺 A+

    概要 ①相殺:相互に同種の債権を有する場合にその債権を対等額において消滅させる一方的意思表示 505Ⅰ ・​自働債権:相殺をする際に相殺をする側の債権者の有する債権 ​・受働債権:相殺をする際に相殺される側の債務者の有する債権 ​⇒ 債権の消滅原因 ②趣旨 ⑴簡易弁済機能​:意思表示のみで相互に弁済 ​→ 金銭授受及び時間の節約 = 手続きの簡易化 ⑵公平維持機能​:破産等で一方のみが弁済 ​→ 対等額の債権消滅で公平 = 当事者間の公平 ⑶担保的機能​:貸金の確実な返済ができる ​→ 受働債権につき担保権を有するにも似た地位が付与 例:銀行と預金者。預金者が銀行から借入。預金者に担保がない場合、預金債権(定期預金)(受動債権)が相殺により担保的な機能を持つ ③分類 ​・法定相殺:民法上に定められた一方から相手方に対する一方的な意思表示による相殺 ≒ 相殺 ​・相殺契約:当事者間の契約による相殺 → 法定相殺の制約がない(対等額でなくともできる 等) ④法的性質:単独行為 → 相手方との合意不要 ・​自働債権:一方的意思表示による自動債権の債務者に対する履行の強制 ​・受働債権:自動債権の債務者にとって任意的な履行 (要件) 505 ​・相殺適状​:双方の債権が相殺をするための諸条件を具備している状態505Ⅰ ​・相殺禁止がない​:相殺が禁止される場合505Ⅱ・509・510・511等に該当しない ​・相殺適状 ①債務が対立 ​原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改) ​  ・対抗要件具備時より前に発生した債権による相殺 ​→ 対抗可469Ⅰ   ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権 ・ 請負契約による報酬債権  ​自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 ⑵連帯債務:443Ⅰ ⑶保証債務:463Ⅰ Q 第三者弁済的相殺の可否 ⑴ 事例:物上保証人または抵当不動産の第三取得者が債権者に対し自己の債権をもってする相殺 ⑵問題の所在:第三者は弁済できる → 相殺もできる?しかし債権は対立していない ⑶判例・学説 ・通説(反対説) 結論:相殺できる 理由:正当な利益を有する者 ・判例 結論:相殺できない 理由:要件を満たさない+規定なし ②同種の目的を有する:給付内容が同一 ​〇:金銭債権 ・ 同じ不特定物の引渡債権 ・  ※履行地が異なっていても相殺可能(生じた損害の賠償は必要)507 ​×:金銭債権と物引渡債権 ・異なる物の引渡債権 ※ 相殺は一方的意思表示できるため、価値が同じでもこれらの場合では認められない ③双方の債務が弁済期にある ​自働債権:弁済期到来が必要 ∵ 履行強制の性質 ​受働債権:弁済期到来が不要 ∵ 任意の履行 → 期限の利益の放棄で可能(判例) ​⇒ 自働債権の弁済期到来で足りる 語呂:自分の弁当必要 ④双方の債権が有効に存在する →  × 無効・弁済による消滅・解除による消滅 ⑴508:時効で消滅した債権がその消滅以前に相殺適状 → 債権者はこれを自働債権として相殺可 ​⇒ 両債権が相殺適状にあれば、その後一方が時効消滅しても相殺できる a) 趣旨​:当事者の信頼と公平 b) 判例​:時効で消滅した債権を債権譲渡で取得した場合 → 自働債権として相殺不可 ∵ 趣旨 c) 受働債権​:消滅時効完成 → 債務者は時効の利益を放棄して相殺可 ∵ 任意履行 Q 除斥期間を経過した債権を自働債権とする相殺の可否 ⑴問題の所在:消滅時効と類似 → 508適用? ⑵判例:508適用 → 自働債権として相殺可 ⑶理由:508の趣旨 ⑤債務の性質が相殺を許すもの:同種+現実の履行が債務実現の要件  → × なす債務は相殺できない(例:勉強を教える) ⑥自働債権に相手方の抗弁権がない  ​×:同時履行の抗弁権がある、   保証人の催告・検索の抗弁権がある ​ 〇:受働債権に抗弁権、請負契約で瑕疵修補に代わる損賠請求権と請負代金債権(同時履行) ​・相殺禁止がない ​ ・当事者の意思による相殺禁止​:相殺制限特約505Ⅱ ​ ・法律による相殺禁止​:不法行為による債権509・差押禁止債権510・差押を受けた債権511 ①505Ⅱ:改)当事者が相殺禁止・相殺制限の意思表示(相殺制限特約)をしていない ⑴意思表示あり​:悪意または善意重過失の第三者に対抗可  ⑵改正​:改正前 - 善意者に対抗不可  ・  改正後 - ≒ 債権譲渡制限特約 ② 509:改)不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止 ⑴ 債権 ​・1号:悪意による不法行為に基づく損害賠償債務​(例)傷害・詐欺 ​・2号:生命または身体の侵害による損害賠償債務​(例)交通事故 ⑵趣旨:不法行為の誘発防止 ・被害者への現実の給付 ⑶ 改正:改正前:不法行為に基づけば全面禁止  ・ 改正後:趣旨に沿う場面に限定 ⑷例外:1号・2号の債権者が他人から譲受された → 不適用 ∵ 趣旨 Q 偶然の同一事故により当事者双方が身体侵害による損害賠償請求権を持ち合う場合の相殺の可否 ⑴事例​:たまたまの同一の交通事故で各々が損害賠償債務を負担 ⑵問題の所在​:双方が509の適用 → 紛争の一回的解決 ・ 誘発防止に該当しない? ⑶結論 (判例・通説​)相殺不可 ​∵ 趣旨に合致する ​(裁判例・有力説​):相殺可 ​∵ 趣旨に合致しない 510:差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止 ⑴差押禁止債権:法律により差押えが禁止される債権 ​(例) 生活扶助料等(生保58) ・ 年金(国年24・厚年41) ・ 健康保険給付(健保61) ⑵趣旨:現実の給付 ④511:改)差押を受けた債権を受働債権とする相殺の禁止 ⑴ 差押えと相殺の関係511 Ⅰ ・​差押前に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できる ・​差押後に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できない ⑵ 改正:無制限説(=自働債権と受働債権の弁済期の先後を問わず、相殺を対抗できる)を明文化  ※短答対策で覚えておく。弁済期が受働債権→自働債権の場合、受働債権について債務不履行なのに受働債権の債権者に相殺を認めていいのかという問題があった。判例は従来から無制限説 ⑶差押えと原因の関係511 Ⅱ ​・差押後に取得した債権が差押前の原因に基づいて生じた ​→ 対抗できる ・ただし、この場合でも​第三債務者が差押後に他人の債権を取得したとき ​→ 対抗できない ⑸相殺予約:一定の事由が生じた時は直ちに相殺の効力を生じるとする当事者間の特約 a) 事例:預金担保貸付 - 期限の利益喪失約款を付した相殺予約 → 差押により直ちに相殺適状 b) 判例:当事者間の特約を第三者に対抗できる 方法 ①相殺の方法506Ⅰ:当事者から相手方に対する意思表示 → 自働債権の債務者 ・ 受働債権の譲受者 ➢ 意思表示は取引観念から判断 → 明示でも黙示でも可 ②条件・期限の禁止:条件または期限を付することができない ∵ 単独行為 → 不安定・(遡及効あるので)無意味 効力 ①債権の消滅505Ⅰ:対等額において消滅 ➢ 債務者は債権証書返還請求権を有する ∵ 487類推適用(全部の債権を消滅させる必要あり) ②相殺の遡及効506Ⅱ:相殺適状になった時に遡って効力を生ずる  ∵当事者意思 ​→ 相殺適状後の利息・遅延損害金・違約金等は消滅 + 支払えば703・704等 ※ 重要 Q 相殺適状後に解除があった場合の処理 ⑴ 事例:賃貸借契約が賃料不払いにより解除 → 賃料債権を反対債権によって相殺 ⑵反対債権と反対債務 ​反対債権:互いに対向している債権の一方からみた他方の債権​(例)相殺 ​反対債務:互いに対価的関係にある債務の一方からみた他方の債務​(例)売買 ⑶問題の所在:遡及効 → 解除の効果 ⑷ 判例:解除の効果に影響なし + 賃借人が反対債権に関して善意で相殺の時期を失した場合でも同様 Q 転付債権者からの逆相殺の優劣 本稿添付画像参照 ⑴逆相殺​:債権の譲受人が元から負担していた債権と譲受された債権を相殺(⇔順相殺) ⑵ 事例​:転付命令により取得した債権を元から負担していた債権と相殺する場合 ⑶問題の所在​:B(甲・乙) ・ C(乙・丙)ともに相殺可 → 遡及効?B(甲・乙)で相殺の場合に遡及効を認めるとCは乙をもともと取得しなかったことになるがそれでよいのか? ⑷判例​:先に相殺の意思表示をした方を優先(早い者勝ち) ③相殺の充当512:改) 複数の債権 ⇒ 合意 → 相殺適状の時期の早い順 → 法定充当Ⅱ の順

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    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡①対抗要件具備より前

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・対抗要件具備時より前に発生した債権による相殺 ​→ 対抗可469Ⅰ ※ 図:債務者Bは譲受人Cからの100万の請求に対し、①100万の債権で相殺で対抗可能 ​  

  • 47

    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡②対抗要件具備より後 469Ⅱ⑴

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ ★a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 例)求償権 図:AB間:保証委託契約 趣旨:契約時点での相殺の期待を保護 b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権 ・ 請負契約による報酬債権  ​自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 ​  

  • 48

    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡②対抗要件具備より後 469Ⅱ⑵

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権・ 請負契約による報酬債権(典型的な将来債権) ​・自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​・受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 ★c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 例:図で④求償権を他人から取得した場合 ​  

  • 49

    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡②対抗要件具備より後 469Ⅱ⑵

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 例)求償権 図:AB間:保証委託契約 趣旨:契約時点での相殺の期待を保護 ★b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権 ・ 請負契約による報酬債権 (典型的な将来債権) ​自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 ​  

  • 50

    508の図:時効で消滅した債権がその消滅以前に相殺適状

    508:時効で消滅した債権がその消滅以前に相殺適状 → 債権者はこれを自働債権として相殺可 ​⇒ 両債権が相殺適状にあれば、その後一方が時効消滅しても相殺できる a) 趣旨​:当事者の信頼と公平 b) 判例​:時効で消滅した債権を債権譲渡で取得した場合 → 自働債権として相殺不可 ∵ 趣旨 c) 受働債権​:消滅時効完成 → 債務者は時効の利益を放棄して相殺可 ∵ 任意履行

  • 51

    508 判例​:時効で消滅した債権を債権譲渡で取得した場合 図

    → 自働債権として相殺不可 ∵ 趣旨 

  • 52

    当事者の意思による相殺禁止​:相殺制限特約505Ⅱ 図

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    511:改)差押を受けた債権を受働債権とする相殺の禁止 図

    ⑴ 差押えと相殺の関係Ⅰ ・​差押前に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できる ・​差押後に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できない ⑵ 改正:無制限説(=自働債権と受働債権の弁済期の先後を問わず、相殺を対抗できる)を明文化 ⑶差押えと原因の関係Ⅱ ​差押後に取得した債権が差押前の原因に基づいて生じた ​→ 対抗できる ​第三債務者が差押後に他人の債権を取得したとき ​→ 対抗できない ⑷ 改正:相殺を対抗できる範囲を破産手続開始決定時に合致

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    相殺予約. 事例:預金担保貸付 図

    相殺予約:一定の事由が生じた時は直ちに相殺の効力を生じるとする当事者間の特約 a) 事例:預金担保貸付 - 期限の利益喪失約款を付した相殺予約 (銀行の自働債権は弁済期が到来しておらず相殺できないので相殺予約をつける) → 債権者(銀行)とは別の差押により直ちに相殺適状 b) 判例:当事者間の特約を第三者に対抗できる

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    Q 相殺適状後に解除があった場合の処理

    ⑴ 事例:賃貸借契約が賃料不払いにより解除 → 賃料債権を反対債権によって相殺 ⑵反対債権と反対債務 ・​反対債権:互いに対向している債権の一方からみた他方の債権​  (例)相殺 ・​反対債務:互いに対価的関係にある債務の一方からみた他方の債務​  (例)売買 ⑶問題の所在:遡及効 →解除前に賃料債権はなかったことになり、債務不履行もなかったことになる→解除の効果は? ⑷ 判例:解除の効果に影響なし + 賃借人が反対債権(BのAに対する債権)に関して善意で相殺の時期を失した場合でも同様

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    6 更改 B+短答 7 その他の債権の消滅原因

    6 更改 更改概要 ① 更改513:改)当事者が債務の要素を変更することにより、旧債務を消滅させ新債務を成立させる契約 ②法的性質 ⑴代物弁済(482)に類似:別の対価を給付 ​・代物弁済​:本来の債務は存続 ​→給付により消滅 ​・更改​:本来の債務は消滅 ​→ 新債務が成立 ⑵有因:旧債務・新債務に因果関係 ⇒ ×旧債務が不存在 → ×更改で生じた新債務も不存在 ・ ×新債務が不存在 → 〇旧債務が復活 ⑶ 更改の意思が必要 ③改正 ⑴ 債務の要素を変更:ⅰ給付内容の重要な変更ⅱ債務者の交替ⅲ債権者の交替 に具体化 ⑵更改の意思が必要:欠缺 - 代物弁済 ・免責的債務引受 ・債権譲渡 ⑶条件付債務を無条件債務に・無条件債務に条件付与した場合、更改とみなすという規定は削除 要件 ①消滅すべき旧債務の存在 ​ ⇒ 欠缺 → 更改の効力なし ②新債務の成立  ​⇒ 欠缺 → 旧債務消滅なし ⑴517:改)更改によって生じた債務が、不法原因・当事者の知らない事由により不成立・取消された場合には更新前の旧債務は消滅しないとしていた規定は削除 ⑵ 更改後の新債務に不成立・取消事由があった場合:事案ごとに判断 ③債務の要素の変更 ④当事者:514・515 ⑴重要な変更:債権者と債務者 ⑵債務者交替:改)債権者・更改後債務者間の契約でできる + 更改前債務者への通知で効力発生 ​⇒ 改正:更改前債務者の意思に反しないことは不要 ≒ 免責的債務引受 ⑶債権者交替:改)新旧債権者・債務者の三面契約 + 第三者対抗要件は確定日付のある証書 効果 ① 旧債務の消滅513 ⑴旧債務の担保​:原則、担保権・保証債務・違約金債権等の従たる権利も消滅 ⑵移転518​:改正)旧債務の限度の抵当権・質権 + あらかじめまたは同時に相手方へ意思表示(単独の意思表示) ⑶改正ポイント ​改正前:当事者の合意が必要  ​改正後:単独の意思表示で可 + あらかじめまたは同時(∵付従性) ⑷免責的債務引受との異同 別紙 ②新債務の成立 ➢ 旧債務に付着していた抗弁 ⇒ 新債務者に移転しない ③求償権514Ⅱ:債務者交替による更改後債務者は更改前債務者に対し求償権を取得しない ​⇒ ≒ 免責的債務引受 7 その他の債権の消滅原因 B+ 免除 ①免除519​:債権を無償で消滅させる債権者の一方的意思表示 ②法的特徴​:単独行為 ・ 無償 ・ 債権の放棄 ③要件:債権者の債務者に対する免除の意思表示 ➢ 第三者への免除の意思表示は債権消滅の効果なし ➢ 特別の方式は不要 → 明示・黙示(借用証書の返還等)は不問 ➢ 単独行為だが債務者に不利益でなければ条件を付けてもよい ※例外的なので短答対策でチェック   ④効果:債権消滅 ⇒ 担保権等も消滅 ・ 487類推適用 ➢ 債権に担保権等が設定されている場合は免除できない ∵ 第三者の権利を害することはできない 混同 ①債権の混同520:同一債権について債権者としての地位と債務者としての地位が同一人に帰属 ​(例) 父親から100万円を借りる → 父親死亡により単独相続 ② 要件:同一債権について債権者と債務者が同一 ​⇒ 物権の混同179と区別 ③ 効果:債権消滅 ➢ 債権に担保権等が設定されている場合は消滅しない ∵ 第三者の権利を害することはできない

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    更改と免責的債務引受との異同 図

    図 担保権移転の方法は更改と免責的債務引受で共通

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    第五章 責任財産の保全 A+1総論

    1 責任財産の保全総論 ①責任財産:債務者の総財産-担保権の対象となっている財産-差押禁止財産 = 責任財産 ⑴特徴:強制執行の対象となりうる財産 ⑵差押禁止財産 ​・動産​:生活に欠くことができない衣服・家具等、1カ月分の食料、2か月分の生活費(民執131) ​・債権​:給料等の4分の3 (max33万)(民執152)・公的年金・生活保護給付金等 ​・不動産​:原則、差押可 ②責任財産保全の必要性:前提として財産処分の自由 + しかし金銭債権の効力は責任財産に左右 → 債権者のために責任財産保全の仕組みが必要 ⑴ 責任財産保全の制度​:債権者代位権423以下 + 詐害行為取消権424以下 ⑵概要​:一定の場合に債務者の財産処分の自由を制限 ⑶趣旨​:責任財産を保全することにより強制執行の準備をする ※この趣旨は論文でよく書くので覚える

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    2 債権者代位権

    債権者代位権の概要 ①債権者代位権:債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに債務者に属する権利を行使できる権利 ​⇒ 423 = 債権者代位権 ​(典型例)貸した金を請求しない(=債務者が唯一の責任財産に対する権利行使をしない) ②趣旨:責任財産を保全することによって強制執行の準備をする ③関連用語 ​・代位債権者:債権者代位権を行使する債権者 ​・被代位債権:423の対象となる債務者に属する権利 ​= 被代位権利 ​・被保全債権:423の行使により保全される債権 ​= 代位債権 ​・第三債務者:423の行使により423の相手方となる者 ④債権者代位権の転用:423を債務者の責任財産の保全を目的としないで行使する場合 ​⇒ 実務上、非金銭債権の内容を実現するため認められる 〈債権者代位権の要件〉 ​・被保全債権​:存在、弁済期到来、強制執行可 ​・保全の必要性 ・被代位権利​:存在・一身専属権でない・差押禁止でない・債務者不行使 ①被保全債権 ⑴存在423Ⅰ:債権者が債務者に対して金銭債権を有する ∵ 趣旨 ​⇒ 但し、転用では金銭債権でなくても可 ⑵弁済期到来423Ⅱ:改)被保全債権の弁済期が到来 ∵ 財産処分の自由 → 債務不履行が必要 ​⇒ 但し、保存行為は可(時効の完成猶予など) ・ 改)裁判上の代位による423は弁済期到来前も可 → 削除 ⑶ 強制執行可423Ⅲ:改)被保全債権が強制執行により実現することができる ​(例)× 自然債務(女給の観心目的で将来の金銭の贈与を約束)にかかる債権・不執行合意のある債権 ② 保全の必要性423Ⅰ:改)客観的な保全の必要性 ≒ 債務者無資力(=債務超過・無資力要件) ​⇒ 但し、転用では不要 ③ 被代位権利 ⑴ 存在423Ⅰ:債務者から第三債務者に対して財産権を有する → 金銭債権のみでなくあらゆる権利 ​(例) 物権的請求権 ・ 登記請求権 ・ 形成権(相殺権 ・ 取消権 ・ 解除権) ➢ 〇 債権者代位権を被代位権利とする423の行使 ➢ 〇 時効援用権を被代位権利とする一般債権者・後順位抵当権者による423の行使 ​⇒ 一般債権者・後順位抵当権者は時効援用権者ではないが423により同様の結果を得る ⑵一身専属権でないこと423Ⅰ但 ​(例)× 親族間の扶養請求権877・     × 夫婦間の契約取消権754・     × 認知の請求権または取消権 ➢ 遺留分減殺請求権は被代位権利となるか ​・原則:被代位権利とならない ​・例外:権利行使の確定的意思を外部に表明等の特段の事情があればなりうる (例)第三者に譲渡 ➢ 慰謝料請求権は被代位権利となるか ​原則:被代位権利とならない ​例外:〇 当事者間において金額が客観的に確定 ・ 被害者死亡により承継取得した者が出現 ⑶差押を禁止された権利でないこと423Ⅰ:改)判例法理を明文化 ​∵ 趣旨 → 責任財産ではない ⑷債務者がみずから被代位権利を行使していないこと ​∵趣旨 → 必要性なし 債権者代位権の行使方法 ①代位債権者の地位:自己の名において被代位権利を行使 ⑴代位債権者は債務者の代理人として行使するわけではない(判例) ⑵裁判上でも、裁判外においても行使できる(423は代位債権者が第三債務者ののところに行って423行使するということもできる)(424は裁判上での行使に限定) ②第三債務者への請求:原則、債務者に引渡すことを求める ∵ 責任財産の保全による強制執行の準備という趣旨 例外: ⑴金銭支払または動産引渡423の3:改)代位債権者は求めることができる + 被代位権利消滅 ​(改正のポイント)判例法理の明文化+相殺による事実上の優先弁済機能 ※ 債権者が第三債務者から受ける給付は債務者との関係では不当利得703だが、債権者は被保全債権と703を相殺する(事実上の優先弁済) ⑵移転登記手続請求:代位債権者名義への移転登記を求めることはできない ∵ 債務者拒絶不可(→直接債権者に移す必要なし) ※直接債権者に持ってくることができないケース ③第三債務者の抗弁423の4:改)債務者に対して主張できる抗弁をもって代位債権者に対抗できる Q 代位債権者が94Ⅱ等の善意の第三者に該当する場合の処理 ⑴問題の所在​:被代位権利が94Ⅱ等により無効等 → 94Ⅱ等の善意の第三者に該当しうる ⑵通説​:94Ⅱ等の第三者保護規定に該当すれば善意の第三者として保護 ⑶理由​:94Ⅱの趣旨 ⑷あてはめ ​代位債権者が一般債権者の場合 ​ ⇒ 善意の第三者に該当しない ​代位債権者が差押債権者の場合 ・ 94Ⅰの目的物を第三者が取得 ​⇒ 善意の第三者に該当 債権者代位権の効果 ①基本的効果:被代位権利を代位債権者が債務者に代わって行使 ② 債務者の権限423の5:改)自ら取立その他の処分をすることを妨げられない ⑴第三債務者​:423による弁済の制限なし ⇒ 差押なら債務者への弁済制限 ③改正ポイント​:改正前:423で債務者の処分権限消失(判例) → 改正後:423で債務者の処分権限消失しない∵債務者の地位の安定 ④訴訟告知義務423の6:改)代位債権者が被代位権利にかかる訴えを提起 → 債務者に対し訴訟告知義務 ​⇒ 改正ポイント:債務者の手続保障を図る ⑤ 完成猶予・更新 ​被代位権利:完成猶予・更新が生じる147Ⅰ一号・Ⅱ ​被保全債権:完成猶予・更新は生じない ∵ 行使されているのは被代位権利(通説) ⑥代位行使の範囲423の2 ​・被代位権利が可分 ​⇒ 被保全債権の額の限度においてのみ ​・被代位権利が不可分 ​⇒ 被保全債権の額による限定なし ​(改正ポイント)判例法理の明文化 債権者代位権の転用 ①債権者代位権の転用:423を債務者の責任財産の保全を目的としないで行使する場合 ⑴目的:423の適用場面以外で認める必要性あり ⇒ 判例上認める ⑵要件:下記以外は423と同じ ​被保全債権は金銭債権でなくてもよい ​債務者の無資力要件は不要 ②登記または登録請求権の代位行使423の7:改) ⑴要件 ​代位債権者​:登記等がなければ第三者に対抗できない財産の譲受人 ​債務者​:第三者に対して有する登記等を請求する権利を行使しない譲渡人 ⑵具体例:不動産の登記請求権を行使しない譲渡人 ⑶(改正ポイント)判例法理の明文化 + 423の7以外の転用を否定しない(類推適用) ③423転用が認められた事例 ⑴債権譲渡の通知請求権の代位行使 ・​被保全債権:代位債権者の債権譲渡の通知請求権 ・​被代位権利:債務者の債権譲渡の通知請求権 ​⇒債権譲渡の通知自体は代位行使不可 → × CがAに代わって直接Dに通知 ⑵賃借人による土地所有者の物権的返還請求権の代位行使 ​被保全債権:土地賃借権 ​被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ⑶抵当権者による抵当権設定者の有する物権的返還請求権の代位行使 ​被保全債権:抵当権 ​被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ​⇒ 目的:抵当権による占有屋対策の強化 ⑷相続人による移転登記請求権の代位行使 ​被保全債権:土地代金債権(金銭債権+無資力要件不要) ​被代位権利:移転登記手続請求権 ④転用が認められなかった事例:建物賃借人による建物賃貸人の建物買取請求権の代位行使 ​被保全債権:建物賃借権 ​被代位権利:建物買取請求権 ​⇒ 理由:建物賃借権が保全されない

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    ③第三債務者の抗弁423の4:Q 代位債権者が94Ⅱ等の善意の第三者に該当する場合の処理

    ⑴問題の所在​:被代位権利が94Ⅱ等により無効等 → 94Ⅱ等の善意の第三者に該当しうる ⑵通説​:94Ⅱ等の第三者保護規定に該当すれば善意の第三者として保護 ⑶理由​:94Ⅱの趣旨 ⑷あてはめ ​代位債権者が一般債権者の場合 ​ ⇒ 善意の第三者に該当しない ​代位債権者が差押債権者の場合 ・ 94Ⅰの目的物を第三者が取得 ​⇒ 善意の第三者に該当 図の説明 ・ト🟰登記 ・A からBへ建物を通謀虚偽表示として譲渡し、登記はAのまま

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    423転用が認められた事例⑴債権譲渡の通知請求権の代位行使

    ・​被保全債権:代位債権者の債権譲渡の通知請求権 ・​被代位権利:債務者の債権譲渡の通知請求権 ​⇒債権譲渡の通知自体は代位行使不可 → × CがAに代わって直接Dに通知 できるのはAに対して債務者にBに譲渡したことを通知するよう求めることのみ。 ∵467の趣旨

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    423転用が認められた事例 ⑵賃借人による土地所有者の物権的返還請求権の代位行使

    ・被保全債権:土地賃借権 ​・被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ※賃借権が対抗要件を備えればそれに基づく妨害排除請求と返還請求も可能 (これは債権に基づくもの)

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    423転用が認められた事例 ⑶抵当権者による抵当権設定者の有する物権的返還請求権の代位行使

    被保全債権:抵当権 ​被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ​⇒ 目的:抵当権による占有屋対策の強化 ※抵当権の本質は担保物権を設定者のもとにとどめること

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    423転用が認められた事例 ⑷相続人による移転登記請求権の代位行使

    被保全債権:土地代金債権(金銭債権+無資力要件不要) ​被代位権利:移転登記手続請求権 ※②時点では移転登記も引渡しも代金支払いもなし→533あり(③) ※相続人Cは売買を進めていきたかったが、相続人Dはそうではなく、Bに移転登記できなかった。 ※売買を進めたいCはBが登記請求しないので、代金債権を被保全債権としてBのDに対する登記請求権を代位行使した事案 ※被保全債権が金銭債権だが債務者無資力ではなきてもよいとされた事案であることにも留意。だから423「転用」

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    423転用が認められなかった事例: 建物賃借人による建物賃貸人の建物買取請求権の代位行使

    ​被保全債権:建物賃借権 ​被代位権利:建物買取請求権 ​⇒ 理由:建物賃借権が保全されない ※建物買取請求権は出ていくから金よこせという話

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    3 詐害行為取消権 A+

    詐害行為取消権の概要 ①詐害行為取消権:債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消を債権者が裁判所に請求できる権利 ​⇒ 424 =詐害行為取消権 ​(典型例)債務不履行になると知って財産を贈与(=責任財産を放棄し債権者に損害を与えた) ②趣旨:責任財産を保全することによって強制執行の準備をする ③関連用語 ​取消債権者​:424を行使する債権者 ​被保全債権​:424の行使により保全される債権 ​詐害行為​:債務者が債権者を害することを知ってした行為 = 424の対象 ​受益者​:詐害行為の相手方 ​転得者​:受益者から詐害行為の目的物を取得した者 ④423と424 (趣旨)423と424共通 =責任財産保全による強制執行の準備 (適用場面) 423:債務者が責任財産の減少を放置 424:債務者が責任財産を減少させる (基本的効果) 423:権利を代わって行使 ⇒ 侵害の程度が少ない → 要件緩和 424:詐害行為を取消 ⇒ 侵害の程度が大きい→ 要件厳格 (行使方法) 423:裁判上・裁判外を問わない 424:裁判上の行使が必要(裁判所への請求が必要) (無資力要件) 423:原則必要・例外不要(=転用あり) 424:常に必要(転用なし) (期間制限) 423:なし 424:あり (被保全債権の弁済期到来) 423:必要 424:不要 ⑤424の類型424の2・3・4:改)判例法理の明文化・変更・類型化 ⑴ 424​:一般準則(受益者に対する詐害行為取消) ​⇒ 要件を満たせば ⑵ 424の2​:相当の対価を得てした財産の処分行為の特則 ​⇒ 個別の要件も ⑶ 424の3​:特定の債権者に対する担保の供与等の特則 ​⇒ 個別の要件も ⑷424の4​:過大な代物弁済等の特則 ​⇒ 過大な部分について一般準則 ⑥法的性質424の6Ⅰ:改)詐害行為の取消+逸失財産の返還請求(=折衷説) ​⇒ 形成訴訟 + 給付訴訟 〈詐害行為取消権の各類型と個別的要件〉 ①一般準則の要件424 ​・取消債権者​:被保全債権⇒存在Ⅰ・ 詐害行為の前の原因Ⅲ ・ 強制執行できるⅣ ​・債務者​:詐害行為(客観的要件)+ 詐害意思(主観的要件)+ (無資力) ⇒ 相関的に判断Ⅰ ・​受益者​:悪意Ⅰ ⑴被保全債権の存在:取消債権者が債務者に対して金銭債権を有する ∵趣旨 ➢ 非金銭債権 → 履行不能により金銭債権  ⇒ 被保全債権となりうる ➢ 被保全債権の弁済期の到来         ⇒ 不要(423では要件) ➢ 債務者による物的担保付金銭債権      ⇒ 被担保債権額に及ばない部分のみを被保全債権 ➢ 物上保証人や人的担保付金銭債権      ⇒ 被担保債権全額を被保全債権 ∵ 債務者に求償可 ⑵被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じた:詐害行為時に現実に発生または原因が発生 ➢ 詐害行為前-被保全債権  → 詐害行為後-遅延損害金発生  ⇒ 含む ➢ 前-将来の婚費債権  → 後-支払期日未到来   ⇒ 含む ※調停によつて将来にわたり支払うこととされた婚姻費用分担に関する債権を被保全債権とする詐害行為取消権の成否が問題となった事案 ➢ 前-保証契約  → 後-事後求償権     ⇒ 含む ⑶強制執行により実現することができる:× 不執行合意・自然債務 ➢ 被保全債権が譲渡された場合・準消費貸借の目的とされた場合  ⇒ 424可 ∵ 債権の同一性維持 ⑷債務者の詐害行為(客観的要件):財産権を目的とする債権者を害する行為 a) 行為424Ⅰ:改)〇 法律行為 ・ 〇 準法律行為 ・ × 単なる事実行為 ​(改正ポイント) 一般的解釈の明文化 ※準法律行為:法律効果の発生を目的としない意思の通知や観念の通知のこと(催告、代理権授与等) Q 対抗要件具備行為が取消の対象となるか ⑴事例:BがCに土地を譲渡 → AのBに対し債権の発生原因を生じる → BがCに移転登記 ⑵問題の所在:対抗要件具備行為のみを対象として424できるか + 改正 ⑶判例:ならない ⑷理由:譲渡行為自体が詐害行為とならない + 改正後も同様 b) 財産権を目的とする424Ⅱ:責任財産の減少を伴う → 家族法上の行為が問題 ​〇:売買・贈与・免除・相殺・遺産分割(∵ 相続財産の帰属を確定させる) ※遺産分割は対象となるのがポイント ​×:日常生活上の売買・婚姻・離婚・養子縁組(∵ 強制できない)・相続の放棄または承認 Q 離婚に伴う財産分与768・慰謝料に対する424の可否 ⑴問題の所在:財産分与・慰謝料請求に仮託して詐害行為を行う場合 ⑵判例 ​原則:認められない ​例外:不相当に過大かつ財産分与等に仮託して詐害行為 → 不相当に過大な部分について取消 c) 債権者を害する:責任財産減少 → 弁済に支障をきたすおそれ ≒ 債務者の無資力 ​・無資力 = 債務超過(積極財産 - 消極財産=マイナス ≠ 0) ​無資力の状態​:債務超過の状態 or 債務者の行為の結果、債務超過の状態に陥る ​無資力の判断時​:事実審の口頭弁論終結時 ⑸債務者の詐害意思(主観的要件):債権者を害することを知って行為をした ⇒ 詐害行為と相関的に判断 ​詐害性が強い(客観的要件):悪意(主観的要件)で足りる ​詐害性が普通(客観的要件):害意(主観的要件)があればよい ​詐害性が弱い(客観的要件):通謀(主観的要件)が必要 ⑹受益者の悪意:受益者が詐害行為時に知っていた⇒証明責任は受益者 ②相当な対価で処分した場合424の2:改) ​・原則:責任財産は減少しない ​⇒ 詐害行為性否定 ・​例外:責任財産が減少する可能性がある ​⇒ 詐害行為性肯定​ (例)不動産を現金化 〈要件〉 ⑴(債務者)財産の種類変更による隠匿等の処分のおそれ​:= 客観的要件 ⑵(債務者)隠匿等の処分をする意志​:= 主観的要件 ⑶(受益者)債務者の詐害意思と隠匿等の処分をする意志を知っていた ⇒ 証明責任は取消債権者 ③特定の債権者に対する担保の供与等の場合424の3:改) ​原則:全体として責任財産は減少しない​⇒ 詐害行為性否定 ​例外:他の債権者の比率が低下+債権者平等の要請​⇒ 詐害行為性肯定  (例)債権者Cのみ弁済 ​(改正ポイント)偏頗行為(へんぱ行為)(=特定の債権者を利する行為)に関する破産法の規定に合致 ​・原則形態424の3Ⅰ 〈要件〉 ⑴(債務者)支払不能:客観的要件 ​⇒ 支払不能=支払能力を欠くため弁済期にある債務につき一般的かつ継続的に弁済できない ​(例)田舎の地主が借金→土地の価値は1億あるが書い手がいない:×債務超過・〇支払不能       医学生の奨学金→今は金がないが後でたくさん稼ぐ:〇債務超過・×支払不能 ⑵(債務者)通謀的害意:主観的要件 ⑶(受益者)通謀的害意 ​・非義務行為の場合の例外424の3Ⅱ 〈要件〉 ⑴(債務者)支払不能になる前30日以内の非義務行為:客観的要件 ​⇒ 非義務行為:債務者の義務に属せずまたはその時期が債務者の義務に属しない行為 ​(例)担保供与行為・ 期限前弁済 ⑵(債務者)通謀的害意:主観的要件 ⑶(受益者)通謀的害意 ④過大な代物弁済等の場合424の4:改) ​・代物弁済​:424の3Ⅰに該当しうる(非義務行為(424の3Ⅱの場合)には該当しない)  ∵ 方法のみが義務に属しないため ・​過大な代物弁済​:受益者への給付額 > 消滅した債務の額 ⇒ 過大部分-424の4 ・ 非過大部分424の3 〈要件〉 ⑴(債務者)債務の消滅に関する行為で給付が過大であるもの​:客観的要件 ⑵(債務者)害意424の4​:主観的要件 ⑶(受益者)悪意424の4​⇒ 証明責任は受益者 ⑤ 転得者に対する詐害行為取消権424の5:改) ⑴受益者に対して詐害行為取消権の行使ができる ⑵ (転得者)悪意 ​・受益者からの転得者​:転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていた ・​他の転得者からの転得者​:全転得者が各転得当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていた ​⇒ 受益者の悪意についての悪意(二重の悪意)は不要 ⑥期間制限426:改) ​・「債務者が債権者を害することを知って行為をした事実」を知った時から2年(出訴期間) ・​「行為の時」から10年(出訴期間) ​(改正ポイント) ・(​改正前)時効 ・「取消の原因」を知った時 ​→(改正後)出訴期間・「債務者が債権者を害することを知って行為をした事実」を知った時 ※単に行為があったことを知った時からではなく、それが債権者を害すると知った時から2年 ​・(改正前)除斥期間・20年​→(改正後)出訴期間・10年 詐害行為取消権の行使方法 ①詐害行為取消請求424Ⅰ:取消債権者が裁判所に対して行う請求 ⇒ 訴えによってのみ行使できる ② 請求の内容424の6:改)債務者がした行為の取消 + 逸出した財産の返還(現物返還) ​⇒ 現物返還が困難 → 価額償還請求ができる Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 ⑴前提​:詐害行為取消の範囲は抵当不動産の価額から被担保債権額を控除した部分に限られる ⑵問題の所在​:抵当権設定登記が抹消された場合の現物返還 ⑶ 判例1(S54)​:抵当権設定登記が受益者、転得者の下で維持 → 現物返還可能 ∴ 全体を取消 ​(例)抵当権負担付の売買・譲渡担保 ∵ 逸出した財産自体の回復が可能 ⑷判例2(S36)​:抵当権設定登記が受益者等の下で抹消 → 現物返還困難 ∴ 価額償還 ​(例)代物弁済により抹消登記 ∵ 抵当権負担のない不動産返還により責任財産増大 Q 価額償還の算定基準時 →判例​:詐害行為取消訴訟における事実審の口頭弁論終結時 ③ 詐害取消請求の相手方424の7Ⅰ:改)判例法理の明文化 ​・受益者に対する詐害取消請求:受益者を被告 ・​転得者に対する詐害取消請求:転得者を被告 ​⇒ 債務者は詐害取消請求の相手方とならない ④訴訟告知義務424の7Ⅱ:改)取消債権者は債務者に対し訴訟告知をしなければならない ⑴ 趣旨​:債務者に訴訟に関与する機会を与える ⑵改正ポイント​: 425(424の効果が債務者にも及ぶ)の改正に伴い規定 ⑤詐害行為の取消の範囲424の8:改)判例法理の明文化 ​詐害行為の目的が可分 ​→ 自己の債権額の限度 ​(例)金銭 ​詐害行為の目的が不可分 ​→ 詐害行為全体​(例)不動産 ⑥取消債権者への引渡424の9:改)判例法理の明文化 ⑴ 基本:取消債権者は受益者または転得者に対し債務者への返還を請求 ∵ 424の趣旨 ⑵ 金銭支払または動産引渡:取消債権者に対してすることを求めることができる + 価額償還も同様 ​→ 受益者・転得者は債務者への引渡義務を免れる ∵ 相殺 = 424の事実上の債権回収機能 Q 不動産の抹消登記または移転登記手続請求 ⑴問題の所在: ⅰ回復手段として抹消・移転登記できるか ⅱ債権者への移転登記はできるか ⑵判例 ​・肯定:受益者または転得者への移転登記の抹消登記 ・ 受益者または転得者から債務者への移転登記 ​・否定:取消債権者名義への移転登記 ⑶ 理由:債務者が拒否することができない → 目的達成できる Q 不動産が二重譲渡された場合の424の行使の処理 ⑴事例:BからAに土地売買・A登記未了 → BからCに土地売買・C登記 → 424の2要件あり ⑵問題の所在 ​被保全債権​:土地引渡債権 → 金銭債権ではない ​詐害行為​:土地売買契約 → 取消の可否(177の趣旨)及び効力(誰が名義人) ​登記請求​:取消債権者による新たな移転登記請求 ⑶判例 a) 被保全債権:金銭債権が要件 → 債務不履行により金銭債権に転化すれば被保全債権となる b) 詐害行為 ​取消の可否​:できる ∵ 無資力等の要件が必要 ​効力​:抹消登記又は移転登記によりBに土地名義を戻す + Aに移転登記不可 c) 登記請求:取消債権者は新たな移転登記を求めることができない  ∵ 177の趣旨 ⑷ 結論:Aは金銭債権者として土地について強制執行(Aは土地を手に入れることはできない) 詐害行為取消の効果 ①認容する確定判決の効力425:改)債務者及びそのすべての債権者に対してもその効力を有する ⑴ 改正ポイント:(改正前)相対的取消 + 不整合な場面 ⑵すべての債権者:債権者は前後関係不問 ​⇒ 転得者の前者には及ばない ②相手方の地位 ⑴受益者 ​・反対給付425の2:改)債務者に対し返還請求・困難な場合価額償還請求できる ​・消滅債権425の3:改)給付の返還または価額を償還したとき、原状に復する ⑵転得者 ​・反対給付425の4一:改)受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権または価額償還請求権を行使 ​・消滅債権425の4二:改)425の3の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権を行使 ​⇒ 前者から財産を取得するためにした反対給付又は消滅した債権の価額を限度 ∵ 転得者保護

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    Q 対抗要件具備行為が取消の対象となるか

    ⑴事例:BがCに土地を譲渡 → AのBに対し債権の発生原因を生じる → BがCに移転登記 ⑵問題の所在:対抗要件具備行為のみを対象として424できるか + 改正 ⑶判例:ならない ⑷理由:譲渡行為自体が詐害行為とならない(詐害行為前に被保全債権が生じるという要件を満たさない) + 改正後も同様

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    請求の内容424の6:Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 S54判例 図

    請求の内容424の6:改)債務者がした行為の取消 + 逸出した財産の返還(現物返還)​⇒ 現物返還が困難 → 価額償還請求ができる Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 ⑴前提​:詐害行為取消の範囲は抵当不動産の価額から被担保債権額を控除した部分に限られる ⑵問題の所在​:抵当権設定登記が抹消された場合の現物返還 ⑶ ★判例1(S54)​:抵当権設定登記が受益者、転得者の下で維持 → 現物返還可能 ∴ 全体を取消 ​(例)抵当権負担付の売買・譲渡担保 ∵ 逸出した財産自体の回復が可能 ⑷判例2(S36)​:抵当権設定登記が受益者等の下で抹消 → 現物返還困難 ∴ 価額償還 ​(例)代物弁済により抹消登記 ∵ 抵当権負担のない不動産返還により責任財産増大

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    請求の内容424の6:Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 S36判例 図

    請求の内容424の6:改)債務者がした行為の取消 + 逸出した財産の返還(現物返還)​⇒ 現物返還が困難 → 価額償還請求ができる Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 ⑴前提​:詐害行為取消の範囲は抵当不動産の価額から被担保債権額を控除した部分に限られる ⑵問題の所在​:抵当権設定登記が抹消された場合の現物返還 ⑶ 判例1(S54)​:抵当権設定登記が受益者、転得者の下で維持 → 現物返還可能 ∴ 全体を取消 ​(例)抵当権負担付の売買・譲渡担保 ∵ 逸出した財産自体の回復が可能 ⑷★判例2(S36)​:抵当権設定登記が受益者等の下で抹消 → 現物返還困難 ∴ 価額償還 →AはCに4,000万円請求できる ​(例)代物弁済により抹消登記  ∵ 抵当権負担のない不動産返還により責任財産増大

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    詐害行為の取消の範囲424の8 図

    ​詐害行為の目的が可分 ​→ 自己の債権額の限度 ​(例)金銭 ​詐害行為の目的が不可分 ​→ 詐害行為全体​(例)不動産

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    詐害行為取消の効果-相手方の地位-転得者 消滅債権425の4二 図

    転得者 ​・反対給付425の4一:改)受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権または価額償還請求権を行使 ​・★消滅債権425の4二:改)425の3の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権を行使 ​⇒ 前者から財産を取得するためにした反対給付又は消滅した債権の価額を限度 ∵ 転得者保護

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    第六章 多数当事者 1総論 2分割債権・分割債務

    1 多数当事者総論 ① 多数当事者(の債権関係):同一の給付について2人以上の債権者または債務者のある場合 ​・分割債権 ・分割債務​:複数の人が分割して金を払え ​・不可分債権・不可分債務​:複数の人が分割できない車を渡せ ・​連帯債権 ・連帯債務​:複数の人が分割して金を払え + 1人払えば終わり ・​保証債務​:保証人が払え ​⇒ 債権債務の共有関係 ②問題となる場面 ⑴対外的効力:債権者・債務者の関係 ⑵1人について生じた事由の効力 ・​絶対効:他の債権者・債務者にも及ぶ場合   = 絶対的効力 ・​相対効:他の債権者・債務者には及ばない場合 = 相対的効力 ⑶求償関係:債務者が他の債務者に求償できるか 2 分割債権・分割債務 B+ ①分割債権債務:可分給付を目的として分割される債権(分割債権)及び債務(分割債務) ⑴ 可分給付​:分割することが可能な給付 ​(例)金銭の給付・土地の給付 (試験に出るのは金か土地) ⑵分割債権債務関係​:分割債権・分割債務の場合の当事者の関係 ​⇒ 複数の側を基準 ⑶ 分割主義427:可分給付 + 複数の債権者又は債務者 → 等しい割合に分割 ​⇒ 民法の原則 ∵ 個人主義 ②要件 ⑴分割債権:可分給付 + 複数の債権者 + 同一の給付 但し、制限あり(判例) ​〇 共同相続された金銭債権・第三者による共有物に対する不法行為の損賠請求権・共同で金銭貸付 ​× 共同相続された預貯金債権 ∵ 確定しない(引き落としなどがあるため)・共同相続された定期貯金債権 ∵ 簡素化に反する ⑵ 分割債務:可分給付 + 複数の債務者 + 同一の給付 但し、制限あり(判) ​〇 共同相続された金銭債務・共同で買い受けた物の代金債務 ​× 賃借権を共同相続した場合の賃料債務 ∵ 不可分債務 ③効果:特約なき限り、平等に分割(別個独立) ⑴対外的効力 ​各債権者:自己の債権のみ単独で行使 ​各債務者:自己の債務のみ弁済 ​⇒ 双務契約から発生した場合、全部の履行がないと533可 +解除権の不可分あり(全員から/全員に対してでないと解除できない) ⑵1人に生じた事由の効力​:全て相対効 ⑶求償関係​:平等(生じない)

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    分割債権債務の典型の図

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    3 不可分債権・不可分債務 B+

    ①不可分債権債務:不可分給付を目的とする債権(不可分債権)及び債務(不可分債務) ⑴不可分給付​:分割することが不可能な給付 ​(例)建物引渡請求権・自動車引渡債務 ⑵不可分債権債務関係​:不可分債権・不可分債務の場合の当事者の関係 ​⇒ 複数の側を基準 ⑶性質431:本来、分割債権債務だが性質上制約 → 可分に変じれば分割債権債務 ・ 相対効が主 ②要件 ⑴不可分債権428:改)性質上不可分 + 数人の債権者 + 同一の給付 ​〇 共有者の第三者に対する共有物引渡請求権・複数貸主による家屋明渡請求権 ​× 金銭債権を特約で不可分債権とした場合 ⑵ 不可分債務430:改)性質上不可分 + 数人の債務者 + 同一の給付 ​〇 共同賃借人の賃料支払債務+賃貸終了後の目的物返還義務・共同相続人の所有権移転登記協力義務 ​× 金銭債務を特約で不可分債務とした場合 ③ 効果 ⑴対外的効力 ​・不可分債権428・432:各債権者は自己の名で全部の履行請求できる ​・不可分債務430・436:債権者は1人または全ての者に同時・順次に、全部または一部の履行請求をできる ⑵ 1人について生じた事由の効力 写真 ​⇒ 履行・相殺を除き相対的効力の原則が妥当・連帯債権債務の規定を準用 ⑶ 求償関係:負担部分に応じた求償あり429・430・442以下

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    4 連帯債権・連帯債務 A+

    連帯債権 ① 連帯債権:同一の可分給付で法令の規定または当事者の意思表示によって複数が連帯して有する債権 ⑴特徴432:改)各債権者は独立して全部の履行請求可 + 債務者の履行で全債権者の債権消滅 ⑵他の多数当事者の債権との相違 ​ 分割債権  - 可分給付の原則    ​連帯債権  - 可分給付の例外  ​不可分債権 - 性質上不可分      ​連帯債権  - 性質上可分 ② 要件:性質上可分 + 当事者の意思表示 or 法令の規定(106Ⅱ・613Ⅰ等) ③効果 ⑴対外的効力:432 ​・各債権者​:全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求できる ・​債務者​:全ての債権者のために各債権者に対して履行できる ⑵1人について生じた事由の効力 ​相対的効力の原則​:原則、相対効。但し、別段の意思表示があればそれに従う(任意規定) ​・絶対的効力事由​:履行・履行の請求・更改・免除・相殺・混同 ※不可分債権と異なり絶対効になる更改、免除、混同を抑えること a) 相対的効力の原則​:435の2 → 任意規定 + 更改・免除・相殺・混同は例外 b) 履行・履行の請求​432: (例)裁判上の請求・裁判外の請求等 → 全債権者に完成猶予・更新 c) 更改・免除​:持分割合型絶対的効力 ​・連帯債権433​:失わなければ分与されるべき利益について請求できない ​⇒ 絶対効 (例)A,B,CがDに対して持つ300万円の金銭債権のうち,Aが免除をしたとき,Bは,連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分(100万円)については履行を請求することができず、200万円だけ請求できる ​・不可分債権429​:不可分債権全体につき請求できる + 分与されるべき利益は償還 ​⇒ 相対効 ※更改、免除は債権が消滅する点で共通 d) 相殺434:改)絶対的効力    ∵受働債権の債権者の無資力の危険は他の連帯債権者が負担 (例)債務者Dが,連帯債権者の一人Bに対して100万円の金銭債権を有する場合,Dが相殺を援用したときは,その相殺は,他の連帯債権者に対しても,効力を生じる。つまり,100万円分は返済したといえる e) 混同435:改)絶対的効力 ⑶求償関係:他の債権者の利益部分に応じて分与あり + 合意なき限り割合は平等 連帯債務 ①連帯債務436:同一の可分給付で法令の規定または当事者の意思表示によって複数が連帯して有する債務 ​⇒ 各自が全部給付義務を負う債務(≒連帯債権の債務版)・複数の側を基準 ②性質:債務者の数に応じた数個の「独立した」債務   →連帯債務関係で束ねる [独立した債務であることから導かれる性質] ⑴ 不等額連帯​:債権額・期限・条件・利息の有無及び利率が異なってもよい ⑵437​:一人についての債務が無効・取消 → 他の債務に影響なし ⑶担保​:一人についての債務にのみ成立する(保証債務・物的担保) ⑷債権譲渡​:一人についての債務のみ譲渡することができる → 連帯債務関係維持・債務者毎に対抗要件必要 ③要件:性質上可分 + 当事者の意思表示 or 法令の規定(719(共同不法行為)・761(夫婦間の日常家事の債務 等) ※ 性質上可分=金銭のように分割できるということ ④効果 ⑴対外的効力436 ​連帯債務者1人​:一部または全部 ​連帯債務者全員​:同時に全部または一部 ・順次に全部または一部 ※ABCが連帯債務者なら、ABC全員に対して全額払え、一部払え等言える ​⇒ 弁済の確実性が強化 + 二重起訴・既判力に抵触せず他の連帯債務者・確定判決後の提訴可 ⑵1人について生じた事由の効力 写真 a) 相対的効力の原則441:原則、相対効 但し、別段の意思表示(合意) b) 履行の請求:改)相対効 ∵ 債務者複数+不利益大 ​⇒ 請求により他の連帯債務者も完成猶予・更新・付遅滞 にするには各連帯債務者との特約が必要 ※ 特約は当事者でのみ効力あり+当事者以外に不利な場合は不可 c) 更改438:絶対効 ・​旧債務の消滅:絶対効 ・​新債務の成立:相対効 d) 相殺439:改)履行拒絶権構成 ​Ⅰ:援用による相殺 ​→ 絶対効 ​Ⅱ:援用しない間 ​→ 負担部分の限度において履行拒絶 ​(改正ポイント) 改正前:相殺権限説→改正後:抗弁権説    ∵ 財産権に対する過剰な介入 e) 免除:改)相対効 ​(改正ポイント) 改正前:絶対効→改正後:相対効  ∵ 通常他の連帯債務者へ免除の意思なし ⑶求償関係:負担部分に応じた求償あり442 ⑤求償関係 ⑴求償権:連帯債務者の一人が共同の免責を得た時支出した財産のうち負担部分に応じた額を請求できる権利 a) 条文​:442 →不可分債務等に準用 b) 趣旨​:連帯債務者の公平の実現 c) 負担部分​:各自が分担する割合 ​⇒ 特約 → 連帯債務の負担によって受ける利益の割合 →平等(判例) ※ Aが200万、BCが50万ずつなら、分担する割合はA:B:C=4:1:1 ⑵求償権の成立要件442:改)→判例法理の明文化 ​・共同の免責:自己の負担部分を超えることは不要 ​・自己の出捐(しゅつえん=支出):額が共同の免責を得た額を超える場合はその免責を得た額 ※ 代物弁済などで払い過ぎた場合の話 ⑶求償権の制限443:改)共同の免責を得る場合に事前または事後の通知が必要 → 怠れば求償権制限 ⅰ 事前通知 〈要件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得る前に通知なし ・他の連帯債務者が対抗できる事由を有する 〈制限内容〉 ・負担部分についてその事由を対抗できる ・相殺なら債権者に消滅すべき債務の履行請求可 ⅱ 事後通知 〈要件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得た後に通知なし ・他の連帯債務者が善意で免責を得る行為 〈制限内容〉 ・他の連帯債務者の免責を得る行為が有効 (怠った連帯債務者のみ=相対的効果説) ​・(改正ポイント) 改正前:履行請求を受けていたことが求償権制限の要件だった → 改正後:共同の免責を得る・他の連帯債務者の存在につき悪意 Q 第一弁済者が事後通知のみを怠り、第二弁済者が事前通知のみを怠った場合の処理 ⑴問題の所在​:事後通知なし ∴ 第二弁済有効  ・  事前弁済なし ∴ 第一弁済対抗可? ⑵ 判例​:第一弁済を有効 ⑶理由​:443Ⅱは443Ⅰを前提 ⑷求償権の拡張444:償還無資力者がある場合はそれ以外の者の負担部分に応じて負担 ・不真正連帯債務:各債務者に密接な関係がなく一人に生じた事由が当然には他に影響を及ぼさない連帯債務 ⑴例(判例)​:共同不法行為者の賠償債務719・使用者責任における使用者と被用者の賠償債務715 ⑵ 特徴​:弁済以外の絶対効の規定不適用 ・ 連帯債務に基づく求償は認められない(求償自体はできる) ⑶ 判例​:求償は過失割合による ・ 個別的解釈も検討

  • 76

    更改・免除​:持分割合型絶対的効力の図

    ​・連帯債権433​:失わなければ分与されるべき利益について請求できない ​⇒ 絶対効 ​・不可分債権429​:不可分債権全体につき請求できる + 分与されるべき利益は償還 ​⇒ 相対効 ※更改、免除は債権が消滅する点で共通 図:左=連帯債権 右=不可分債権

  • 77

    連帯債権 混同435 の図

    改)絶対的効力

  • 78

    連帯債権、連帯債務:1人について生じた事由の効力 図

    図 ※連帯債権と連帯債務で異なるところが試験上重要

  • 79

    求償権の成立要件442 図

    求償権の成立要件442:改)→判例法理の明文化 ​・共同の免責:自己の負担部分を超えることは不要 ​・自己の出捐(しゅつえん=支出):額が共同の免責を得た額を超える場合はその免責を得た額

  • 80

    求償権の制限443 図 事前通知 弁済の場合

    ※図:Aは債権者に100万円の不当利得返還請求が可能 求償権の制限443:改)共同の免責を得る場合に事前または事後の通知が必要 → 怠れば求償権制限 ⅰ 事前通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得る前に通知なし ・他の連帯債務者が対抗できる事由を有する 〈制限内容〉 ・負担部分についてその事由を対抗できる ・相殺なら債権者に消滅すべき債務の履行請求可 ⅱ 事後通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得た後に通知なし ・他の連帯債務者が善意で免責を得る行為

  • 81

    求償権の制限443 図 事前通知 相殺の場合

    ※図:AはBの反対債権を使って債権者に300万円を請求できる 求償権の制限443:改)共同の免責を得る場合に事前または事後の通知が必要 → 怠れば求償権制限 ⅰ 事前通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得る前に通知なし ・他の連帯債務者が対抗できる事由を有する 〈制限内容〉 ・負担部分についてその事由を対抗できる ・相殺なら債権者に消滅すべき債務の履行請求可 ⅱ 事後通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得た後に通知なし ・他の連帯債務者が善意で免責を得る行為

  • 82

    5 保証債務 A+

    保証債務の概要 ①保証債務​:債務者がその債務を履行しないときに、保証人がその履行をする責任を負う債務446Ⅰ ②特徴​:人的担保の典型 → 保証人の一般財産を担保  = 担保力の変動が大きい ​⇒ 連帯保証と区別、実務上はほぼ連帯保証 ③基本用語 ⑴主債務​:保証債務によって保証を受ける債務 = 主たる債務 ⑵主債務者​:主債務の債務者 ⑶保証人​:保証債務の債務者 ④保証債務の性質 ⑴別個独立性:主たる債務と保証債務は別個の債務(=独立債務性) ​⇒ 保証債務は、債権者と保証人間の契約 + 主たる債務とは別の消滅原因等がありうる ⑵ 同一内容性:別個の独立した債務だが、給付内容自体は主債務と同じ内容 ​⇒ 主債務が債務不履行による損害賠償 → 保証債務も同様 ⑶付従性:主債務の存在を前提として、主債務に従う a) 成立に関する付従性:主債務が成立しなければ保証債務も成立しない(449は例外) b) 消滅に関する付従性:主債務が消滅すると保証債務も消滅する c) 内容に関する付従性:〇 主債務≧保証債務 ・ × 主債務<保証債務 •​448Ⅰ:主債務<保証債務 → 保証債務は主債務の限度に減縮 •​448Ⅱ:改)主債務の目的または態様が締結後に加重 → 保証人の負担は加重されない •​447Ⅱ:保証人は保証債務について違約金や損害賠償額を約定できる  →主債務よりも重くなり448Ⅰに反しているようにも思えるがそうとはならない ⑷随伴性:主債務についての債権譲渡があると保証債務も伴って移転する ​⇒ × 主債務のみまたは保証債務のみの債権譲渡 ➢ 対抗要件は必要 + 保証人への通知又は承諾は対抗要件とならない ⑸ 補充性:保証人は主債務者が債務を履行しない場合にはじめて自己の債務を履行する責任を負う446Ⅰ ​⇒ 催告の抗弁権 ・ 検索の抗弁権あり → ※連帯保証人にはない 保証債務の成立要件 ①保証契約 ⑴当事者:保証人と債権者 → 主債務者と保証人の委託は成立要件ではない・債務者の意思に反しても可、但し求償権に差 ⑵性質:諾成契約 ・ 要式行為446Ⅱ改) → 電磁的記録も可446Ⅲ ②保証人の資格450:原則、制限なし → 債務者が保証人を立てる義務を負う場合、行為能力・資力 ③ 主債務 ​原則​:主債務の存在が必要 ​例外449​:契約時、行為能力制限による取消原因につき悪意 → 主債務の負担する意志と推定 保証債務の内容 ①保証債務の範囲:主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償その他その債務に従たるすべて447Ⅰ ​⇒ 保証債務にのみ、違約金 ・ 損害賠償 ・ 担保物権 ・ 保証人(=副保証)もできる ②原状回復義務 ⑴契約解除(∵債務不履行):特に反対の意思表示のない限り、保証人は保証の責任を負う(判例) ​⇒ 理由:保証人は通常主たる債務者の契約上の一切の債務を担保する意志を有する ⑵合意解除:保証人が当然に保証の責めに任ずるものではない(判例) ​⇒理由:保証人に過大な責任のおそれ ⑶ 無効・取消:保証人は原状回復義務を負わない(判例) ​⇒ 理由:保証人の意思に反する + 債権者が負うべき危険を保証人に転嫁 保証債務の効力 ①対外的効力:別個独立の債務 + 保証人の抗弁権がある ⑴補充性に基づく抗弁権 ​・催告の抗弁権452:履行を請求する債権者に、先に主債務者に対して催告すべき旨を請求できる権利 ​・検索の抗弁権453:主債務者に執行が容易な弁済する資力があると証明 → 先に主債務者に執行 ➢ 弁済の資力:〇 債務の一部 ※主債務100万円、主債務者は50万円支持でも、弁済の資力ありと判断する ➢ 執行が容易:〇 不動産・× 外国資産 a) 債権者の懈怠の効果455:債権者が直ちに催告・執行をすれば弁済を得ることができた限度で義務を免れる b) 連帯保証の場合の特則:連帯保証は補充性なし → 催告の抗弁権+検索の抗弁権なし ⑵付従性に基づく抗弁権 a) 主債務者の有する抗弁一般457Ⅱ:改)保証人は主債務者の有する抗弁一般を債権者に対抗できる (改正ポイン)改正前-相殺 → 改正後-抗弁一般(債務不存在・533・時効等) b) 主債務者の有する相殺権・取消権・解除権457Ⅲ:履行拒絶の抗弁権構成 ※ 相殺権、取消権、解雇権はあるがまだ行使はしていない段階の話 ​(改正ポイント)改正前-抗弁権説と処分権説(保証人が権利行使できるとする説)が対立 → 改正後-処分権説を否定 ② 1人について生じた事由の効力:別個独立性 → 主債務者又は保証人に生じた事由の効力 ⑴ 主債務者に生じた事由の効力:付従性から保証人にも効力 ・​主債務の消滅 ​→ 保証債務も消滅 ・​主債務の完成猶予・更新 ​→ 保証債務も完成猶予・更新 ​・主債務の債権譲渡 ​→ 保証債務も伴って移転 ⑵ 保証人に生じた事由の効力:債務を消滅させるものを除き、原則として主債務に影響を及ぼさない ・​債務を弁済・代物弁済・供託・相殺 ​→ 主債務も消滅 ・​保証人が保証債務を承認 ​→ 保証債務の時効は更新 ・ 主債務の時効は更新しない ・​保証人に対し債権譲渡を通知 ​→ 主債務者に通知したことにはならない 求償関係 ① 保証債務の求償関係概要 ⑴ 求償権の存否 ・​主債務者が弁済 ​→ 求償の問題は生じない ・​保証人が弁済 ​→ 主債務者に対する求償権が認められる ⑵ 求償権 ・​委託を受けた保証人の求償権​:本来、委任事務処理の償還請求649 → 特別規定459~464適用 ・​委託を受けない保証人の求償権​:本来、事務管理費用の償還請求702 → 特別規定459~464適用 ⑶ 物上保証人の求償:保証人の求償の規定を準用351・372 ② 委託を受けた保証人の求償権:事後求償権 + 事前求償権 ⑴ 事後求償権459Ⅰ:改)原則、債務を消滅させた後に求償権を行使 a) 要件:債務消滅行為 - 〇 弁済・代物弁済・供託・更改・相殺等  × 免除 ∵ not自己の財産 b) 範囲:実際の支出額(消滅した主債務の額を上限) c) 利息:債務消滅行為後の法定利息及び費用等も求償可(連帯債務も同様)459Ⅱ・442Ⅱ ⑵ 弁済期前に弁済等をした場合の事後求償権:改)459の2 ​・主債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する ・​主債務者が相殺を主張 → 保証人は債権者にその相殺によって消滅すべき債権の履行を請求可 a) 改正ポイント:期限前弁済が保証の趣旨に反する → 債権者の無資力のリスクを保証人に負わせる b) 利息等:弁済等から弁済期までの利息等は求償不可459の2Ⅱ ⑶事前求償権460:改)一定の場合に可 ・​一号:主債務者が破産手続開始かつ債権者が破産財団に加入しない → 保証人は破産財団に加入可 ​・二号:債務が弁済期にある + 主債務者の期限が猶予されても可 ​・三号:保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の判決の言渡しを受けた(判決が確定したということ) ​・(改正ポイント)改正前は三号は事後求償権 ・ 弁済期と最長期が不確定で10年経過 → 削除 Q 委託を受けて抵当権を設定した物上保証人に事前求償権が認められるか ⑴ 問題の所在:物上保証人の求償は保証人の規定を準用351・372 → 事前求償権はどうなる ⑵ 判例:債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできない ⑶ 理由:根拠規定なし ・物権設定行為の委任(委任事務処理とは異なる) ・実行まで求償権の存否及び範囲が確定できない(実際に競売にかけないと売れるか、売れたとしていくらになるかわからない) ※理由3つは書けるように Q 事後求償権との関係 ⑴別個の権利 → 事前求償権を取得しても事後求償権の消滅時効は債務消滅した時から進行(判例) ⑵事前求償権は事後求償権確保のための権利 → 事前求償権を被保全債権とする差押で事後求償権の消滅時効中断(判例) ③委託を受けない保証人の求償権:主債務者の意思に反しない or 主債務者の意思に反する ⑴ 要件:債務消滅行為 ≒ 委託を受けた保証人の求償権 ・ 主債務者の意思不問 ⑵範囲 a) 意思に反しない保証人459の2Ⅰ・462Ⅰ:改)当時利益を受けた限度 + 相殺は債権者に対し ​⇒ 利息・費用・損害賠償等の請求はできない ∵ 459の2Ⅱを準用しない ​⇒ ≒ 本人の意思に反しない事務管理者の費用償還請求権の範囲702Ⅰ b) 意思に反する保証人462Ⅱ:現に利益を受けている限度 + 相殺は債権者に対し ​⇒ ≒ 本人の意思に反した事務管理者の費用償還請求権の範囲702Ⅲ c) 弁済期前の弁済等462Ⅲ:改)弁済期後でなければ求償権行使できない + 主債務者の意思不問 ※「現に利益を受けている限度」: 保証人が債務を弁済したことによる債務の減額分「だけ」を償還すればいいのであって、 弁済の際に発生した費用や求償権に対する利息などは支払う必要がないという意味。例えば委託を受けない保証人が100万円の債務のうち50万円を弁済した場合、 主債務者はその50万円だけを保証人に支払えばよく、50万円の振込手数料 や保証人の弁済日から償還日までの利息等は支払う必要がない。 ④通知義務463:債務消滅行為をすることを保証人または主債務者が通知する義務 ∵ 二重払防止 ⑴保証人の事前通知義務463Ⅰ:改)委託を受けた保証人限定 ※重要。委託を受けず保証人になった者には事前通知義務なし ​・主債務者への通知なく債務消滅行為 → 主債務者は債権者に対抗できた事由を保証人に対抗可 ・​上記の場合に主債務者が相殺を主張 → 保証人は債権者に対し消滅すべき債権の履行を請求可 ( 改正ポイント​)改正前-無委託保証人にも通知義務 → 改正後-委託を受けた保証人のみ (理由)​:委託を受けない保証人も求償の範囲は現に利益を受けている限度 → 債権者に対抗できる事由は求償されない ⑵ 保証人の事後通知義務463Ⅲ ​意思に反する無委託保証人 ​→ 主債務者の善意での弁済等を有効とみなすことができる ※ 事後通知していても主債務者が善意ならこうなる ​上記以外 ​→ 事後通知義務に違反すれば上同 ⑶主債務者の事後通知義務463Ⅱ ​・違反 → 委託を受けた保証人が善意で弁済等 → 保証人の弁済等を有効とみなすことができる ​・違反 → 委託を受けない保証人が弁済等   → 保証人の弁済等を有効とみなすことはできない 情報提供義務 B+ ①概要 ⑴背景・趣旨:安易な保証契約によるトラブルが多発 → 保証人保護 + 守秘義務(債権者に主債務者についての情報の守秘義務があるが情報提供して良い事項を定めることで情報提供できるようになる) ⑵情報提供義務の内容 ​•契約締結時の情報提供義務 ​•主債務の履行状況に関する情報提供義務 •​主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務 ⑶義務者:債権者・主債務者 ⑷保証形態​:個人保証(=保証人が個人) ・法人保証(=保証人が法人) ②契約締結時の情報提供義務465の10 ⑴ 要件​:個人保証 + 主債務者が委託するとき + 主債務=事業のために負担する債務 ⑵ 内容​:財産及び収支 ・ 主債務以外の債務 ・ 主債務の担保 ⑶ 違反の効果​:取消すことができる ③主債務の履行状況に関する情報提供義務458の2 ⑴要件​:個人保証と法人保証 +委託を受けた保証人の請求があったとき ⑵ 内容​:債務不履行の有無 ・残額及び弁済期到来済の額 ⑶違反の効果​:明文なし ④主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務458の3 ⑴ 要件​:個人保証 + 主債務者が期限の利益を喪失したとき ⑵内容​:債権者が主債務者が期限の利益を喪失したことを知った時から2箇月以内に保証人に通知 ⑶ 違反の効果​:喪失時~通知までの遅延損害金を請求できない 特殊保証 B+ 短答 ① 連帯保証454:保証人が主債務者と連帯して債務を負担するという保証債務 ⑴特徴:補充性なし(=催告の抗弁及び検索の抗弁なし) ・ 付従性は妥当(∵保証債務の一種) ⑵要件:保証契約における連帯である旨の特約 ⑶ 効果 a) 対外的効力:補充性なし ・ 付従性は妥当 b) 1人について生じた事由の効力 ​主債務者に生じた事由​:すべての連帯保証人に影響を及ぼす ∵ 付従性 ​連帯保証人に生じた事由458​:相対効の原則441 + 更改・相殺・混同は絶対効 c) 求償関係:≒ 通常の保証 ②共同保証:同一の債務について数人が保証債務を負担する ⑴特徴:分別の利益 = 数人の保証人は頭数に応じて分割された債務を負担456 ≒ 分割債務 ⑵要件:同時での契約または順次での契約 (態様と特徴 ) 普通保証:普通の数人の保証人 補充性 ◯ 分別の利益 ◯ 連帯保証 補充性 × 分別の利益 × 保証連帯:普通の数人の保証人が全額弁済の特約 補充性 ◯ 分別の利益 × ③ 身元保証 Bランク:雇用契約に関して被用者の身元を保証する契約(身元保証法) ⑴特徴:被用者による使用者の損害を賠償 + 被用者の業務上不適任等 → 使用者は保証人に通知義務 ⑵身元保証期間:最大5年 ⑶身元保証人の解除権:上記通知により解除できる ④ 根保証465の2Ⅰ:一定の範囲の債務を主債務とする保証契約 ※ 細かいので試験対策上は条文は読まず概要と担当で出てくることだけ抑えたほうが良い ⑴特徴:債務が変動しうる → 負担が過大になりうる ⑵ 態様 ​包括根保証:極度額及び期限等を定めない根保証 ​限定根保証:極度額及び期限等を定める根保証 ⑶個人根保証契約:保証人が法人でない者 a) 極度額を定めなければその効力を生じない456の2Ⅱ b) 書面でしなければその効力を生じない446Ⅱ → 電磁的記録も可446Ⅲ ⑷ 個人貸金等根保証契約:主債務の範囲に貸金等の債務が含まれる個人根保証契約 a) 元本確定期日 ​定めがある場合 → 5年を超える定めは効力を生じない465の3Ⅰ ​定めがない場合 → 3年を経過する日=元本確定期日465の3Ⅱ

  • 83

    保証債務​ の図

    保証債務​:債務者がその債務を履行しないときに、保証人がその履行をする責任を負う債務446Ⅰ ②特徴​:人的担保の典型 → 保証人の一般財産を担保  = 担保力の変動が大きい ​⇒ 連帯保証と区別、実務上はほぼ連帯保証 ③基本用語 ⑴主債務​:保証債務によって保証を受ける債務 = 主たる債務 ⑵主債務者​:主債務の債務者 ⑶保証人​:保証債務の債務者

  • 84

    弁済期前に弁済等をした場合の事後求償権:改)459の2 図

    ​・主債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する ・​主債務者が相殺を主張 → 保証人は債権者にその相殺によって消滅すべき債権の履行を請求可 a) 改正ポイント:期限前弁済が保証の趣旨に反する → 債権者の無資力のリスクを保証人に負わせる b) 利息等:弁済等から弁済期までの利息等は求償不可459の2Ⅱ

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    刑訴法 公訴提起

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    刑訴法 公訴 審判の対象

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    刑訴法 公訴 審判の対象

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    刑訴法 公訴 訴訟条件 2/10

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    刑訴法 公判手続 3/24

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    刑訴法 公判手続 3/24

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    証拠法 A++ 3/25 〜22

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    証拠法 A++ 3/25 〜22

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    自白 A+ 総説

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    自白 A+ 総説

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    科学的証拠・写実的証拠

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    科学的証拠・写実的証拠

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    公判前手続 3/28

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    公判前手続 3/28

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    訴因

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    訴因

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    問題一覧

  • 1

    1 債権総論 1/5

    1 債権総論序説 □ 債権法学習のポイント ① どの矢印に関する問題なのかを意識 ​⇒ 図を描ける様に ② パンデクテンを理解 ​⇒ 民法・債権法の全体を理解 → 解らなかった箇所に戻る ③ 民法の改正箇所を重視 ​⇒ 改正で特に債権法が大きく変更 債権の基本 ④ 債権:(債権者が債務者に対して)ある特定の行為をすること又はしないことを請求しうる権利 ⑤ 債権と物権の相違:(共通) - 財産権 + 不可侵性 ・相対性/絶対性、排他性、契約内容自由/物権法定主義、 物権は債権に優越 ⑥ 債権の発生原因 ​法律行為​:単独行為・契約・合同行為 ​法定債権​:事務管理・不当利得703・不法行為709 ​信義則​:契約締結上の過失​(例)契約交渉中に不当に破棄して損害を与える ⑦ 債権の内容 (1) 給付:債権の目的 = 債権者が債務者に対して請求することのできる行為 = 債権の内容 (2) 給付の要件:欠ければ債権不成立 ​ⅰ 適法性​(例)× 犯罪行為 ​ⅱ 社会的妥当性​(例)× 愛人契約 ⅲ ​確定性​(例)× 魅力があり戦略性に富むコースを提供する(判例) ​ⅳ 実現可能性​(例)× タイムマシンを譲渡する ​ ・原始的不能:契約成立時に既に履行不可能な場合​(例)家の売買契約時に家が焼失 ​ ・後発的不能:契約成立後に履行不可能になった場合​(例)家の売買契約後に家が焼失 ​⇒A+民法改正で原始的不能・後発的不能共に債権成立 → 債務不履行として統一的処理412の2Ⅱ ⑧ 債権の実現に問題が生じた場合の処理 ​・履行(追完)できる​⇒ 〇履行(追完)請求562Ⅰ等 ​・履行(追完)できない(原始的不能含) ​ ・債務者に帰責事由あり ​⇒ 〇 損賠請求415 ・ 〇 解除542Ⅰ ​ ・債権者に帰責事由あり ​⇒ × 損賠請求415 ・ × 解除543 ・× 履行拒絶536Ⅱ  ・​双方に帰責自由なし​⇒ × 損賠請求415 ・ 〇 解除542Ⅰ・〇 履行拒絶536Ⅰ 2 債権の目的と分類 履行方法による分類 Bランク ・​不作為債務​:何かをしないことを内容とする債務​(例)騒音を出さない ・​作為債務​:何かをすることを内容とする債務   ​引渡債務​:物を交付することを目的とする債務(=与える債務)​(例)金銭を交付する ​  行為債務​:引渡債務以外の行為を目的とする債務(=なす債務)​(例)建物取壊して出ていく 特定による分類 Bランク ​・特定物債権​:特定物の引渡しを目的とする債権​(例)中古車・土地 ​・不特定物債権​:不特定物の引渡しを目的とする債権​(例)新車・米10キロ ​・種類債権​:一定の種類に属する一定量の物の引渡しを目的とする債権​(例)米10キロ ⑴種類物と不特定物の区別 ・​種類物​:種類 + 数量 で表される ​・不特定物​:種類 + 数量 + 品質 で表される ​⇒ 種類を指定 + 品質を定めない → 品質=中等401Ⅰ ⇒ 種類債権≒不特定物債権 (4) 特定物と不特定物の区別:当事者が物の個性に着目するか否か 特定物債権の特徴 A+ ①善管注意義務400:改)債権発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善管注意義務で保存 ⑴内容:当該契約等の趣旨に照らして保存義務の内容等が定まる ​⇒ 契約等と無関係に決まるものではない + 任意規定 ⑵善管注意保存義務:その立場にある標準的な人として払うべき注意 ​⇒ 無報酬の受寄者は自己の財産に対するのと同一659 (短答で出る) ②目的物引渡義務483:改)発生原因等に照らし品質を定めることができない → 現状で引渡 ⑴特定物ドグマ​:特定物債権で性質は合意内容にならない → 引渡のみで履行 ⇒ 否定 ⑵内容​:契約内容に適合した物を引渡す義務が生じた + 任意規定 ③特定物である目的物の滅失 →直ちに履行不能(⇔不特定物は調達義務) ​・売主に帰責事由あり → 売主は損害賠償責任を負う415 ​・売主に帰責事由なし → 売主は損害賠償責任を負わない ​買主に帰責事由あり → 売主は損害賠償責任を負わない ④引渡場所484Ⅰ:債権発生時に物が存在した場所(例外) ⑴持参債務の原則:特定物債権以外の債権の弁済は債権者の現在の住所 = 不特定物は持参債務→不持参(富士山) ⑵ 任意規定 不特定物債権(≒種類債権)の特徴 A+ ⑤調達義務:無限に不特定物を調達(→ 債務者に酷) ⇒ 特定により調達義務を免れる + 調達義務には善管注意義務なし ※「特定」が大切 ⑥特定401Ⅱ:種類債権において目的物が具体的に定まること ⑴ 特定の要件 a) 債務者が給付に必要な行為を完了した場合 (3つとも重要) ​・持参債務:債務者が物を債権者住所に持参する債務 ​→ 債権者住所での現実の提供 ​・取立債務:債権者が物を債務者住所まで取りに行く債務 ​→ 分離・準備・通知 ​・送付債務:債務者が物を第三者の場所に送付する債務 ​→ 履行場所での現実の提供 b) 債権者の同意を得て債務者がその給付すべき物を指定した場合 ​(例)客が棚にある瓶ビールをいくつか持ってきて → 店員が棚にあるビールのいくつかを選んだ c) 両当事者が合意した場合 ⑵特定の効果 a) 善管注意義務400の発生  ​⇒ 弁済の提供により自己の財産に対するのと同一413Ⅰ(例:目的物を債権者のもとに持参したが債権者が受け取らなかった場合、それ以降は自己の財産と同一の注意にレベルが下がる) b) 目的物引渡義務 ​⇒ ≒特定物債権 c) 目的物滅失による引渡義務の消滅 ​⇒ 債務者に帰責事由なしなら損害賠償責任を負わない d) 所有権の移転が可能 ​⇒ 特約がない限り、特定時に所有権が移転(判例)(頻出重要) ※特定物は契約時点 ⑦ 変更権:いったん特定した目的物を変更する権利 ⇒ 特定物債権との違い + 種類債権の性質 Q 変更権は認められるか ⑴問題の所在​:瓶ビール10本購入し特定 → 瓶ビールが破損で滅失 → 他の同じ瓶ビールに変更 ⑵ 結論​:債権者に不利益がなければ、信義則上認められる ⑶ 理由​:当事者に利益あり ⑧ 制限種類債権 Bランク:目的物の範囲を特定の場所や範囲に制限した種類債権​(例)A倉庫にあるビール 種類債権との相違点 ・種類債権 履行不能)なし(特定前なし・特定後あり) 目的物の品質)中等 特定前の目的物保存義務)なし ・制限種類債権 履行不能)あり(特定前・特定後共にあり) 目的物の品質)問題とならない 特定前の目的物保存義務)あり 金銭債権 ① 金銭債権:金銭の支払いを目的とする債権 (具体例)10万円の売買代金債権 ・ 1万円の貸金債権 ・5万円の損害賠償債権等 ②金銭債権の特徴 ⑴目的​:価値を通貨によって移転 ⇒ 物の移転ではない = 特定は生じない ≠ 種類債権 ⑵履行不能​:観念できない ⇒ 履行不能はなく、必ず履行遅滞となる ⑶損害賠償額​:法定利率・約定利率のうち高い利率419 ​・法定利率:当事者が利率を定めなかった場合に適用される利率 ​・約定利率:当事者が合意した場合に適用される利率 ➢ 実際の損害額が法定利率・約定利率を超過しても超過部分について損賠請求できない →金銭債務の不履行時の損害賠償額は法定または約定利率に限られる ⑷損害の証明​:不要419Ⅱ ⑸不可抗力による履行遅滞​:免責なし419Ⅲ ③利息債権:利息を支払うことを目的とする債権​ ⑴元本債権:利息を生じる元となる債権 ⑵遅延損害金:履行期に弁済しないという履行遅滞による損害賠償金 ⑶基本権たる利息債権:元本債権から期間経過により利息が発生することを内容とする基本的な債権 ​⇒ 元本債権に対する強い付従性 ⑷支分権たる利息債権:基本権たる利息債権の効果として期間経過により現に発生した具体的債権 ​⇒ 元本債権に対する弱い付従性 ④法定利率404Ⅱ・Ⅲ:改)年3% + 3年を1期とし、1期毎に利率を見直す変動制404 ⑤利息の計算方法:複利>単利 ​単利:当初の元本に対してのみ利息が付されること ​複利:利息が順次元本に組み入れられること = 重利  ​⇒ 合意がなければ単利、1年分以上の遅滞+催告で重利にできる405 ⑥利息制限法:金銭消費貸借における利息や遅延損害金の利率を一定限度に制限する法律 元本額・上限利率 10万未満・年20% 10万以上100万未満・年18% 100万以上・年15% 遅延損害金・上記利率の各1.46倍 ⑴ 背景:契約自由の原則 → 合意により法外な金利で債務者から搾取 → 公序良俗違反 ⑵ 判例:超過利息は元本に充当 → 完済後の支払いは不当利得返還請求できる 選択債権 ①選択債権:債権の内容が複数の給付のなかからの選択によって定まる債権 ⑴具体例:家または車のどちらかを選んで引渡せ ・ 1反の土地のうち100㎡を提供(判例) ⑵制限種類債権との区別:対象となる給付の個性の有無 → 個性がある=選択債権、 個性がない=制限種類債権 ⑶選択債権の特定:複数の給付の1つを選択 → 単純な債権 ②選択権:選択債権を特定させる権限 = 形成権411 ※411但書の第三者保護規定は無視して良い ⑴選択権者:合意があればその者 → 合意がなければ債務者406 ⑵選択権行使 ​・当事者に選択権:相手方へ意思表示+承諾なく撤回不可407 ・ 催告+選択なし → 相手方移転408 ・​第三者に選択権:当事者一方への意思表示409 ・ 選択なし → 債務者移転409Ⅱ ⑶ 給付不能410:改)選択権者による過失の場合のみ残存する給付に特定 ​⇒ 選択権者でない者の過失:残存給付or 不能物を選択して損賠請求or 解除 ​⇒ 不能=原始的不能・後発的不能を含む ・ 不可抗力の場合特定しない

  • 2

    特定物ドグマ 483条 図

  • 3

    不特定物の特定の効果の図

    ※ 所有権の移転は、特約がなければ特定の時点

  • 4

    第二章 債権の効力

    1 総論 債権の抽象的効力 ①債権の抽象的権能 ​・請求力​:履行せよと請求できる権能 ​⇒ 濫用の場合を除き、不法行為とならない ​・給付保持力​:給付を適法に保持できる権能 ​⇒ 給付の保持が不当利得とならない ​・訴求力​:訴えによって履行を請求できる権能 ​・執行力​:強制執行手続きにより国家機関の手で債権の内容を実現できる権能 ② 一部または全部が欠如した場合 ⑴ 道義上の債務:法的効力のない約束から生じた債務 ⇒ 履行請求権なし ⑵ 自然債務:給付保持力はあるが、訴求力、執行力のない債務 ⇒ 履行強制は不可+履行すれば返還請求不可 ​(例)不訴求合意、 女給の歓心目的で将来の金銭贈与を約束、 消滅時効完成+援用後の債務を履行 ⑶ 責任なき債務:執行力のない債務 ​⇒ 履行を強制されない ​(例)不執行合意 債権の具体的権能 ①債権者ができること:履行請求 → 履行しない場合 ​履行強制414 ​債務不履行に基づく損害賠償請求415 ​契約の解除541・542 ② 債務者ができること:履行による債権消滅473 → 受領しない場合 ​債務者は債務不履行責任を免れる492 ​債権者は受領遅滞責任を負う413 ③債務者の責任財産に対する効力:強制執行の対象となる ⑴責任財産:総財産-差押禁止財産-特別財産 = 責任財産 ⑵ 債権者平等の原則:債権総額>責任財産 の場合、各債権者はその債権額に比例した額の弁済を受ける ⑶責任財産の管理:債務者に財産管理の自由がある ​⇒ 責任財産保全のため、例外として、債権者代位権423 ・ 詐害行為取消権424 ④ 第三者に対する効力:原則、当事者間のみ ⇒ 第三者による債権侵害の場合 2 履行強制 □ 概要 ㉛ 履行強制​:債務者が任意に履行しない場合に国家の力を借りて債権の内容を強制的に実現させる ㉜ 具体的方法414​:改)直接強制・代替執行・間接強制 を明示 → 民事執行法に委ねる=強制執行制度 ㉝ 趣旨​:自力救済禁止の代償  ㉞ 手続き (39) 判決手続:訴訟等を提起 → 債務名義を取得 ​・債務名義:強制執行によって実現されるべき債権を表示する文書​(例)確定判決・公正証書 (40) 執行手続:裁判所に具体的方法を選択し強制執行の申立 → 執行官が執行 □ 履行強制の具体的方法 ​直接強制:債務の内容をそのまま強制的に実現​(例)金銭債権の取立 ​代替執行:債務者以外に債務の内容を実現させ、費用を取立てる​(例)建物収去土地明渡 ​間接強制:履行しない場合に、一種の制裁金を課す​(例)騒音で罰金支払い 直接強制 代替執行 間接強制 引渡債務 与える債務 金銭債権 〇 × 〇 (扶養義務等) 特定物債権 〇 × 〇 不特定物債権 〇 × 〇 作為債務 なす債務 代替的作為債務 × 〇 〇 不代替的作為債務(一般) × × 〇 不作為債務 × 〇 (将来の処分) 〇 (41) 判決代用:判決によって債務者の意思表示とみなす(例)所有権移転登記手続き ​⇒ 不代替的作為債務で意思表示をすべき債務に適用 ∴ 強制執行は不要かつ不可 (42) 子の引渡:間接強制 + 人身保護法の保護手続 + 意思能力がない場合は直接強制(判) (43) 謝罪広告:代替執行 + 間接強制

  • 5

    2 履行強制

    概要 ①履行強制​:債務者が任意に履行しない場合に国家の力を借りて債権の内容を強制的に実現させる ② 具体的方法414​:改)直接強制・代替執行・間接強制 を明示 → 民事執行法に委ねる=強制執行制度 ③ 趣旨​:自力救済禁止の代償  ④ 手続き ⑴判決手続:訴訟等を提起 → 債務名義を取得 ​・債務名義:強制執行によって実現されるべき債権を表示する文書​  (例)確定判決・公正証書 ⑵ 執行手続:具体的方法を選択し裁判所に強制執行の申立 → 執行官が執行 履行強制の具体的方法 ​・直接強制:債務の内容をそのまま強制的に実現​(例)金銭債権の取立 ​・代替執行:債務者以外に債務の内容を実現させ、費用を取立てる​(例)建物収去土地明渡 ​・間接強制:履行しない場合に、一種の制裁金を課す​(例)騒音で罰金支払い 写真 ※ 直接強制すむ場合は代替執行 は行わない ※ 引渡し債務は直接強制または間接強制 ※ 作為債務は無理やり債務者にやらせることは不適なので直接強制はできない ※ 不代替的作為債務:特定人にしか行えない債務(アイドルの出演など) ※ 不作為債務:直接強制はできないが代執行は行いうる(例:騒音を出すなという債務なら、防音設備を代替執行で作って費用を債務者に請求する) ※ 間接強制は全てでできる ⑴ 判決代用:判決によって債務者の意思表示とみなす(例)所有権移転登記手続き ​⇒ 不代替的作為債務で意思表示をすべき債務に適用 ∴ 強制執行は不要かつ不可 ⑵子の引渡:間接強制 + 人身保護法の保護手続 + 子に意思能力がない場合は直接強制(判例) ⑶謝罪広告:代替執行 + 間接強制

  • 6

    3 債務不履行に基づく損害賠償 A+

    債務不履行の概要 ①債務不履行415​:債務の本旨に従った履行がなされないこと ②債務不履行の類型(類型論)​:三分説(通説) ​・履行遅滞​:履行可能であるが履行期に履行しない ​・履行不能​:履行が不可能なため履行しない ・​不完全履行​:履行したが債務の本旨に従った履行でない = 上記以外 ③ 改正の類型論への影響415​:従前の解釈を維持 + 履行不能が債務不履行に含まれることを明確化 ④請求権競合​:415・709の要件充足 → どちらの請求権も選択して行為しうる(判例) ​⇒ 債務不履行責任と不法行為責任との比較 が重要 415の要件 ​ⅰ 債務の存在 ​ ⅱ ​事実としての不履行   ​履行遅滞、  履行不能、  その他の債務不履行:不完全履行・     安全配慮義務・情報提供義務 ​ⅲ 帰責事由 ​ ​ⅳ 損害の発生 ⅴ ​債務不履行と損害の因果関係 ①債務の存在:契約・事務管理・不当利得・不法行為・単独行為・信義則等で発生 ②事実としての不履行 ⑴履行遅滞 a) 要件 ​・履行期に履行可能​:履行不能との区別 ・​履行期を徒過​:履行すべき時期が過ぎる​→ 412で規定 ​・違法性​:履行しないことが違法となること​→ 弁済の提供・同時履行の抗弁権・留置権があれば違法にはならない b) 412 ​・確定期限付債務 ​→ 期限の到来した時(412①) ・​不確定期限付債務 ​→ 期限到来を知ったときまたは期限到来後に履行請求を受けたときのいずれか早いとき(412②) ※ 例:次、雨が降ったら ​・期限の定めのない債務 ​→ 債務者が履行請求を受けた時(412③)  (例外)  ・​消費貸借契約上の返還債務 ​→   履行請求時から相当期間経過後591Ⅰ   ​∵ 調達猶予期間 ​ ・不法行為に基づく損害賠償債務→    不法行為の時(判)    ​∵ 被害者救済 c) 412Ⅱ:改)債務者が知らなくても期限到来後に履行請求を受けた時 を明示 ※期限到来を債務者が知らず、債権者が手紙で請求し到達したが債務者が見ていなくても期限は経過 ⑵ 履行不能412の2:改)契約等の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断 a) 主観的・客観的事情を考慮 → 物理的不能も法律的不能(二重譲渡等)も含む(判例) b) 原始的不能でも契約は有効に成立 → 原始的不能・後発的不能ともに履行不能=債務不履行で処理  (改正前)初めからない物は売れない → 契約不成立 → 契約締結上の過失=信頼利益の賠償  (​改正後)ある・ない関係なく売れる  → 契約成立  → 債務不履行の問題=履行利益の賠償も可  ⑶ その他の債務不履行:多種多様にある a) 不完全履行 •​給付義務違反:給付の内容に瑕疵​(例)食器引渡債務で食器にひび ​•付随義務違反:履行方法に瑕疵​ (例)運搬債務で運搬中に運搬する椅子を破損 ​•保護義務違反:債権者の利益を侵害​(例)運搬債務で運搬中に債権者の自宅を損壊 b) 安全配慮義務:相手方の生命・身体を危険から保護するよう配慮する義務  ⅰ 契約から生じる場合  安全配慮自体が契約の目的の場合  例)介護契約・保育委託契約等  ⅱ 契約解釈または信義則による場合  例)雇用契約・施設利用契約等 ・契約以外から生じる場合 例)公務員関係・元受と下請の被用者 ➢ 安全配慮義務自体は肯定 + 履行補助者の運転上の注意義務違反には国の安全配慮義務違反はない ※自衛隊員が危険な運転をして被害者が生じた事案 c) 情報提供義務:契約の一方当事者が契約締結するかの判断にあたって必要な情報を提供する義務 ➢ 契約自由の原則 → 原則、義務なし(必要な情報は自己で収集するのが原則) + 例外的に一定の場合に認められる(情報提供義務違反は不法行為責任とする判例あり。契約締結前だから) ③帰責事由:債務不履行についての債務者の責めに帰すべき事由415Ⅰ但 ⑴判断基準:改)契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断415Ⅰ但 ​⇒ 過失責任主義(責任を負うのは故意・過失がある場合のみという私法上の原則)を否定 ⑵改正のポイント (改正前) ・債務者の帰責根拠=過失責任主義 ・帰責事由=債務者の故意過失または信義則上これと同視すべき事由 ・履行補助者の故意過失 信義則上これと同視すべき事由 ⇒ 類型化して判断 (改正後) ・債務者の帰責根拠=契約の拘束力 ・帰責事由=債務者の責めに帰すべき事由(契約及び社会通念等から判断) ・履行補助者の故意過失=帰責事由の有無の考慮要素の一つ ⇒ 復代理・再受寄者の規定削除 ⑶帰責事由の立証責任:債務者 ⇒ 不法行為に基づく損害賠償請求709は債権者 ④損害の発生 ⑴損害:(差額説 通説)債務不履行等のない状態と実際の状態による財産の差額 ​(例)100万で中古車購入 → 車が引渡前に売主の不注意で滅失 ⇒ × 車の滅失  〇100万 ⑵損害の種類 ​・非財産的損害​:財産的損害以外の損害​(例)精神的苦痛 ・​財産的損害​:債務不履行によって債権者に生じた財産上の不利益  ・​積極的損害​:債権者が現に受けた損失(出て行った金)​(例)治療費  ・​消極的損害​:債権者のうべかりし利益の喪失(入ってこない金)​(例)休業中の給料 ⑤ 債務不履行と損害の因果関係416 415の効果 ⑥金銭賠償の原則417:損害を金銭に見積もってその金額を支払う方法が損害賠償の原則 ⇒ ∵ 原状回復は不便 + 当事者の合意があれば原状回復等も可 ​・填補賠償:履行に等しい地位を回復させる損害の賠償(履行利益の賠償)415Ⅱ​(例)物滅失​→ 市場価格 ​・遅延賠償:履行が遅れたことによる損害の賠償414Ⅱ​(例)物引渡遅延​→ 代替品賃借料 ​⇒ 市場価格増加=賠償額は増加する      債権者は履行請求と遅延賠償の請求可414Ⅱ ※車の引き渡しが遅れた場合は債権者はレンタカー代と車の引渡し両方請求できる ②填補賠償の要件415Ⅱ:改)判例法理の明文化 + 転形論否定により履行請求と損害賠償請求は併存しうる ※転型論:履行請求権が債務不履行により損害賠償請求権に変わる(履行請求権は消滅する) ・415Ⅱ一号:履行不能 →履行請求権なし +填補賠償権あり ・415Ⅱ二号:明確な履行拒絶 →履行請求権 +填補賠償権 が併存 ・415Ⅱ三号:解除または解除権の発生 →履行請求権(解除前のみ) +填補賠償権 が併存 ③ 損害賠償の範囲(≒因果関係) ⑴損害の範囲 ​・通常損害:通常発生するものと社会一般に考えられる範囲の損害​  (例)物滅失 → 市場価格 ・​特別損害:特別の事情によって生じた範囲の損害​  (例)物滅失 → 転売利益 ⑵ 416 ​・通常損害416Ⅰ:対象 ・​特別損害416Ⅱ:改正)当事者が特別の事情を予見すべきであった時対象 ​⇒ 改正前「予見した・予見できた」(主観的・客観的評価)  → ー改正後: 規範的な評価「予見すべき」 ⑶ 相当因果関係説:社会通念上相当と考えられる(=相当因果関係の)範囲内の損害に限り賠償(判例通説) 「相当因果関係の範囲内」かつ「通常生じるまたは予見すべき」なら因果関係を認める Q「 当事者」と「予見すべき」であった時の意義 ⑴事例​:転売目的で売買契約 → 物引渡債務の履行時に債務者が転売目的知る → 不履行 ⑵問題の所在​:誰にとって・いつの時点で予見すべきであったことが必要なのか ⑶結論​:債務者にとって、履行期または債務不履行の時に予見すべきであったこと(判例通説) ⑷理由​:履行で避けられる ⑸不法行為709の場合の損害賠償の範囲:416類推(判例) ④損害の金銭的評価 ⑴原則:損害額の証明ができない場合、損害賠償請求は認められない(判例) ⑵例外 ​ⅰ 金銭債務の不履行​:法定利率・約定利率の高い利率419Ⅰ ​ⅱ 慰謝料​:精神的苦痛は裁判所が自由心証をもって量定(判例) ​ⅲ 損害あり + 額の認定困難​:裁判所が相当な額を認定できる(民訴248) Q 損害賠償額算定の基準時 ⑴問題の所在​:物引渡債務の損害賠償額は目的物の時価(市場価格)が基準 ⇒ 時価が変動した場合にいつを基準時とするか ※履行不能と履行遅滞で分けて考える ⑵典型例​:不動産(新築建物、利便施設ができた近隣の土地等) ⑶中間最高価格​:損害賠償を生じさせる事実があった時から判決にいたる時までの最高値の価格 ⑷履行不能の場合(判例): ・原則、履行不能時 ・例外 1 騰貴しつつあるという特別の事情がある  1-1履行不能時に予見すべきであった場合→騰貴した価格  1-2騰貴前に処分すると予想される場合→当該処分時 2騰貴した後に下落 中間最高価格の取得を予見すべき場合 →中間最高価格 3現在も価格が騰貴 →(処分の予定等を問わずに)事実審の口頭弁論終結時 ⑸ 履行遅滞の場合(判例?): 事実審の口頭弁論終結時 解除すれば解除時 損害賠償に関する特別の規定 ① 損害賠償額の減額事由(相殺ではない。単なる減額事由) ⑴過失相殺418:債務不履行・これによる損害の発生・拡大に債権者の過失 → 責任・額を考慮し定める a) 改正:判例法理を明文化 - 改正前「債務不履行」 → 改正後「債務不履行・損害の発生・拡大」 b) 典型的な場面 ​・債務不履行:乗客が「急げ」と言った → 事故 → 法定速度超過のため乗客が怪我 ・​損害の発生:配送 → 履行期前に債権者転居+通知せず → 債務者も調査しない → 履行遅滞 ​・損害の拡大:医療ミスにより入院期間が延びる → 患者が安静にしないため更に入院期間が延びる c)「債権者の過失」の意義:補助者等、取引観念上債権者と同視すべき者の過失を含む(判例) d) 証明責任:債権者の過失を基礎づける事実は債務者が負う + 主張責任の否定(裁判所が職権で過失相殺できる) e) 不法行為における過失相殺との違い ・債務不履行 条文: 418 効果: 減額のみならず責任の否定も可能 考慮の形態: 必要的考慮「定める」 ・不法行為 条文: 722Ⅱ 効果: 減額のみ 考慮の形態: 裁量的考慮「定めることができる」 ⑵損益相殺:損害賠償の発生原因により損害と同時に利益も受けた場合、その利益分を控除すること a) 根拠:公平の理念 ⇒ 明文なしだが実務上当然に + 536Ⅱ後参(債務者の危険負担等) b) 判例:発生原因により通常受け取るもの ​•肯定:死亡による逸失利益から被害者の生活費を控除 ・ 遺族年金・社会保険(加害者に対する求償規定あり?) •​否定:生命保険金 ・ 損害保険金 ・香典 ・ 所得税等 ・ 社会保険(加害者に対する求償規定なし?) ②中間利息の控除 a)中間利息:損害賠償額算定の基準時から将来利益を得られたであろう時までの利息相当額 ​⇒ 将来の金銭よりも現在の金銭の方が利息分の利益がある → 減額すべき b) 417の2:改)損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により控除する ​⇒ 判例法理の明文化 + 法定利率の改正から算定時期も明文化 ③金銭債務の不履行に対する特則419 ​金額419Ⅰ​:改)遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率または約定利率のうち高い利率 ​損害の証明419Ⅱ​:不要 ​不可抗力419Ⅲ​:抗弁とすることができない ​⇒ 実損害の賠償を請求することができない(判例) ④損害賠償額の予定:当事者間で債務不履行があった場合、損害賠償の額をあらかじめ合意すること ⑴背景:契約自由の原則+損害賠償の額の決定は裁判所の専権 ⇒420で規定 ⑵趣旨:損害の立証の困難を除去 ⑶効果:損害賠償額の予定は可能420Ⅰ a) 基本420Ⅰ​:(実損害額に関わらず)予定額のみを請求 + 損害の立証は不要(債権者は、債務不履行の事実さえ立証すればよく、損害額及び損害の発生の事実を立証することなく予定賠償額を請求できる) ​※改正前は「裁判所は額の増減できない」 改正後は「削除」された。よって、不当な賠償額の予定なら増減されうる b) 解除・履行請求​:可能420Ⅱ c) 違約金​:明らかでなければ、損害賠償の予定と推定420Ⅲ ∵ 通常損害賠償の予定の意 ​⇒ 違約金:損害賠償の予定 or  違約罰の2つの場合がある。違約罰は債務不履行に対する制裁であり損害賠償とは別に発生するもの。違約罰であるときはそれとは別に損害賠償を請求できる。 ⑤賠償者代位(422):損害賠償をした債務者が債権者の地位に代わりに入る ⑴事例:寄託された物が盗まれた ⑵背景:債権者が物の所有者 →債務者に酷 ⇒ 422で規定 ⑶趣旨:債権者の二重の利得を防止し債務者の利益を保護 ⑷効果:填補賠償により当然に債権者に代位 → 意思表示・対抗要件等は不要 ※事例では受託者は寄託者(権利者)に賠償すれば権利(所有権)を主張できる ※なお、寄託者は賠償金を受託者に戻せば物を取り戻せる ⑥代償請求権:履行不能の同一原因によって債務者が利益を受けた時、債権者がその利益を請求する権利 ⑴ 事例:火災による履行不能と火災保険 ⑵背景:債権者は債務不履行で損害 + 債務者は保険金取得 → 不公平 ⇒ 改正)422の2で規定  ⑶趣旨:当事者間の公平 ⑷効果:受けた損害の限度で償還請求できる

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    雇用契約から生じる安全配慮義務 図

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    中間利息の控除の図

    a)中間利息:損害賠償額算定の基準時から将来利益を得られたであろう時までの利息相当額 ​⇒ 将来の金銭よりも現在の金銭の方が利息分の利益がある → 減額すべき b) 417の2:改)損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により控除する ​⇒ 判例法理の明文化 + 法定利率の改正から算定時期も明文化

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    5 第三者による債権侵害

    ①総論 ⑴第三者による債権侵害​:第三者が債権を侵害 → 債権者が当該第三者にどんな請求ができるか ⑴問題の所在​:債権の相対性 + 債権の非排他性 + 債権の非公示性 + 自由競争 ⑵ 結論​:妨害排除請求・不法行為で、限定された場合に認める ② 債権に基づく妨害排除請求 ​原則:債権一般について否定(判例)  ∵ 相対性 ​例外:対抗力を備えた不動産賃借権については妨害排除請求できる(+返還請求もできる)605の4 ③不法行為に基づく損害賠償請求 ⑴総論 ​・相対性・非排他性があるが、債権も財産であり不可侵性を有する  ​⇒ 原則、不法行為に基づく損害賠償請求可 ・​非公示性・自由競争​があり、善意の場合かつ自由競争の範囲内であれば709は認められないとも思える ​⇒ 行為類型に応じて要件を修正する(通説) ⑵ 第三者による債権侵害分類 ・帰属侵害(債権の帰属を侵害)  (具体例)なりすまして弁済受領  (成立要件)一般不法行為の要件  (理由)債権者に帰責事由なし ・行為侵害(債権の給付を侵害)  債権が消滅する場合 (具体例)特定物破壊 (成立要件)一般不法行為の要件+非公示性から債権の存在の認識が必要 (理由)非公示性 ・行為侵害(債権の給付を侵害)  債権が消滅しない場合 事実行為 (具体例)売却地の山林を伐採  債権が消滅する場合(事実行為)  (成立要件)一般不法行為の要件+非公示性から債権の存在の認識が必要 (理由)非公示性 ・行為侵害(債権の給付を侵害)  債権が消滅しない場合 取引行為 (具体例)二重譲渡 (成立要件)一般不法行為の要件 + 故意ある加害行為 + 公序良俗違反の不公正な競争 (理由)自由競争

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    第三章 債権債務の移転 総論・譲渡制限

    1 債権譲渡  債権譲渡の概要 ① 債権譲渡:債権の同一性を保ちつつ債権を他人に譲渡すること ⑴移転の概要​:債権譲渡=債権者が変わる ・ 債務引受=債務者が変わる ・ 地位移転=全部移転 ⑵目的・事例​:売却・債権回収・取立・担保等 ⑶契約の流れ​:通常、売買契約等 → 債権譲渡契約 ②法的性質 ⑴諾成・不要式・有因(売買取消等 → 債権譲渡契約消滅) ⑵処分行為かつ準物権契約 ⇒ 契約により直接債権移転が発生 ⑶債権の同一性を保ちつつその債権を移転 ​・移転する権利​:基本権たる利息債権・違約金債権・保証債務・担保権 ・​移転しない権利​:支分権たる利息債権(当然には)・解除権・取消権   ∵ 別個独立の権利 ・​抗弁事由​:同時履行の抗弁権等 ⇒ 譲受人に対して主張できる ​⇒ 更改は旧債務を消滅させて新債務が発生 → 債権譲渡は債権の同一性が保たれる ③債権譲渡の問題:物ではなく、債権の譲渡 ・​債権譲渡における譲渡制限 ​・債権譲渡における対抗要件 ・​債権譲渡における債務者の抗弁及び相殺 債権の譲渡性とその制限 ①債権の譲渡性466改) ​原則:譲渡自由466Ⅰ ​例外:譲渡制限466Ⅰ但  ・​性質による制限:雇用契約上の使用者の権利・保証での主債務者に対する債権のみの譲渡等 ​∵ 意義・信頼  ・​法律による制限:扶養請求権811・年金受給権・生活保護受給権 ​∵ 一身専属権 ②譲渡制限の意思表示:当事者の債権の譲渡禁止または譲渡制限の意思表示 → 譲渡制限特約 ・​原則466Ⅱ:債権譲渡の効力は妨げられない ⇒ 譲渡制限特約に反する債権譲渡でも移転 ・​例外466Ⅲ:悪意又は善意重過失の譲受人等 ⇒ 履行拒絶可 かつ 譲渡人への弁済等を対抗可  ​⇒ 466Ⅱ・466Ⅲのどの場合でも債権譲渡自体は有効 = 譲受人が債権者・譲渡人は非債権者 Q 転得者に譲渡した場合 ⑴ 事例​:譲渡人が譲受人に債権譲渡 → 譲受人が転得者にさらに債権譲渡 ⑵問題の所在​:譲受人その他の第三者に転得者が含まれるか ⑶ 結論​:含まれる ⇒ 転得者が悪意または善意重過失か否かで履行拒絶等が決まる ⑷ 理由​:債権譲渡自体は有効 ⑸ 466Ⅳ改):466Ⅲ+相当期間を定めて債務者に譲渡人へ履行するよう催告+債務者が期間内に履行しない → 債務者は譲受人に対して履行拒絶等不可 ​∵ デッドロック状態の解除 ※デットロック=債務者がずっと債務を履行しなくてもよくなる状態 ⑹ 改正のポイント (改正前) 譲渡制限の意思表示=物権的効力 結論)当事者間でも譲渡は無効 理由)過酷な取立から保護 (改正後) 譲渡制限の意思表示=抗弁権付与 結論)債権譲渡は有効 理由)資金調達上の支障(資金調達はさまざまな手法を用意したほうが良い)+抗弁権で保護 ⑶ 債務者の承諾 (改正前)債務者の承諾可能。債権譲渡は有効。ただし、第三者を害することはできない ∵116の法理(無権代理) (改正後)債務者の承諾は可能。そもそも譲渡制限の特約があっても債権譲渡は有効だから、債務者の承諾は抗弁放棄の意思表示である。 ⑷供託 a) 供託:弁済目的物を供託所に保管させることによって債務を消滅させる制度 → 債権の消滅原因 ​⇒ 目的:債権者不明・受領拒否・受領不能等 の場合に債務負担から債務者を解放 ※ 債権譲渡がされた場合、実際は債務者にとっては誰が譲受人かを特定するのは困難。こういう時に債権者不明として供託が使われる。 b) 債務者の供託権466の2改) ​・要件:譲渡制限付金銭債権が譲渡 + 供託通知​⇒ 譲受人の善意・悪意、債務者の過失は不問 ​・効果:全額を債務の履行地の供託所に供託可 ​⇒ 譲渡人の現住所を含む ​⇒ 改正のポイント:改正前=債権者不確知が原因   改正後=新たな供託原因 ∵ 弁済誤りの防止 c) 債権者の供託請求権466の3改) ​・趣旨:譲受人の破産手続外での債権回収(譲受人の保護) ​・要件 ⅰ ​譲渡制限付金銭債権が譲渡 ​∵ 複雑化回避 ​ⅱ 譲渡人の破産手続開始決定 ​∵ 譲受人保護 ​ⅲ 全額譲受 + 第三者対抗要件具備 ​∵ 複雑化回避 + 債務者の立証負担軽減 ​⇒ 譲受人の譲渡制限の意思表示についての善意・悪意は不問 ​・効果:債務者に供託させることができる(債務者の通知が必要) ⑸差押え466の4:改)466Ⅲは強制執行をした差押債権者に対しては適用されない a) 改正ポイント​:判例法理の明文化 b) 背景​:差押えは強制的な債権譲渡 ≒ 債権譲渡類似 c) Ⅰの趣旨​:差押禁止財産を防止 d) 例外1​:譲渡制限特約付債権に対する強制執行をした者限定 = 担保権の実行を除外 e) 例外2​:債務者は譲受人に466Ⅲを対抗できる → 差押債権者にも対抗できる466の4Ⅱ f) Ⅱの趣旨​:差押債権者は譲受人が有する権利以上の権利は認められない ⑹ 預貯金債権466の5改) a) 預貯金債権​:預金口座または貯金口座にかかる預金または貯金にかかる債権 ※銀行預金が典型 b) 預貯金債権の例外465の5Ⅰ​:悪意または善意重過失の譲受人への債権譲渡は物権的無効 ​⇒ 抗弁権付与ではない + 債権譲渡自体無効 + 債権者は譲渡人のまま ※「物件的無効」がポイント c) 差押えの例外466の5Ⅱ​:預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては不適用 ​∵ 差押禁止財産を防止 d) 改正の趣旨​:金融機関の運用を維持→一般に譲渡禁止特約あり→名義人=債権者

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    債務者の供託権466の2改)の図

    債務者の供託権466の2改) ​・要件:譲渡制限付金銭債権が譲渡 + 供託通知​⇒ 譲受人の善意・悪意、債務者の過失は不問 ​・効果:全額を債務の履行地の供託所に供託可 ​⇒ 譲渡人の現住所を含む ​⇒ 改正のポイント:改正前=債権者不確知が原因   改正後=新たな供託原因 ∵ 弁済誤りの防止

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    差押え466の4:改)466Ⅲは強制執行をした差押債権者に対しては適用されないの図

    ⑸差押え466の4:改)466Ⅲは強制執行をした差押債権者に対しては適用されない a) 改正ポイント​:判例法理の明文化 b) 背景​:差押えは強制的な債権譲渡 ≒ 債権譲渡類似 c) Ⅰの趣旨​:差押禁止財産が生じることを防止

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    466の4 Ⅰ の例外:担保権の実行/466の4Ⅱ

    ・例外1​:譲渡制限特約付債権に対する強制執行をした者限定 = 担保権の実行を除外(強制執行をしていない) ※民事執行の手続きには、大きく分けて強制執行の手続きと担保権の実行の手続きがあり、 強制執行は判決等に基づきおこなわれ、担保権の実行は担保権の存在を証する書面(不動産登記簿謄本など)に基づきおこなわれるなどの違いがある ・例外2​:債務者は譲受人に466Ⅲを対抗できる → 差押債権者にも対抗できる466の4Ⅱ ※ 写真参照(写真のCは悪意または重過失) f) Ⅱの趣旨​:差押債権者に、譲受人が有する権利以上の権利は認められない

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    ◾️ 債権譲渡の対抗要件

    債権譲渡の対抗要件 ①債権譲渡の対抗要件:確定日付のある証書による通知または承諾467 ​・債務者対抗要件:債務者に対する対抗要件(=権利行使要件)​⇒ 通知または承諾467Ⅰ ・​第三者対抗要件:第三者に対する対抗要件​⇒ 確定日付のある証書467Ⅱ ②債務者対抗要件:通知または承諾 ⑴主体と客体 ​通知:譲渡人が債務者に対して  ※× 譲受人が債務者に対して通知ではダメ ​承諾:債務者が譲渡人または譲受人に対して​⇒ 譲渡人でも譲受人でもよい ⑵趣旨:債務者の認識による債務者保護 ⑶ 通知:事実を知らせる行為 = 観念の通知 ⇒ 意思表示の規定を類推適用 ∴ 97Ⅰ類推(到達主義) (以下3判例はおさえる) ➢ ✖️譲受人が債権者代位権にもとづき譲渡人に代位して債務者に債権譲渡通知をすることは認められない ➢ ◯譲受人が代理人または使者として債務者に対して債権譲渡通知をすることは認められる   ➢ ◯譲受人の譲渡人に対する通知請求権は債権者代位権の対象である ⑷承諾:観念の通知 ➢ 債権譲渡前の事前の承諾は債権と譲受人が特定されている限り有効 ∵債務者自身による利益の放棄 例)AがBにお金を貸しています (債務者:B)。 ​⇒ 通知の場合は認められない ∵ 債務者に不利益(通説) ⑸債権譲渡の取消・解除の場合:467Ⅰに準じて通知または承諾が対抗要件となりうる(判例) ※別紙の図参照 ③第三者対抗要件:確定日付のある証書による通知または承諾467Ⅱ ※郵便局の発送受付時に確定日付取得 ⑴確定日付:当事者が後から変更することができない公に確定した日付 a) 典型例​:内容証明郵便・公証役場での日付印の押捺等 b) 内容証明郵便​:日付・差出人・宛先・文書の内容を郵便局が謄本により証明する郵便 ​⇒ 郵便局での発送受付時に確定日付を取得 → 確定日付時の当該証書の存在を証明 ​⇒ 作成日・到達日とのズレが生じうる → 通常、到達日は郵便物配達証明書によって証明 (例) 4/1 債権発生 5/1 債権譲渡 5/2 債権譲渡通知書作成=作成日 5/3 内容証明郵便で発送=確定日付 5/4 債権譲渡通知書到達=到達日 ⑵確定日付の趣旨:利害関係人による不正を可及的に防止する ⑶ 効果:確定日付のある通知または承諾がなければ第三者に対抗することができない a)467Ⅱの第三者:通知又は承諾の不存在を主張する正当な利益を有するもの ​(例) 〇 債権の二重譲受人・譲渡債権の質権者   ​× 債務者の一般債権者 b) 対抗できない:債務者は優先する第三者だけを債権者として弁済しなければならない ​⇒ 劣後する第三者への弁済に債務消滅の効果なし = 467Ⅱは債務者も拘束 ⑸具体例 Q 第二譲受人のみ確定日付がある場合 ⑴ 事例​:Aが債務者Bへの債権をCに債権譲渡+通知 → AがDに債権譲渡+確定日付通知 ⑵ 問題の所在​:後に債権譲渡されたDとの対抗関係及び債務者との関係 ⑶結論 a) 第二譲受人との関係:第二譲受人Dが優先 ∵ DがCより先に対抗要件具備 b) 債務者との関係 ・​Dへの弁済のみ有効(478適用の余地あり) ​→ Cへの弁済拒絶可 + 支払えば二重弁済→703 ・​Dへ債権譲渡した通知前にCに対して弁済 ​→ Cへの弁済有効 ∵ 対抗関係なし  Q 第一譲受人・第二譲受人共に確定日付がある場合 ⑴事例:Aが債務者Bへの債権をCに債権譲渡+確定日付通知 → AがDに債権譲渡+確定日付通知 ⑵問題の所在:確定日付と到達日で先後が異なる場合の優劣の判断基準 (例) <A→C債権譲渡>譲渡日4/1 確定日付4/1 到達日4/5 <A→D債権譲渡>譲渡日4/2確定日付4/3到達日4/4 ⑶判例:(到達時説)確定日付のある通知が債務者に到達した日時または債務者の承諾の日時の先後で決する → 例ではD優先 ⑷理由:債務者の利益保護(到達日と確定日付が逆転した場合、債務を履行した債務者に不利益)+ 債務者の認識を通じ第三者に(債権を誰が所持しているかを)表示される→不正を可及的に防止 Q 同時送達・先後不明の場合 ⑴事例:第一譲受人・第二譲受人共に確定日付通知あり → 通知が債務者に同時に到達or 先後不明 ⑵問題の所在:譲受人と債務者間の関係 + 譲受人間の対抗関係 + 債務者の弁済 ⑶判例・結論 ⅰ 譲受人と債務者 (結論) 譲受人:債務者に全額請求できる 債務者:他の譲受人を理由に弁済責任を免れない (理由)通知あり467 ⅱ 譲受人相互 (結論)対等な関係 → 唯一の優先弁済権主張できない (理由)対抗要件具備467Ⅱ ※ 債務者が供託した場合、各譲受人は相互の債権額に按分して供託金の還付を受けることとなる ⅲ 債務者 (結論) 一方の譲受人への弁済で債務消滅 (理由)二重払いの危険、公平 ④将来債権の譲渡性 ⑴将来債権:将来発生する予定の債権 ​(例)事業での継続的な売買契約による代金債権 ​⇒ 債権譲渡契約時に債権はない + 将来発生する​ (例)来月の売買契約で発生 ⑴条文466の6改) ​Ⅰ:将来債権の債権譲渡が可能 ​Ⅱ:将来債権の債権譲渡において、債権発生時に譲受人が債権を当然に取得 ​Ⅲ:対抗要件具備時までに譲渡制限の意思表示 → 譲受人等は悪意とみなす ⑵ 趣旨:将来債権による資金調達の活発化から判例法理を明文化 債権譲渡における債務者の抗弁 ①抗弁:基礎となる事実と両立しつつその法律効果を排斥する別個の事実 ​(例)金銭消費貸借契約による債権 ​⇒ ​〇 無効・取消・解除 ​× 借りていない ②468:改)対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できるⅠ ⑴「対抗要件具備時」:通知または承諾をした時 → 催告後の無履行(相当期間)(デッドロックの場合)・債権者破産の場合(供託)の例外Ⅱ ⑵「譲渡人に対して生じた事由」:同時履行の抗弁権・弁済・無効・取消・解除 a) 無効:468で対抗できる​ (例)公序良俗・心裡留保・権利能力等 Q 第三者保護規定が設けられている場合に無効を対抗できるか ⑴事例​:AとBの通謀虚偽表示による架空の債権をCに債権譲渡 ⑵問題の所在​:468では対抗できる → 94Ⅱでは対抗できない → どちらが優先 ⑶判例​:94Ⅱを優先的に適用 =対抗できない ⑷ 理由​:債務者の帰責性 b) 取消:取消されるまでは一応有効、取消されたら遡及して無効 ​・対抗要件具備時に取消あり​  ⇒取消対抗可 ​・対抗要件具備時に取消なし + 取消事由あり   ​⇒対抗要件具備後でも取消と対抗可 Q 第三者保護規定が設けられている場合に取消を対抗できるか ⑴事例​:詐欺取消をしうる債権を譲受人に債権譲渡 → 譲受人が善意無過失の第三者 ⑵問題の所在​:468と96Ⅲのどちらが優先 ⑶結論​:96Ⅲを優先 =対抗できない ⑷理由​:騙されたという点で帰責性がある c)解除:有効に成立→ 解除原因発生 →解除権発生 →解除権行使=解除 ​(例)請負契約成立 → 仕事完成義務あり → 仕事完成義務不履行 → 解除権発生 → 解除 ​・対抗要件具備時に解除あり ​⇒ 解除対抗可 ​・対抗要件具備時に解除なし ​  ・解除原因あり ​⇒対抗要件具備後でも解除と対抗可 ​  ・解除原因なし・発生の基礎あり ​⇒ 対抗要件具備後でも解除と対抗可 ※ 「解除の発生の基礎」=期日までに家を建てなければならない状況(できなければ債務不履行で解雇権発生) Q 第三者保護規定が設けられている場合に解除を対抗できるか ⑴事例​:解除された債権が債権譲渡 → 545Ⅰの第三者である譲受人に対抗できるか ⑵ 問題の所在​:468では対抗可 → 545Ⅰで第三者の権利を害することはできない ⑶ 判例​:債権そのものの譲受人は545Ⅰの第三者に該当しない ⇒ 譲受人に対抗可 ③ 改正のポイント ⑴抗弁の切断規定の削除 ​改正前:債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾 → 抗弁対抗不可 ​改正後:削除 a) 批判:異議を主張しない場合、単に通知のみで抗弁が切断される b) 趣旨:債務者保護 ⑵譲渡制限付債権が譲渡された場合に対抗できる抗弁の基準時468Ⅱ ・​前段:466Ⅳの場合 ⇒ 催告後相当期間が経過した時 ∵ 譲渡制限の意思表示を対抗できていた ​・後段:466Ⅲの場合 ⇒ 債務者が譲受人から供託の請求を受けた時

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    債務者対抗要件:債権譲渡の取消、解除の場合の図

    取消・解除の場合:467Ⅰに準じて通知又は承諾が対抗要件となりうる(判例)

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    将来債権の譲渡466の6の図

    将来債権の譲渡性 ⑴将来債権:将来発生する予定の債権 ​(例)事業での継続的な売買契約による代金債権 ​⇒ 債権譲渡契約時に債権はない + 将来発生する​ (例)来月の売買契約で発生 ⑴条文466の6改) ​Ⅰ:将来債権の債権譲渡が可能 ​Ⅱ:将来債権の債権譲渡において、債権発生時に譲受人が債権を当然に取得 ​Ⅲ:対抗要件具備時までに譲渡制限の意思表示 → 譲受人等は悪意とみなす ⑵ 趣旨:将来債権による資金調達の活発化から判例法理を明文化

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    債権譲渡における債務者の抗弁468の図

    468:改)対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できるⅠ ⑴対抗要件具備時:通知又は承諾をした時 → 催告後の無履行(相当期間)・破産(供託)の例外Ⅱ ⑵譲渡人に対して生じた事由:同時履行の抗弁権・弁済・無効・取消・解除 a) 無効:468で対抗できる​(例)公序良俗・心裡留保・権利能力等

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    Q 第三者保護規定が設けられている場合に無効を対抗できるかの図

    ⑴事例​:AとBの通謀虚偽表示による架空の債権をCに債権譲渡 ⑵問題の所在​:468では対抗できる → 94Ⅱでは対抗できない → どちらが優先 ⑶判例​:94Ⅱを優先的に適用 =対抗できない ⑷ 理由​:債務者の帰責性

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    Q 第三者保護規定が設けられている場合に取消を対抗できるかの図

    ⑴事例​:詐欺取消をしうる債権を譲受人に債権譲渡 → 譲受人が善意無過失の第三者 ⑵問題の所在​:468と96Ⅲのどちらが優先 ⑶結論​:96Ⅲを優先 =対抗できない ⑷理由​:騙されたという点で帰責性がある

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    譲渡制限付債権が譲渡された場合に対抗できる抗弁の基準時468Ⅱ ​前段の図

    譲渡制限付債権が譲渡された場合に対抗できる抗弁の基準時468Ⅱ ・​前段:466Ⅳの場合 ⇒ 催告後相当期間が経過した時 ∵ 譲渡制限の意思表示を対抗できていた cf・後段:466Ⅲの場合 ⇒ 債務者が譲受人から供託の請求を受けた時 ​

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    2 債務引受 Aランク

    債務引受序説 ①債務引受:改)債務の同一性を維持しながら債務を新たな第三者(=引受人)に移転 ​・併存的債務引受:債務者の債務は存続し、引受人と共に債務を負う ​・免責的債務引受:債務者の債務は消滅し、引受人のみが債務を負う ② 改正の背景:明文なしだが判例・実務で認められている ⇒ 重要なので明文化して要件・効果を整理 ③履行引受 :債務者と引受人との間で、引受人が債務を履行する旨を約する契約 ​⇒ 債権者との関係では変化なし 併存的債務引受 ①要件470改) ⑴三面契約の場合​:債権者・債務者・引受人となる者との契約による ⑵470Ⅱの場合​:債権者と引受人となる者との契約による ​⇒ 債務者の意思に反しても有効(≒保証契約) ⑶470Ⅲの場合​:債務者と引受人となる者との契約による ​⇒ 第三者のためにする契約537の規定に従う → 債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に効力   ② 効果:連帯債務関係470Ⅰ ⇒ 同一内容の債務に各自全額給付義務 ・ 給付により全債務者の債務消滅 ③改正のポイント470:判例法理の明文化 + 連帯債務の絶対的効力事由の範囲が縮小 ④ 引受人の抗弁471 a) 債権者・引受人間の契約 ​Ⅰ:引受人は債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗できる ​∵ 同一内容の債務 ​Ⅱ:債務者が取消権・解除権を有する → 引受人は債務者が行使すれば債務を免れる限度で履行拒絶できる  ​∵ 引受人は行使不可 b) 債務者・引受人間の契約:Ⅰ・Ⅱに加えて、第三者のためにする契約に基づく抗弁を対抗可 免責的債務引受 ①要件472改) ⑴三面契約の場合​:債権者・債務者・引受人となる者との契約による ⑵472Ⅱの場合​:債権者と引受人となる者との契約 ​⇒ 債務者の意思に反しても有効(≒債務免除) ・ 債権者が債務者に対して通知した時に効力 ⑶ 472Ⅲの場合​:債務者と引受人となる者との契約 + 債権者の承諾(=成立要件) ​⇒ 債権者の承諾があった時に効力 ② 472改正のポイント ⑴判例変更Ⅱ​:債務者の意思に反する債権者・引受人間での免責的債務引受を認める ⑵第三者の差押の効力Ⅲ​:債権者の承諾は成立要件かつ承諾時に効力発生(=合意時に遡及しない) ③ 効果472Ⅰ ​・引受人:債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担 ​・債務者:債務を免れる ④ 引受人の抗弁472の2改) ​Ⅰ:効力が生じた時に債務者が主張できた抗弁を対抗可 ​Ⅱ:債務者が取消権・解除権を有する → 免れる限度で履行拒絶できる ⑤ 引受人の求償権472の3改):取得しない ⇒ 確認規定・禁止でもない ⑥担保の移転472の4改) ​・引受人が担保権設定者 ​⇒ 引受人の担保権移転の承諾不要Ⅰ ・​引受人以外の者が担保権設定者 ​⇒ 引受人以外の者の担保権移転の承諾必要Ⅰ ⑴ 承諾:担保権移転に対する承諾 = 優先順位を維持したまま引受人の債務を担保 ​⇒ 後順位担保権者の承諾は不要(≒更改) ⑵保証人がいる場合:Ⅰ準用Ⅲ + 承諾は書面または電磁的記録が必要Ⅳ・Ⅴ ⑶担保権移転の意思表示の時期:あらかじめまたは免責的債務引受と同時Ⅱ ∵ 付従性 ⑷改正のポイント:担保の移転の効果・要件を明文化 ​・承諾不要:引受人が抵当権設定者・保証人・第三取得者、承諾の後順位抵当権者 ・​承諾必要:債務者・引受人以外の者が抵当権設定者・保証人・第三取得者

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    3 契約上の地位の移転

    ①契約上の地位の移転:契約により発生する当事者としての地位を包括的に移転 ​⇒ 債権債務の移転のみならず、取消権・解除権を含めた地位そのものが移転 ② 要件 ⑴ 三面契約の場合:一方当事者(譲渡人)・譲受人・契約の相手方 ⑵ 539の2の場合:一方当事者(譲渡人)と譲受人間での合意 + 契約の相手方の承諾 ​⇒ 賃貸人たる地位の移転の場合、賃借人の承諾は不要605の3 ∵ 賃借人に不利益なし 第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。 88 効果 ​譲渡人:契約関係から離脱 ​譲受人:包括的に地位が移転 → 解除権・取消権等も移転

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    第三者の差押の効力470Ⅲ​ 図

    第三者の差押の効力Ⅲ​:債権者の承諾は成立要件かつ承諾時に効力発生(=合意時に遡及しない) →債権者の債務引受の承諾前に差し押さえがなされた場合、差押え債権者の債務者への差し押さえは有効

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    地位の移転の図

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    第四章 債権の消滅 A+

    1 債権の消滅原因総論 ① 財産権の本質的目的 ​・債権:消滅  ⇒ 通常、最終的に全債権は消滅 ​・物権:存続  ⇒ 通常、物が存在する限り存続 ​⇒ 債権の消滅原因を分類して理解 ② 債権消滅原因の全体像 ・​目的の消滅による​:弁済・代物弁済・供託 ​・目的の消滅以外による​:相殺・更改・免除・混同 ・​第6節以外の消滅原因​:消滅時効・取消・解除・解除条件の成就等 ⑴弁済・相殺が実務上も試験対策上も重要 ⑵ 履行不能:改)債権の消滅原因ではなく、履行不能の抗弁を認める412の2 ​⇒ 反対給付義務を免れない → 契約を解除すれば免れる 2 弁済 弁済の基本 ①弁済​:債務者が債務の内容である給付を実現すること473 ⑴弁済の結果​:改)債権が消滅473 ⑵ 改正ポイント​:弁済が債権の消滅原因であることを明示 ⑶履行・支払​:≒弁済 ​・弁済:債権の消滅・実現という効果に視点 ​= 給付結果を意味 ​・履行:債権の実現過程・動的側面に視点 ​= 給付行為を意味 ・​支払:金銭債務の弁済に視点 ② 弁済の性質:弁済意思(債務を消滅させようとする意思)→不要 + 単に客観的に債務の内容に適した給付行為(準法律行為説 通説) 弁済の提供 ①弁済の提供:債務者側が給付を実現するために必要な準備をして債権者の協力を求めること(弁提) ​⇒ 弁済ではない(債権存続)・受領遅滞と被る ⑴条文:弁提の効果492 ・ 弁提の要件493 ⑵弁済の過程:弁済の準備(債務者) → 弁済の提供(債務者) → 受領(債権者) ​⇒ 債務者が最終的にすべき行為が弁提 + 債権者の受領により弁済が完成 ⑶特定と弁提の区別 図 ※ 特定→効果:調達義務を負わない (不特定物→特定物) ※ 弁済の提供→効果:栄光遅滞責任を負わない ②弁提の要件493:債務の本旨に従った + 現実または口頭の提供 ⑴債務の本旨に従った:債権の目的を達する415参(弁済の要件) ⇒ 補充規定あり a) 時期:特約 →特約なければ法律の規定、573・591・取引時間の定めがあればその時間内484Ⅱ改)等 b) 場所:特約 → 特約なければ法律の規定、持参債務の原則484Ⅰ等 c) 内容 I. 現状引渡義務483:特定物引渡・契約等から品質を定めることができない → 現状引渡 ※契約等から品質を定めることができるならば現状引渡しただけではダメ ​・特定物ドグマ否定、任意規定、契約内容に適合した物の引渡し義務 II. 他人物引渡475:改)他人物引渡→取消、有効な弁済をしなければ取戻しできない  ​・改正前は制限行為能力者による代物弁済に限定476 → 削除 ​・趣旨:債権者保護 → 善意で消費又は譲渡した場合、弁済有効+弁済者に求償請求可476 ​Ⅲ. 口座振込による弁済477:改)債権者が払戻しを請求する権利を取得した時に効果発生 ​・具体的な預貯金債権取得時点は解釈に委ねる d) 費用:特約 → 法律の規定、債務者負担(∵債務者の行為)485 ⑵現実または口頭の提供:弁提の方法 a)現実の提供:債権者の協力がないために履行が完了できない程度の提供(判例) ​⇒ 現実の提供が弁済の提供の原則 + 口頭の提供は例外 493本文 b) 口頭の提供:債務者が弁済の準備をしたことを債権者に通知して受領を催告すること 493但 ​・債権者の行為が必要 or 債権者が予め受領拒絶 ​⇒ 口頭の提供可(準備・通知・催告) ​・受領拒絶の意思が明確​⇒ 口頭の提供不要、準備のみで足りる(判例) ③弁済の提供の効果: ※前提:弁済ではないので債権は存続する ⑴債務不履行責任(履行遅滞責任)を免れる492 ​・履行遅滞に基づく損害賠償415や契約解除541の問題は生じない ​ ・債務者:遅延賠償・遅延利息・違約金 の支払を免れる ​ ・債権者:履行遅滞を理由とする、解除・担保権の実行 はできない ※具体的な帰結を全て説明できるように ⑵同時履行の抗弁権533を行使できない ​・履行請求​:弁提の継続必要 → 履行請求時に必要(判例) ​・解除​:弁提の継続不要 → 一度の弁提でよい(判例) ⑶約定利息の不発生:弁済の提供の時から不発生(判例) ​⇒ 受領遅滞の効果413・413の2(注意義務の軽減・増加費用の債権者負担・危険の移転) 弁済の主体 ①弁済の主体:弁済者 + 弁済受領者 ​⇒ 弁済の当事者間での弁済が効果発生の要件 → 誰が誰に対して弁済すべきか? ②弁済者 ⑴債務者​:履行補助者による弁済も含む ⑵ 弁済権限授受者​:代理人・破産管財人等 ⑶第三者​:原則、第三者弁済はできる474改) a) 第三者弁済:債務者以外 かつ 弁済権限授受者でない かつ 第三者として 行う弁済 ​〇 債務者の親族・配偶者・友人が弁済 ​× 保証人・連帯債務者(∵債務者)、代理人(∵権限)、自己の債務として弁済(∵×第三者・707) b) 第三者弁済が認められない場合 ⇒ 無効 ​性質上の制限​:債務の性質から許されない​(例)アイドルの公演 ​意思表示による制限​:第三者弁済拒絶の意思表示​(例)当事者間の特約 ​正当な利益を有する者でない第三者が債務者または債権者の意思に反する ∵ 債務者・債権者保護 ​債務者の意思に反する ⇒ 債権者が知らなかったときは有効 ​債権者の意思に反する ⇒ 委託を受けて弁済する場合に債権者が知っていたときは有効 ​・正当な利益を有する:弁済をするについて法律上の利害関係を有する(判≒旧利害関係) ​〇 物上保証人・抵当不動産の第三取得者・後順位抵当権者 ​⇒ 意思に反する弁済可 ​× 債務者の親族・配偶者・友人 ​⇒ 意思に反する弁済不可 ➢ 借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する ∵ 退去 c) 改正のポイント ​・利害関係 ​→ 正当な利益 ​∵ 法定代位と一致し明確化 ​・債務者の意思に反する弁済は無効 → 債権者が知らなければ有効 ∵ 債権者・第三者弁済保護 d) 第三者弁済の効果:弁済 ⇒ 債権は消滅しうる ※消滅する場合もしない場合もある。(第三者に債権が移る場合がある) ③ 弁済受領者 ⑴債権者 ​⇒ 差押を受けた場合481改) ・ 制限行為能力者13等 → 例外的に無効 ⑵受領権者:弁済受領権限を付与された第三者​(例)代理人・債権質権者・差押債権者 ​⇒ 債権者又は受領権者以外の者への給付は原則、弁済の効果は生じない ④受領権者としての外観を有する者(=表見受領者)に対する弁済478改) ⑴要件:表見受領者 + 弁済者が善意無過失 ⑵表見受領者 ​表見相続人・ 無効な債権譲渡の譲受人・ 偽造の債権証書または受取証書の所持人・ 詐称代理人・ 通帳と届出印の持参人・ 債権の二重譲渡の場合の劣後する譲受人 ⑶効果:債権消滅 → 債権者は表見受領者に対し703・709 ⑷改正のポイント a) 「債権の準占有者」から「表見受領者」に変更 ​∵ 準占有者の概念が判例で拡張 b) 「受取証書の持参人480」の規定は 消滅 ​∵ 478は480を包含 ※受取証書:取引上、受領した物が金銭または有価証券のときには「領収書」、物品のときには「受取書」 Q 詐称代理人は表見受領者に含むか ⑴事例​:泥棒が他人の預金通帳と印鑑を盗んで、窓口で預金者の代理人として弁済を受ける ⑵問題の所在​:表見代理110による処理 ⑶判例​:478適用 ⑷理由​:基本代理権なし→ 110適用の余地なし Q ATMでの表見受領者への払戻しの場合に478は適用されるか ⑴ 判例​:注意義務を尽くしていれば478適用 → かなり限定的 ⑵預金者保護法​:偽造・盗難キャッシュカードによる払戻しは、原則として銀行が補償 弁済の効果 ①債権の消滅473 ⑴付従性による消滅 ⇒ 保証債務及び担保物権も消滅 ⑵ 弁済の充当:給付が同一債権者の債務の消滅を満たさない場合、どの債務の弁済にあてるか a) 順序​:合意充当490 → 法定充当489Ⅰ → 指定充当488Ⅰ~Ⅲ → 法定充当488Ⅳ b) 合意充当​:当事者間の合意に従う充当 ​⇒ 合意充当優先の原則 ・ 任意規定 ※合意があれば費用利息元本の順序も自由にできる c) 指定充当​:当事者の一方の指定による充当 ​⇒ 弁済者 → 弁済受領者 の順 ※費用利息元本の順序は489①に従う d) 法定充当​:法律の定めによる充当 ​⇒ 弁済期 → 債務者利益等 の順 e) 489Ⅰ​:利息・費用がある場合、費用 → 利息 → 元本 の順 ② 弁済の証明 ⑴受取証書の交付請求486:改)弁済と引換えに受取証書の交付請求できる a) 受取証書:弁済の受領を証明する書面 ⇒ 形式不問(日付・相手方等は必要)+ 債権者負担 ​(例)受取証 ・領収書 ・レシート ・預かり証 等 b) 趣旨:二重弁済の防止 c) 改正のポイント:受取証書の交付と弁済は同時履行の関係 ⑵債権証書の返還請求487:債権証書あり + 全部の弁済あり → 債権証書の返還請求できる a) 債権証書:債権者が債権の成立・内容を証明させるために債務者に作成させた書面 ​(例)借用書 ・ 借用証書 等 b) 486との違い:債権証書がある場合のみ + 同時履行の関係にない

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    特定と弁提の区別 図

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    特定物ドグマの図 483

    図 改正後は、原則弁済無効 →債務不履行責任の問題に

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    弁済の提供の効果:533関係の図

    図 弁済の提供がなされると相手方は同時履行の抗弁権533を行使できない ​・その後の履行請求​:弁提の継続必要 → 履行請求時に必要(判例) ​・その後の解除​:弁提の継続不要 → 一度の弁提でよい(判例)

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    差押を受けた債権の第三債務者の弁済481の図

    ① 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。 ② 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

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    ◾️ 代位弁済(弁済による代位)

    ①代位弁済:債務者以外の者が弁済をしたとき、債権者が債務者に対して有していた権利が弁済者に移転 ​⇒ =弁済による代位・弁済者代位 ⑴ 基本用語 ​・原債権​:弁済によって消滅すべきはずの債権者から債務者に対する債権 ​・代位弁済者​:債務者に代わり弁済をした者 ⇒ 求償権を取得 ​・求償権​:本来の債務者でない者が債務者に代わり弁済したとき、弁済費用等を請求する権利 ​・代位債権​:債務者以外の者の弁済によりこの代位弁済者に移転した債権 ※求償権と代位債権は別物 ⑵趣旨:弁済者保護 → 原債権・担保権を代位弁済者に移転499以下 ※ 図参照 ⑶求償権の根拠条文 ​・第三者が債務者からの依頼に基づき弁済 ​⇒ 委任契約650Ⅰ ​・第三者が債務者からの依頼に基づかないで弁済 ​⇒ 事務管理702 ​・保証人・物上保証人が弁済 ​⇒ 459以下 ⑷ 法律構成:債権者・債務者間で消滅 → 代位弁済者のために存続し代位弁済者が債権者となる(判例)(法律上の債権移転説) ⑸ 代位弁済の形態 ​・任意代位:正当な利益を有する者でない第三者が弁済 ​・法定代位:正当な利益を有する者が弁済 ⑹正当な利益を有する者 ​保証人・ 物上保証人・ 抵当不動産の第三取得者・ 連帯債務者・ 不可分債務者・ 一般債権者 ・不動産の譲渡担保権者・ 抵当不動産の賃借人 ② 代位弁済の要件 ⑴成立要件:任意代位・法定代位共通 ⅰ ​債権の満足 ​→ 弁済と同一視できる、代物弁済・相殺・混同等も可 ⅱ ​求償権の存在 ​→ × 贈与等 ⑵対抗要件500:改) ​・任意代位:債権譲渡の債務者対抗要件・第三者対抗要件467を満たす ​→ 対抗できる ​・法定代位:当然に(上記不要) ​→ 対抗できる ⑴ 改正のポイント:任意代位なら債権者の承諾が必要 → 削除 ③ 代位弁済の効果 ⑴ 代位者・債務者間の効果 a) 債権者が有していた一切の権利を行使501Ⅰ ​・債権:履行請求権・損害賠償請求権       ・債権者代位権 詐害行為取     消権・従たる権利 ​・担保:物的担保(抵当権等)・人的     担保(保証等) b) 代位権の行使の範囲​:求償権の範囲に限定501Ⅱ c) 求償権と原債権の関係​:別債権性(債権額・時効等は別でカウント) + 付従性(消滅・担保の実行等は同じように判断) Q 内金・内入金・中間金の処理 ⑴内金​:債務の一部を前払いする金 =内入金・中間金 ⑵問題の所在​:債務者が第三者に対して一部を支払いした場合、内金は求償権と代位債権のどちらに充当されるか ⑶判例​:求償権と原債権の両方に充当 ⑵一部代位502:改) a) 一部代位:債権の一部を代位弁済 ⇒ 債権者・原債権ともに存続 b) 趣旨:債権者保護(∵担保の換価時期等の利益が害されうる) → 原債権者優先主義 ※ 5,000万円の債権があるのに100万円を第三者が代位弁済すれば第三者が好きな時に担保を実行できるなどということになったら債権者に不利益 c) 効果 ​・502Ⅰ:代位者は単独での権利行使不可 → 債権者の同意必要 ​・502Ⅱ:債権者は単独での権利行使可 ​・502Ⅲ:債権者の権利は代位者に優先   ※抵当権を実行した場合、代位者より債権者が優先して弁済を受ける d) 改正ポイント​:代位者単独での抵当権の実行を認める判例の変更→債権者の同意が必要に e) 解除502Ⅳ​:債権者のみできる + 代位弁済者への償還が必要 【以下、182講】 ⑶ 代位者相互の効果と条文 【法定代位権者相互の関係・条文と効果】 ・保証人 + 第三取得者 → 保証人が代位弁済 保証人は第三取得者に代位できる 規定なし(501Ⅰから当然) ・物上保証人 + 第三取得者 → 物上保証人が代位弁済 物上保証人は第三取得者に代位できる 規定なし(501Ⅰから当然) ・保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済 第三取得者は保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提 ・物上保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済 第三取得者は物上保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提 ・(債務者からの)第三取得者が複数 → 1人の第三取得者が代位弁済 各財産の価格に応じて501Ⅲ2号 ・物上保証人が複数 → 1人の物上保証人が代位弁済 501Ⅲ2号を準用501Ⅲ3号 ・共同保証人 → 一人の保証人が代位弁済 465によって取得する求償権の範囲501Ⅱ括弧 ・保証人 + 物上保証人(単数or 複数) → 保証人or 物上保証人が代位弁済 単数 → その数に応じて501Ⅲ4号=保証人扱い 複数 → 保証人部分を除き各財産の価格に応じて501Ⅲ4号 a) 501Ⅰ ​・改正ポイント:あらかじめ付記登記が必要 → 削除 ∵ 債権譲渡との均衡・保護の必要性なし ​⇒ 付記登記は第三取得者への対抗要件ではなく、承継を証する公文書となった b) 501Ⅲ ​・第三取得者​:担保物権の設定されている物について、新たに物権を取得した第三者 ​・改正ポイント​:第三取得者→「債務者からの第三取得者のみ」に明文化 ​⇒ 第三取得者の意義:債務者からor 物上保証人からを含む  ※債務者からの第三取得者は債務者と同じようなもの。一方で、物上保証人からの第三取得者は物上保証人と同じようなもの。 c) 501Ⅱ括弧 ​・改正ポイント ​原則:共同保証以外 ⇒ 自己の権利に基づいて債務者に求償できる範囲内 ​例外:共同保証   ⇒ 自己の権利に基づいて、他の保証人に求償できる範囲内465 Q 保証人が物上保証人を兼ねる場合の処理 ⑴事例:保証人が物上保証人として不動産を担保に供した場合 ⑵問題の所在:1人 or 2人 → 保証人or 物上保証人 ⑶判例・通説:単一資格説(判) → 保証人兼物上保証人1人説(通) ∵ 501の趣旨である公平 ​単一資格説​:一人として扱う ​保証人兼物上保証人1人説​:頭数で分割された額まで保証債権または抵当権を代位行使できる ⑷ 債権者の義務 a) 債権者は証書及び担保物の交付義務あり503Ⅰ ∵ 代位弁済者の便宜 b) 法定代位権者のための担保保存義務あり504Ⅰ → 担保喪失・減少ならその限度で免責

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    【法定代位権者相互の関係・条文と効果】図

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    保証人 + 第三取得者→ 保証人が代位弁済

    保証人は第三取得者に代位できる 規定なし(501Ⅰから当然) 物上保証人 + 第三取得者

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    物上保証人 + 第三取得者→ 物上保証人が代位弁済

    物上保証人は第三取得者に代位できる ※ 規定なし(501Ⅰから当然)

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    保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済

    第三取得者は保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提

  • 35

    ・物上保証人 + 第三取得者 → 第三取得者が代位弁済

    第三取得者は物上保証人に代位できない501Ⅲ1号 ∵ 抵当権等の負担を前提

  • 36

    501③⑴の図

    物上保証人からの第三取得者EはDに代位できる 債務者からの第三取得者DはEに代位できない

  • 37

    ・(債務者からの)第三取得者が複数→ 1人の第三取得者が代位弁済

    各財産の価格に応じて501Ⅲ2号 ※甲、乙それぞれ別建物をX、Yが取得

  • 38

    ・物上保証人が複数→ 1人の物上保証人が代位弁済

    501Ⅲ2号を準用501Ⅲ3号

  • 39

    ・共同保証人→ 一人の保証人が代位弁済

    465によって取得する求償権の範囲501Ⅱ括弧

  • 40

    ・保証人+物上保証人(物上保証人が単数)→ 保証人or 物上保証人が代位弁済

    ・物上保証人が単数 → その数に応じて501Ⅲ4号=保証人扱い

  • 41

    ・保証人+物上保証人(物上保証人が複数)→ 保証人or 物上保証人が代位弁済

    ・物上保証人が複数 → 保証人部分を除き各財産の価格に応じて501Ⅲ4号

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    Q 保証人が物上保証人を兼ねる場合の処理

    ⑴事例:保証人が物上保証人として不動産を担保に供した場合 ⑵問題の所在:1人 or 2人?保証人or 物上保証人? ⑶判例・通説:単一資格説(判例) → 保証人兼物上保証人1人説(通説)  ∵ 501の趣旨である公平 ​単一資格説​:一人として扱う ​保証人兼物上保証人1人説​:頭数で分割された額まで保証債権または抵当権を代位行使できる

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    3 代物弁済

    ①代物弁済:債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約482 ​⇒ 弁済と同一の効力 = 債権の消滅原因 ②法的性質482:改)  改正前-要物契約(成立=債権消滅) →改正後-諾成契約(成立≠債権消滅) ⑴ 代物弁済の合意 ⇒ 代物弁済契約成立 + 所有権移転(判例)  ∵ 意思主義176 ⑵ 弁済者が給付  ⇒ 債務消滅 ➢ (1)~(2)の間、債務者の負担した給付の請求は妨げられない ∵ 諾成契約=代物給付義務があるだけ。当初の給付の債務は存続している ③要件 ⑴当初の給付の存在 ​→ 欠けた場合、非債弁済705に問擬 ⑵当初の給付に代わる給付についての合意​→ 契約成立に給付は不要 ④効果:弁済と同一の効力482 ⑴弁済の規定を類推適用:担保権消滅・受取証書交付486・債権証書の返還487等 ⑵ 対抗要件:必要 → 所有権は合意時に移転 ​・不動産​:移転登記の完了が必要 ・​動産​:引渡しが必要 ・​債権​:第三者対抗要件の具備が必要

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    4 供託 B

    ①供託:弁済者が債権者のために弁済目的物を供託所に保管させることによって債務を消滅させる制度 ​⇒ 債務の消滅原因494改) ⑴ 例​:受領拒絶 → 債務自体を消滅させるため供託所に保管 → 債務消滅 ⑵ 趣旨​:債務者を債務から解放する → 担保権の拘束・保管義務等 ⑶法的性質​:第三者のためにする寄託契約657 ② (弁済供託の)要件:494改) → 担保保証供託(民訴)・譲渡制限特約付債権譲渡の供託等は別 ⑴ 債権者の受領拒絶:弁済の提供が必要​(例)目的物の受取拒否 ⑵債権者の受領不能:要件なし​(例)債権者不在等 ⑶債権者の確知不能:弁済者の無過失が必要​(例)相続人不確知の場合・債権譲渡の場合等 ➢ 債務の本旨に従った供託が必要 → 一部供託は効力なし + 但し、不足が僅少ならその範囲で有効 ③ 方法:供託者(=弁済者)が被供託者(=債権者)のために供託物を供託所に保管する495改) ⑴ 供託所495Ⅰ・Ⅱ​:履行地の供託所 + 請求により裁判所が選任 ⑵ 供託物​:原則-弁済の目的物 ・ 例外-自助売却金497 ⑶ 自助売却497​:供託物が保存に不適な一定の場合に、裁判所の許可を得て競売しその代金を供託 ​→ 一定の場合​:供託に適さない ・ 価格の低落のおそれがある2号改) ・ 過分の費用等 ⑷供託の通知495Ⅲ​:弁済者は債権者に供託の通知が必要 → 実際は供託官の供託通知書でよい ④ 効果 ⑴ 債権の消滅​:供託物の取戻しを解除条件として供託時に生じる ⑵所有権移転​:供託=供託所 → 債権者に交付=債権者(金銭の場合) ⑶交付請求権​:債権者に発生 ・ 受益の意思表示537Ⅲは不要 ⑷取戻請求権496​:供託者に発生 ・ 受諾前or 有効判決確定前or 質権又は抵当権消滅前 に限定

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    5 相殺 A+

    概要 ①相殺:相互に同種の債権を有する場合にその債権を対等額において消滅させる一方的意思表示 505Ⅰ ・​自働債権:相殺をする際に相殺をする側の債権者の有する債権 ​・受働債権:相殺をする際に相殺される側の債務者の有する債権 ​⇒ 債権の消滅原因 ②趣旨 ⑴簡易弁済機能​:意思表示のみで相互に弁済 ​→ 金銭授受及び時間の節約 = 手続きの簡易化 ⑵公平維持機能​:破産等で一方のみが弁済 ​→ 対等額の債権消滅で公平 = 当事者間の公平 ⑶担保的機能​:貸金の確実な返済ができる ​→ 受働債権につき担保権を有するにも似た地位が付与 例:銀行と預金者。預金者が銀行から借入。預金者に担保がない場合、預金債権(定期預金)(受動債権)が相殺により担保的な機能を持つ ③分類 ​・法定相殺:民法上に定められた一方から相手方に対する一方的な意思表示による相殺 ≒ 相殺 ​・相殺契約:当事者間の契約による相殺 → 法定相殺の制約がない(対等額でなくともできる 等) ④法的性質:単独行為 → 相手方との合意不要 ・​自働債権:一方的意思表示による自動債権の債務者に対する履行の強制 ​・受働債権:自動債権の債務者にとって任意的な履行 (要件) 505 ​・相殺適状​:双方の債権が相殺をするための諸条件を具備している状態505Ⅰ ​・相殺禁止がない​:相殺が禁止される場合505Ⅱ・509・510・511等に該当しない ​・相殺適状 ①債務が対立 ​原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改) ​  ・対抗要件具備時より前に発生した債権による相殺 ​→ 対抗可469Ⅰ   ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権 ・ 請負契約による報酬債権  ​自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 ⑵連帯債務:443Ⅰ ⑶保証債務:463Ⅰ Q 第三者弁済的相殺の可否 ⑴ 事例:物上保証人または抵当不動産の第三取得者が債権者に対し自己の債権をもってする相殺 ⑵問題の所在:第三者は弁済できる → 相殺もできる?しかし債権は対立していない ⑶判例・学説 ・通説(反対説) 結論:相殺できる 理由:正当な利益を有する者 ・判例 結論:相殺できない 理由:要件を満たさない+規定なし ②同種の目的を有する:給付内容が同一 ​〇:金銭債権 ・ 同じ不特定物の引渡債権 ・  ※履行地が異なっていても相殺可能(生じた損害の賠償は必要)507 ​×:金銭債権と物引渡債権 ・異なる物の引渡債権 ※ 相殺は一方的意思表示できるため、価値が同じでもこれらの場合では認められない ③双方の債務が弁済期にある ​自働債権:弁済期到来が必要 ∵ 履行強制の性質 ​受働債権:弁済期到来が不要 ∵ 任意の履行 → 期限の利益の放棄で可能(判例) ​⇒ 自働債権の弁済期到来で足りる 語呂:自分の弁当必要 ④双方の債権が有効に存在する →  × 無効・弁済による消滅・解除による消滅 ⑴508:時効で消滅した債権がその消滅以前に相殺適状 → 債権者はこれを自働債権として相殺可 ​⇒ 両債権が相殺適状にあれば、その後一方が時効消滅しても相殺できる a) 趣旨​:当事者の信頼と公平 b) 判例​:時効で消滅した債権を債権譲渡で取得した場合 → 自働債権として相殺不可 ∵ 趣旨 c) 受働債権​:消滅時効完成 → 債務者は時効の利益を放棄して相殺可 ∵ 任意履行 Q 除斥期間を経過した債権を自働債権とする相殺の可否 ⑴問題の所在:消滅時効と類似 → 508適用? ⑵判例:508適用 → 自働債権として相殺可 ⑶理由:508の趣旨 ⑤債務の性質が相殺を許すもの:同種+現実の履行が債務実現の要件  → × なす債務は相殺できない(例:勉強を教える) ⑥自働債権に相手方の抗弁権がない  ​×:同時履行の抗弁権がある、   保証人の催告・検索の抗弁権がある ​ 〇:受働債権に抗弁権、請負契約で瑕疵修補に代わる損賠請求権と請負代金債権(同時履行) ​・相殺禁止がない ​ ・当事者の意思による相殺禁止​:相殺制限特約505Ⅱ ​ ・法律による相殺禁止​:不法行為による債権509・差押禁止債権510・差押を受けた債権511 ①505Ⅱ:改)当事者が相殺禁止・相殺制限の意思表示(相殺制限特約)をしていない ⑴意思表示あり​:悪意または善意重過失の第三者に対抗可  ⑵改正​:改正前 - 善意者に対抗不可  ・  改正後 - ≒ 債権譲渡制限特約 ② 509:改)不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止 ⑴ 債権 ​・1号:悪意による不法行為に基づく損害賠償債務​(例)傷害・詐欺 ​・2号:生命または身体の侵害による損害賠償債務​(例)交通事故 ⑵趣旨:不法行為の誘発防止 ・被害者への現実の給付 ⑶ 改正:改正前:不法行為に基づけば全面禁止  ・ 改正後:趣旨に沿う場面に限定 ⑷例外:1号・2号の債権者が他人から譲受された → 不適用 ∵ 趣旨 Q 偶然の同一事故により当事者双方が身体侵害による損害賠償請求権を持ち合う場合の相殺の可否 ⑴事例​:たまたまの同一の交通事故で各々が損害賠償債務を負担 ⑵問題の所在​:双方が509の適用 → 紛争の一回的解決 ・ 誘発防止に該当しない? ⑶結論 (判例・通説​)相殺不可 ​∵ 趣旨に合致する ​(裁判例・有力説​):相殺可 ​∵ 趣旨に合致しない 510:差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止 ⑴差押禁止債権:法律により差押えが禁止される債権 ​(例) 生活扶助料等(生保58) ・ 年金(国年24・厚年41) ・ 健康保険給付(健保61) ⑵趣旨:現実の給付 ④511:改)差押を受けた債権を受働債権とする相殺の禁止 ⑴ 差押えと相殺の関係511 Ⅰ ・​差押前に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できる ・​差押後に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できない ⑵ 改正:無制限説(=自働債権と受働債権の弁済期の先後を問わず、相殺を対抗できる)を明文化  ※短答対策で覚えておく。弁済期が受働債権→自働債権の場合、受働債権について債務不履行なのに受働債権の債権者に相殺を認めていいのかという問題があった。判例は従来から無制限説 ⑶差押えと原因の関係511 Ⅱ ​・差押後に取得した債権が差押前の原因に基づいて生じた ​→ 対抗できる ・ただし、この場合でも​第三債務者が差押後に他人の債権を取得したとき ​→ 対抗できない ⑸相殺予約:一定の事由が生じた時は直ちに相殺の効力を生じるとする当事者間の特約 a) 事例:預金担保貸付 - 期限の利益喪失約款を付した相殺予約 → 差押により直ちに相殺適状 b) 判例:当事者間の特約を第三者に対抗できる 方法 ①相殺の方法506Ⅰ:当事者から相手方に対する意思表示 → 自働債権の債務者 ・ 受働債権の譲受者 ➢ 意思表示は取引観念から判断 → 明示でも黙示でも可 ②条件・期限の禁止:条件または期限を付することができない ∵ 単独行為 → 不安定・(遡及効あるので)無意味 効力 ①債権の消滅505Ⅰ:対等額において消滅 ➢ 債務者は債権証書返還請求権を有する ∵ 487類推適用(全部の債権を消滅させる必要あり) ②相殺の遡及効506Ⅱ:相殺適状になった時に遡って効力を生ずる  ∵当事者意思 ​→ 相殺適状後の利息・遅延損害金・違約金等は消滅 + 支払えば703・704等 ※ 重要 Q 相殺適状後に解除があった場合の処理 ⑴ 事例:賃貸借契約が賃料不払いにより解除 → 賃料債権を反対債権によって相殺 ⑵反対債権と反対債務 ​反対債権:互いに対向している債権の一方からみた他方の債権​(例)相殺 ​反対債務:互いに対価的関係にある債務の一方からみた他方の債務​(例)売買 ⑶問題の所在:遡及効 → 解除の効果 ⑷ 判例:解除の効果に影響なし + 賃借人が反対債権に関して善意で相殺の時期を失した場合でも同様 Q 転付債権者からの逆相殺の優劣 本稿添付画像参照 ⑴逆相殺​:債権の譲受人が元から負担していた債権と譲受された債権を相殺(⇔順相殺) ⑵ 事例​:転付命令により取得した債権を元から負担していた債権と相殺する場合 ⑶問題の所在​:B(甲・乙) ・ C(乙・丙)ともに相殺可 → 遡及効?B(甲・乙)で相殺の場合に遡及効を認めるとCは乙をもともと取得しなかったことになるがそれでよいのか? ⑷判例​:先に相殺の意思表示をした方を優先(早い者勝ち) ③相殺の充当512:改) 複数の債権 ⇒ 合意 → 相殺適状の時期の早い順 → 法定充当Ⅱ の順

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    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡①対抗要件具備より前

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・対抗要件具備時より前に発生した債権による相殺 ​→ 対抗可469Ⅰ ※ 図:債務者Bは譲受人Cからの100万の請求に対し、①100万の債権で相殺で対抗可能 ​  

  • 47

    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡②対抗要件具備より後 469Ⅱ⑴

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ ★a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 例)求償権 図:AB間:保証委託契約 趣旨:契約時点での相殺の期待を保護 b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権 ・ 請負契約による報酬債権  ​自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 ​  

  • 48

    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡②対抗要件具備より後 469Ⅱ⑵

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権・ 請負契約による報酬債権(典型的な将来債権) ​・自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​・受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 ★c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 例:図で④求償権を他人から取得した場合 ​  

  • 49

    ・相殺適状 債務は対立の要件の例外: 債権譲渡②対抗要件具備より後 469Ⅱ⑵

    ①債務が対立 ​・原則:2人の間で自働債権と受働債権が相対する ​・例外:2人の間で自働債権と受働債権が相対していないが相殺可 →⑴債権譲渡の場合:債務者は相殺をもって譲受人に対抗できる468 ・ 469改)  ・​対抗要件具備時より後に発生した債権による相殺 ​→ 469Ⅱ a) 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可1号 例)求償権 図:AB間:保証委託契約 趣旨:契約時点での相殺の期待を保護 ★b) 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 ​→ 対抗可2号 ​(例)継続的な売買契約による債権 ・ 請負契約による報酬債権 (典型的な将来債権) ​自働債権:対抗要件具備時より後の原因 かつ 譲受人の取得した債権の発生原因である契約 ​受働債権:譲渡された将来債権に限定 ∵ 条文 ・自働債権と受働債権の発生原因である契約は同一のもの ⇒ 個別具体的に判断 c) 469Ⅱ各号の場合に他人の債権を債務者が取得した ​→ 対抗不可但 ​  

  • 50

    508の図:時効で消滅した債権がその消滅以前に相殺適状

    508:時効で消滅した債権がその消滅以前に相殺適状 → 債権者はこれを自働債権として相殺可 ​⇒ 両債権が相殺適状にあれば、その後一方が時効消滅しても相殺できる a) 趣旨​:当事者の信頼と公平 b) 判例​:時効で消滅した債権を債権譲渡で取得した場合 → 自働債権として相殺不可 ∵ 趣旨 c) 受働債権​:消滅時効完成 → 債務者は時効の利益を放棄して相殺可 ∵ 任意履行

  • 51

    508 判例​:時効で消滅した債権を債権譲渡で取得した場合 図

    → 自働債権として相殺不可 ∵ 趣旨 

  • 52

    当事者の意思による相殺禁止​:相殺制限特約505Ⅱ 図

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    511:改)差押を受けた債権を受働債権とする相殺の禁止 図

    ⑴ 差押えと相殺の関係Ⅰ ・​差押前に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できる ・​差押後に取得した債権:第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できない ⑵ 改正:無制限説(=自働債権と受働債権の弁済期の先後を問わず、相殺を対抗できる)を明文化 ⑶差押えと原因の関係Ⅱ ​差押後に取得した債権が差押前の原因に基づいて生じた ​→ 対抗できる ​第三債務者が差押後に他人の債権を取得したとき ​→ 対抗できない ⑷ 改正:相殺を対抗できる範囲を破産手続開始決定時に合致

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    相殺予約. 事例:預金担保貸付 図

    相殺予約:一定の事由が生じた時は直ちに相殺の効力を生じるとする当事者間の特約 a) 事例:預金担保貸付 - 期限の利益喪失約款を付した相殺予約 (銀行の自働債権は弁済期が到来しておらず相殺できないので相殺予約をつける) → 債権者(銀行)とは別の差押により直ちに相殺適状 b) 判例:当事者間の特約を第三者に対抗できる

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    Q 相殺適状後に解除があった場合の処理

    ⑴ 事例:賃貸借契約が賃料不払いにより解除 → 賃料債権を反対債権によって相殺 ⑵反対債権と反対債務 ・​反対債権:互いに対向している債権の一方からみた他方の債権​  (例)相殺 ・​反対債務:互いに対価的関係にある債務の一方からみた他方の債務​  (例)売買 ⑶問題の所在:遡及効 →解除前に賃料債権はなかったことになり、債務不履行もなかったことになる→解除の効果は? ⑷ 判例:解除の効果に影響なし + 賃借人が反対債権(BのAに対する債権)に関して善意で相殺の時期を失した場合でも同様

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    6 更改 B+短答 7 その他の債権の消滅原因

    6 更改 更改概要 ① 更改513:改)当事者が債務の要素を変更することにより、旧債務を消滅させ新債務を成立させる契約 ②法的性質 ⑴代物弁済(482)に類似:別の対価を給付 ​・代物弁済​:本来の債務は存続 ​→給付により消滅 ​・更改​:本来の債務は消滅 ​→ 新債務が成立 ⑵有因:旧債務・新債務に因果関係 ⇒ ×旧債務が不存在 → ×更改で生じた新債務も不存在 ・ ×新債務が不存在 → 〇旧債務が復活 ⑶ 更改の意思が必要 ③改正 ⑴ 債務の要素を変更:ⅰ給付内容の重要な変更ⅱ債務者の交替ⅲ債権者の交替 に具体化 ⑵更改の意思が必要:欠缺 - 代物弁済 ・免責的債務引受 ・債権譲渡 ⑶条件付債務を無条件債務に・無条件債務に条件付与した場合、更改とみなすという規定は削除 要件 ①消滅すべき旧債務の存在 ​ ⇒ 欠缺 → 更改の効力なし ②新債務の成立  ​⇒ 欠缺 → 旧債務消滅なし ⑴517:改)更改によって生じた債務が、不法原因・当事者の知らない事由により不成立・取消された場合には更新前の旧債務は消滅しないとしていた規定は削除 ⑵ 更改後の新債務に不成立・取消事由があった場合:事案ごとに判断 ③債務の要素の変更 ④当事者:514・515 ⑴重要な変更:債権者と債務者 ⑵債務者交替:改)債権者・更改後債務者間の契約でできる + 更改前債務者への通知で効力発生 ​⇒ 改正:更改前債務者の意思に反しないことは不要 ≒ 免責的債務引受 ⑶債権者交替:改)新旧債権者・債務者の三面契約 + 第三者対抗要件は確定日付のある証書 効果 ① 旧債務の消滅513 ⑴旧債務の担保​:原則、担保権・保証債務・違約金債権等の従たる権利も消滅 ⑵移転518​:改正)旧債務の限度の抵当権・質権 + あらかじめまたは同時に相手方へ意思表示(単独の意思表示) ⑶改正ポイント ​改正前:当事者の合意が必要  ​改正後:単独の意思表示で可 + あらかじめまたは同時(∵付従性) ⑷免責的債務引受との異同 別紙 ②新債務の成立 ➢ 旧債務に付着していた抗弁 ⇒ 新債務者に移転しない ③求償権514Ⅱ:債務者交替による更改後債務者は更改前債務者に対し求償権を取得しない ​⇒ ≒ 免責的債務引受 7 その他の債権の消滅原因 B+ 免除 ①免除519​:債権を無償で消滅させる債権者の一方的意思表示 ②法的特徴​:単独行為 ・ 無償 ・ 債権の放棄 ③要件:債権者の債務者に対する免除の意思表示 ➢ 第三者への免除の意思表示は債権消滅の効果なし ➢ 特別の方式は不要 → 明示・黙示(借用証書の返還等)は不問 ➢ 単独行為だが債務者に不利益でなければ条件を付けてもよい ※例外的なので短答対策でチェック   ④効果:債権消滅 ⇒ 担保権等も消滅 ・ 487類推適用 ➢ 債権に担保権等が設定されている場合は免除できない ∵ 第三者の権利を害することはできない 混同 ①債権の混同520:同一債権について債権者としての地位と債務者としての地位が同一人に帰属 ​(例) 父親から100万円を借りる → 父親死亡により単独相続 ② 要件:同一債権について債権者と債務者が同一 ​⇒ 物権の混同179と区別 ③ 効果:債権消滅 ➢ 債権に担保権等が設定されている場合は消滅しない ∵ 第三者の権利を害することはできない

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    更改と免責的債務引受との異同 図

    図 担保権移転の方法は更改と免責的債務引受で共通

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    第五章 責任財産の保全 A+1総論

    1 責任財産の保全総論 ①責任財産:債務者の総財産-担保権の対象となっている財産-差押禁止財産 = 責任財産 ⑴特徴:強制執行の対象となりうる財産 ⑵差押禁止財産 ​・動産​:生活に欠くことができない衣服・家具等、1カ月分の食料、2か月分の生活費(民執131) ​・債権​:給料等の4分の3 (max33万)(民執152)・公的年金・生活保護給付金等 ​・不動産​:原則、差押可 ②責任財産保全の必要性:前提として財産処分の自由 + しかし金銭債権の効力は責任財産に左右 → 債権者のために責任財産保全の仕組みが必要 ⑴ 責任財産保全の制度​:債権者代位権423以下 + 詐害行為取消権424以下 ⑵概要​:一定の場合に債務者の財産処分の自由を制限 ⑶趣旨​:責任財産を保全することにより強制執行の準備をする ※この趣旨は論文でよく書くので覚える

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    2 債権者代位権

    債権者代位権の概要 ①債権者代位権:債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに債務者に属する権利を行使できる権利 ​⇒ 423 = 債権者代位権 ​(典型例)貸した金を請求しない(=債務者が唯一の責任財産に対する権利行使をしない) ②趣旨:責任財産を保全することによって強制執行の準備をする ③関連用語 ​・代位債権者:債権者代位権を行使する債権者 ​・被代位債権:423の対象となる債務者に属する権利 ​= 被代位権利 ​・被保全債権:423の行使により保全される債権 ​= 代位債権 ​・第三債務者:423の行使により423の相手方となる者 ④債権者代位権の転用:423を債務者の責任財産の保全を目的としないで行使する場合 ​⇒ 実務上、非金銭債権の内容を実現するため認められる 〈債権者代位権の要件〉 ​・被保全債権​:存在、弁済期到来、強制執行可 ​・保全の必要性 ・被代位権利​:存在・一身専属権でない・差押禁止でない・債務者不行使 ①被保全債権 ⑴存在423Ⅰ:債権者が債務者に対して金銭債権を有する ∵ 趣旨 ​⇒ 但し、転用では金銭債権でなくても可 ⑵弁済期到来423Ⅱ:改)被保全債権の弁済期が到来 ∵ 財産処分の自由 → 債務不履行が必要 ​⇒ 但し、保存行為は可(時効の完成猶予など) ・ 改)裁判上の代位による423は弁済期到来前も可 → 削除 ⑶ 強制執行可423Ⅲ:改)被保全債権が強制執行により実現することができる ​(例)× 自然債務(女給の観心目的で将来の金銭の贈与を約束)にかかる債権・不執行合意のある債権 ② 保全の必要性423Ⅰ:改)客観的な保全の必要性 ≒ 債務者無資力(=債務超過・無資力要件) ​⇒ 但し、転用では不要 ③ 被代位権利 ⑴ 存在423Ⅰ:債務者から第三債務者に対して財産権を有する → 金銭債権のみでなくあらゆる権利 ​(例) 物権的請求権 ・ 登記請求権 ・ 形成権(相殺権 ・ 取消権 ・ 解除権) ➢ 〇 債権者代位権を被代位権利とする423の行使 ➢ 〇 時効援用権を被代位権利とする一般債権者・後順位抵当権者による423の行使 ​⇒ 一般債権者・後順位抵当権者は時効援用権者ではないが423により同様の結果を得る ⑵一身専属権でないこと423Ⅰ但 ​(例)× 親族間の扶養請求権877・     × 夫婦間の契約取消権754・     × 認知の請求権または取消権 ➢ 遺留分減殺請求権は被代位権利となるか ​・原則:被代位権利とならない ​・例外:権利行使の確定的意思を外部に表明等の特段の事情があればなりうる (例)第三者に譲渡 ➢ 慰謝料請求権は被代位権利となるか ​原則:被代位権利とならない ​例外:〇 当事者間において金額が客観的に確定 ・ 被害者死亡により承継取得した者が出現 ⑶差押を禁止された権利でないこと423Ⅰ:改)判例法理を明文化 ​∵ 趣旨 → 責任財産ではない ⑷債務者がみずから被代位権利を行使していないこと ​∵趣旨 → 必要性なし 債権者代位権の行使方法 ①代位債権者の地位:自己の名において被代位権利を行使 ⑴代位債権者は債務者の代理人として行使するわけではない(判例) ⑵裁判上でも、裁判外においても行使できる(423は代位債権者が第三債務者ののところに行って423行使するということもできる)(424は裁判上での行使に限定) ②第三債務者への請求:原則、債務者に引渡すことを求める ∵ 責任財産の保全による強制執行の準備という趣旨 例外: ⑴金銭支払または動産引渡423の3:改)代位債権者は求めることができる + 被代位権利消滅 ​(改正のポイント)判例法理の明文化+相殺による事実上の優先弁済機能 ※ 債権者が第三債務者から受ける給付は債務者との関係では不当利得703だが、債権者は被保全債権と703を相殺する(事実上の優先弁済) ⑵移転登記手続請求:代位債権者名義への移転登記を求めることはできない ∵ 債務者拒絶不可(→直接債権者に移す必要なし) ※直接債権者に持ってくることができないケース ③第三債務者の抗弁423の4:改)債務者に対して主張できる抗弁をもって代位債権者に対抗できる Q 代位債権者が94Ⅱ等の善意の第三者に該当する場合の処理 ⑴問題の所在​:被代位権利が94Ⅱ等により無効等 → 94Ⅱ等の善意の第三者に該当しうる ⑵通説​:94Ⅱ等の第三者保護規定に該当すれば善意の第三者として保護 ⑶理由​:94Ⅱの趣旨 ⑷あてはめ ​代位債権者が一般債権者の場合 ​ ⇒ 善意の第三者に該当しない ​代位債権者が差押債権者の場合 ・ 94Ⅰの目的物を第三者が取得 ​⇒ 善意の第三者に該当 債権者代位権の効果 ①基本的効果:被代位権利を代位債権者が債務者に代わって行使 ② 債務者の権限423の5:改)自ら取立その他の処分をすることを妨げられない ⑴第三債務者​:423による弁済の制限なし ⇒ 差押なら債務者への弁済制限 ③改正ポイント​:改正前:423で債務者の処分権限消失(判例) → 改正後:423で債務者の処分権限消失しない∵債務者の地位の安定 ④訴訟告知義務423の6:改)代位債権者が被代位権利にかかる訴えを提起 → 債務者に対し訴訟告知義務 ​⇒ 改正ポイント:債務者の手続保障を図る ⑤ 完成猶予・更新 ​被代位権利:完成猶予・更新が生じる147Ⅰ一号・Ⅱ ​被保全債権:完成猶予・更新は生じない ∵ 行使されているのは被代位権利(通説) ⑥代位行使の範囲423の2 ​・被代位権利が可分 ​⇒ 被保全債権の額の限度においてのみ ​・被代位権利が不可分 ​⇒ 被保全債権の額による限定なし ​(改正ポイント)判例法理の明文化 債権者代位権の転用 ①債権者代位権の転用:423を債務者の責任財産の保全を目的としないで行使する場合 ⑴目的:423の適用場面以外で認める必要性あり ⇒ 判例上認める ⑵要件:下記以外は423と同じ ​被保全債権は金銭債権でなくてもよい ​債務者の無資力要件は不要 ②登記または登録請求権の代位行使423の7:改) ⑴要件 ​代位債権者​:登記等がなければ第三者に対抗できない財産の譲受人 ​債務者​:第三者に対して有する登記等を請求する権利を行使しない譲渡人 ⑵具体例:不動産の登記請求権を行使しない譲渡人 ⑶(改正ポイント)判例法理の明文化 + 423の7以外の転用を否定しない(類推適用) ③423転用が認められた事例 ⑴債権譲渡の通知請求権の代位行使 ・​被保全債権:代位債権者の債権譲渡の通知請求権 ・​被代位権利:債務者の債権譲渡の通知請求権 ​⇒債権譲渡の通知自体は代位行使不可 → × CがAに代わって直接Dに通知 ⑵賃借人による土地所有者の物権的返還請求権の代位行使 ​被保全債権:土地賃借権 ​被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ⑶抵当権者による抵当権設定者の有する物権的返還請求権の代位行使 ​被保全債権:抵当権 ​被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ​⇒ 目的:抵当権による占有屋対策の強化 ⑷相続人による移転登記請求権の代位行使 ​被保全債権:土地代金債権(金銭債権+無資力要件不要) ​被代位権利:移転登記手続請求権 ④転用が認められなかった事例:建物賃借人による建物賃貸人の建物買取請求権の代位行使 ​被保全債権:建物賃借権 ​被代位権利:建物買取請求権 ​⇒ 理由:建物賃借権が保全されない

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    ③第三債務者の抗弁423の4:Q 代位債権者が94Ⅱ等の善意の第三者に該当する場合の処理

    ⑴問題の所在​:被代位権利が94Ⅱ等により無効等 → 94Ⅱ等の善意の第三者に該当しうる ⑵通説​:94Ⅱ等の第三者保護規定に該当すれば善意の第三者として保護 ⑶理由​:94Ⅱの趣旨 ⑷あてはめ ​代位債権者が一般債権者の場合 ​ ⇒ 善意の第三者に該当しない ​代位債権者が差押債権者の場合 ・ 94Ⅰの目的物を第三者が取得 ​⇒ 善意の第三者に該当 図の説明 ・ト🟰登記 ・A からBへ建物を通謀虚偽表示として譲渡し、登記はAのまま

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    423転用が認められた事例⑴債権譲渡の通知請求権の代位行使

    ・​被保全債権:代位債権者の債権譲渡の通知請求権 ・​被代位権利:債務者の債権譲渡の通知請求権 ​⇒債権譲渡の通知自体は代位行使不可 → × CがAに代わって直接Dに通知 できるのはAに対して債務者にBに譲渡したことを通知するよう求めることのみ。 ∵467の趣旨

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    423転用が認められた事例 ⑵賃借人による土地所有者の物権的返還請求権の代位行使

    ・被保全債権:土地賃借権 ​・被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ※賃借権が対抗要件を備えればそれに基づく妨害排除請求と返還請求も可能 (これは債権に基づくもの)

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    423転用が認められた事例 ⑶抵当権者による抵当権設定者の有する物権的返還請求権の代位行使

    被保全債権:抵当権 ​被代位権利:所有権に基づく土地明渡請求権 ​⇒ 目的:抵当権による占有屋対策の強化 ※抵当権の本質は担保物権を設定者のもとにとどめること

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    423転用が認められた事例 ⑷相続人による移転登記請求権の代位行使

    被保全債権:土地代金債権(金銭債権+無資力要件不要) ​被代位権利:移転登記手続請求権 ※②時点では移転登記も引渡しも代金支払いもなし→533あり(③) ※相続人Cは売買を進めていきたかったが、相続人Dはそうではなく、Bに移転登記できなかった。 ※売買を進めたいCはBが登記請求しないので、代金債権を被保全債権としてBのDに対する登記請求権を代位行使した事案 ※被保全債権が金銭債権だが債務者無資力ではなきてもよいとされた事案であることにも留意。だから423「転用」

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    423転用が認められなかった事例: 建物賃借人による建物賃貸人の建物買取請求権の代位行使

    ​被保全債権:建物賃借権 ​被代位権利:建物買取請求権 ​⇒ 理由:建物賃借権が保全されない ※建物買取請求権は出ていくから金よこせという話

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    3 詐害行為取消権 A+

    詐害行為取消権の概要 ①詐害行為取消権:債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消を債権者が裁判所に請求できる権利 ​⇒ 424 =詐害行為取消権 ​(典型例)債務不履行になると知って財産を贈与(=責任財産を放棄し債権者に損害を与えた) ②趣旨:責任財産を保全することによって強制執行の準備をする ③関連用語 ​取消債権者​:424を行使する債権者 ​被保全債権​:424の行使により保全される債権 ​詐害行為​:債務者が債権者を害することを知ってした行為 = 424の対象 ​受益者​:詐害行為の相手方 ​転得者​:受益者から詐害行為の目的物を取得した者 ④423と424 (趣旨)423と424共通 =責任財産保全による強制執行の準備 (適用場面) 423:債務者が責任財産の減少を放置 424:債務者が責任財産を減少させる (基本的効果) 423:権利を代わって行使 ⇒ 侵害の程度が少ない → 要件緩和 424:詐害行為を取消 ⇒ 侵害の程度が大きい→ 要件厳格 (行使方法) 423:裁判上・裁判外を問わない 424:裁判上の行使が必要(裁判所への請求が必要) (無資力要件) 423:原則必要・例外不要(=転用あり) 424:常に必要(転用なし) (期間制限) 423:なし 424:あり (被保全債権の弁済期到来) 423:必要 424:不要 ⑤424の類型424の2・3・4:改)判例法理の明文化・変更・類型化 ⑴ 424​:一般準則(受益者に対する詐害行為取消) ​⇒ 要件を満たせば ⑵ 424の2​:相当の対価を得てした財産の処分行為の特則 ​⇒ 個別の要件も ⑶ 424の3​:特定の債権者に対する担保の供与等の特則 ​⇒ 個別の要件も ⑷424の4​:過大な代物弁済等の特則 ​⇒ 過大な部分について一般準則 ⑥法的性質424の6Ⅰ:改)詐害行為の取消+逸失財産の返還請求(=折衷説) ​⇒ 形成訴訟 + 給付訴訟 〈詐害行為取消権の各類型と個別的要件〉 ①一般準則の要件424 ​・取消債権者​:被保全債権⇒存在Ⅰ・ 詐害行為の前の原因Ⅲ ・ 強制執行できるⅣ ​・債務者​:詐害行為(客観的要件)+ 詐害意思(主観的要件)+ (無資力) ⇒ 相関的に判断Ⅰ ・​受益者​:悪意Ⅰ ⑴被保全債権の存在:取消債権者が債務者に対して金銭債権を有する ∵趣旨 ➢ 非金銭債権 → 履行不能により金銭債権  ⇒ 被保全債権となりうる ➢ 被保全債権の弁済期の到来         ⇒ 不要(423では要件) ➢ 債務者による物的担保付金銭債権      ⇒ 被担保債権額に及ばない部分のみを被保全債権 ➢ 物上保証人や人的担保付金銭債権      ⇒ 被担保債権全額を被保全債権 ∵ 債務者に求償可 ⑵被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じた:詐害行為時に現実に発生または原因が発生 ➢ 詐害行為前-被保全債権  → 詐害行為後-遅延損害金発生  ⇒ 含む ➢ 前-将来の婚費債権  → 後-支払期日未到来   ⇒ 含む ※調停によつて将来にわたり支払うこととされた婚姻費用分担に関する債権を被保全債権とする詐害行為取消権の成否が問題となった事案 ➢ 前-保証契約  → 後-事後求償権     ⇒ 含む ⑶強制執行により実現することができる:× 不執行合意・自然債務 ➢ 被保全債権が譲渡された場合・準消費貸借の目的とされた場合  ⇒ 424可 ∵ 債権の同一性維持 ⑷債務者の詐害行為(客観的要件):財産権を目的とする債権者を害する行為 a) 行為424Ⅰ:改)〇 法律行為 ・ 〇 準法律行為 ・ × 単なる事実行為 ​(改正ポイント) 一般的解釈の明文化 ※準法律行為:法律効果の発生を目的としない意思の通知や観念の通知のこと(催告、代理権授与等) Q 対抗要件具備行為が取消の対象となるか ⑴事例:BがCに土地を譲渡 → AのBに対し債権の発生原因を生じる → BがCに移転登記 ⑵問題の所在:対抗要件具備行為のみを対象として424できるか + 改正 ⑶判例:ならない ⑷理由:譲渡行為自体が詐害行為とならない + 改正後も同様 b) 財産権を目的とする424Ⅱ:責任財産の減少を伴う → 家族法上の行為が問題 ​〇:売買・贈与・免除・相殺・遺産分割(∵ 相続財産の帰属を確定させる) ※遺産分割は対象となるのがポイント ​×:日常生活上の売買・婚姻・離婚・養子縁組(∵ 強制できない)・相続の放棄または承認 Q 離婚に伴う財産分与768・慰謝料に対する424の可否 ⑴問題の所在:財産分与・慰謝料請求に仮託して詐害行為を行う場合 ⑵判例 ​原則:認められない ​例外:不相当に過大かつ財産分与等に仮託して詐害行為 → 不相当に過大な部分について取消 c) 債権者を害する:責任財産減少 → 弁済に支障をきたすおそれ ≒ 債務者の無資力 ​・無資力 = 債務超過(積極財産 - 消極財産=マイナス ≠ 0) ​無資力の状態​:債務超過の状態 or 債務者の行為の結果、債務超過の状態に陥る ​無資力の判断時​:事実審の口頭弁論終結時 ⑸債務者の詐害意思(主観的要件):債権者を害することを知って行為をした ⇒ 詐害行為と相関的に判断 ​詐害性が強い(客観的要件):悪意(主観的要件)で足りる ​詐害性が普通(客観的要件):害意(主観的要件)があればよい ​詐害性が弱い(客観的要件):通謀(主観的要件)が必要 ⑹受益者の悪意:受益者が詐害行為時に知っていた⇒証明責任は受益者 ②相当な対価で処分した場合424の2:改) ​・原則:責任財産は減少しない ​⇒ 詐害行為性否定 ・​例外:責任財産が減少する可能性がある ​⇒ 詐害行為性肯定​ (例)不動産を現金化 〈要件〉 ⑴(債務者)財産の種類変更による隠匿等の処分のおそれ​:= 客観的要件 ⑵(債務者)隠匿等の処分をする意志​:= 主観的要件 ⑶(受益者)債務者の詐害意思と隠匿等の処分をする意志を知っていた ⇒ 証明責任は取消債権者 ③特定の債権者に対する担保の供与等の場合424の3:改) ​原則:全体として責任財産は減少しない​⇒ 詐害行為性否定 ​例外:他の債権者の比率が低下+債権者平等の要請​⇒ 詐害行為性肯定  (例)債権者Cのみ弁済 ​(改正ポイント)偏頗行為(へんぱ行為)(=特定の債権者を利する行為)に関する破産法の規定に合致 ​・原則形態424の3Ⅰ 〈要件〉 ⑴(債務者)支払不能:客観的要件 ​⇒ 支払不能=支払能力を欠くため弁済期にある債務につき一般的かつ継続的に弁済できない ​(例)田舎の地主が借金→土地の価値は1億あるが書い手がいない:×債務超過・〇支払不能       医学生の奨学金→今は金がないが後でたくさん稼ぐ:〇債務超過・×支払不能 ⑵(債務者)通謀的害意:主観的要件 ⑶(受益者)通謀的害意 ​・非義務行為の場合の例外424の3Ⅱ 〈要件〉 ⑴(債務者)支払不能になる前30日以内の非義務行為:客観的要件 ​⇒ 非義務行為:債務者の義務に属せずまたはその時期が債務者の義務に属しない行為 ​(例)担保供与行為・ 期限前弁済 ⑵(債務者)通謀的害意:主観的要件 ⑶(受益者)通謀的害意 ④過大な代物弁済等の場合424の4:改) ​・代物弁済​:424の3Ⅰに該当しうる(非義務行為(424の3Ⅱの場合)には該当しない)  ∵ 方法のみが義務に属しないため ・​過大な代物弁済​:受益者への給付額 > 消滅した債務の額 ⇒ 過大部分-424の4 ・ 非過大部分424の3 〈要件〉 ⑴(債務者)債務の消滅に関する行為で給付が過大であるもの​:客観的要件 ⑵(債務者)害意424の4​:主観的要件 ⑶(受益者)悪意424の4​⇒ 証明責任は受益者 ⑤ 転得者に対する詐害行為取消権424の5:改) ⑴受益者に対して詐害行為取消権の行使ができる ⑵ (転得者)悪意 ​・受益者からの転得者​:転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていた ・​他の転得者からの転得者​:全転得者が各転得当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていた ​⇒ 受益者の悪意についての悪意(二重の悪意)は不要 ⑥期間制限426:改) ​・「債務者が債権者を害することを知って行為をした事実」を知った時から2年(出訴期間) ・​「行為の時」から10年(出訴期間) ​(改正ポイント) ・(​改正前)時効 ・「取消の原因」を知った時 ​→(改正後)出訴期間・「債務者が債権者を害することを知って行為をした事実」を知った時 ※単に行為があったことを知った時からではなく、それが債権者を害すると知った時から2年 ​・(改正前)除斥期間・20年​→(改正後)出訴期間・10年 詐害行為取消権の行使方法 ①詐害行為取消請求424Ⅰ:取消債権者が裁判所に対して行う請求 ⇒ 訴えによってのみ行使できる ② 請求の内容424の6:改)債務者がした行為の取消 + 逸出した財産の返還(現物返還) ​⇒ 現物返還が困難 → 価額償還請求ができる Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 ⑴前提​:詐害行為取消の範囲は抵当不動産の価額から被担保債権額を控除した部分に限られる ⑵問題の所在​:抵当権設定登記が抹消された場合の現物返還 ⑶ 判例1(S54)​:抵当権設定登記が受益者、転得者の下で維持 → 現物返還可能 ∴ 全体を取消 ​(例)抵当権負担付の売買・譲渡担保 ∵ 逸出した財産自体の回復が可能 ⑷判例2(S36)​:抵当権設定登記が受益者等の下で抹消 → 現物返還困難 ∴ 価額償還 ​(例)代物弁済により抹消登記 ∵ 抵当権負担のない不動産返還により責任財産増大 Q 価額償還の算定基準時 →判例​:詐害行為取消訴訟における事実審の口頭弁論終結時 ③ 詐害取消請求の相手方424の7Ⅰ:改)判例法理の明文化 ​・受益者に対する詐害取消請求:受益者を被告 ・​転得者に対する詐害取消請求:転得者を被告 ​⇒ 債務者は詐害取消請求の相手方とならない ④訴訟告知義務424の7Ⅱ:改)取消債権者は債務者に対し訴訟告知をしなければならない ⑴ 趣旨​:債務者に訴訟に関与する機会を与える ⑵改正ポイント​: 425(424の効果が債務者にも及ぶ)の改正に伴い規定 ⑤詐害行為の取消の範囲424の8:改)判例法理の明文化 ​詐害行為の目的が可分 ​→ 自己の債権額の限度 ​(例)金銭 ​詐害行為の目的が不可分 ​→ 詐害行為全体​(例)不動産 ⑥取消債権者への引渡424の9:改)判例法理の明文化 ⑴ 基本:取消債権者は受益者または転得者に対し債務者への返還を請求 ∵ 424の趣旨 ⑵ 金銭支払または動産引渡:取消債権者に対してすることを求めることができる + 価額償還も同様 ​→ 受益者・転得者は債務者への引渡義務を免れる ∵ 相殺 = 424の事実上の債権回収機能 Q 不動産の抹消登記または移転登記手続請求 ⑴問題の所在: ⅰ回復手段として抹消・移転登記できるか ⅱ債権者への移転登記はできるか ⑵判例 ​・肯定:受益者または転得者への移転登記の抹消登記 ・ 受益者または転得者から債務者への移転登記 ​・否定:取消債権者名義への移転登記 ⑶ 理由:債務者が拒否することができない → 目的達成できる Q 不動産が二重譲渡された場合の424の行使の処理 ⑴事例:BからAに土地売買・A登記未了 → BからCに土地売買・C登記 → 424の2要件あり ⑵問題の所在 ​被保全債権​:土地引渡債権 → 金銭債権ではない ​詐害行為​:土地売買契約 → 取消の可否(177の趣旨)及び効力(誰が名義人) ​登記請求​:取消債権者による新たな移転登記請求 ⑶判例 a) 被保全債権:金銭債権が要件 → 債務不履行により金銭債権に転化すれば被保全債権となる b) 詐害行為 ​取消の可否​:できる ∵ 無資力等の要件が必要 ​効力​:抹消登記又は移転登記によりBに土地名義を戻す + Aに移転登記不可 c) 登記請求:取消債権者は新たな移転登記を求めることができない  ∵ 177の趣旨 ⑷ 結論:Aは金銭債権者として土地について強制執行(Aは土地を手に入れることはできない) 詐害行為取消の効果 ①認容する確定判決の効力425:改)債務者及びそのすべての債権者に対してもその効力を有する ⑴ 改正ポイント:(改正前)相対的取消 + 不整合な場面 ⑵すべての債権者:債権者は前後関係不問 ​⇒ 転得者の前者には及ばない ②相手方の地位 ⑴受益者 ​・反対給付425の2:改)債務者に対し返還請求・困難な場合価額償還請求できる ​・消滅債権425の3:改)給付の返還または価額を償還したとき、原状に復する ⑵転得者 ​・反対給付425の4一:改)受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権または価額償還請求権を行使 ​・消滅債権425の4二:改)425の3の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権を行使 ​⇒ 前者から財産を取得するためにした反対給付又は消滅した債権の価額を限度 ∵ 転得者保護

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    Q 対抗要件具備行為が取消の対象となるか

    ⑴事例:BがCに土地を譲渡 → AのBに対し債権の発生原因を生じる → BがCに移転登記 ⑵問題の所在:対抗要件具備行為のみを対象として424できるか + 改正 ⑶判例:ならない ⑷理由:譲渡行為自体が詐害行為とならない(詐害行為前に被保全債権が生じるという要件を満たさない) + 改正後も同様

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    請求の内容424の6:Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 S54判例 図

    請求の内容424の6:改)債務者がした行為の取消 + 逸出した財産の返還(現物返還)​⇒ 現物返還が困難 → 価額償還請求ができる Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 ⑴前提​:詐害行為取消の範囲は抵当不動産の価額から被担保債権額を控除した部分に限られる ⑵問題の所在​:抵当権設定登記が抹消された場合の現物返還 ⑶ ★判例1(S54)​:抵当権設定登記が受益者、転得者の下で維持 → 現物返還可能 ∴ 全体を取消 ​(例)抵当権負担付の売買・譲渡担保 ∵ 逸出した財産自体の回復が可能 ⑷判例2(S36)​:抵当権設定登記が受益者等の下で抹消 → 現物返還困難 ∴ 価額償還 ​(例)代物弁済により抹消登記 ∵ 抵当権負担のない不動産返還により責任財産増大

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    請求の内容424の6:Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 S36判例 図

    請求の内容424の6:改)債務者がした行為の取消 + 逸出した財産の返還(現物返還)​⇒ 現物返還が困難 → 価額償還請求ができる Q 抵当権の目的不動産が詐害行為によって逸出した場合の処理 ⑴前提​:詐害行為取消の範囲は抵当不動産の価額から被担保債権額を控除した部分に限られる ⑵問題の所在​:抵当権設定登記が抹消された場合の現物返還 ⑶ 判例1(S54)​:抵当権設定登記が受益者、転得者の下で維持 → 現物返還可能 ∴ 全体を取消 ​(例)抵当権負担付の売買・譲渡担保 ∵ 逸出した財産自体の回復が可能 ⑷★判例2(S36)​:抵当権設定登記が受益者等の下で抹消 → 現物返還困難 ∴ 価額償還 →AはCに4,000万円請求できる ​(例)代物弁済により抹消登記  ∵ 抵当権負担のない不動産返還により責任財産増大

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    詐害行為の取消の範囲424の8 図

    ​詐害行為の目的が可分 ​→ 自己の債権額の限度 ​(例)金銭 ​詐害行為の目的が不可分 ​→ 詐害行為全体​(例)不動産

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    詐害行為取消の効果-相手方の地位-転得者 消滅債権425の4二 図

    転得者 ​・反対給付425の4一:改)受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権または価額償還請求権を行使 ​・★消滅債権425の4二:改)425の3の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権を行使 ​⇒ 前者から財産を取得するためにした反対給付又は消滅した債権の価額を限度 ∵ 転得者保護

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    第六章 多数当事者 1総論 2分割債権・分割債務

    1 多数当事者総論 ① 多数当事者(の債権関係):同一の給付について2人以上の債権者または債務者のある場合 ​・分割債権 ・分割債務​:複数の人が分割して金を払え ​・不可分債権・不可分債務​:複数の人が分割できない車を渡せ ・​連帯債権 ・連帯債務​:複数の人が分割して金を払え + 1人払えば終わり ・​保証債務​:保証人が払え ​⇒ 債権債務の共有関係 ②問題となる場面 ⑴対外的効力:債権者・債務者の関係 ⑵1人について生じた事由の効力 ・​絶対効:他の債権者・債務者にも及ぶ場合   = 絶対的効力 ・​相対効:他の債権者・債務者には及ばない場合 = 相対的効力 ⑶求償関係:債務者が他の債務者に求償できるか 2 分割債権・分割債務 B+ ①分割債権債務:可分給付を目的として分割される債権(分割債権)及び債務(分割債務) ⑴ 可分給付​:分割することが可能な給付 ​(例)金銭の給付・土地の給付 (試験に出るのは金か土地) ⑵分割債権債務関係​:分割債権・分割債務の場合の当事者の関係 ​⇒ 複数の側を基準 ⑶ 分割主義427:可分給付 + 複数の債権者又は債務者 → 等しい割合に分割 ​⇒ 民法の原則 ∵ 個人主義 ②要件 ⑴分割債権:可分給付 + 複数の債権者 + 同一の給付 但し、制限あり(判例) ​〇 共同相続された金銭債権・第三者による共有物に対する不法行為の損賠請求権・共同で金銭貸付 ​× 共同相続された預貯金債権 ∵ 確定しない(引き落としなどがあるため)・共同相続された定期貯金債権 ∵ 簡素化に反する ⑵ 分割債務:可分給付 + 複数の債務者 + 同一の給付 但し、制限あり(判) ​〇 共同相続された金銭債務・共同で買い受けた物の代金債務 ​× 賃借権を共同相続した場合の賃料債務 ∵ 不可分債務 ③効果:特約なき限り、平等に分割(別個独立) ⑴対外的効力 ​各債権者:自己の債権のみ単独で行使 ​各債務者:自己の債務のみ弁済 ​⇒ 双務契約から発生した場合、全部の履行がないと533可 +解除権の不可分あり(全員から/全員に対してでないと解除できない) ⑵1人に生じた事由の効力​:全て相対効 ⑶求償関係​:平等(生じない)

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    分割債権債務の典型の図

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    3 不可分債権・不可分債務 B+

    ①不可分債権債務:不可分給付を目的とする債権(不可分債権)及び債務(不可分債務) ⑴不可分給付​:分割することが不可能な給付 ​(例)建物引渡請求権・自動車引渡債務 ⑵不可分債権債務関係​:不可分債権・不可分債務の場合の当事者の関係 ​⇒ 複数の側を基準 ⑶性質431:本来、分割債権債務だが性質上制約 → 可分に変じれば分割債権債務 ・ 相対効が主 ②要件 ⑴不可分債権428:改)性質上不可分 + 数人の債権者 + 同一の給付 ​〇 共有者の第三者に対する共有物引渡請求権・複数貸主による家屋明渡請求権 ​× 金銭債権を特約で不可分債権とした場合 ⑵ 不可分債務430:改)性質上不可分 + 数人の債務者 + 同一の給付 ​〇 共同賃借人の賃料支払債務+賃貸終了後の目的物返還義務・共同相続人の所有権移転登記協力義務 ​× 金銭債務を特約で不可分債務とした場合 ③ 効果 ⑴対外的効力 ​・不可分債権428・432:各債権者は自己の名で全部の履行請求できる ​・不可分債務430・436:債権者は1人または全ての者に同時・順次に、全部または一部の履行請求をできる ⑵ 1人について生じた事由の効力 写真 ​⇒ 履行・相殺を除き相対的効力の原則が妥当・連帯債権債務の規定を準用 ⑶ 求償関係:負担部分に応じた求償あり429・430・442以下

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    4 連帯債権・連帯債務 A+

    連帯債権 ① 連帯債権:同一の可分給付で法令の規定または当事者の意思表示によって複数が連帯して有する債権 ⑴特徴432:改)各債権者は独立して全部の履行請求可 + 債務者の履行で全債権者の債権消滅 ⑵他の多数当事者の債権との相違 ​ 分割債権  - 可分給付の原則    ​連帯債権  - 可分給付の例外  ​不可分債権 - 性質上不可分      ​連帯債権  - 性質上可分 ② 要件:性質上可分 + 当事者の意思表示 or 法令の規定(106Ⅱ・613Ⅰ等) ③効果 ⑴対外的効力:432 ​・各債権者​:全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求できる ・​債務者​:全ての債権者のために各債権者に対して履行できる ⑵1人について生じた事由の効力 ​相対的効力の原則​:原則、相対効。但し、別段の意思表示があればそれに従う(任意規定) ​・絶対的効力事由​:履行・履行の請求・更改・免除・相殺・混同 ※不可分債権と異なり絶対効になる更改、免除、混同を抑えること a) 相対的効力の原則​:435の2 → 任意規定 + 更改・免除・相殺・混同は例外 b) 履行・履行の請求​432: (例)裁判上の請求・裁判外の請求等 → 全債権者に完成猶予・更新 c) 更改・免除​:持分割合型絶対的効力 ​・連帯債権433​:失わなければ分与されるべき利益について請求できない ​⇒ 絶対効 (例)A,B,CがDに対して持つ300万円の金銭債権のうち,Aが免除をしたとき,Bは,連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分(100万円)については履行を請求することができず、200万円だけ請求できる ​・不可分債権429​:不可分債権全体につき請求できる + 分与されるべき利益は償還 ​⇒ 相対効 ※更改、免除は債権が消滅する点で共通 d) 相殺434:改)絶対的効力    ∵受働債権の債権者の無資力の危険は他の連帯債権者が負担 (例)債務者Dが,連帯債権者の一人Bに対して100万円の金銭債権を有する場合,Dが相殺を援用したときは,その相殺は,他の連帯債権者に対しても,効力を生じる。つまり,100万円分は返済したといえる e) 混同435:改)絶対的効力 ⑶求償関係:他の債権者の利益部分に応じて分与あり + 合意なき限り割合は平等 連帯債務 ①連帯債務436:同一の可分給付で法令の規定または当事者の意思表示によって複数が連帯して有する債務 ​⇒ 各自が全部給付義務を負う債務(≒連帯債権の債務版)・複数の側を基準 ②性質:債務者の数に応じた数個の「独立した」債務   →連帯債務関係で束ねる [独立した債務であることから導かれる性質] ⑴ 不等額連帯​:債権額・期限・条件・利息の有無及び利率が異なってもよい ⑵437​:一人についての債務が無効・取消 → 他の債務に影響なし ⑶担保​:一人についての債務にのみ成立する(保証債務・物的担保) ⑷債権譲渡​:一人についての債務のみ譲渡することができる → 連帯債務関係維持・債務者毎に対抗要件必要 ③要件:性質上可分 + 当事者の意思表示 or 法令の規定(719(共同不法行為)・761(夫婦間の日常家事の債務 等) ※ 性質上可分=金銭のように分割できるということ ④効果 ⑴対外的効力436 ​連帯債務者1人​:一部または全部 ​連帯債務者全員​:同時に全部または一部 ・順次に全部または一部 ※ABCが連帯債務者なら、ABC全員に対して全額払え、一部払え等言える ​⇒ 弁済の確実性が強化 + 二重起訴・既判力に抵触せず他の連帯債務者・確定判決後の提訴可 ⑵1人について生じた事由の効力 写真 a) 相対的効力の原則441:原則、相対効 但し、別段の意思表示(合意) b) 履行の請求:改)相対効 ∵ 債務者複数+不利益大 ​⇒ 請求により他の連帯債務者も完成猶予・更新・付遅滞 にするには各連帯債務者との特約が必要 ※ 特約は当事者でのみ効力あり+当事者以外に不利な場合は不可 c) 更改438:絶対効 ・​旧債務の消滅:絶対効 ・​新債務の成立:相対効 d) 相殺439:改)履行拒絶権構成 ​Ⅰ:援用による相殺 ​→ 絶対効 ​Ⅱ:援用しない間 ​→ 負担部分の限度において履行拒絶 ​(改正ポイント) 改正前:相殺権限説→改正後:抗弁権説    ∵ 財産権に対する過剰な介入 e) 免除:改)相対効 ​(改正ポイント) 改正前:絶対効→改正後:相対効  ∵ 通常他の連帯債務者へ免除の意思なし ⑶求償関係:負担部分に応じた求償あり442 ⑤求償関係 ⑴求償権:連帯債務者の一人が共同の免責を得た時支出した財産のうち負担部分に応じた額を請求できる権利 a) 条文​:442 →不可分債務等に準用 b) 趣旨​:連帯債務者の公平の実現 c) 負担部分​:各自が分担する割合 ​⇒ 特約 → 連帯債務の負担によって受ける利益の割合 →平等(判例) ※ Aが200万、BCが50万ずつなら、分担する割合はA:B:C=4:1:1 ⑵求償権の成立要件442:改)→判例法理の明文化 ​・共同の免責:自己の負担部分を超えることは不要 ​・自己の出捐(しゅつえん=支出):額が共同の免責を得た額を超える場合はその免責を得た額 ※ 代物弁済などで払い過ぎた場合の話 ⑶求償権の制限443:改)共同の免責を得る場合に事前または事後の通知が必要 → 怠れば求償権制限 ⅰ 事前通知 〈要件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得る前に通知なし ・他の連帯債務者が対抗できる事由を有する 〈制限内容〉 ・負担部分についてその事由を対抗できる ・相殺なら債権者に消滅すべき債務の履行請求可 ⅱ 事後通知 〈要件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得た後に通知なし ・他の連帯債務者が善意で免責を得る行為 〈制限内容〉 ・他の連帯債務者の免責を得る行為が有効 (怠った連帯債務者のみ=相対的効果説) ​・(改正ポイント) 改正前:履行請求を受けていたことが求償権制限の要件だった → 改正後:共同の免責を得る・他の連帯債務者の存在につき悪意 Q 第一弁済者が事後通知のみを怠り、第二弁済者が事前通知のみを怠った場合の処理 ⑴問題の所在​:事後通知なし ∴ 第二弁済有効  ・  事前弁済なし ∴ 第一弁済対抗可? ⑵ 判例​:第一弁済を有効 ⑶理由​:443Ⅱは443Ⅰを前提 ⑷求償権の拡張444:償還無資力者がある場合はそれ以外の者の負担部分に応じて負担 ・不真正連帯債務:各債務者に密接な関係がなく一人に生じた事由が当然には他に影響を及ぼさない連帯債務 ⑴例(判例)​:共同不法行為者の賠償債務719・使用者責任における使用者と被用者の賠償債務715 ⑵ 特徴​:弁済以外の絶対効の規定不適用 ・ 連帯債務に基づく求償は認められない(求償自体はできる) ⑶ 判例​:求償は過失割合による ・ 個別的解釈も検討

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    更改・免除​:持分割合型絶対的効力の図

    ​・連帯債権433​:失わなければ分与されるべき利益について請求できない ​⇒ 絶対効 ​・不可分債権429​:不可分債権全体につき請求できる + 分与されるべき利益は償還 ​⇒ 相対効 ※更改、免除は債権が消滅する点で共通 図:左=連帯債権 右=不可分債権

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    連帯債権 混同435 の図

    改)絶対的効力

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    連帯債権、連帯債務:1人について生じた事由の効力 図

    図 ※連帯債権と連帯債務で異なるところが試験上重要

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    求償権の成立要件442 図

    求償権の成立要件442:改)→判例法理の明文化 ​・共同の免責:自己の負担部分を超えることは不要 ​・自己の出捐(しゅつえん=支出):額が共同の免責を得た額を超える場合はその免責を得た額

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    求償権の制限443 図 事前通知 弁済の場合

    ※図:Aは債権者に100万円の不当利得返還請求が可能 求償権の制限443:改)共同の免責を得る場合に事前または事後の通知が必要 → 怠れば求償権制限 ⅰ 事前通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得る前に通知なし ・他の連帯債務者が対抗できる事由を有する 〈制限内容〉 ・負担部分についてその事由を対抗できる ・相殺なら債権者に消滅すべき債務の履行請求可 ⅱ 事後通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得た後に通知なし ・他の連帯債務者が善意で免責を得る行為

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    求償権の制限443 図 事前通知 相殺の場合

    ※図:AはBの反対債権を使って債権者に300万円を請求できる 求償権の制限443:改)共同の免責を得る場合に事前または事後の通知が必要 → 怠れば求償権制限 ⅰ 事前通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得る前に通知なし ・他の連帯債務者が対抗できる事由を有する 〈制限内容〉 ・負担部分についてその事由を対抗できる ・相殺なら債権者に消滅すべき債務の履行請求可 ⅱ 事後通知 〈要 件〉 ・他の連帯債務者の存在につき悪意 ・共同の免責を得た後に通知なし ・他の連帯債務者が善意で免責を得る行為

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    5 保証債務 A+

    保証債務の概要 ①保証債務​:債務者がその債務を履行しないときに、保証人がその履行をする責任を負う債務446Ⅰ ②特徴​:人的担保の典型 → 保証人の一般財産を担保  = 担保力の変動が大きい ​⇒ 連帯保証と区別、実務上はほぼ連帯保証 ③基本用語 ⑴主債務​:保証債務によって保証を受ける債務 = 主たる債務 ⑵主債務者​:主債務の債務者 ⑶保証人​:保証債務の債務者 ④保証債務の性質 ⑴別個独立性:主たる債務と保証債務は別個の債務(=独立債務性) ​⇒ 保証債務は、債権者と保証人間の契約 + 主たる債務とは別の消滅原因等がありうる ⑵ 同一内容性:別個の独立した債務だが、給付内容自体は主債務と同じ内容 ​⇒ 主債務が債務不履行による損害賠償 → 保証債務も同様 ⑶付従性:主債務の存在を前提として、主債務に従う a) 成立に関する付従性:主債務が成立しなければ保証債務も成立しない(449は例外) b) 消滅に関する付従性:主債務が消滅すると保証債務も消滅する c) 内容に関する付従性:〇 主債務≧保証債務 ・ × 主債務<保証債務 •​448Ⅰ:主債務<保証債務 → 保証債務は主債務の限度に減縮 •​448Ⅱ:改)主債務の目的または態様が締結後に加重 → 保証人の負担は加重されない •​447Ⅱ:保証人は保証債務について違約金や損害賠償額を約定できる  →主債務よりも重くなり448Ⅰに反しているようにも思えるがそうとはならない ⑷随伴性:主債務についての債権譲渡があると保証債務も伴って移転する ​⇒ × 主債務のみまたは保証債務のみの債権譲渡 ➢ 対抗要件は必要 + 保証人への通知又は承諾は対抗要件とならない ⑸ 補充性:保証人は主債務者が債務を履行しない場合にはじめて自己の債務を履行する責任を負う446Ⅰ ​⇒ 催告の抗弁権 ・ 検索の抗弁権あり → ※連帯保証人にはない 保証債務の成立要件 ①保証契約 ⑴当事者:保証人と債権者 → 主債務者と保証人の委託は成立要件ではない・債務者の意思に反しても可、但し求償権に差 ⑵性質:諾成契約 ・ 要式行為446Ⅱ改) → 電磁的記録も可446Ⅲ ②保証人の資格450:原則、制限なし → 債務者が保証人を立てる義務を負う場合、行為能力・資力 ③ 主債務 ​原則​:主債務の存在が必要 ​例外449​:契約時、行為能力制限による取消原因につき悪意 → 主債務の負担する意志と推定 保証債務の内容 ①保証債務の範囲:主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償その他その債務に従たるすべて447Ⅰ ​⇒ 保証債務にのみ、違約金 ・ 損害賠償 ・ 担保物権 ・ 保証人(=副保証)もできる ②原状回復義務 ⑴契約解除(∵債務不履行):特に反対の意思表示のない限り、保証人は保証の責任を負う(判例) ​⇒ 理由:保証人は通常主たる債務者の契約上の一切の債務を担保する意志を有する ⑵合意解除:保証人が当然に保証の責めに任ずるものではない(判例) ​⇒理由:保証人に過大な責任のおそれ ⑶ 無効・取消:保証人は原状回復義務を負わない(判例) ​⇒ 理由:保証人の意思に反する + 債権者が負うべき危険を保証人に転嫁 保証債務の効力 ①対外的効力:別個独立の債務 + 保証人の抗弁権がある ⑴補充性に基づく抗弁権 ​・催告の抗弁権452:履行を請求する債権者に、先に主債務者に対して催告すべき旨を請求できる権利 ​・検索の抗弁権453:主債務者に執行が容易な弁済する資力があると証明 → 先に主債務者に執行 ➢ 弁済の資力:〇 債務の一部 ※主債務100万円、主債務者は50万円支持でも、弁済の資力ありと判断する ➢ 執行が容易:〇 不動産・× 外国資産 a) 債権者の懈怠の効果455:債権者が直ちに催告・執行をすれば弁済を得ることができた限度で義務を免れる b) 連帯保証の場合の特則:連帯保証は補充性なし → 催告の抗弁権+検索の抗弁権なし ⑵付従性に基づく抗弁権 a) 主債務者の有する抗弁一般457Ⅱ:改)保証人は主債務者の有する抗弁一般を債権者に対抗できる (改正ポイン)改正前-相殺 → 改正後-抗弁一般(債務不存在・533・時効等) b) 主債務者の有する相殺権・取消権・解除権457Ⅲ:履行拒絶の抗弁権構成 ※ 相殺権、取消権、解雇権はあるがまだ行使はしていない段階の話 ​(改正ポイント)改正前-抗弁権説と処分権説(保証人が権利行使できるとする説)が対立 → 改正後-処分権説を否定 ② 1人について生じた事由の効力:別個独立性 → 主債務者又は保証人に生じた事由の効力 ⑴ 主債務者に生じた事由の効力:付従性から保証人にも効力 ・​主債務の消滅 ​→ 保証債務も消滅 ・​主債務の完成猶予・更新 ​→ 保証債務も完成猶予・更新 ​・主債務の債権譲渡 ​→ 保証債務も伴って移転 ⑵ 保証人に生じた事由の効力:債務を消滅させるものを除き、原則として主債務に影響を及ぼさない ・​債務を弁済・代物弁済・供託・相殺 ​→ 主債務も消滅 ・​保証人が保証債務を承認 ​→ 保証債務の時効は更新 ・ 主債務の時効は更新しない ・​保証人に対し債権譲渡を通知 ​→ 主債務者に通知したことにはならない 求償関係 ① 保証債務の求償関係概要 ⑴ 求償権の存否 ・​主債務者が弁済 ​→ 求償の問題は生じない ・​保証人が弁済 ​→ 主債務者に対する求償権が認められる ⑵ 求償権 ・​委託を受けた保証人の求償権​:本来、委任事務処理の償還請求649 → 特別規定459~464適用 ・​委託を受けない保証人の求償権​:本来、事務管理費用の償還請求702 → 特別規定459~464適用 ⑶ 物上保証人の求償:保証人の求償の規定を準用351・372 ② 委託を受けた保証人の求償権:事後求償権 + 事前求償権 ⑴ 事後求償権459Ⅰ:改)原則、債務を消滅させた後に求償権を行使 a) 要件:債務消滅行為 - 〇 弁済・代物弁済・供託・更改・相殺等  × 免除 ∵ not自己の財産 b) 範囲:実際の支出額(消滅した主債務の額を上限) c) 利息:債務消滅行為後の法定利息及び費用等も求償可(連帯債務も同様)459Ⅱ・442Ⅱ ⑵ 弁済期前に弁済等をした場合の事後求償権:改)459の2 ​・主債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する ・​主債務者が相殺を主張 → 保証人は債権者にその相殺によって消滅すべき債権の履行を請求可 a) 改正ポイント:期限前弁済が保証の趣旨に反する → 債権者の無資力のリスクを保証人に負わせる b) 利息等:弁済等から弁済期までの利息等は求償不可459の2Ⅱ ⑶事前求償権460:改)一定の場合に可 ・​一号:主債務者が破産手続開始かつ債権者が破産財団に加入しない → 保証人は破産財団に加入可 ​・二号:債務が弁済期にある + 主債務者の期限が猶予されても可 ​・三号:保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の判決の言渡しを受けた(判決が確定したということ) ​・(改正ポイント)改正前は三号は事後求償権 ・ 弁済期と最長期が不確定で10年経過 → 削除 Q 委託を受けて抵当権を設定した物上保証人に事前求償権が認められるか ⑴ 問題の所在:物上保証人の求償は保証人の規定を準用351・372 → 事前求償権はどうなる ⑵ 判例:債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできない ⑶ 理由:根拠規定なし ・物権設定行為の委任(委任事務処理とは異なる) ・実行まで求償権の存否及び範囲が確定できない(実際に競売にかけないと売れるか、売れたとしていくらになるかわからない) ※理由3つは書けるように Q 事後求償権との関係 ⑴別個の権利 → 事前求償権を取得しても事後求償権の消滅時効は債務消滅した時から進行(判例) ⑵事前求償権は事後求償権確保のための権利 → 事前求償権を被保全債権とする差押で事後求償権の消滅時効中断(判例) ③委託を受けない保証人の求償権:主債務者の意思に反しない or 主債務者の意思に反する ⑴ 要件:債務消滅行為 ≒ 委託を受けた保証人の求償権 ・ 主債務者の意思不問 ⑵範囲 a) 意思に反しない保証人459の2Ⅰ・462Ⅰ:改)当時利益を受けた限度 + 相殺は債権者に対し ​⇒ 利息・費用・損害賠償等の請求はできない ∵ 459の2Ⅱを準用しない ​⇒ ≒ 本人の意思に反しない事務管理者の費用償還請求権の範囲702Ⅰ b) 意思に反する保証人462Ⅱ:現に利益を受けている限度 + 相殺は債権者に対し ​⇒ ≒ 本人の意思に反した事務管理者の費用償還請求権の範囲702Ⅲ c) 弁済期前の弁済等462Ⅲ:改)弁済期後でなければ求償権行使できない + 主債務者の意思不問 ※「現に利益を受けている限度」: 保証人が債務を弁済したことによる債務の減額分「だけ」を償還すればいいのであって、 弁済の際に発生した費用や求償権に対する利息などは支払う必要がないという意味。例えば委託を受けない保証人が100万円の債務のうち50万円を弁済した場合、 主債務者はその50万円だけを保証人に支払えばよく、50万円の振込手数料 や保証人の弁済日から償還日までの利息等は支払う必要がない。 ④通知義務463:債務消滅行為をすることを保証人または主債務者が通知する義務 ∵ 二重払防止 ⑴保証人の事前通知義務463Ⅰ:改)委託を受けた保証人限定 ※重要。委託を受けず保証人になった者には事前通知義務なし ​・主債務者への通知なく債務消滅行為 → 主債務者は債権者に対抗できた事由を保証人に対抗可 ・​上記の場合に主債務者が相殺を主張 → 保証人は債権者に対し消滅すべき債権の履行を請求可 ( 改正ポイント​)改正前-無委託保証人にも通知義務 → 改正後-委託を受けた保証人のみ (理由)​:委託を受けない保証人も求償の範囲は現に利益を受けている限度 → 債権者に対抗できる事由は求償されない ⑵ 保証人の事後通知義務463Ⅲ ​意思に反する無委託保証人 ​→ 主債務者の善意での弁済等を有効とみなすことができる ※ 事後通知していても主債務者が善意ならこうなる ​上記以外 ​→ 事後通知義務に違反すれば上同 ⑶主債務者の事後通知義務463Ⅱ ​・違反 → 委託を受けた保証人が善意で弁済等 → 保証人の弁済等を有効とみなすことができる ​・違反 → 委託を受けない保証人が弁済等   → 保証人の弁済等を有効とみなすことはできない 情報提供義務 B+ ①概要 ⑴背景・趣旨:安易な保証契約によるトラブルが多発 → 保証人保護 + 守秘義務(債権者に主債務者についての情報の守秘義務があるが情報提供して良い事項を定めることで情報提供できるようになる) ⑵情報提供義務の内容 ​•契約締結時の情報提供義務 ​•主債務の履行状況に関する情報提供義務 •​主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務 ⑶義務者:債権者・主債務者 ⑷保証形態​:個人保証(=保証人が個人) ・法人保証(=保証人が法人) ②契約締結時の情報提供義務465の10 ⑴ 要件​:個人保証 + 主債務者が委託するとき + 主債務=事業のために負担する債務 ⑵ 内容​:財産及び収支 ・ 主債務以外の債務 ・ 主債務の担保 ⑶ 違反の効果​:取消すことができる ③主債務の履行状況に関する情報提供義務458の2 ⑴要件​:個人保証と法人保証 +委託を受けた保証人の請求があったとき ⑵ 内容​:債務不履行の有無 ・残額及び弁済期到来済の額 ⑶違反の効果​:明文なし ④主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務458の3 ⑴ 要件​:個人保証 + 主債務者が期限の利益を喪失したとき ⑵内容​:債権者が主債務者が期限の利益を喪失したことを知った時から2箇月以内に保証人に通知 ⑶ 違反の効果​:喪失時~通知までの遅延損害金を請求できない 特殊保証 B+ 短答 ① 連帯保証454:保証人が主債務者と連帯して債務を負担するという保証債務 ⑴特徴:補充性なし(=催告の抗弁及び検索の抗弁なし) ・ 付従性は妥当(∵保証債務の一種) ⑵要件:保証契約における連帯である旨の特約 ⑶ 効果 a) 対外的効力:補充性なし ・ 付従性は妥当 b) 1人について生じた事由の効力 ​主債務者に生じた事由​:すべての連帯保証人に影響を及ぼす ∵ 付従性 ​連帯保証人に生じた事由458​:相対効の原則441 + 更改・相殺・混同は絶対効 c) 求償関係:≒ 通常の保証 ②共同保証:同一の債務について数人が保証債務を負担する ⑴特徴:分別の利益 = 数人の保証人は頭数に応じて分割された債務を負担456 ≒ 分割債務 ⑵要件:同時での契約または順次での契約 (態様と特徴 ) 普通保証:普通の数人の保証人 補充性 ◯ 分別の利益 ◯ 連帯保証 補充性 × 分別の利益 × 保証連帯:普通の数人の保証人が全額弁済の特約 補充性 ◯ 分別の利益 × ③ 身元保証 Bランク:雇用契約に関して被用者の身元を保証する契約(身元保証法) ⑴特徴:被用者による使用者の損害を賠償 + 被用者の業務上不適任等 → 使用者は保証人に通知義務 ⑵身元保証期間:最大5年 ⑶身元保証人の解除権:上記通知により解除できる ④ 根保証465の2Ⅰ:一定の範囲の債務を主債務とする保証契約 ※ 細かいので試験対策上は条文は読まず概要と担当で出てくることだけ抑えたほうが良い ⑴特徴:債務が変動しうる → 負担が過大になりうる ⑵ 態様 ​包括根保証:極度額及び期限等を定めない根保証 ​限定根保証:極度額及び期限等を定める根保証 ⑶個人根保証契約:保証人が法人でない者 a) 極度額を定めなければその効力を生じない456の2Ⅱ b) 書面でしなければその効力を生じない446Ⅱ → 電磁的記録も可446Ⅲ ⑷ 個人貸金等根保証契約:主債務の範囲に貸金等の債務が含まれる個人根保証契約 a) 元本確定期日 ​定めがある場合 → 5年を超える定めは効力を生じない465の3Ⅰ ​定めがない場合 → 3年を経過する日=元本確定期日465の3Ⅱ

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    保証債務​ の図

    保証債務​:債務者がその債務を履行しないときに、保証人がその履行をする責任を負う債務446Ⅰ ②特徴​:人的担保の典型 → 保証人の一般財産を担保  = 担保力の変動が大きい ​⇒ 連帯保証と区別、実務上はほぼ連帯保証 ③基本用語 ⑴主債務​:保証債務によって保証を受ける債務 = 主たる債務 ⑵主債務者​:主債務の債務者 ⑶保証人​:保証債務の債務者

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    弁済期前に弁済等をした場合の事後求償権:改)459の2 図

    ​・主債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する ・​主債務者が相殺を主張 → 保証人は債権者にその相殺によって消滅すべき債権の履行を請求可 a) 改正ポイント:期限前弁済が保証の趣旨に反する → 債権者の無資力のリスクを保証人に負わせる b) 利息等:弁済等から弁済期までの利息等は求償不可459の2Ⅱ