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特許 実施権

特許 実施権
17問 • 1年前
  • Daisuke Saito
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    問題一覧

  • 1

    専用実施権と通常実施権の性質について説明せよ。

    専用実施権は物権的な権利であるから排他性を有し、同一期間、同一地域、同一内容についての専用実施権が二以上設定されることはありえないし、専用実施権を設定した場合は、その設定行為で定められた範囲において特許権者の独占的な地位は失われる。一方、通常 実施権は債権的な性格を有するので、同時に同一内容の通常実施権を二人以上の者に許諾することができ、かつ、通常実施権の許諾後においても特許権者自らが実施をすることは差し支えない。

  • 2

    特許権の移転、専用実施権の設定等については登録をもってその効力の発生要件とした理由を説明せよ。

    特許権及び専用実施権は、公示を原則とする独占権であるから、権利の移転等の権利関係をより明確にする必要があるためである(98 条1項各号)。

  • 3

    平成 23 年の一部改正により、通常実施権の当然対抗制度が導入された理由を説明せよ。

    従来は、特許権の譲受人等に対して対抗するためには通常実施権の登録が必要であったが、通常実施権の登録が手間とコスト面等の理由により実務上困難となっている。また、登録に際し、特許権者の協力を得にくい状況から登録対抗制度を前提としない実務慣行が広がっていた。一方、海外の特許買収事業者の参入等により、登録を備えていない通常実施権者が差止請求等を受けるリスクが高まっている。以上を踏まえ、通常実施権を適切に保護するため、同改正により、登録なしに通常実施権を対抗できることとした(99 条)。

  • 4

    特許法第 48 条の3第8項に規定する法定通常実施権が設けられた趣旨について説明せ よ。

    48 条の3第4項の規定により特許出願を取り下げたものとみなされたときは、特許公報(193 条)により、その旨が広く社会に公示されることで、一旦は、第三者が当該特許出願に係る発明を実施できると信頼し得る状況が生じる。このため、これに類似する状況での第三者保護規定である 176 条に倣い、48 条の3第8項を新設した。

  • 5

    先使用権の趣旨について説明せよ。

    法は、特許出願をし、新規な発明を公開した者に、その代償として独占排他権たる特許権を付与する(1条、68 条)。しかし、出願の際にすでに発明を実施等している善意の第三者が、その後の出願による特許権により実施を継続することができなくなることは著しく公平の観念に反する。また、善意の第三者が実施を継続することができないとすると、出願前から積極的に資本・労力を投下してなされた事業設備の荒廃をきたし、国家経済上・産業政策上好ましくない。そこで、法は、特許権者と先使用権者の公平及び既存設備の保護を図るべく、先使用権を認めることとした(79 条)。

  • 6

    特許法第 79 条の2の規定が設けられた理由について説明せよ。

    冒認等を理由に特許が無効にされる場合には、譲受人又は実施権者は、特許権に基づき権利行使されることなく発明の実施を継続できるので、冒認等を理由に特許権が移転される場合に、譲受人等が、一律に発明の実施が継続できなくなることは妥当でない。また、当該特許権が冒認等に係ることを第三者が公開情報から把握することは困難であるから、公示を信頼して、実施のために一定の投資をした者を保護する必要がある。そこで、法は、79 条の2に規定する通常実施権を認め、他方、真の権利者は当該通常実施権者から相当の対価を受ける権利を有することとした(79 条の2第2項)。

  • 7

    特許法第 81 条に規定する法定通常実施権が設けられた趣旨について説明せよ。

    特許権と意匠権が抵触する場合であっても、意匠登録出願が特許出願より先であるか、又は同日の場合は、意匠権者は特許権者から制約を受けることなく自由に自己の登録意匠を実施することができるが、その意匠権の存続期間が満了し、しかも特許権がなお存続しているときは、意匠権者は自己の意匠を実施することができなくなる。それではあまりに不合理であるため、法は 81 条に規定する法定通常実施権を設けることにした。

  • 8

    特許法第 176 条に規定する法定通常実施権が設けられた趣旨について説明せよ。

    175 条は公平の原則に立脚して善意の実施者を保護しているにすぎないが、本条ではさらに事業設備の維持という社会経済的な見地が加味され、善意の実施者に通常実施権を認めることとしている。

  • 9

    特許法第 92 条第2項に規定する通常実施権について、後願権利者から先願権利者への裁定請求を規定した趣旨について説明せよ。

    先願特許発明を利用する後願特許発明がある場合に、先願特許権者の許諾が得られないために後願特許発明が実施されずに埋もれてしまうことを防ぐため、実施権許諾についての両者の協議が整わないときは、先願特許権者の特許権について通常実施権を設定すべき旨の裁定を請求することができることとした。

  • 10

    特許法第 92 条第4項に規定する通常実施権について、先願権利者から後願権利者への裁定請求を規定した趣旨について説明せよ。

    裁定制度の円滑な運用を図ることが望まれていたことに応えるものであり、先願特許権者等と後願特許権者等の利害の調整を図ること、裁定がその調整の上で順調にできるようにすること、発明が相互に有効に利用されること等をねらいとするものである。

  • 11

    商標権についての通常使用権の設定の裁定を認めない理由について説明せよ。

    商標に関しては、出所の混同の防止という観点から、商標権者の意思によらずに通常使用権を設定するという裁定制度は採用し得ないことによるものである。ちなみに、TRIPS協定においても、商標の強制使用許諾は認められないとしている(TRIPS21 条)。

  • 12

    専用実施権の自由譲渡を認めなかった理由について説明せよ。

    自由譲渡を認めなかったのは、専用実施権を設定する場合は、特許権者と設定を受ける者との信頼関係に基づく場合が多く、かつ、特許発明についてはどの程度の資本をもって、どのような技術により実施をするかということが特許権者にとっても重大な関係を有するからである。

  • 13

    事業とともにする場合は、特許権者の承諾なくして移転することができるとした理由について説明せよ。

    事業とともにする場合は、特許権者の承諾なくして移転することができるとしたのは、事業を移転しても実施権を移転し得ないならば、その事業設備は稼働し得なくなる場合が少なくなく、ひいては国家経済上からの損失となるからである。

  • 14

    通常実施権の移転について説明せよ。ただし、裁定による通常実施権を除く。

    通常実施権は原則として特許権者等の承諾を得なければ移転することができない(94 条1項)。これは、発明の特性から誰が通常実施権者であるかは特許権者等の利害関係に影響するところがきわめて大きいということに基づく。しかし、実施の事業とともに移転する場合及び一般承継の場合はその例外を認めた。その理由は事業とともにする場合も承諾を要するものとすると、その承諾を得ることができない場合において、しかも事業は移転せざるを得ないときは、事業を移転しても設備を稼働することができないため、設備の荒廃をきたすことになるので、このような事態を防ごうとするものである。一般承継の場合はその承継人の範囲が限定されていることでもあり、特許権者が不測の損害を蒙るということはほとんどなく、しかも、かりに承諾を要することとすると、被承継人は死亡等のためいなくなっているので、その結果、権利は消滅することになるからである。

  • 15

    特許法第 83 条第2項又は特許法第 93 条第2項の裁定による通常実施権の移転が、事業とともにする場合に限り認められている理由を説明せよ。

    83 条2項に係る移転の制限は、パリ条約5条Aの趣旨に合致するよう新設された。この趣旨は、本来強制的に設定された権利が自由に他に移転できるのは適当でないとの考えからくるものである。また、83 条2項又は 93 条2項に係る移転の制限は、TRIPS協定 31 条(e)及び(l)(ⅲ)の規定に合致するよう改正されたものである。

  • 16

    特許権者がその特許権を放棄するために、専用実施権者又は質権者の承諾が必要な理由を説明せよ。

    本来、特許権の放棄は自己の利益を放棄するものであるから、その権利者の自由にまかされるべき行為であるが、その権利について質権、専用実施権等が設定されている場合はその放棄によって不利益を蒙るのは単に特許権者にとどまらないので、その放棄に制限を加えたものである(97 条1項)。

  • 17

    仮専用実施権及び仮通常実施権が設けられた趣旨について説明せよ。

    近年、知財重視の経営戦略の進展により、企業経営において、資金調達も含めた戦略上、出願段階における発明の財産権としての活用の重要性が高まっている。しかしながら、現行制度の下では、特許権の設定登録前に特許を受ける権利が第三者に移転した場合、そのライセンスを新権利者に対抗する手段はない。また、特許権の成立前に特許を受ける権利を有する者が破産した場合は、破産管財人によりライセンス契約が解除されることを妨げることはできず、出願段階のライセンスに基づき事業を準備等している企業にとって、大きなリスクとなっている。そこで、近年の知的財産権を取り巻く産業界の実態を踏まえ、企業等におけるライセンス活動の活発化及びライセンシー保護に対するニーズを受けて、新たに仮専用実施権及び仮通常実施権を設けることとした。

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  • 1

    専用実施権と通常実施権の性質について説明せよ。

    専用実施権は物権的な権利であるから排他性を有し、同一期間、同一地域、同一内容についての専用実施権が二以上設定されることはありえないし、専用実施権を設定した場合は、その設定行為で定められた範囲において特許権者の独占的な地位は失われる。一方、通常 実施権は債権的な性格を有するので、同時に同一内容の通常実施権を二人以上の者に許諾することができ、かつ、通常実施権の許諾後においても特許権者自らが実施をすることは差し支えない。

  • 2

    特許権の移転、専用実施権の設定等については登録をもってその効力の発生要件とした理由を説明せよ。

    特許権及び専用実施権は、公示を原則とする独占権であるから、権利の移転等の権利関係をより明確にする必要があるためである(98 条1項各号)。

  • 3

    平成 23 年の一部改正により、通常実施権の当然対抗制度が導入された理由を説明せよ。

    従来は、特許権の譲受人等に対して対抗するためには通常実施権の登録が必要であったが、通常実施権の登録が手間とコスト面等の理由により実務上困難となっている。また、登録に際し、特許権者の協力を得にくい状況から登録対抗制度を前提としない実務慣行が広がっていた。一方、海外の特許買収事業者の参入等により、登録を備えていない通常実施権者が差止請求等を受けるリスクが高まっている。以上を踏まえ、通常実施権を適切に保護するため、同改正により、登録なしに通常実施権を対抗できることとした(99 条)。

  • 4

    特許法第 48 条の3第8項に規定する法定通常実施権が設けられた趣旨について説明せ よ。

    48 条の3第4項の規定により特許出願を取り下げたものとみなされたときは、特許公報(193 条)により、その旨が広く社会に公示されることで、一旦は、第三者が当該特許出願に係る発明を実施できると信頼し得る状況が生じる。このため、これに類似する状況での第三者保護規定である 176 条に倣い、48 条の3第8項を新設した。

  • 5

    先使用権の趣旨について説明せよ。

    法は、特許出願をし、新規な発明を公開した者に、その代償として独占排他権たる特許権を付与する(1条、68 条)。しかし、出願の際にすでに発明を実施等している善意の第三者が、その後の出願による特許権により実施を継続することができなくなることは著しく公平の観念に反する。また、善意の第三者が実施を継続することができないとすると、出願前から積極的に資本・労力を投下してなされた事業設備の荒廃をきたし、国家経済上・産業政策上好ましくない。そこで、法は、特許権者と先使用権者の公平及び既存設備の保護を図るべく、先使用権を認めることとした(79 条)。

  • 6

    特許法第 79 条の2の規定が設けられた理由について説明せよ。

    冒認等を理由に特許が無効にされる場合には、譲受人又は実施権者は、特許権に基づき権利行使されることなく発明の実施を継続できるので、冒認等を理由に特許権が移転される場合に、譲受人等が、一律に発明の実施が継続できなくなることは妥当でない。また、当該特許権が冒認等に係ることを第三者が公開情報から把握することは困難であるから、公示を信頼して、実施のために一定の投資をした者を保護する必要がある。そこで、法は、79 条の2に規定する通常実施権を認め、他方、真の権利者は当該通常実施権者から相当の対価を受ける権利を有することとした(79 条の2第2項)。

  • 7

    特許法第 81 条に規定する法定通常実施権が設けられた趣旨について説明せよ。

    特許権と意匠権が抵触する場合であっても、意匠登録出願が特許出願より先であるか、又は同日の場合は、意匠権者は特許権者から制約を受けることなく自由に自己の登録意匠を実施することができるが、その意匠権の存続期間が満了し、しかも特許権がなお存続しているときは、意匠権者は自己の意匠を実施することができなくなる。それではあまりに不合理であるため、法は 81 条に規定する法定通常実施権を設けることにした。

  • 8

    特許法第 176 条に規定する法定通常実施権が設けられた趣旨について説明せよ。

    175 条は公平の原則に立脚して善意の実施者を保護しているにすぎないが、本条ではさらに事業設備の維持という社会経済的な見地が加味され、善意の実施者に通常実施権を認めることとしている。

  • 9

    特許法第 92 条第2項に規定する通常実施権について、後願権利者から先願権利者への裁定請求を規定した趣旨について説明せよ。

    先願特許発明を利用する後願特許発明がある場合に、先願特許権者の許諾が得られないために後願特許発明が実施されずに埋もれてしまうことを防ぐため、実施権許諾についての両者の協議が整わないときは、先願特許権者の特許権について通常実施権を設定すべき旨の裁定を請求することができることとした。

  • 10

    特許法第 92 条第4項に規定する通常実施権について、先願権利者から後願権利者への裁定請求を規定した趣旨について説明せよ。

    裁定制度の円滑な運用を図ることが望まれていたことに応えるものであり、先願特許権者等と後願特許権者等の利害の調整を図ること、裁定がその調整の上で順調にできるようにすること、発明が相互に有効に利用されること等をねらいとするものである。

  • 11

    商標権についての通常使用権の設定の裁定を認めない理由について説明せよ。

    商標に関しては、出所の混同の防止という観点から、商標権者の意思によらずに通常使用権を設定するという裁定制度は採用し得ないことによるものである。ちなみに、TRIPS協定においても、商標の強制使用許諾は認められないとしている(TRIPS21 条)。

  • 12

    専用実施権の自由譲渡を認めなかった理由について説明せよ。

    自由譲渡を認めなかったのは、専用実施権を設定する場合は、特許権者と設定を受ける者との信頼関係に基づく場合が多く、かつ、特許発明についてはどの程度の資本をもって、どのような技術により実施をするかということが特許権者にとっても重大な関係を有するからである。

  • 13

    事業とともにする場合は、特許権者の承諾なくして移転することができるとした理由について説明せよ。

    事業とともにする場合は、特許権者の承諾なくして移転することができるとしたのは、事業を移転しても実施権を移転し得ないならば、その事業設備は稼働し得なくなる場合が少なくなく、ひいては国家経済上からの損失となるからである。

  • 14

    通常実施権の移転について説明せよ。ただし、裁定による通常実施権を除く。

    通常実施権は原則として特許権者等の承諾を得なければ移転することができない(94 条1項)。これは、発明の特性から誰が通常実施権者であるかは特許権者等の利害関係に影響するところがきわめて大きいということに基づく。しかし、実施の事業とともに移転する場合及び一般承継の場合はその例外を認めた。その理由は事業とともにする場合も承諾を要するものとすると、その承諾を得ることができない場合において、しかも事業は移転せざるを得ないときは、事業を移転しても設備を稼働することができないため、設備の荒廃をきたすことになるので、このような事態を防ごうとするものである。一般承継の場合はその承継人の範囲が限定されていることでもあり、特許権者が不測の損害を蒙るということはほとんどなく、しかも、かりに承諾を要することとすると、被承継人は死亡等のためいなくなっているので、その結果、権利は消滅することになるからである。

  • 15

    特許法第 83 条第2項又は特許法第 93 条第2項の裁定による通常実施権の移転が、事業とともにする場合に限り認められている理由を説明せよ。

    83 条2項に係る移転の制限は、パリ条約5条Aの趣旨に合致するよう新設された。この趣旨は、本来強制的に設定された権利が自由に他に移転できるのは適当でないとの考えからくるものである。また、83 条2項又は 93 条2項に係る移転の制限は、TRIPS協定 31 条(e)及び(l)(ⅲ)の規定に合致するよう改正されたものである。

  • 16

    特許権者がその特許権を放棄するために、専用実施権者又は質権者の承諾が必要な理由を説明せよ。

    本来、特許権の放棄は自己の利益を放棄するものであるから、その権利者の自由にまかされるべき行為であるが、その権利について質権、専用実施権等が設定されている場合はその放棄によって不利益を蒙るのは単に特許権者にとどまらないので、その放棄に制限を加えたものである(97 条1項)。

  • 17

    仮専用実施権及び仮通常実施権が設けられた趣旨について説明せよ。

    近年、知財重視の経営戦略の進展により、企業経営において、資金調達も含めた戦略上、出願段階における発明の財産権としての活用の重要性が高まっている。しかしながら、現行制度の下では、特許権の設定登録前に特許を受ける権利が第三者に移転した場合、そのライセンスを新権利者に対抗する手段はない。また、特許権の成立前に特許を受ける権利を有する者が破産した場合は、破産管財人によりライセンス契約が解除されることを妨げることはできず、出願段階のライセンスに基づき事業を準備等している企業にとって、大きなリスクとなっている。そこで、近年の知的財産権を取り巻く産業界の実態を踏まえ、企業等におけるライセンス活動の活発化及びライセンシー保護に対するニーズを受けて、新たに仮専用実施権及び仮通常実施権を設けることとした。