特許 審決取消訴訟
問題一覧
1
わが国憲法は三権分立を採用するため、行政機関は終審として裁判を行えず、一切の法律上の争訟は裁判所の終局的な判断を受ける(憲法 76 条)。ここに審決等も行政処分であり、これに対する訴えは行政事件訴訟法の適用を受けるのが原則である。しかし、特許事件は技術的・専門的であり、審判手続も準司法的手続によって行われているため、行政事件訴訟法の規定をそのまま適用するのは必ずしも妥当でない。特に特許権は対世的効力を有するため、迅速な解決が望まれる。そこで、法は、かかる特許事件の特殊性を考慮して、行政事件訴訟法の特則として審決等取消訴訟について規定した(178 条)。
2
行政事件訴訟法によると東京地方裁判所が管轄裁判所となるべきである。しかし、特許庁での審判手続が準司法的手続によって厳正に行われる以上、さらに三審級を重ねることはいたずらに事件の解決を遅延せしめることになる。また、事件の内容がきわめて専門技術的であるため、特許関係の専門家によって行われた審判手続を尊重することが望ましい。これらの事情により、一審級を省略して直接に東京高等裁判所へ出訴することとした(178 条1項)。
3
一般の行政処分であれば法律上の利害関係がある第三者にまで原告適格を拡げても支障はない。しかし、特許権のように対世的な権利に係る訴訟においては、利害関係がある第三者の範囲は著しく広汎になり、裁判渋滞の原因となるおそれがある。一方、当事者だけに訴訟の提起を許すことは、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」という憲法 32 条との関係上問題である。そこで、訴えは当事者のほか審判又は再審に参加を申請して許されなかった者もまた提起することができることとした(178 条2項)。
4
事件が訴訟に移行すると、特許庁は当事者としてその審理に関与することはできない。しかし、専門行政機関たる特許庁の考え方が訴訟審理に反映されていない審決取消訴訟の結果により特許庁が拘束されると、その法令解釈や運用基準、ひいては、技術開発やその成果の利用に携わる多くの国民に大きな影響を与える可能性がある。そこで、このような問題点を解決するため、特許庁長官が裁判所に意見を述べる制度について規定した(180 条の2)。
5
1項は、審理の結果、訴訟において主張されている請求が正当であり、審決又は決定をそのまま維持することができないと認める場合には、裁判所は審決又は決定を取り消すべきことを定めたものである。この場合、裁判所が具体的な行政処分をすべき旨の判決をすることは、裁判所が行政権を行使することになるので認められない。例えば、特許を無効にすべき旨の請求の棄却の審決に対する訴訟で審決の誤りが発見された場合、裁判所は特許を無効にすべきことを特許庁に命ずる給付判決をすることはできず、審決を取り消すという形成判決をすることができるにとどまる。2項は、1項の判決に対する特許庁の措置を規定する。知的財産高等裁判所の判決に対しては更に最高裁判所に上告をすることができるが、不服の申立ての方法が尽きて特許庁の処分を取り消すべき旨の判決が確定した場合には、2項の規定に基づいて審判官は審理を行わなければならない。すなわち、審判は審決によって終了するのであるが、裁判所によって審決が取り消されれば審判は終了しないこととなり、引き続いてその審理がされることになる。この場合は行政事件訴訟法 33 条の「処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、当事者たる行政庁その他の関係行政庁を拘束する」という規定が適用される。
特許 趣旨
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1
わが国憲法は三権分立を採用するため、行政機関は終審として裁判を行えず、一切の法律上の争訟は裁判所の終局的な判断を受ける(憲法 76 条)。ここに審決等も行政処分であり、これに対する訴えは行政事件訴訟法の適用を受けるのが原則である。しかし、特許事件は技術的・専門的であり、審判手続も準司法的手続によって行われているため、行政事件訴訟法の規定をそのまま適用するのは必ずしも妥当でない。特に特許権は対世的効力を有するため、迅速な解決が望まれる。そこで、法は、かかる特許事件の特殊性を考慮して、行政事件訴訟法の特則として審決等取消訴訟について規定した(178 条)。
2
行政事件訴訟法によると東京地方裁判所が管轄裁判所となるべきである。しかし、特許庁での審判手続が準司法的手続によって厳正に行われる以上、さらに三審級を重ねることはいたずらに事件の解決を遅延せしめることになる。また、事件の内容がきわめて専門技術的であるため、特許関係の専門家によって行われた審判手続を尊重することが望ましい。これらの事情により、一審級を省略して直接に東京高等裁判所へ出訴することとした(178 条1項)。
3
一般の行政処分であれば法律上の利害関係がある第三者にまで原告適格を拡げても支障はない。しかし、特許権のように対世的な権利に係る訴訟においては、利害関係がある第三者の範囲は著しく広汎になり、裁判渋滞の原因となるおそれがある。一方、当事者だけに訴訟の提起を許すことは、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」という憲法 32 条との関係上問題である。そこで、訴えは当事者のほか審判又は再審に参加を申請して許されなかった者もまた提起することができることとした(178 条2項)。
4
事件が訴訟に移行すると、特許庁は当事者としてその審理に関与することはできない。しかし、専門行政機関たる特許庁の考え方が訴訟審理に反映されていない審決取消訴訟の結果により特許庁が拘束されると、その法令解釈や運用基準、ひいては、技術開発やその成果の利用に携わる多くの国民に大きな影響を与える可能性がある。そこで、このような問題点を解決するため、特許庁長官が裁判所に意見を述べる制度について規定した(180 条の2)。
5
1項は、審理の結果、訴訟において主張されている請求が正当であり、審決又は決定をそのまま維持することができないと認める場合には、裁判所は審決又は決定を取り消すべきことを定めたものである。この場合、裁判所が具体的な行政処分をすべき旨の判決をすることは、裁判所が行政権を行使することになるので認められない。例えば、特許を無効にすべき旨の請求の棄却の審決に対する訴訟で審決の誤りが発見された場合、裁判所は特許を無効にすべきことを特許庁に命ずる給付判決をすることはできず、審決を取り消すという形成判決をすることができるにとどまる。2項は、1項の判決に対する特許庁の措置を規定する。知的財産高等裁判所の判決に対しては更に最高裁判所に上告をすることができるが、不服の申立ての方法が尽きて特許庁の処分を取り消すべき旨の判決が確定した場合には、2項の規定に基づいて審判官は審理を行わなければならない。すなわち、審判は審決によって終了するのであるが、裁判所によって審決が取り消されれば審判は終了しないこととなり、引き続いてその審理がされることになる。この場合は行政事件訴訟法 33 条の「処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、当事者たる行政庁その他の関係行政庁を拘束する」という規定が適用される。