特許 審判1
問題一覧
1
法は、真に保護に値する発明保護のため審査主義を採用し(47 条)、審査の適正を図るべく出願人に意見書提出・補正等の機会を与え(50 条等)、その上で特許要件を具備しない出願を拒絶する(49 条)。しかし、審査官の過誤により瑕疵ある拒絶査定がなされた場合に、何ら不服申立の途を与えないのでは、発明保護の趣旨(1条)に反する。また、行政処分に対する不服申立は行政不服審査法等によるのが原則であるが、事件が専門・技術的であることから、これによるのは必ずしも適当でない。そこで、法は、出願人の救済と行政処分の適正を担保すべく、技術専門家である特許庁の審判官の合議体により審理する本審判を設けた(121 条)。
2
従来、拒絶査定に対する審判事件は、すべて審判官の合議体がすべきものとされていた。その場合、審判官は、出願内容の理解から取り組まなければならず、そのため審判事件の処理に長時間を要していた。しかし、審判請求の際、明細書等について補正が行われている場合は、もとの審査官が見ればすぐに特許してもよいような場合もある。また、審判の前にもとの審査官に再び審査をさせれば、もとの審査官がもっているその出願に関する知識を活用し、その出願内容の理解やサーチに要する時間を節約でき、事件を簡易迅速に処理することができる。そこで、審判官が処理すべき事件の件数を減らし、審判の促進を図るべく前置審査制度を設けることとした(162 条)。
3
従来、旧制度としての特許異議の申立制度は廃止され、紛争の一回的解決と紛争の長期化による当事者の負担軽減の観点から、特許無効審判に統合・一本化されていた。しかし、特許無効審判制度は、口頭審理が原則とされており、当事者の手続負担が大きいとの指摘や、地方ユーザーにとっては時間やコストの面で不利であるとの指摘があった。また、我が国の企業等にとって、事業展開のために多額の投資を行った後で特許権が無効となった場合、致命的な損害を受けかねない。このため、強く安定した特許権を早期に確保することの重要性はますます高まっている。そこで、旧制度の問題を改善しつつ、さらに工夫を行った上で、特許の権利化後の一定期間に特許付与の見直しをする機会を与え、特許に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するための新たな制度として、特許異議の申立制度が新設された(113 条)。
4
法は、真に産業の発達に貢献する発明を保護すべく審査主義を採用し(47 条)、一定の特許要件(29 条、39 条等)を具備する発明にのみ特許権(68 条)を付与する。しかし、審査官等の過誤により、特許要件を具備しない発明に対して特許権が付与される場合がある。かかる瑕疵ある特許権の存在は、権利者に不当な保護を与える一方、第三者の自由実施を不当に制限し、却って産業の発達(1条)を阻害する。そこで、法は、瑕疵ある特許権を遡及的に消滅させるべく、当事者間の紛争解決手段として特許無効審判制度を設けた(123 条)。
5
申立期間については、従前の異議申立制度や諸外国の制度に鑑みて、3月(従前の特許付与前の異議申立制度の申立 期間)、6月(旧制度の申立期間)、9月(欧州特許庁の異議申立制度、アメリカの付与後レビュー制度、ドイツの異議 申立制度における申立期間)といった選択肢が考えられるが、我が国では、特許異議申立人の準備期間の考慮、権利の早期安定化の両方の観点から、申立期間を特許掲載公報の発行の日から「6月」とした。
6
申立人適格については、特許異議の申立制度は、当事者間の具体的紛争の解決を主たる目的とするものではなく、特許庁自ら特許処分の適否を審理し、瑕疵ある場合にはその是正を図ることにより、特許に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成することを主眼とした制度であって、特許の見直しの契機を広く求めるため、「何人も」申立てができることとした。
7
従来、特許異議申立制度が担っていた公衆審査機能を特許無効審判に包摂させるため、特許無効審判の請求人適格を拡大して、原則何人も請求できるものとしていた。その後、請求人適格を限定しない特許異議申立制度を創設するに際し、旧制度と特許無効審判が併存していた時と同様に、特許無効審判の請求人適格を利害関係人に限定することとした。
8
従来、利害関係人であれば、冒認等を理由として特許無効審判を請求することができることとされていた。しかし、そうすると真の権利者以外の者が特許無効審判を請求することにより特許が無効にされ、真の権利者が移転請求(74 条)により特許権を取得する機会が失われる可能性がある。また、このような特定の当事者間における権利の帰属を巡る紛争の解決は、当事者にその解決を委ねるのが適当である。そこで、真の権利者が特許権を取得する機会を担保するために、権利帰属に係る無効理由についての請求人適格は、真の権利者に限定することとした(123 条2項かっこ書)。
9
特許無効審判の無効理由の中には、特許異議申立ての理由となっていないものも存在している。後発的無効理由が特許異議申立ての理由とされていないのは、特許付与に対する早期の異議申立てという制度趣旨からみて、特許付与後に発生する後発的事由までも申立理由とすることは必ずしも必要ではないこと、そもそも6月という短い申立期間にこれらの事由が発生することは極めて稀であることなどによるものである。また権利帰属に係る無効理由が特許異議申立ての理由とされていないのは、特定の当事者間における権利の帰属を巡る紛争の解決は、当事者にその解決を委ねるのが適当であるためである。
10
17 条の2第3項の規定は、外国語書面出願の場合、翻訳文に記載されていない事項を、誤訳訂正書によらず手続補正書による補正により追加した場合に適用される。しかしながら、誤訳訂正書の提出を義務づけたのは、誤訳の訂正に伴う第三者の監視負担及び審査負担の軽減を図るためであり、誤訳訂正書により手続を行うべきところを手続補正書により行ったとしても、手続をすべき書面の選択を誤ったにすぎない形式的瑕疵と考えられる。また、出願時に提出した外国語書面に記載されている事項の範囲内であるにもかかわらず、こうした形式的瑕疵についてまで特許の無効理由とすることは特許権者にとって酷と考えられる。
11
特許異議の申立ての審理は、特許庁においてなされる特許権設定後の見直し手続であるから、審理の公平性・独立性の観点から、無効審判と同様に、審判合議体が審理手続を一貫して行うこととしている(114 条1項)。
12
権利帰属に関する事由は当事者間の紛争解決を主目的とする無効審判により争うことが望ましいため、特許異議の申立ての理由は公益的事由のみに限定することとした
13
旧制度では、書面審理を原則としつつ、審判長は、特許権者、特許異議申立人若しくは参加人の申立てにより、または職権で、口頭審理によるものとすることができるとしていた。他方、新たな特許異議の申立制度の創設にあたっては、特許異議申立事件の当事者の対応負担を無効審判よりも低いものとし、かつ、審理手続自体も簡易なものとすることで、より利用し易い制度にするという観点から、審理の方式を 「原則書面審理」から「全件書面審理」によるものとし、特許異議申立人が口頭審理へ呼び出されることがないようにした(118条1項)。
14
審判においては対立する当事者があり、事実の真相を把握するためには口頭審理によるのが便宜であるので、口頭審理を原則としたものである(145 条)。口頭審理は当事者又はその代理人が出頭することを強要するものであり、しかも審判は裁判と異なり全国各地で行われるものではなく、特許庁においてのみ行われるものであるから、事案の内容によって無効審判についても書面審理によることで便宜な場合もあり、1項ただし書の規定が設けられている。
15
旧制度において取消決定をしようとするときは、特許権者及び参加人に取消理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることとされていた。しかし、特許異議申立人は、特許異議申立書を提出した後、審理の途中経過については何ら知らされず、かかる審理手続において意見を述べる機会も保障されていなかったため、特許異議申立人の不満が大きく、特許庁の審理内容に不満がある場合には新たに無効審判を請求しなければならない等、紛争解決の長期化につながっていた。そこで、特許異議申立人の当事者の対応負担を低く保ちつつ、制度の利便性向上を図る観点から、特許異議申立人に対しても、その希望に応じた意見提出の機会を設けるべく、本規定を設けることとした(120 条の5第5項)。
16
特許異議の申立ては、第三者に対して特許処分の見直しを求める機会を与えたものに過ぎないものであること、維持決定を受けた特許異議申立人は別途無効審判請求を行うことができること等の理由による。
17
特許異議の申立てについての審理が進行し、すでに取消理由通知があった場合には、特許異議の申立てがされた特許に瑕疵がある蓋然性が高いといえ、そのような場合にまで特許異議申立人の自由な意思による取下げを認めることは、公益的観点から特許処分の見直しを図ろうとする特許異議の申立制度の趣旨に合致しないためである(120 条の4)。
18
相手方が答弁書を提出して審判請求に応ずる態度を示したのであるから、一方的な取下げを認めるのは妥当でなく、相手方の承諾があることを要件としたのである(155 条2項)。なお、承諾のない取下げは無効である。
特許 趣旨
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15問 • 1年前特許 受ける権利
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8問 • 1年前特許 特許権①
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13問 • 1年前商標 登録要件
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21問 • 1年前特許 特許権
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16問 • 1年前商標 登録要件、記載要件
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Daisuke Saito · 17問 · 1年前商標 登録要件、記載要件
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19問 • 1年前商標 論文当てはめ
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Daisuke Saito · 14問 · 1年前商標 審判1
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7問 • 1年前意匠 登録要件2
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7問 • 1年前意匠 特有制度
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11問 • 1年前意匠 関連意匠
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Daisuke Saito · 12問 · 1年前意匠 関連意匠
意匠 関連意匠
12問 • 1年前問題一覧
1
法は、真に保護に値する発明保護のため審査主義を採用し(47 条)、審査の適正を図るべく出願人に意見書提出・補正等の機会を与え(50 条等)、その上で特許要件を具備しない出願を拒絶する(49 条)。しかし、審査官の過誤により瑕疵ある拒絶査定がなされた場合に、何ら不服申立の途を与えないのでは、発明保護の趣旨(1条)に反する。また、行政処分に対する不服申立は行政不服審査法等によるのが原則であるが、事件が専門・技術的であることから、これによるのは必ずしも適当でない。そこで、法は、出願人の救済と行政処分の適正を担保すべく、技術専門家である特許庁の審判官の合議体により審理する本審判を設けた(121 条)。
2
従来、拒絶査定に対する審判事件は、すべて審判官の合議体がすべきものとされていた。その場合、審判官は、出願内容の理解から取り組まなければならず、そのため審判事件の処理に長時間を要していた。しかし、審判請求の際、明細書等について補正が行われている場合は、もとの審査官が見ればすぐに特許してもよいような場合もある。また、審判の前にもとの審査官に再び審査をさせれば、もとの審査官がもっているその出願に関する知識を活用し、その出願内容の理解やサーチに要する時間を節約でき、事件を簡易迅速に処理することができる。そこで、審判官が処理すべき事件の件数を減らし、審判の促進を図るべく前置審査制度を設けることとした(162 条)。
3
従来、旧制度としての特許異議の申立制度は廃止され、紛争の一回的解決と紛争の長期化による当事者の負担軽減の観点から、特許無効審判に統合・一本化されていた。しかし、特許無効審判制度は、口頭審理が原則とされており、当事者の手続負担が大きいとの指摘や、地方ユーザーにとっては時間やコストの面で不利であるとの指摘があった。また、我が国の企業等にとって、事業展開のために多額の投資を行った後で特許権が無効となった場合、致命的な損害を受けかねない。このため、強く安定した特許権を早期に確保することの重要性はますます高まっている。そこで、旧制度の問題を改善しつつ、さらに工夫を行った上で、特許の権利化後の一定期間に特許付与の見直しをする機会を与え、特許に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するための新たな制度として、特許異議の申立制度が新設された(113 条)。
4
法は、真に産業の発達に貢献する発明を保護すべく審査主義を採用し(47 条)、一定の特許要件(29 条、39 条等)を具備する発明にのみ特許権(68 条)を付与する。しかし、審査官等の過誤により、特許要件を具備しない発明に対して特許権が付与される場合がある。かかる瑕疵ある特許権の存在は、権利者に不当な保護を与える一方、第三者の自由実施を不当に制限し、却って産業の発達(1条)を阻害する。そこで、法は、瑕疵ある特許権を遡及的に消滅させるべく、当事者間の紛争解決手段として特許無効審判制度を設けた(123 条)。
5
申立期間については、従前の異議申立制度や諸外国の制度に鑑みて、3月(従前の特許付与前の異議申立制度の申立 期間)、6月(旧制度の申立期間)、9月(欧州特許庁の異議申立制度、アメリカの付与後レビュー制度、ドイツの異議 申立制度における申立期間)といった選択肢が考えられるが、我が国では、特許異議申立人の準備期間の考慮、権利の早期安定化の両方の観点から、申立期間を特許掲載公報の発行の日から「6月」とした。
6
申立人適格については、特許異議の申立制度は、当事者間の具体的紛争の解決を主たる目的とするものではなく、特許庁自ら特許処分の適否を審理し、瑕疵ある場合にはその是正を図ることにより、特許に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成することを主眼とした制度であって、特許の見直しの契機を広く求めるため、「何人も」申立てができることとした。
7
従来、特許異議申立制度が担っていた公衆審査機能を特許無効審判に包摂させるため、特許無効審判の請求人適格を拡大して、原則何人も請求できるものとしていた。その後、請求人適格を限定しない特許異議申立制度を創設するに際し、旧制度と特許無効審判が併存していた時と同様に、特許無効審判の請求人適格を利害関係人に限定することとした。
8
従来、利害関係人であれば、冒認等を理由として特許無効審判を請求することができることとされていた。しかし、そうすると真の権利者以外の者が特許無効審判を請求することにより特許が無効にされ、真の権利者が移転請求(74 条)により特許権を取得する機会が失われる可能性がある。また、このような特定の当事者間における権利の帰属を巡る紛争の解決は、当事者にその解決を委ねるのが適当である。そこで、真の権利者が特許権を取得する機会を担保するために、権利帰属に係る無効理由についての請求人適格は、真の権利者に限定することとした(123 条2項かっこ書)。
9
特許無効審判の無効理由の中には、特許異議申立ての理由となっていないものも存在している。後発的無効理由が特許異議申立ての理由とされていないのは、特許付与に対する早期の異議申立てという制度趣旨からみて、特許付与後に発生する後発的事由までも申立理由とすることは必ずしも必要ではないこと、そもそも6月という短い申立期間にこれらの事由が発生することは極めて稀であることなどによるものである。また権利帰属に係る無効理由が特許異議申立ての理由とされていないのは、特定の当事者間における権利の帰属を巡る紛争の解決は、当事者にその解決を委ねるのが適当であるためである。
10
17 条の2第3項の規定は、外国語書面出願の場合、翻訳文に記載されていない事項を、誤訳訂正書によらず手続補正書による補正により追加した場合に適用される。しかしながら、誤訳訂正書の提出を義務づけたのは、誤訳の訂正に伴う第三者の監視負担及び審査負担の軽減を図るためであり、誤訳訂正書により手続を行うべきところを手続補正書により行ったとしても、手続をすべき書面の選択を誤ったにすぎない形式的瑕疵と考えられる。また、出願時に提出した外国語書面に記載されている事項の範囲内であるにもかかわらず、こうした形式的瑕疵についてまで特許の無効理由とすることは特許権者にとって酷と考えられる。
11
特許異議の申立ての審理は、特許庁においてなされる特許権設定後の見直し手続であるから、審理の公平性・独立性の観点から、無効審判と同様に、審判合議体が審理手続を一貫して行うこととしている(114 条1項)。
12
権利帰属に関する事由は当事者間の紛争解決を主目的とする無効審判により争うことが望ましいため、特許異議の申立ての理由は公益的事由のみに限定することとした
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旧制度では、書面審理を原則としつつ、審判長は、特許権者、特許異議申立人若しくは参加人の申立てにより、または職権で、口頭審理によるものとすることができるとしていた。他方、新たな特許異議の申立制度の創設にあたっては、特許異議申立事件の当事者の対応負担を無効審判よりも低いものとし、かつ、審理手続自体も簡易なものとすることで、より利用し易い制度にするという観点から、審理の方式を 「原則書面審理」から「全件書面審理」によるものとし、特許異議申立人が口頭審理へ呼び出されることがないようにした(118条1項)。
14
審判においては対立する当事者があり、事実の真相を把握するためには口頭審理によるのが便宜であるので、口頭審理を原則としたものである(145 条)。口頭審理は当事者又はその代理人が出頭することを強要するものであり、しかも審判は裁判と異なり全国各地で行われるものではなく、特許庁においてのみ行われるものであるから、事案の内容によって無効審判についても書面審理によることで便宜な場合もあり、1項ただし書の規定が設けられている。
15
旧制度において取消決定をしようとするときは、特許権者及び参加人に取消理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることとされていた。しかし、特許異議申立人は、特許異議申立書を提出した後、審理の途中経過については何ら知らされず、かかる審理手続において意見を述べる機会も保障されていなかったため、特許異議申立人の不満が大きく、特許庁の審理内容に不満がある場合には新たに無効審判を請求しなければならない等、紛争解決の長期化につながっていた。そこで、特許異議申立人の当事者の対応負担を低く保ちつつ、制度の利便性向上を図る観点から、特許異議申立人に対しても、その希望に応じた意見提出の機会を設けるべく、本規定を設けることとした(120 条の5第5項)。
16
特許異議の申立ては、第三者に対して特許処分の見直しを求める機会を与えたものに過ぎないものであること、維持決定を受けた特許異議申立人は別途無効審判請求を行うことができること等の理由による。
17
特許異議の申立てについての審理が進行し、すでに取消理由通知があった場合には、特許異議の申立てがされた特許に瑕疵がある蓋然性が高いといえ、そのような場合にまで特許異議申立人の自由な意思による取下げを認めることは、公益的観点から特許処分の見直しを図ろうとする特許異議の申立制度の趣旨に合致しないためである(120 条の4)。
18
相手方が答弁書を提出して審判請求に応ずる態度を示したのであるから、一方的な取下げを認めるのは妥当でなく、相手方の承諾があることを要件としたのである(155 条2項)。なお、承諾のない取下げは無効である。